Menu
 > レビュワー
 > エスねこ さんの口コミ一覧。3ページ目
エスねこさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 644
性別
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23593/
ホームページ http://kine.matrix.jp/
自己紹介 [2010年8月23日]
か…かわも…

(゚Д゚;)ノ

…映画界は今日終わった…。


[2017年7月16日]
猛暑の夜、amazonで映画ではなく『幼女戦記』を寝ないで通し鑑賞。
大局的な戦略から入って行くという、かつてない架空戦記アニメでありながら、その悪夢性を出し切った感がすごかった。
最終話はテーマ的にポエニ戦争から対テロ戦争まで、膨大な戦争のイメージを深く広く全面爆撃して吹っ切れる展開に。
スピルバーグの『宇宙戦争』はバクテリアに仮託してその地獄自体を救いと説いたわけだけど、このアニメはそんな所まで引いて俯瞰する気がサラサラないってのがスゴイです。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011
投稿日付順1234567891011
変更日付順1234567891011
>> カレンダー表示
>> 通常表示
41.  明日へのチケット
なんか、もっと各作品の人物が絡むのかと思ってたら、意外とアッサリ系な処理でしたな。 (詳細はブログにて)
[映画館(字幕)] 7点(2007-06-08 19:06:37)(良:1票)
42.  頭山
初めてのブログ連係レビューなんだからと『話の話』や『道成寺』をレビューしてみようと思ったんだけど、一言も書けない。格が高すぎました(笑)。ちょっと敷居を下げてこのあたりで…以下はネタバレ含みで。ここが (詳細はブログにて)
[DVD(邦画)] 7点(2007-06-07 23:43:49)
43.  あるいは裏切りという名の犬
相変わらずというかいつも通りというか、映画館であんまり画は観ない。代わりに音楽を聴く。 本作では冒頭の音楽のミスリードぶりにヤラレて、最初の1時間はほとんど音楽のみに集中してしまった(まあ主演二人の鼻は別として)。この映画の音は甘い。とてつもなく甘い。普通この手の作品でリズムを刻まない音楽を入れないわけがないのだ。なのに、こんな甘いメロディに耳を委ねる心地よさが、フランスらしいドライで残酷な物語を中和させ、観る者の心を最後まで引っ張って行ってくれる。本作はストーリーや宣伝のターゲットと違って、女性の観客にもオススメだろう。劇伴としてとてもいい仕事だと思う。  というワケで、宣言したい。 この作品は『東京ゾンビ』と志を同じくした音楽哲学で綴られている! …あっそこ石投げない!
[映画館(字幕)] 7点(2007-05-23 18:30:18)
44.  スパイダーマン3
『神童』の2回目を観るつもりだったけど、時間が合わず渋々コレに。アゴを外しました。ブルース・キャンベルには「ジョン・クリーズの跡目を継ぐ気か?」と苦笑い。一番凄かったのは画面の中ではなく、画面の外の戦い。ソニーの製作陣と監督との突っ張りあいの傷跡が凄い。サム・ライミはかけがえのない、骨のあるバカだぜ。  ちょっと別の話をしよう。 1991年、リーナス・トーバルズが Linux カーネルの最初のコードをネットへ投稿した時、それは邪道の塊だった。UNIX の掟を破ってアセンブラを埋め込みまくり、もちろんネット上では「論外」の烙印を押された。だがこれは世界で初めて実用になる可能性を持った、386 系 MMU の力を引き出せるフリーソフトなのだ! このコードを OS へ発展させるため、ギークたちが群がった。開発は爆発的に進み、2年後には実用になる UNIX モドキが生まれて、これがカーネル 0.9 と呼ばれるバージョンだ。カーネル 2.0 で elf を、その後ルーティングから USB 対応まで様々な先進機能が盛り込まれる。この時点では既に大手企業やNSAが動き出しており、ページング効率化や、フック利用のセキュリティ等が巨大組織の手で実装され始めた。世間では Windows 98 が売れに売れていたが、現在の逆転の構図は、既にこの時期に仕掛けられていた。 