561. 犬王
《ネタバレ》 題材の物珍しさに加えてアニメ的表現自体もかなり独特で、確かに相当にユニークな映像世界が展開されるコトからして(その時点で)観る価値てのは十分だとは思うし、音楽性にしてもシンプルなロックの様でコレも確かになんか「和風」な…とゆーか和の趣を大いに含むというやっぱ結構に独特なモノだったと思うし、かつ純粋な音楽シーンの分量が思ったよりもかなり多めで結果音楽だけにも相当高度に「浸れる」てのも個人的にはシンプルに好きな感じでした(巷では、映画の皮を被ったロックフェスだ…とか言われてたりもするよーで)。 ただ、一つだけ(言おうか言うまいか物凄く迷うのですケド+コレは私の観方が捻じ曲がってるダケなのは重々承知なのですケド)思い切って言ってしまうならば、じゃあ嘗ての(或いは今に至る迄の)観世の能楽とゆーのは、シンプルな現代のフツーなロックに「劣る」というモノなのか、というどーしようもないモヤモヤが(今作を眺めてゆく中で)私にはどーにも拭い切れなかった…てコトなのですよね。モチロン、実在の犬王の失われた芸術に「権力によって腕ずくで葬られたモノ」としての性質(=テーマ)を仮託するうえで、ソレに必要な芸術的クオリティを(現代の視聴者に)分かり易く実際の映画表現として落とし込む単なる「ツール」であるというコトは私とて重々承知なのです。とは言え、現代でも実在する二つの要素を実際に二つ並べて確実に「比較」しているという物語の構造(⇒ぶっちゃけこの構造自体、そもそもこの二つって比較できる様なモノなのだろーか?という点にも大いに疑問が在りますケド)がある中で、流石にちょっと「片手落ち」すぎやしないですかねコレ?と思ったりもするのが(重ねて)正直なトコロでありまして。 まあ、諸々と事情があるコトだとも思いますが、そもそも今作はまず尺が短めで、んで前述どおり純粋な音楽シーンが比較的にも多いというコトで物語やキャラ・世界観の描き出し自体からして少~し軽めには為っていたかと思うのですね。その中である種、根本的な「能楽」の何たるかの描写とてまた軽く薄くなっている…とゆーのは仕方が無い or 高度な取捨選択の結果、なのかも知れないとは思うのですよね。まあ実際、今作を観てそんなトコロ=「能楽」と「ロック」が比べられているというコトに「引っ掛かる」という客なんて殆ど居ないだろう…とは、私だって当然の如くにそ~思うのでありますですし。 [映画館(邦画)] 5点(2022-06-05 23:01:21) |
562. きさらぎ駅
《ネタバレ》 コレも元ネタは2ちゃんねる発の都市伝説で、大きな括りとしては異世界ものホラーである。展開は前半・後半の2つにシンプルに大きく分割できるが、ホラー的には前半が(コレも)シンプルなPOV系、後半は前半の流れを再度なぞりつつの一種の「解答編」になっていてその意味では『カメ止め』的だとも言える。元ネタにせよ、前後半それぞれのつくりにせよ、ホラーとしてはごく「安上がり」なアイデアの集合体だとも言えるし、お話の内容にしたってその真相部分とかを詳細につくり込んでチャンと説明してくれるというワケでもないし、そして映画自体の質感とて(チョコチョコと観たコトある人達が出て来るワリには)特にホラー描写なんかはかなりチープだったかなあ、とも(ややホラーゲーム的な、と言っても好いかと)。諸々含めて好くあるB級和ホラーの一作だと思っておけば好いかなあ…とも思われますかね。 ただ、例えば前述のPOVにせよカメ止め風にせよ、お手軽にそこそこ怖く or 面白くなるという点では今作でもまずまず効果的だったと思うし、加えて今作ではオーラス(=お話の結論的な部分)にも多少の仕掛け・意外性を仕込むコトが出来てもいて、ごくコンパクトな尺も相まって結果的には結構楽しく観終れましたですよ。それに「安上がり」なアイデアだとは言ったもののやはり今般、海外のA級ホラーとは(予算的に)ちょっと真っ向勝負はキビシイという状況において、今作の和ホラーとしてのこの「戦法」とゆーのはひとつ間違ってはいなかったとも思います。またその点についてはここ数年の和ホラーの(ある種の)プチ集大成的なモノだった…とも思いますかね。重ねて、私は結構面白く観れましたし、ホラーファンにはオススメもしたいトコロです(まあ、映画館で観るかは別にしても⇒結構早めにサブスクに出てきそう…てな感じのヤツではあるので)。 [映画館(邦画)] 5点(2022-06-05 15:37:23) |
