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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1244
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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561.  想影 《ネタバレ》 
若い監督(加藤慶吾)の短編映画で、芸術志向で難解というわけでもなくどちらかというと素直でほのぼの系の映画である。 若い男女の中学(~高校)時代と、大人になってからの出来事を対比させながら進める形になっており、中学時代の方は純粋でいじらしい恋物語である。大人になると青春のキラキラ感もなくなって暗く寂しくなるが、ここでヒロインの鬱屈した思いをどうするのかと思っていると、最後の最後に一定の解決が図られて相応の感動がある(気恥ずかしいがけっこう泣かせる)。それで幸せになれるかというと何も保証はないわけだが、何かは変わるはずと思いたくなるものはある。  主要キャストは男女2人で2つの時代で4人だが、この登場人物/出演者も全体の好印象につながっている。ヒロインの相手の男は、中学時代の姿を見るとあからさまなイケメンのため自分としては拒否感の方が先に立つが、大人になってみると25歳にしては枯れた感じで嫌味なところがなく、相手の言葉をちゃんと受け止める率直さと悪気のなさがこの男のいいところなのかとは思った。 またキャスト中で唯一自分の知っていたのがヒロインの中学時代をやっていた松原菜野花という人である。撮影はこの人が大学に入った年の秋なので、かなり年代を遡った役をやっていたことになるが(それをいえば相手の男もだが)、実際見ればかなり美少女寄りで見事に愛らしい思春期の少女になっている。これまで自分としては外見的に微妙な役をやっているのしか見たことがなかったので、今回初めて普通に美少女役を見られたのは感動的だった。 このヒロインが大人になると変にもっさりした感じになってしまったのは残念だが、この役をやっていた三瓶美菜という人は、キャストインタビューを見ていると非常に愛嬌のある(よくしゃべる、頭の回転の早い)人だったらしい。大人役の2人は中学生役の映像を見てから撮影に臨んだとのことで、2人ともちゃんと連続性を感じる人物像ができていた。
[DVD(邦画)] 7点(2018-07-15 09:29:06)
562.  バトル・オン・ザ・ボーダー ノルディック 極寒の攻防 《ネタバレ》 
原題のGränsenは国境を意味するらしい。内容としては、第二次大戦で中立だったはずのスウェーデンの軍人が国境を越えてドイツ占領下のノルウェー領内に侵入する話であるから、邦題のカタカナ英語よりは英題の“Beyond the Border”の方が実態に合っている。 真面目に見れば、大戦中で極度に緊迫したヨーロッパ世界と、それを知っていながらどこか他人事のような人々の住む中立国の間には簡単に越えられる架空の境界線しかなく、軽率にもそれを越えてしまったことで起きた悲劇と解される。スウェーデン王国では戦前戦後を通じて徴兵制があったようだが実戦経験があるわけでもなく、劇中兵士を見る限りは一般市民も同然で、無惨な死体を見ただけで腰を抜かす連中ばかりのようだったが、これは実際そんなものかと思わなくもない。  ただ見ていて非常に抵抗感があったのは、スウェーデン側の行動に全く正当性がないことである。事件の原因を作ったのは主人公の弟、その後に事態が際限なく拡大したのは主人公のせいであって、死んだ連中はほとんどこの兄弟のために殺されたようなものである。主人公(恐らく職業軍人)が弟のことになると常軌を逸した行動に出るのが異常で全く共感できない。 またそういう納得のいかない展開に、何だかんだと理由をつけて無理やり戦争活劇に仕立てたのは最悪である。暗殺者に狙われたことで被害者意識を出しておき、さらにドイツ側に無駄に残虐な将校がいて拷問していたとかスウェーデンに侵攻する作戦があるとかいう話を出してきた上に、ノルウェー人の個人的復讐心まで加えて補強して、最後はもうどれだけドイツ兵を殺してしてもいいことになっていたが、しかしこれではただの大量殺人でしかない。他人を悪者にすれば自分が何をやってもいいということにはならないだろうが。死んだドイツ兵にも家族がいたはずだとかいうことを考えてみろ。 日本人なら、こういう普通の人間を狂わせてしまう戦争というものが許せないとか結論づければ簡単だろうが、しかし戦争がどうこういう以前に製作姿勢が問題であって、最後の立ち小便など見ると作り手の品性までが疑われる。点数は、まず銃を置けと諭しただけで殺された気の毒なドイツ兵に入れておく。  ちなみに余談として、森の中で直線的に木が伐られていた場所が出たのは国境の表現と思われる。実際に、Googleマップの衛星写真で現地(ヴェルムランド地方のTorsby付近)の国境を見るとこうなっている。
[DVD(字幕)] 2点(2018-07-08 18:58:37)
563.  ×ゲーム(バツゲーム)(2010) 《ネタバレ》 