この頃からリーナスは「奥の院」へ入るようになる。コメンテーターとしてマスコミの前へは出るが、開発にタッチするには利害関係や動く金額が巨大で、複雑になりすぎていた。彼の言葉ひとつで、とてつもない額が世界中で動き回るからだ。彼は現在、「"NO" を言うのが主な仕事だ」と言っている。利害が膠着した開発サイドの最終的な「神の声」という事だ。実際、彼の言葉で「学者や企業の玩具」になるのを何度も免れている。Linux は政治的に灰色のOSに近づきながらも、個人ユーザから離れていく事はなさそうだ。  チープな巻末1ページの掲載から始まったスパイダーマン。ソニーの押し付ける《A》シナリオに対し、ライミは頑固に安っぽいコミックへの愛を叫ぶ。画は固定したコマの、ギトギトのメロドラマ、頭の中で台詞をフキダシに置き換えて観てほしい。台詞の長さ、フレームの空き具合…バッチリだ。流星が Veeem! って叫んで落ちてるしな。ここまで映画を捨てたのは凄い。 そもそもマンガってのは安っぽくなきゃイカンのヨ。-6点はコロンビアに。
[映画館(字幕)] 4点(2007-05-21 20:51:23)
45.  ナビゲーター ある鉄道員の物語
偽りようのない技術の真実を、ユーモアに包んでソッと差し出す。ジャズがとても心地よかった。 これに10点をつけずにどうする! …て気がするけど、とりあえず9点。  色のバランスがイギリス風にメカニカルな映画だ。画面の中で、常に白と青とオレンジがせめぎ合う。そして白い部分が、クライマックスでは全て闇に。この画面設計の意味がまだわからない。オレンジを赤に変えれば、この3色はユニオンジャックの構成要素。そして赤は血の色だ…ここまでは気付いているんだが。とにかく画面を圧迫する青が圧倒的で、美しい。ちょっとハネケ風の解釈をしたくなるかな。  内容はもう、技術的に足腰の弱っている現代社会の裏側、どうして病巣が広がったかというメカニズムを切り出した「再現ドラマ」だと言っていい。 福知山線の事故に留まらず、佐世保造船の大火災、福井原発・もんじゅの事故、北見のガス漏れ…全て源泉はここにあって、我々は安全な社会に住んでいるわけではなく、安全と報告されている社会に住んでいる事がよくわかる。社会インフラの保全技術はもう崩壊寸前で、あと1世代保てばいい方じゃないだろうか。 ケン・ローチはこの世界同時多発現象の根に、「連帯の崩壊」を置いた。 新人だった頃、とあるシステムに参加した事がある。こいつが10年後に事故った。もう独立して全然違う仕事をしていたが、原因がわかるまで飯が喉を通らなかった。3日くらいだったと思う。以来、人の命を預かるモノをやる時は、納得が行くまで上部組織に噛み付き続けるようになった。もちろん事故があって電話が来たら、何をしていても即座に飛べるよう日々覚悟をしている。でも結局、何かあっても個人にやれる事なんてたかが知れてるのだ。疲労困憊して、いつの間にか人情をなくし、自己保身に走っている自分に気付くのがオチだ。 ローチは人が人でなくなっていく、白が暗黒に塗り込められていく過程を批判的に描いているが、時代はまた巡るだろう。誰もが責任を持っている。それが「仕事」に対してではなく、「社会」に対してだと、再びみんなが気付く日が来るのを信じて、今も生きている。ちょっと愚かになってしまったシステムだが、捨てたもんじゃない。設計を見直せばまだまだイケる。  ●追記: 調査不足でした。この映画、凄いわ! 詳しくは小ネタ欄に…。
[映画館(字幕)] 9点(2007-05-18 15:21:56)(良:1票)
46.  神童 《ネタバレ》 
原作知らない、って以前にもう、何がなんだかわからない意味不明世界に翻弄され、気がつけば終わっていた。心の中で評価がどう変化していったかというと、3点→0点→マイナス5点→0点→5点。とにかく、音楽映画としてはまるで「なってない」。本作をドイツとオーストリアへ持っていけば、間違いなく嘲笑・黙殺・非難・悪魔祓いの憂き目に会うだろう。予言する。 カメラが演奏中のピアノをナメる。白と黒の鍵盤の上を踊る指が画面の下側に、そして中央にはフタの裏側に刻印された「YAMAHA」の文字が映り込むよう、何度も、何度も…その時点で「もうダメだ」と思ったんだが、それを遥かに下回る知能の低さなのだ。凄いのだ。