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 > にじばぶ さんの口コミ一覧。29ページ目
にじばぶさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3273
性別 男性
自己紹介 監督別鑑賞作品数

成瀨巳喜男 69
溝口健二 34
川島雄三 41
小津安二郎 37
石井輝男 24
豊田四郎 19
石井岳龍 18
矢崎仁司 12
西川美和 8
山下敦弘 15
今泉力哉 21
フェデリコ・フェリーニ 24
ミケランジェロ・アントニオーニ 14
ピエル・パオロ・パゾリーニ 16
ルキノ・ヴィスコンティ 17
ジャン=リュック・ゴダール 36
フランソワ・トリュフォー 24
ルイ・マル 17
ジャン・ルノワール 15
ジャック・ベッケル 13
ジャン=ピエール・メルヴィル 11
ロベール・ブレッソン 12
イングマール・ベルイマン 27
アルフレッド・ヒッチコック 53
ジム・ジャームッシュ 15
ホウ・シャオシェン 19
ウォン・カーウァイ 14
ジャ・ジャンクー 9

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561.  アメリカの友人 《ネタバレ》 
初期の頃に作られたヴィム・ヴェンダース作品だけあって、自分には十分楽しめた。 死を宣告された男が、目に見えない“時間”というものと闘いながら、それでいて自分では分からないうちに大きな事件へと巻き込まれていくという流れは、独特で面白い。  特に、電車内での殺しの一部始終は、手に汗握る緊張感! サスペンスとしての魅力も存分に発揮しながらも、死に直面した男の生き様を描いた人間ドラマとしての深みも加わり、現在のヴェンダースには作れないであろう、個性のある優れた作品である。
[ビデオ(字幕)] 7点(2010-12-12 00:48:38)
562.  囚われの女 《ネタバレ》 
現実世界で女を愛することから逃避しSMの世界に没頭する男と、SMの世界にひかれつつも没頭まではできず相手の男をあくまで現実的に愛そうとする女との、いびつなすれ違いを描いた偏愛的ラブロマンス。  アンリ=ジョルジュ・クルーゾーならではの、芸術的センス爆発な映像の数々。 惜しげもなく、というよりも、むしろ「これでもか!」と言わんばかりの映像の数々に、アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの一種、自己陶酔的なものを感じた。  エリザベート・ウィネルという女優は初めて知ったが、とても魅力的な女優だ。 エリザベート・ウィネルが着こなすグリーンやレッドのワンピース、そしてそこから伸びる肉感的で美しい脚、画面に映えるブロンドヘアー、魅力的な瞳。それをこれだけ美しく捉えたアンリ=ジョルジュ・クルーゾーには、表面的な芸術的センスだけでなく、美しい女性を魅力的に撮るという、監督しての基本的な技量も同時に感じた。  話としては、SM的倒錯世界をテーマにしているが、本作で描かれるSMは、主人と奴隷という主従関係に重きを置いたものとなっている。 SMには詳しくはないが、これぞまさにSMの原点的な悦楽の世界なのではないだろうか。 女を服従させることで悦びを感じる男と、恥じらいながらもそれに服従することで悦びを感じる女との関係。 なんて完璧な相互依存関係なんだろう。 そこには、外界とは遮断された、二人だけの禁断の世界が広がっている。  だが、不幸なことに、本作のエリザベート・ウィネルが演じた女は、この世界に没頭することができず、ご主人様をご主人様として愛することができずに、普通の男として愛そうとする。 それを受け入れられない相手の男だが、心のどこかで純粋にその女を愛していると自覚してはいる。 男はその葛藤に悩まされ、自殺さえ考える。 だが結局、女を女として受け入れることがその男はできなかった。  その結果生まれた悲劇が、ラストの事故シーン。 全身ギプスで昏睡状態のエリザベート・ウィネルが、実に痛々しく哀しい。  アートな雰囲気を全面に出しつつ、こうした人間ドラマも深く掘り下げられた作品で、監督であるアンリ=ジョルジュ・クルーゾーの類い稀な才能を堪能することができ、本作は色んな意味で魅力あふれる作品だ。