この原作者の著作は読む気にならないが、今回は原作がどうなっていたのか気になったので読んだ。 原作でも根本原因はいじめだが、起こったことは単なる性格異常者の猟奇犯罪という印象が強い。それだけでは不足と思ったのか、映画では組織的な復讐ということにして社会性を持たせているが、そのためにかえって荒唐無稽の度合いが増してしまっている。また話を大きくした割に、最後に糾弾すべき相手が特定されずに拡散してしまったのは、いわば社会派崩れの腰砕けという印象もあった。 いじめる側や黙認した教員の悪質さを強調して観客の憎悪を煽るのは、映画の見せ場である残虐行為を心理的に肯定させるためだろうが、劇中の大学教員の発言によれば、こういう映画ができるのも世間がそれを望んでいるからだと言い訳していたようで、結局は一般大衆の嗜好に媚びた形になっていたようである。登場人物のうち金持ちの同級生は行き過ぎた復讐という意味合いを出すための存在だったのだろうが、結果的にはあまり印象に残らず、この男が語った心の傷の説明も取ってつけたように思われた。  また原作では性格異常者の極端な執着としか思えないものを、映画では悲しく痛々しい愛情という印象に変え、破滅的なラブストーリーとして一定の共感が得られるよう再構成したと見える。これはアイドル映画としての性質からも十分理解できる。 それと同時に主人公の男の境遇にも憐憫とやるせなさを感じなければならないのだろうが、しかしこの男は最初から態度が極めて苛立たしく(本物のバカ)、自分としては真っ先に死んで当然だと決めつけていたら主人公だったというのが意外な展開で、最後までこの男には同情する気に全くならなかったのは作り手の意図に沿っていなかっただろうと思われる。  そのほか映像化という面では悪い印象はなく、主役の人物も苛立たしい(バカな)人間像を好演している。刑の執行時のおふざけ感などはいいとして、残酷描写はそれほど徹底しておらず(尻に穴がない)、真に迫っているのは登場人物の顔芸だけだったようだが、それも残虐なだけの映画ではないという作り手の意図を反映していると解することはできる。 ただ現実問題として、自分としては見ていて最初から最後まで不快感しかなかったというのが実態だったので、それをそのまま反映した点数にしておく。関係者の皆さんはご苦労様でした。
[DVD(邦画)] 1点(2018-06-30 21:00:33)
564.  携帯彼女<OV> 《ネタバレ》 
[2016-10-09更新] 携帯サイト「魔法のiらんど」で公開されたケータイ小説を原作とした映画で、同じく映画化された「携帯彼氏」(2009)の続編に相当する。少し間が空いているが前作で予告された正規の続編であり、劇中で再現映像も使われている。 内容的には前作よりも陰気な印象になっており、また後半に入ってからの物語がちょっと詰め込み過ぎのように感じられる。悪の根源が誰かに関して二転三転していたようだが、通り一遍の説明があっただけで心に刺さるものがなく、また見ている側の感情面がついて行かないまま転々とするのでかえって意外感がない。衝撃のはずのラストも何となく聞き流してしまう程度のものにしかなっていないが、これはナレーションのせいもあるだろう。 また前半は主人公が当然メインだが、後半に入ると主人公がラストのオチ以外はストーリーと密接な関係がなく、この人以外の人間関係が濃密すぎることもあって、そもそも不要な人物だったのではないかという印象が拭えない。アイドルの出演が前提の企画だったのだろうが、残念ながら半端な感じに終わっていた。 ちなみに興味本位で原作も読んだところ(上記サイトで無料で読める)、映画と同様に真相が転々としていたが詰め込み過ぎの印象はなく、また何より主人公男女の存在感がしっかりしているので(当然だが)安心して読んでいられる内容だった。原作のラストがけっこう感動的なのに対して映画の方は、原作のあとがきの言葉を借りれば「救いのないつまらない作品」になったように感じる。 なお映画の主演のアイドルは、世間的には有名かも知れないが自分としては知らない人であり、かえって邪悪なエリカ役で出ていた女優の方が別の映画で見て印象に残っていた。ほか若手の役者が相対的にしっかりした感じに見える映画であって、邪悪なエリカの兄役(馬場徹)が一途な若者という感じで格好よかった。
[DVD(邦画)] 2点(2018-06-30 20:29:34)
565.  携帯彼氏 《ネタバレ》 
携帯サイト「魔法のiらんど」で公開されたケータイ小説を原作とした映画で、同サイト発のものとしては「恋空」(2007)、「赤い糸」(2008)に続く映画化ということらしい。それを聞くととても成人男子がまともに見るものではないということになるが(「赤い糸」は見ていないが「恋空」で想像はつく)、しかし別に非常識で不道徳な過激描写が連続するわけでもなく、おおむね一般常識の範囲に収まっているので特に問題はない。 ストーリーとしては若年者向けのため他愛ないところもあるが、謎を解明していく要素もあったりしてあまり退屈しない作りになっている。自分としては続編の「携帯彼女」(2011)を先に見てしまったが、それよりはまだしも面白く見ていられる感じだった。特に主人公が小柄で可愛らしいので和むものがあり、「言ったらチョー寒いって絶対引くよ」とかいう今風の台詞が微笑ましい。 公開時には女子高生限定試写会などというものも開催されたようだが、そもそもの携帯サイトが「ガールズエンタテインメントサイト」とのことで、初めから女子が主な対象層だったらしい。この映画でも次の「携帯彼女」でも若手の女性監督を起用したのはそのせいだったのかも知れないが、しかしこれだけの各種美少女満載映画を男子に見せないつもりだったとは考えられない。自分としては前田希美さんという人が出ていたので見たわけだが、この映画では軽薄で可愛気がなく台詞が上滑りするような人物で、いかにも真っ先に死にそうな感じだったのが残念である。まあもともと死体になる役が多い人とのことで、この映画はその最初の例ということらしい。 なお興味本位で原作も読んだが(上記サイトで無料で読める)、主人公の女子(高校生ではなく卒業後の社会人)の考えがその時々の感情で簡単に左右されて不合理な行動に走る様子が見えたりして、そういうところが共感を呼ぶのかと興味深かった。 [2018-6-30追記]主人公の友人役で朝倉あきという人が出ているので再見。当時17~18歳くらいで可愛らしい感じで、若干のお色気担当で熱演している。またお話全体としても「言ったらチョー寒い」言葉がちゃんと生かされていて悪くないと思ったので、この機会に+1点としておく。