仮にもヤマハの名が出る以上はキープしているであろう音楽的な演出がゼロで、ピアノのBGMであるべきトコロが弦で、縦糸はあっても横糸は無く、頑張っても四重奏がせいぜいで、従ってテクスチュアなんぞあろうはずもなく、テーマが力強く現れる事もなく、最後の演奏会にもつれ込み、そこで、そこで椅子の高さのエピソードが出てきてやっと気がつくという始末。 彼女はグレン・グールドだったのだ。当然というかオイラはミカラ・ペトリやアンネ・ゾフィー・ムターを想像していた。だがそうでもあり、やっぱりそうじゃなかった。グールドだったのだ。 だったらそこはバッハでなければならない、と当然のようにオイラの中の音楽が囁く。だがそうではない。ここはモーツアルトが正しい。これは音楽の話ではなく、ピアニストの話ではなく、夭折したグールドの物語なんだ。音楽を切り取って外側から描いた、例えばそう、「エッシャーの絵」がそこにあるんだろう。 これは日本の演奏界の袋小路を描いているかもしれないし、単にノーセンスでヤマハを糞まみれにして葬る映画かもしれない。そんな事は、どうでもいい。音楽になっていない映像の中に、確かに音楽を聞いた。監督の意図なんてどうでもいい。屑の塊が音楽になっている。それを聴いた。幻聴と言うなら言え。  それにしても、ホント村治佳織に似てるわ…。
[映画館(邦画)] 7点(2007-05-14 20:31:46)
47.  スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい 《ネタバレ》 
同じく、ベン・アフレックの退場ぶりが泣ける。QTっぽく錯綜するシナリオの混乱度と緻密さは、類似作品の中で群を抜く(思わずレイ・リオッタを悪役と勘違い (^^;)。が、それが面白さに転化しきれていないのが痛いとこです。50ミリ(修正・なんでミリやねん50口径)の機銃でFBI捜査官を殺しまくるシーンはチト凄いモノがあるけど、全体的に見せ場は少ない方かな。個人的には殺した相手のデスマスクを作るシーンが良かった。ルパンやトム・クルーズのお約束「どこでそんなマスク準備してんだよ!」ってな初歩的な突っ込みどころにマジメな顔で応えてくれるのが嬉しい。 ●11/18追記:ラストシーンを思い返していて、ふと気付きました。あのラストに重みが感じられないのは主人公が若すぎるからなんだ。少なくともアンディ・ガルシアやレイ・リオッタより若いのはいただけない。例えば(予算の関係はあるだろうが)ハーヴェイ・カイテル。または(理想を言ってますが)ロバート・デュバル。あのラストに「若造がナマ言ってんじゃねェ」的な、老捜査官の意地みたいなモノが加味できれば、この映画はグッと完成度を増すだろう。
[映画館(字幕)] 5点(2007-05-14 15:23:55)
48.  麦の穂をゆらす風 《ネタバレ》 
イギリスのジョークで「英国人は座って考える。フランス人は立って、アメリカ人は歩きながら、アイルランド人は後から」というのがある。そういうアイルランドの国民性は随所にあったと思う。  んが、ほぼ終わりの方まで「こりゃ4点だね4点」と思いながら観てた。 歴史のお勉強に近いし、このあたりはとりあえず高校の授業でもやってる内容。むしろ第一次大戦に勝ったのに敗戦に近いダメージを被った英軍の兵士とか、そういう「敵」の顔が見えないのが嫌だったかな。 石壁を背に若者を立たせ、見せしめでその中の数人を殺しておく「間引き」なんかは小説にはよく出てくる光景。街区でのお隣さん同士の銃撃戦も、アイルランドのトレードマーク。これに黒ビールと長い議論が加わればほら! IRA歴史映画の出来上がりじゃん! …そんな感じがするんですよね。後の北アイルランド解放テロに結びついていく「頑固なアイリッシュ魂」は感じた。  ところが、終わり近くでダミアンを説得する兄の言葉から、それまでの思考の流れが見えてきて、ビデオを巻き戻すみたいにガーッと兄テディの主要シーンが蘇ってきた。弟がロンドンに行く時、一人止めなかったテディ。弟がレジスタンスに加わった時、一人黙って臍を噛み続けたテディ。拷問の痛みに耐え、それから言動が変化していくテディ。 痛みを知った者と、知らない者の差がこれほどまで大きいのは…当然かな。オイラは兄貴に感情移入せざるを得ない。嫌な奴だが、それが人間だ。 「兄弟の相克」という内容から、『ケス』のテーマの発展形だとも言える。そういう観方でも、充実した面白いものがあったと思う。歴史映画としては平凡だと思うけどね。  ●追記: ウィキペディアで調べて、テディの顔がマイケル・コリンズにソックリだったのを知る。なるほどね! 他のキャラもモデルがいるんだろうな…。
