401. 運命の女(2002)
《ネタバレ》 エイドリアン・ラインは、すでに「危険な情事」という不倫ものの傑作を作り上げているのに、それから15年も経ってから何でまたこんなものを作ろうと思ったんだろうか・・・。前半はダイアン・レインのセクシーボディ以外に見るべきところがないし、ギアが相手の男と対面して以降の展開は陳腐そのもの。あまりにも工夫なさすぎで驚いた。同じく不倫ものの先駆的傑作「恋におちて」や「マディソン郡の橋」と比べても、各登場人物があまり「考えてない」ので、深みがないんですよね。●ただ、再見してちょっと驚いたのはラストで、遠景で車が停止したまま、青から赤に変わる信号、それに重ねてエンドクレジット・・・というのがいい感じに余韻を残しています。これで大分救われていますね。●それと、ミシェル・モナハンがどこに出ているのかと思って探してしまったら、何と一瞬だけ登場のギアの秘書! [ブルーレイ(字幕)] 5点(2017-12-04 01:31:22) |
402. ザ・スナイパー(2005)
《ネタバレ》 せっかくの設定なのですから、それぞれの背景や生業や感覚や意識の差を際立たせるだけで、もっと面白くなったと思うんだけどな・・・。双方の描き方が平坦なので、ギャップによる笑いが出てこない。殺し屋がスランプに陥るというギャグ部分も、変に真面目に描こうとしているので、何がしたいのか分からない。あと、奥様の絡み方も中途半端です。 [DVD(字幕)] 4点(2017-11-22 04:53:26) |
403. 9-ナイン(2007)
《ネタバレ》 導入部の謎は実に魅力的。パート2に突入するに至ってさらに魅力的。これは一体どう整合させて着地するんだろう、と逆に不安になっていたら、まさかのそっちの方向性でのまとめ方で、それはそれでまあつじつまは合うんだけど、伏線の張り方と引き方は若干雑だったかな。ただこれって、全体としては、主人公=まさに映画を作っている自分たち(監督・脚本家)のメタファーだったんでしょうか。ということはこのラストは、逆に見ている側が作品の中に引きずり込まれてしまいました、という着地なんですね。 [DVD(字幕)] 6点(2017-11-12 01:44:58) |
404. 宇宙人の解剖
《ネタバレ》 この映画の中身自体がそもそもぜーんぶ創作だった、とかだったら面白いなと思いながら見ていたのですが、さすがにベースの話はあったんですね。撮影に集合する友人連中とか、巧いタイミングで再登場するカメラマンとか、脇役の堅実ぶりによって作品が水準を保っています。一方、主役2人はちょっと単調な感じで、特にゲイリーの方はもう少し受けとか変化を見せてほしいところでした。 [DVD(字幕)] 6点(2017-11-06 01:23:53) |
405. 17歳の肖像
《ネタバレ》 キャリー・マリガンの存在の安定感にはなかなかの素質を感じさせますが・・・肝心の脚本が、もう実に安直で、底が浅くて。あんだけ分かりやすく怪しさ満載だったら、普通どこかで誰か(本人含む)が気づいてどこかで止めるでしょ、としか言いようがありません。せっかく達者な俳優陣を脇役で揃えていながら、実力を出すべき場面が見当たらない。 [DVD(字幕)] 4点(2017-10-23 02:16:56) |
406. この自由な世界で
《ネタバレ》 このリアルタイムの社会問題に着目し、しかも主人公を必ずしも善人としていなかった設定のセンスは優れていると思うが、描写そのものはややストレートにすぎ、主人公の内省だけで話が終わってしまった感がある。ところで、日本でも派遣問題や低賃金問題は存在するのだが、切り込もうという映画人はいないのかな。 [DVD(字幕)] 7点(2017-10-14 00:19:59)(良:1票) |
407. 約束の旅路