563. 好色元禄(秘)物語
《ネタバレ》 うーん…イマイチ…… とは言えなにしろ、あのひし美ゆり子がガチで脱いでいるという絶対的価値はまず在るかと思うのです。そしてそのオッパイ自体だって確かに期待以上の素晴らしいモノではあったのですし(まあ『ウルトラセブン』観てれば分かるコトですよね)。しかし今作、ポルノとしては内容自体はかなりソフトですし、その具体的な内容以上に女優さん達が揃ってあんまり「気が入ってない」感じでもあるのですよね。やはり、ひし美ゆり子にせよ(今作時点では)橘真紀にせよ決してこの方面の経験値が豊富、というワケでもないコトの影響は残念ながら隠し切れなかった…てコトかな、と。 んでまた、全体の空気感もややチグハグ・不整合と言いますか…窪園千枝子なんて飛び道具を使った至極バカっぽいシーン(鶴光もココで使ってるし)だとかを散々ブチ込んでおきながら、また少なくない場面が妙に文芸気取りのポエミーだったり…と非常に一貫性を欠いているのですよね。正直、ポルノとしても劇映画としても両面でイマイチで使いドコロが見出せない凡作…という感じすね。重ねて、ひし美ゆり子ファンのコレクションアイテムとしては無価値とは言えないとは思いますケド。 [DVD(字幕)] 4点(2022-06-04 12:53:34) |
564. ステラ・ダラス(1937)
《ネタバレ》 個人的には決して「理不尽」な話だとは思いませんでしたが、それでも主人公ステラには大いに同情も出来る…てのも確かにそーだなと思いました。時代的なコトもあってその「イタい親」のイタさとゆーのはごくシンプル、かつある種表面的な(=本質的でない)コトにも感じられました、が、題材的には現代でも全然フツーに好く在る(=普遍的な)問題だとも思うのですし、むしろ現代の方がその面では比較的にも「ややこしい」問題になりがちだったりするカモな…と思ったりも。 まあでも、やはり個人的にはコレってごく表面的な(=本質的な意味での「瑕疵」ではない)コトだと思われるのですよね。それは取りも直さず、ローラがあれだけ愛溢れる素晴らしい女性に育ったコトだけ見ても尚更そー思われるとゆーか、その意味でも本作は実に美しい親子の愛の物語だったな…と思うのですよ。オーラス、涙を流しながらも何処か満ち足りた表情を垣間見せるステラは、私には本当に美しい女性・母親に見えました。シンプルな様で、実に優れたラストシーンだったな、と思いましたね。 バーバラ・スタンウィックは(上述どおり)諸々の演技も素晴らしかったと思いますが、根本的に非常に上品な雰囲気を纏っているという女優さんである様に思われて、なので(特に前半で)品の無い行動を執りつつも決して憎々しい…とまではならない絶妙なバランスが整っていて、その点でも優れた役作りだったな…と思いました。他、ローラ役のアン・シャーリーちゃんも中々好い演技だったのではないでしょーか(寝台車の中で二人が寄り添うシーンが私は一番泣けましたね)。 [DVD(字幕)] 8点(2022-06-04 00:48:12) |
565. 東海道四谷怪談
《ネタバレ》 今回、同年同月公開の大映版を観た(観比べた)のですが、やっぱり今作はその「恐ろしさ」とゆーのがも~ケタ違いでしたよね。直助はひたすら単なる「悪魔」という様な(見事な)極悪人であって、んで伊右衛門だってソレに負けず劣らずな忌むべき大悪漢ではあるのですし。だからこそ、その一番肝心なお岩さんの怨念の凄まじさ・奥深さもシンプルにより引き立っているとゆーか、話の内容も恐怖描写もやっぱトンデモなく深遠で迫力の有るモノでした(特に戸板に打ち付けられて以降にトコロ構わず出て来まくるお岩さんはマジで夢にも見ちゃいそう…てなモンでして)。ただ、更により優れていると思うのは、伊右衛門を前述どおりに極めてヴィヴィッドに悪人として描くコトでその面での凄惨さ・凄みを決して損なわないながらも、多少の風味付けとして少しばかり未練や躊躇・完全に良心が欠如しているというワケではない「人間らしさ」的なモノも同時に描き込むコトを可能にし、結果としてソレが作品全体により複雑な味わいを与えているとゆーか人間ドラマとしての見応えをもキッチリ高めるコトに成功していたな…という点ですかね。結論、超レベルに強烈な(トラウマ級の)映画になっているとは思いますが、恐怖映画としてのクオリティは普遍的傑作の域(=金字塔)と言って好いモノかと思います。必見ですね。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-06-02 22:21:15) |
