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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1244
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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421.  GODZILLA 怪獣惑星 《ネタバレ》 
最初に出たのが(よりによって)カマキラスで、次がドゴラだったのは大笑いかつ大感動だった。これはオールドファンを笑い泣きさせるための映画なのか。ちなみに熱核攻撃の場所がアメリカだったのは「シン・ゴジラ」(2016)の被虐嗜好と一線を画している。  内容的にはかなりSFっぽい話で個人的には結構好きだ。序盤は明らかに説明不足だが、恐らく細かい設定ができているのだろうと推定の上でまあいいかと自主的に納得した。それより主人公の提案した作戦が「論外だ」と言われた直後、何の説明もなく提案通りに動き始めていたあたりは迅速で小気味いい展開である。後半に入っても話が聞き取れずに理解度がいま一つだったが、とりあえずこんな感じのことをやっている、という程度の認識で見ても最終的に問題なかった。 映像面でも特に不満はなく、個人的には主人公の両親の乗った車列の動きといった細かいところに感心する。乗り物の噴射がみなピンクだったのは地味な色調の背景に映えていた。また音響面でも結構な迫力を出しており、序盤で発進途中の揚陸艇が攻撃された場面では、腹に響く大音響でビビってしまって見ていた側も絶望感に襲われたが、こういうのも絶望的に強大な破壊者としてのゴジラの表現につながっている。最後に現れた本家ゴジラの咆哮が、まぎれもなく本家のものだったのは慄然とした。 そのほか何より自分が感じ入ったのは、主人公が戦う動機が「人としての尊厳を取り戻すため」だったことである。これは長年続いた惨めな状況に加え、年長の人々が空しく死んでいった事件が強く影響していたと取れる。攻撃前の演説で「かつてこの星に栄えた先人たちのように」という言葉があったが、この主人公ほど誇り高い人類は現代日本などにいるはずもなく、ここは「買いかぶられたもんだな」という台詞を返してやりたくなった。 ちなみに演説で「挨拶は抜き」と言っていたのは、階級が上の人々を差し置いて自分が指揮するなどまことに僭越ではあるがご指名なので務めさせていただく、といった感じのことを省略したのだと思われる。  以上、評判が悪いようなので実は期待していなかったが、結果としてはかつて粗製濫造された怪獣特撮などとは比較にならない出来に思われた。次回にそれほど期待するわけでもないがとりあえず少しいい点を付けておく…すでに二作目が公開中なわけだが見られないのが情けない。 なお今後ともユウコさんの活躍には期待したい(終盤で、先輩!と言って抱きついたのかと思ったが見せなかった)。  [2019/6/29変更] 最初は8点だったが、第3部まで全部見た結果として少し減点する(三部作の平均を5点にする)。 なおこの第1部で主人公が「人間としての最低限の誇り」と言っていたのは、人間関係や病気など、何らかの理由でそれが失われた場合は自死を選ぶしかなくなるという、人間の生存にとって不可欠なものを指しており、その考え方を個人から種全体に拡大適用することで人類の存続を訴えたのだと理解した。プライドという言葉が嫌われる現代日本で、その存在をあえて指摘してみせたのは感動的だとこの時点では思っていた。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2019-06-29 12:57:40)
422.  GODZILLA 星を喰う者 《ネタバレ》 
前の2つを見たので一応最後も見たが、延々と宗教談義を聞かされるのであくびが出た。ちなみに劇中の鱗粉少女は人間でいえば中高生くらいに見えるが、客人(まれびと)から子種を採取するなどという風習に何歳頃から従事させられていたのかと呆れる。また生物学者の実況中継は昭和29年のアナウンサーのようでもある。  自分としては主人公の立場がどうなるのかを主に見ていたが、かろうじて終盤の吐露(「獣と一緒だ」)を聞いて、この人物の悲痛な思いを感じ取らなければならない気にはさせられた。カルトの英雄として祀り上げられるのは拒否したが、結局は地球の現実に裏切られて自滅した英雄未満の男の末路ということか。 少なくとも第1部の時点では、「人間としての最低限の誇り」を訴えて人類の存続を図ろうとするのが主人公の意図だったはずだが、最終的には単に個人的なプライドと私怨で勝ち負けを争っただけに見えている。実際そういう面もなくはなかっただろうが、失敗したことでマイナス面ばかりが際立ってしまう理不尽な状態の表現に見えなくはない。この主人公の物語として見た場合、他の例でいえばチャイコフスキーの交響曲第6番の終楽章に似た印象といえなくはないが、それにしても三部作の最初が頂点でその後は低落するばかりという構成には疑問を感じる。  またその一方、この映画から専ら感じられるのは<滅びたくなければ原始時代に返るしかない><人間は余計なプライドを持たずひたすら生殖に励むのが分相応で幸せだ>といった時代がかった悲観主義である。人類の未来がどうなるかなど実際なってみなければわからないものを、自分だけ高次元から見下ろしたように手前勝手に決めつける態度は気に食わない。人類も生物であるから生存が基盤になるのは言うまでもないことだが、それだけではないから人間なのだという主人公の思いをあえて踏みにじるのが制作側の方針なのか。 昭和29年の第1作は人類の存続を願うからこその警鐘であり、また邦画最後の「シン・ゴジラ」は、不安が絶えず先行きの見えない現代でも「まだやれる」との励ましが込められていたと思うが、人類全体の未来を個人的趣味で封じていい気になっているこの映画を、そのような先行作と同列に扱う気には全くならない。壮大なスケールの三部作の割に社会に向けてまともなメッセージを発するでもなく、作り手の一方的な自己表現にしかなっていない独りよがりで傲慢なアニメだった。期待して損した。
