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anemoneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 646
性別 女性
自己紹介 2006年のレビュー本数4本ってあんまりですわね。
2005年には「姑獲鳥の夏」まで見ていたクセに。
ってこういう使い方やっぱ邪道ですよね。来年こそは。

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481.  愛しのローズマリー
すみません。どうしても納得が行きません。外見だけで人を判断してはいけない、って言いたいんだろうと思うんですが、この映画だけを観てると、むしろ外見だけで人を判断しろ、と言ってるように思えるんですよね。だいたいコレではまるで、人の性格が「良い」と「悪い」の2種類しかないみたいじゃないですか?実際はもっとカラフルですよね。それに主人公だって、本当にローズマリーを愛してるんなら、何とかして痩せるように努力させるべきですよ。だってあれじゃあ健康とは言えないでしょう。ローズマリーは贔屓目に見ても卑屈で不健康な精神の持ち主で、確かに心は優しいかも知れないけど、もう美しくなりたいなんてことは諦めちゃっていて、フルサイズのケーキを半分食べちゃったりしてますよね。そんな彼女の心のどこがそんなに美しいのか、ちょっと理解に苦しみました。それに彼女はハルの長所に惚れ込んでるワケじゃなくて、見苦しい自分に興味を持ってくれたという希少価値にしか目を向けてないでしょう。そんな情けない恋愛をして本当に幸せなんですかね?私はローズマリーほど太ってるわけじゃないけど、もし自分がそうだったら、この映画を観てバカにされたような気がしてかなり頭に来たと思います。唯一、病院で出会う顔に大やけどした女の子のエピソードだけが救いでした。こういうのをブラックユーモアというのかなあ。私はかなりひねくれた話でも喜んで笑いますが、この映画には笑えませんでした。ジャック・ブラックにはかなり期待しているだけに、残念さで一杯です。
2点(2003-12-06 22:51:05)(良:4票)
482.  いとこのビニー
スコセッシ監督のマフィア映画では、あれほどカッコいいキレっぷりを披露してくれるジョー・ペシが、こういう役をちゃんと真剣に演じてくれるのって嬉しいですね。悪趣味で下品で頭悪くて、こういう役をやれる人って頭いいんだろうなぁと思います。彼と同じぐらい下品でイケイケのモナ・リザを演じたマリサ・トメイも、ちょっとテレビシリーズに出てたぐらいのはっきり言ってポッと出の新人だったくせに、いきなりバネッサ・レッドグレーブを押しのけてオスカーを獲ってしまうって、ハリウッド史上に残る快挙だったと思います。しかもコメディで受賞ですし。これは珍しいですよね。映画は非常にテンポ良く、ほどほどに笑えますし、ちゃんと最後には爽快感もあります。本当のコメディファンにはもう一つ二つ納得の行かないレベルだと思いますが、コメディ寄りの一般作品と考えればかなりのハイレベルを保っています。かなりおバカで、ハイテンションです。はっきり言って、一見の価値はあると思います。
10点(2003-12-06 22:41:29)
483.  イグジステンズ
ウィレム・デフォーだけを目当てに観に行ったのに5分ぐらいしか出て来ないし、しばらくエビカニ類は食えなかったですね。たしか90分台のかなりコンパクトな作品なのに、ジェニファー・ジェイソン・リーとジュード・ロウが主演じゃなかったら確実に3時間ぐらいに感じたと思います。2人のおかげで体感時間は2時間半ぐらいですみました。かなり疲れました。クローネンバーグもトシかなあ、と素朴に思いました。好きな監督さんの1人なんですが、このテンションで一生突っ走るのは無理があるのかも知れないですね。頑張っているとは思いますが。
6点(2003-12-06 22:31:36)
484.  生きてこそ