[DVD(邦画)] 5点(2018-06-30 20:29:31)
566.  イースターナイトメア 死のイースターバニー 《ネタバレ》 
ハロウィン・ハロウィン2・バレンタインに続く「ナイトメアシリーズ第4弾」とのことで、他の3つを見てしまったのでなりゆきで見た。今回は「日本初のイースターホラー」だそうで、復活祭というもの自体はまともなキリスト教の行事だろうが(そもそも知らないが)、それよりも本体に付随するイースターバニーなるものの胡散臭さに着目した企画ということか。ちなみに原作ゲームはこの映画を見る上でそれほど参考にはならないとの噂である。  内容としては全般的に低調で、映像的な見せ場がないことからすれば物語に重点が置かれているのかも知れないが、結局何がいいたいのかはわからない。真面目に語るのも野暮だが一つ書いておくと、もしかすると最後に裁判官の役を務めたのは主人公だったのかも知れないが、よほどこの主人公が清純で清廉な印象をあらかじめ出しておくのでなければ意外性も何もなく、そもそもキャスティングに無理があったように思われる。 もう一つ低レベルの指摘として、日本語として適切なのは「あなたを呼びます」か「あなたに呼びかけます」のどちらかであって、「あなたを呼びかけます」という言い方はありえない。これを書いた人物はよほど国語が不得意だったか外国人と思われる。  登場人物に関しては、まず劇中にバニーガールの扮装をする人は出ない。やるとすれば主演の人だったかも知れないが、バストの大きさが強調される服装が多いという程度で抑えている。この人のほかに男っぽい同級生役(女子)や、いたいけなウサギ役の人は別のところで出ていたのを知っているので自分にとっては無名の人々でもない。最も普通に愛らしく見える同級生役は知らない人だったが、現在は女子プロレスの道に進んでいるとのことで、何が起こるかわからない世の中である。
[DVD(邦画)] 2点(2018-06-30 20:23:07)
567.  HALLOWEEN NIGHTMARE ハロウィン ナイトメア 《ネタバレ》 
「ハロウィン ナイトメア2」(2015)の方は前に見たが、この映画の主演が「かぐや姫の物語」(2013)の主演声優だったとのことでこれも見た。「かぐや姫」の方はあまり可愛げのないキャラクターだったが今回は当然顔出しで、自然体で活動的な編集者の役がなかなかいい印象である。ちなみに劇中の編集長には美少女の娘がいることが次作で明らかになる。  基本的な性質としては低予算ホラーだが、監督と脚本家が「口裂け女2」(2008)と同じのため一応期待が高まらなくもない。短い映画ながら主人公をオカルト雑誌の編集者という設定にして、10年前から続く不気味な事件の謎を解明していく形にしている。日本でハロウィンのホラーというのは無理やりだが一応の説明は付けてあり、変な外来種を持ち込んだために、国内で被害が拡大していく結果を生んだ関係者は罪深いと思わせる。 また不自然さ(制作側にとっての都合よさ)をそれほど感じさせない作りになっており、登場人物の微妙にユーモラスな掛け合いや皮肉な物言いが気の利いた印象を出している。最初の事件が小平市といった地味目の地名だったことや、職場でフォトショップが使える、フェイスブックも効果がある(ない)といった具体的な事物が劇中世界と現実との距離を縮めていた。それにしても登場人物が何で「甲府事件」(1975)なるもの(ストーリーと直接無関係)を重視していたのかはわからない。スタッフの中にこの手のマニアでもいたということか。 視覚的には黒い霧などは安っぽいが、全体的には絞った形でスリリングな場面を設定している。最後の12分間を視覚化するための場所選定も(多少無理はあったが)効果的で、エンディングにつながるところも心地いい。主人公はよく頑張ったと言ってやりたい。  なお雑談として、主人公の友人が真昼間に襲われた場所は千代田区とされていたが、撮影場所は川崎市の武蔵小杉(中原区小杉町)にあるカフェだったらしい。いかにもただの古い住宅を改装した作りで、同種のものが「ハロウィン ナイトメア2」でも使われていたが、近年こういうのが好まれるようになっているということか。現地は「シン・ゴジラ」(2016)にも出たタワーマンションが林立する地区に接しており、長期的な土地利用でもないだろうが、空き家のとりあえずの活用方法としてはよさそうな感じである。
[DVD(邦画)] 5点(2018-06-30 20:23:04)
568.  ももへの手紙 《ネタバレ》 
監督の名字が「瀬戸内の民俗誌」の著者と同じだったため、この地方にはこういう名前の人が多いのかと思ったら実の甥とのことだった。学者の親戚ということで“妖怪は神の零落したもの”といったそれらしい知識は出ているが、劇中の主要妖怪は姿形を江戸の黄表紙本から取っているので土着性はないことになる。   ストーリーの方は、意外にもごく普通の出来事が淡々と起こっただけのように見える。夫を亡くしたことで母親が気負っていたのはありがちなことであり、また父親の残した言葉も娘には謎だったというだけで、本人をよく知る人物にかかれば誰にも納得できる解釈が容易に出て来る。いずれも自分の立場を離れてみれば簡単なことだが、子どもの目からは妖怪は見えても人間が見えてなかったということかも知れない。友人関係に関しても、劇中では妖怪が去ったことを契機にしてやっと子どもらの中に飛び込む決心がついていたようだが、実際は少年も妹も最初から主人公を仲間に入れたがっていたのであり、本人がその気持ちをいつ受け取る気になるかという程度のことだっただろう。 