566. 四谷怪談(1959)
《ネタバレ》 このジャンルにおける傑作『東海道四谷怪談』の方とまさかの同年同月に公開された…というコトらしいのですが、そんで客入りや評判は実際どーいうコトになったのか…とゆーのは正直気になるトコロですね。とりあえず、単純にホラー・怪談映画として(怖さ・恐ろしさを比較した場合には)確かにアッチには到底敵わない…てな感じではあります。両作品とも、いわゆる歌舞伎なんかの「原作」からはシナリオ的にもかなり調整が入っていると思われますが、今作ではとにかく伊右衛門のキャラが大きく変えられちゃってるとゆーか、結論的には全く悪人という感じですらないのですよね(悪事全般は取り巻きの方に任せ切りで)。ラストも結局、伊右衛門自らその悪漢どもを成敗した上でごくボンヤリと曖昧に終わってゆく…という感じであり、総じて「凄み」の程度が大きく劣るのです。取りも直さず、悪人が悪人らしくない⇒ソレに対する恨み辛みもどーも深みを欠く⇒怨念全開な恐怖シーンも少なからず薄味に…というコンセプト弱体化にも大いに繋がっちゃってる、と言いましょーかね。 逆に、ソコまで凄惨な話でもなく主役の長谷川一夫に対する悪感情もさほど覚えずにごく気楽なうちに観終われる…とゆーのがそもそも演出の大方針だったのかも知れませんケドね(ココまで来ると)。その意味では『東海道四谷怪談』てのは確実に「やりすぎ」とも捉えられ兼ねない過剰なハイレベル(時代を考えれば特に)ではあったので、2作は必ずしも客の取り合いになった…てなコトでもなかったのかも、なんて思ったりもね。 [インターネット(邦画)] 4点(2022-06-02 22:21:14) |
567. 吸血鬼ドラキュラ
《ネタバレ》 『魔人ドラキュラ』の約30年後、再び映画界にクラシック・ホラーの大流行を巻き起こした(コチラも)歴史的作品…とのコトですが、驚ろ驚ろしい質感自体は前作から引き続きでしょーが諸々と技術的進歩は著しく、その「怖さ」自体は確実にこちらの方が上…という様にはまず思われますね。映画の尺とゆーのはあまり変わりませんが話自体の密度・テンポはだいぶ向上しており、かなり原作に近い展開に仕上がっているよーで単純にシナリオとして(今なお)面白く観れると思いました。ショック描写も(ルゴシの気品溢れる雰囲気に比しても)ハンサムではありますが無口、かつ(牙を剥いた)顔が単純に恐ろしい・野卑なクリストファー・リーがとにかくまずシンプルにおぞましいですし、荒事なシーンも結構豊富で(特にオーラス)その意味でもパワフルさとゆーのは前作とは比較にならないかと。個人的にはコッチの方が面白かったすね。 ただ一点思うのは、クリストファー・リーが…とかではなくて、やっぱ古典的吸血鬼ってのは今どき「弱点」が多すぎますよね。前作・今作ともにまず単なる十字架にすらかなり弱いですしニンニク等を仕掛ければ近くにも寄って来ないという描写にもなってますし、今作のオーラスなんて太陽一発で即死!てのはキョウビじゃちょっと呆気無さすぎ…と思ってまうのが正直なトコロすよね。個人的には現代でも尚ホラーモンスターとして活躍できるだけの十分なポテンシャルを備えるキャラだとは思うのですケド、他に強力なライバルも多い以上は古典的設定にこだわらないユニークで「柔軟な」描写の仕方、とゆーのは今後は必須なのかもな、と。 [DVD(字幕)] 6点(2022-06-02 00:53:21) |
568. 魔人ドラキュラ
《ネタバレ》 トーキー以降の映画界に新たな怪奇映画時代の幕開けをもたらした歴史的作品…とのコトですが、流石にもう100年近く前の映画なだけあってまずは極め付きに重いテンポ(とゆーか俳優の動作自体が総じてかなりスローモー)と、その「緩」に比してアクション含み等の「急」な場面が殆ど無いコト、そしてやはりホラーとしてはショックシーンを含めBGMが全く入らないのなんかも確実に観る側の「物足りなさ」には繋がってくるかと思います(劇伴自体は皆無というワケではねーのですが)。でも、セット・衣装その他のゴージャスさ⇒その醸し出す雰囲気の好さや、恐怖や狂気を描き出す俳優の演技自体のクオリティ⇒その見せ方とかだって思った以上にハイレベルで、なのでごく分かり易くそしてかなり面白く観るコトが出来たのは正直結構に意外でもありました。