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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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621.  その土曜日、7時58分
シドニー・ルメットの最高傑作と言ってしまおう。時間を遡ってある時点から別の視点でリスタートする。別の視点で見せることで謎めいた物語を徐々に露にしてゆくというのはよくあるが、これはこれからの展開以上にそれぞれの過去までも露にしてしまう。何故そんなことになってしまうのかだけじゃなく、何故そんなことをするのかが解かってくる。しかも説明なしに。最後には全ての人物の行動や成り行きを何もかも納得させてしまう。完璧なシナリオにまず脱帽。イーサン・ホークのダメ弟が少しイライラさせてくれるのだがこのイライラが頂点に達するまえに時間が逆回転するもんだから、あまり不快感を覚えることもない。むしろこのダメ弟のダメ弟ぶりが、また顔だけが男前ぶりまでもがこの坂道を転がるように落ちてゆく物語に説得力を与えていることが判明したときは脱帽したうえに頭を深々と下げざるを得ない状態となること必至。全くもって天晴れ。そしてこの洗練された語り口。老人の作る映画じゃない。
[映画館(字幕)] 7点(2009-02-03 14:47:32)
622.  アンダーカヴァー(2007) 《ネタバレ》 
ジェームズ・グレイの7年前の前作『裏切り者』(これまた傑作!)と同じ主演コンビをそのまま迎え、ソニー・コルレオーネことジェームズ・カーンをトム・ヘイゲンことロバート・デュバルに『ゴッドファーザー』リレーをしてみせたキャスティングからもうサイコーである。前作よりもずっとずっと怖い世界を舞台としているが、哀愁の赴きや作品全体の重厚感は前作の方がある。今回はむしろドラマをテンポよく見せてゆく軽快さがいい。少々強引であろうが早急であろうが関係なく進めてゆく。描かれるのは『リトル・オデッサ』を含めてグレイの全作品に共通する「家族」の絆。ここはしっかり描く。グレイじゃなかったらエヴァ・メンデスという美女を危険にさらしてドラマを盛り上げただろう。あるいは冷酷無比を見せただろう。しかしそれをしちゃうと軽快感が損なわれ、家族のような仲間よりも家族を選んだ主人公のドラマの濃さが損なわれてしまう。ロシアン・マフィアの冷酷さもクラブのオーナー家族との和気あいあいも全て「家族」の絆を描く道具立てにすぎないのだ。それでいて全てのシーンがかっこよくて怖い。とりわけ雨のカーチェイスシーン。というより雨に光る銃身。いやはや、この監督、もうちょっと映画を作る間隔を狭めてもらえないだろうか。
[映画館(字幕)] 7点(2009-02-02 14:21:18)(良:2票)
623.  東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007)
うちのオカンも息子(私や弟)の友人や彼女と、あるいは別れた彼女と息子無しで会ったり電話したりするほどに仲がよくって、だもんで、この映画のオカンのように、10年以上前にはなるんだけど癌になったときは私を押しのけて友人たちがえらく心配してくれたことがあって、妙にシンクロしちゃって泣けてしょうがなかった。で、泣きまくっといてなんだが、見せ方がやけにのべーっとしてるというか、決定的な画に乏しいというか。例えばこの物語の最も重要なシーンは健康ランドのシーンだと思うんだけど、重要であることがあんまり伝わってこない。行く前に化粧しているところをボクが覗いてるシーンでも子供視点で撮るとだいぶ印象的になったような気もしないでもないし。なんつうか、お話の上辺だけを描いていて、その内情とか側面とかがフッと現れるようなところがないというか・・。豪華脇役陣がいかにも製作にテレビ局と広告会社が名を連ねる映画だなと思ったが、この豪華な顔ぶれをわりと前にでしゃばらないように地味に使いこなしているのは好感が持てる。
[DVD(字幕)] 5点(2009-01-30 15:11:42)
