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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1244
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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501.  EVIL IDOL SONG 《ネタバレ》 
主演の藤田恵名という人が劇中人物どおりの「シンガーソングラドル」だそうで全く洒落にならない。これが実体験に基づく映画だという話は別に出ていないが、仮にそうだと言われれば本当にそうだろうという気になる。「みんなやってるし」とか言われてしまうとそうなんですかと思うしかない。 しかしそういう世界で惨めに踏みにじられたような状態が最後まで続くわけでもなく、途中で悪魔化してぶち切れたのはいいとして、その後は社長も含めて人格が一変してしまい、さらにマスコミの群れを振り切って飛び立つという流れは唐突感がありすぎる。クライマックスに至っても、マンガのような警察が気分の高揚を邪魔しているようで、ドラマ的には自然に乗れる展開になっていなかった気がする。  一方で、その間もマネージャーだけは正常な精神状態を保っていたのかも知れないが、しかし最後にはもう悪魔でも何でも主人公に共感して応援したいという、いわばファンとしての感情で行動するに至ったらしい。自分としてはそれより先、ライブを目前にした段階ですでに期待感が高まっていたので、この男よりは早いうちにファンに近い立場に立てていたはずである。 本番が始まって、熱海市の廃校?でも東京でも大阪でもワシントンDCでも、人々がみな幸せそうな顔で死んでいったのは正直感動した。最後は、天使なら昇天して終わりのところ悪魔だったので堕ちてハッピーエンドである。いろいろあったが最終的にはみんなをしあわせにするアイドル映画だったということで評価が確定した。点数は、主演の人を応援する意味で+1にしておく。  なお注意事項として、この映画の紹介で主人公が世界または人類の滅亡を目的としていたように書いてあるものがあるが、最後にみんなを幸せにすることができたのならそれが目的だったということになるのではないか。死んだ連中は基本的に自由意思で歌を聴いたのであって無差別テロともいえず、幸せになりたい人々が自ら幸せになろうとして、結果的に人類が滅亡したなら仕方ないことである…しかしどんな場面でも幸せを掴めない人間は必ずいるわけなので、どうせ滅亡などはしないだろうが。
[インターネット(邦画)] 7点(2018-09-16 08:55:01)(良:1票)
502.  劇場霊 《ネタバレ》 
まずは劇中劇の「鮮血の呼び声」などという陳腐な題名を誰がつけたのかと思うわけだが、中身は実在の「血の伯爵夫人」エリザベート・バートリ(1560~1614)をもとにした話だったようで、そういう背景をくどく説明しない態度は悪くない。 しかしホラー映画としては人形が人を襲うという設定を生かせておらず、立って歩いて来るなら逆に近づくまでは危険がないのだろうから、近接する前に蹴り飛ばしてしまえば簡単ではないか、という方に考えが行ってしまう。だいたいこういうモンスター的なものを出せば済むと思っているのは呆れるしかなく、終盤、舞台の上で騒いでいたあたりは面倒くさくなって早く決着をつけろという気分だった  またドラマ的にも話が薄く必然性のない展開で心に訴えるものもない。特に問題なのは主人公が本物のバカに見えることで、「人形が」で台詞を止めることに何かこだわりでもあったのか。そもそも何を言ったところで中止するはずないのだから放っておけばいいだろうがとしか思われず、足立梨花さんには申し訳ないが、人々の死に特に悲哀を感じるようなこともない。 あえて真面目に考えると、エリザベート・バートリや劇中の人形と同じように、他人のものを奪ってでも我を張り通して生き残れ、という芸能人向けのエールだったのかも知れないが、それにしても万人が共感するようなものではない。とりあえず個人的には、先日見た「劇場版 私立バカレア高校」(2012)の方がよほど娯楽としてまともにできている気がした。  余談として、この映画のように舞台の演出家が主演女優に個人的関係を要求するとか(先行例としては「リング0」)、アイドルが売り出しのために枕営業を強いられるとか(最近見た別映画)が多い気がして、演出家だけでなく映画監督とかプロデューサーとかの全部がもれなくこういうことをしているのだろうと思うようになってきたが、業界の立場としてはそう思われてもいいのか。自分には縁のない世界なのでどうでもいいが。
[インターネット(邦画)] 3点(2018-09-16 08:54:59)
503.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 
大評判なのは知っていたがやっと見られた。 大変いい映画だとは思うが、申し訳ないが最初のワンカット部分は正直見るのが苦痛だった。初めからこういうクオリティで撮っているという設定でもあり、不自然な箇所については後で説明もあるわけだが、これを延々と見せられている間に体調のせいもあってか頭が痛くなってきた。 後半をあわせて見ればよくできたお話で、最後はみんな笑顔で和む映画になっている。真相を明らかにした中で個人的に面白かったのは監督の台詞にアドリブが入っていたというところだった。最終的に一番いい役は監督の娘だったようで、ちゃんと両親のいい所だか悪い所だかを受け継いだ人物になっている。 前半で忍耐を強いられたせいで絶賛というわけにもいかないが、それなりの点数にしておかなければと思わせる映画ではあった。