原作となった「アンデスの聖餐」を先に読んでから観たので、それなりに覚悟は出来ていましたがやっぱりおっそろしかったです。ちなみに原作の方が、ウソっぽい映像がついてない分リアルでした。しばらく肉は食えませんでした。映画の方は、特に偏った食べ物(馬刺しなど)でなければ食べながら観てもどうにもならないってほどではないと思います。ただし世の中の半分以上が、こういう映画って単なる覗き見趣味で、猟奇趣味的好奇心から観るんであって、「人の命の尊さ」とか本気で思う人はかなり少数だと思うので、なんとなく良識を試された感じがしてちょっと憂鬱にはなります。原作本に何枚か写真がついていましたが、同じ場面を本物と映画とで比べてみると、やっぱり映画の方はみんな丸々としていて元気そうです。今どきCGとかいろいろあるんだし、もっとスゴい映像は出来たんじゃないのかな~という気もしますが、これって自主規制なんでしょうか。まあ一応映画なんで、このぐらいがちょうどいいのかも知れないですね。あんまりキレイごとは言いたくないので、猟奇的好奇心は満たされました、とだけ言っておきます。
7点(2003-12-06 22:27:20)
485.  イーストウィックの魔女たち
もちろん映画は映画なのであって、1本の映画として独立した面白さが保てていなければイケナイ。シニカルで辛口な語り口を売り物にするジョン・アップダイクの風刺小説を原作にしたこの映画も、おそらくアップダイクの作風または原作を知っていなければ特に何の値打ちもないワケワカラン退屈な映画。うっかり点が甘くなってしまったのは、愛するジャック・ニコルソンとスーザン・サランドンの稀少な共演作品だから。公の場に私情を挟み込んでごめんなさい。でも私、この2人が大好きなんです。スーザン・サランドンとタッグを組むのがシェール御姐様とミシェル・ファイファーという組み合わせもなかなか気が利いている。この3人にボロクソやっつけられるミス常識の議員夫人がベロニカ・カートライト、もう幸せ(笑)というワケで、広く一般に受け入れられるタイプの作品でないことは充分承知しているのだが、どうしてもこの作品にはキビシいことが言えない。でも正直、アップダイクのファンにはちょっとたまらない面白さがある。腹黒い人にはお勧め。
8点(2003-12-06 22:20:26)
486.  イージー・ライダー 《ネタバレ》 
ここ20年くらいの間に映画を観始めた世代にとっては何ということもないのだが、実はオールロケ撮影という撮影方法自体が言語道断だったこの時代、今となっては誰も驚かないこのロードムービーがどれほど衝撃的だったかは想像に難くない。正真正銘のダメ人間たちが自堕落な主張を振り回して彼らにとっての実に一方的な自由を追い回す、というストーリーだが、保守的な「常識人」による銃撃という問答無用の制裁を受けるラストの意味するものは、「キャプテン・アメリカ死すとも自由は死なず!」と叫びたいのか、はたまた安易に猟銃を振り回す常識に対しての痛烈な批判なのか、それとも単にデニス・ホッパーがラリッていたからワケわかんなくなったのか。ちなみに筆者は最後の説を信じる。ヤク中はハッピーだが、ヤク中は一方的だ。この映画、デニス・ホッパーが最初に編集した時には6時間半だか7時間あったと聞いている。そのまんま公開されていたら、最後まで観るのはデニス・ホッパーぐらいのものだったに違いない。でもまあ、何と言っても初のオールロケ作品である。「すごいなあ」の一言ぐらいは、言ってあげてもいいと思う。
8点(2003-12-06 22:14:35)(笑:1票) (良:3票)
487.  RONIN
