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621.  緋牡丹博徒 二代目襲名 《ネタバレ》 
今回のテーマは「鉄道の敷設」。よって、せっかく九州に帰ってきていながら、舞台は工事の現場事務所とその周辺が大半。今回は、賭場や博打勝負の場面もありません。●したがって作品の視点も、いかに工事を完成させるか、で一本化されているのですが、そうすると今度は高倉健が絡ませにくくなっている。逆に、もうちょっと出番を削って、ここぞという部分に集中した方がよかったんじゃないのかな・・・。●それと、タイトルがこれであれば、襲名の儀式の場面も、もっと時間をとってじっくりねっとり見たいところでした。●なおこの作品の大きなオプションは、鉄道会社の課長役で颯爽と登場するキリヤマ隊長!しかも割と出番多いぞ!
[DVD(邦画)] 5点(2022-01-04 02:21:09)
622.  オクラホマ・キッド 《ネタバレ》 
戦前のウエスタン作品ということですから、さぞかしのんびりした雰囲気で進行して・・・と思っていたら、予想外にスリルとサスペンスに満ちていました。主人公と悪役と町の上層部集団が三つ巴のような関係になっていて、これが自然に話を構築しています。その中でも、みんなが熱中する「開拓」に対し、主人公が「先住民を銃で脅してサインさせただけじゃないか」と強く批判する一幕もあったりして、この頃から問題意識を持つ人はいたことも分かります。そして、ディカプリオとジェレミー・レナーをミックスしたような風貌のジェームズ・キャグニーが、善悪を合わせ持つ主人公の造形にマッチしています(身のこなしや足運びもいい感じです)。途中で正体をあっさりばらしてしまう大らかさやラストの強引さはこの時代ならではという気もしますが、それでも今見ても鑑賞に耐えうるほどの内容を有しています。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-01-02 13:22:58)(良:1票)
623.  あゝ陸軍隼戦闘隊 《ネタバレ》 
加藤隼戦闘隊を率いた加藤隊長の伝記的半生記です。空中戦描写もあることはありますが、どちらかといえば、日常の中でのいろんな人とのやりとりを地道に積み重ねた描写という印象です。その中でも、藤村志保扮する奥様との見合いの場面で一気に結婚が決まるくだりとか、遺族訪問の場面で奥様を叱りつけたところ、返す刀で遺族からそれを叱りつけられたりとか、会話の一つ一つがいちいち引き締まっているのが、逆にある種の緊迫感を保っています。終盤は妙に情緒に流れている気がしますが(特に、人が死ぬごとの「絶叫シーン」)、まあ許容範囲内です。しかし、隊全体というよりも、その長である一人の男の半生記なのですから、このタイトルはもうちょっと考えた方がよかったと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2021-12-31 19:28:12)
624.  僕のワンダフル・ライフ 《ネタバレ》 
最初の方で、しつけのなってない犬としつけができない子供がああだこうだやっている時点で、「ああまたこれか・・・」とテンションが下がったのですが、後半の転生構成の力はなかなかでした。ただそれなら、前半部分にウェイトを置きすぎと思いますが。それと、作中では結構何十年も時間が経過しているはずなのに、それが映像上全然表現されていません。あと、ナレーションがしつこすぎです。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-12-30 02:30:48)
625.  総長の首 《ネタバレ》 
ヤクザ映画っぽく作ってはいますが、キーパーソンが清水健太郎・ジョニー大倉・三浦洋一であるというのがミソ。つまり、格好良い活躍などまったくありません。むしろ、最初から敗北感というか挫折感が漂っています。まるで裏青春映画のようです。このキャスティングの一貫性は逆に見事です。ところがそこに無理して、まともなヤクザ映画っぽくするために鶴田さんとか梅宮さんとか成田さんとかをぶち込んでいるため、収拾がつかなくなっています。そもそも、西村晃はまだしも、丹波御大をクレジットしていてあの使い方って、ほとんど詐欺なのでは・・・。女優陣の絡み方はまあそれなりですが、ヒモにいいように使われるマキノ佐代子(これが映画デビュー作!)の存在感はいい感じです。