[映画館(邦画)] 7点(2018-09-15 08:56:06)
504.  空人 《ネタバレ》 
特攻隊の生き残りの話である。主演の奥野匡氏は撮影当時おそらく87歳、昭和20年では17歳だったはずで、このあたりの世代(昭和一桁世代)に向けた映画とすれば対象はかなり限定的ということになる。戦後世代向けには全く見えないが、世代が違っていてもわかる限りはわかろうとしなければという気にはさせられる。 全体の中で特攻隊の部分は意外に短く、兵舎が中心で戦争映画としての派手さはないが、零戦が飛ぶ映像だけは作ってある。題名の意味は特攻隊に由来するのだろうが、残念ながら自然に納得する感じではなかった。  現代パートは、悔いを残して生きてきた主人公が人生の終わりを予感したことで、これまでのことを清算しようと思い立ってからの話になっている。もう近所に戦争の話をする相手がいなくなった、と劇中人物が語るのを聞いて思い出したのは、自分の身内でも、戦時中に航空隊に志願?したが軍医に耳をほじくられて中耳炎になって帰されたので今も生きている、というような話をする者がいたことである(故人)。自分が死ねばそんなことを知っている者もなくなるはずで、そういう形で人は死んで忘れられて記憶も失われていくのだと、変に達観するような気分にさせられた。 主人公も序盤から健康上の不安が見えており、“向こうに連れて行かれる”話まで出ていたので、この人物ももう終わりだということは強く印象づけられていたが、しかしその上での最後の場面は非常に意外だった。なるほど主人公も自分のことだけやれば済むわけでなく、生き延びたことで新たな責務を負ってしまった面がある。あの世に行くのも当分延期だな、という清々しさがあり、要は“死ぬまで終わりはしない”という物語だったのかと思った。息子の妻もかわいい感じの人で、年の離れた女性に好かれているのは羨ましい。  なおヒロインは対象世代に合わせてかなり古風な人物になっているが、演者の高橋かおりという女優は相変わらずの美形である。これとは別に思春期向けの青春映画など見ていると、あまりに主人公(男)にとって都合のいい展開になっていて呆れることがあるが、この映画も年代は違うが若干そういう雰囲気がなくもない。どうやら男は死ぬまで夢(妄想)をもって生きるということらしい。 ちなみに原作を読むと、この映画がいかに一般向けに抑制を効かせて手際よくまとめてあるかがよくわかる。点数の内訳は映画が8、原作が-1である。
[DVD(邦画)] 7点(2018-09-07 22:12:29)
505.  都市霊伝説 心霊工場 《ネタバレ》 
心霊を製造する工場の話だとすれば斬新なアイデアだと思ったら違った。 大まかにいえば心霊のいる廃工場を訪れた連中が破滅する話で、いわばスタンダードな邦画ホラーである。全体としてそつなくできた印象はあまりなく、個別の台詞や人物の動作が不自然で引っかかる点もなくはない。ドラマとしては編集者同士の確執と姉妹の情愛の二本立てのようだったが、それ自体が大して心に訴えるところもない。こういう場所にわざわざ行く連中は本当に馬鹿だと思うが、哀れとかとか思わなくて済むので気は楽だ。ただ、こんなことでリーダーシップを求められる会長というのもしょうもない役職だとは思った。 ホラーとしても別にどうということはなく、何かに引きずられる、便所に籠るというのは定番である。しかし内部に夫婦者のようなのがいて、暗いところで密談していたあたりは悪くない。また何か良からぬことが起こっているのを音で暗示する場面があり、クラクションとか固定電話とか救急車などはありきたりの部類だが、たまたま近くにいた男が別件で怒鳴り始めたのは日常に紛れた凶兆の表現のようで面白かった。  登場人物としては、姉役の深月ユリアという人が本物の魔女?とのことで存在感を出している。時々説明なしで呪文を言っていたようなのは何語だったのか(ヘブライ語? アイヌ語? ポーランド語?)。また色っぽい編集者役の大塚麻恵という人は他の映画でも見たことがあったが、現在は結婚して別の方面にも活動範囲を広げているらしい。メイキングで大あくびしていた石原あつ美という人が実質的な主役に見えたが、ほか編集部に残っていた男女や便所ペアの扱いなど見ていると、とにかく若い役者に出番を用意しようという意図をもった企画なのかと思った。
[DVD(邦画)] 4点(2018-09-07 22:12:26)
506.  血を吸う粘土 《ネタバレ》 
著名な特殊メイクアーティストが監督・脚本を務めたホラー映画である。主要キャストとして、講談社主催「ミスiD2017」のグランプリと受賞者の計4人が出ているのでアイドルホラーとしての性質もあったらしく、うち藤田恵名という人は主題歌「私だけがいない世界」も歌っている。ほか講師役の女優と監督は夫婦とのことである。 見た感じでは、いま映っているものが何を表現しているのかよくわからないところが多く、また一つの場面がしつこく続き、その間の一本調子の悲鳴がやかましい。全体構成としても何回危機を繰り返せば気が済むのかという感じで(早く家を出ろ)、やっとここまで来たかと思ったらまだ10分も残っていると思うところもあったが、まあ最後の展開を見ればそういうことかとは思った。ドラマ的には登場人物の悲痛な思いが表現された場面もあったが、残念ながら自分としてはそれほど同調できなかった。 なお何で粘土ホラーなのかは不明だが、監督がやりたかったからというのなら別に言うことはない。人の顔をちぎって潰すとか、粘土化した人物の顔を直接バーナーで乾燥させたりするのは素材を生かした趣向かも知れない。また終盤でクレイアニメーションを使うとか、土人形がハロウィンのように見えるところもあった。  