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彦馬さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 450
性別 男性
自己紹介 大阪府出身、岡山県在住、阪神・下柳と同年月日生

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41.  突貫勘太
のっけからドーナツ工場を彩るゴールドウィン・ガールズの面々がセクシーないでたちでせっせと仕事をしており、「さあ体操の時間よ」の一言からダンスが始まります。さあこのダンスですが、途中からスティックをもったダンスへと流れていき、一列に並んだガールズを真正面から捉えた千手観音ショット、そして俯瞰の万華鏡ショット・・・健康的なお色気たっぷりのガールズダンスにすっかり瞳を奪われている者に「映画を見よ!」と言わんばかりのショットです。そして千手観音チックな偶像を崇拝するインチキ占い師へのシーン転換はユーモアセンスたっぷりです。その後はエディ・カンターの女装あり、ミンストレルショーあり、恋愛ありの活躍ぶりですが、途中にも池の鏡面を利用したガールズのダンスがあり、ここではなにやら丸い物をもったダンスへと流れていき、花が咲くような万華鏡ショットに時間が割かれ、気分はすっかりフラワーパーク。花の妖精と化したゴールドウィン・ガールズ・・・花博はここにあったのであります。
10点(2005-01-09 22:20:02)(良:1票)
42.  ファウスト(1926)
広野を行くような「サンライズ」、沃野に浸るような「最後の人」の映像表現に触れた者としましては、もはやムルナウは信仰の対象として奉る存在として生きていることをこの「ファウスト」をもってまたまた再確認するのみなのです。ドンドコ飛び出す視覚効果には圧倒されますが、そういった魅せる技術をしっかり支えているのは、構図であり光でありセットの造形美であり出演陣の表現力であり衣装でありメイクであります。この映画は頭のてっぺんから尻尾の先までアンコが詰まったタイ焼きのような豊満さ、アメ細工のような繊細さ、とろけるようなクレープの芳醇さ、それらが始まった瞬間から終わる瞬間まで一時も減じられることなく包み込んでいるのです。川や滝、山や森のミニチュア、宮殿の祝宴シーン、メフィストのつり上がった眉毛、カミルラ・ホルンの麗しき肢体、ラストの雲間の太陽の輝き・・・、この映画には魂を売ってしまう価値があるのです。まだまだ映画が見えていない自分に自戒と自省を込めて。
10点(2005-01-07 19:49:06)(良:2票)
43.  ハムレット(1948)
まったくもっての舞台劇がまったくもっての映画になっていますね~、これは。とにかく広々とした宮殿のセットを<見上げる><見下ろす><回り込む><移動する人物を追う>というようにXYZ軸の座標をカメラが見事に行き来します。また奥行きの深みには感嘆しますね~。ハムレットとオフィーリアとの絶望的な距離感を表現したかのような切り返しのツーショット、オフィーリアが遠く屋外から走りこんできてそのまま宮殿内のカメラに突進し、通り過ぎて切り返され遠く吸い込まれていく遠近感・・・シビれます。またオフィーリアの兄と王がよからぬ相談をし出した時に「わ~怖い」とばかりに数度に渡って引いていくカメラも見ていて実に楽しいです。そして全編に渡る照明の陰影、これまたモノクロームの雰囲気を存分に生かしうっとりとさせられます。オリヴィエさんにあらためて喝采を叫びましょう・・・オリオリオリOH!オリオリオリYEAH!
10点(2005-01-03 21:56:37)(良:1票)
44.  最後の人
人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ・・・そして映画もいろいろ、って言うじゃな~い。でも台詞はなくても、言葉はなくても、字幕はなくても、素晴らしい映画は素晴らしいですから~!残念!!ってことで、この作品は映画の表現技法が移ろいゆくも、映画界のポラリスとして、すべての映画人が道に迷わぬように燦然と輝いてくれているのです。迷ってばかりの私もことあるごとにこの作品を初めとするムル様の作品を見るようにしております。来年はもっとサイレント作品を見るぞ~。気合だ~!!