[ビデオ(字幕)] 7点(2010-11-21 18:40:37)
563.  ブラック・ムーン 《ネタバレ》 
今まで観てきたルイ・マル作品のイメージとは毛色の異なる作品で、ファンタジー色が全開。 そこにチラリズム的エロスが散りばめられていて、大人のいたずら心が感じられる内容。  胸の開いた白いシャツに淡いピンク色のカーディガン。 そして赤いスカートを身に纏った“少女っぽい”大人の女性が主人公で、すごく美人というわけではないのに、妙にそそられる不思議な魅力を感じた。 26歳とは思えない雰囲気だが、よ~く見るとやっぱりそれなりの年齢も感じたりで、作品の内容と同様、幻惑させられた。  暖炉の前の椅子に寝そべり、スカートから脚が伸びている。 そこに男が近寄り、脚をなでまわす。 このシーンはこれ以上なくエロく、その後に出てくるパイオツ丸出しのシーンなんかより、ずっと興奮した。 それを見て怒り出す醜い老婆がまた余計で、とてもウザく、美と醜の対比を感じさせる。  舞台になっている世界全体が不条理な空気で包まれており、次に何が起こるか分からない面白さもありながら、一方で、ああだこうだ言いながら、そこに居続ける少女にイライラしたりもする。 あんな屋敷なんか抜け出せばいいのにとか、老婆の居る部屋に自ら何度も入るのがおかしいとか、その設定そのものが不条理だったりする。  結局、少女はその不条理で狭い世界にはまり込んでしまうわけだが、夢オチの方が良かったのではないかとも思う。 いや、むしろ夢オチにしてほしかった。 夢オチを嫌いな私が、初めて夢オチにしてもらいたいと思った、貴重な作品。  美しい世界でありながら、同時に不愉快な世界でもあり、何度も観たくなる不思議な魅力に満ち溢れた作品である。  (P.S.) むむ、そういえば肝心なことを書き忘れていた! 前半に登場した、巨大な節足動物。 ムカデのハサミがないヤツというか、なんというか。 あんな虫が本当に存在している(撮影したわけだから)こと自体が、マジでおぞましい。 あのムカデもどきはマジで怖い。 おそろしい。 ヘビなんかよりずっとキモい。 他にもキモい小動物が盛りだくさん。 これこそが、本作の隠れた見所!!
[DVD(字幕)] 7点(2010-11-18 23:54:18)
564.  紀子の食卓 《ネタバレ》 
いかにも幸せそうな家族を演出する父親。 それに嫌気がさして家出をし、商売として他人の家族を演ずる長女と次女。  結局、どちらも演じているわけだから、観ているうちに頭が混乱してくる。 っていうか、“演じている”と言っても、所詮は現実社会での出来事なわけだから、そう深刻に考えなくたって良い。 深刻に考える必要のないことを、本作は2時間半以上もかけてじっくり描く。 だからテーマとしては、特に興味を持てなかったが、話の展開がスリリングで、しかも刺激的なシーンが多いから、飽きさせない。  サスペンスとして観れば、満足に楽しめる力作。 だけど、何かを問題提起しているかと言えば、案外そんなでもなく、薄っぺらい印象はぬぐえない。  長女の吹石一恵が気色悪くて個人的に苦手だけに、次女の吉高由里子の存在が救いになった。 吉高由里子は、生意気な感じがハナにつくが、制服も似合っているし、腕はスベスベだし、何だかんだ言って好きになってしまった(笑)。  ラストの解釈はとても難しい。 結局、最初は地味な存在だった次女が、みんなを戒めて旅立っていくわけだが、そのほかの3人は、一体、最後にどこに辿り着いたのか。 なんか判然とせず、すっきりしないラストだった。
[DVD(邦画)] 7点(2010-11-08 02:08:32)(良:1票)
