461. セイヴィア
テロで妻子を殺されたからといって、何の証拠も無いのにイスラム過激派の犯行と決めつけた上、何の関係も無いムスリム達に無差別報復する巻頭の主人公の姿が、現在の世界情勢を見事に予言してる(ま、こんなことは散々繰り返されてきたことだから、製作サイドは「予言」ではなく「教訓」のつもりだったとは思いますが…)。主人公の行動は報復ですらなく、単なる腹いせ。それでも収まらない主人公は身を隠す為もあり、ボスニア紛争で「わざわざ」セルビア側に付いてイスラム勢力と戦う。ここまで来ると、主人公の行動は怒りや復讐心からではなく、自分に自分の正当性をゴリ押ししてるだけ。これは正にどこかの国の現在の姿。やがて主人公は、正義の存在しない戦場で唯一の正義、「命」を発見するのです。映画としてはラストが少し陳腐でしたけど、セルビア側からボスニア紛争を描いた作品としても珍しく、それなりに見応えのある作品だと思います、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-02-11 00:03:30) |
462. アサインメント
「顔の似た男を心身共にターゲットへ同化させる」という肝心のモチーフに、全くと言って良いほど意味が無い。何の為にこんなことするの? こんなことしなくても、直ぐにターゲットであるテロリストの居場所は判っちゃうし、おまけに敵には直ぐに正体がバレてしまう体たらく。最後も潜入や暗殺ではなく、正面突破の急襲だし…。これまでの苦労は一体何だったんだ? 主人公がテロリストに同化していくことへの苦悩も、アクションも中途半端。出演者も中途半端に有名所。もう何もかもが中途半端。また、何の為に実在のテロリスト逮捕を題材に選んだんでしょうか…? 4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-02-11 00:02:56) |
463. ブルース・ウィリス/イン・カントリー
ベトナム戦争後遺症モノの一本。本作で特徴的なのは、直接ベトナム帰還兵を描くのではなく、ほとんどベトナムを知らない普通の高校生(正確には高校を卒業したばかり)の女の子を主人公にしている点。彼女の住む小さな町の中年男達は皆、帰還兵。父は戦争で亡くなり、叔父は後遺症で苦しんでる。ベトナムを知らず、18歳らしい青春を当たり前に謳歌してきた彼女の周囲は、しかしベトナムの影に覆われてる。自分とは全く関係の無い昔の出来事の筈なのに、暮らしに大きく影響与えている「ベトナム戦争」を、やがて彼女は探求し始める…。第三者の視点で進むストーリーは、比較的取っつき易いかもしれません。余談ですが、ルックス・声・喋り方で、私はヒロインがブリタニー・マーフィなのかと思っちゃいました、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-02-11 00:02:31) |
464. キングコング2
いやいや、こんな映画もあったんですねぇ…。自身は全然記憶に無いんですけど、当時はちゃんと宣伝とかしてたのかな? それにしても、劇中では何の為にコングを生き返らせる必要があったんでしょう? 生き返ったら生き返ったで、まんま前作と同じことを繰り返すだけ。もう少しまともな脚本は書けなかったのか? ただ単に続編を作りたいが為だけに作られた続編ってのがミエミエで悲しすぎるぞ。ディノ・デ・ラウレンティスとしては「クイーン・コング」じゃなくて、こっちを葬った方が良かったんじゃないの? てゆーか、これって逆に「クイーン~」をパクってないか…? 3点献上。 [地上波(吹替)] 3点(2006-02-11 00:02:01) |
465. 続・激突!/カージャック
ストーリー的・時代的にアメリカン・ニューシネマ系統の作品にも見受けられますが、映画としてはニューシネマよりも現代の作品にずっと近い雰囲気を持っており、スティーブン・スピルバーグの非凡でモダンな才能を十二分に発揮したデヴュー作だと思います。スケールの大きな演出とヴィルモス・ジグモンドの美しい映像で、地味な話をきちんとエンターテインメントに仕上げてある。多くの「ニューシネマ」と違って、たぶん現在観ても古臭い印象は受けない筈。これが凄い。惜しむらくはこの邦題。こんなタイトルの所為で、今一つ正当な評価を受けてない様に感じます、7点献上。 [映画館(字幕)] 7点(2006-02-11 00:01:27) |
466. 阿修羅城の瞳