10点(2004-12-31 18:25:02)(良:2票)
45.  麦秋(1951)
これはシンクロナイズドスイミングを見ているかのような映画です。人物の所作や会話の呼吸、そして配置。キャスト全体で一つのチームです。一人ハッパをかけている笠智衆はさながらシンクロチームのキャプテンてとこでしょうか。「ねえ~」「ねえ~」の呼応、「勇!」で動き出す兄弟、「ほんとにほんとよ」「え~」の杉村と原・・・。同じタイミングでコップを口に運ぶ原と淡島のショットから同じく口に食べ物を運ぶ菅井と東山のショットへのカットつなぎ。レストランで4人がお茶を飲むシーンは、既婚組を動かし手前と向うの2対2の構図を作り、最後に原と淡島が同時にお茶を口に運びます。それらを持って、いつの世も、子供はそんなもので、親はそんなもので、でもって家族はそんなもので、それが繰り返されて時が刻まれる悠久の営みを語ります。凧、喫茶店の席、紀子が勤めていた会社の窓から見る風景・・・。そしてたった一度の会話でタイトルにまで昇華させ、死者の存在を浮き立たせる小津さんと野田さんの脚本のセンス。時はめぐりながら死者もしっかりと生きていることを麦の揺らめきで堂々と語るラスト。技術点、芸術点、ともにハイポイントの素晴らしい作品です。
10点(2004-12-12 23:50:11)(良:2票)
46.  当り屋勘太
「アイ・ガット・マーマン」でその生涯がミュージカル化されたエセル・マーマン。この映画はなんといってもそのマーマンのショーダンスシーンが素晴らしい♪ 前半と後半に二度そのシーンがありますが魅せ方が大きく変わります。前半のシーンは、マーマンのクローズアップやダンサーを縦に並べた構図などを斜めに撮ったりしながら曲に合わせてそのショットをモンタージュし魅せます。後半は、引いたショットを立体的に使い、フロアの鏡面を利用した実像と鏡像のシンクロ美を綺麗に魅せるのですが、なんとフロアに写った像が実物と違う動きをみせる視覚効果に驚愕! マーマンはストーリィ内でもファムファタールな役柄を演じておりますが、ショーのシーンを見ても無表情な中に薄っすらと笑みを浮かべるチャームな雰囲気です。すっかりマーマンのことばかりですが、トーキーの申し子エディ・カンターも歌って踊って、ラストの遊園地での右へ左へ上へ下への大スペクタクルなドタバタには大爆笑です。そしてカンターのボディガード役のハリー・パークが神出鬼没、頼りになるのかならないのかのキャラもよく効いており、ほんと笑わされます。見事なアミューズメントパーク、満足度100%の100分間をお楽しみ下さい。
10点(2004-12-10 23:52:57)
47.  我が道を往く
クリスマス用のレビューに暖めていたのですが、街のムードが書かせるのでフライングさせていただこう。といっても特に↓に付け加えることもないのでこのへんで。と、ここで止めたら神父に説教をくらいそうなので何か書こう。そうそうクロスビーがセントルイス・ブラウンズのユニフォームを着てましたね。ブラウンズといえば、今年イチローの記録で一躍名前が出たシスラー選手の在籍していた球団です。新記録樹立時にイチローとシスラーの娘さん、お孫さんが抱き合っていたシーン、球場はスタンディング・オベイション・・・ほんと感動的でした。この映画のラストシーンもそんな雰囲気で、一人で見ている自分が周りのスタンディング・オベイションに包まれているような感覚でした。さて私もクリスマスへのカウントダウン用にと先日ワインを購入してきたのですが、そんなもんもうあるわけもなく・・・無くなるのが運命ならもう一本買うのが我が道だとまた買ってきましたが、こういう都合のいい解釈をすることが我が道を往くことになるのかどうか・・・う~ん、自省しているうちにアイルランドの子守唄が聞こえてきましたのでそろそろ寝るとします。
10点(2004-12-08 23:43:01)(良:1票)
48.  我が家は楽し(1951)
