401. プライベート・ライアン
《ネタバレ》 スピルバーグの戦争ものといえば、連続ドラマの「バンド・オブ・ブラザーズ」が面白かった。戦闘シーンがリアルで群像劇としても優れていたが、こちらの映画も同じような印象。 ライアン家での兄弟4人のうち3人が死亡して、最後の1人を死なせると母親を絶望のどん底に落とすことになる。その1人の救出のために大勢が犠牲になるリスクを冒すのは、いかにもヒロイズムが好きなアメリカらしい。上層部の思惑とは別に、戦争の中での極限状態で次々に人間の本性が現れる。恐怖で硬直して味方を見殺しにしてしまったアパムが、自分が安全な立場となったときにドイツ捕虜を射殺したのは、戦争のなせる業なのか。アパムの存在は異質で脇役ではあるけれど、戦争映画にリアリティと重厚さを出している。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2016-02-28 20:20:42) |
402. センチメンタル・アドベンチャー
《ネタバレ》 イーストウッドが実の息子と共演したロードムービー。死の病に侵されながらも最後まで夢を追った中年ミュージシャンの話だが、地味で淡々としてこれといった引っかかりがない。だらしなくて女を泣かせてアル中でもいいのだけど、根は良いヤツといったところで真面目に働いている農家から鶏泥棒するような男を好きになれない。派手な銀行強盗やマフィアの犯罪などはフィクションとして何とも思わないのだが、こういうリアルな万引き、窃盗の類は被害にあった経験もあって大嫌いなので。もうこの一点で共感できなくなってしまう。 [DVD(字幕)] 4点(2016-02-14 22:34:46) |
403. ユー・ガット・メール
《ネタバレ》 児童書を扱う小さな個人書店と、品揃えと安売りが人気の大型チェーン書店。大嫌いな商売敵が好意を寄せるメールの相手と知らずに反発し、やがて惹かれ合って――といういかにもメグライアン的王道ラブストーリー。メールの相手と待ち合わせをしたときに、男のほうだけ相手の正体を確認するけれど、女は知らないままで。 もう序盤から結末が見えるストーリーだし、ものすごい偶然でメール相手と出会い、タイミングよくお互い交際相手と別れる。都合の良すぎる話だけれど、安心して楽しめる映画ではある。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2016-02-14 22:33:03) |
404. 映画 暗殺教室
殺せんせーのキャラにハマらず。尺の関係で省略されていることも多いだろうし、原作未読なこともあって、ピンと来ない箇所もある。謎を残したまま続編へつなげる形で終わっているが、映画は1本完結スタイルのほうが良い。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2016-02-14 22:31:23) |
405. おさな妻
《ネタバレ》 当時15歳の関根恵子がすでに男を知っているような大人の色気で、ずいぶんと早熟かつ聡明なイメージ。この年頃でこういう存在感の女優は、今ではちょっと見当たらない。昭和の匂いがぷんぷん。 男の都合の良い願望をそのまま映画にしたようで、妻を亡くした子持ち男が両親を亡くした清純な女子高生と結ばれる。ストーリー的には凡庸だし、芝居も臭くて少し気恥ずかしくなる。売りだった濡れ場もおとなしい。 ただ、関根恵子の弾けるような瑞々しい魅力は拝めるので、ファンなら見て損はないかも。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2016-02-14 22:29:10) |
406. 黄色い星の子供たち
《ネタバレ》 タイトルからファミリー向けのファンタジーか何かかと勝手に思っていたら、史実に基づいたホロコーストの重厚な映画だった。 黄色い星というのはユダヤ人が付けさせられた目印。ホロコーストはもちろん知っていたが、パリでもこんなことがあったのは知らなかった。あのフランスでもナチスの理不尽な暴挙に加担していたとは、思いがけない黒歴史。それでもユダヤ人を匿った庶民も多かったのが救いと言える。 ただ、現在イスラエルがパレスチナにやってることを見れば、複雑な心境になってしまう。 [DVD(字幕)] 7点(2016-02-14 22:26:45) |
407. 現金に体を張れ
ストーリーは競馬場の金を強奪する話で特に変わったところもないのだけれど、古い映画なのにテンポが良くて最後まで引きつけられる。 キューブリック作品は難解なものもあって好き嫌いが分かれるが、これは見やすくて好きなほう。 [DVD(字幕)] 6点(2016-02-04 01:05:48) |
408. スパニッシュ・アパートメント