[ブルーレイ(邦画)] 3点(2019-06-29 12:57:18)
423.  ターミネーター 《ネタバレ》 
最初に見たのは公開後のTV放送と思われる。1984年の映画なので世紀末にはまだ間があったが、いわゆる「ノストラダムスの大予言」が事実無根ということが証明されていなかったこともあり、少し先取りした終末感を煽るラストが非常に印象的だった。その後の実生活でも、どうも嵐が来そうだとか漠然とした不安があるときに、この映画のテーマ曲が頭の中で鳴っているということはあった。 もう一つ、ラブストーリーの面では「僕は君に会うために時をこえて来た」(I came across time for you)という台詞が女性にとっては胸キュンに違いないとずっと思っていた(自分で使ったことはない)。ただし今回見たBDの字幕では、なぜか素っ気なく「僕は君のために来た」としか書いてないのは心外だった。「時をこえて」と書くからいいのではないか。こんなことを言える男はそうそういるものではない。  今回見て思ったのは、やはりいかにも低予算な映画だということである。基本的にはアクションで見せており、金属製の腱?を動かすと指が動くとか、目玉をほじくり出すとかを見どころと思っていたらしいのはかなりショボい。ただストップモーション撮影の部分は、昔は何とも思わなかったが、いま見てもまあこんなもんだと思わなくはない。 もう一つは(少し前から思っていたが)、現時点でドローンの軍事利用に関わっている連中は絶対この映画が念頭にあるだろうなということである。またAI技術の進展や情報通信ネットワークに関わる世界的企業が存在感を増しているなど、劇中のスカイネットそのままではないにせよ、何か恐ろしい時代が来るのではないかと不安な情勢になっている(便利になるのは結構だ)。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-06-22 23:21:08)
424.  エイリアン 《ネタバレ》 
公開当時、“WARNING”ばかりを強調するテレビCMがやたら目について、どういう話か知らないまま映画館で見た。alienという言葉はこの映画以降に日本でもよく知られるようになったと思うが、自分としてはwarningもこの映画で初めて知った。憶えるべき英単語に含まれていなかったのか勉強不足だったのか。 実際見ると導入部がいきなり得体の知れない不安感から始まり、その後にいったんほっとさせてから、また緊張感を高めた上で最後に開放感を生じる構成になっており、これでホラーとは思わなかったがスリリングだったのは間違いない。ただ初見時には、エンディングに入ってからもこれで本当に終わりなのかと不安が残る気分だったが、それは結果的に2に送られた形になったらしい。 当時の感覚として斬新だと思ったのは、まずは国連宇宙軍とか惑星連邦とかではなく民間企業の所有する産業用の宇宙船が出て、化学工場のようなごつい設備がむき出しのまま宇宙を飛んでいたことで、内部に薄汚れたような暗い空間があるのも町工場じみて産業用らしい。また電子機器の稼働に付随する騒音が耳に残るのと、「ロボット」であるのに金属製の部分が見えない(白い液体がおぞましい)ことに素朴な驚きがあった。 そのほか何よりこれ以降、宇宙というのは夢のフロンティアとか希望の大洋とかいうよりも、何が出て来るかわからない怖いところ、というイメージが生じた気がする。侵略宇宙人のようなものなら昔からいたが、こんな得体の知れないのは初めて見た。  今回見て思ったこととして、コンピュータに文章で適当に問いかければそれなりの答えが返るというのが当時は安易な発想に思われたが、2019年の現在ではすでにそういう感じのものが実現しており(それも音声で)、ここは40年間の人類文明の進歩を実感した。 また宇宙船に愛玩動物を乗せていたのは乗員のメンタル対策として有効だろうと思った(ネズミ駆除用という話もあるようだが)。ネコ嫌いの乗員はいなかったのかとか放し飼い状態はさすがに運行に支障があるというような問題はあるが、とりあえずネコが最後まで生き残ったのはこの映画としてのささやかな良心を感じた。 現代と違ってエンドクレジットが延々と続くようなこともなく、ラストシーンの雰囲気を引き継いだ穏やかな音楽のまま終わっていたのはかなり好印象だった。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-06-22 23:21:04)(良:1票)
425.  四月の永い夢 《ネタバレ》 