観て損した感じは全く無いですね。 まァ、その今作で一番観る価値が在るのは(当然の如くに)ルゴシのドラキュラ伯爵その人なワケです。全体的な佇まい・所作のエレガントさ+その中に含ませる絶妙な「色気」とゆーのは、一朝一夕に身に付けたとも思われない熟練の技巧だと感じられましたね。そして何よりもその「眼力」こそが今作のホラー部分を一手に担うとゆーか、コレも流石の超・迫力だったと思います。とは言え重ねて、今作のクオリティてのは原作の力+展開運び・演出の適切さも在ってのコトには違いないかと思います。翌年にもルゴシ主演(+同じく彼の「眼力」頼りというコンセプト)でゾンビ映画の始祖たる『恐怖城』が製作されましたが、コッチはソレだけではどーにもなってなかった…とは確実にそー思われるトコロであるのですし。 [DVD(字幕)] 5点(2022-06-02 00:41:27) |
569. 天はすべて許し給う
《ネタバレ》 メロドラマとしてはコレもコテコテすね(オーラスで唐突に大怪我するトコなんて特に)。でも、2人とも(時代的なコトでしょーが)無闇にベタベタしたりしないので、その部分はむしろ品好く心地好く目に映ります(今や)。画づくりやジェーン・ワイマンのルックスも含め、全体的にそんな感じのごくエレガントな「美しさ」てのを湛えていてソコも確かに見ドコロでしょーが、面白いのはやはり子供2人や町の連中を交えてドロドロと陰湿な雰囲気になってゆく場面かと。キョウビ同じコトになっても流石にココまで悪い空気にはならないかとも思いますが、でも似た様なコトは発生し得るだろう…とある種分かり易く共感し易く、一方で社会倫理的な意味での向上としての「隔世の感」も覚えられる…てのも実は本作を観る価値ではないかな、と。重ねて、ジェーン・ワイマンの素晴らしき品格を含めて、今だに十分楽しめる映画だとは思いました。 [DVD(字幕)] 6点(2022-06-01 21:54:55) |
570. 辻占恋慕
《ネタバレ》 いちおう、監督の青春三部作のラストを飾る作品とゆーコトだそーで(一作目はちょっと私観れてないケド)。ただ、二作目にせよ今作にせよ(あるいは『アストラル・アブノーマル鈴木さん』とかにせよ)ごくごく夢・理想⇔現実の狭間で藻掻き抜き、そして敗れていった人々にスポットを当てている作品だとはまた感じ取れる、のですし、監督ってのはソレを(全体的には絶妙にアイロニックでルサンチマン溢れるややブラック・コメディ風な作品に纏め上げつつも)決して安易なハッピー・エンドで(ある種)誤魔化す…という映画作家では決してない様にも見えてました。そしてその意味では、今作はその面では更にラディカルみを(大いに)増していた…とゆーか、その「ままならなさ」を作中ごく抜群なキレ味でもってラストで「鮮烈」に描き出していた…という様には当然の如くにまた思われましたかね(⇒率直に、このラストは嫌いな人は結構嫌いなヤツだ…とも思いますのでね)。 ただコレもある種、その部分すらも当然の如くに吟味された「狙い」の一つなのだろうなあ…とは(個人的には)また大いに感じられたトコロであります。ナニせラスト間際まで、実に丁寧に丁寧に二人の若者?のジレンマ・葛藤を(コチラが大いに共感可能なモノとして)描きつつ…からのソレ!ではあったと思うのですし。そーいう「やるせなさ」・共感の「し切れなさ」・「イタさ」とかっていうごく高度にモヤモヤとした居心地の悪い感情、という意味では、実に極上なモノを(観終わった瞬間から)新鮮に感じ取れた、とも言えます。そしてその上で、本質的にそれこそが(多くの「敗北者」たちにとっての)青春そのものなのではないか…と思ったりなんかもしてね。結論、私の評点は(見た目)あまり高くはならないのですケド、それでも多くの人に観ていただきたい作品だとゆーのは間違い無いのですね(とは言え、このレビューもちょっと酒カッ喰らってから書いてますケドね)。引き続き今後の作品にも期待します。 [映画館(邦画)] 5点(2022-05-30 23:50:18) |
571. エマの秘密に恋したら