ところで劇中の学校は美術大学向けの予備校という設定だったようで、その背景に監督の怨念があるというのはわかったが(本人が言っている)、どうも劇中人物がトーキョーにこだわる理由が不明で、行きたければ行けばいいだろうがとしか思えない。監督の出身地とされている神奈川県藤沢市は、本物の地方人の立場からすればほとんど東京も同然であり(首都圏という意味で)、誰の思いを代弁しているのかわからなかったが、ただもしかすると本物の地方人というよりは、首都圏の周縁部から都心部を眺めているイメージなのかという気もした。ラストの遠望ではそういう劇中世界が端的に表現されていたようでもあり、いまだに東京のシンボルが東京タワー?というのは古風な世界観だが、これは奥多摩から上京して東京タワーを目指した「モスラ」(1961)の再現を意図したものかも知れない。最後は土人形というよりイモムシ+「デビルマン」の某キャラクターのようなものになっていたようである。 以上のようなことで、独創的というか独特なところが多いが、絶賛ともいかないのでそれなりの点数にしておく。
[DVD(邦画)] 5点(2018-09-01 16:26:47)
507.  ブリード 血を吸う子供<OV> 《ネタバレ》 
SFホラーとでもいうべきものだろうが、ジャンルとしてはそうだろうというだけで、これがSFといえるわけではない(科学的な説明はない)。またホラーというのが怖いものでなければならないとすればホラーでもない。 基本設定としては「光る眼」のような感じで、違うのは明らかに地球人の仕業だということと、「子供」が吸血鬼の性質を持っていることだが、しかし何で吸血鬼でなければならないと制作側が思ったかは不明である(本当は「スペースバンパイア」(1985)のようなのがやりたかったのか)。またそこに、当時まだ本気にされていたのか「百匹目の猿」も絡めているが、これがストーリーの本質に関わるものとも思われず、単にたまたま知っていたことを盛り込んだだけのようでもある。 物語的にも特に心を動かされるものはなく、これからもまた同じことが繰り返されるというオチだったのかも知れないが、それで戦慄とか悲哀とか何かを感じるわけでもない。最後になぜか尻を出して素っ裸で走って行ったのがいたが、こういうのを見せられてこれはどういう意味かと真面目に考える人間など日本国民の何%いると思うのか。どうも小理屈と技術だけで作って志も心もない製作物という印象だった。 なお唯一よかった点としては、川上麻衣子という人の頬がふっくらして、この時点でもかわいく見えることだった(顔つき自体は今も同じだろうが)。
[DVD(邦画)] 2点(2018-09-01 16:26:44)
508.  血を吸うカメラ 《ネタバレ》 
最初の街娼が2ポンドで、次の卑猥な写真が4ポンド10(シリング)だったのは、生の実物よりも映像化した方が商品価値が上がるという意味に取れなくはない(素材の質や感染症のリスクは関係するだろうが)。またグラビアのモデルが殴られた跡を消してくれと頼んでいたことからしても、序盤では写真(や映画)の特性や効用を表現しようとしていたように見える。 また劇中映画の現場では、コメディがなければと劇中監督が宣言した後、実際にかなり笑わせる出来事が頻発する(さりげなく持つ、主演女優が逃げた、あれは監督だ)。序盤で出ていた映画会社の社長?の言動も含め、何か映画というものを茶化してみせていたかのようでもあるが、そういったことがどのように全体のテーマに関わっていたのかはわからなかった。  最終的に本筋だったのは、幼少時の心の傷が原因で異常な性的嗜好を持ってしまった男の話だったらしい。その話題自体は現在では珍しいともいえないが、しかしこの映画ではヒロインが最後まで主人公に対する好意を失わなかったのがかなり都合のいい設定に思われる(母性本能をくすぐる男だったのか)。またヒロインの母親までが主人公に更生の機会を与え、それで本人も一度はその気になっていたというのは、基本的なところで人の本性が善なることを信頼した映画に見えた。この映画は公開当時、メディアから袋叩きにされて「映画界の恥」とか言われたそうだが、これほど良心的な映画にそう言うのであれば、大衆の欲求通りに俗悪映画を作って恥じない現代の映画業界など廃絶せよと言わなければならなくなる。 ちなみに主人公が熱意をもって取り組んでいた映像作品に関しては、なるほど殺人事件をドキュメンタリーとして撮ったものはなかっただろうとは思ったが、これが今後の新たな可能性を示したものとして捉えることもできない(関係者インタビューでは単純に「スナッフフィルム」と言っていた)。いろいろ思うところはないでもなかったが、結局全貌が見えた気がしないままで終わる映画だった。  ほかキャストに関して、主演のカールハインツ・ベームは有名な指揮者のカール・ベームの実子だそうで、劇中の姿だけではわからなかったが、関係者インタビューで2005年当時の顔を見るとなるほど雰囲気は似ているかとは思った。またヒロイン役の人は美形とは全くいえない容貌だが、なかなか愛嬌のある女優さんで好きになった。
[DVD(字幕)] 5点(2018-09-01 16:26:41)
509.  血を吸う薔薇 《ネタバレ》 