624.  東京暮色
黒沢清『トウキョウソナタ』を観たときに黒沢清の過去の諸作品を想起したのと同じくこの『東京暮色』を想起した。どちらも家族が崩壊してゆく映画ではなく、最初から崩壊しているということを見せてゆく映画。そして父が家族の中で威厳ある存在でいるという幻想の崩壊が描かれている。日本映画は、いや、アメリカを例外とする世界の映画は「母」をこそ映画の題材にしてきたのに対し、小津はアメリカ映画の影響なのか、はたまた自らの思惑があってのことなのかは知らないが、「父」を描いてきた。小津の描く「父」は何もしなくても、何も言わなくても、「父」として、家族の長として存在することを家族が認めていた。しかし『東京暮色』の父は何もしないのではなく何もできない存在として描かれる。そして母の不在こそが家族を分断させる決定打となっている。小津が描く「父」はいつもどこか寂しげな一面を見せてきたが、ここではその寂しさも泣きっ面に蜂状態。娘(原節子)も母(山田五十鈴)もそれぞれの事情を抱えてそれぞれの道を歩む。杉村春子は相変わらずのマイペース。父はひたすら何も出来ない。理想の家族形態が存在する古き良き時代の終焉を描いた映画といえるんじゃないだろうか。悲劇を悲劇として描かず、あくまで日常として描く。痛切で怖い映画だ。
[DVD(字幕)] 8点(2009-01-29 14:23:16)(良:1票)
625.  東京ゴッドファーザーズ
近未来の東京を舞台にしたギャングものと勝手に想像して借りて、見始めてすぐに「しまった」と思った。ただ絵がリアルでキレイなだけの人情話かよ。そう思ったのもつかの間、お話はリアルから程遠い、やけに都合のいい展開が繰り広げられる。なかなかシャレたコメディではないか。話が進むに連れて都合のよさはヒートアップ。どんなピンチも浅はかな奇跡のおかげで難なくやり過ごす。いいねえ、奇跡の大売出し。クリスマスだし。何より強引に前に進むもんだからテンポがいい。停滞しない。真面目ぶってる暇も無い。そして奇跡の大売出しなんて軽く思ってたら最後の奇跡で泣いてしまった。奇跡は起こるべく人の上に起こる。この語りつくされて今さらな青臭いお話を臆面もなく大人向けアニメーションでやっちゃうってのがいい。ご都合主義が最強の武器となっているのも実写ではなくアニメーションだから成し得た部分もあるかもしれないが、こういう題材を堂々とやっちゃう気概あってのことだと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2009-01-28 13:39:38)
626.  TOKYO!
■「インテリア・デザイン」 ものすごく長く感じた。いきなり飛び込んできた雨の東京はどこかウルトラQ的SF世界観をかもしていてよかったのだが、話がなかなか前に進まず、徐々にイライラしてきたのだが、唐突に穴が開き、足が棒になり、服がはがされていく展開に目が点になり、このいわゆるクライマックスのスピード感はそうとうに良かった。ただ、その後のエピローグ的なところもちょいと長ったらしい。 ■「メルド」 待ちに待ちに待ちに待ったカラックスが9年ぶりに帰ってきた。この9年間、どうやら地下にもぐっていたらしい。これまでのカラックス映画の登場人物の成れの果てのような片目をつぶした怪物となって東京に出現する。ゴジラっぽい音楽に乗って。疾走する姿を横から撮り続けたカラックスが今度は真正面から画面に向かって闊歩する姿をとらえ続ける。それだけで感動。手榴弾は紛れもない復活ののろしととっていいんじゃない?半ばギャグとして登場する通訳シーンもカラックスにやられると映画の吹き替えや字幕が真に正しいかどうかはわからないよと言われているみたいだ。 ■「シェイキング東京」 ストーリーもオチもテーマも無難。外国人監督が日本を描くうえでの魅力的なズレも無ければ、日本人キャストを使ううえでのミスキャストも無い。全てが無難。その中で人っ子一人いない東京の景観だけが今まで見たこともない景色として出色。あと、蒼井優のアップはつい見とれてしまった。 ◆<総評> はっきり言ってカラックスを見に行った。他はどうでもいいと思ってたのでかえって他の二作もわりと楽しめたかも。でもゴンドリーもジュノも「東京」を描くにあたって「孤独」「引きこもり」といった都会が抱える社会問題をテーマに持ってきているのに対して、そんなテーマ映画を笑い飛ばすかのような自由さでもって、それでいて映画と真剣に向き合ったカラックスの作品は他を圧倒している。点数は難しいけど3人の監督による3作品という濃厚なオムニバスという点がかなり好感が持てるってことで7点で。 