島津保次郎門下の中村登作品。この監督は公約数的にまとめにくい作品群が並んでいますが、この作品はズバリ松竹大船調のホームドラマです。ストーリィに起伏があるのが小津作品とは違うところでしょうか。夫と妻、4人の子供。絵に描いたように理想的なそれはそれは暖かい家族。貧しい中に仲睦まじく子供たちに精一杯の愛情をそそぐ夫婦、両親の愛を受け止める子供たち・・・。非現実的に流れそうなところを役者陣の名演がぐっと引き止めています。夫婦役は笠智衆と山田五十鈴という非常に珍しい組合せですが、この二人の食堂でののろけぐあいにはまいった・・・本当の夫婦だ、こりゃあ。しかし山田五十鈴の演技の達者なこと、素晴らしいとしかいいようがないです。カメラは、静的な中にズームやパン、アップを使用し起伏のあるストーリィとうまく調和しています。構図よりも役者の素材を活かそうとしている感じでしょうか。高峰秀子さんがただじっと前を見つめるだけのショットの数々、植木鉢のショットで見せる病院から家へのカットつなぎ、隣家の物言わぬ老人(高堂国典)のショット、これらが実に多弁に展開していきます。ラスト、岸恵子さん(デビュー作だそうです)が歌うホームスイートホーム、家族がみんなで歌い出し、そのまま障子越しのシルエットになり隣家へと流れていくカメラ・・・反則や~と思いながらも、な、泣ける。ランナーが帰ってくるベースは、やっぱりホームベースなんですね~。
10点(2004-12-08 00:28:13)(良:2票)
49.  天国への階段
天使のミスによるファンタジーときけば、プロットと脚本が勝負のシチュエーションコメディを連想します。しかしこの作品は、そこに二重三重の多彩で重厚なコーティングが施されており、その映画的広がりに触れた時、唖然と天を見上げるばかりです。まずは一目のカラーとモノクロの使い分け。モノクロからカラーへと変貌をとげるバラは、モノクロとカラーの境界を泳いでいるような気分になります。次にモノクロで撮られた天国の雄大な造形。天国へとつながる階段の奥行きの深さ、裁判シーンのコロシアムのようなセットには溜め息が出ました。そしてSFXを散りばめたショット、カーディフのカメラワーク。バイクのクラッシュシーンのクラッシュぶり、時が止まったストップモーション、手術室と天国への階段・・・。そういった映像センスで魅了してくるうえに、とてつもない風刺の数々が矢のように飛んできます。イギリス人とアメリカ人を中心に対比させ、人と人が争うことのナンセンスぶりを謳い、生と死、知と愛を対比させて今生人を賛歌します。しかしてその正体は・・・素晴らしい反戦ファンタジーブラックコメディです。
10点(2004-11-30 23:29:24)(良:1票)
50.  小原庄助さん
まあ大らか~な作品です。朝寝朝酒朝湯が大好きで村の人々から<小原庄助さん>と呼ばれるある名家の地主を、大河内傳次郎が大らか~に演じております。まったくはまり役です。戦後農地改革により土地を失った地主のペーソスとユーモア・・・実際の旧家をロケーションとして撮影しているのですが、前半の金貸しが登場するシーン、後半の競売シーンでの横に横にと動くカメラ移動でこの家の風格がよく伝わってきます。没落しても頼まれたらイヤといえない庄助さんの旦那ぶり、人のよさをエピソードを重ねて描き、その合間に見せる雨のシーンでの傘や瓦の家紋を写したショットに過去へのノスタルジックな哀愁をのぞかせます。また庄助さんがロバに乗って出かけるショットに漂うユーモラスな雰囲気・・・私はこのロバのパコパコゆら~りとした歩みがこの映画の肝だと個人的には感じています。ロバだけをとらえたショットが何度も出てきますし、最後ロバをも手離した時に、そのロバと子どもたちが去っていくのをず~っと見送る庄助さんの後姿、ここは名シーンです。清水宏さんの自然でゆるりとしたタッチが、復興活力にあふれる時代の頬をふわりとなでたような作品でありました。
10点(2004-11-27 23:52:10)(良:2票)
51.  キング・コング(1933)
愛は盲目・・・コングさん、まったくフェイ・レイしか見えていない(笑)。よってレイ点。んなわけなくて満点です。ラストで傷ついた左胸に手をあてていたのは、きっとハートが痛んでいたのでしょうね。しかしこの時代にこれだけの特撮技術が完成しているとは・・・。プロジェクトX海外バージョンでも作って、是非取り上げてもらいたいな~、「その時オブライエンは・・・」「レイは毎日叫んだ」てなナレーションが聞こえてきそうです。てなことはさておき、コングのモーションはリアルに、エモーションはちらりと描いています。コング初登場シーンでの愛嬌ある表情は、見ている者にコングへの愛着を少しだけ許し、その後のならず者ぶりで突き放し、さらにその後の盲目ぶりで、文明社会の被害者のように見せかけて実はなりふり構わぬ色欲狂じゃないのか、と思わし、コングへの過度な感情移入を許さぬ構成が、名作として普遍性を獲得しておるのでしょうね。まさにキングな映画です。
10点(2004-11-13 23:52:51)(笑:1票) (良:3票)
52.  風、スローダウン
「正しい青春映画を作るんや!」、当時島田紳介さんがよくそういいながらこの映画のことを語っていました。若かりし頃、〝ハイヤング京都〟という深夜ラジオ番組で紳介さん担当の土曜日を本当によく聞いていた私は、彼のその熱さにこの映画の公開をわくわくとして待ったものです。このたび久しぶりにこの映画を見ましたが、荒削りながらも“この映画に賭けた!”といったような吉本若手を中心とした出演陣の演技、BOROのほのずっぱい曲の数々・・・特に「季節のない季節」が流れ出し、バイクレースを中心にそれぞれの青春の結末がクロスカットで描かれるラストシーンは、当時映画館で感傷に浸っていた自分が甦ってくるようで、照れ臭さを感じました。チーム監督の入川保則とレーサーの石田靖が埠頭で語るシーンをワンショットで撮ったカメラワークには映画的センスも感じさせてくれます。入川から引いて二人を捉え、歩き出した入川を追い海をバックにし、そこへ石田がまたフレームインし、そのまま海をバックに回りこみ最後には二台のバイクで二人を隠してしまう・・・いいシーンじゃないですか。今回の紳介さんの不祥事は事の真相はどうあれ、私としては彼の熱さを久々に垣間見てちょっぴり嬉しいんです・・・そんな気持ちも代弁して10点献上!
10点(2004-11-10 22:12:47)(良:2票)
53.  赤西蠣太
昭和11年に作られた保存状態のよくないモノクロの時代劇で、これだけモダンでハイセンスな作品を見ることができるとは、イッツミラクル~~です。オープニングからピアノ音をバックに、雨に打たれる木→灯りの反射した地面を打つ雨→俯瞰ショットの傘二つ→伊達家家紋の瓦→字幕が入り、猫が一匹家屋へ・・・もうこれだけでこの作品の気品がうかがわれます。さっきの猫が行ったり来たりといったユーモア、テンポ、粋な会話、省略技法・・・ほぼ完璧であります。按摩師の殺害を角を曲がってから音だけで表現しているあたりは、「ライフイズビューティフル」が真似たのではないかな~と思ってしまいます。原田甲斐の登壇に、家臣がドミノ倒しのように次々と座っていく移動撮影、恋文の返事を読む赤西にインポーズされる小波といったカメラも見どころにあふれてる~。さらに片岡千恵蔵演じる、赤西と原田のコントラスト。女にまったく縁のない鈍そうな赤西、威厳あふれる勘の鋭い原田・・・この演じ分けもさすがです。終幕、メンデルスゾーンが炸裂し、クラシックと時代劇が見事に結ばれたのであります。イッツワンダフル!
10点(2004-11-09 23:25:49)(良:2票)
54.  鉄道員(1956)
チャオ~。といった軽い感じで始めるには合わないかもしれませんが、この作品は素晴らしいといっチャオ~。出ている役者もみんな素晴らしい・・・。鉄道員という仕事への一途さが子供たちとの軋轢を生み出している様子、そしてストライキでも列車を動かすシーンから、鉄道員としての誇りがひしひしと伝わってきました。彼を理解する同僚のジジ、彼を尊敬する幼いサンドリノを周りに置くことで彼の苦悩や悲哀を浮き立たせています。このジジのアンドレアとの距離感がまたいいんです。突き放すところは突き放し、けっしてべったりではなくそれでいて共に鉄道員として同じ機関車で育んできた友情を感じさせる・・・いいですね~。そしてアンドレアが目が合ってしまったという線路内の男、アンドレアはこの男の目の中にこの男の人生や家族といった背景が見えたのではないかな~。よってこれまで子供たちと真摯に向き合っていなかった自らの姿が見え、家族との接し方がより不器用になっていったのではないかと思うのです。