521. ラスト・アウトロー<TVM>
ミッキー・ローク、怪演を経由して名演の領域にまで到達してます。なんかもう『白鯨』のエイハブ並みの迫力です。毎度変わらぬエリック・レッドのシナリオもグー。当時乱発された異色西部劇としてはベスト3に入るかな。特にラストの対決は、正統派ウェスタンでは絶対やれないカッコ良さでしょう。 7点(2004-03-15 02:43:59) |
522. エンゼル・ハート
《ネタバレ》 どうしても『ドグラ・マグラ』を思い浮かべる作品なんだよね…最初から最後まで出口がないちゅーか。でもラストシーンで、堕ち切ったエレベーターから出てくるロークの姿を見て、ちょっと安心してしまったりもする。絶望的・ショッキングなラストにするのを避け、方程式が解けた瞬間のような「落ち着くべき場所に落ち着いた」という妙な安堵感を漂わすラスト。オカルトとハードボイルドの巧い融合だと思いました。とはいえ、暗いので減点。 5点(2004-03-15 02:34:19) |
523. ジョニー・ハンサム
なんか『レッド・ドラゴン』の犯人の半生みたいな話で、けっこう泣けたのを思い出します。ウォルター・ヒル節はちょっと空回りしてたかなあ。当時だからミッキー・ロークという選択肢だったワケだけど、その時代その時代で主役はいろいろ考えられそうですねえ。今ならジョニー・デップあたり(冷酷な役もやれるし)かな。うーん、『ソラリス』みたいに妙なモンをリメイクするくらいなら、これをリメイクする企画を立てた方がいいかも。 4点(2004-03-15 02:13:18) |
524. ブルースチール(1990)
ロードムービーでないエリック・レッド脚本作品は大して面白くないな。彼のシナリオは、助けの来ない無人の荒野で戦うからいいのだ。とはいえ、夫キャメロンとの愛憎劇をバネにこの作品を監督したビグローの「執念」が、脚本の甘さを補っていると思える。でも、それ以上のモンではなかった。もしこれが「父を凶弾に奪われ、テネシーの田舎町で保安官助手になった女」の話だったら、どれほど震えた事か。製作・監督ともにエリック・レッドのシナリオの使い方がわかってなかったと見た。 5点(2004-03-15 01:54:18) |
525. ロケッティア
ディズニーって、戦時中は『バンビ』での精密なデッサン力を活かして、戦闘機の飛び回る、戦争バンザイな戦意高揚映画を作ってたんだよね。体質的に右寄りなのも創業者ウォルトの頃からだし(ただし国家事業と自作の芸術を天秤にかけると、自作の方が勝ってたらしい)。なんで、この映画は過去のディズニー自身に目を向けたセルフ・パロディに当たると思ってます。ディズニーを深く知ってれば面白そうな場面が多々あるんだけど、コッチはシロウトだからお構いなしの低得点です。 3点(2004-03-15 01:28:09) |
526. 新・14日の土曜日
あれれ? 誰もレビューしてない? ヌルいホラーコメディですけど、好きですねー。「13日の金曜日は凶。14日の土曜日は大凶」これに尽きる映画です。14日の土曜日、襲いくる災厄にどんどん崩壊していく一家。この崩壊の仕方がいちいち笑えて、もう。アメリカで「ホームコメディ」というジャンル(奥様は魔女とかじゃじゃ馬億万長者とか)がまだ確立できていた時分だからこそ笑えた映画なんですかねー。 4点(2004-03-15 00:35:12) |
527. アギーレ/神の怒り
最初のショットがもう、あまりに絶望的で。密林版『八甲田山』である事をこの上なく見せてくれている絵作りでした。でもそこには幻想的な音楽があった。まるで麻薬のようにアンデス越えの苦しみを麻痺させて、一行と共に旅してるかのような錯覚に陥りました。「これぞ、映画だ」。そう思いましたねえ。川下りが始まってからは年末年始の民放特番みたいな映像が延々と続いて、ショボーンって感じでしたが。でもそれもこれもラストシーンの壮絶さを見るまでのこと。あの何だかよくわからない勝利宣言を前に、ぶっ飛ばない観客が居ましょうか。そしてそこにも、あの苦痛を和らげる麻薬的サウンドが満ちておりました。冒険に出たはいいけど結局大自然に負けちゃった者は、みんなあんな幻覚をみるのかもなあ…。 7点(2004-03-15 00:20:23) |