《ネタバレ》 原題も『Can You Keep a Secret?』で要は「秘密」がテーマです。が、主人公の女の子が秘密をブチまけた相手が勤め先の社長?で、その後ふたりが(当然の如くに)どーにかなってゆく…というメインの筋も含めてそもそもクッソ在り来りなお話ではありますし、主演のアレクサンドラ・ダダリオにせよタイラー・ホークリンにせよ、正直こんな30代の好い大人にやらせるべくお話だとも(個人的には)全く思えませんでしたよね(⇒邦画の中高生向けラブコメとかならともかく…てか)。 このとーり、特に何かしらに引っ掛かるコトも無くほぼノーストレスで超・暢気に観れる…というコト以外にシナリオに価値ってのは無いのかな、とすら思います。とやはり要点は、全編通してゴチャゴチャと散りばめられ続けるコメディ描写を如何に楽しく観てゆけるか…というコトに結局はなって来ちゃうかな~とも思ったり。しかしコレとて、例えば主演のダダリオちゃんも基本、終始一貫して「ナニを言ってるのかサッパリ分からない」とでも言いますか、そこそこ大勢登場するキャラ達が総じてみんな「変な人」で、かつ彼らがシンプルにただ終始ボケ倒している…というコレもある種コメディとしては極めてオーソドックスな(=ややもすると多少「低俗」な)系統だと思います、し、その部分にもやはりウィットやセンス・あるいは「品」などといったモノは殆ど見て取れなかったかな…とも(率直に下ネタとかだってワリかし以上に多くてですね)。重ねて、ボーっと暇潰しに眺めるダケなら特に無害な作品…かとは(ギリ)思うのですケド、ま~あんまし好きじゃなかったかな…て人も多いかもな、と(私は特に嫌いってホドではなかったのですケドね)。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-05-30 23:50:17)(良:1票) |
572. アフリカン・カンフー・ナチス
《ネタバレ》 設定が少しアレすぎる故に日本では一部で物議すら醸したらしいですが、そんなにマジメに捉えるべくもないごくお気楽・暢気なコメディ・カンフーです(=内容はモ~無い様な)。カンフーとしての話の中身とて、最初にボッコボコにされたった!⇒修行!⇒リベンジ!という極めてオーソドックス・シンプルな系統ですし、主人公のスキルも蛇拳(影蛇拳とかって)+酔拳+鉄指拳(三指拳、的な)というコレもごくオーソドックスなモノだと思います。舞台がガーナというコトでヒトラーと東条英機以外は全員キャストが現地の方ぽいのですが、皆総じてしっかりした格闘技の素養があるとは決して思えない…一方で身体能力はまま相当に高そうでもあって、それ故にアクションもそこそこ観れなくもない程度には仕上がっている…かと思うのですね(二人ほどトンデモなくバッキバキなガタイしてるヤツが居たりして)。あと、音楽も現地産ぽいのですが、コレもノリが好くてまあまあ面白く興味深く聴けましたかね。 いちおう解説としては、日本在住のドイツ人の方が仕掛人で彼が監督+ヒトラー役も演じてます(+彼の知人の一般日本人男性が東条英機役をやってると)。で、このドイツ人がガーナ側の監督と本作を企画して現地で撮影した、というコトのよーですね。まあそもそも、ガーナ映画っての自体殆ど存在を聞いたコトもねーですし、今作ではその中で現地ガーナの様子もある程度映される(市場とか建物とか)ので、実は地味にその部分に一番観る価値が在ったかも…と思ったりもしますですね。珍品を求めて止まない方なら、是非。 [DVD(字幕)] 5点(2022-05-30 23:50:12) |
573. 女吸血鬼
《ネタバレ》 Wikiに依れば本邦初の本格吸血鬼もの怪奇映画とのコトらしいのですね。で、おおまかな流れは西洋の吸血鬼物語をチャンとなぞっている…とも思われるのですが、細かい部分が妙にややっこしくて(かつその「効果」とゆーのが率直に微妙な様に思われて)ちょっとスッと頭に入ってこない…とゆーか(=な~んか無駄やないケ?と)。 まず、天草四郎伝説を下敷きに置いていながら、吸血鬼本人は天草四郎ではなくその家臣なのですよね。で、狙われる一家の方が天草四郎の血族なのですが、メインヒロインとしてソコの娘が居ながらも吸血鬼のターゲットはその母親の方で、なんと20年前に既にかどわかされていたのが今になって(姿はそのままで)戻ってきた…という。しかも、肝心の吸血鬼は吸血鬼ながら何故か若干「狼男」的とゆーか、ショックシーンで月光に照らされると凶暴化する…とゆーのにも(現代的な感覚からすると)ちょっと違和感を覚えますよね。他にも展開運び自体等もろもろと結構に支離滅裂ぎみで、そこら辺、やはり舶来のホラー的存在を我が国の「怪談」系映画に落とし込むのにかなり苦戦した…とゆーコトなのかな、と。 