[映画館(字幕)] 7点(2007-05-10 22:11:01)(良:1票)
49.  硫黄島からの手紙
こりゃわかんねーなあ。本当に。 米国の観客に、イラクと重ねて観る事を強要してるとしか思えなかった。とりあえずは『星条旗』と同じ点数。でも、DVDで見直してもっと下がるかもしれない。 ナチ側だけから見た『パリは燃えているか?』みたいな感じもするし、何度も広瀬正の『マイナス・ゼロ』を思い浮かべた。戦前文化の最後のともし火というか、そんなものは感じる。 でもこれ、イラクと重ねる以外にどういう観方があるの? …と問いたくなる。
[映画館(字幕)] 3点(2007-05-10 21:51:40)(良:1票)
50.  ウェイキング・ライフ 《ネタバレ》 
『スキャナー・ダークリー』を観逃しちゃってガッカリしてた矢先、中古ショップで720円の『ウェイキング・ライフ』を発見! ウハウハしながらレジに駆けたという…ちなみに、一緒に買った『ツイスター』は580円でした。世の中って素晴らしい。 本作は実験作だし、失敗してるシーンも多いので点は上げられないですが、好き・嫌いの別で言うと猛烈に好き。言葉で埋め尽くされた世界が、何ともエキサイティングだ。 技法的には単純に映画へデジタルペイントしただけ、と思ってたのに、様々な技法を使って手の込んだ絵を見せてくれる。絵のレイヤを全部揺らしながら進行する場面なんかは、普通動かないモノが動くのでかなーりクラクラ。 だが大ざっぱなアメリカのアニメだから、こういう状況下で平気でカメラをパンさせたりしてスムーズなアニメーションを壊してしまう。コマの繋ぎがわかってしまったら、こういうアニメは醒めてしまう。動画をスムーズに動かすノウハウに関してはまだ日本が先を行ってるだろうな(『スキャダー』観るまで結論出すのを保留しますが)。 ストーリー的にはコレでいいんじゃないすかね。一般人狙ってないし。キルケゴールやサルトルが何者か知ってる人限定、『わが涙流れよ、と警官は言った』の名が出てパッとキャラクターが思い出せる人限定。  つまり…よく日本でDVD出せたなコレ。日本語吹き替えまで付けちゃって。こういうバカも尊敬に値します。
[DVD(吹替)] 6点(2007-05-10 21:03:41)
51.  ゲゲゲの鬼太郎(2007)
蛇口故障。自分でも呆れるほど泣いて、終わりの方では嗚咽も漏らしちゃって…子供がいっぱい観に来てた中で、猛烈に恥ずかしかったというか。  予告で「泣くかもなあ」という予感はあった。 ちゃんとした鬼太郎の物語としてこなれてはいるんだが、今回の鬼太郎は、舞台がちょっと違うのだ。作中で明示はされないしロケ地は全国あちこちに散らばっているんだが、間違いなく東京の霊山・高尾の話。 森・霊園・土地開発・団地・列車の車庫・天狗と狐と烏・トンネル・そしてあの土地独特の霊気に満ちた空気(要するに湿度が高くて霧が出やすいだけなんだが)、そんな高尾周辺のアイテムで覆い尽くされていた。冒頭の森の、あの空気を観ただけで泣くやつは泣くだろう。オイラは1カット目で既に涙が出ていた。 あの特殊な空間と土地の精神を、よくここまで統合して映画に放り込めたモンだと思う。あそこに住んでない人は、映画を観てから一度訪ねてみて頂きたい。本作の空気からすると、桜の咲く頃から梅雨明けの時期までがいいだろう。多分、風景は全く似てないのに、空気だけが激似で驚くと思う。あと、ゲゲゲの森は黒部湖のあたりと見た。ちょっと東京からは離れた感じだ。  小雪はもう少し頑張れないものか。田中麗奈は芸達者に囲まれ、緊張しまくりなのが見えて、逆に楽しい。中村獅童はヤケクソな腹の据わり方がムチャおかしい(ま、いつも通りなんだが)。「獅童さん、大テング役をオネガイしますよ! これができるのは日本中で獅童さんしかいませんよ!」と言われた瞬間の顔を見てみたくなった(笑)。妖狐たちのマトリックスぶりは、CG使ってないんで本家より燃えたかも。西田敏行・谷啓は完璧な出オチですね。 できれば高尾在住の楳図かずお先生にもカメオで御登場頂きたかったが…水木しげる作品に出てもらうのは厳しいだろうからなあ…惜しい!