《ネタバレ》 エラスムスが何のことかわからなかったが、EUの留学奨励制度とわかって納得。 シェアハウスでの青春の一ページ。骨太のストーリーがあるわけではないが、雰囲気は楽しめる。こういうのに憧れてた時期もあったなぁ。 空気の読めない人間との同居はストレスが溜まりそう。仲の良い友達同士の旅行でも、何泊かするうちにちょっとしたことでイラっとすることも出てくるのに。 国籍も性格も違って、まさにごちゃ混ぜ。バラバラにも見えた皆が、ウェンディの浮気を必死で隠そうと団結。ゲイを装って姉の危機をしのいだ弟がお疲れ様。でも、シェアハウスにこんな美男美女が集まることは現実ではなさそうだけど。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-02-01 21:37:46)(良:1票) |
409. リービング・ラスベガス
《ネタバレ》 すべてを投げ出して酒に溺れる男と娼婦の出会い。傷ついた心が寄り添うラブストーリー。太宰治臭が漂うような、堕落や破滅への志向性。 究極のダメ男っぷりには嫌悪感。あんないい女に寄り添ってもらっても変わることができず、ボロボロになった女を更に悲しませる男。救われない女の姿が切なく、憐憫を誘う。 なんとかしようにもどうにもその気力が出ないというのはよくわかるが、やっぱり甘ったれた男の弱さを体言したような愛を美化したくはない。 [DVD(吹替)] 4点(2016-02-01 21:34:38) |
410. エル・トポ
《ネタバレ》 普通の西部劇だと思って見始めたので面食らった。冒頭から素っ裸の少年を連れた奇妙な展開。難解な不条理劇を見たときと同じ印象。カルトチックで、全編に宗教的なメタファーに満ちている。 ホドロフスキー監督の悪趣味ともとれるような非現実な世界。独特の世界観は感じるが、最も苦手なタイプ。寺山修司の世界に共通するものを感じて、ちょっと調べてみると案の定。寺山修司が本作を絶賛していた。やっぱり自分にはまったく受け付けないタイプ。アングラ志向のバイブルのような作品。 よくわからないピカソの絵を2時間ずっと見せられるような苦痛。アメリカ社会への批判をこういうメタファーで表現されても、だから何?って印象。カルト映画ならパゾリーニのように悪趣味に徹しているならまだしも、変に芸術ぶっているようで鼻につく。 [DVD(字幕)] 1点(2016-01-12 17:47:04) |
411. 狼たちの午後
《ネタバレ》 先に観たことのある本木雅弘主演の「遊びの時間は終らない」と類似点があるなと思ったら、こちらのほうが元ネタらしい。インスパイアされたのか、オマージュということなのか、明らかに「狼たちの午後」の影響が見える。実際に起きた事件を元にした映画によくあることだが、エイターテイメント性に欠ける物足りなさは感じる。 人質がストックホルム症候群なのか意外とくつろいでいたのが印象的。ゲイだと思われたくない犯人の片割れが、訂正を要求するのが面白い。やっぱりそれは本人にとってはあの状況下においても重大事なのだろう。ふざけたドタバタコメディになりやすいゲイネタだけど、あくまでシリアスな空気の中で描いているのが良かった。真剣さがあってこそのおかしみがある。 [DVD(字幕)] 5点(2016-01-12 17:45:24) |
412. 摩天楼を夢みて
《ネタバレ》 営業マンの悲哀を感じるけれど好感は持てず、消費者目線で見てしまう。とにかく売ればいいという姿勢が鼻につく。特に、ローマのうざい語りとキャンセルさせまいと嘘も平気でつくところに嫌悪感。 役者は名優揃いでみんな巧くて惹きこまれる。舞台の映画化によくあることだけど、しゃべりすぎて映像で見せる部分が少ない。この作品はやっぱり戯曲のほうが向いている。 [DVD(字幕)] 6点(2016-01-05 18:19:25) |
413. 天使の分け前
《ネタバレ》 ウイスキー醸造の過程での蒸発分が天使の分け前というシャレたネーミング。それをうまくラストにつなげてオシャレにまとめた印象。 ただ、ところどころ引っかかるところも。まず、ロビーがチビで貧弱そうなので、とてもケンカが強そうではなく使いっぱしりに見える。もっと引っかかるのが、暴行事件の被害者が置き去りにされているところ。自分だけが幸せを掴んでいいのかと。それも結局は犯罪行為に走って、超高級ウイスキーを盗んで得た大金で。いくら盗まれた被害者がウイスキーの味もわからない大金持ちだったとはいえ、それが免罪符にはならない。殺人犯が罪を償って出所して更正して幸せな家庭を持ったとしても、遺族はやりきれないだろう。ロビーは殺しこそしていないが、トラウマになるほどの暴行を加えているんだし。 盗み出す仲間がウイスキーの瓶を割ってしまい、皆が頭を抱えるシーンは面白かった。味方の足を引っ張る使えない無能な奴は、敵よりもタチが悪い。どんなグループ、組織にも1人はいる存在なので、共感を呼びやすい。 [DVD(字幕)] 5点(2016-01-03 21:13:21)(良:1票) |
414. 欲望のあいまいな対象
《ネタバレ》 二人一役の特殊な演出がどうにも肌に合わずイラつく。若い女の尻を追いかけるスケベじじいにも嫌悪感。テロを絡めるのもよくわからず、人を食ったような感じをどう捕らえるかで好き嫌いが分かれそう。 [DVD(字幕)] 2点(2015-12-29 22:19:38) |
415. 殺人の疑惑
