421. MIFUNE:THE LAST SAMURAI
日本のチャンバラ映画の歴史を織り交ぜつつ、俳優・三船敏郎の人生を追ったドキュメンタリー。スコセッシやスピルバーグ、錚々たるインタビュイーが登場してミフネ像を語るのですが、「ヨシ、ワカッタ」のオジサン(加藤武)までは良いとしても、なぜ中島貞夫さんが??? 確かに70年代後半から、何本かの映画で接点はありますけれど、アレって、三船プロの苦しい台所事情につけこんで東映が無理やり三船敏郎をブッキングしただけ、というのは、いささか穿った見方か? いずれにせよ、ルーカスでもコッポラでもなく、サダオ・ナカジマがスコセッシやスピルバーグと肩を並べるように登場しているのがウレシイではないですか。まさに彼らこそが現代を代表する三大巨頭、みたいで。 最初の方で、邦画の歴史としてサイレントのチャンバラ映画が紹介されてて、見てるとなんだか、ワクワクしますねえ。この異常なまでのスピード感、流れるような殺陣。一部、スピード感を欠いた「?」な作品もありますが。 つまるところ、後に時代劇の殺陣にもリアルさが求められるようになって、そのリアルさとかつての様式美とを同時に表現できたのが、三船敏郎のスゴサ、ということになるんでしょうか。 インタビューシーンで、それぞれ語り手の背景が、意表をつくという程ではないんだけど、何となく気になるものがあって、シーンごとに雰囲気を変えるのがイイなあ、と。ミフネに関係するポスターだったり、関係しないけど「和」を感じさせる場所だったり。 娘が登場しないのは、オトナの事情と言うヤツなのか、特には不要というコトなのか。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2021-12-26 09:53:19) |
422. 人生劇場 続・飛車角
《ネタバレ》 前作の最後でまず間違いなく飛車角は死んだと思うのだけど、死体を確認するまでは油断するな、というワケで、実はちゃっかり生き残ってて服役中、という設定。 弟分にあたる存在が、前作の高倉健から長門裕之に代わっただけで、だいぶコミカルな感じが出てきますが、実際、映画の前半はコメディ調と言えそうな雰囲気。 だいたい、佐久間良子が気性の激しい女性の役、というのがいかにも無理があって、可笑しさに繋がってます。 ところが中盤からは舞台が満州となって、えらくぶっ飛んだオハナシになってきます。満州の地でも相変わらず着流し姿の鶴田浩二。ハッキリ言ってヘンですけど、でもシビれます。 なんだかだんだん、国際スパイ映画になっちゃうのじゃないか、というくらいのスケール感になってきますが、それでもあくまで、任侠モノ。 殴り込みとはひと味違うクライマックスで、ラストはちょっと感傷的に過ぎるかな、という気もしますが、でも、いいじゃないですか。 いやまさか、今度もまた、蘇ったりして・・・。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-12-22 22:33:15) |
423. ならず者(1964)
またも香港ロケ、と聞くと、もしかして同年の作品『東京ギャング対香港ギャング』の余りフィルムで一本、でっち上げたのではないか、などと邪推をしてしまうのですが、おそらくそんなことは無くって、あのザラつきまくった映像は今回は見当たりません。 が、ロケならではの独特の雰囲気(どこかアヤしく、いかがわしさも感じさせる)、ってのは本作でもしっかり味わう事ができます。 特に今回は、香港から横浜、さらにはマカオ、という、ある意味フルコース。 主演の健さん、いかにもギャングです、という格好をした、一匹狼。まずは殺しを成功させるものの、思わぬ展開が待ち受ける。 基本、スマートでクールな役柄ではあるのですが、殴り合い取っ組み合いのシーンがなかなかに凄まじい。中国人の婆さんをシバキ上げる場面の容赦の無さ。丹波哲郎と殴り合う場面などもヒヤヒヤさせられます。終盤の乱闘の激しさもまた。 いや、この作品、カッコいいです。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-12-21 23:00:02) |
424. 最後の特攻隊