《ネタバレ》 なかなか日本では目にする機会のない題材だけに、それだけで新鮮。普通の映画だったら、イスラエルに到達するまでの困難をあれこれと設定するところであるが、この作品は、移住自体はあっさりと済ませた上で、その後の主人公が人生において背負った十字架に焦点を当てているところに意味がある。前半は、じっと息をひそめるような少年の視点で描写が統一されており、地に足の着いた説得力ある描写となっている。後半が、別の映画になったかのようにあれよあれよの急展開になってしまったのがやや残念。 [DVD(字幕)] 7点(2017-10-12 00:54:36) |
408. バタフライ・エフェクト/劇場公開版
《ネタバレ》 時系列操作や同一シーン反復は大好きなので、当然のように点数は甘め。突っ込みどころはいろいろあるんだろうけど、気にしない。もっとも、私の一番のツボだったのは、過去の操作による現在の変更よりも、台所の包丁シーンや父親との面会シーンでのつじつまを何とか合わせようとする強引さの方でした。 [DVD(字幕)] 7点(2017-10-09 00:23:27) |
409. ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男
《ネタバレ》 こんな生々しい話の監督がラッセ・ハルストレムだというのにまず驚き。しかし、やっぱりこういう方向の作品はあまり得意でなかったようで、俳優陣との息もどうも今ひとつ合っていない。奥さんとか女性関係がどうのこうのというのも、あまり機能していないし、おそらくは原作にそう書かれていたから入れたんだろうというところも見えてしまう。まあ、元ネタがもともと出発点だけでも十分スリリングな内容なので、そのアドバンテージだけで得はしています。しかし、この主人公はもともと巨大なでっち上げ話を迫真的に作り上げていたわけで、この「自伝」そのものも実はでっち上げとかだったら、それはそれで面白いのだが。 [DVD(字幕)] 6点(2017-10-03 02:12:40) |
410. マルタのやさしい刺繍
《ネタバレ》 ストーリーは大体予想できるのですが、その中でも、限られた場所的範囲の中にいろいろな人間関係を織り込み、ショップ関係だけの話に終わっていないのがよい。また、会話の1つ1つでも、最小限の一言にいろいろな背景を反映させており、無駄がありません。リージみたいなおばさん、近所に1人いたら本当に楽しいよね。 [DVD(字幕)] 6点(2017-09-24 02:07:57) |
411. イントゥ・ザ・ワイルド
ありがちなエピソードつぎはぎロード・ムービーを危惧していたのだが、この出来の良さには驚いた。ショーン・ペンという人に監督の才能まであるとは思わなかった。余計な発想一切なし、ただアラスカを目指したいからと、粛々とそれに向けて進む主人公。そのコンセプトで作品全体が確実に統一されているし、陳腐な「自分探し」などとは無縁な潔さに溢れている。主人公と接する人はみんなどこか主人公と同じ匂いがするし(トレイシーだけ浮いている気はするが)、妹のナレーションを挟んでいく構成も効果的。遠・中・近や動・静を使い分けるカメラワーク、静謐ささえ感じさせる音楽もセンスが良い。 [DVD(字幕)] 7点(2017-09-02 00:56:28) |
412. ハッスル&フロウ
《ネタバレ》 導入部は何かいかにも「退廃してるどうしようもない生活を描いてますよ~」という作為的な雰囲気があって今ひとつだったのですが、中盤のレコーディングのシークエンスは素晴らしい。たった1曲のために、金も設備もないチームが、あれこれと克服を重ねていく(その中には、高価なマイクを入手するためのえげつない手段も・・・)のを、延々と時間をかけて描いている。だから、その後の「この曲にすべてをかけた」という台詞に実感がこもってきます。さらに、スキニーとの対面シーンでは、鼻先であしらわれるのを何とかぎりぎりのところで突破していくスリル感。その後のトイレのシーンは、本来ならピークのはずなんだけど、ちょっとその前の伏線が分かりやすすぎかな。あと、ラストはあそこで終わりじゃなくて、もうちょっと引っ張ってほしかった(それか、本人は拘束中なんだけど世間ではあれこれ起こっている、のどっちか)。 [DVD(字幕)] 6点(2017-08-27 01:22:04) |
413. クリビアにおまかせ!