《ネタバレ》 父親が真犯人かどうかで最後までぐいぐい引っ張られるが、ネタバラシがどうにもスッキリしない。父が母を捨てた経緯が描かれておらず、放り出したまま。音声鑑定がシロというのもストーリーを紛らせる都合だけに感じられる。 それに根っからの犯罪者なら、どうにかして強請る相手を消しにかかるはず。あれほど嘘をうまく付き通して娘を騙してきた父が、時効になったからといって急に娘に正体を見せるのも極めて不自然。娘に嫌われるのが一番避けたいことだったのに、明らかに嫌われる正体を見せるほどバカなのか。 韓国映画は衝撃的に描こうとするあまり無理筋やご都合主義が目につくことがあるが、これはその典型か。 子どもの誘拐殺人という凶悪犯罪の証拠につながるメモを隠蔽したのでは、肉親を庇うためとはいえヒロインにも好感が持てない。出てくる人物が自己中ばかりで鼻につく。 ただ、娘のソン・イェジンと父のキム・ガプスの演技は良かった。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-12-29 22:07:36) |
416. 王妃マルゴ
《ネタバレ》 イザベル・アジャーニは当時39歳のはずだが、19歳の設定のマルゴにも違和感がないのに驚く。その美貌と妖艶なフェロモン全開で、男漁りをするマルゴにピッタリ。 シャルル王と弟のアンジュー公、そしてラ・モール伯爵の三人が、長髪、髭面のイケメンで見分けがつかなくて混乱。アンリ王のダニエル・オートゥィユしか見分けがつかない。画面が暗いのもあって、やっと見分けがついたのが後半になってから。それでなくても歴史的背景や人間関係も知らず、登場人物も多いので、前半でめげそうになる。顔の見分けがついてもう一度最初から見直してみると話がよく理解できる。戦争ものもそうだけど、同じ服装や髪型だと外国人で馴染みのない役者の場合は把握するまでいつも手こずる。 ストーリー自体は面白く、キャラも立っていて、特にカトリーヌの鬼婆悪女ぶりは見事。死体占いや、集団虐殺から毒殺暗殺まで謀略三昧で、主役を食うくらいの存在感。 [DVD(字幕)] 7点(2015-12-29 22:06:02) |
417. インサイド・ミー
《ネタバレ》 女性ボーカルの弟が薬物中毒死。音楽的才能があった弟を失って、バンドの評判はガタ落ち。替わりにバンドに入った男が才能を発揮して救世主のなるかと期待されたけど、そいつがサイコパスだったというサスペンス。 でも、サイコパスの不気味さが足りないので全然怖くない。サスペンスもエロも中途半端な凡作。 夫と子どもがいるのに酷評のストレスがあったからといって簡単に他の男と寝る女がヒロインというのも萎える。共感できない女がリアルな不気味さに欠けるストーカー男に襲われたところで、ハラハラもドキドキもしない。最後の格闘シーンも暗すぎてよく見えず。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-12-29 22:04:07) |
418. 96時間
《ネタバレ》 娘を溺愛しているために心配しすぎる父。口出ししすぎて嫌われるというよくあるタイプ。ところが過剰とも思える心配が的中してしまうこともある。 ストーリーはいたってシンプル。人身売買組織に捕まった娘を救い出す元CIA職員。なんだか「24」のジャックバウアーとかぶる。娘の名前もキム。キムを救うためにはどんな手段でも使う。相手が人身売買に関わっている悪人とはいえ、片っ端から殺していく鬼のような無双。 味方にすればこんな頼もしい人間もいないけど、もし彼女の父親がこんなのだったら絶対嫌だろうな。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-12-20 10:10:51) |
419. 007/ロシアより愛をこめて
歴代ボンドガールの中でも屈指の美貌を誇るダニエラ・ビアンキ。「北北西に進路を取れ」を思わせるヘリの襲撃。猫を撫でながら冷酷な指示を出す、顔の見えないボス。仕掛け満載のカバン。耳に残るテーマ曲。 今のスパイもの、アクションものと比べてどうしても全般的に温さを感じるのは否めないけど、印象に残るものがいろいろ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-12-20 10:01:59) |
420. ウォリアーズ(1979)
《ネタバレ》 ストリートギャングの大集会で総長のような男が撃たれ、その濡れ衣を着せられたウォリアーズが追われる。ストーリーがシンプルすぎて面白みには欠けるが、まるっきり一昔前の少年漫画の世界でちょっと懐かしいような気分にさせられる。 チームそれぞれに特徴のあるスタイルなのでわかりやすいが、こんなの絶対嫌だろうってスタイルもチラホラ。当時はこれでクールだったんだろうか? 昔はカッコいいと思ってやってた流行のことを、今振り返って赤面してしまう感じに似てる。ウオリアーズの裸に皮ベストスタイルもずいぶん妙だけど、不良が絶対着なさそうオーバーオールの集団には、緊迫した場面にも関わらず笑ってしまった。 それと、あんな電車には絶対乗りたくないなと。 [DVD(字幕)] 4点(2015-12-13 15:21:32) |