528. リトル・ブッダ
期待ゼロで見に行ったんすけどね。面白かったなあ。前半の強引な坊さん達には「おいおい」って思ったけど、3人の子供の色分けがキレイだし、仏陀の話も以外にイケてる。仏教聖職者(坊主)がいなくて、民俗学者が仏教の普及に努めたフランスでは、まさにあんな感じで説話を捉えてるんでしょうね。最後、砂絵を崩すシーンが絵的に惜しい…リテイクできないんだから、あれこそが真実のフィルムなんでしょうけど。仏教の先入観を消して、頭カラッポにして見るといい映画です。ただ、製作者達の目から見た仏教が、異界の文化だという事にも変わりはありませんな。仏陀と子供たちとチベット仏教を結ぶ糸が、見えそうで見えない。糸なんてないのかもしれないし。 6点(2004-03-14 11:43:28) |
529. アベンジャーズ(1998)
襲いくるクマさんを見て私的にかなりの高得点を獲得。他にもオープニング、サウナシーンとキッチュな見所いっぱい。イギリスとアメリカを分ける、狭い溝に着目しながら見るとツボかも。金と栄光を失った大英帝国にも、意地はあるのだよという事か。 8点(2004-03-14 11:20:47) |
530. ニュー・シネマ・パラダイス
下の度数分布見てビックリでしたよ。こんな曲線見たことないよ。映画館には友人に誘われて見に行きました(ちなみに大宮の映画館)。見る前は冷やかし半分でした。「何でも凄く泣ける映画だって話だぞ。ハッピーエンディングなんだけど、観客全員が泣くらしいんだ」「まっさかなあ」という会話を交わしながら席へ…。2時間後、下を向きながら劇場を出て行く観客たちの列がありました。みんな、泣いてるようですが顔が見えません。そういうオイラも下を向いて列に並んでました。もちろん誘ってくれた友人も。完敗です(笑)。 (372 のちーほさんへ:観たのは完全版の方じゃないですか? 劇場公開版の方は青年時代のほとんどがカットされてますよー) 9点(2004-03-14 00:06:07) |
531. レザボア・ドッグス
この映画を見た時、自分の中で映画観が壊れてしまった。「こんな映画でもいいのか?」という強烈な疑問を感じた。今ではもうすっかり慣れたらしく、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』も観れてしまったくらい(生理的・肉体的にはすごい苦痛だった…ソッチのレビュー参照)だけど、この時は衝撃。監督は明らかに素人だ(後で知ったが、タランティーノはマフィア/ヤクザもののレンタルビデオを編集してストーリーボードみたいなのを作り、映画会社に持ち込んだらしい)。でもこの構成なら確かに撮り切れるだろう。これは「映画」なのか? ラッシュに毛の生えたモンじゃないのか? …数年後、彼が普通の映画を撮り始めてからこう結論した。「巧く乗せやがったなこの野郎」。てなわけで、ハーベイ・カイテルに復帰祝いに4点。 4点(2004-03-13 23:49:28) |
532. スターシップ・トゥルーパーズ
反戦映画だとは思わないんすよね、コレ…反戦映画作るのも無意味に思ってるような、ニヒリズムが漂ってるのを感じます。まあ『グレート・ウォリアーズ』撮ったバーホーベンだもんね。このヒトのSFは絵的な部分までキッチリ考証されてそうな…というか「これ以上やるとファンタジーだ」という一線を理解してる点が凄いです。これが徹底してるから、特にネタ明かしのシーンを入れなくても「本物の情報」と「捏造された情報」とをキッチリ切り分けできる。さすがは物理学の博士号を持ってるだけあるよなあ…って、これは『トータル・リコール』のレビューに書いた方がいいのか。あと、主役の俳優さんは全くの新人で、「ジョニー・リコを演じるなら俺だ!」と自ら売り込んで医者になるのをやめたそうですが…まさかこんな映画になるとは思わなかったんだろうなあ…可愛そうに(薄笑)。 9点(2004-03-13 23:12:33) |
533. ハドソン・ホーク