冒頭、この物語は宇垣中将とは無関係です、みたいな但し書きが出てきて、すでに何だか煮え切らない印象。 誰のことも悪くは描きたくない、という気持ちはわからんでもないけど、全編にわたって、いい人ばかり登場し過ぎ、キレイごとを言い過ぎかと。もちろん自由な発言が許される状況ではないのだけど、それならそれで、無念を滲ませるような描写がもう少しあってもよさそうなもの。 「建もの探訪」氏に関わるエピソードには多少、そういう要素も織り込まれてはいますが(特に母との関係)、結局、自己犠牲の美談で丸め込んでしまう。 優等生顔の梅宮辰夫、これはさすがに喋りすぎでしょう。 このテーマを映画の題材に選んだ以上、やはり腹をくくって作品を作るべきだったのでは。 戦争を題材にした作品には、もっとむせ返るようなエネルギーと怒りを感じさせるものがあって、そういう作品と比べてしまうと、やはり無難さが目立ってしまいます。 ただ、空中戦におけるミニチュア撮影のクオリティの高さは、特筆モノだと思います。 [インターネット(邦画)] 6点(2021-12-19 22:57:09) |
425. バトル・ロワイアル 特別編
「特別編」と「特別でない編」とを厳密に比較したわけじゃないけど、シーンの追加で、なんだかちょっとポエムな作品になりましたねえ。 でも、実はもともと、こういう作品なのかもしれんなあ、と。そりゃまあ、テーマとしては、殺し合いが最初から最後まで行われる殺伐とした作品、ということになるのですが、実際はその殺し合いの多くは主人公のあずかり知らぬところで発生している、という点では妙なオハナシ。殺し合い以外にも、自殺しちゃうヤツもいて、実際、殺し合いには違いないものの、どこか、クラス全員が集団自殺に追い込まれていく姿、のようにも見えてきて。 という、いささか求心力には乏しい一種の群像劇、緊密さばかりでなく、こういう、少し弛緩したようなポエムな空気もあってもまたよいのでは、という気もいたします。 それにしても、当時、政治家も問題視したこの『バトル・ロワイアル』、まさかこの出演者の中から、後に政治家が出てくるとは、思わなんだ。勿論、キタノ先生のTV番組(元気が出るテレビ)にメロリンQで出てた頃は、さらに思わなかったけど。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-12-19 13:58:46) |
426. にっぽん泥棒物語
松川事件を基にした、半分社会派、半分喜劇、といった感じの作品。 主眼は、泥棒(というか、元泥棒)である主人公が裁判で証言する場面、ということになるのでしょうが、あくまでその描写は終盤に絞り、主人公の半生のあれやこれやが描かれてます。 なので、このオハナシは一体何処に向かうんだ?という感、無きにしもあらずですが、そこまでで描かれてきた主人公の人柄、あるいは人となりが、最後の裁判シーンで絶妙に活きてきます。裁判を取り上げた映画はいくつもあるでしょうけど、こんな楽しい裁判は、貴重です。 方言を駆使したセリフ回し、正直、ここまで訛がキツいと聴き取れない部分もあるのですが、それでもやはり、方言の強さ、というものを感じます。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-12-19 13:29:01) |
427. 脅迫(おどし)(1966)
三国連太郎演じる主人公は、立派そうな会社の営業部長、ということで(壁にはモーレツ会社であることを示すような過激な標語が)、それなりに裕福らしく、マイカーにマイホーム。しかし時代そのものがまだ裕福ではないもんで、あくまでローンでの購入。ってそれは今も大差ないか。 マイホームと言っても周囲はまだようやく区画整理がなされたのみの土地分譲中。まだまだ寂しいポツンと一軒家状態。 そこに悪党二人が闖入し、主人公ごときの資産には興味ないとばかり、あろうことか彼に誘拐事件に片棒を担ぐ事を強要する。 人質は赤ん坊。泣き喚いたかと思えば上機嫌な顔を見せたりして、それが映画のアクセントになってます。いっそ助演賞の一つでも差し上げたいところ。 主人公は身代金授受の役をやらされるのですが、どうやら裏ではすでに警察が動いているらしい。刑事らしき連中の姿がチラホラするけれど、描写は基本的に主人公の視線、警察がどの程度の規模でどう動いているのか判らないサスペンス。 それが終盤に、映画の視線が犯人ベースとなって、主人公が何を考え、どう動くのかが判らなくなる。それまで超然としていた兄貴分の方の悪党・西村晃の顔に焦りが浮かび、物語が一気に加速します。 映画全体を見れば、さほど意外な展開もないのですが、さまざまな「疑念」によって物語に起伏をつけるあたりは、なかなかの上手さです。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-12-19 12:51:41) |
428. 日本暴力列島 京阪神殺しの軍団