これはタイトルがいけなかったですね。モチーフとして日本の武士浪人を持って来たのは、欧米人にとってはおやっ?と思わせるものだったんだろうけど。冷戦終結後にやることなくなっちゃった元諜報部員たちが、テロ組織にお金で雇われて活動しているという設定は面白かったのに、日本人はちょっと白けてしまったんじゃないかな?というのはわかる。でも謎の美女ナターシャ・マケルホーンやクセ者役者のステラン・スカルスゲールドなど、意味深なメンバーを揃えて一応謎解きのレベルも低くはなかったし、一般的な娯楽作品としては悪くなかったと思う。ロバート・デ・ニーロとジャン・レノという組み合わせがスターかくし芸映画的な雰囲気をかもし出してちょっぴり格を下げてしまった。カーチェイスは良く出来てるし、地道にCGが隠し込まれたカメラの躍動感も上手いと感じた。オリンピックウィナーのフィギュア・スケーター、カタリーナ・ビットがスケーター役で出て来るのも楽しい。好みの別れる映画だろうけど、プロっぽい人たちが名人技を見せてくれるのが大好きな私としては、かなり手放しで喜べた作品。
9点(2003-12-06 13:14:47)
488.  オーロラの彼方へ
タイムトリップ物の新しいバリエーションとして目のつけどころが良かった作品。たまたま過去とつながった無線で、不幸な事件から命を落とした父親と交信してしまう主人公が、無線を通じて父親の命を救おうとするという発想が面白かった。父親が未来からの指示を受けて何かをするたびに、未来であるところの現在が微妙に変化して行くのだが、タイムマシンで行ったり来たりというお約束の展開でなくリアルタイムで進行して行くのが新しい。ただし父親の立場を考えたら、自分は発狂したのだと思い込むほうが現実的だとちょっぴり感じたが。テンポも良くストーリーもきちんとオチてるし、かなり大勢の人にとって決して時間のムダにはならない映画だったと思う。ハマる人はハマるんじゃないかな。
7点(2003-12-06 13:06:30)
489.  バトル・ロワイアル
企画モノとしてはそれなりの物珍しさはあったけど、観る前に宣伝などから想像していたのとほとんど変わらない内容で、良くも悪くも誰の期待も裏切らないような映画だった。機関銃の乱射シーンとか、深作だな~っと楽しめるカットがピンポイントであるんだけど、全体としては「・・・・」という感想。でも映像である以上、良いカットがいくら並んでいても上手につながっていなければダメ。ネタとしてはおもしろい設定だけに、もっとスゴく出来たんじゃない?という不完全燃焼気味の後味。こういう作品は登場人物のキャラクターに入れ込むしかないと思うが、山本太郎は多少のいかにも感はあるけどそれなりに印象的で良かったと思う。大のオトナにとっては、何かを考えさせられるとかそういう作品ではないのだが、若い人にはまた違った感想があるんだろうな、という気はする。でもさ、大人になってみると、わざわざこんな状況を設定しなくたって人間は充分殺し合っているじゃない?とコボしたくなるワケですよ。「何故、人を殺してはいけないの?」という質問が流行ったが、一つの答えにはなってると思う。人を殺していい世界では、自分が殺されるのもまたアリだってことだ。
2点(2003-12-06 13:00:44)(良:1票)
490.  ペーパー・ムーン
記念撮影用に作られた張りぼての月と、見せかけの誠実さで聖書サギを繰り返すモーゼの張りぼての人生、一見父と娘に見えるんだけど実際のところは赤の他人かも知れない張りぼての親子。タイトルにもなった「ペーパー・ムーン」の比喩するところが実に上手いな、と思わされた作品。主人公アディは詐欺師のモーゼも手玉に取るほど並外れた頭の回転の持ち主で、たぶんコレは本当の親子なんだろうなぁと思わされるが、最後までこれははっきりしない。美人ではないし愛嬌があるわけでもない、大人びたアディのふてくされた演技に史上最年少のオスカーは納得モノ。残念ながら親娘ともども、一瞬の輝きで終わる過去の人になってしまったが、才能ってそれだけじゃ輝き続けることができないんだよな、という一つのお手本にはなったと思う。でもこの映画のテイタム・オニールはやっぱり上手い。当代きっての色男で実際にも女グセの悪かったモーゼ役のライアン・オニールも、この役が一番のハマり役。このタイミングで敢えてモノクロで勝負して来たピーター・ボグダノビッチの目のつけどころもスゴイと思う。古臭い画面づくりが、独特のノスタルジックな雰囲気を作り出すことに成功している。カラーで撮ったらタダのファミリー映画になっちゃってましたね。