まず主演女優は好きだ。そうでなければ絶対見なかった。それ以外の誘因は全くない。2017年モスクワ国際映画祭で受賞したそうだがそういうことにも関心がない。朝倉あきさん好きだーーーとひたすら思いながら見ていた。 撮影場所は主に東京都国立市らしいが、町田市(制作会社の所在地)の方でも協力していたようなので注目されないと気の毒だ。また終盤で出かけた元彼氏の実家は富山県下新川郡朝日町と特定されていたが、主人公が降りた富山地方鉄道本線の内山駅は隣の黒部市にある。各方面の協力により製作されたようだが、それほどご当地映画っぽいところは見えなかった。  監督はもともと詩人だそうで、映画というのは小説というより詩に似ているという話(ネット上のインタビュー記事)はなるほどと思った。自分としては散文を読むようにしか映画を見られないわけだが、この物語に関してはだいたいのところはわからなくもなかった。ただ自分の話でないのでそのまま同調できないところはある。 少し引っかかったのは元彼氏の母親が“人生とは何かを獲得していくことではなく…”と語ったところである。この言葉は、すでに失った領域が広がってしまった人間にはぐさっと刺さるものがあるわけだが、母親が自分のこととして言うのはいいとして、まだ若い主人公に対して“獲得することではない”と言い切るのは言い過ぎだ。さまざまな方面や局面で獲得したり失陥したりしながらたえず自分を更新していく過程が人生だ、といった感じになるはずで、少なくともこの主人公に関しては、これから新しい局面で獲得していくものがあるはずである。 そのほか全体的には、控え目に見える主人公のおかけで優しく穏やかに物語が流れていく印象だった。踊るように歩いていて持ち物が少しひっかかって逸らした様子が楽しげに見える。監督によると男にとっては面倒くさい女性ということらしいが、金を払いたがるとかキャンセルを気にするとかは潔癖という意味では嫌いでない。それよりかなり前方に心理的バリケードを張っている場合があるとか、何かあると引っ込んでしまって接点が失われるタイプは困ってしまう。「一人で帰ってもいいですか」のところはやっちゃった感が出ていたが、ラストの一瞬の笑顔には和まされた。
[DVD(邦画)] 6点(2019-06-14 19:51:37)
426.  ごっこ 《ネタバレ》 
出演者のせいでお蔵入りになりかけたのを何とか公開にこぎつけた映画とのことで見たが、宣伝で「最高に泣ける」などと書いてあると要はそれが目的なわけかとかえって印象が悪くなる。ちなみに場所設定としては大阪ということになっているが(大阪市平野区と枚方市)、撮影は群馬県前橋市(千代田町の弁天通商店街)が中心だったのは制作上の事情だろうが少し意外感がある。  主人公の境遇について、孤立的で引きこもり体質というところまでは自分も同じだが、それだけで全面的に共感できるわけでもない。 自分を犠牲にして子どもを助けようとしたのは結構だが、その根底には犯罪で捕まれば自活不要という発想があったはずで、同時に育児放棄という面もあるのでそれほど褒められるものではない。またカレー屋の母親はいいとして(よくはないが)その娘までを結果的に捨て石にしたのはどうなのかということもあるが、これはそれほどまでに自分のところの子をかけがえのない存在と思っていたことの表現か。自分はどうせ駄目だがこの子だけはというつもりで、可能な限りの方法で最も大事なものを守り通したということではあるらしい。 最後の場面は、自分など他人にとっては無に等しい人間だと思っていたところ、実は誰かにとって大きな存在だったことを知らされた時の驚きと困惑と感激ということならわからなくはない。結果として「万引き家族」(2018)などよりは素直に心に響く映画だった。  出演者の関係では、主役の顔と子役の顔がとにかく心に残る。主役についてはラストの強烈に変な顔が目立つが、ほか個人的には普段の顔と、保育園で子役に笑いかけた顔のギャップが印象的だった。また子役の平尾菜々花という人は、別のところで見たときは躁状態でやかましくしゃべる女児だったが(“ここさけ”とNHKの土曜ドラマ)、今回は全くイメージの違う役をきっちりこなしている(目力あり、演技力あり)。優香はミニスカでないポリス役で今回少し色気を抑えていた。 そのほか商店街のおばさん役で鴨鈴女(かも すずめ)という役者が出ており、端役ではあるが顔を知っているのでどうしても目についてしまう。この人も本物の大阪人である。  追記:見たあと原作を読むと、かなりまともにきっちり万人向け映画としてまとめたことがわかる。主人公の人物像がかなり違うが、結末まで含めて現実寄りの映画にするなら最初からこれで正解と思われる。
[DVD(邦画)] 6点(2019-06-14 19:51:35)
427.  カミングアウト 《ネタバレ》 
“LGBT”のうちのGayの青年が周囲の人々にカミングアウトしようとする話で、特に過激に思われる場面もなく穏やかな雰囲気で推移する。見たところ一般向け啓発ビデオのような印象があり、宣伝文では「きっと、あなたの価値観変わります」と書いているが、見ても特に変わった気がしないのは5年も前の映画だからかも知れない。 映画の作りとしてはどうも素人っぽいというか手際が悪く見えるところがあり、特に大学のサークルの場面は間が悪いようで笑える台詞も笑えなくなっているが、これはキャストというよりスタッフの問題ではないかという気がする。後半になるとそれほど違和感もなく、夜の静かな場面での虫の声などは効果的に思った。  物語としては、まず前半で主人公が人間関係に悩みながら覚悟を固めていき、後半でごく近しい人々に対し順次カミングアウトを敢行することになる。なおいわゆるアウティングに関する問題は捨象されているらしい。 相手の反応のうち、特に母親の嘆き(孫の関係)は単に無知とか偏見では済まされないことなので心が痛むものがあるが、これは他の劇中人物が言っていたように「人生にはままならないことがある」と思え、ということか。どうしようもないのはお互い様だということもあり、またLGBTだけが原因になるわけではないということもある。 今回は親しい人間に限定して実行していたわけだが、主人公としては今後も対象を拡大していくつもりだったらしい。一体どこまでやらなければならないのかと部外者としては正直思うが、ここはこの映画の持つ啓発ビデオの役割を主人公に負わせていたということか。社会の受容度が高くなれば当事者があえてハードルを越えようとすること自体が不要になるのは間違いない。 ちなみに親友に対しては告白が2段階になっており、2つ目はあえて言わなくてもと思わなくはなかったが、この映画として淡い恋物語の結末が必要だったということかも知れない。  なお監督・脚本は犬童一利という人物だが、著名な犬童一心監督との関係はわからない(年齢は約26歳差)。知っている役者はあまり出ていないが、高山侑子という人が主人公の後輩で普通に可愛い女子大生をやっている。ほか「協賛」としてNPO法人の名前と「Alfa Romeo」「TENGA」という企業名が出ていたが、後の2つは実際にLGBTに関わる社会活動をしている会社のようで、劇中でもそれぞれの製品を見せていた。