また今治へ集団で押しかけていたのも、本当にその結果として母親が救われたことを示す場面はなく、単に関係者の気持ちの問題ではなかったのかという気さえする。劇中の妖怪連中は結局、主人公にとって何ら決定的な役割を果たしていなかったように見えるが、しかしそれは前記のように、その存在が今日では人間社会にとって必須ではないという妖怪自体の性質を反映しているのだろうし、あるいはストーリー的に安易な神頼みをあえて排する意図があったのかとも考えられる。文字通り見守っただけというわけだが、ただし出来事の大事なところを補強し、あるいは強調してはっきり見せたことで、今回のことを主人公の心にしっかり刻み付ける役には立っていたかと思われる。   以上、結果的に悪い話ではないが、内容があまりに普通すぎて大感動作ということにもなっていない。しかし主人公の少女が変にリアルに可愛らしい(おしりを叩かれて「痛ぁーいっ!」と叫ぶのが生々しい)ので、やはり少しいい点にはしておきたくなる。友人の少年も実直そうな感じで悪い奴ではないようだ。また映像美が大きな魅力になっているのも間違いないことと思われる。
[DVD(邦画)] 7点(2018-06-24 13:09:56)
569.  きみの声をとどけたい 《ネタバレ》 
言霊を扱った映画は「学校の怪談 呪いの言霊」(2014)以来である(中身は全く違う)。 個人的には最後の展開が意外だった。まさかこうなるとは思わなかった。年少者向けアニメとはいえ一応は現実世界のこと(紫玉は主人公の主観的な現象という前提)として話が進んでいくので、キセキという名目で絶対あり得ないこと(皆が見ているところで紫玉が大量発生)を起こすとまでは予想していなかったわけだが、まあこれは初めからこういうものだったと割り切るしかない。意識障害からの回復は絶対あり得なくはないので、そういうことなら普通に奇跡として受け入れられる。 中心テーマのコトダマに関しては、悪口を言うと本人に返るというのは現実的な教訓だが、願いを言葉にすれば必ずかなうとも思われない。口に出すのが実現のための第一歩というならそうかも知れないが、それは努力家のお嬢様にこそふさわしい行動様式である。そこまでご立派でなかった主人公も、自分の言ったことを自分で受け取った結果として生きる姿勢を改めて、それがその後の就職につながった…と思えばいいのかも知れないが、どうも派手なキセキに気を取られて、まともな成長ドラマの部分が見えない気がする。  一方、音楽著作権には厳しい割に、その他社会通念は無視というのはこの手のアニメに必須だとでもいうことなのか。特に、いくら高校生の趣味的活動でも、商店街の協力者やリスナーを巻き込んだ時点でそれなりの責任が発生するのであって、病院の母親とさえ直接関係のない個人レベルの事情で放送を使うのには反感を覚える。いろいろ気に障ることは多いながらも、“これはほのぼの系アニメだから”と自ら宥めながら見ることを強いられて、それが最後に全部帳消しになるほどの大感動はない感じだった。 ちなみに劇中の女子高生が外見的にみな可愛いのはアニメなので当然として、人格的に最も魅力がないのは主人公だった(一般代表を兼ねているからか)。人間以外ではカエルの位置付けが半端である(仏様の化身?)。  なお余談として、「長寿の鐘 お題目を唱えてからおつき下さい。」と書いてあるのに主人公が完全無視していたのは自分が咎めることではないとして(この宗派に特に義理はない)、その方面では有名と思われる「龍ノ口法難」というのがこの辺のことだったというのは今回初めて知った。この宗派でも言霊は重要なのか。
[DVD(邦画)] 5点(2018-06-24 12:59:11)
570.  便利屋エレジー 《ネタバレ》 
便利屋営業の3人が、シングルマザーと家族の間をつなぐ話である。大人同士の関係ではもう動きが取れなくなった状態で、あえて子どもを中心にすることで物語が前に進んでいき、ラストは子どもの笑顔が嬉しいハッピーエンドになっている。柄にもなく子役の表情にキュンとさせられるところがあり、また料理が父子の距離を縮めるというのもいい話だった(ただし作ったものはちゃんと食え)。 やりすぎ、できすぎという面はあるだろうが、そこは架空のお話ということで問題を感じない。社長には過去の体験から、困っていても言い出せないでいる人を助けたいという思いがあり、また年長の社員も父親が原因で心に傷を残していて、それぞれの事情が行動を促す形になっている。結末も絶対ありえないわけではなく、劇中タレントの既成イメージにうまく乗せられれば今後の持って行き方はありそうな気はする。マネージャーの変心だけは少々都合よすぎかと思ったが、これもその前の場面で家族のつながりを見せつけられたからだと解される。 ネット上で観察した限り、日本中でほとんど誰も見なかったかのような印象もある事実上の超マイナー映画だが(著名レビューサイトでも現時点で投稿が1~2件)、見れば意外に泣かされる話だったので少しいい点にしておく。 なお登場人物では、元AKB48の永尾まりやという人が夜の仕事で子育てしているシングルマザーになっている。女の子でもないがくたびれてもおらず、ほどよく華のある母親役だった。
[DVD(邦画)] 7点(2018-06-17 10:08:43)
571.  口裂け女VSカシマさん<OV> 《ネタバレ》 