「陰陽師」よりはマシだと思いましたけど、テンポの悪い話運びとセンスの無い映像は相変わらず。こんな無茶苦茶なファンタジー映画を、もっとド派手に、ケレン味たっぷりに演出しなくてどーするのさ? 何でいつまでもこの人に特撮アクション時代劇を撮らせるんだ? こらなら、まだ「さくや妖怪伝」の方が楽しめる。オープニングはまんま「ブレイド」のオープニングのパクリだし、樋口可南子のアジトや阿修羅城内部のシーンだけ見た人は、東映特撮シリーズ「歌舞伎戦隊アシュランジョー」だと思う筈。りえちゃんも悪くはないんですけど、このヒロインには薹が立ち過ぎてるし…。ホントに全体が微妙な仕上がりでした。それにしても、何でエンディング・テーマがスティングの「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」なんだろ…? 4点献上。 [DVD(字幕)] 4点(2006-01-19 00:05:06) |
467. 丹下左膳 百万両の壺
モノクロ・スタンダードで映像・音声共ボロボロ、おまけにGHQにカットまでされてしまった70年前のオリジナルを、平成の世にリメイクする意義は十二分にあったと思う。しかし、オリジナルが邦画史上屈指の傑作(てか、画期的作品)だったことや、そもそも「丹下左膳」というキャラクター自体ほとんど忘れられてる現在に、「丹下左膳餘話/百萬両の壷」単体で提供することには無理もあったと思う。ま、そういうことは置いといて、本作だけを見てみれば、モノマネ大会的感が無きにしも非ずですけど、基本的にオリジナル脚本に忠実だったので、それなりに楽しくは観れました。私が特に気になった点は2ヶ所。まず、左膳の過去のシーンはいらない。「化け物の如く強い男」がいきなりやられてちゃ絶対マズい。このシーンを入れたからって左膳の説明には全然なってないし…。そして、和久井映見。この役は極妻・高島礼子辺りがぴったりだったんじゃないでしょうか、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-01-19 00:04:40)(良:1票) |
468. 千年の恋 ひかる源氏物語
邦画界に於いていつまでも浮世離れしてる東映作品らしい、本当にどーしょーもない駄大作。とにかく古臭い。このダメダメ感は30年前の感覚ですよ。(↓)「ロリコンが喜びそう」という意見もありますが、それよりもババ専が喜ぶんじゃないの? 当時37歳の高島礼子を始め、竹下景子48歳、岸田今日子71歳が濡れ場を演じ、40歳直前の松田聖子が歌って踊り、かたせ梨乃44歳が睨みをきかす。その上、紫式部が56歳の吉永小百合で、清少納言に至っては81歳の森光子かい! ファンタジーにも程があるゾ。そんなことで、三十路になった細川ふみえのバスト・トップに3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-01-19 00:04:15)(笑:3票) (良:1票) |
469. 郡上一揆
面白いとか地味だとかいう以前に、歴史に疎い私は非常に勉強になりました。「一揆」と聞けば確かに「デモ」の様なものを想像しがちですが、これはほとんど今の「労使交渉」です。農民達も簡単に騒乱を起こしたり、若しくは藩が簡単に農民を(文字通り)切り捨てたりすることも出来ない。江戸という超長期安定政権時代には、それなりに法整備も金融もしっかりしてた訳ですから、考えてみれば当然ですね。現在でもちょっと消費税が上がるとなれば大騒ぎですから、最初から豊かじゃないこの時代だったら、それこそ命に関わる一大事だったと思います。そういったことで、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-01-19 00:03:51) |
470. どら平太
超々オーソドックスな痛快娯楽時代劇。普通に楽しく観れますし、「四騎の会」に連なるネーム・バリューには相当のものがありますが、ここまで王道を行く時代劇が平成の世のニーズに合っていたかどうかは甚だ疑問。はみ出し者の奉行が身分を隠して潜入捜査、腕っ節と機転で悪を一網打尽にして去っていく…なんて、こりゃもうテレビ時代劇で毎週毎週繰り返されてきた話でしかない。ここまで定石だと、「痛快度」も「娯楽度」も自然と下がらざるを得ません。唯、確かに演出は誰に遠慮することなく市川崑節が炸裂してるので、ファンには嬉しかったかもしれませんね、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-01-19 00:03:19) |
471. おろしや国酔夢譚