少し間が開いているが、「血を吸う人形」(1970)と「血を吸う眼」(1971)に続くシリーズ第3作である。 今回の吸血鬼は前回のように家系に受け継がれるものでなく、「不死身の魔性の者」が約200年前(江戸時代)から時代を越えて生き続けてきたようで、小説のドラキュラに近いイメージになっている。ただし同じ外見でいると怪しまれるからか、別人の顔の皮を自分の顔に張り付けて姿を変えていくということらしい(わかりにくいが)。フランス文学の男もそういうことを言っていたが、もう少しスマートにできなかったかとは思う。 また前回同様に、日本で本物の吸血鬼を出すからには外人が発端でなければと思ったようで、台詞では「この先の漁港」に外人が漂着したと言っていた。しかし冒頭で出た駅が国鉄(当時)小海線の甲斐小泉駅で、学園の住所が長野県で、背景に八ヶ岳(多分)が見えている場所でさすがに漁港はないだろうと思った。 なお今回の顕著な特徴として、血を吸うときに毎度オッパイにかみつくというのは許しがたい習性である。全裸にされてしまう人もいたりして、今回はエロさが売りになっていたらしい。成人男子がそれ目当てで見るほどではないが小学生には見せられない。  物語としては寮付きの女子短期大学が舞台で、序盤で女子学生3人がテニスをしていたりしてそれなりのキャピキャピ感(※まだ死語ではない)を出している。しかし単なる賑やかしで出ていたわけでもなく、この中から後に正統派ヒロインと邪悪なヒロインが出るので重要人物ということになる。3人の中で、外見的に好きなタイプの人が邪悪な方に転じてしまうのは残念だった。 今回は地元の伝承という形で吸血鬼の誕生哀話が語られるなどの趣向もあり、途中まではそれなりに面白く見ていられたが、役割のよくわからない登場人物が多いなど納得のいかない点も結構ある。シリーズ恒例になった医師(演・田中邦衛)は、全体の擬洋風で世間離れした雰囲気を和風居酒屋などで中和していると思ったが、途中でいなくなってしまったのが拍子抜けだった。 ほか特に終盤の展開がかなりしつこく感じられ、日本を代表する吸血鬼役者の演技も、今回早くもマンネリ化したように思われた。最終的にはそれほど大満足ということもなく終わったのは残念だったかも知れない。
[DVD(邦画)] 5点(2018-08-25 17:22:26)
510.  呪いの館 血を吸う眼 《ネタバレ》 
「血を吸う人形」(1970)に続くシリーズ第2作である。個人的な記憶として、この映画が地元で上映されていたときに街中にあった立て看板を見て怖くなり、それ以来、この題名と岸田森氏の顔が忘れられなくなってしまったことがある。その時は当然見なかったが、その後のDVDの普及のおかげで、耐性ができてからの状態で見られたのは幸いだった。ちなみにDVDで予告編を見ていたら最後に「お待ちしています」とキャプションが出たのは笑った(行きたくない)。  内容としては第1作より本格的な吸血鬼映画になっており、最初に棺が送られて来たのがいかにもそれらしい。終盤で主人公男女が能登半島に出かけたのは小説「吸血鬼ドラキュラ」を真似たもののようで、つまり能登は日本のトランシルバニアということになる。東欧の伝承にある吸血鬼なら、家系に伝わるというより何らかの条件に合った個人が死後になるものだろうが、この映画では家系という要因と、死んでから蘇るという特性を組み合わせた形にしてある。また日本に西洋風の吸血鬼が出る理由に関しては、要は日本在住の外国人だったという適当な理由付けでごまかしている。 吸血鬼が好色というのは普通のことだろうが、この映画では何と5歳の少女に目をつけて、年頃になるまで待つならまだしも(それも執念深いが)5歳のままで「花嫁」というのがとんでもない幼女趣味で、こんなケダモノは早目に滅ぼしておかなければ駄目だと思わされる。この吸血鬼がクールな容貌ながら、終盤でステンドグラスか何かを破って出て来たところとか、断末魔のわめき声はものすごい迫力で唖然としてしまった。ここはさすがの岸田森氏といったところである。  そのほか姉妹間の確執を絡めたのは物語に一定の深みを加えており、またその姉妹の間で翻弄されそうな位置にいる男が極めて理性的で、一貫して恋人たる姉の方を信頼しているのは頼もしく見えた。この男が医師であり、ヒロインとともに吸血鬼退治に尽力する役割だったのも基本を押さえている。また鏡に写らなかったので気づいたのでなく鏡に写らなかったので気づかなかったとか、死んでいた男の手が机に張り付いていて半端に剥がれたといった細かい見どころもあった。 ちなみに劇中の台詞で、戦後にイギリスで吸血鬼が処刑されたと言っていたのはロンドンの吸血鬼として知られた事件だろうが、これは吸血鬼だから処刑されたのではなく、連続殺人犯だったから普通に死刑になっただけのようである。
[DVD(邦画)] 6点(2018-08-25 17:22:23)
511.  幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形 《ネタバレ》 
東宝の「血を吸う」シリーズの第1作である。この後、「血を吸う眼」(1971)、「血を吸う薔薇」(1974)と第3作まで続く。 古めかしい洋館に吸血鬼のようなものが出る古風な怪奇映画だが、吸血鬼映画のようでいて本物の吸血鬼は出て来ない。本来、吸血鬼というのは土葬が主流の欧米でこそ成り立つ話だろうが、この映画でもその点はわかった上で適当な理屈で埋めたことにしている。また最後はキリスト教に頼らないで滅ぼすためにどうするか考えたとのことで、結果的にはかなり無理のある展開になってしまっているが、日本で吸血鬼映画をやろうとするといろいろ困難が生じることはわかる。結局は吸血鬼でも何でもなくなっているが、腐敗なし、吸血なしの“不死者”の状態ではある。 ちなみに中盤で出た医師は、役者が特撮TV番組「ミラーマン」(1971-72)の博士役と同じだったこともあり、この人物がヴァン・ヘルシング教授の役どころなのかと期待したがそうでもなかった。しかし第2作、第3作でも医師が出るので、吸血鬼映画には医師の登場が必須と思われていたのかも知れない。  内容は、大人が見れば当然それほど怖いものではなく、中盤で役場職員が昔語りをしたところとか、終盤でヒロインが怯えてドタバタするなど笑わせるところもある。しかしクライマックスで相手が一瞬で距離をつめて来た場面は、劇場で見ればかなりドッキリだったろうと想像される。ここで衣服が切れていたのは芸が細かい。そのほか中盤で出ていた南方で死んだ兵隊の話は、本当に出征した誰か(この映画の関係者など)の体験談だったかのように聞こえて、かえってこういうのは少し背筋が寒かった。 またこの映画で注目されるのは女優陣である。松尾嘉代という人の若い頃(当時26~27歳くらいか)の姿は記憶になかったが、この映画を見るとかなり愛嬌のある人で、びっくりした顔など表情の変化に目を引かれるほか、当時の流行だろうがミニスカートだったのが何気に色っぽい。また小林夕岐子さんは意外に出番が少なかったが、美貌の吸血鬼顔に凄味があり、題名の「人形」とは主にこの人の容貌の形容と解される。ご本人もぜひやりたいとの意向だったと聞けば他人事ながら嬉しくなる(DVDのコメンタリーでも出演)。その母親役の女優(南風洋子)も、艶消ししたようでいながらそこはかとない色気を見せていた。