すべてフィクション、と断ってますが、「すべて」はウソですね。モデルあり。 これもまあ、大きな組織(皆さんご存知の)がある一方で、その影響を逃れられないながらものし上がって行こうとする小さな組織を描くパターンですが、小林旭がチンピラ風情の活きのいいところから物語が始まって、実録ヤクザ映画ではなかなか見せることができなかった「マイトガイらしさ」みたいなものを、ここでようやく垣間見ることができます。 こういうアキラを見てると、もしかしてチョウ・ユンフアって小林旭を意識してたのか?などと思ったり。雰囲気似てます。 どうもヤクザ映画に出て来る梅宮辰夫って、何かヘンなんですけど(眉毛が無いのが裏目に出てるような・・・)、ヘンなりにこの作品では主人公の相棒役としてしっかり印象を残してます。中島ゆたかの役どころは踏み込みが浅く、ちょっと勿体なかったかな、とも。 在日の問題を取り上げてる点は注目に値しますが、もう少しそれに纏わるエピソードがあってもよかったかな、という気もします。 [インターネット(邦画)] 6点(2021-12-18 20:41:22) |
429. 実録外伝 大阪電撃作戦
何がどう「実録外伝」なのか。『日本暴力列島 京阪神殺しの軍団』に続いて明友会事件を取り上げたから、ということなのかもしれないけれど、『日本暴力~』の方は「すべてフィクション」という断り書きが入っており、内容も特定の事件をフォーカスしたものでもなく。一方の本作は、やはりフィクションだという断り書きは入っているものの実際の事件を基にしていることは認めていて、実際の事件に沿っている部分も多いようです。 作品の特徴は、事件で「敗北する側」を描いたこと、滅びの美学みたいなもの。 最後の晩に乱痴気騒ぎやって、一気にに追い込まれていく姿、しかしその中でしっかりと、今で言うところの「インディー魂」みたいなものを見せつける。 松方弘樹はコワモテの演技が堂に入ってて、さすがと思わせますが、渡瀬恒彦は完全に目が据わっていて、うわー何だかホンモノだなあ、と。ちょっとレベルが違う。けど出演者全員がこのレベルに達してしまうと作品が成立しなくなっちゃう。 敗れ去る者を描くが故の、独特の迫力があります。 [インターネット(邦画)] 8点(2021-12-18 20:25:43) |
430. 新 仁義なき戦い 組長最後の日
《ネタバレ》 物語は繋がってないけれど、前作の舞台が北九州で、少し関西へと広がりかけたところ、今回の作品ではいよいよ西日本全体を股にかけたような展開となってます。 菅原文太はもうだいぶ落ち着いてしまって、あのギラギラした感じは影を潜めていますが、新シリーズの掉尾を飾るに相応しい貫禄、とも言えましょう。 総じて、新シリーズは(初回はともかく)オリジナル方向に舵を切って、正解だったように思います。 金子信雄はいませんが、代わりに関西弁の最終兵器:藤岡琢也を投入。銃撃戦を交えたカーチェイスもあり、ラストの衆人環視の中の襲撃シーンも見どころ。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-12-18 15:12:51) |
431. 山口組三代目
同じ年に『仁義なき戦い』シリーズが続々と作られてて、あちらは実際の事件に取材しつつ、曲がりなりにも登場人物には仮名(と言えるのか?)を使用していた「実録路線」。一方、こちらはというと、もうタイトルからして、そのまんまもいいところ。いや、普通のお方を題材にするのなら実名でもいいんですが・・・。 という、実録モノ以上に実録チックな禁断の作品ですが、内容はというと、むしろ、ひと世代前の任侠モノ。主人公を演じるのが高倉健だから、まあ、そうならざるを得ないかな。基本的に、イイ話テイスト。 ただし、ときどき健さんらしくもなく無鉄砲、というかムチャクチャな行動をとり、そういうシーンでは、この主人公、菅原文太に演じて欲しかったな、という気もしてきます。 しかし菅原文太は別の役どころで登場しており、この二人の役柄を交換するのはやはり無理があるなあ、という展開なので、これでいいんでしょう。 というか、やっぱり全体的に無理があるんだな、きっと。 まあ、題材の割には、穏当なサクセスストーリーです。 [インターネット(邦画)] 6点(2021-12-18 15:02:36) |
432. プッシャー(1997)
ヤクの売人である冴えないチンピラのグダグダな一週間が描かれて、およそ好感の持てる人物はまるで登場しないし、ストーリーだけを見れば何一つ納得するものなどありゃしないんですけど、それでも何となく引き込まれてしまう不思議。 二人の男が世にもオゲレツな会話を繰り広げ(と言ってもタランティーノほどエンドレスには続かないけど)、ここまでオゲレツだと一種のファンタジー。 銃で顔が吹き飛び壁中が血塗れになる、といったシーンもあり暴力的ながらもスタイリッシュ。色彩もときに鮮烈。とは言え、『ドライヴ』ほど画面をキメまくるのではなく、手持ちカメラの不安定さで、はぐらかしてしまう。それがいかにも、グダグダなオハナシの雰囲気にマッチしてます。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-12-18 14:47:21) |