皆さんの書かれる様に、確かにちゃちっちゃぁちゃちなんですけど、その分、ロケーションで頑張ってたと思います。極寒のシベリアや、特にエルミタージュ宮殿は、ロシア(撮影当時はまだソ連だったのかな?)にまで行って撮影してきただけの甲斐はありました。日本の貧乏臭いセットでは、この迫力は描けなかったでしょう。そういった意味でも本作には余り悪い印象はありません。限りない望郷の念と商人の知恵、そして不屈の行動力で帰国を果たす大黒屋光太夫の露西亜漂流は、あらゆる意味で世界の狭まった現在からは考えられない程、過酷な冒険だった筈です、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-01-19 00:02:45) |
472. 秘録おんな寺
《ネタバレ》 いよいよ尼寺が舞台ということで、雰囲気的ないかがわしさはシリーズ一番ながら、私的にはシリーズで一番面白くなかった。ストーリーは兄の仇討ちの為に、妹が尼寺に単独潜入捜査をしていたという陳腐な展開。「針供養」(戒律を破った尼僧が裸で吊るされ、燭台でお尻をツンツンされるという折檻…てか、拷問か?)のシーンが少々そそったものの、エロ・シーンも例によって大したことのないまま終了。「おんな寺」は駆け込み寺という設定なので、女達が悲しい過去を持つ者ばかりというのも、テンションの上がらない一因だったと思います。という訳で、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-01-19 00:02:22) |
473. 続・秘録おんな牢
「続」と付いてますけど、単に舞台が再び女牢になっただけで、一作目とストーリー的繋がりはありません。前回が女牢内部の人間関係(と牢内のしきたり)に重きを置いた展開だったのに対し、今回は奉行所の不正を巡るストーリーになっていて、物語的面白さで言えば圧倒的にこっちが上です(それでも陳腐な話に変わりありませんが…)。その代わりエロ度は更に低くなってます。また、安田道代演じる今回の主人公は姉御肌の女囚なので、虐められるばかりでなく、積極的に物語を引っ張っていきます。シリーズの基本コンセプトは「お嬢様がとんでもない所に囚われて、外界とは全く違う掟を強制されて虐められる」というものだと思いますけど、その意味で本作は、「秘録」シリーズでは異色作になるかもしれません、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-01-19 00:01:51) |
474. 秘録おんな蔵
シリーズ中、一番面白かったのが遊郭を舞台にした本作。物語は早い話「SAYURI」みたいな感じでどーってことないし、例によってちっともエロくありません。では何が面白いかって、それは劇中で紹介される遊郭の色々なしきたり(実在のものかどうかは不明。ほとんどでっち上げだと思いますけど…)。この部分は間違いなく「SAYURI」より楽しめます。一番笑ったのが「踏み合い」と呼ばれるもの。これは店のNo.1花魁の贔屓客が他店のNo.1に取られた場合に、互いの面子をかけて行う差しの勝負のこと。始まってみれば、唯の取っ組み合いの喧嘩でした。しかしここで凄いのは、その客も唯では済まない所。勝負の後、何と髷を切られてしまうのです。客がどの店に行こうと勝手の様な気もしますけど、一度贔屓にした店には操を立て続けなきゃならないんじゃ、おいそれと風俗通いも出来ませんね。それにしても、若き田村正和は木村一八そっくりだったんだなぁ…、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-01-19 00:01:27) |
475. 秘録おんな牢
《ネタバレ》 現在では絶対にあり得ないオープニングのナレーションが凄い。女牢がどういう所かを語ってるんですけど、女性の卑しさを延々と捲し立てていて、とても理性ある人間としては認めてません。フェミニストが観たらいきなり卒倒ですよ、こりゃ(40年前の女性の人権がどんなものか想像がつきます)。しかし、本編ではナレーションで語られる程のことは起きず、エロも控え目。エグイのは女体糠味噌漬け位か(何を漬ける訳でもないのに、牢には何故か糠樽だけ置いてある)。最後の方は生き別れになった姉妹の再会という陳腐な筋書き。これでよくシリーズ化したもんです。てか、1年の間に4本も作られてる訳ですから(これがプログラム・ピクチャーの底力か)、最初からシリーズの企画だったんでしょうか? 4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-01-19 00:01:03) |