[DVD(邦画)] 5点(2021-12-29 01:02:02)
626.  3人のゴースト
クリスマス・キャロルベースという時点で、ストーリーの予想はついてしまうので、後はどう捻りやオリジナリティを入れるかになってくるのですが・・・気合が入っているとおぼしき部分がことごとく外していて、ひたすら演出側の自己満足を見せられているだけでした。役者やスタッフも、現場でやりにくかったんじゃないでしょうか。ビル・マーレイも、もっと小市民的な役でこそ本領を発揮するのに、こういう富豪系の役には合っていません。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-28 02:07:10)
627.  シマロン(1960)
何かこう、壮大な大河ドラマを作ってみたかったんだけど、構築力がまるで追いついていないというか・・・。作中ではかなりの年月が経過しているはずなのに、その重みが感じられません。それぞれのシーンが「ただ作られただけ」で、前後のつながりや必然性も意識されていないのです。それと、役者の芝居がことごとく大根なのも目につきました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2021-12-26 01:02:05)
628.  ドクター・ストレンジ 《ネタバレ》 
こういう役にベネちゃんを当てている時点で、すでに一定のクオリティ確保は約束されているようなものですが。●ストーリーは、「順風満帆な主人公」→「ある日不幸のどん底へ」→「そこから決死の訓練」→「そしてヒーローへ」というシンプルな王道なのですが、何かやたら関係者の説明的な回りくどい台詞が多かったような気が・・・。そこをむしろ映像的ハッタリで乗り切るのがSFヒーロー映画ではないでしょうか。もっとも、最後の最後の必殺技が「やられてもやられても立ち向かって相手に嫌気を感じさせる作戦」だったのはナイスでした。まるで学園青春作品の不良ボスと弱腕主人公の対決のようです。最後はドルマムゥが「お前もなかなかやるな」とか言いながら握手を求めて来るかと思いました。●そして悪役がマッツ・ミケルセンというのは、大いに期待が高まったのですが・・・この人ほどエイジアンないでたちが似合わん人はいない!いやーこれはもったいない。ほかのどこかの作品の悪役と入れ替えたいです。しかも変なメイクをゴテゴテとされていて、この人の真髄の「目の動きだけでできる演技」は完全に隠されてるし。●レイチェル・マクアダムスも、せっかくの起用の割には「単なる元恋人」扱いで使いこなせていない印象ですが、あまり表現の余地のない立場でも手を抜かない芝居をする彼女は、さすがです。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2021-12-23 22:26:28)(良:1票)
629.  シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 《ネタバレ》 
いや、これはもう、空港の6対6ですよ。このシーンを撮りたいがために、そこから逆算してストーリーを構築しているようなものです。逆にここから後はただのオマケです。しかもわざわざ、ちゃんと6人ずついますよということを強調するために、それぞれが横一列に並んで、まるでGメン75のごとくその横一列のまま前進するのです。ここだけでこの作品はOKです。ウルトラシリーズでいえば、エースキラーとかヒッポリト星人、ムルロアとかババルウ星人という名前を聞いただけで心のときめきを感じる方々であれば、このシーンの贅沢な価値を存分に味わえるはずです。●で、シリーズ全体を見て改めて分かったのは、ソーやハルクの不在にもきちんと意味があるということ。ホークアイやアントマンの帰趨についても、後々にしっかりつながっていること。そして、キャップとトニーの対立軸という全体の再構成によって、シリーズのステージを一段も二段も上げており、これがあったからこそ「インフィニティ・ウォー」や「エンドゲーム」が可能になったということ。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2021-12-22 21:54:16)(良:1票)
630.  黄昏(1952) 《ネタバレ》 