9点(2003-12-06 12:50:17)
491.  キャリー(1976) 《ネタバレ》 
「キャリーをいじめないで。彼女が泣くと恐ろしいことが起こる」・・・怪物と呼ばれた一人の少女、キャリーを主人公に、望まぬ妊娠から生まれたわが子を憎悪する母親と、死に物狂いで愛情だけを求める娘の姿を描いたジュヴナイル・ホラーの傑作。キャリー・ホワイトは17歳の時、ハイスクールのシャワー室という最悪な状況で初潮を迎え、しかも女性の生理に関する知識は皆無。母親のマーガレットは狂信的なキリスト教信者であり、セックスを憎悪し、私生児キャリーを徹底的に虐待する。母親の娘に対する仕打ちは、自ら犯した罪の償いそのものであり、彼女を生み落とした罪により母子共々地獄の業火に焼かれると信じている。そしてキャリーが、人知れず恐ろしいテレキネシスの持ち主であることを誰も知らない・・・ アダルト・チルドレンが話題になるのはこの作品から実に20年以上も後のことであるが、愛情に恵まれなかった子供としてのキャリーこそまさにACの先駆けとも言えるだろう。彼女は同級生たちからの執拗な苛めに遭い、異端として仲間はずれにされながらも母親の許しだけを乞い続ける。癒されない心、ひたすらに母親の愛情だけを望んだキャリーの末路に、今なお涙を絞り取られる作品。有名なラストシーンは、この後ホラー映画の一つのパターンとして広く模倣されることになる。ブライアン・デ・パルマの出世作としてあまりにも名高い作品だが、主に雑誌や新聞の記事と当事者の回顧録・インタビューなどをつなぎ合わせるという実験的な形で描かれた原作の、映像化の難しい部分を巧みなエピソードでつないだ辺りは、デ・パルマが単なる「映像の魔術師」にとどまらないことを示していると思う。
10点(2003-12-06 02:26:38)(良:3票)
492.  双生児
徹底して俗世間を排し、閉じた世界を作り上げた塚本晋也の才能に脱帽。その独特の世界に違和感なく馴染んだ本木雅弘も大物ぶりに磨きをかけている。こういう映画を作れる才能が、日本からも出て来るようになったんだなあ、とある種の感銘を受けた作品。こういう作品は、少しでも売らんかな精神がこぼれ出ると何もかもブチコワシになってしまいがちだが、揺るがぬテンションで最後まで突っ走り抜いた気合いが見事。ウソっぽさも、徹底して貫けば芸術になる。この監督が出て来て初めて、日本映画もここまで来たかという感じがした。完璧。
10点(2003-12-06 02:19:35)(良:1票)
493.  ハンニバル(2001)
むぅぅぅ。何と言って良いのか非常に難しい映画。ジュリアン・ムーアは敢えて新しいクラリス像を創造しようなどという欲をかかずに素直にジョディ・フォスターを演じようとしているところに大物ぶりを感じさせてくれた。小物ほどオリジナリティを出そうなどと考えて喘ぐものだと思うが、彼女の女優魂は尊敬に値する。全体的に、決して出来の悪い作品ではないし、ドル箱作品を撮る時のリドリー・スコットらしくきっちりしっかり撮っていると思うのだが、残念ながら問題のシーンには人間として「面白かった」と言うことはできない。人として、これを面白がったらダメでしょう、と思ってしまう私は古い人間なんでしょうか。いくら途中が良く出来ていても、二度と観たいとは思わない。観てしまったことを心の底から後悔する映画だが、観なかったら観なかったでやっぱり後悔はしたと思うのできっぱり諦めることにする。が、重ねて言うけどもう二度と観ないよアタシは。
5点(2003-12-06 02:14:03)(良:1票)
494.  グッバイ・ラバー