[映画館(字幕)] 7点(2009-01-27 14:23:08)
627.  東京流れ者
車が勢いよくやってきて建物の前で止めるシーンがあってそれをその建物の上からワンカットで撮ってるんだけど、その止め方が全然建物に沿ってなくておもいっきり斜めなんだけどそれも計算づく。その斜めに止まった車がめちゃくちゃかっこよく画面に収まるのだ。構図のためにカメラを動かすのではなく被写体をその枠に持ってくる発想。奇抜なようで構図はきっちりきまる。ハチャメチャなようでちゃんと考えてる。清順映画が楽しいのは基本が出来た上での自由な発想にある。最後の決着をつけるシーンのピアノだけがポツンと置いてある不自然な空間がいかにも清順&木村威夫がやりそうな画づらでまたそそる。そこで渡が見せる半ば失笑もんのアクロバティックな銃撃戦がまたサイコー。印象的なシーンは他にもゴマンとある。書き出してたらキリがない。
[映画館(邦画)] 7点(2009-01-27 14:14:32)(良:1票)
628.  海の上のピアニスト 《ネタバレ》 
原作は知らないんだけど、これって思いっきりファンタジーですよね。作中に「伝説」という言葉があるように、1900という名の男の物語は全てトランペット吹きの楽器屋での語りだけで、実際にそんな男がいたかどうかすら実は謎なんですよね。現在の世界で再会するのもこのトランペット吹きだけで、他の人は見てないし。それなのに現実感が無いという批判は的外れ。仮にこの男が語る話が作り話じゃないとしたって一人の男の回想にいちいち突っ込んだってしょうがない。1900は厳しい社会からの現実逃避から生まれたトランペット吹きのもう一人の人格だったのかもしれない。音楽を奏でることに幸せを感じた男の最も楽しい一時を送った船内の思い出への逃避。そして現実の世界を(まさに)地に足つけて生きるために1900というもう一人の自分を船と共に葬り去ったのだ。と、えらそうに言ってはいるが見た直後の感想は「別の船に乗り換えればいいじゃん」だったりする。
[DVD(字幕)] 6点(2009-01-23 14:11:06)
629.  砲艦サンパブロ
排外思想が激しさを増す中国を舞台に、その排外思想を生んだ元となる列強国のひとつでもあるアメリカ人の悲劇、などと書くと単純そうにも見えるが中国から利益を奪取する外国、そして自国のように堂々と存在する外国に対する憎しみを持つ中国人がいる反面、長らく在留する外国人を飯の種にする中国人もいるわけで、さらに中国国内が国民党軍と共産党による内戦状態であることによって非常に複雑な状況となっている。その複雑さは砲艦の機関室で仕事をする中国人との確執、対立、協調といった複雑な関係を見ても分かるとおり。この中でマックィーンが助手に抜擢する若い中国人とのジェスチャーによる会話が出てくるが、人種を超えて分かり合える可能性をロバート・ワイズは示唆しているのだと思う。歴史ものにありがちな中国人、アメリカ人という大きなくくりも無く、一人一人がそれぞれの事情と主張を持っていることをしっかりと描きこんでいるのも流石。国の利害を無視して人間としての正しさを全うしようとするヒーローが艦内で総スカンを食らうというのも痛々しいほどにリアル。3時間を越える長尺の中で見せ場は終盤に固まっているだけに前半は盛り上がりに欠けるが、このややこしい世界をここまで分りやすく描いていることに脱帽。長尺止むなしか。それにちゃんと長尺の倦怠をマックィーンの魅力で乗り越えている。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-01-22 17:09:39)(良:1票)
630.  ポセイドン(2006)