[DVD(邦画)] 5点(2018-08-25 17:22:20)
512.  人狼ゲーム インフェルノ 《ネタバレ》 
連続TVドラマに続く劇場版だが、ドラマ版を見てからの間に早くも忘れてしまい、武田玲奈さんと上野優華さん以外は誰が誰だかわからなくなっている。恒例の自己紹介もないためわかりにくいが、少しずつおさらいをするので一応思い出す。 話としては前回の続きだが、やはり高校の同じクラスから欠員補充したため学校から持ち込まれた対立関係ばかりが目立ち、純粋な生き残りゲームとしての性格は薄れているように見える。しかし逆にその学校からの対立を軸にして、人狼ゲームの場で展開する愛憎ドラマと思うこともできなくはなく、結果として、ミステリー調だったTV版よりも人間ドラマとしての充実感は出ていたかも知れない。  主人公は真面目な人なので今回また誰も死なない方法を提案し、一度は成功したようだがあとには続かず、結局主人公の学級委員長的正義は通用しない世界になっている。半端な友情を切り捨ててからもあくまで正しさを志向していたようだが、あまりに理不尽に正義を否定された腹いせからか「私情」を目の敵にし始めたようにも見える。最後の判断など別にそうでなくてもよかったはずで、ここはどうやら私情絶対主義へのダメージを優先したらしい。映画のキャッチコピーは「勝者こそ正義。」なので結論としてはそうなのだろうが、しかし自分の立場としては、“カワイイは正義”と同レベルで武田玲奈さんは正義と思って主人公の行動を支持していたので(私情だが)、もしそういう人物が劇中にいたら主人公はどうなっていたかということは思った。 ほか警察側のドラマはほとんど進展しておらず、一方で以前使った施設に警察が入ったことで、かつて古畑星夏さんが上って行った階段も(「ラヴァーズ」ラスト)もう使えないことになってしまった。今後どうするかは原作者を含めて検討しているのだろうが、続けるのなら運営側の男が無惨に滅びるタイプの結末を用意しておいてもらわないと納得できない(「何人殺してきたと思ってんの!」が本来の正義)。  なおキャストとしては今回も最初から最後まで武田玲奈さんが見どころで、また上野優華さんも相変わらずの役どころだったが、小倉優香・都丸紗也華の両人も別映画で見ていたことに今回は気付いた(千里山女子の部長/イースターバニー)。どうもこの手の映画ばかり見ていると覚える若手女子の数が増えて来る。皆さん悲鳴がリアルだった。
[DVD(邦画)] 6点(2018-08-19 09:29:13)
513.  映画 「咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A」 《ネタバレ》 
マンガもアニメも見たことがなく麻雀も知らないままで本編劇場版に続いて見た。本編と同じくアニメ版あっての実写化ながら、もとからのファンに叩かれていないらしいのはうまく作ってあるのだろうと思われる。 今回は、主演の人さえ知らないからには他の誰も知らないだろうと思っていたらそうでもなく、奈良の部長でもっさりして一番可愛くない人物が「女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。」(2015)の「美少女」の人だったのは意外だった。また福岡の先鋒は「手裏剣戦隊ニンニンジャー」(2015)でシロニンジャーをやっていた矢野優花という人だが、今回はかなりくせのある人物役で同じ人には全く見えず、こういう人々は出ている場所で違う顔を見せるのだということを思い知らされた。当然だが。 そのほか恒松祐里さんは当然知っており、今回はずいぶん可愛い役をやっている。しかし西東京のエースは、顔は妹に似ているが全く可愛げのない人物のため存在意義が感じられない。本編の登場人物としてはその妹も一瞬出ていたようだが、個人的には鶴賀学園の大将とステルスモモが顔見せしていたのが嬉しい。清澄のおっぱいさんがわざと胸を目立たせる場面があったりもした。  内容としては原作またはアニメ準拠なのかも知れないが、今回は登場人物がわりと普通の女子高生に見えなくもなく、かえって長野県がいかに変人ばかりだったかと思わされる。しかしやはり個性的な人物が目立っており、特に北大阪はボーイッシュなのとかおばさんっぽいのとかいろいろで面白い。また特殊能力のある人々も多いようで、そんなオカルトありえませんというのが原則通用しない世界だったようだが、映像面でアクセントをつけるのには役立っている。ほか奈良は別として、福岡と大阪は方言にこだわりがあったらしいのが印象的だった。 準決勝では先鋒戦に力が入っており、やっていることはよくわからないながらもとにかく感動的だというのはわからせられる。また大将戦では膝枕エピソードが効いていて、どうせ最後は西東京が勝って長野と姉妹決戦だろうとは思うわけだが、北大阪や福岡にも負けさせたくない思いは募った(主に両校の先鋒の印象から)。 こういうサイドストーリーを発展させるタイプのコンテンツを見ると、実際の競技の世界でも、勝敗の別なくそれぞれのチームにそれぞれのドラマがあることを改めて知らされる気がして悪くないと思った。  [追記]見てから少し経った時点で一番心に残っているのは花田煌という人物だった。こいつはえらい。 [2018/10/7追記]主演の桜田ひよりという人は知らなかったが、美少女タレントでもアイドルでもなく子役時代から演技の実績のある人だったらしい。知らなくて失礼しました。  [2018/12/23追記]エンディング後の追加場面は、最後に改めて全ての発端の時点(5年前)まで遡ってみせたものらしい。TVドラマ版にもない場面なのでなかなか感慨深い。