大金を投じた投げやり作品が大好きなオイラの、ベストシネマ2位。ただ単に投げやりなだけじゃなく、超強引なカットつなぎ(デート先への無理やりな到着シーンなんか、こんなん他の映画で観たことねーよ!)とか昼が夜になる無茶苦茶さ(これはDVD版の監督音声解説で自慢げに語ってますね)とか、判ってやってる点がいいのれす。絶対ありえないバチカン諜報機関とかCIA軍団とかもナイス。だけど世間的には堂々のラジー賞受賞作なのれすね…これからも我が道を行きますとも、ええ。 10点(2004-03-13 22:45:34) |
534. アマデウス
ちょっと挑発的な点数か。ミロシュ・フォアマンは(『ラグタイム』を撮った監督だから)好きな方です。が、この映画のせいで、長らく古典派音楽とモーツァルトを誤解するハメになってしまいました。モーツァルトの死も劇的なんだけど、どうせなら2大作曲家ヘンデル&バッハを失明に追いやったインチキドクターの話も見たいな…このスタッフで。あ、ハイドンの死体が盗まれた話も面白そうだなあ。 2点(2004-03-13 22:24:29) |
535. ストリート・オブ・クロコダイル
一部では有名な、爛れた短編人形アニメ。動きに関しては壮絶なまでの完成度を誇る。コマ撮りで、この湿った感覚、不潔なムードを出すのはかなり難しい(シュバンクマイエル監督を除く)。しかも人形アニメなのに何となくエロいんだこれが。健全な子供のためにある手法の対極を目指した不毛さが、大人心をくすぐるのだ。『ピングー』と一緒に観るとグー。 7点(2004-03-12 06:37:22) |
536. ポゼッション(1981)
うっかりヒトに「コレお勧め!」とDVD貸してしまったのが運の尽き。いまだに恨まれております。後に「アジャーニ=美しき狂女」というイメージを定着させた決定打ですな。これを超えるダイレクトな狂気の体現を、まだ見た事がありません(『鉄男』がかなり頑張ったけど、演出の力だったしなあ)。25歳であの演技が出来てしまうアジャーニの脳内ってどうなってるんでしょうか。そんな凄い大女優とくんずほぐれつの共演しておきながら、いまだに同じ表情でしか演技できないサム・ニールもどうかと思うんですが(誉め言葉)。 8点(2004-03-12 04:07:09)(笑:1票) |
537. ブレア・ウィッチ・プロジェクト
ソニーのグラストロンを買った時、友達から「グラストロンで観るなら絶対この映画だ!」と断言されました。で、恐る恐るDVDを買ってきて…あまりの生理的苦痛で、30分おきに鑑賞を止めて休んでました(←でも最後までメガネで見たバカ)。あのカメラのブレ方や常軌を逸したカットタイミングは、何やら新たな境地を切り開いたかに見えますな。 4点(2004-03-12 03:54:43)(笑:1票) |
538. スニーカーズ
90年代という時代に「神」となる方法を端的に教えてくれた社会派映画。現実世界でも、数学の天才達って要人扱いだそうです(理由はこの映画見てればイヤでもわかるよね!)。見ててめちゃめちゃドキドキしましたよ。この映画のすぐ後に、巨数を一瞬で因数分解する『ショアーのアルゴリズム』が発表されてます(まだソレを動かす量子コンピュータ自体はできてないみたいですが)。だから実は「超」のつくホットなサイエンスストーリーだったんですね。でもまあ、監督はあんなシナリオでもドラマ重視なんだよなあ…「ベテラン外して、その金でアクションとセットを充実させれば?」と、当時は思いましたが。あの地味なムードも捨てがたいんだけど。 6点(2004-03-12 03:04:05) |
539. メテオ(1979)
容赦なく駄作認定。特にミサイル飛ぶとこでマーチ鳴らすのはどうかと思う。巨大隕石モノは数あれど、まだメガネにかなう作品は出てきてないな…。 1点(2004-03-08 08:52:06) |
540. カクテル
原作の1/4くらいしか消化してないよう…もっとスレてズタボロになってく後半の方がパワフルで魅力的なのに…ま、トム・クルーズ作品でそんなの期待しても無理なのは承知してましたが。でもベタ甘なラブストーリーに逃げるのはねーよ。せめてバーテンダーが客を酔わせるセコい手口のイロイロ(シェイクした後でスピリッツを薄くフロートさせるとか)は見せて欲しかったなあ。 1点(2004-03-08 08:09:58) |