433. 暴力街(1974)
さすが、「暴力街」というだけあって、なかなかのバイオレンス。というか、もはやスプラッター。ビンで殴りつけるたび、血飛沫が飛び散る。マネキンで殴っても血が飛び散る。この分なら豆腐の角で殴っても大惨事になりそうな。 さらにはオカマさんの殺し屋が振り回すカミソリで、またまた大流血。中盤の養鶏場における死闘が凄まじい。ラストにも養鶏場が再び登場するけれど。 監督は五社英雄。だからなのかどうなのか、エロさもなかなかのもの。 物語の中心は、安藤昇、そして小林旭。正直、あまり噛み合ってない気もして、安藤昇はそりゃ「ホンモノ」なので眼光の鋭さはピカイチだけど、主演には地味だし、小林旭は小林旭で、なかなか出番が無いと思ったら急に取って付けたように大立ち回りをしてみせたりするし。 他にもトラック野郎とか大霊界とかも出てるけれど、今さら感のあるタイミングでの登場で、ほぼ存在感無し。 しかし、誘拐事件の醜悪なる顛末に始まり、この流血とエロの、いかにも不健康な感じの作風が異彩を放っていて、作品をしっかり特徴づけてます。その点は、さすが。 ところで、裏社会の大物、といった役どころで森山周一郎さんが登場(?)しますが、声は確かにあの渋い声なのに、一体いつの間にかこんな顔になってしまったのか? こういうのを、声の吹き替えと言うんでしょうか、それとも顔の吹き替えと言うんでしょうか。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-12-16 22:48:09) |
434. 新・仁義なき戦い 組長の首
とうとう、これはフィクションです、というテロップが冒頭に登場し、もはや仁義なき戦いでも何でも無くなってしまったのですが、これが意外に面白い。とは言っても、こんなのを面白がってていいのか、という不安は何となくあるんですけど、面白かったんだから仕方がない。 刑務所で過ごした7年間の補償として500万円を要求する、菅原文太の狂犬ぶり。というほど自身で何をするわけではないけれど、それでも「何をやらかすか判らない」という危険な匂いがプンプンと。それ以上に異常な、山崎努の狂人ぶり。それって、いつも通りじゃないの、という話もありますが、兎に角、危険な匂いが充満していて。 若者が呆気なく命を落としていく、という点、仁義なき戦いの世界を感じさせる部分ではありますが、芋クサく泥クサいカーチェイスは実録路線から大きく逸脱していて、意表を突かれます。さらにはひし美ゆり子姉さんの脱ぎっぷりの良さ。確かにこりゃ、フィクションだ。 という、だいぶ変な路線にはなってますが、単純に欲望が突っ走ってる感のある内容が小気味よく、これはこれで、魅力的な作品だと思います。 [インターネット(邦画)] 8点(2021-12-14 22:45:23) |
435. 新仁義なき戦い(1974)
せっかく「完結篇」を作ったにも関わらず、性懲りも無く「新~」などとぶち上げるのは、13日の金曜日だけでたくさんです、と言いたくもなるのですが、コチラの方が先だから仕方が無い。とは言え、「新」どころか、時間を巻き戻して蒸し返してるだけなので、コチラの方がよほどタチが悪い気もするけれど、相手は東映。節操を求めても無益というもんです、ハイ。 蒸し返してるだけ、と言っても、テイストは多少、変えてきてますが、あの5部作の後では、いささか野暮ったい印象。冒頭こそ、いきなりの抗争で暴力的に開始するものの、ちょっと大人しくなってしまったか。 ラストは何だかこのまま旧シリーズを全部、再映画化しそうな勢いで終わりますが、もしかしてこの作品が大大ヒットなんかしちゃった日には、そんなことにもなりかねなかったのでしょうかね。 [インターネット(邦画)] 6点(2021-12-12 22:47:16) |
436. 映画 賭ケグルイ
照明をガンガンに焚いて、非現実的な異界のイメージを出そうということなのかも知れないけれど、基本的に女優をキレイに撮らない(撮れない)というのは、マズくないですかね。最後まで、これと言って目を引くシーンもなく。 ストーリーも、ギャンブルでの戦いに絞られ、絶体絶命ぶりを大仰な演技でアピールするけれど、概ね、想定内。 エキセントリックな装いほどにはハジてけいない印象、、、 [地上波(邦画)] 5点(2021-12-12 14:47:45) |