[DVD(邦画)] 7点(2018-08-19 09:29:10)
514.  68歳の新入社員<TVM> 《ネタバレ》 
2018/6/18にフジテレビ系で放送されたTVドラマである。「68歳の新入社員」が40歳年下の女性の上司を助けて働く話で、オリジナル脚本とのことだが2015年のアメリカ映画との類似性が指摘されている。 題名の割に、どちらかというと若い女性の活躍を応援する方に重点が置かれているようで、パートナーの性格付けなどいかにもな感じである。部下を侮辱されるのが許せないのは人として悪くないが、その割に、明らかに年上の部下に対して敬語を使わず呼び捨てにまでしていたのは気に入らない。まるで学生感覚か体育会系かという印象だったが、若いとかえってこうなるというつもりだったのか。 一方の新入社員は、会社に戻ってみると極めて常識的な組織人だったのが拍子抜けだった。死ぬまで働けという最近の風潮に乗せられた形だが、結局は仕事するしか能のない人間で終わったらしく、昔よく言われた“亭主元気で留守がいい”という感じなのも進歩がないが、この世代がそうだということならまあ仕方ない。過去にこだわることなく柔軟な姿勢で人の役に立とうとすること自体は悪くない。 ストーリーとしては当然ハッピーエンドだが、“転”のところで社内の嫌がらせを極端なほどエスカレートさせておいて、最後は結局“ほんとはみんないい人”パターンに持ち込んだのは面白くない。例えば今回は「引き分け上等」にして、これからも戦いは続くという方が個人的には好きだが、単発のTVドラマであればこういう締め方が正解なのかも知れない。ただ最後まで見ていて主人公の人格設定とか話し方とか顔とかが嫌になって来たのと、新入社員の妻がいちいち全部口に出して解説するのがやかましく、基本的にTVドラマというのが自分には向いてないのかという気はした。 なおキャストとしては、金澤美穂さんは出番が少ないがショートヘアがかわいく見えて大変よかった。また今でいえば超イケメン俳優だった草刈正雄氏が年齢なりの人物を演じているのはさすがである。
[DVD(邦画)] 5点(2018-08-15 23:46:01)
515.  ソ満国境 15歳の夏 《ネタバレ》 
「文部科学省選定 少年向き」とのことで大変ご立派な映画らしい。これは平成27年6月に、文部科学省の「教育映像等審査制度」によって「教育上価値が高く、学校教育又は社会教育に広く利用されることが適当と認められるもの」として選定されたという意味であり、「少年向き」とはあるが男女兼用と思っておく(当然だ)。公開は2015年(H27)8月1日だが撮影は2012年11月とのことで、中学生役のうち最年長の金澤美穂さんは満18歳、最年少の清水尋也は満13歳ということになる。ちなみにその清水尋也の実兄の清水尚弥も新京の中学生役で(哀れっぽい感じで)出ている。  まず題名の出来事は同名の原作本(劇中に実物が出ている)に基づくものであり、脚色はあるにしてもこの通りに受け取るべきものと思われる。文部科学省がこれを「選定」したのは懺悔なのか、あるいは陸軍のせいだから関係ないと思っているのか。原作者は主に官僚の無責任体質に批判的だったようで、正すべきところは正していくのは当然である。 また劇中の満州パートでは、昔の素朴な日中友好・熱烈歓迎の時代を懐かしむような雰囲気があり、現地ガイド役の青年の善人顔などはいかにもそれらしい。日本と他国の関係(日中・日朝)に関して両論併記的に語っているところがあったのは、両者の間に立って融和を図る意図だったかも知れない。また民族に関係なく、いいことも悪いことも含めて「人間とはそういうもの」というのは妥当な認識だろうとは思う。  終盤に至るとなぜか原発災害の話題に移行するが、これを満州の出来事と関連付けて語るのには無理を感じる。確かに状況は似ており、当事者の立場として無責任だと言いたくなるのも同じだろうが、さすがに昔の軍隊と同じことを原発事故当時の政府が(今はなき民主党政権だが)意図的にやっていたとまでは思われず、何を問題にすべきかという点でずれがある。また故郷の喪失という点も共通ということらしいが、原発事故がなければよかったというのはその通りとして、戦争に負けなければ満州国も存続して日本人も住んでいられたはずと言いたいのか(または、そのように受け取られてもいいのか)。どうも気分的に言いくるめようとしているだけのようで気に入らない。 まあ文科省選定の教育映画でもあり、今の中学生に自分自身で考えてもらいたいというのが本来の趣旨だろうとは思うが、この映画のどこが変かを考えない限りは単純な「戦争ダメ」「原発ダメ」以上のものは出て来そうになく、要はそういう教育映画なのだろうと思うしかない。さらに最後に出ていた結婚の話はやりすぎで、これでいったい何を考えろというのかわからない。全国の少年少女はともかく当事者の身になれば、せいぜい台詞にあった「今からわかんない」という話にしかならないだろうが、そこをわざわざ指摘してみせるのは、それこそ言うだけ言って終わりの無責任体質に見える。  なお余談として、かつて満州に住んでいた身内にこの映画を見せたところ、“甘っちょろいが中学生向け映画なら仕方ない”とのことだった。実体験もないのに何を偉そうに言うかという気はするが、日頃からこの問題に関心のある人間の率直な感想としてはそうだったということである。あまり見せた甲斐はないようだった。