[映画館(邦画)] 9点(2007-05-09 16:10:43)(良:1票)
52.  ルナシー
これ以下はビタ一文まからん。 これじゃ現実の方が虚構だ。 いやま、チェコにとってはそうだろう。今のご時世、ヤンは乾いた笑いが止まらないに違いない。  ●追記: ああっもうダメ! サド侯爵がひょうきん族時代のビートたけしにしか見えない! (^^、 「哲学的ホラー」が、脳内で「バラエティ番組のコント」に自動変換されてしまう!
[映画館(字幕)] 10点(2007-05-06 01:00:39)
53.  KUROMAME ~ the magic wand
いやあ登録申請から半年近く過ぎたなあ…危うく『コンプリート・サンダーバード』の二の舞になるところでした(って、向こうもまだ諦めてませんが…)。 この作品は自主製作映画のため、まだDVD等が出ている状態ではありません。TOKYO MX テレビで5月3〜4日に放映されるようなので無理を言ってネジ込ませてもらった感じっす。  本作に出会ったのは昨年のアニメ自主上映会での事。去年は短編映画の魅力にドップリはまってしまったおかげで、タイミング的に『KUROMAME』に出会うのは不可避だったと言えます。 3年かかって撮り上げたという25分フィルムは、デジタルベースなのでシネコン以上の大スクリーンにかければ確実に荒れるし、映画的にもマニアックに凝ったところはない(断言)。ただ、このクレイアニメは、今までオイラが観て来た作品で換える事のできない価値が二つ、ありました。  ひとつは北海道の田舎町の風景が、街区ごとミニチュアセットで造られていたコト。別に写実的でも何でもないミニチュアですが、ありもしないその街へ、行った事があるかのような錯覚が起こるほど、北海道してた。クレイと言えば背景には凝らないのが相場ですから、これは盲点を突かれました。  もうひとつは、登場人物たちが服を着ていた事。ちゃんとした布地の服です。クレイアニメはハダカか粘土でおおざっぱな服を着せるか、ピングーみたいに動物にするか、くらいの選択ししかないですが、ちゃんとした服を着せた事でクレイがクレイではなくなり、別の新しいジャンルがスクリーンで繰り広げられていました。  粘土の大味な造形に、パジャマの生地なんかが違和感なくマッチして、オイラ的にはちょっとありえないほど可愛い。まあキャラ・街ごと「北海道3D版へなちょこムーミン谷」と言えば、近いかな。 人気が出て、2作目を撮れるだけの予算が確保できたら、しっかりとハイビジョンで製作して欲しいですとも。大画面でも楽しめる器とコンセプトを感じたクレイアニメは今のところ本作以外に知りません(えー、ここで「ヤン・シュワンクマイエルは?」とか突っ込まないように)。  …うーん。眠いのでレビューも大味…また書き直します。
[映画館(邦画)] 8点(2007-05-02 05:11:58)
54.  秒速5センチメートル
いい。 絵のセンスは素晴らしい(あの空の描き方は、世界のアニメ監督の誰も、一人たりと気付いていないんじゃないか?)。モンタージュの乱舞するエンディングには拳を握った。そこまでは心をうごかされたという事だ。 何はともあれ、一度きりの、空の表情の映画。日本は広い。『エル・スール』じゃないが、人は自分の住む土地の風景によって、空と雲によって、「思考させられている」と感じる瞬間がある。本作では南島独特の多層で多彩な雲、北関東特有のノッペリした無辺の青、東京ならではの息苦しい明るさが、人物なんかそっちのけで力を込めて描出されている。故に、これは「空の話」だったと断言したい。 だから極端に言えば人物が描かれなくてもいいんだが、そこはそれ、監督はまだ若い。話を進めるためにも人間は必要だ。 監督。10年後にもうひとつ、20年後にまたもうひとつエピソードを作りたくなるだろうよ。心にそのスペースを用意して、しっかり待ってるぞ(挑戦状)。  他方、ストーリーテラーとしては新人にありがちな背伸びが目立つのが致命的な欠点。