誉高いオリジナルにあった、パニック映画にしては重厚にして濃厚な人間ドラマは一方でちょいと説教臭いというか暑苦しいというか、そんなところもあったのだが、このリメイク版はその暑苦しいところが全く無くすっきり見ることができる。オリジナルの贅肉をそぎ落とした作品。あまりに落としすぎて拍子抜けするくらいだ。だからオリジナルでは脱出劇の最中に一人また一人と命を落としてゆくというのはドラマを盛り上げるための必要なシーンでもあるのだが、すっきり簡潔を信条とする(?)リメイクで同じシチュエーションをやっても全く盛り上がらないのだ。なのに何故オリジナル同様の数人の脱出劇にしちゃったのだろう。迫力のCG映像を最大のウリにしていることは分かりきってるんだし、実際その部分は成功してるんだから、展開も大幅変更すればもっと面白かったかもしれない。全員でゾロゾロ脱出してドカドカ人が死んじゃう映画とか。
[DVD(字幕)] 6点(2009-01-21 14:35:59)
631.  激流(1994) 《ネタバレ》 
公開当時の宣伝の印象はサスペンスよりも川下りアクションに重点を置いてて(勝手にそうとらえてただけかも)、とにかく今まで見たこともないようなアクションが見れるのだと期待したのをよく覚えています。けっきょく映画館には行かずレンタルしたんだけど、たしかにほぼ全編で川下りってのは新しいんだけど、ごく普通のサスペンスにちょっぴりの味付けくらいにしかなってないのが惜しい。だいたい、せっかく命懸けで激流を下ってきたのにこんなこと言うのもなんですが、徒歩の父ちゃんの方がトラップつくる時間があるほど先に目的地についちゃってますが・・。
[ビデオ(字幕)] 5点(2009-01-20 15:28:58)(良:1票)
632.  アタラント号 《ネタバレ》 
ロマンチックな船の新居も狭い船内での長旅とその新居のはずの船に猫と共に大きな顔をした先人がいることにちょっと苛立つ新妻の気持ちがよくわかる。憧れのパリを徘徊したいというのもよくわかる。そんな新妻をパリに解き放ちたくない若い夫の気持ちもよくわかる。よくわかるようにウキウキし、イライラし、といった二人の感情の起伏の元が丁寧に描かれている。妻をパリにおいてゆく夫の怒りもよーくわかる。私も新婚旅行で喧嘩してラスベガスをまわるバスにふて寝している妻を置いてけぼりにしたことがあったりする(その節はごめんなさい)。それでも映画はけして暗くはならず、深刻ぶらずにいる。ベタなハッピーエンドに向かうことを確信しながら緩やかな川の流れのような映画の世界に身を任せる。身を任せられる映画というのは傑作なのだと思う。乱闘シーンですらどこか陽気な雰囲気が漂う。まるでジョン・フォードの映画のように。若い二人の純粋すぎるキャラクターだけなら映画は停滞してゆくのだろうが、アナーキーな老水夫が笑いを伴いながら抜群のテンポを作っている。ベタなお話に素直に感動できるのも、この老水夫が時々ベタさをぶっ壊しているからかもしれない。至福の映画です。
[映画館(字幕)] 8点(2009-01-19 16:25:49)
633.  パリの灯は遠く
この時代この場所においてのユダヤ人は人間として扱われなかった。そのことを冒頭のユダヤ人を判断するための下劣な身体測定シーンで強調する。そして人間扱いされないこと以上に怖いのが、そのことが普通のことであるという社会の風潮である。それがユダヤ人をこき下ろす舞台ショーでの観客の笑いをもって強烈に表現されている。そんな世界で差別され虐待され殺されてゆく立場に突然立たされる恐怖が描かれる。主人公は同姓同名のユダヤ人の登場によってその恐怖を味わうことになる。と同時に同姓同名のユダヤ人に興味を抱き、自己の存在理由への疑問も相まって変身願望にも似た執着を見せてゆく。そのときのアラン・ドロンの異常な表情が印象的。話が進むにしたがって主人公がユダヤ人に同化してゆくのだが、そうなってしかるべき状況や伏線が溢れかえっている。登場人物から部屋の装飾、光の明暗に至るまで伏線としての細やかな配慮がされている。話は暗いし進まないしわかりにくいかもしれないけど、何度か見てこの細やかな演出に驚愕してほしい作品。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-01-15 14:02:57)(良:2票)