ただ、中でひとつ非常に面白かったのは、肝心のその本邦初の吸血鬼の由来…と言いますか。この男は島原の乱の最中にごく悲惨で禍々しい経緯を経て人から鬼に成り果てた、近年の日本の吸血鬼もので言うトコロの「真祖」とでも言うべき存在なのですよね(『HELLSING』なんかに見られるよーな)。ソコはやはり少し面白いとゆーかコレは実はごく日本的な捉え方なのかなとゆーか、ある種の「文化的差異」なのかも…という様にも思われました。つまり、日本の「怪談」ものにおけるホラーモンスターは「元・人間」だとゆーのが結構重要で、ソレが何故ヒトならざるモノに成ってしまったか…を描くコト自体をホラー要素として比較的重視するものなのかな、と(=最初から怪物だった or 血が呪われていた、とかは、やっぱあまりしっくり来ない…というコトなのかな、と)。 [インターネット(邦画)] 4点(2022-05-30 23:50:10) |
574. 必殺!恐竜神父
《ネタバレ》 邦題からして極めてふざけた感じですが、コレは原題も『Veloci-Pastor』なんだからまァそのまんまではあるのですよ(でも『必殺!』はやっぱワケ分からないのはまた置いとくとして)。ただ「Pastor」はいわゆるプロテスタントの「牧師」で、神父とは諸々と明確に違うヤツではあるのですよね(それこそ結婚できるのかどーか、とか)。とは言え、実際の劇中での振舞い的にはフツーにカトリックの神父なよーで(つーか本人も「Father」て呼ばれてますし)、結論コレはタイトリングだけが「テキトーだ」というコトには見えるのですよね。 そーなのですよ。この手のはあくまで「テキトーだ(=ソコは特に意識していない…からなのだ)」というコトに「見え」ないと、つまりあまりにウケ狙いが見え透いてしまうと逆にちょっと単にサムく感じてしまう…てなコトになり勝ちで、結果として個人的には比較的に苦手なジャンルなのですよね。その意味では今作、ド初っ端の「爆発炎上」シーンがまず如何にも狙いすぎな感じでのっけからややテンション下がっちゃったのですケド、その後は(メインどころはコテコテにウケ狙いではありましたが)細かいトコロにそーいうつくりものかどーか判然としない「テキトーさ」も十分に見て取れて、その辺はまずまず面白く観れましたかね(思った以上に)。 好きなシーンは、まずは異常に気合の入った編集によるダグとキャロルのラブシーンの直後、襲撃を受けた場面でキャロルの下着が上下不揃いなコト。次に、右目に傷を負ったスチュワート神父が眼帯をさせられているシーンで、コレもフツーに眼鏡の上から無理に付けてるのでスゴく変な感じになってるというごくテキトーなヤツ。あとは、クライマックスでダグがティラノ形態に変身する直前、まるで何も考えずに(=特に演技指導を受けてる様子が皆無な感じに)全員揃ってボケっと突っ立ってるダケなテンプル忍者団の有様。とかですかね。 [インターネット(字幕)] 3点(2022-05-29 23:01:05) |
575. トップガン マーヴェリック
《ネタバレ》 まァ言わずもがな、トム・クルーズとてやっぱ大概バケモノですからね。今作で改めて見てもフツーに40代にしか見えないし(否、30代でも通用するかも)、作中でも(実年齢からすれば「年甲斐も無い」てな感じの)前作と殆ど同じ様なコトをごく若々しくやってのけてるのですし。そしてそもそもお話的にも30年以上寝かす必要があった様な内容には決してなってもいないのですよね(続編の企画開始自体は10年以上前とゆーコトらしくて)。そーなのですよ、本作って内容的にもまるでナンにも「老け込んで」なくって、今どき唯ひたすらに乗り物万歳!スピード万歳!スポ根上等!アメリカ万歳!筋肉こそ正義!みたいな如何にも「80年代やね~」てな質感に満ち溢れていて(音楽だって当然の如く)、コレもね、そもそもやっぱキョウビの若者ってモ~車とかに乗れるダケで「楽しい」とはあんまし思わないんじゃねーかな…てコトに思ったりもね(モノより「思い出」な世代ですから)。重ねて、コレが成立するってのはやっぱトム・クルーズ凄えな…とは思ってしまいますよね。。 本作はそのトム・クルーズが主に体現する「若さ」「強さ」が絶大な第一コンテンツとして在りつつ、やはりどーしたって世代によってはソコに対する憧憬とノスタルジィが大いに醸されるコトの心地好さがまた大きな見ドコロになってゆく…という作品なのかとは思うのですよ。