ひたすら逃げる映画である。最初の出現時には、歩道のフェンスも自転車小屋も乗り越えてひたすらカメラと鎌が迫るのを見て少し期待できるかと思ったが、その後はただ逃げるだけになる。夜になって登場人物がやっと周囲に助けを求め始めたので少しずつ進歩しているのかと思ったが、同じ行動様式を最後まで続けるのでは呆れてしまう。 しかし途中でこれは画期的だと思ったのは、人のいないところばかり狙ったように走っているのを登場人物が自覚していたことである。これは制作上の都合を登場人物に語らせるメタフィクション構造ということか、あるいは観客の心理を代弁させたということなのか。また宣伝に出ていた「渾身の長回し」というのは、地下駐車場で柱の周囲を回る場面がそうだったのかも知れないが(前後含め約5分)、見た結果としての感想は「さっきの、何だったの」「おれもわかんねえよ」という発言の通りで、ここも登場人物と観客の一体感をわずかに出していた。  今回登場の二大キャラクターはそれぞれ独立の存在のはずだが会えば対立するようで、ゴジラのような二足歩行怪獣の脅威が迫ったところに、脇の方から別の怪獣がのそりと這い出して睨み合う、といった昭和怪獣特撮を思わせる場面もあった。ちなみに二大キャラクター以外にヒトコワ系変質者が出たのは唐突で意味不明だったが、ここは何らかの必然性があったのかどうか。 最後に追い詰められた(自分で追い詰まった)場所は、「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」(埼玉県川口市上青木3-12-63)の屋上だったようである。ここでの出来事も理解不能だが、あえて解釈すれば都市伝説のキャラクターは人の心の負の感情からできており、破裂して飛び散ったものを浴びた2人がそれぞれの内面をさらけ出してぶつかり合ったことで相互理解に至ったという感じか???? …結局よくわからないが、ちなみにいえば口裂け女の本質が「追いかけても届かない」ことだというのでは恐れられる理由がなくなり、存在意義まで危うくなるので納得できない。ただ最終的にラブストーリーだったらしいのは大変結構なことで、少し前までAKB48所属だった永尾まりやという人のキスシーンもあったりするので軽くは扱えない。 以上、最大限真面目にコメントしようとしたが、褒めるには申し訳ないが能力の限界がある。出演者・制作スタッフには今後の活躍を期待する。
[DVD(邦画)] 2点(2018-06-17 09:57:44)
572.  リアル人狼ゲーム 戦慄のクラッシュ・ルーム 《ネタバレ》 
「リアル人狼ゲーム」(2013)という映画に続く第二作という扱いらしい。「人狼ゲームを題材にした」とされているが、驚くべきことに人狼ゲーム自体は出て来ない。グループの中に殺人者が混じっていて人が次第に殺されていくのを人狼ゲームに見立てたのだろうが、それにしてもよくここまで堂々と開き直るものだと思う。なお自分としては人狼ゲームを見るのが目的ではなかったので別にどうでも構わない。  前作は見たことがないが、今作は(も?)基本的には密室サスペンスといった感じのもので、マンションの一室にたまたま集まった8人が殺されていく展開になる。メインテーマのような曲とか仕掛人の人物像からすると古風なミステリーの雰囲気でも出そうとしたのかと思ったが、そもそも未知の科学力だかオカルトだかわからないネタを使っているわけなので真面目に考えても仕方なく、これで最終的に辻褄が合っていたかも不明である(考える気がない)。また全般的に登場人物の考え方や行動に人として不自然な点が多く、「前作よりも緻密なストーリー展開」とされている割には緩い印象があるわけだが、それより専ら意外性が重視されていた気はしなくもない。発端になった出来事の真相などはありがちな感じだったが、何より人が死んでいく順番が意外だったとはいえる(1人目を除く)。  ちなみにこの映画は当時AKB48所属だった永尾まりやという人の初主演映画ということになっているが、登場人物の中で唯一特殊な立場というだけで、終始大活躍でもなかったのはかえって妥当な扱いかも知れない。また若手女子では花村裕加という人(後の小西キスという人?)も結構目立っていたが、2人とも唇が特徴的なので重複感があるというか何かこだわりがあったということか。もう一人、少し年上で落ち着いた感じの所里沙子さんは、これまで見てきたところでもあまり派手な役がなかったので今後に期待したい。
[DVD(邦画)] 3点(2018-06-17 09:57:41)
573.  ホワイトアウト フローズン・リベンジ 《ネタバレ》 
邦題は気分的なカタカナ言葉を長々と連ねているが、原題の”Прячься”というのは隠す/隠れるという意味の動詞の単数命令形のようで、要は「隠せ」とか「隠れろ」の意味かと思われる。 日本向け宣伝では「クローズド・サークル・サスペンス」とされており、非常に真面目な作りで変な見せ場は全くない(オカルト・SF・ファンタジーなし)。人里離れた測候所で消息を絶った5人と、後日、それを捜査に来た捜査官2人を中心に、何が起こったのかを次第に明らかにしていく物語で、時間差のある出来事が並行して進んでいく形になっている。それで特にわかりにくいわけではないが、最初に時間を遡った場面で、画面の左下にロシア語で「二日前」と表示されていたのを字幕で説明していないのは不親切である。 世間的な評判としては悪くないようだが、自分にとっては申し訳ないがそれほど感慨深い話でもなかった。ただし名探偵の相棒を気取っていた若手捜査官が、最初に自ら進んで残留したのが残念な結果になったのだなとは思う。また昔起こった殺人の理由は不明瞭なまま終わったが、こういう国ではそういうことがよくあった(ある?)のだろうなと思わせる台詞は出ていた。  なお舞台の測候所は高地にあり、それほど厳寒期でもなく地表面も見えるので「ホワイトアウト」の状態に至る場面はなかったが、天候によっては全く視界が効かなくなり、また晴れれば遠くの平地まで視界が広がって開放感が生じるといった変化は出していた。序盤のヘリコプターで空からしか来られない場所ということが印象づけられるので、当方としては字幕に出ていた「ウラルから極東まで」のどこかをイメージしていたわけだが、実際の撮影場所はクリミア半島だったらしいのは意外だった。そういうつもりで見れば、遠方の都市部のように見える場所はクリミアの首都シンフェロポリかという気もするが、そのように思ってしまうとかなり興醒めである(シベリアとかだと思いたかった)。 そのほか登場人物に関して、妻役の女優はハンガリー生まれのロシア人で、NHKの「坂の上の雲」にも出演したマリーナ・アレクサンドロワという人だが、この映画では単なる化粧の濃い美女であって特に可愛く見えるところはない。19歳の男を誘惑する30歳の女(女優の年齢は27~28歳くらい)という役どころで、素っ裸になりそうでいてならないのはちゃんと抑制がかかっている。