634.  影武者
たまたまテレビをつけたら信玄の骸を入れた瓶を湖に捨てるシーンだったんだけど、ただ朝靄のかかった湖が映されているだけのその画を見てすぐ黒澤明の映画だなと思った。前に観てるからとかではなく、そのだだっ広い湖一面を覆い尽くす朝靄の人工的でありながら嘘っぽくない、美とリアルを同居させた画づらと、このなんでもないシーンをたっぷりじっくり堂々と映し続けるその迷いの無い画面の厳かさに黒澤明を感じたのだ。そうして見ると全てのシーンにものすごく時間とお金をかけていることが伺えてシーンごとにため息が出てしまう。撮影時を想像して感動するなんて映画の見方としては適当ではないだろうけど、間違いなく画の中にそれらは現れている。カラーになってからの黒澤時代劇は絵画的な芸術色を濃くしているように思うが、それらが顕著に表れる合戦シーンなんかはさすがに圧巻の画の連続。一方、その反動か、人が会話をするシーンがどうにも浮いて感じてしまう。外国人のためなのかもしれないけど 説明セリフも多い。
[DVD(字幕)] 6点(2009-01-14 12:13:56)
635.  容疑者Xの献身 《ネタバレ》 
テレビドラマ「ガリレオ」は見てはいないが湯川学を主人公とする原作シリーズにはいない女刑事をメインキャラの一角として登場させているところから想像するに、シリアスさを緩めるスクリューボール・コメディ調の軽いタッチで見せたドラマなんじゃないかと勝手に想像しているが、たしかにテレビドラマの映画化として見ればコミカルさよりもシリアスさを前に出したこの作品はテレビドラマとはまた違った味わいを提供してくれているようにも見えるかもしれないが、原作「容疑者Xの献身」の映画化として見れば別段なんてこともない映画、少なくとも違った味わいなど感じることなんてないわけである。読みやすくて面白いものがてんこ盛りの東野圭吾作品の中で、実は個人的にそれほど面白いとは思っていないこのシリーズの醍醐味は何といってもトリックの凄さである。だから映画の評価でこのトリックそのものを云々というのもおかしな話である。軽いタッチのテレビドラマと原作のシリアスさをうまく融合させた功績も実は映画にはなく、東野圭吾が生み出した湯川学というどっちの世界でも通じる、というより自分の世界しか持っていないキャラクターこそにその功績がある。それでも私の中で違和感ありありだったキャスト陣がいつのまにか違和感を感じさせないまでにしてみせたこの映画のドラマ力(そんな言葉無いけど)は認めたい。ダンカンだけは最後まで違和感あったけど。どう見たって犯人面してるじゃん。一瞬、ストーリー、原作から大幅変更かと思った。
[映画館(邦画)] 5点(2009-01-13 15:56:54)
636.  或る夜の出来事
なんでも映画史上最初のスクリューボールコメディなのだそうだ。なんにしろ最初ってのは凄いことなのだが、それ以上に驚くのはトーキー映画が登場してまだ数年のこのときにこれほどまでにリズミカルな会話を映画の軸にして、尚且つ最大のウリになっているところ。話の筋は今でこそオーソドックスに感じはするが、若い男女のかわいい喧嘩のあとの恋の芽生えという大筋の普遍性もあいまって全く古さを感じさせない。古典というのは永遠に古びないものなのだ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2008-12-19 14:41:49)
637.  カサブランカ
どんなにキザなセリフを言っても様になるのがボギーのボギーたる所以。と言いたいところだが、これは臭すぎる。それでも徹底して臭いならいいのだが、このボギー、ちょっと女々しいところも見せちゃう。一貫してハードボイルドだったらこのキザなセリフもかっこよくもなるんだろうけど、バーグマン相手に妬いてすねて怒ってイチャモンつけて・・とまるでガキ。だからキザなセリフが妙に浮くのだ。でも、だからこそ名作として語られるのかもしれません。どの作品のボギーよりもどこか手の届きそうな感じがして、そのうえでとことんキザに決めて美人を泣かせて・・ってのがいいんだ。たぶん。 「君の瞳に乾杯」・・か。・・絶対言えんな。「昨日は何してたのよ?」に対して「そんな昔のことは忘れたさ」なんて言おうものなら「ボケたか?」と返されるのがオチだ。「じゃあ今夜は?」に対して「そんな先のことは分からない」なんて答えようものなら「頭弱い?」と返されるのがオチだ。あぁ、ボギー!あんたの時代は良かった~