565.  ハリウッド★ホンコン 《ネタバレ》 
ジョウ・シュンという女優さんは特別好みじゃないけど、この作品自体はかなり好み。  超高層マンションと対比される密集したバラック街の趣きが良い。 周囲は道路で包囲されていて、デルタ地帯の様な状態の集落が舞台だ。 家屋の屋根と屋根がつながっていて、屋根づたいに移動できたりするところなんか、まさに“汚い”香港の風物詩。 バラックからバラックへ鉄製の橋が架かっていたりして、日本ではおよそ見ることのできない建物だらけ。 そんなバラック街を舞台に、話は繰り広げられる。  デブ男3人家族と、その近隣に住む怪しいネット商売をする少年。 そんな男4人のところに、“大陸娘”がやってくる。 16歳という設定らしいが、どう見ても未成年には見えず。 それはそれとして、その少女と関係をもった彼らは、後からその少女が美人局であることに気付かされる。 そして恐喝され、金を払わなかったネット商売の少年は、少女の仲間たちに右腕を上腕から切り落とされてしまう。  とまあ、エログロな内容で全編押しまくってくる。 直接的な描写はないものの、かなりエロいシーンが多い。  それと、本作の冒頭で、デブ3人家族がブタの血を体に付けながら、トラックに揺られる様はインパクト大。 デブ親父が、過っておばさんを殺めてしまい、商売道具でバラバラにしてミンチにし、飼っているブタに餌として与えてしまうシーンなんか、妙にリアリティがあったりして、立派なホラー。  腕を切られたネット商売をする少年が、近所のオバサンに他人の手を移植されてしまう話なんかは、半ばギャグだったが。  映像的な美しさをもった香港映画で、かなり好きなタイプの作品だった。 気色の悪いシーンと、むやみに多いエロシーンが、むしろ邪魔と感じるくらいだ。  少なくとも爽やかな作品ではない。 だけど、怪しくて汚い香港が好きな人なら、確実に楽しめる内容で、香港風味が豊かに薫る作品だった。
[DVD(字幕)] 7点(2010-11-07 01:37:28)
566.  青空のゆくえ
最近の日本映画には珍しい、真っ直ぐでピュアな青春ラブストーリー。  黒川芽以も可愛かったけど、やっぱり素朴な魅力爆発の多部未華子でしょう。 とにかく何てことのないスタイルと顔立ちなんだけど、何故だか魅力を強く感じる女優さん。 有名になる前から何度も彼女を起用し続けた、監督の長澤雅彦は偉い!  ストーリーとしては、中学のバスケ部をめぐる群像劇的なもので、色んな話がてんこ盛り。 その是非はともかく、最初から最後まで奇抜な演出を使うことなく、ピュアな青春ラブストーリーで押し通した内容は、清涼感たっぷりで、時折り挿入される青空の映像と相まって、見終えた後はとても気持ちがすっきりした。  中学生という、多感で異性に興味を持ち始める頃特有の、あのドキドキ感とワクワク感。 それが随所に散りばめられていて、自分も体験したあの頃の甘酸っぱい想い出を、追体験できるのが嬉しい。  流行りの青春映画にありがちな、派手すぎる演出もなく、安心して気持ちよく観られる作品で、地味ながら抜群の清涼感を持つ、隠れた青春映画の秀作。
[DVD(邦画)] 7点(2010-10-31 22:02:08)(良:1票)
567.  怖がる人々 《ネタバレ》 
基本的にオムニバス映画が好きなので、十分楽しめた。 どれもそれなりに面白かったが、個人的に一番楽しめたのは「乗越駅の刑罰」。 萩原流行が演じた駅員の、理屈と暴力の波状攻撃に、観ている私も圧倒された。 異常なほどの頭の回転の速さで、金持ち客を徐々に追い込んでいく様がとっても面白い。  黒木瞳の「火焔つづじ」もなかなか魅力的だった。 あんな色っぽい女性と偶然鉢合わせ、しかも旅館に泊まることになったら・・・と考えると、ワクワクもするが、結局、下心がバレて妙な罪悪感に囚われる。 なんだか、見に覚えがある(かも)しれない話のような気がして、どうも居心地が悪かった(苦笑)。  エレベーターが故障してとまり、密室の中で繰り広げられるサスペンスという、使い古された設定ながら、真田広之の「箱の中」も楽しかったなぁ。 狭いエレベーターの中で、少し頭がいってる感じの、あんな女性と二人きりになったら、間違いなく発狂しそう。 だけど、カバンの中身が子供のバラバラ死体というのは、やりすぎかな。