[インターネット(邦画)] 5点(2019-06-07 19:56:18)
428.  女の子ものがたり 《ネタバレ》 
どういう背景設定で何をやっているのかわからないままとりあえず見ていたが、壁画の前で喧嘩をしたあたりからやっとこの映画としての方向性が見えて来た。喧嘩相手の友人が、自分らはともかく主人公には道があるはずだと信じて押し出してくれたことが、得がたい友人だったという後日の感慨につながったということらしく、これまで女の子だった経験のない人間にとってもそれなりに泣かされる話ができている。 それにしても生まれ育ちに縛られて荒んだ暮らしを事実上強いられるなど、実際ないともいえないが、いつの時代のどこの話なのかと一応は思う(同級生男子に理不尽な迫害を受けても無抵抗?)。時代としては1970~80~90年代頃だろうが、場所については撮影が愛媛県であるのに言葉は関西弁のようで、いいとこのお嬢ちゃんは東京言葉というのは大阪出身の監督の感覚なのか。あえて場所は特定していないのだろうが、少なくとも友人の娘が顔を見せていた時代には、母親の代のような状況はなくなっていたものと思いたい。 結果的には「女の子の数だけ、シアワセの道がある」というキャッチコピーが劇中世界を表現したものには思えなかったが、しかし友人の娘を含むこれからの世代には、この言葉がそのまま通用する世の中であってもらいたいという願いを込めたとすればわからなくはない。  なお監督の方針としては子役や若手女優をかわいく見せる方に重点を置いたということなのか、登場人物の様子からは底辺の生活ということが全く窺われず、これが映画のわかりにくさにつながっている。特に小学校時代の子役のうち、ひときわ長身で美形に見える三吉彩花という人が、風呂に入らず汚い児童の役というのはかなり意外感がある。 また①森迫永依-②大後寿々花-③深津絵里(-④西原理恵子)という主人公の系列のうち、①②はいいとして(④はともかくとして)どうも③にはかなり違和感があり、この人物よりも個人的には②の人がこの映画の主役だったと思いたい。若手女優の皆さんはそれぞれ好印象だったが、特に泥にまみれた波瑠の表情が印象的だった。
[DVD(邦画)] 5点(2019-06-07 19:56:16)
429.  少女ピカレスク 《ネタバレ》 
まず前半ではウェブ配信と自撮り映像を多用して、地下アイドル3人の日常に「ちーちゃん」なるものが忍び寄る過程を見せられる。ここまではホラー風味が強く結構面白いと思っていたが、しかし後半ではその「ちーちゃん」が前面に出て来て種明かしを始めるのでサスペンス風味は失われる。あとは残虐行為が中心になるがおふざけ感が非常に強く、そういうものの愛好者がどれだけ面白がるかはわからない。 また並行して、精神状態に問題が生じていた主人公(題名によれば少女)の「嫉妬、憎悪、憧れ」が異常な形で噴出し、これを通じて人の真実の一側面が表現される映画と取れなくはない。しかしリアリティ皆無の茶番じみた展開で制作側の本気度が疑われ、こんなものを誰が真面目に見るのかとしか思えない。自分としては馬鹿らしいのでもう勝手にしろということで投げた。 エンディングのPV(劇中で撮影したのがこれか)では地下アイドルの光と影、表と裏といった感じのものも見せられたが、個人的にはろくでもないものを見てしまったという思いだけが残った。こういう作風の監督なのか。  登場人物のアイドルに関しては、見た目は年齢不詳で中高生のようだが演者はみな成人である。主演の椎名ひかりという人は実際に極端にユニークな人物らしく、これはもう本当にこういう人なのだろうと思っておく。 また「日菜子」役の長澤茉里奈という人は童顔で中学生のようでもあるが、天使と呼ぶなと言っていたあたりが実情を示しているものか。これまで見た範囲では「咲-Saki-」(2017)で鶴賀学園の初心者役をやっていたが今回かなり印象が違っており、この映画の方が地の状態に近いのかも知れない。もう一人、「亜依」役の神門実里という人は大写しにすると味のある顔で、たれ目気味なのは愛嬌がある。 また人気モデル役で出ている武田玲奈さんは、途中で写真だけ見えていたが本人の出番はラスト12分程度のところまで延々と待たされる。友情出演とのことで、この映画としては大御所のような扱いで貫禄も見えていたが、演者の実年齢ではこの人が一番下である。自分としては何でこの人がこんなバカ映画でウソ泣きまでして真面目に演技しているのかという気分だったが、しかし見えないよりは見えた方がいいのでこの人だけでも点数が若干上がる。
[インターネット(邦画)] 3点(2019-06-01 10:25:15)
430.  罪の余白 《ネタバレ》 