[DVD(字幕)] 5点(2018-06-10 19:30:00)
574.  ストリート・レーサー 《ネタバレ》 
ロシアの大都市サンクト・ペテルブルグの街中(と郊外)を、若い連中が車で走り回る映画である。原題の”Стритрейсеры”はStreetracersそのままの言葉で、邦題も同じく素直なネーミングになっている。 車の種類はよくわからないが日本車がかなり出ているようで、そのせいか当時は日本向けのオフィシャル・サイトもできていたらしい。どうせ壊されるのは日本車ばかりだろうと思っていたらそうでもなく、欧州車も最後はブチ壊れてしまう運命にあったが、ヒロインの愛車であるトヨタ・セリカは最後まで無事だったようである。外観的にピンクのデザインがキュートでヒロインに似合いのクルマだった。 なお唯一のロシア(ソ連)製乗用車だった主人公の車(Т-34と書いてある)は早々に退場してしまっていたが、ほかに冒頭の戦車レースでは本物のロシア(ソ連)製戦車らしきものも出ていた。  物語としては、ロシア社会の裏にはびこる悪に若い連中がからめとられていくのかと思っていると、結果的には真の悪が無残に滅び、自由な若者が祝福される話になっている。若者同士の対立関係も陰湿にはならず、特に主人公とライバルの対決の結末は意外で、こういう展開もありうるのだなと感心した。ほかに笑わせるところも結構あって楽しめる(コックリさんなど)。 映像面では、暗く冷たいロシアという先入観(というか偏見か)を崩すような暖色系の色彩が中心で、車のカラーリングもどぎついというより普通にカラフルな印象になっている。都市景観の面では古い街並みも見えていたが、特に川沿いで空が広く見える風景にこの街らしさが出ているのではと思ったりした(1回しか行ったことがないが)。また運河の名前も出て水の都を印象づけている。 登場人物としては、ヒロイン役はハンガリー生まれのロシア人で、NHKの「坂の上の雲」にも出演したマリーナ・アレクサンドロワという女優である。今回は走り屋の不良娘だが、なかなか可愛いところも見えるのはよかった(変顔も出る)。  なお余談として、劇中の車に関する情報は各所に出ているが、序盤で出た戦闘機?が何だったのかの解説はない。見たところ、機首部分やエアインテークの形状、並列複座であること、また可変翼のように見えたことからSu-24と思われる。もう一つ、菅田将暉似の男の車のナンバーが「1000000УЕ」(Условная единица)だったのは多分「100万ドル相当」という意味である。もともとインフレが激しかった時期の表示方法らしい。
[DVD(字幕)] 6点(2018-06-10 19:29:56)
575.  HALLOWEEN NIGHTMARE ハロウィン ナイトメア2 《ネタバレ》 
名前からすると「ハロウィン ナイトメア」(2015)の続編らしい。前作は見ていないが、これ単独で見る限りはストーリーなどどうでもいいように見える。ほとんど空虚な映画だが、そこを何かが起こりそうなこけ脅しと、主演女優の映像で埋めて1時間にした感じである。 こけ脅しに関しては、いかにも何かが起こりそうでいて、何もないまま次の場面に移って束の間の安心感を生じさせるのは、中身のないホラー映画の典型のようでもあるが実はそれほど嫌いでない。また女子高生4人組がメインと見せておいて早々に脱落者を出してしまい、主演女優ばかりが終始目立っていたのも結果的には悪くない。武田玲奈さんの初主演映画らしいが(自慢にもならない感じだが)、この人の顔はもちろんすらりとした体型を含めた全体像を印象づける映画になっており、そっちの方が真の製作目的かとも見える。 また、どこかのショップ(注:原宿に直営店があった輸入コスチューム・ランジェリー販売店)で「かわいい」連発の映像を延々と流すとか、カボチャの投げ合いをまた延々と続けるとかを含めて全体が1時間なわけだが、終盤のパーティ会場の怪しげな空間(注:東武線曳舟駅近くのダイニングバーを借りたらしい)での妙な高揚感も含めてgirlyな色付けがなされており、これがエンディングにも引き継がれて変な余韻を残す映画になっていた。 ほか細かいところでは、女子2人が走って逃げた場面で傘が裏返ったとか、2人目の失踪場面で背後に宅配便のトラックが意味ありげに停まったとか、主人公が友人を探しに出ようとして少し突っかかったとかいうのは意図不明だった。しかし女子2人の後を追ってストーカーが出て行ったところの流れは好きだ。  ちなみに山下洋助監督は、この少し前の「リスナー」(2015)というオムニバス映画で「RADIO GIRLS」というのを見たことがある(女子高生4人の太ももが見どころとのこと)。その時点で東京芸大の院生だったはずだが、当時からこういうことをやっていたらしい。 そのほか余談として、主人公の父親が関わっている月刊誌に「比謝愛未VS狐憑き」という記事があったので“比嘉”愛未ではないのかと思ったが、今野敏という作家の「心霊特捜」という小説に比謝里美(ひじゃさとみ)という登場人物がいて、「狐憑き」というエピソードもあるらしいので読んでみるかという気になった。映画化の素材としてもいいかも知れない。