オランダ語で歌われるミュージカルなんて、普通接する機会はないですから、それだけでわくわくしてしまうではありませんか。で、やっぱり内容的には大したことなくて、老人ホーム(?)をめぐる家主と経営者のやりとりが延々と繰り返されるだけなのですが、そんなどうでもいいようなことにここまで熱くなれる出演者の皆様が素晴らしい。とりあえず、好奇心は満足されました。 [DVD(字幕)] 5点(2017-08-14 23:58:13) |
414. サウンド・オブ・サイレンス(2001)
「精神科医が患者からキーとなる秘密を聞き出す」なんて、誰もがいろんなことを期待する設定だと思うが、結局はそのへんのサスペンス・アクションと何も変わるところがない。そもそも、本題に入るまでが長すぎです。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2017-08-01 01:28:47) |
415. イーグル・アイ
《ネタバレ》 後から考えれば突っ込みどころは満載なのですが、敵の正体には素直に驚きましたし、SDカードの手がかりからのくだりもなかなかでしたし、見ているときは一直線に楽しみました。ただ、ラストが物理的破壊というのは作品のオチとして不十分ですし、ロック解除のために主人公が狙われたんだったら、何とかしてもう一度ロックするとか、何かこう、この敵ならではのやっつけ方というのが欲しいところでした(それを考えると、そのもう一次元上を行くオチを、制作者としてのメッセージを込めてまで提供した「ウォー・ゲーム」は凄い)。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-07-31 02:10:51)(良:1票) |
416. 迷子の警察音楽隊
《ネタバレ》 導入部分に顕著な絶妙な「間」と、横並びを多用した構図、そして堅苦しい制服や重そうな楽器と荒涼とした風景のギャップだけで、コメディとしては完成しているわけです。あえて一足飛びに関係を発展させることなく、ぎこちなく礼儀正しく交わされる会話にも、何ともいえない味があります。その中でも、最低限の台詞で登場人物の心理の揺れを表し切っている脚本が、よく見ると凄く練られています。また、ユダヤとアラブの対立背景を全部削ぎ落とした潔さも、かえって作品世界に緊張感を与えています。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-09 22:53:18) |
417. 奇跡のシンフォニー
《ネタバレ》 ありえないような展開だとか、少年が天才すぎだとかはいいんです。それはそれで1つの世界設定ですから。でも、そうしたい割には、前半があまりにも人工的で作り物すぎで、したがって後半の盛り上がり部分も生きてこないのです。メインの演奏会にみんながそれぞれ集まってくるくだりなんて、工夫すればそれこそオーケストラの演奏みたいな重層感が出せたはずなのにね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-07-08 00:33:21) |
418. コラテラル
《ネタバレ》 導入部から中盤過ぎくらいまでが、とにかく冗長で散漫で・・・せっかくの「一夜」の設定なんだから、もっとテンポよく進んでほしいところでした。運転手が突然切れまくって赤信号も無視し殺し屋の方が焦るくだりには辛うじてドラマがありましたが、そのようなシーンはごく一部でした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-07-01 01:20:08) |
419. アイガー北壁
《ネタバレ》 途中からはひたすら壁・壁・壁の世界で、見ているだけでめまいがしそうなほど映像としては強烈です。この撮り方の誠実性が、作品の存在意義を大きく支えています。一方、背景の人物描写なんかは割と簡素というかむしろぶっきらぼうなくらい素っ気ないのですが、そんな中でも、過酷な北壁と優雅なホテル内(そして途中からどんどんいなくなるギャラリー)の対比など、静かなメッセージも力強く伝わってきます。 [DVD(字幕)] 7点(2017-06-13 02:09:19) |
420. ウィスキー
地味に淡々と進むかと思いきや、その中にいろんなことが盛り込まれているから油断ならない。普通ならこの先で本腰入れて盛り上げるだろう、というところで説明をシャットアウトしてあとは想像に委ねる。ちょっとした描写でさりげなく登場人物の思考の背景を表す。私は、「逆さ言葉遊び」のこの話における位置づけに思い至ってぞくっとしました。 [DVD(字幕)] 7点(2017-05-30 23:45:10) |