原作は読んでいない。この映画を見てから読む気にもならなかったので原作紹介の役目は果たしていない。悪役のフルネームが手羽先に聞こえるのは原作のせいか。 見たところ、視覚的なところと音楽には力が入っていたようだが中身がついて来ていない印象がある。魚や牢屋といった要素が馴染んでおらず、二重拘束というのも最後のこれがそうだったのか?という程度で印象が薄い。また悪役が一本調子の悪人面のせいか、愚かしさとか悲哀といったものが感じられずに憎々しいばかりで、思考や心境の変化も伝わって来ないところがある。終盤も偶然だか意図的だかわからない展開で都合よく決着を付けたようで爽快感がない。  特に個人的に困ったのは、これだけ胸糞悪い話を見せられて溜まった不快感をどう処理すればいいかわからないことである。学校とか千葉県警とか児童相談所を憎んでも仕方ないので、自分としては登場人物や映画自体を憎む結果になった。 まず自分は当事者ではないが、娘を殺された父親の立場であればもっと過激にやってもらって構わない。コンビニの前で殴り倒したのは単なる馬鹿だが、どうせ暴力的にやるのならこういう機会を捉えて殺せば簡単に終わるだろうし、そうすれば小悪人の方も小便漏らすどころでなく精神的に立ち直れなくなって一生終わりだったはずだ。死者が望むかどうかなどはどうでもいい。 また芸能事務所(吉本興業かと思った)で「映画と同じぐらい価値のある人間か」と問われたところは笑った。映画製作にはそれなりの元手が必要だろうからその値段の話をしていたのかも知れないが、それにしても毎年大量に生産されて消費されて忘れられる商品と同様の価値しかない人間と言われるのは屈辱的ではないか。 ちなみにこの映画のせいで悪役の女優にはかなりの悪印象がこびりついた(「渇き。」の小松菜奈に匹敵)。役者に罪はないとか作品に罪はないとかいう言い方はあるが、罪はなくても感情問題として嫌悪するのは仕方ない。劇中の台詞としては「いい脚本といい監督さん」なら何でもいいとのことだったが、本人が嫌われてしまってはまずくないか。エンドクレジットの間じゅう静止画で顔を映し続けていたのが極めて不快で、今後この女優の顔を二度と見たくなくなったが、そんなことを思わせるのも映画の力ということだ。 なお葵わかなさんや武田玲奈さんに当然ながら罪はない。谷村美月嬢が可愛らしいので救われる。
[インターネット(邦画)] 1点(2019-06-01 10:25:12)
431.  ココダケノハナシ ~短篇.jpルーキーズ第3弾~ 《ネタバレ》 
一応説明しておくと(第1、2弾のところでも書いたが)、「短篇.jp」という動画コンテンツの配信サイト(現在は停止中)が運営されていた時期に、新人監督育成の目的で製作されたのが「短篇.jpルーキーズ」である。第1弾からこの第3弾までが製作されており、それぞれDVD化もされている。 内容としては監督の違う全6話のオムニバスになっている。以下それぞれにコメント。  【ポイズンラジオ】 現実味も意外感もなく面白味もない。高山侑子という人は、この少し前の「空へ-救いの翼 RESCUE WINGS-」(2008)では23歳の3等空尉役だったが、今回は険悪な顔つきの女子高生をやっている。まだ若いのだから(当時16歳くらい)もっと普通に可愛い役をやればいいだろうと思ったがもう10年も前の話だ。 【春のシオンで】 オチが一瞬わからなかったので何十秒か考えたが、要は夢見る女子の話だったらしい。高山侑子さんは夢の中で遊ぶ天使。 【架空の恋人】 初期設定がよくわからなかったが、最終的にオチも破局感もなく混乱状態で打ち切りになったのは悪くない。主人公(演・山田キヌヲ)の哀れっぽい顔は可愛らしい。また男の彼女(黒沢美香という人らしいが舞踊家とは別人)は、顔も見えるが脚の方が印象に残る。 【美味しいコーヒー】 最後の人物がよくわからなかったが本当の住人か同類が来ただけか。勝手に話を作る男は面白かったが、このテーマを語る上での必然性があったのかはわからない。 【キッスがしたい】 高校生がバカっぽいので呆れていたら最後は切ない青春物語。というかいきなり青春期の終わり(浦島太郎か)。役者の高校生演技は良好。元女子高生はお姉さんすぎるが、これはそもそも役者の段階で年齢差がある。 【ゴメンナサイが言えなくて】 男女の考え方/感じ方の違いということだろうがあまり深みはない。こんなのに執着する男の方が感情を理性で制御できていない。  以上、よくわからないところが多いが全体的にはそれほど悪くない。がそれほど感動的でもない。一番心を動かされたのはバカ高校生の話だった。また夢見る女子にはしあわせになってもらいたい。
[DVD(邦画)] 5点(2019-05-25 11:27:12)
432.  スイッチ! ~短篇.jpルーキーズ第2弾~ 《ネタバレ》 
一応説明しておくと(第1弾のところでも書いたが)、「短篇.jp」という動画コンテンツの配信サイト(現在は停止中)が運営されていた時期に、新人監督育成の目的で製作されたのが「短篇.jpルーキーズ」である。この第2弾を含めて第3弾まで製作されており、それぞれDVD化もされている。 内容としては監督の違う全6話のオムニバスになっている。以下それぞれにコメント。  【ジャパニーズセラピー】 全否定。 【永遠と10分】 オチ付きの小噺のようで面白い。世の中絶対に正直に言ってはならないことがあるわけだが、この2人は自然体のようで結構だ。新婦はなかなか愛嬌がある。新郎役の深水元基が若い。 【洗濯女】 予告編でヒントが出ているがそれでも意味不明。人物がいなくなったり出たりする、風景の非現実感、昼夜の突然の転換といったあたりは夢を見ているような感覚。宇宙人の夢だったのか。 【ウチの○○知りませんか?】 川崎市多摩区在住の家族の話。ほのぼの系で楽しいが、下世話なもの好きの監督らしく排泄物ネタも出している(犬と女子高生)。ちなみに予告編が非常に端的に内容を語っていて、ほとんどネタバレである。 【たとえば、てるみの場合。】 話の内容と人物の姿をわざと一致させていないようでわかりにくいが、どうやらハッピーエンドだったらしい。心が昔に戻っているのか、また10年も待たなくてよかったはずだという思いもあるか。「開いてる」というのは連続性の表現のようだが可笑しい。 【東京はみだしゲーム】 ラストがありきたりだが感動的でないこともない。弟と話していると地が出て来るようなのはよかった。特に若い女性など、それこそ兄弟とでも会わない限り、東京で(屋外で)方言丸出しでしゃべることもなかっただろう。  第1弾のように共通の登場人物で統一感を出すこともなく、画面サイズも違う小品を寄せ集めた形になっている。自分としてかなり愛着を覚える話もあり、一つだけ無視すれば全体としては見ごたえのあるものになっていた。