すいません。あんまり言うのもナニかと思って控えてましたがやっぱり書いちゃいます。ココまでクソタレーな映画を作れるのって、かなりな才能だと思います。何が凄いって、パトリシア・アークエットにダーモット・マローニー、メアリー・ルイーズ・パーカーにドン・ジョンソン、ビンセント・ギャロ、ここまで思わせブリなメンバーを集めてギャグは1つも笑えず、どんでん返しはまるっきり返っておらず、タネも仕掛けもないベタベタのストーリーでお客が2時間も喜んで観る、と思い込んだところが凄いです。この映画に出演した個性派・地味豪華な皆さんは、出演前に本当にシナリオを読んだのでしょうか?だいたいシナリオがあったのかさえ怪しすぎる。滅多に観られないほどの金ドブ映画という意味では、一見の価値はものすごくある。というか、これはもう観ないでは死ねない。凄い。 セックスで人を殺せるか、というコピーの映画がありましたケド、映画でも人を殺せるかも知れないと真剣に考えてしまいました。暴動が起きるほどのお客を動員できなかったことが不幸中の幸いだったと思います。
0点(2003-12-06 02:04:11)
495.  アルビノ・アリゲーター
「どういう映画?」と訊かれたら、「『狼たちの午後』と『死刑台のエレベーター』を合わせたような映画」と答えることにしている、ケビン・スペイシーの異色サスペンス。つまらないひき逃げ事件を起こしたチンピラ3人組が、たまたま一休みを決め込んだ酒場の客に大物武器密輸人が混じっていたため、いきなり警官隊に包囲され、追い詰められて行く数時間の模様が、密室ならではの異様な緊張感の中で描かれて行く。単なる勘違いが招いた泥沼の包囲劇は、やがて小悪党らしい気の弱さで逃げ腰な展開をして行くのだが、マット・ディロンにゲイリー・シニーズ、ウィリアム・フィチナーといういかにもな顔ぶれといい、人質役のフェイ・ダナウェイ、スキート・ウールリッチなど個性豊かなメンバーで、良く出来た舞台劇を観ているようだ。これが初監督のケビン・スペイシーの知性と才能に驚嘆させられる緻密なプロットと上質な演出。密室劇というスタイルで観客の心をグイグイと引っ張って行く手腕は見事というより他にない。派手さはないが、ガッチリと良く出来た映画、というのが本作の印象である。これは上手い。
10点(2003-12-06 01:28:48)
496.  白い家の少女
原作者自らシナリオを書いているのだからギャップが少ないのは当たり前だが、小説から喚起されるイメージがここまで裏切られないというのは極めて稀少な例と言えるだろう。少女役のジョディ・フォスターも彼女がモデルではないかと思えるほどのハマり役。美しいカナダの田舎町を舞台に、父親の死を隠して一人で暮らす少女の孤独な日々と彼女に思いを寄せる若者の幼い恋、そして彼女が自由を守り抜くために犯して行く殺人を、ショパンのピアノ曲に乗せて綴る異色サスペンス。詩的な情景、甘酸っぱい初恋の香りと、連続殺人という極めて異質な組み合わせが、何故か不思議なノスタルジーをかもし出す、どこまでも美しい映画。秋の夜長にビデオ鑑賞を決め込むには、なかなか味わい深い作品かも知れない。
8点(2003-12-06 01:14:22)
497.  オースティン・パワーズ
コメディは嫌いな方ではないが、ココまでスッキリ笑えたものは少ない。徹底してバカバカしさを追及した心意気も見事だが、やはり最大の勝因はヒロインに天下の美女エリザベス・ハーレーをもって来ちゃったこと。その神々しいまでの美貌こそ、思いっきりこの映画がシャレになっている理由そのものだと私は信じる。その証拠に、ちょっと庶民的な可愛らしさのヘザー・グラハムにシフトした途端、オースティンの男っぷりが露骨に下がった。おバカは真剣にやってこそ。色男は美女をはべらしてこそ。マイク・マイヤーズはコメディをナメてない。人を笑わせるって、実は真剣勝負なモノなんですよね。
9点(2003-12-06 01:05:30)
498.  時計じかけのオレンジ