[ビデオ(邦画)] 7点(2010-10-25 23:39:13)
568.  情婦マノン 《ネタバレ》 
喧嘩し、罵りあいながらも愛し合う二人の男女。 幾たびも、別れそうになるが、そこは運命のつながりか、地獄の果てまで二人一緒。 地獄の逃避行とも言えよう。 最後は一緒に死ぬという、これしかない終わらせ方だが、そこに持っていくまでの見せ方が巧い。  特に、終盤の砂漠を彷徨うシーンが素晴らしい。 そして怖い。 アンリ=ジョルジュ・クルーゾーが創る映画の凄さと面白さが、まさにこの砂漠のシーンに凝縮されている。  愛する人が銃に撃たれて、砂漠で死に、亡骸を運んでいるうちに、徐々に腐り始め、愛する女性が醜くなっていく。 それで仕方なしに砂の中に埋める。 顔だけには砂をかけずに。 なんと哀しく、そして美しいシーンなんだろう。  愛する男女の破滅的逃避行を描いた傑作サスペンスで、この時代のフランスにしか創れないであろう作品。
[ビデオ(字幕)] 7点(2010-10-24 01:36:33)
569.  陽のあたる坂道(1958) 《ネタバレ》 
3時間半に渡る大作だが、それほど長くは感じなかった。  冒頭の石原裕次郎と北原三枝の出会いのシーンからして魅力たっぷり。 映画が始まって、裕次郎が登場して、そしていきなり北原三枝の胸をチクリと触る。 まさに、触りからテンションが上がった。  途中、北原三枝が豪邸の芝生の上で、優雅にバレエダンスを披露するシーンが出てくる。 素人目から見ても、そのダンスたるや、しなやかで実に美しく、魅了されてしまった。  この頃の北原三枝は、エキゾチックな容姿とスタイル抜群のスレンダーな肢体を併せもち、この時代にしてはオバサンパーマではなく現代から見ても普通の髪型であり、また、このバレエダンスの素晴らしさときたら、何でも揃っていて、大スターの裕次郎が嫁に選んだのも頷ける完璧さ。  話としては、大金持ちの一家に渦巻く、複雑な血縁関係や身体的な障害、そしてそれに伴う各人それぞれのコンプレックスを、長い尺を有効に使って丁寧に描いており、3時間半たっぷり楽しめる内容。  裕次郎のキャラが際立って異質で、表面的には怖いくらいに明るく颯爽としているのに、何故だか屈折しているものを内に秘めている。 その何だか得体の知れない、いびつな人間性が実にミステリアスで魅力的あり、最後までひきつけられた。  よくある名家の内幕を描いた作品とは一線を画し、ドロドロとした人間模様を前面に押し出すのではなく、あくまで表面的にはドライなイメージで家族を描いており、その合間に、時折ダークな家族の内情が垣間見えるといった作りで面白い。  青春モノとしても十分に楽しめるし、裕次郎ファンも楽しめるし、北原三枝や芦川いづみといった女優の魅力も堪能できるし、3時間半という長い尺が、実に合点のいく大作である。  限られた登場人物のほとんどが、実は血縁関係にあるという設定には、やや都合の良さを感じるものの、ラストの終わらせ方が実にうまく、未来に希望を持てるすがすがしいラストには、十分満足がいった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-10-11 01:24:17)
570.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
評判通り、とてもよく出来た内容。 武士としんちゃんとの男の友情やお姫さまとの恋愛劇、家族愛などがうまく描かれている。 子供向けというよりも、むしろ大人向け。  アニメという特性を活かしたストーリーは抜群に良く、実写でなくアニメならではの魅力がふんだんに感じられる作品である。
[DVD(邦画)] 7点(2010-10-10 01:07:48)