476. スタンドアップ
男女雇用機会均等の進んだ末の「セクシャル・ハラスメント」という概念の草創期に、男性社会の「慣習」改善に「立ち上がった」働く女性達の物語。カタルシス満点のサクセス・ストーリーや大袈裟に演出された感動大作ではなく、派手なのは出演者の顔触れだけという、非常に地味な社会派作品になってます。概念や理想がいくら素晴らしくても、無学で粗野な田舎者揃いの男性肉体労働者の巣窟に、何の対策も打たないで「現実に」女を放り込むというのは土台無理な話。この辺は極端なアメリカらしさが表れてます。極端であるが故に問題も極端に表れて、今日の世界的社会合意形成のきっかけになったと思えば、アメリカナイズも悪いことばかりではありません。そんな訳で、中々巧みにまとめられた脚本構成に、6点献上。 [試写会(字幕)] 6点(2006-01-14 00:06:00) |
477. ナショナル・トレジャー
ジェリー・ブラッカイマー製作のディズニー・アドヴェンチャー映画第二段。怪我の功名だったのか、ディズニーらしくファミリー向けにアレンジされたショーン・ビーン演じる悪役が、中々良い味を出してました。こういう役って大概、目的の為には手段を選ばず、部下や仲間を簡単に使い捨てる冷血漢に設定されますけど、むしろそっちの方がリアリティに欠ける。本作の悪役は頭が良くて仲間思い、その上、金持ちのナイスガイです。それでこそリーダーになれるってもんですネ。この映画は簡単な米国史の勉強にもなるし、充分及第点のアトラクション・ムービーだったと思います。唯、一点だけツッコミを入れたい。100$紙幣の時刻は何月なんだ? 同じ時間でも季節によって影の指す位置は違ってくると思うんですけど…、6点献上。 [DVD(字幕)] 6点(2006-01-14 00:05:30)(良:2票) |
478. バレット モンク
「バレットモンク」、略して「バッタもん」って感じ。とにかく新しくない。例によって秘宝を狙うのはナチス、ヒーローは街のコソ泥、アクション・シークェンスも他作品からスケール・ダウンさせての流用…。挙句の果てに何だ、記憶を読み取るとかいうあの古臭~い機械は? 二番煎じのB級映画というコンセプトだったとしても、あの機械が出てきた時点で、普通こんな脚本ボツにしないか? 「浄土を守る」が「ジェイドを守る」に至っては開いた口が塞がらない…。ハリウッド版「ストリートファイター」にかなり近いものを感じたゾ。もしかしたら、香港映画の雰囲気をそのまま持ち込みたかったのかもしれませんけど、変に金をかけてしまった所為で、逆に馬鹿っぽさと安っぽさばかりが際立つ結果になりましたね。という訳で、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-01-14 00:05:07) |
479. フル・フロンタル
まずもって意図が判らない。ストーリーが難しいとか、登場人物の心情が掴めないとかではなく、この映画の製作意図自体が判らない。皆さん、「ビッグ・ネームが会社を気にせず自分のやりたいことをやった」と書かれてますけど、その「やりたいこと」って一体何だったの? ハリウッド批判? 業界人への皮肉? 自分への戒め? 新しい表現方法のテスト? 何が何だか解りません。どれにしたって、ここには小さく閉じた自分の世界しかなく、しかもそれを外にではなく内に向けて描いてる。従って、これは余程のソダーバーグ・ファン以外には受け入れられないでしょう、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-01-14 00:04:41) |
480. サウンド・オブ・サイレンス(2001)
無理矢理サイコ風に味付けされた、実は全然サイコじゃない薄味のサスペンス映画。思わせぶりな宣伝とは全く違って、謎も駆け引きも無く、あれよあれよと強引に話が進んでいく。取り立てて面白くもつまらなくもない中途半端な出来で、本サイトの平均点分布(↓)が如実に本作のポジションを表してます。意外にも渋めの豪華キャストが揃ってましたけど、ブリタニー・マーフィ以外見る所もなし(と言っても、彼女の見せ場もそんなに無い)。折角ファムケ・ヤンセンを出してるのに、お色気シーンさえ用意してないとは…。それにしても、本当に何でこの邦題になったんだ? 5点献上。 [地上波(字幕)] 5点(2006-01-14 00:03:57) |