[DVD(邦画)] 5点(2018-08-15 23:45:58)
516.  恋につきもの 《ネタバレ》 
東京芸大大学院映像研究科の卒業制作とのことで、監督3人が同じ作家のマンガを原作にしたオムニバスになっている。以下[ ]内は点数。  「いばらのばら」 もう少しまともに作ってもらいたい。石はもっとキラキラしていなければならないだろうし紙袋も唐突で、映像に出しておきながら意味不明のまま放置というのは最悪だ。見ている間じゅう原作はどうなっているのか気になって仕方なかった。最後に出たのはサボテンの花か(題名からすると違うだろうが)。[2] 「豆腐の家」 中盤まではかなり怖かったが種明かししてから少し気が抜けた。しかし最後まで少し心に痛みが残る(やはりちゃんと食べた方がいい)。勤め先の対応が良心的なので安心したが、これで本人も若干前に進むことができたと思っていいのかどうか。なお主演女優(谷口蘭)はモデルが本業だそうだがかなりいい雰囲気で、特に泣き声が印象的だった。[6] 「恋につきもの」 心霊ラブストーリー。主演女優(趣里)は水谷豊・伊藤蘭夫妻の娘とのことで個性的な風貌に目を引かれる。この人をずっと見ていたかったが途中であまり顔が出なくなるのは残念だ(男の役者が代わる)。話としては最もストレートで娯楽性が高いが、最後の一言はわざわざ言うほどのことかという感じだった。[6]  以上、最初のだけは呆れたがほかは見られるものになっており、映画独自の雰囲気も出している。(性的な)マイノリティというところが共通のようで、その点で共感できるところはあまりないが、共感できなければ見られないということもない。なお「絶叫学級」(2013)で印象に残る松本花奈という人が出ているが、この映画ではどちらかというと普通に(普通でない)美少女に見える。そのほか最近有名な伊藤沙莉という人も出ているが役として面白くない(前記)。
[DVD(邦画)] 5点(2018-08-11 17:12:38)
517.  恋谷橋 《ネタバレ》 
鳥取県の三朝(みささ)温泉のご当地映画である。島根県の映画は見たことがあるが鳥取県のは初めて見た(というのは間違いで「妖怪大戦争」(2005)は見たことがある)。 題名を見ただけだと「恋空」(2007)とか「君の名は」(1953)とか演歌のカラオケ映像とかを思わせて引いてしまうが、これは現地に実際にある橋だそうで仕方ない。その恋谷橋も映っていなくはないようだが、一番出るのは主人公の実家と温泉本通りの間を結ぶ「三朝橋」で、次が足湯のある「かじか橋」なので題名とはずれがある。 映像的には結構風情があって賑わいもある温泉街のように映っており、ご当地映画らしく見所とか名物も積極的に紹介しているようだが(なぜか「ヌード」が目立つ)、足湯などはいいとして、ちょっとそこまでという感じでいきなり砂丘というのは行きすぎだったかも知れない。なお「山陰KAMIあかり」というのは隣の倉吉市で実際にやっているイベントのようで、劇中でも因州和紙というのが出ていたのでここは因幡でなく伯耆ではないかと思ったが、その点は地元でもあまりこだわりはないらしい。  物語としてはいわゆるメロドラマでもなくさらりとした感じにできており、地方の若い人々に対して一度出てからまた戻れというような、現代の情勢からしてあまり無理のない話になっている(出る気がなくても無理に出していた)。町のためにではなく「自分のために」と言っていたのも人間の行動原理の基本を押さえている。 少し気に入らなかったのは、せっかく若い連中が始めたイベントを喧嘩でぶち壊しにしてしまったことである。その後のストーリー展開につながるのはわかるにしても、見る側としては初回のイベントなので成功してもらいたい/一般のお客を落胆させたくない、という思いがあったわけで、ここは観客の気持ちを無視して制作上の都合を通してしまったように見える(一応のフォローはしていたようだが)。 もう一つ、これは絶対悪いといえるかわからないが、「河原風呂」という周囲から丸見えのような感じの露天風呂で、真昼間に女児と男児が素っ裸で入浴(混浴)している場面があり、子どもとはいえ今どきこんな撮影をしていいのかと動揺してしまって、その場面で出た開湯の由来譚が頭に入らなかった。見ている側が気にしなければそれまでだろうが。 だいたい以上のような感想だが、特に主演女優に思い入れがあるわけでもないので点数はほどほどにしておく。
[DVD(邦画)] 4点(2018-08-11 17:12:36)
518.  チェリーボーイズ 《ネタバレ》 
同名マンガの映画化とのことだが読んだことはない。内容は題名の通りで、中高生ならまだしも25歳というのが共感の条件をかなり外している。 登場人物を見て笑う映画のようだが自分としてはバカな連中の出る映画が嫌いなので可笑しくもなく、何でこんなのを見てしまったかと後悔しながら耐えていた。最初に笑ったのは全体の2/3くらいのところで、パチンコ店女子従業員の表情をあまりにじっくり見せられたのでちょっと吹き出してしまった(こんなに可愛いのにこれまで何もなかったわけがない)。また終盤で見せた池田エライザ嬢の呆れ顔も可笑しかったので、女優の顔を見ている方が面白いのかと思ったが、最後のオチがあまりに馬鹿馬鹿しいのでついに笑わされてしまった。 男はみな一様にバカなのかと思えば実際は三者三様で、うち2人は酒屋の男に最後まで付き合う動機はなかったはずだが、それでもついて行ってやったのは友情の証とでも思うしかない。ラストはわずかな前進を見せて終わったようでもあり、それでよくやった、頑張れと言ってやりたくなったわけでもないが、まあ結果的にはそれなりの物語ができていたようではある。自分としては「映画 みんな!エスパーだよ!」(2015)とどっちがマシかと比べてしまったが、大して変わらなかったということで点数は同じにしておく。主要キャストの役者ぶりには感動した。 ※なお「強制性交等」は犯罪です(刑法第177条)。未遂も罰せられます(同第180条)。劇中の公務員は懲戒免職になります。