571.  竜二 《ネタバレ》 
金子正次を初めて観た。 33歳という若さで亡くなった俳優で、どこか原田泰造に似ていなくもない。  作品としては、別につまらなくはない。 指を詰めるシーンが出てきて、「春山病院に行って、竜二の舎弟って言えばやってくれるよ」とか、春山病院に知り合いが居る私としては妙にリアルな話だったりするし、職安通りにある“フランスベッド”の気色の悪い看板が出てきた時には、ほんと大久保の息吹を感じた。 だけど、大久保と歌舞伎町ロケの良さを感じたのはそれくらい。 もう少しロケが欲しかった。  ヤクザがヤクザに飽きてカタギになり、平和な家庭を営むが、やっぱり性に合わずヤクザの世界へ出戻る。 まあ、適材適所、人間最後は納まるとこに納まるといった話なんだけど、ラストシーンで、商店街の大売出しの列に並ぶ奥さんと無言のまま別れ、去っていくという演出なんかは素晴らしい出来栄え。  でも、何ていうのかなぁ・・・どうも個人的には居心地が悪い映画だった。 ヤクザから足を洗ってカタギになったなら、トラブルや倦怠期を根性でクリアして欲しかった。 やっぱり自分も若い頃はフラフラしていて、今は社会的に落ち着いているんだけど、どうもこの映画を観ていると、そんな自分の安定生活がいつかは破綻するような気がして、不安な気分にさせられた。  人生には一大転機というのがあって、そこで異なる環境に果敢にチャレンジするケースってあると思うのだが、この映画は、そんな人間の非人間讃歌になってしまっている気がする。 ヤクザな世界が合うのなら、ヤクザの世界に戻ってしまうのは仕方ないことではあるけれど、一方で、一度カタギになって家族を養い、地道に生きていくことを大の男が決心したのなら、もう少し踏ん張って頂きたかった。 懸命に働き、仕事後のビール一杯に安堵するあの気持ちよさ、あの新鮮さを忘れないでいて欲しかった。
[DVD(邦画)] 7点(2010-10-03 01:53:35)(良:1票)
572.  インスタント沼
終始テンション高めで、わざとらしいボケ発言の数々。 なんか胡散臭いし狙っている感があってどこか居心地が悪いんだけど、最後まで観てみると、意外と完成度が高いことに気付かされる。  冒頭とラストに出てくる松坂慶子と麻生久美子が住んでいる家の色使いが抜群に良い。 麻生久美子の黄緑色のワンピースも綺麗だし、室内の小物の色もそれに似たグリーン系のものが使われていたりして、映像センスの良さを感じさせる監督である。  麻生久美子は、外見的にどうもおばさん臭くていまいちだけど、声のトーンとしゃべり方が魅力的で、どうしても気になってしまう魅力をもった女優だ。  話としては、龍のCGが飛び出したりで、取るに足らない内容だが、映像のセンスがそれを補っている。 作品全体の出来としてみれば、それなりのレベルに達している。 2000年代の邦画の雰囲気をそのままに、終始テンションの高い麻生久美子に圧倒された一本。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-09-29 23:16:25)
573.  ウォ・アイ・ニー 《ネタバレ》 
「愛してる(ウォ・アイ・ニー)」という作品名から想起するに、ピュアなラブストーリーと思いきや、とんでもなく濃厚な人間ドラマだった。「愛してる」とお互いの気持ちを確かめ合い、幸せの絶頂で結婚した二人の男女。晴れて夫婦になったはいいが、結婚してからは喧嘩ばかり。あれほど愛し合っていたのに、何故これほどまでに喧嘩ばかりするのか。しかも救いようのないほどに激しい衝突の毎日。喧嘩のたびに仲直りするとかいうレベルではなく、喧嘩ばかりで毎日がギスギスしている。当然、こんな状況が毎日続けば、夫婦生活は危機に瀕してくる。夫と妻とどちらが悪いか、判断は非常に難しい内容だ。男性と女性によっても見解は分かれるだろう。男は結婚して同居したはいいが、ロクに妻と会話もせず、パソコンに向かってばかり。