でも、とは言えそーじゃない世代にしたって全然フツーに楽しめる…とゆーか、とにかくコレだけアクション部分の映像が素晴らしいのだったらお話なんてシンプルで在れば在るほど好いに決まってる…とでも言いますかね。ソコはモ~ただ「腕力」で捩じ伏せる様な映画だったとも思うのです(その意味でもごく「マッチョ」な…とゆーか)。4DXで観ましたケド終盤の空戦シーンは確かに軽く「映画の域を超えている」感じではありました。結論、コレは必ず映画館で観ていただきたい…という作品ですかね(少なくとも)。 [映画館(吹替)] 8点(2022-05-29 17:36:08) |
576. 亡霊怪猫屋敷
《ネタバレ》 シナリオの中核部分はごく典型的な因果応報的「怪談」ばなしとは言え、まずはカラーとモノクロを使い分けるアイデアがとても素晴らしかったすね。血腥い凄惨な過去パートでは竜胆寺小金吾の無表情な青白い顔(に流れる鮮血)が実に不気味でしたし、片や現代パートの化猫老婆も何処かモ~幽霊画の如き侘び寂びの風情をも纏って無彩色にごく寒々しく…と言いますか。どちらにせよ現代的ホラーの鋭い怖さ、とゆーよりはもっと脂汗の滲み出る様なジトっとした重い(和の趣き溢れる)恐ろしさが在った…といった感じで好かったな~と思います。クラシカルですが、これからの季節には決して観て損も無いかと。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-05-29 02:43:22) |
577. 喰らう家
《ネタバレ》 (恐らくは)要するに、劇中の1979年から遡るコト120年前、この「家」の持ち主だった一家とゆーのが何らかの禍々しいトラブルを経て悪魔と成り果て⇒家に取り憑き⇒以降30年ごとに生贄を求めて蠢き出す…という悪魔系ホラーなお話だと思うのですね。ところが、その中で実際的にやりたいコトとゆーのは(実は)スプラッタ系の血ミドロ描写なのであって、終盤は意外なホド結構やりたい放題!てな感じにそーいうのが矢鱈と放り込まれて来るのです(ココはも~血飛沫スプラッシュ!てなモンで)。悪魔系でかつスプラッタ…とゆーのも別に全く前例が無くはなかったか、とも思うのですが、ココまで派手なのは流石にあんまし記憶に無いですね。その意味では、多少なりとも物珍しさ・ユニークさってのを抱きつつ、そこそこ面白くも観れた…と言ってもまァ過言ではないかと。 ただね~ジャンル要素としてのショック描写の出来はともかく、お話の進め方・展開運びは率直にかなり稚拙とゆーか、正直最後まで観ても色々とよ~分からんのですよね。まずこの話にはある種、主人公勢+悪魔連中+30年ごとに生贄を捧げて災厄を回避したい街の人々、という三つ巴の対立構造が在るのですが、結局のところクライマックスでは街の連中が多勢を恃んで雑に攻め込んで来た挙句⇒悉く悪魔の方に返り討ちの血祭りに上げられちゃう…というコトで、まずとにかく彼らがナニをどーしたかったのかがまァ分からんのですよね。あとは、主人公夫婦てのには息子が亡くなって間もない(=霊的現象を息子と結びつけちゃう)という属性が付加されていて、結論的にはソコが彼女ら2人が最後まで生き残ったトコロの理由にも見えるのです…が、ソレもナニがどーいうコトだったのかが(ワリと)サッパリ分からなかったり…てなモンで。他にも結構ツッコミどころ自体は相っ当に色々在る…とも言えますし。 でもまァ、ソレもある意味、悪魔系ホラーなのにやりたいコトがスプラッタの大盤振る舞いだった…というコトの「弊害」だとも思えますケドね。要は、ラストにブッ殺す犠牲者数を確保するのが一番難しかった…というコトにも思えるのですよ。普通の「屋敷」系の悪魔ホラーだと、主人公の家族その他は当然用意できるとしてもそれ以外にそんなに沢山登場人物なんて足せませんものね(味方が多すぎてもナンの意味もねーですから)。このシナリオの歪さは、その面からの「歪み」なのかな、と。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-05-29 00:15:46) |
578. ゾンビーワールドへようこそ