[DVD(邦画)] 5点(2018-08-04 13:57:01)
519.  舟を編む 《ネタバレ》 
何となくいい映画のように見えるが不満な点も多い。 基本的には不器用すぎて生きづらい人生になりそうだった主人公が、幸運なめぐり合わせと相応の自己変革を経て、社会生活と私生活で自分の居場所と役割を固めていった話と取れる。まことに都合のいい話で羨ましい。 社会生活の面では、主人公が特に見込まれて自分の特性に合った仕事につくことができ、またその仕事を通じた能力開発が促された上での成功だったようである。何十年も同じ仕事で済むなら幸せだろうが、しかしその仕事がまるで周囲に偏見を持たれるもののように描写されていたのは共感を削ぐところがある。この映画では年代を1995年(Windows95の発売の年?)から2010年までと特定し、その間の情報化の進展を背景にした物語にしていたようだが、それなら最後は主人公が自らデジタル辞書(大辞林web版のような)を提案するくらいの発展性は見せてもらいたかった。それでこそ当初からの「今を生きる辞書」の実現になり、同時に昔ながらの古臭い仕事という印象の払拭にもつながったと思われる。  また私生活の面では、男女の役割や関係の変化を背景に、主人公の特性に合った配偶者が得られたことが語られていたように見えなくもない。しかし前半の展開が都合良すぎなのはまあいいとして、結局最後まで話が深まらなかったようで印象に残らない。そもそも主人公のような変人が宮崎あおい級のカワイイ系女子と一緒になるのなら、女子の方もよほど個性的なところを見せておかなければ釣り合いが取れないわけで、今どき単に板前志望の女性というだけでは弱い。また終盤に至っても、パートナーがわざわざ作ってくれた雑煮を食わないで放置していたというのは最悪だ。互いの仕事を尊重し合う関係はできていたのかも知れないが、最低限の思いやりも返せないのではいつ破綻するかと気が気でなかった。逆に最後を「面白い」で済ませたのが安易に思われる。  なお映画の後に原作も読んだが、それほど妙な改変もなく誠実に映画化しようとしたらしいことはわかる。ただ「迎えにきてくれたんだ」のところは、原作では言われた方がキュンとする感じだったが、映画では印象が弱まっていて残念だった。映画独自のよかった点として、手紙が読めないといって本気で怒っていた様子は好きだ。また辞書編集部OBが書いた「ダサい」の用例が、まさに「今を生きる」表現だったことを如実に示した台詞があったのは面白かった。
[DVD(邦画)] 6点(2018-08-04 13:56:58)
520.  劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 《ネタバレ》 
日頃TVを見ないので知らなかったが、3シーズン10年にわたるTVドラマの劇場版ということである。 一見の客として見たところでは、TVドラマっぽい出演者が忙しく立ち回って飽きさせない作りになっている。本筋に関わる話としては主に医師と看護師の結婚話、及び外国へ派遣されるのが誰かの2つで、あとはゲスト出演者や出動場面に起因するエピソードが5個くらい入っている。本筋ドラマが個別エピソードに影響を及ぼしたり、個別エピソードが主要人物の心を変えたりして関連付けができており、またTVドラマ風ではあるが各種の感動場面もある。最後はこの場を去っていった人々も、救急医療で経験を積んだことが別の場所(外科、産婦人科)で生かされたということらしい。 個別エピソードのうち、序盤から衝撃的だったのががん患者の話で、肌は結構若々しく見えるのに突然大吐血したりするのが非常に痛々しい。また11歳で家出した男のエピソードは、小さくまとまりすぎて小噺のようでもあるが、なかなかうまくできた話ではあったと思う。  登場人物では、レギュラーで感じがよかったのは緋山という医師で、本質的なことを真っすぐに言うので人に信頼されるということかと思った。また、すらりと背の高い冴島という看護師(公称169cm)も有能そうで好印象だ(好きだ)が、この人の相手が身長162cm(公称)の男だというのは不満である(役者に恨みはない)。まあその辺は本編ですでに確定していたのだろうから仕方ない。ちなみにキスシーンはなかった。 ほか出演者としては、今回ゲスト出演の山谷花純という人は前から知っていたが、地が可愛いのに普通に可愛い役をやることがあまりない人で、これは本人の役者志向が強いからだろうと思っている(今回は本当に丸坊主にしたらしい)。また馬場ふみかという人は、以前にろくでもない映画でろくでもない役をやっていたのしか見たことがなかったが、最近はこういうまともな役で頑張っていたのだなと少し感心した。ちなみに新木優子さんは今回それほど活躍がなかった感じである。 なお気に入らない点としては主役の男が格好つけ過ぎだということと、重傷者が多数いる中で私的事情でしゃべり始める奴がいることである。脇で黙々と仕事しながらそういうしょうもない話を聞かされている木更津市の消防隊員などはご苦労様なことで、こういう人々が救助活動を地味に支えているのだなという感慨があった。
[映画館(邦画)] 6点(2018-07-28 17:28:19)
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