要するに、独身気分のまま自分勝手に行動している。そこにからむ妻。もっとしっかり夫婦の会話をもちたいとしつこく夫に迫る。なんか、どこの夫婦にもありそうな衝突なのに、この映画で描かれる夫婦の衝突は激しいものがある。それは何故かと考えれば、夫婦がお互いに一歩も譲らないからだ。どこにでもある夫婦間の衝突であっても、相手の気持ちを考えずに、自分の主張ばかりをしていると確かに喧嘩ばかりになるだろう。非常にリアリティのある内容で、私の様な妻帯者にはホラー映画にさえ感じた。この映画から学んだことは、夫婦のどちらが悪いとかを考えるより、相手を思いやる気持ちを持って夫婦生活を送るということだ。でもそれは容易なことではない。相手を思いやりながら、ずっと夫婦生活続けていくためには、それこそいつまでも「愛してる」という気持ちを持ち続けていくしかない。「恋愛と結婚は違う」とか言う御仁がいるが、それは間違っていると私は思う。恋愛を更に成熟させて、相手のことをより深く愛し続けることで、結果、結婚生活もうまくいくのだ。そういう意味では、「ウォ・アイ・ニー」という言葉を安易に発するべきではない。特に、結婚を意識しながら付き合っている男女ならば、結婚してからのことも含めて「愛してる」と言うべきかもしれない、、、いや、ぶっちゃけそこまで私も重くは考えていないのだが(笑)、恋愛から結婚へのつながりを考えた場合に、本作は「愛してる」という言葉の重さ、責任を、観る者に容赦なく突きつけているように思う。
[DVD(字幕)] 7点(2010-09-29 20:18:35)
574.  どんてん生活
山下敦弘監督デビュー作にして、山本浩司のデビュー作である本作は、まさしく低予算映画の雰囲気漂う作品ではあるが、そこがうまい具合に良い方向へ向いている。  うだつのあがらない二人の男の生活を描くには、こうした低予算じみたつくりが非常にマッチする。  冒頭のさびれたパチンコ屋でのシーン。 まずこれからして良い。 服装センスの最悪な男二人。 すっきりしない曇り空。 ふきすさぶ風音。 パチンコで暇つぶしという、その日暮らしを象徴ような状況設定が見事にはまっている。  汚いアパートに住み、裏ビデオのダビング下請けという危険なバイトで生計を立てている。 そこに上がり込む、これまた覇気のないプータローの若者。 確かこの映画が作られた2000年前後は、こうした若者がこういう生活をしていて、それなりに楽しく、なんとか生活できた時代だった。 その時はバブル後の不況から脱出できないどん底の不景気とか言われていたけど、今なんかもっと経済状況は悪化しているわけで、2010年になった今となっては、この映画の主人公二人のような生活さえ難しいかもしれない。 とかく規制も増えて、当然、裏ビデオ稼業なんて摘発される確率も断然上がっているだろうし、更にはフリーターの仕事自体も減ってきている。 だから、この映画の二人は、落ちこぼれの若者だとしても、楽しくやっていけたのだ。  そう思うと、現代はますます厳しい環境になってきている。 ぶらぶらと好きなことやって、適当にバイトして、暇つぶしにパチンコやって、疲れたら寝て、みたいな生活すらも現在は難しいご時世だ。  今から10年前の作品だが、こうしてみると「あの頃は良かったなぁ、なんだかんだ自由だったなぁ」みたいな懐かしさがこみ上げてくる。  この先、不況が更に悪化していけば、この作品を未来の若者が観た時、羨ましく感じるかもしれない。 そういう意味で、この映画は、その時代を鋭く切り取った作品として、今後ますます輝きを増すかもしれない可能性に満ちている。  安っぽさが漂う作品ではあるが、有名な役者が出ていてお金がかかっているだけの派手な日本映画に、決して劣らない力をもった作品である。
[DVD(邦画)] 7点(2010-09-24 00:33:56)
575.  tokyo.sora