[DVD(邦画)] 6点(2019-05-25 11:27:10)
433.  神様の言うとおり ~短篇.jpルーキーズ第1弾~ 《ネタバレ》 
一応説明しておくと、「短篇.jp」という動画コンテンツの配信サイト(現在は停止中)が運営されていた時期に、新人監督育成の目的で製作されたのが「短篇.jpルーキーズ」である。この第1弾に続いて第2弾、第3弾が製作され、それぞれDVD化もされている。 内容としてはシナリオコンペで選ばれた6編のオムニバスになっており、それぞれに新人監督が脚本・監督・編集を担当している(第5話のみ美術も担当)。この第1弾では小阪由佳、国分佐智子の女優2人が全編共通の登場人物という設定で、第1話~第5話の各エピソードに各1人が端役で出演した上、最後の第6話で2人が揃って全体のつながりをつける趣向になっている。恐らくコンペの脚本に手を入れて、全体が一つにまとまるよう編集したものと思われる。 素人目に見ても新人監督らしい感じはしなくもないが、基本的にコミカルな展開で普通に楽しい。みな微妙に不幸で微妙に救いのある話だが、それを含めて人生それほど捨てたものでもなく、愚かしいようでも健気に生きる人々を祝福してやりたいという結末になるので少ししんみりさせられる。絶賛するというほどでもないが、地味にいいものができている気のする短編集だった。
[DVD(邦画)] 5点(2019-05-25 11:27:08)
434.  空へ ―救いの翼 RESCUE WINGS― 《ネタバレ》 
航空救難団の新人が周囲に助けられながら試練を乗り越えて、最後に困難な任務をこなしたところで気分よく終わる話である。正直それほど大感動ということもないが、いざという時に頼らなければならない立場としては素直に応援したくなる。災害支援の面で自衛隊が本格的に国民の信頼を寄せられるようになったのは公開3年後の東日本大震災(2011)からだろうが、こうした人命救助の活動も長く続けて来ていたということのようで、劇中では阪神・淡路大震災(1995)で十分な働きができなかったことを悔やむ場面もあった。 主人公は初の女性ヘリパイロットという設定で、宿舎での女子会のような場面には和まされる。序盤では男に「二十歳そこそこの女」と言われていたが「女の子」と言われなかっただけまだましだ。この主人公のようにしっかりした志を持った人でも、結婚するとどうなるのかというのは素朴な疑問だが(劇中の飛行班長は独身ではないかと勝手に想像)、その辺は職業に関わらず女性が活躍する社会を作る上での共通課題と思うしかない。 なおヘリコプターの見せ場としては航行中の着艦よりも桟橋に降りた場面で驚いた(こんな所にも平気で降りるのか??)。  場所は小松基地という設定で、F15からの空撮(一瞬)や地上の街並みも映っていたようである。映像に出ていた猫橋銀座(ネコ橋銀座)というのは実在の場所らしい。宴会の場面では、ビールをラッパ飲みするのが航空自衛隊の風習なのかが気になった。 出演者に関しては、少々心許ない感じの役者もいるがベテラン俳優がきっちり押さえているところもある。しかし最後に出た護衛艦の艦長と副長は頼りなさげで自衛官らしくなく、特に副長はどういうキャスティングなのかと呆れた。 主演の高山侑子という人は当時15歳だったとのことで、見た目は大人っぽく見せているが「はいっ」とかいう声は可愛らしい。海上自衛隊のヘリコプターと交信したところが女の子っぽいので笑ってしまったが、それを聞いて向こうもひとこと言わずには済まなくなった感じだった。
[DVD(邦画)] 6点(2019-05-25 11:27:05)
435.  旅猫リポート 《ネタバレ》 
大変申し訳ないが全く好きになれない映画だった。 まず、映画ならときどき見るがTVドラマは見慣れていないので、笑えないドタバタとか過剰に苛立たしい人物表現が気に障り、序盤の30分くらいで好意的に見ようとする気が完全になくなった。ドラマとしても底が浅いようだが、とりあえず登場人物が声をあげて泣くことで観客を泣かそうとするのはやめてもらいたい。 またアニメならともかく動物の擬人化を実写でやるのは嫌いだ。ネコの姿をしていても、人と同じようにものを考える生物などネコとは思えない。ネコとヒトは違う動物であるから考えることも違うと思うのが基本であって、それでもちゃんと接点が生じるから家族扱いされるのである。少なくともうちのネコ(2匹)は絶対にこんなことを考えていないと断言するが、このように人間側の思いや都合をネコに投影しようとするのが世間の常識ならこっちが野暮ということになる。 ちなみに最後まで責任をもって飼うという発想も登場人物にはあったようだが、野良化させてもいいというのでは厳しさがない。自分としては、戸が締まった家の中で食い物がなくなって仕方なく腐乱死体を食って腹を壊すようなことがないように、ネコ(2匹)より先には絶対死なないことが人生の目標になると思っている。ネコに看取ってもらうなど筋違いだ。  以上により、2点は少し厳しすぎるかも知れないが好きになれないので仕方ない。 なお細かい点として、足元にネコがいる(という想定の)場所でヤカンを落とすのはやめてもらいたい。またあの墓園(若松区)から南西方向に虹は出ないのではないか。好きな女優は特に出ていないが、広瀬アリスという人は最近嫌いでない。高校生役は無理があるがそれをいえば他の男連中も同じだ。
[DVD(邦画)] 2点(2019-05-18 09:57:30)
436.  私は猫ストーカー 《ネタバレ》 