[DVD(邦画)] 3点(2018-06-09 16:35:54)
576.  限界戦線 《ネタバレ》 
邦題は中身と関係なく適当に付けてあるが、原題の“Последний бронепоезд”は「最後の装甲列車」という意味のようで、英題はその直訳らしい。ちなみにロシアとベラルーシの合作ということになっているが、場所がベラルーシというだけで、ベラルーシという国の主体性は特に感じられない。 本来は映画というよりTVドラマであって、オープニングなどいかにも連続ドラマ風にできている。IMDbによれば放送時には全4回で計124分、拡大版が6回で計215分で、映画版として上映されたのはTV4回版に相当するものらしい。TVドラマをつないだためか、戦闘場面のほかに若手・年増女子2人とのからみとか戦闘ともいえない殴り合いなど、各種の見どころを少しずつ出して連続させていく形に見える。しかし全部通して見ての高揚感とか満足感があるわけでもなく、いわば暇つぶしで延々とTV番組を見ている感じになっている。  物語としては1941年6月の独ソ戦開始から3週間経った7月中旬の出来事で、ドイツ軍が早々に占拠してしまった鉄道橋を、現地のソビエト軍が装甲列車に頼って取り返す話になっている。スターリンによる粛清で軍が弱体化していた時期であり、地位を追われて収容所にいた元軍人を主人公に据えることで、最後にソ連側が勝ってもソ連万歳には必ずしもつながらない話を作っている。 軍事に関しては詳しくないが、原題の装甲列車は文字通り装甲していて砲や機関銃も備えていて勇ましい感じに見える。またグライダー(滑空機)による空挺作戦が珍しく見えたり、急降下爆撃機がこういう風に降りてきたら怖いだろうと思うところもあった。特に個人的に印象深かったのは、砲撃で死んだ男の腹が裂けて腸がはみ出していた場面で、実戦なら陸海問わずこういうことはいくらもあっただろうが、映像化してみせたのは自分としては初めて見た。 ほかキャストに関して、若い看護師役はハンガリー生まれのロシア人で、NHKの「坂の上の雲」に出演して強い印象を残したマリーナ・アレクサンドロワという女優である。この人がなんと裸になるというのがこの映画の売りになっていた(少なくとも自分はそのつもりで見た)が、実際はほんの一瞬上半身を見せるだけの控え目な露出だった。別にそれで落胆して点数を落としたわけでもないが。
[DVD(字幕)] 4点(2018-06-04 21:25:55)
577.  THE レジェンド -伝説の勇者- 《ネタバレ》 
邦題が俗な感じで全く信用する気にならない。原題の“Stara baśń. Kiedy słońce było bogiem”は英語でいえば“Ancient Tale: When the Sun Was God”のようで、要はポーランドにキリスト教が導入される以前、太陽を信仰していた頃の昔話である。 この辺の歴史はよく知らないが(それをいえばどこの歴史もよく知らないが)、ポーランド王国の最初の王朝「ピャスト朝」につながるピャスト家の創始に関わる映画であるらしい。年代としては9世紀あたりのようで、日本では平安時代に当たる。史実とも限らないが全部が創作ということでもなく、年代記に書かれた内容をもとにして、英雄とか恋愛とか当時の風習などの見どころを加えて娯楽性を高めようとしたものらしい。大昔の話ということで若干のファンタジー感も出してある。 話の大筋としては、部族連合の長?だった王が絶対権力を得ようとして失敗し、代わりに皆の支持を集めた者が王になって、サクソン族やバイキングといった外敵に対抗する体制を整えた形になっている。王の専制を否定する点で、後世のいわゆる「貴族共和国」のようなあり方を目指していたようでもある。  しかし実際見て思うのは著しくスケールが小さいことで、せいぜい田舎の村同士で抗争している印象しかないが、逆にこの時代のこの場所では実際この程度のものだった、というようにも取れる。少々古くさい映画に見えなくもないが、それでもCGを入れたりしているのは一応21世紀の創作物である。 考証的に正しいのかわからないが興味深かったのは、夫が死ぬと妻が生きたまま一緒に火葬される風習(本当か?)やバイキングの行動様式といったものである。湖水に守られた木造の城塞は目を引くが、これに当たるものが実際にKruszwicaという場所にあったらしい。また舟で渡る聖堂の島はアルノルト・ベックリンの「死の島」を意識していたように見える。ほか王が籠城を決めた後に、何が行われているかをしばらく説明せず、王子の死で一気にわからせるといった少し気の利いた展開もあった。 登場人物としては、ヒロイン役のマリーナ・アレクサンドロワという人はハンガリー生まれのロシア人で、NHKの「坂の上の雲」では可愛らしいロシア女性を演じていたが、この映画でも注目せずにはいられない可憐な美女になっている。主人公の男もけっこう格好いいのでヒロインとはお似合いだと思ったが、この男に横恋慕した船着場の娘はかわいそうだった。
[DVD(字幕)] 5点(2018-06-04 21:25:50)
578.  キル・鬼ごっこ<OV> 《ネタバレ》 