どうしてもどこか褒めなければいけないとすれば、強いて言えばタイトルがカッコ良い。キューブリックはこの映画をミック・ジャガーとキース・リチャーズ主演で撮りたかったと聞いているが、実現していればそれなりに興味深い映画にはなっただろう。暴力ってそんなにイイですかね?人を幸せな気分にしない映画には、せめて感動を与えてもらいたいと私は望むのですが。それさえなければタダの野次馬根性。なんとなく、観る人をバカにした作品という印象が捨て切れない。映像的にスタイリッシュではあると思うが、それだけで本当にイイのか。私はこの作品を19歳の時に観たのだが、既にこの世界観に心酔できるほど素直ではなかったらしく、おかげで自殺者にも犯罪者にもならずに現在まで生き延びている。もう1回観てみようかな、と思わない数少ない作品の1つである。
2点(2003-12-06 00:57:34)(良:4票)
499.  ストーリー・オブ・ラブ
世の中には、すご~く良い人なのに、たった一つの致命的な欠点があるために周囲から疎んじられてしまう人もあれば、反対に、欠点だらけでどうしようもない人なのに、たった一つの長所のために何故か憎めない人もいたりする。映画も同じである。この映画にはほとんど良いところがなく、ブルース・ウィリスとミシェル・ファイファーの若作りははっきりと滑稽で、ストーリーはベタベタで誰にも容易に先が読め、だから何なんだ、という展開しかしないのに、ミシェル・ファイファーのちょっとあり得ないほどの熱演でうっかりボロ泣きさせられてしまった。だいたい私はミシェル・ファイファーという女優に芝居が出来るなんて20年近く想像したことすらなかったし、「眠れぬ夜のために」で初めて観た時は「すごく可愛い」と思い、「デンジャラス・マインド」で観た時には「いい女になった」とは思ったが、「演技が出来る」と思ったことは唯の一度としてなかったと断言して良い。その彼女が、あれだけの長回しで堂々と演じてくれた名シーンたった一つだけで、箸にも棒にもかからなかった単なる倦怠期を迎えた夫婦の物語が、なんだかとても素晴らしい、忘れ難いものに思えてしまうのである。私のようにココロの冷たい女でさえコレだ。彼女と似たような境遇にある人だったらもう、ボロ泣きどころじゃすまないだろう。だからこの映画、ほとんど良いところも新しいところもないのだけど、なんか憎めない良い映画になってしまった。救いがあるっていうのは、それだけで素晴らしいことなんである。
7点(2003-12-06 00:15:24)(良:3票)
500.  JAWS/ジョーズ
弱冠25歳の若者が撮った、という点を除外して考えても、パニック映画史上でトップレベルのクォリティを誇る作品。姿の見えない巨大サメの影に脅える夏の海水浴場を舞台に、次々と無残な死体をさらし、泣き叫ぶ人々が恐怖に駆られて走り回る前半。孤高の漁師クイントを軸に、科学武装をした青二才の学者と水面恐怖症の警察署長という奇妙なメンバーで大海原をサメ退治に乗り出す後半。老練な漁師は海の男の哲学を語り、水に脅えていた警察署長は英知を駆使して巨大な敵に立ち向かう勇気を手にする。時にはコミカルに、時には壮絶な戦いの姿を、絶妙のバランスで組み合わせたこの作品が、この後どれだけの亜流を生み出したかを考えれば、アニマルパニックという分野を確立するにまで至ったこの作品への支持の高さが伺い知れるというものだろう。実際、この作品から後数年に渡り、クマ、タコ、ワニ、ゴリラなどあらゆる生き物が様々な理由で巨大化し、世界中が巨大生物に湧きに湧いた。こういうことを日本で25歳の若者がやろうとしたら、必ずこの道30年とかいうカメラマンなどが我が物顔で現場を乗っ取り、監督にうるさく指示を出して映画をメチャメチャにしてしまうのだが、そこは分業意識の徹底したアメリカ。スピルバーグの天才ブリもさることながら、アメリカという国の持つ合理性、プロ意識というものにつくづく考えさせられる作品でもある。上昇志向の感じられた頃のスピルバーグは、今とは完全に別人であると言って良いと思うけれど、この頃の活躍はやっぱり無視できないんじゃないだろうか。
9点(2003-12-05 02:04:10)(良:2票)
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