[CS・衛星(字幕)] 6点(2008-12-18 14:10:53)(笑:1票)
638.  イヴの総て
お話は面白いし、冒頭の受賞式シーンから回想に入ってゆく構成も巧いし、人間関係も整理されてて分り易いし、配役もお見事だし、名セリフてんこ盛りだし、どう見たって名作なのは間違いないのだろうけど回想形式にした部分意外は映画というよりも舞台劇を見ているような感じ。セリフが多いのはいいのだが、その言葉が決定的なものであふれかえりすぎている。お話と無関係の言葉は全く出てこない。当時のハリウッド映画ってだいたいこんなのが多いんだけど、これで2時間超はキツイ。いや、舞台っぽくても面白さが凝縮されてるならそれはそれでオーケーなのだろうから個人的な好みの問題でしかないのですが。それでも時間をあと30分端折ってくれたら手のひら返したように絶賛するかもしれないくらいの面白さはある。
[DVD(字幕)] 5点(2008-12-17 11:41:55)(良:1票)
639.  ディア・ハンター
ロシアン・ルーレットはたしかに怖かったけど、鹿狩りシーンの雄大な画のほうがずっと印象に残っている。どれだけ時間とお金をこの芸術的な画のためだけに費やしたのだろう。鹿がヌッと現れるシーンなんて今だったら間違いなくCGなんだろうな。出兵前の鹿狩りの神々しい画から一転、突如現れるのが戦場シーン。動かないカメラが動き、静寂がヘリの爆音に変わる。長尺の作品の中で実に短い戦場シーンは死と隣り合わせのロシアン・ルーレットに凝縮される。帰還後には出兵前のようなバカやってる小さな幸せが無い。数十分前に映されていたはずの鹿狩り前のしつこすぎる置いてけぼりシーンが妙に懐かしく感じる。ボーリングのアホな出来事も懐かしい。長い長いダンスシーンも懐かしい。何かを奪い去り変貌させてしまう戦争の悲劇をビフォー・アフターで見せる。変わらない友情と移民同士の繋がりが取り返しのつかない「変貌」をより鮮明に浮き上がらせる。
[DVD(字幕)] 7点(2008-12-16 15:45:11)
640.  ノーカントリー
お話は実にコーエン兄弟らしいお話であり、実際『ノーカントリー』は『ファーゴ』のTEX-MEX版と言いきってもおかしくない。にもかかわらずコーエン兄弟らしからぬ空気が充満している。ハビエル・バルデム演じる殺し屋を同業のウッディ・ハレルソンが「ユーモアを持たない男」と評する(髪型はユーモアなのだが)が、もちろん『赤ちゃん泥棒』や『バートン・フィンク』に登場する殺人鬼のようなユーモアは皆無であり、それどころかこの作品自体にこれまでのコーエン兄弟の作品に見られたブラックユーモアが無いことに気付かされる。何かをすればするほどにドツボにはまる展開に、そしてごく普通の人が非日常の世界に足を踏み入れてしまう展開にユーモアを見出すことのできたコーエン流はそこにはなく、ジョシュ・ブローリンはひたすらそのドツボと、その非日常と正面から対峙する。追う者と追われる者のあいだにはユーモアの付け入る隙間はなく、真剣そのものの命の削り合いが展開される。ブローリンは野生の勘と軍隊経験を駆使し逃亡し応戦するうちに過去に経験した戦場という非日常を自らの日常へとシフトしてゆく。殺し屋は非日常という殺し屋にとっての日常を最後まで貫くしかなく、それは殺し屋にとっての非日常である交通事故にあっても変わらずに殺し屋にとっての日常を生きるのだ。そう、ここでは『ファーゴ』にあった非日常と日常の衝突は無い。日常で用いられる道徳やルールの効かない非日常が日常以上に日常面している怖い映画なのだ。コーエン兄弟の新たなる門出を支持する。
[映画館(字幕)] 7点(2008-12-15 15:53:42)
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