孤島に集められた連中が殺し合いをする映画で、宣伝では「バトル・ロワイアル」(2000)の流れをくむものとされている。今になればもうこの手のものなど見なくていい気もするが当時はまだしも新鮮味が残っていたものか。題名は「キル・ビル」(2003)と「リアル鬼ごっこ」(2001年発行)から借りたのかも知れないが、鬼ごっこにはなっていないので看板に偽りがある。殺戮の残虐度が低い上に緊迫感もなく、人間を盛大にぶち殺したい観客の意向には全く応えられないと思われる。 テーマについては監督本人がいろいろ語っており、作り手が何も考えていなかったわけではないことはわかる。一応紹介しておくと、17歳くらいの少年少女に生死の問題を意識してもらうこと、また欠点との向き合い方を考えてもらうことが重要だということで、要は17歳前後の観客が見る映画ということである。また出演者の言葉として、これを見る時は部屋を暗くして仲間と騒ぎながら見てもらいたいと言っていたのは本質をついている面もあるとは思うが、そういう場面で本当に有用なのかも若干疑問がある。 個人的感想としては登場人物の反応がいちいち鈍いのが非常に苛立たしく見えたが、映像的には絵として見映えのする場面も多いように思った。撮影場所は島ではなく静岡県とのことである。  登場人物に関しては、誰ひとりとして17歳には見えないがそれを言っても仕方ない。ヒロインはかろうじて18歳くらいだと思うが大人びているのでセーラー服が似合わない。また近年もあることだがダンスグループのメンバーが大挙出演しており、そのせいか劇中に特に必然性のないラップとかダンスの場面が入っていたりして、噂に聞くインド映画とはこういうものかと思わせる。その程度はまだいいとして、突然の剣劇などは若者向けの趣向とも思われず、こういうストーリーと無関係な演芸を披露するのはさすがに不可解だった。 またエンディング後の追加場面は、製作上の要請でやったとのことだが明らかに不要である。ただ明らかに不要な印象を受けることからすれば、逆にこれは無視して構わないという意思表示だったとも取れる。
[DVD(邦画)] 2点(2018-05-30 21:51:14)
579.  無人島物語 BRQ 《ネタバレ》 
見る予定はなかったが時間が短いのと無料だったので見た。題名は今の感覚だとBBQと間違えそうになるので注意が必要である(全く違う印象の題名になる)。 レースクイーンの出演が売りのようだが、自分としては当該分野に全く関心がなかったのでほとんど誰も知らない。かろうじて「牛川とこ」という人だけは名前のインパクトもあって記憶に残っており、この人を見ようというのも動機になったとはいえる。それにしても2001年の製作ということは、この人ももうそれなりの年齢だったということになるわけだが、もとが童顔なのでそこは許される気がしなくはない。現在は引退して子どももいるとのことで、公式ブログなど見ると今でも可愛く見える写真が載っている。 この人以外の顔は全くわからないが、例えばいかにも曲者じみたアオイという人物役が誰なのかくらいは知りたいところだった(麻田ユリカという人か?)。どうせこんな映画?で名前にこだわる必要もないだろうから、出演者名と役名を全部同じにしてしまえばよかっただろうが、そういう知恵は当時はなかったらしい。  中身に関しては、要は孤島に集められた連中が殺し合う話である。政府がどうしたとかいう大仰な理屈もなく、ただ単にシチュエーションだけが用意された印象で、最後に何か説明のようなものもあったがそれで納得するわけでもない。極限状態での人間模様という面からすれば、一応それぞれの人格に対応した行動なども描写されていたようだが基本的に浅く、前記アオイという人物のキャラクターが特徴的なくらいだった。かろうじてラストの「強いね」だけは少し和んだ。 これよりなら、同種類似で5番煎じくらいの「シンデレラゲーム」(2016)の方が4倍もましに見える。よほど21世紀初頭に活躍していた人々が見たいのなら別だが、そうでなければ新しいのを見た方がいい。
[インターネット(邦画)] 1点(2018-05-30 21:51:12)
580.  バレンタインナイトメア 《ネタバレ》 
「ハロウィンナイトメア2」(2015)に続くシリーズのようなものらしい。前作もちょっとどうかという感じだったがこの映画に関しては、予算面のほかにも例えば(素人がいうのも何だが)よほど時間がなかったとか、あるいは3時間くらいに作ってしまって無理に短縮したとかいうような、何かの事情があったのではという気がした(真面目に作ったという前提でいえば)。特に“フランケンシュタインの怪物”の件が唐突で、何がいいたいのかは薄々わかるとしても、それが今回の事件全体とどう関わっているのかがわからない。 ちなみに大事なところでオーケストラ付きの歌曲(リヒャルト・ワーグナーとのこと)が流れるのは別に好きではないが嫌いでもない。が、エンディングで出ていた邦訳で、自称が基本的に「僕」だったのに一か所だけ「私」だったのは、仮に何か意図があったとしても変である。この歌詞とストーリーとの関係もあまり明瞭でない気がした(要はあの場で死んだということか?)。  また最も不満に思ったのは、主演女優の魅力がほとんど出ていないことである。役柄との関係なのか演出なのかその他の理由かわからないが、他の映画で見た時の(2回だけだが)強力なオーラのようなものが感じられず、単なる普通の女子のように見えている。かえって死者役の芋生悠という人が、特殊メイクなしだといい感じに見えた。また他の映画では名もない端役に甘んじていることもある佐々木萌詠さんが、今回は目立つ役だったのは個人的に嬉しい(また悪役だ)。もう一人、加納美香役の藤井衣瑠花という人が頑張って演技していたのは目についた(少し笑ってしまうところもあったが)。 ちなみに監督の今野恭成という人物は、この少し前の「リスナー」(2015)というオムニバス映画でも名前を見たことがある。今回は監督・脚本・撮影・編集を一人でしていたようでご苦労様だった。
[DVD(邦画)] 2点(2018-05-24 18:58:26)
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