東京で生活する女性たちの孤独を、リアルに描いており秀逸。  都内のコインランドリー、夜更けの電車、路地裏の猫。 全て何気ない描写だが、都内で孤独を感じたことがある人なら分かるであろう、極めてリアリティのある繊細な描写は見事。  出演者も粒揃いだが、個人的には好きな役者は出ておらず、そこは残念。  それと粒の粗い画像と聞き取りにくい音声は考え物。 狙ってそうしたのかもしれないが、逆効果と言わざるを得ない。  切り口は実に良いが、それを演出するセンスがいまいちなのが残念な作品。 ただし音楽は素晴らしい。 特にラストに流れる音楽のみずみずしさ。 良い部分といまいちな部分が共存する作品だが、どちらかと言えば好きな部類の日本映画。  派手な演出とスピード感ばかりを重視したメジャーな日本映画が氾濫する中で、本作のような作品はとても貴重。  2002年製作ということだが、2010年代に入った日本映画界でこのような作品を創ることができる環境はあるんだろうか。 興行収入と話題性がますます重視される現在の映画界で、このような作品が世に出るのは難しいかもしれないが、それだけにこういう作品に出会うと、嬉しい気持ちになる。
[DVD(邦画)] 7点(2010-09-22 22:50:05)
576.  華麗なる一族 《ネタバレ》 
山崎豊子原作、山本薩夫監督コンビ作品として、『不毛地帯』に続き鑑賞。 『不毛地帯』とはまた違った意味で、見応えのある内容だった。  佐分利信の独壇場的様相を呈してはいるが、仲代達矢も相変わらずの熱演。 香川京子と中村伸郎と志村喬などは、異常なほどにチョイ役でびっくり。 京マチ子は、二重アゴでこれまた異常なほどに気色が悪い。 酒井和歌子の美しさを発見し、目黒祐樹のニヒルさにも驚いた。 田宮二郎のリアル猟銃自殺を誘引したかのような自殺シーンにゾっとする。  こうした登場人物たちのインパクトも見所の一つだが、やはり山崎豊子の情報収集力に裏打ちされたリアルで重厚なストーリーが、なんと言っても最大の魅力だろう。  結局、言いたいことはシンプルで、日本の資本主義社会の構造は、政官癒着、資本家が労働者を搾取し、結果として、一番の犠牲者は末端の労働者であること。 そして、官僚が権力を欲しいままにし、大企業の資本家すら利用される。 つまりは、弱肉強食の世界。 そして、権力闘争に肉親も恋人もないということ。  佐分利信が、仲代達矢を実の子と知った後でも、その死に対して「企業家である限り、企業存続の危機に直面したら、肉親も何もない」という言葉をはくシーン。 これは実にショッキング。 老いてなお権力に執着することの怖さ。 企業家であろうとも、それ以前に人間なわけで、企業存続のためなら息子も犠牲になるのは仕方ないという論理は到底間違ってはいるが、3時間半も濃厚に財界の内幕を見せられると、そう考えてしまう可能性も十分あり得ると感じてしまったから恐ろしい。  現代日本経済は、不景気から脱出できず低迷が続いているが、その反面、こうした「仕事が全て」といった考え方そのものが薄れてきているのも事実。 そういう意味では、現代の不況極まる日本も、いい面はあるんだと思いこみたい。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-09-13 01:44:05)
577.  不毛地帯 《ネタバレ》 
山崎豊子原作の映画化だが、この人の作品ってのは、とにかく社会的腐敗をこれでもかとばかりにえぐり出し、人間の私利私欲にまみれた裏社会を容赦なく描くので、観ていてほんと気分が暗くなる。  その一方、その洞察は凄まじく鋭く、否応なしに引き込まれる。 目を覆いたくなるほどに汚く、腐りきった権力社会に対する辛辣な切込み。 これは凄いという他ない。  仲代達矢の演技の素晴らしさにも感嘆した。 シベリア抑留のダメージを負ったうつろな目、しぼりだすような声。 会社が自分を必要としたことから、当初の意に反して仕事にどっぷりはまり、追い詰められている時の力漲る演技。 ほんとに素晴らしく、そして偉大な俳優だ。  日本映画史の中で、尊敬する俳優を五人挙げるとすれば、私は迷いなく仲代達矢をその一人に挙げるだろう。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-09-09 01:36:59)(良:1票)