主人公があまりに変人で見ているだけで恥ずかしい。ネコの姿を見逃さないのはいいとして、境界線が入り組んだ古い街で私道だか住宅敷地だかわからないところまで平気で入っていくのが尋常でない。自分ならせいぜい道端にいたときに「ニャン」とか「ネコ」とか声をかけて(人がいない場合)目で追う程度なのでここまで変ではない。 場所はエンドクレジットに出ていた「谷根千」を中心にして北は西日暮里、南は不忍池あたりまでだったようで、そのうち谷中は由緒ある“猫の街”らしい。何気なく古木とか「諏訪台」などちょっとした名所も出ており、風景に変化があって由緒もあるこんな所に住んでみたいものだと思ったがそんな機会は当然ない。なおジャズピアニスト関連の「猫返し神社」というのは本来別の場所のことらしい(東京都立川市)。 またその辺に生息する普通のネコ連中には和まされた。人とのからみでは、主人公とネコが並んでカメラを見ているとか、気まずい雰囲気の中で古書店の妻が延々とネコをじゃらしている場面は笑った。役者がネコの動きに合わせて適当にアドリブしていたのだろうと思われる。  物語に関してはよくわからなかったが、主人公が元彼の件で落ち込む一方で、これからは新米ストーカーが狙った相手に近づこうと試行錯誤する過程が続くのかと思った。古書店の夫婦もこの機会に仕切り直しをしたのだろうし(多分)、誰にでもある「知らない時間」を許容しながら緩い関係を続けるのがいいのだとも取れる。 ただし宣伝文句の「人も猫もみんないつかはいなくなってしまうから」によると、古書店の看板猫と同じように、ネコも人もみな基本的には通りすがりの関係であって永続するものなどないということなのか。それだとネコはともかく人にとっては寂しい世界観になってしまうが、とりあえず手を触れることのできる今この瞬間が大事ということはあるかも知れない。 終盤、街の風景をイラストに置き換えて、至る所にネコを内包した街が表現されていたのも嫌いでない。よくわからないのはともかくとして、あるがままのネコを愛でる気持ちには共感した。  なおこれが現代の話だとすると、失踪して困るなら初めから外に出すなとか、公園での餌付けは非常識だとか非難されそうだ。製作時点の感覚も今とそれほど差はなかったのではと思うが、今後はこういう映画も作りにくくなるのではと思われる。
[DVD(邦画)] 7点(2019-05-18 09:57:28)
437.  しまこと小豆島 《ネタバレ》 
香川県の銀行に勤務しながら映画を撮っている香西志帆監督のショートムービーである。香川県の小豆島のPR映画のようなもので、現地の青年会議所が中心になって製作されたものらしい。「岬の分教場」「エンジェルロード」といった島内の名所が映るほか、劇中に出る写真は小豆島町観光協議会主催の「小豆島の宝 魅力の景観24選」のフォトコンテストの入賞作を使っている。  物語としては、母親を亡くして父親と2人だけになった娘(高校生?)が父親の再婚相手と心を通じていく話である。再婚相手が好人物であることは娘本人が最初から認めており、結末がどうなるかを心配するようなものでは全くない。 主人公が心を開くにあたって大きな影響を及ぼしたのが小豆島の自然環境だったという話だろうが、島にいると境界線がなくなる、という説明は感覚的によくわからない。なくなるというよりすぐそこに境界線があるだけではないかと思ったが、そのことよりもどちらかというと、日に2回つながるという陸繋島(弁天島、その先に中余島・小余島・大余島)が象徴しているものの方がわかりやすいと思った。 主演の吉田まどかという人は東宝芸能の所属で、あまり派手に売り出してもいないようだが、少しずついろいろな映画やドラマに出ているらしい。この映画では拗ねたような表情がいじらしく、少し大きく感情を出す場面では泣かされるところもある。時間が短いのに加えて主人公の印象もあって、愛らしい小編というイメージの作品ができていた。  ちなみに主人公の父親が脚本家で、その再婚相手が女優という設定は必然性不明だが珍しい。「銀行員 竹井薫の旅情事件簿」というドラマの主演をしていたようだが、例えばサスペンスドラマの女王のように言われて日本で広く親しまれている女優という設定だったものか。「銀行員」というのは監督がそうだからという程度のことと思われる。
[DVD(邦画)] 6点(2019-05-11 11:16:19)
438.  恋とオンチの方程式 《ネタバレ》 
香川県さぬき市のご当地映画である。2002年に5町が合併してできた比較的新しい市だが、その中でも旧津田町の海辺にある「津田の松原」が重要ポイント扱いになっている。また「讃岐うどんバーガー」というのも最寄りのサービスエリアで提供されているものらしい。それ以外の場所としては「志度音楽ホール」(旧志度町)というのも使っていた。 監督は香川県の銀行に勤務しながら映画を撮っている香西志帆という人で、この映画は監督第2作ということになると思うが、今回は本広克行氏(香川県丸亀市出身)が関わっているせいか、第1作よりキャストに名の知れた人が多くなっている。また前回は「脚本と監督と撮影と編集」を一人でやっていたが、今回は撮影を別人が担当している。  内容的には「コミカルでキュートなほんわかラブコメ」だそうで、少女マンガ的というかドジな主人公と男2人の三角関係の構図の中に、主人公が生来のオンチ(の前にリズムンチ)を克服する成長ドラマを加えている。男女の物理的なからみが全くない清純派ラブコメなので子どもに見せても全く支障ない。またコメディ色も強いがアホすぎて大笑いというより失笑レベルだが、失笑続きだったので全体的には結構笑ったかも知れない(音響会社の高橋という男が目立っている)。 最終的にどうなるかはほとんど想像がつくわけだが、それまでの途中経過は尋常でない。バスガイドの話かと思うと突然ご当地アイドルの話に移行するので世界観が覆ったような印象があり、また登場人物に関係するサプライズ要素が2つもあって、それで素直に驚かされるというより呆れてしまう。特に終盤は何か食い違ったような展開で、ここは大物歌手の登場をうまく取り込めていないのではという気もしたが、そのせいで最後まで予断を許さない映画だったとはいえる。ただラストの締め方だけは正直呆れた(この顔を見せて終わりなのか)。個人的には「中学三年生」(1973)というのを聞きたかったが。  そういうことで変な映画を見てしまったという思いは残ったが、娯楽と割り切ればそれほど問題ない。見どころかが何かは何とも言えないが、「キュートな」部分といえば40代(1)、30代(1)、20代(2)の女子4人によるアイドルステージということになる。吉田羊さんかわいい!とか言ってみたくなるが、本心では大塚千弘という人が一番可愛いと思った。