437. レッドブル
『48時間』では刑事とタッグを組むのが軟派の極致みたいなエディ・マーフィだったのに対し、この作品はその真逆を狙ったような路線。硬派の極致、というか、こんなのもはや人間じゃないだろ、というソ連製シュワが相棒となります。という時点で、何となく企画としてはイマイチの感、無きにしもあらずですが、そうは言っても、どっかのタイミングでこういう作品を作るなら、「ここしかないだろ」という絶妙の時期では、ありました。実際にはごく一部のシーンであるとは言え、シュワをモスクワに立たせて撮影する、というコト自体のインパクト。 ジェームズ・ホーナーの音楽も、ソ連側とアメリカ側とで音楽を使い分け、映画を盛り上げてますが、やっぱりシュワをイメージする音楽と言えば、『コマンドー』のあのテーマにならざるを得ないのでしょうか? 冒頭のサウナでのハダカの乱闘シーンから、痛みがヒリヒリ伝わるような、はたまたその痛みを鋼鉄の肉体が跳ね返してまるで痛みが伝わらないような、この頃のシュワならではの肉体アクションが展開されます。 クライマックスにおけるバスのアクションも秀逸。これも『48時間』からのバス繋がりなのか、と思わせて、派手さでは遥かに上を行っております。 とか言って、昔は「つまらん。」と思ってたんですけどね。一体、どこがつまんなかったんですかね。素朴で、イイと思うように、いつの間にかなってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-12-12 14:32:46) |
438. 仁義なき戦い 完結篇
四作目で概ね、終わった感があり、肝心の主人公も当面シャバには出られない状態、さぞかし蛇足めいた「完結篇」なんだろう、と思いきや、意外に違和感が無い。 もともと、起承転結とは無縁のシリーズですからね。例によってあれやこれやの抗争が描かれて。前作よりは多少、大人しい部分もありますが、それは前作がほとんど暴走気味だったからで、今回もしっかり、銃弾が飛び交い、血の雨が降る展開。 完結篇という割に、最後はあまり終わった感がないのですが(これも、前作に終わった感があり過ぎたせいか)、でも登場人物たちのメイクの老け顔を見ると、何となくしみじみとしてしまいます。しかし菅原文太だけが老け顔ではないのは・・・? [インターネット(邦画)] 7点(2021-12-07 23:27:12) |
439. 仁義なき戦い 頂上作戦
ひたすら続く、抗争また抗争。暴力の嵐。 さすがにちょっと、やり過ぎか、と思えるほどで、これまでの作品以上に荒削り(カメラがブレ過ぎて何が何やら)なシーンも目立ったりするのですが、とにかくパワフルな作品に仕上がってます。 逮捕され蚊帳の外に置かれた菅原文太を余所に、事態はどこまでも暴走、醜悪と言ってもよいような展開となった挙げ句、映画は諦念のようなものを漂わせながら、静かに幕を閉じて。 これでシリーズ最終作ではない、だなんて。信じられんよ。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-12-06 23:04:42) |
440. 点と線
私、中高生の頃って、推理小説というものをバカにしてて全く読んで無かったんですけど、大学生になってから、読むようになったキッカケがこの、「点と線」。18切符で東京~大阪間を鈍行乗って帰省するのに、推理小説なら時間潰せるだろ、と読んでみたら。 いやコレ、時刻表モノを列車に乗りながら読むのって、ハマるのなんの。もっとも、その後今に至るまで読書に占めるミステリの割合は常に最上位だけど、なぜか時刻表モノはあまり読んでないんだなあ。 原作は割とコンパクト、骨組みだけで出来ているようなところがあって、正直、映画化には向いてないような気もするのですが、そして実際、この映画でもトリックをうまく表現できているような気はしないのですが。 本作の楽しみはそういう部分では無くって(判りづらかったら原作読んだらいいやん。と言ってしまうと身も蓋もないけど)、九州から北海道まで、日本各地のロケ映画が、情緒があっていいじゃないですか。旅と言えばグルメ、食事の場面もまた楽し。 多重露光みたいな映像も前衛チックでトリッキー、スピード感も感じさせます。 アリバイトリックなので犯人はすでに判っているのですが、犯人側の描写を交えることで、サスペンスとしての味わいも盛り込まれています。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-12-05 22:06:56) |