578.  サラバンド
スウェーデンの巨匠監督、イングマール・ベルイマンの遺作。  過去にベルイマン作品を25本観てきて、この遺作にようやく辿り着いた。 やっぱり遺作は、その監督の作品を沢山観てから観た方が、より理解も深まるし、感慨も深くなる。  本作はベルイマンの遺作に相応しい深い内容と出来栄えで、観た後は半ば放心状態になった。 人間同士の愛憎劇を、ここまで徹底的に描かれると、もうあっぱれと言うしかない。  元夫婦の30年の軌跡を辿り、男女とは何か、夫婦とは何かを観る者に問いかける。 そして、憎しみ合う父と子を描き、人間の憎悪の恐ろしさと醜さを容赦なく表現する。 更には、父子家庭における父親の娘に対する偏愛をも描き、どうにもしようのない悲劇を演出する。  これらの人間関係がてんこ盛りの2時間で、その密度は非常に高い。 ベルイマンは、『ファニーとアレクサンデル』で自身のキャリアの集大成としたはずなのに、高齢になってまだこんな力作を創り出す力が残っていたとは驚きだ。  ベルイマンの若かりし頃の作品のような、幻想性・創造性などの要素はさすがに感じられないが、老齢になり、人生経験を豊富に積んだ晩年にこそ生まれた奇跡の作品と言えよう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-09-02 00:03:33)
579.  サマリア 《ネタバレ》 
極めて詩的であり、映像も美しい。 人間誰しもが抱える心の闇を、デフォルメして描いたかのようであるが、都会の砂漠では案外、現実にあり得るかもしれない。  娘は親友の死を弔うために男達と寝る。 しかし、知らない男達と寝るという不純な行為とは裏腹に、その動機たるものには清らかさを感じた。 そこに現れたのは、父親の偏ったいびつな愛情。 父ひとり娘ひとりだと、こういった偏愛はリアリティを持つ。  父娘が二人で居る時は、二人共いたって穏やかでいて、優しい。 この穏やかさこそが、父娘の微妙な距離感を物語っているかのようだ。 つまり、父と娘は互いをさらけ出せていない。 それは相手を愛すればこそもの。 相手を傷つけまいとして、相手との距離があく。 この微妙な父娘の精神的距離感を、繊細な映像で描いてみせたキム・ギドク監督は、紛れもなく天才である。  美しい映像とそれに呼応した音楽で紡ぎ出されたショットの数々に酔いしれた。 叙情的な映像と、それを作り出す技術は素晴らしい。 脚本ありきのストーリー重視型映画でなく、私は本作のような総合芸術的作品がやっぱり好きだ。
[DVD(字幕)] 7点(2010-08-14 12:06:21)(良:1票)
580.  新幹線大爆破(1975) 《ネタバレ》 
不作な日本映画の1970年代にあっては、おそらく屈指の出来栄え。 長いのに飽きさせないスピーディな展開は素晴らしい。 ただし、スピーディさを優先するあまり、都合よすぎる展開があるのはご愛嬌。  それより何より、一番気になったのはラスト。 新幹線は無事停車し、高倉健をはじめとする犯人たちは全員死亡というハッピーエンドに違和感が。 最後に流れた、意味なく平和な感じのするショボイ音楽も違和感ありまくり。 これだけ犯人たちの背景を丁寧に描き、犯人側の人間性も描きながら、表向きはすっきりハッピーエンドというのは、どうもいただけない。  高倉健だけ独り海外へ逃亡し、飛行機に乗り込む高倉健の寂しい後ろ姿をとらえ、それを切ない音楽で包むという終り方が良かったんじゃないだろうか。 大金と引き換えに、かけがえのない仲間を失った寂しい高倉健を、盛り立てるような感じで終わらせてほしかった。
[DVD(邦画)] 7点(2010-08-11 23:51:37)
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