[DVD(邦画)] 5点(2019-05-11 11:16:16)
439.  猫と電車 《ネタバレ》 
香川県の鉄道会社「高松琴平電気鉄道」の100周年記念企画の映画である。主に高松市とその周辺が舞台で(琴平までは行かない)、着ぐるみキャラやご当地アイドルでもPR色を出している。「脚本と監督と撮影と編集」を担当しているのは香川県の銀行に勤務しながら映画を撮っている香西志帆という人で、これが監督第1作とのことである。 題名にネコが入っているがストーリーにはあまり関係なく、主人公が「野良猫ガール」だということと、幼少時から「にゃんこ先生」を頼りにしてきたところがかろうじてつながっている。また劇中でその辺に生息するネコの映像を脈絡なく映していたが、これは現地在住の監督が映画のために撮っておいたものらしい。電車に関しても、直接関係するのは終盤の「キャラクター電車」くらいだが、街中の風景で、アーケード商店街(片原町)を分断して電車が通っていたのは場所性の表現としてよかったかも知れない。  お話としては、少なくとも前半は普通に楽しい。絵本のようなイラストやインテリアの色彩感、ダンボール城などがメルヘン調の雰囲気を出している。コメディとしてそれほど大笑いするところはないが、「お一人様で琴電」といった類の微妙な可笑しさは嫌いでない。主人公の哀れっぽい顔も笑いを誘うところがある。 後半に入ると次第に深刻な話になってしまうが、最終的には万引き兄弟の事件がきっかけで、主人公の抱えていた問題点(主に2つ)が解消したらしい。終盤に説明が集中しすぎてわかりにくく、見る側が自発的に補足しなければ極端に都合のいいハッピーエンドにしか見えないのは困るが、主人公にとっての「いちばんしあわせな思い出」の真相が実は切ないものだった、という点はよかった。最後のサプライズはもとの状態に戻るためのものではなく、既に始まった新しい人生へのエールだったと解しておく。  出演者に関しては、姉役の藤真美穂という女優は別として、役者として少々心許ない感じの人も多い。主演の篠原ともえという人も本業の女優ではないだろうが(初主演とのこと)、この人の存在感だけでも映画が成り立つ気はした。主題歌(オープニング・エンディング)と挿入歌1曲もこの人が歌っているが、主題歌のMVを見ると普通に艶っぽい美女に映っているのが意外だった(こういう人だったか?)。
[DVD(邦画)] 6点(2019-05-11 11:16:14)
440.  いつも月夜に米の飯 《ネタバレ》 
監督の名前は「おんなのこきらい」(2014)で憶えていたが、それが理由で見たわけではなく、竹富聖花(現・春花)という人が脇役で出ているので何をしているか見ようとしただけである。デレっとした感じで食い物をうまそうに食う美女モデルで、主人公の行動に大きな影響を及ぼしてから去ったらしいがいい影響だったかは何ともいえない。 ちなみにどこがPG12なのかが気になっていたが、未成年が飲酒するからという単純な理由か、あるいはカラオケでの婦女暴行が出るからか。その辺のチャラい男とラブホに行っていたあたりはそれほど問題ではないかも知れないが、とにかく地元民でも小学生(だけで)は見てはなりませんということになる。  宣伝によれば「ごはん映画」とのことで、料理または食材を題名にした5章を立て、それらしい食物を映像化しているので料理映画といえなくはないが、それよりはこれから長く続いていく人生の一場面を描いた映画という印象が強い。人が飯を食うという行為が人生そのものを象徴し、誰かと生活をともにする、一生添い遂げるといったことの表現にもつながっていたのでまとまりはなくもない。 最後はハッピーエンド風なのでこれで万事うまくいったと取れるのかも知れないが、しかしエンドロールの後の場面が題名そのままなのは「実際はそうはいかない」(公式ページの解説より)という意味であり、19歳女子(中卒)が40男と一生添い遂げるはずがないという常識そのままのことを示唆していると思うしかない。要は母親似の娘が、母親への対抗心で男を奪い取った一場面の話だったとすればかなり皮肉な映画ということになる。 決して中身のない映画とも思わないが、しかし自分として最大の問題点は共感できる要素が全くないことである。もうどうでもいいから勝手にしてくれという気分で、時間的には104分しかないが非常に長く感じた。  以下雑談として、撮影地は新潟県五泉市とのことだったが、アーケード商店街を見る限り、もとの五泉の中心街ではなく2006年に合併した旧村松町の中心街を映していたらしい。ここは村松藩堀家3万石の城下で、相応の由緒ある町ではあるが、映像的にはそれほど行ってみたくなるように見えてはいなかった。ほかに目立つところでは日本海に面した寺泊(旧寺泊町、2006年以降は長岡市の一部)の店が出ていたようである。
[インターネット(邦画)] 4点(2019-05-03 08:21:03)(良:1票)
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