点描によって大きなモノをスケッチするのは、緻密に描かれる部分があってこそ対比の力で受け手に迫るもの。1話目の電車・2話目のサーフィンを、あの程度の描写で終らせたのは罪が深い。というかインパクトが成立する以前に、映像が網膜から逃げて行った。せいいっぱいの限界点でやってる青い部分がたまらない芳香を漂わせているのも確かだが、一箇所でもいい、描きたい絵をとことんまでゴリゴリ描く事から逃げている現状は、決してアートとして成立しているわけじゃない。 ここは冷淡に突き放し4点にする。「悪い」「駄作」という意味ではない。物語世界に大化けする可能性を見出せないが故の低得点だ。このアニメはおそらく、もともとが5点満点の作品世界なのだ。バラバラの点描ゆえ、そこも突き抜けはしなかったが、素晴らしいモノがいっぱい詰まっている。それは間違いない。 DVDが出たら誰にも言わずにコッソリ買ってきて、毎夜コソッと一話づつ観ては泣き濡れる…オイラ案外そんな事をしそうな感じで、今から不安だすよ(笑)。  ●追記: いやしっかし、2話目のあそこで『ヴェルクマイスター・ハーモニー』の「アレ」登場シーンをパクるとは思わなかったけどな(客席で声を上げて密かにのけぞった (^^;)。その記号的な意味や、使い方まで「アレ」だし。
[DVD(字幕)] 4点(2007-04-23 00:46:12)(良:2票)
55.  父親たちの星条旗
『ハンバーガーヒル』+『ランボー』の品格高い版。 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』以上だと噂に聞いていた時間ジャンピングは、ジョイス文学やヴォネガット文学みたいなモンだと思って観てれば違和感はない。というか論理がよくわかる。個人的には『ラグタイム』の原作のような視点ジャンピングを使った方が効果的だったんじゃないかと思う(まあ読まないとわかんないでしょうが…『Xメン』のプロフェッサーⅩが書いた歴史小説みたいな感じで凄いんですよ)。 指摘しておきたい点として、砲撃のさなかの空撮シーンは、記録フィルムよりは圧倒的に宮崎駿アニメの方に近いね。画面に出るたび『未来少年コナン』を思い浮かべちゃって困りましたよ。おそらく硫黄島の地形が、ギガントを思い起こさせる形状になってるからなんだろうな。 観終わって、まず「マンハッタン計画がもう少し早く始まって、ここに原爆が落ちてりゃなあ…」と嘆息しました。エンリコ・フェルミが日本の都市で爆発実験したがってたのは事実だけど。平時には何の価値もないこの島に落ちてたら、戦後がどれだけ変わっていたことか…。  プログラム的に『蟹工船』と続けて観てしまうという結果となったので、残念ながらインパクトの弱さが致命的になっちゃいました(船から人が落ちるシーン、向こうはカメラマンが命張って撮ってるからなァ)。が、後日DVDで見直す事があればもっと正当な評価を下します。あー来月は『硫黄島からの手紙』対『麦の穂を揺らす風』なんだよなあ…これもクリント・イーストウッドが割りを食いそうなカードだぜ…。
[映画館(字幕)] 3点(2007-04-18 20:14:07)
56.  酔っぱらった馬の時間 《ネタバレ》 
古来から南米の山岳民族は、土地の生産性が低い割にピラミッドなんか作ったりしちゃって重労働を課せられて来た民族だ。重い荷物を背負って山を越えるシェルパは、出発の前にコカの葉を一枚、口に含むんだそうだ。麻痺した肉体は、耐えられないような辛い仕事にも耐えてくれる。そうして麻薬大国コロンビアは誕生した…以上は枕でした。  本作では、イラクに向けて出発する密輸キャラバンが、厳寒の山越えに耐えられるようロバに酒を飲ませる。キャラバンが進み始めると、そこで映画開始後30分にして始めての劇伴が入る。このルールは全編に渡って適用され、馬が酔っ払っている時間にしか音楽はかからない。