クリスマスのラスト、ジジがみんなを招き賑やかなるアンドレア家のシーンは、その後みんなが帰り、妻と彼の二人の静かなる会話、それを一層静かに余韻を残すための伏線ではないでしょうか。ここでアンドレアが妻に漏らす「きれいだ」・・・ここで私はやられてしまいました。その一言にアンドレアの妻に対する想いがすべて詰まっているように聞こえたのです。マルチェロとサンドリノを見送る母、けっして微笑みを浮かべないその表情、その余韻にしばし浸らせていただきました。♪線路は続く~よど~こまでも、野を越え山越え谷越えて・・・人生をいろいろ越えるとあんな表情になるのでしょう、きっと・・・。
10点(2004-10-19 23:20:10)(良:3票)
55.  或る夜の出来事
私はバイオリズムが低下した時には、この作品のあの歌い踊るバスシーン、「ブランコ乗り」の歌のシーンを見ることで少しでも元気を取り戻すのです。コルベールとゲイブルが一緒に口ずさむ楽しそうな表情、なんと楽しそうな表情・・・2番を歌う水兵が、軽やかに荷物置きにぶら下がったり腕をはばたかせたり、3番の途中から席を立ち上がるピーター・ジャクソン風の傘を持ったおじさんのダンス・・・凡百のカウンセリングを受けるよりよっぽど気持が昂ぶります。昂ぶりすぎて涙が出るときもあります。ドキュメント「キャプラのアメリカンドリーム」ではこのシーンの歌が、エンドクレジットで流れるのですが、歌詞にキャプラの人生がかぶさって涙腺ゆるゆるでした。今週はこのサイトでもなにか出来事があって気分が滅入っていたので、「ブランコ乗り」のバスシーンを何度も何度も見ては救われました。これまで正直10点まではどうかなぁ~と思っていましたが、今週は堂々と10点を付けたいと思います。
10点(2004-10-15 21:58:44)(良:2票)
56.  トム・ソーヤ
泣けたな~。勇気、正義、友情、淡い恋・・・私にもまだ純真な少年のような冒険心、いたずら気分が残っておっての涙か、これは。いんや、やっぱりポリーおばさんをはじめ、トムをどうしようもない悪童としてあきれながらも、彼ら彼女らがトムを愛しているその真実、瞬間を見せられてのものだろうな~。トム・ソーヤの好奇心に満ちたいたずらぶり、恋焦がれてぼーっとする表情、叱られてしょげかえるしぐさ、不安と勇気にはさまれる素直な子供心、いつのまにかこちらも彼を包み込んでいるのでしょうね~。トムが恋仲のベッキーと洞窟に閉じ込められてからの活躍には、ベッキーを守ってやるのだぞ、トム!と思わず声をかけていました。ベッキーを演じるアン・ギリス嬢の不安からの叫び声、笑い声のリアルさにはまいりました。しかしこの洞窟のセットはよくできとるな~。また洞窟の中という闇を生かした光と影の作り方はなかなかのものです。そしてテクニカラーであるのがまた、なんでもが輝いて見えた子供時代のカラフルな思い出にマッチするのか、活劇気分を盛り上げてくれましたです。ということで明日からトムのように生きるぞ!うわっ、単純な奴・・・。
10点(2004-09-28 00:06:37)(笑:1票)
57.  サリヴァンの旅
コメディ作家プレストン・スタージェスの才気爆発!劇中の映画監督サリヴァンに自らを投影させ、高らかに謳いあげるコメディ賛歌、見ているこちらも思わずコメディ万歳!と叫び、隣りに誰もいなくても肩を組んで体を揺すりたくなる、そんな作品です。さて、このサリヴァンさん、辛辣な社会派映画を撮りたいのですが、本人にその苦労がないとの上層部の指摘に一念発起、ハリウッドから脱出して苦労の旅に出るのであります。ジョン・スタージェスが「大脱走」ならこちらのスタージェスはサリヴァンの「小脱走」といったところでしょうか。そこで繰り広げられるドタバタ、ロマンス。女優の卵役のヴェロニカ・レイクが少年に変装し旅のお供に、その変わりようはとくとご覧ください。またこの女優が会いたいと何度も口にする「ルビッチ」という単語にも泣けてきます。途中約7分サイレントのシークエンスは、サイレント時代のコメディへのオマージュ、またまた泣けてきます。ドタバタや美女の入浴シーンを批判していたサリヴァンですが、映画ではそのシーンがお約束のように登場し、劇中のサリヴァンとスタージェス自身のベクトルの違いで笑わせます。そしてラスト、サリヴァンのベクトルが向きを変え、サリヴァンとスタージェスが重なる時、さらにさらに泣けてくるのです。これはコメディへの愛情あふれる、コメディの大傑作です。
10点(2004-09-24 23:50:04)(良:2票)
58.  戦艦ポチョムキン
日本のプロ野球史上初のストライキが決行されることになりました。ということで、エイゼンシュテインさんのレビューでも書きましょう。「ストライキ」は未見ですが、その翌年に撮られたこの作品、艦内の労使対立からおこる反乱、それに引き続くオデッサの街の銃撃を喉元を抉るような鋭く、そして瑞々しいショットで描いています。驚愕です。とにかくカットを割って語ってくるのですが、いまさらながらモンタージュの完成度には唸るほかありません。後半、ほとばしる艦内の部位がカットでつながれ、噴き出した黒煙と光り輝く海面の白さとのコントラスト、戦艦の息遣いをまさに肌で感じるような映像です。オデッサに寄港したした時の、夕陽をバックにした帆船のショットの静的な美しさが、その前の反乱とその後の銃撃をつなぐ緩衝として実に効いています。オデッサの街の群衆、その叫び、悲鳴。イデオロギーの是非、善悪の判断は然るべき場に譲るとして、この映画は熱い、とにかく熱い!私の本棚には「エイゼンシュテイン全集」の第1巻が誇らしげに収まっているのですが、こちらは厚い、とにかく厚い、こともないのですが、まだ読んでいません。最後にプロ野球にも再び熱き戦いを!
10点(2004-09-18 00:31:34)(良:2票)
59.  サンライズ
疾走する機関車、大型客船のショットから田舎の避暑地へと移るオープニングからして、なにやらコントラストがきいているのですが、その通り純朴な田舎の女と都会の悪女、幸せの絶頂と不幸のどん底、というめりはりのある構造を成す映画であります。そのせいで非常にわかりやすいストーリィとなっています。しかし、しかし、見ておるうちに数々の映像トリック、陰影ある美しいショットにどんどんと、それこそ水の中へ沈み込むように引っ張られていきます。それにもまして、まして、ジャネット・ゲイナーです!お皿とスプーンを持って登場したファーストショットからもうノックアウトです。可憐、純情、優美、もう抱きしめたい!街でチュッチュ、チュッチュするジョージ・オブライエンには、ええ加減にせーよ!と毒づきたくなりましたよ。そしてラスト、髪をすっかり下ろした彼女、サンライズの光が顔を射し、そこに微笑みが浮かんだ瞬間、私的映画史に堂々とその表情が刻印されたのであります。うっとりとはこのことですな~。その他、男と悪女の抱擁シーンに挿し込まれる妻と赤ちゃんの抱擁、行きと帰りで同じ電車内の位置にいながらそれこそ正反対の2人など気に入ったシーンも多々ありました。それと動物が効果的、象徴的に使われていることが指摘できるでしょうか。牛=没落、犬=不安、子豚=幸せ、となっておりますね。もし、時空を超えて、虚実を超えて告白タイムがあるなら、私はこの映画の彼女に右手を差し出したいものです。ふ~・・・。
10点(2004-09-11 21:41:36)(良:4票)
60.  残菊物語(1939)
ひゃ~凄い作品です。舞台役者の花柳章太郎、森赫子(かくこ)を迎え、ワンシーン・ワンショットを基本とする長回しがとことんまで研ぎ澄まされております。全体をローキーで捉えた三木滋人(稔)さんのカメラは、この哀切極まりない物語を実に哀切たらしめております。また森赫子さんの艶やかで控えめな演技が、緊張感の持続強いられる長回しに映えてお見事。舞台でスポットを浴びる菊之助と舞台下の暗闇でひたすら手をあわせるお徳のまさしく明暗、菊之助が調達した呉服の生地に顔を埋めるお徳・・・あ~涙。菊之助が台所で餅を眺めるシーンの切なさよ。「あらっ、若旦那こんなところにいらしたん」のノー天気な台詞が拍車をかけます。病床で芸人の女房として振舞うお徳、その弱々しい肢体、口調とは裏腹に力強い菊之助への言葉・・・あ~、涙涙。安易な感傷とは無縁のお徳の物語、完。
10点(2004-08-27 00:16:35)(良:1票)
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