《ネタバレ》 邦題は非常にテキトーなモノになってしまってますが、本作は原題のとおりに「ボーイスカウト」の高校生三人組がそのスキルを駆使してゾンビに立ち向かう…という明確なコンセプトを有するゾンビものでした。で、ゾンビ・アウトブレイク@田舎町としては発生する事象や全体の流れ自体は非常にオーソドックスなモノですケド、ゾンビ自体のレベルとしてはやや人間性残し(顔見知りに反応したり)+運動性も高度に残し+感染拡大速度も速め(でまま大量発生してる)…という点では状況のシリアスさはそこそこレベル高め、かとも。かつ、主人公たちは(高校生ながら)単なる脱出を目指すのみならず、終盤にはもう一段上のミッションに果敢にチャレンジしてゆく…という建付けでもありまして。 とは言え前述どおり、おおまかな内容としては極めてオーソドックスだと言っても好いかと思うのですね(多分にコミカル+適度にエロが入るコトも含めて)。んで、ゾンビ映画としてのつくり自体もまま上質な方だとゆーか、アクションやゴア描写の質も決して悪くはないし、終盤なんかはまずまずイイ感じにデーハーでテンポも全然悪くないのです。しかし、一番のコンセプトたる「ボーイスカウトのスキル発揮」という点に関しては、ココには取り立てて鮮やかなアイデアも無くてどっちかっちゅーと平凡だったかも知れないな、と。するとやはり結局、他のハイティーン・ゾンビものとの差別化という側面でも少しパンチ「弱め」かもな…とゆーのが個人的には結論になりますかね。重ねて、決して悪くはないごく手堅く観易い若者向けゾンビだったとも思うのですケドも。 ほか好かった点は、第一にシンプルにゴア描写(特に頭部粉砕描写)が中々キレが好くて爽快だったコトすかね(今作って間違いなくティーン向け作品だと思うのですケド、にしちゃ随分とハッチャケてるな…とゆーか)。もう一点、メインヒロイン・ケンドル役のハルストン・セイジちゃんも確かに激マブだったのですが、実質的ヒロイン・デニース役のサラ・デュモンさんの気っ風の好い「姐御」感の方だって個人的には結構堪らなかったのですよね。この方、今作以外には特に目立った映画活動も無いよーなのが少し残念なのですが、いずれまた何処かでお会い出来ればな…と。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-05-28 21:35:07)(良:1票) |
579. 肉体の冠
《ネタバレ》 シモーヌ・シニョレにせよセルジュ・レジアニにせよ(少なくとも話の当初は)全然こんな顛末になる様にも思えないキャラではあるのですよね。特にレジアニは躰のナリも全然ゴツくないですし顔立ちもワリと甘い感じで、ソコにこれ見よがしにヒゲだけ蓄えてるモンだから個人的には何つーかマリオ(否、ルイージの方)にも見えてしまって……でも、かなり高度にノワールなラス前を越えてゆくと、結局行きついた先はスーパー純愛(悲恋)物語…という作品なのであって、ソコの質感には2人の繊細さは実にドンピシャだったかなあ、と(ラストシーンとか超・好かったですよね)。その意味ではシンプルに、ノワールとロマンスで二度美味しい映画だ、と言っても好いのかも知れません。コンパクトながらそのお得感も在る優れたクラシックだったかと。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-05-28 12:10:12) |
580. 風と共に散る
《ネタバレ》 これまた、21世紀となってはちょっとモ~古臭すぎるとゆーか、観ていてあ~アレがコーなって、んでコレが…てなモンで総て手に取る様に次の展開が見えてしまう、つーかね。んで、これまたその中で善玉はごく唯の善玉で、悪者?はそれ以上にごくワルい様にしか立ち振る舞わない…とゆーか、その意味でもちょっとキョウビならモ~極端すぎる!というレベルで分かり易いってキャラ設定にはなってますよね。なので正直、演技的・シナリオ的な見ドコロとゆーのはオーラスのマリリーの場面に集約されるかな…とゆーのは確かにそう感じるコトではあります(いちおう、この演技でドロシー・マローンはオスカーを勝ち取っているのですし)。ただし、私は決してこーいう分かり易い古風なのが嫌いではないってのと、ゆーてその他キャストだってその古風な演技自体は決して悪くもなかったかとは思うのです。程好くコンパクトなコトも含めて、予定の無い昼下りの暇潰しとかには今だ十分使えるかと。ローレン・バコールだって流石のクール・ビューティではあるのですし(今作では美人な上に超・誠実な善人だし)。 [DVD(字幕)] 6点(2022-05-27 00:19:24) |