まさに南米を舞台にした『アギーレ/神の怒り』の冒頭と同じ音楽原理。 長い人類の歴史で、とても耐えられないような辛い仕事を耐えられるようにしてきたのが音楽の力だから。音楽は人間の営みのエッセンスだから。無限の繰り返しによる「麻痺」という快楽が、音楽の原理であり、オシゴトの原理でもあり、そもそも人生の原理でもあるだろう。BGMではないけれど、序盤に子供たちが唱う歌が、それを率直に表している。 人生は辛い。人生は酷い。人生に希望はない…それを言い続けて、言い続けて、みんな麻痺して行く。感じなくなって行く。 そんな中で、決して良心を捨てようとしない主人公たち兄弟。弱者を見捨てようとせず、その態度に疑問すら持っていない、偉い事とか良い事とかも感じていない、とてもストレートな主人公たち。劇中、彼らだけは麻痺を拒絶して醒めて続けている。彼らだけが現実を直視している。ポスターを買ってくる兄の姿に、麻痺の兆候が見えてはいるが。まだ彼らは大事な何かを失わずにいる。  …もしこれがテーマだとすると、エンディングのカットタイミング、そこへエンドロールと共に流れてくる音楽は絶妙で、恐ろしい。音楽は、人の中の何かを奮い立たせ、同時に何かを失わせる。本作の劇伴ルールの厳密さから考えて、エンディングに流れる音楽は悲劇の暗示だと推測した。 地雷にやられたのかもしれない。兄を見捨てたのかもしれない。ロバが売れなかったのかもしれない。手術が失敗したのかもしれない…その全ての可能性と、結果として訪れる心の境地を、あの音楽が癒してくれている。 この映画自体も、観客の心へ失った何かを取り戻させてくれて、また奪い去って行く。映画もある種の麻薬だと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2007-04-14 09:15:41)(良:1票)
57.  ブラックブック
さーて正式レビュー行きまっかー!  この映画、ホントに不思議な造りだよねえ。 (冒頭と最後に置かれた戦後シーンを除くと)いきなり途中から始まって、中間をすっとばし、「その後」をカットして進んでいる。主人公が平和に過ごしていた時期は、観客が違和感を持とうがどうだろうが「5ヵ月後」などのテロップひとつでジャンプしやがる。「平和」が全て削除されているじゃんよ(ついでに言えばバーホーベン映画だってのにベッドシーンもない!)。人物・伏線的には緻密な物語構成だけど、この「間隙」は相当クセモノだと思う。 本作はラヘル・シュタインという一人のユダヤ人の回想形式を取る。回想形式なのに「幸せ」がカットされているのはどういう事か。そこで何となく、一人称映画独特の「主観が物語までもねじ曲げる」という大トリックが仕掛けられている…てなコトに気付くのだ。 確かにラヘル・シュタインは、ナチス統治下で地獄のような目に遭った。だが多少とも幸福な時期はあったし、安全な時期もあった。彼女はそれを思い出せないのに相違ない。転じて、それが現代のイスラエルの駆動原理であり、もっと言えば旧約聖書で展開される出エジプト記の原理にもなっている(そこで聖書のエピソードがまた大量の間隙で構成されている事に留意すべきかもな)。 劇場で2回観たんだけど、この、怪しい奴だらけの人情迷路で、端役のクセに超重要である人間が2人ほどいた。全体構成を理解して、各キャラの腹の中を想像しつつ観ないと、その人物は浮かび上がって来ないので、最低2回は観る必要がある(断言)。 その人物たちが本作では端役になっちゃってるのは、主人公の心がそれを認めたくないから、だろう。彼女は戦争の被害者であって、あの戦争で、彼女と同じ虐げられた側にいながら彼女より幸福に生きた奴らがいるなんて、認めたくないわけだ。  物語の始まりが削除されているように、本作では物語の終りも削除されている(処理し残した伏線から考え、オイラはそう見ている)。 この嫌らしいトリックを、バーホーベン監督はわざとやっているはずだ。 なぜなら、現実のイスラエルの物語はまだ終っていないんだから。