登場人物がなーんにも考えてない人たちばかりである上に、やたらそれぞれが機嫌悪く怒っているシーンが多いので、どうも恋愛ドラマになりそうでなっていない。あと、導入部の重要なポジションであるチャールズが、芝居の出来も含めてあまり機能していないと思う。●それでも、ラストのインパクトは強力なのですが、それなら何でああいう優れたシーンが序盤中盤にもなかったのかと思わずにはいられない。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-12-20 02:04:29)
631.  トキワ荘の青春
これだけ日本の伝説みたいな登場人物を集めておいて、何でこんな凡庸な中身になるんだろう・・・。各登場人物に個性というものがまったくなくて、全員が同じような芝居をしている時点でまず駄目なんだけど、それ以上に問題なのは、漫画家を描写対象としていながら、漫画(ができる過程)そのものにまったく向き合っていないこと。漫画がネタ以下の扱いにしかされていないこと。したがって、各登場人物にとって漫画にどのような意味があったのか、という点も浮かび上がってこないこと。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2021-12-18 23:34:51)
632.  マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと 《ネタバレ》 
犬も大概馬鹿なんだが、この主人公夫婦はもっと馬鹿なんじゃないのか。これほど躾ができていないのに(そしてしようという意思も耳当たらないのに)、よく堂々と犬を飼っていられて、しかも最後には何か全体が良かったみたいに振り返れるものだと思う。●それと、作中では相当に時間が経過しているようなのだが、子供が大きくなっていること以外には何も表現されていない。しかも、それだけ年月を経ているのであれば、飼育のディテールなんかにももっと踏み込むべきなのでは?主人公夫婦は一切何も学んでいないように見えますよ?●結局、どこが面白いのかも分からないし、何が見せたかったのかも分からない。尺も長すぎ。
[CS・衛星(字幕)] 1点(2021-12-16 01:08:14)
633.  白昼の無頼漢 《ネタバレ》 
とりあえず主人公が仲間を集めて現金輸送車強盗をしようとするんだけど、いきなりこいつらが仲悪すぎ(笑)。いやどう考えても、これをまとめて一つの仕事って無理でしょ、というのが一目瞭然で、そもそも何でこの人たちに目をつけたのかがさっぱり分からない。それを超える個々の技術とか何とかがあれば別ですが、そうでもないですし・・・。そんな中でも主人公だけは一人自信満々で、まあこういう役になると丹波先生以外には務まりません。途中からは登場人物が交錯してきて、筋立てとしては一応成り立ってはいるので、ちゃんとした脚本と演出でリメイクしてほしいところです。
[DVD(邦画)] 3点(2021-12-15 00:57:18)
634.  ファイティング・ダディ 怒りの除雪車 《ネタバレ》 
まさかこんなゴリゴリの北欧映画(?)に、こんなタランティーノな作品があるとは思わなかった。一人息子に関する復讐という重いテーマなはずなのに、さくさく進む。旬を過ぎた(←作中で)登場人物はあっけなく退場。これ、作中の殺し屋とかよりも、制作者の方がよっぽど冷酷で容赦ないぞ。一方で節々に挟まれるどうでもいい会話。人質の子供とかはもうちょっと使いようがあったんじゃないかという気もするが、そのあっさり風味がむしろこの作品には適合しているとも思いました。
[DVD(字幕)] 6点(2021-12-14 00:29:37)
635.  追われる男 《ネタバレ》 
とりあえず主人公が行きずりの青年とめぐり会い、適当な町に落ち着くのですが・・・この主人公は、一応、(自分の体験にも基づいて)「悪人も即刻処刑するのではなく、法の裁きをきちんと受けさせる」というのが信条のようなのですが、それが作中で効果的に描かれているわけではありません。また、相棒的存在の青年も、まともになるのか悪の道に走るのか、両面があるというよりも単に描写がぶれているだけですし、町の人たちも、最初の誤解を主人公に謝って打ち解けたかと思えば、急に手のひら返しをしたり、また急に信頼してきたりと、やはりぶれぶれです。結果、途中からは進行が思いっきり息切れしてしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2021-12-13 20:58:47)
636.  無頼漢(1970) 《ネタバレ》 
キャスティングだけみて、ゴリゴリの本格派時代劇を期待した私が間違っていました。導入部の仲代のやりすぎメイクを見た時点で気づくべきでした。内容的には、前衛的であろうとしていろいろ滑っているとは思いますが、最後の水野老中の「花火など上がってはおらぬ」の一言が全部持って行ってしまいました。
[DVD(邦画)] 3点(2021-12-11 19:38:23)
637.  天使のはらわた 赤い教室 《ネタバレ》 
何かね、肝心の名美があんまり「堕ちてる」感じがしないんですよ。最初の村木との出会いのところで、すでに蓮っ葉というかぶっきらぼうというか、とにかく一般人的な雰囲気があまりないので、行きずりの男との肉食系セックスも、最後の乱交も、ああそうですか、にしか感じられない。ところどころ見られる長回しも、必然性や演出があって撮ったというよりも、ただ撮っただけに見えてしまう。
[DVD(邦画)] 5点(2021-12-10 02:05:31)
638.  アントマン 《ネタバレ》 
すでに指摘されていますが・・・ミクロ化して、何というか、どんなせこい手で戦うのかと思っていたら(耳の穴から潜り込むとか、首筋をチクチク噛むとか)、やはりヒーローにそんなことはありませんでした。まず、蟻軍団を率いて巨象(に相当する敵)を倒す。それに至るまで、武闘トレーニングだけではなく、「蟻と意思疎通をして動かす訓練」を入れるのが細かいです(私はこのシーンで「ゴースト」を思い出しました)。バトル場面では体の最大化と最小化アクションも加わりますので、二度美味しい迫力もあります。スーパーヒーロー揃いのシリーズの中ではそれでもやはり全体として地味なんだけど、こういう作品も堂々と作れてしまうところにシリーズの奥の深さを感じます。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2021-12-06 22:41:08)
639.  フラッシュ・ゴードン 《ネタバレ》 
ダッダッダッダッダッダッダッダッフラッシュ!ア~、のテーマ曲さえ聴ければいいと思っていたのです。中身にはまったく期待していませんでした。はたして、セットから衣装から筋書きから、B級道を、いや下手するとC級道を突き進んでいます。ところが意外なことに最後まで楽しめてしまったのです。勝因はまず、敵の異常な強さと悪さです。悪の皇帝ミンは、変に人情味を見せたり弱点があったりはしません。全宇宙最強にして冷酷です。いくら描写がB級であっても、その視座にブレがないため、まるでヤプールに対抗するウルトラマンAのごとく、見る側は全力で応援しなければならないのです。そして、相手は最強なのですから、戦法としても、「宇宙船を奪ってそのまま体当たり突撃する」しかありません。一本の筋が通っています。また、プリンセスがいきなり味方になるのですが、それも、「冷酷な父に育てられたが娘はまともで良心的だった」とかいう無理のある設定ではなく、単に男漁りを広げた結果主人公に行き着くのです。素晴らしい持って行き方です。また、何の武器も技術もないくせに「諦めるな!団結するんだ!」だけで地球を救ってしまう主人公の設定のいい加減さも、なかなかいい感じです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-12-05 01:02:03)
640.  ドント・ブリーズ 《ネタバレ》 
設定は完全にシチュエーション・コメディのはずなんだけど、それをさらに一ひねりしてホラーにしてしまったこの発想は上々。はたして、盲目のハンデがあるはずなのに異様に強い爺さんが現れ、しかし見られることだけはないという利点を生かして何とかしのぎきるあたりは、怖いはずなのにちょっとだけ可笑しいといういい感じの世界を提示しています。●が、途中でネタ切れしたのか、中盤からは爺さんがほとんどターミネーター状態になってしまって、初期設定の意味もなくなってしまったなー。ここからの展開ならば、爺さんは聴覚その他の感覚をいかにフル活用しているかとか、逆に戦闘力で劣る主人公たちはどう頭を使ってアドバンテージを生かしたかとか、その辺をどこまでも突いていってほしいのに。●あと、せっかくの大ネタである地下の人物については、心理の綾も含めてもっと活用できたんじゃないかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-02 01:01:01)
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