[映画館(字幕)] 9点(2007-04-07 14:04:30)(良:4票)
58.  京鹿子娘二人道成寺(2006)
ここの登録ルールに反するとは知りながら、敢えて登録申請させてもらいました。  実はこの作品は、本当にただ歌舞伎の舞台をビデオ撮影しただけなのです。そして、それこそが本作を端倪すべからざる理由でもあるのですな。ハイビジョン撮影のメリットを生かし、一切の照明なしで、固定したマルチカメラ数台で客席から舞台を撮影。カメラはレフ版やらスポットやらで甘やかされる事なく観客と同じ環境下で映像を記録し、舞台と同じサイズの巨大スクリーンへ投影できる画質を確保できる時代になったのを実感します。 特に、本作はいわゆる『娘道成寺』ですから、女形が着替えに着替え、着物の色・傘の色が乱舞する。この色が滲まず美しく出ていたのは、驚嘆。なんかスポーツ中継でファインプレーを目撃した瞬間みたいな、手に汗握るモノがあります。これはHDビデオの最先端技術のお披露目映画でもあるワケです。 冒頭、本作のそういう役割を自認したシーンがありまして、安珍の鐘を横に4人の僧侶が横並びでかけ合う場面を、アングルは固定、4人の爪先から頭頂までを余さずカメラに収めながら、かけ合う様をじっくりと見せる。歌舞伎座の観客の目の前にオペラグラスを置いたような、そんなアングルです。これで表情の微細な変化、僧侶のカツラの継目までがハッキリ見えてしまうんだから凄いですよ。 実は上映中2度ほど、あまりの臨場感で、本当に歌舞伎座に来たと錯覚して拍手しかけました。  それだけのパワーを持ったカメラで、画面いっぱい精細に詳細に微細に映し出される玉三郎・菊之介の顔のクローズアップ…猛烈に萌えねえ(泣)。 松竹の旦那、歌舞伎の客が見る以上のモノを映しちゃーいけやせんぜ!
[映画館(邦画)] 7点(2007-04-06 10:04:02)
59.  ユア・マイ・サンシャイン 《ネタバレ》 
なんすかこれは〜! ジャンルは分類不能、物語も解析不能。ただただグレードアップして行くファム・ファタール対、妙にウゴ・チャベス似の顔した主人公の直情さ全開。後半、なんか常識レベルを越えて怪獣映画なみの障害物にまで成長し、ハンニバル・レクターばりの状況に追い込まれるヒロイン。それに対してただただ等身大の愛を捧げ続ける主人公。こんな無茶苦茶ができるんだ、映画で! 身を削り、村八分になり、家族も親戚も捨て、それでも「愛してる」と言い続ける。こんな中身のない、それなのに凄い映画は観た事がないっす。 同じ状況設定から始まっても、日本の映画なら『恋するトマト』であるワケですが、あれと違って落ち着きの悪さがパワーに転化していました。日本はお行儀が良すぎるのか…? 誉めるとかけなすとか、そういう次元をすっかり越えた奇作。打ちのめされた感じっす。
[映画館(字幕)] 8点(2007-04-03 23:10:57)
60.  うつせみ
面白い映画でしたが、困った。 最初から最後までオイラ、ほとんど人間を見てませんでした。ミヒャエル・ハネケの『セブンス コンチネント』と、そしてヤン・シュワンクマイエルの『ワイズマンとの休暇』と同系にある、家具と日用品の群像劇でした。オイラがタイトルつけるとすると『第七大陸から来た男』ですな(笑)。 …という風に解釈しながら観ていたので、後半から結末にかけては「前半でオイラの脳が観ていた絵」をご丁寧に繰り返してくれてるだけで、すっかり飽きてしまったという…嬉しいようで全然嬉しくない体験でした。しっかりした土台を作って、その上にまた丁寧な土台を築いたような感じ。入居しようと思ってたビルがない。 キム・ギドク監督、この程度で観客を煙に巻いたと思ったんなら甘い甘い。その先をお願いします。
[映画館(字幕)] 5点(2007-04-03 22:52:38)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS