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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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661.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
田舎の雰囲気はいいし、登場する一族の面々もいい味を出していて、この一族の絆はよく描けていたと思う。しかし、それがどうもネット上の仮想空間で起こっている事件との釣り合いがうまくいっていないように思うし、面白いんだけど、なにか詰め込みすぎな感じ。細田守監督初のオリジナル作品ということだが、終盤は「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!!」そっくりの展開で、正直、もっと頑張ってほしいと感じた。それでも、栄の部屋の黒電話や、何度も出てくる一家全員で食卓を囲むシーンなどレトロ感がよく出ている演出がいいし、有名芸能人による吹き替えもそんなに気にならなかった。(これは普段テレビを見ないせいで、馴染みのある人が少ないせいもあるのだが。)とくに、栄を演じた富司純子がよく、アニメ声優として見るのはおそらく初めてだと思うけど、素直にうまいと思えた。見終わってとくに何かが残る映画かと言われれば正直微妙な気がするのだが、栄が家族に宛てた手紙を読むところは思わずジーンとさせられる。侘助というキャラクターは伊丹十三監督がモデルだそうだが、「お葬式」での山崎努と同じ名前なので、やはりオマージュなのだろう。さっきも書いたけど、仮想空間の混乱と田舎のある一族の絆を描くというのにちょっと無理を感じるし、どちらか一方だけをテーマに据えたほうがよかった気もするが、おそらくヒット要素として仮想空間の混乱を描いているのだろうけど、二つの要素を混ぜたことでドラマとしての深みがそれほど感じられず、個人的には仮想空間での事件という要素はなくてもよかったんじゃないかと思う。(そうなると地味すぎる映画になってしまうが。)あまり自分の評価は高くないけど、はっきり言って「時をかける少女」のほうがドラマとしての見ごたえはあったと思う。さらにいえば、細田監督は東映アニメーションの出身なので、オリジナル作品を作るとどうしても東映アニメーションの少年ジャンプ系アクションアニメ的な要素が入ってしまうのかもしれない。ところで、小惑星探査機が原発に落下しそうになるクライマックス、東日本大震災後の今見たらなんか現実の原発で起こっていることと妙に重なってしまって少し怖かった。(このシーンを理由にしばらくこの映画のテレビ放送はないかも。)
[DVD(邦画)] 6点(2011-07-12 23:17:27)(良:1票)
662.  告訴せず 《ネタバレ》 
堀川弘通監督が「黒い画集 あるサラリーマンの証言」に続いて松本清張の小説を映画化したサスペンス。主演が青島幸男なのだが、実際に政治家でもあった彼が義兄(渡辺文雄)のわけありの選挙資金を持ち逃げするうだつの上がらない男を演じている時点でなにかブラックなギャグにしか思えないなどサスペンスというよりは風刺喜劇という印象のほうが強いのだが、主人公が常になにかに怯えているという心理描写も見事であるし、小豆相場で儲けた主人公が後半酷い目に遭うのも同じ監督のせいか「黒い画集 あるサラリーマンの証言」と共通するものがあり、見る前は面白くないかもなあと思っていたのだが、けっこう面白かった。でも、「黒い画集 あるサラリーマンの証言」と比べてしまうとやはり物足りない感じがして傑作とまではいかないかな。(作られた時代が違うせいもあるだろうけど。)ヒロインを演じる江波杏子が色っぽく、思わず見とれてしまった。「黒い画集 あるサラリーマンの証言」で刑事役を演じていた西村晃や「砂の器」の加藤嘉、大臣を演じる小沢栄太郎といった脇の面々の演技もやはり安心して見ていられる。改名前の樹木希林が主人公の妻を演じているが、この頃から独特の存在感を発揮していて、やっぱり樹木希林はあまり変わっていないなと思う。小沢栄太郎の部屋の窓の中央に見える国会議事堂がとても印象的で、ラスト、それがアップになって終わるという余韻の残し方がうまい。
[DVD(邦画)] 6点(2011-07-05 14:32:39)
663.  カンゾー先生 《ネタバレ》 
今村昌平監督といえば自分の中では今やすっかり日活時代の川島雄三監督の助監督というイメージが強くなってしまっていて、監督作を見るのも10年ぶりくらい。晩年の作品ということもあってか、あっさりした作風なのだが、今村作品にそんな馴染みがない(「楢山節考」以前の監督作は見ていない。)せいか、思ったよりはなかなか楽しめた。最初はヤブ医者が主人公の軽い喜劇のように感じていたが、次第に主人公の人間ドラマに焦点が移されていく。医者として肝臓炎をなんとかしようと思うあまり研究に没頭し、成功譚になって終わりなのかというところで、そう簡単にはいかないぞとばかりに屈折を味わう主人公の人間的な弱さが描かれていたのが良かった。登場人物たちも主人公はじめ、坊主やモルヒネ医などは癖のある人物に設定されており、どことなくではあるが、川島監督の映画に近いものを感じるのはそれだけ今村監督にとって川島監督の影響が大きいからなのかもしれない。「サヨナラだけが人生じゃ。」という鳥海のセリフに川島監督を思い浮かべずにはいられない。それと山谷初男の遺体を墓から掘り出すシーンにブラックさが感じられるのもいい。柄本明は主演というイメージがなく、少し不安に思ったが、飄々と好演している。しかし、途中降板した三國連太郎の代役として鳥海の役からスライドして主人公を演じているのだが、「開業医は足だ。」をモットーとしていて、走るシーンが多く、本当にこの走るシーンを三國連太郎が演じる予定だったのかはちょっと疑問が残る。まだ無名時代の麻生久美子が初々しくも大胆な演技を見せていて、今までも何本か出演作を見ているが、どちらかと言えば地味な印象が強かっただけにちょっと新鮮に感じた。広島に原爆が落ちたあとのキノコ雲を舟の上から見ているラストシーンがなんかシュール。このシーンを見て「黒い雨」につなげたいのかと一瞬思ってしまった。「黒い雨」には9点つけてしまっているが、それでも今まで見た今村監督の映画の中では本作がいちばん見やすくて楽しかったし、なによりも今村監督の映画を見ていて川島監督の影響を初めて感じられたことが嬉しい。(といっても「楢山節考」や「黒い雨」を見た頃は川島監督の映画もまだそんなに見ていなかったのだが。)「黒い雨」より点数は低めで、思ったよりは面白かったと最初に書いたけど、個人的に今村監督に川島監督の助監督というイメージが強くなってしまった今となっては本作のほうが「黒い雨」よりは好きかもしれない。
[DVD(邦画)] 7点(2011-06-30 15:54:05)
664.  アウトレイジ(2010)
「全員悪人」と謳われているとおり本当に全員がワルで、またそれぞれが個性的に描かれていて面白かった。出演者がたけし以外は全員、北野武監督の映画に出演するのは初めてというのも異色。登場人物が次々殺されていく映画をというところから企画が始まったらしく、とくに後半は殺人のオンパレードで、普通なら目を背けたくなるようなシーンの連続なのになぜか安心して見ていられるから不思議。ヤクザを演じる俳優陣は國村準、石橋蓮司といった強面はもちろん、あまりこういう役をやる印象のない加瀬亮や三浦友和といった面々まで好演している。とくに三浦友和がなかなかいい。逆に山王会会長を演じた北村総一朗は確かにうまいけれども「踊る大捜査線」でのとぼけた署長役の印象が強すぎて(ほとんどあの役しか見たことがないのもあるが。)どんなに凄んでも笑えてしまう。たけしの最近の監督作を見るのは「座頭市」以来だったが、全体的に「座頭市」と同じく娯楽に徹している感じで見やすくなっているが、つい最近「その男、凶暴につき」や「3-4X10月」を見たばかりなので、それらと比べるとセリフの量が増えて見せ場が派手になり、初期の映画にあったどこか冷徹な雰囲気もあまり感じられなくなっているのは少々残念。「座頭市」や本作のような娯楽に徹した作風も面白いし、嫌いではないが、個人的には初期の監督作品のような独特の静けさの中に狂気を感じさせる映画のほうが映画監督としてのたけしらしさを感じられて好きだな。
[DVD(邦画)] 7点(2011-06-23 13:33:20)(良:3票)
665.  修羅の群れ(1984)
山下耕作監督が手がけた松方弘樹主演のヤクザ映画。ヤクザの世界に飛び込んだ一人の男の生き様を描いた年代記ものなのだが、ドラマがやや駆け足ぎみで物足りないと思うものの印象的なセリフも多く、全体的にはそこそこ楽しめたといったところか。ナレーターが小池朝雄だったり、脇に菅原文太や北大路欣也が出ているのでつい最近まで見ていた「仁義なき戦い」シリーズを思い浮かべてしまうが、山下監督の演出は画に落ち着きがあり、撮り方もキレイ。(深作欣二監督の手持ちカメラによる荒々しい映像も好きだが。)松方弘樹は貫ろくのある存在感で主人公を熱演していて、子分の菅原文太を「おい」呼ばわりするのもいちいち迫力がある。一方の菅原文太も良かったが、こちらが「仁義なき戦い」シリーズを見終わったばかりというのもあってか、ほとんど同じ演技にしか見えないのがちょっとなあ。松方弘樹の兄貴分を演じる鶴田浩二は本当に味のある演技で、若い頃より晩年近くなったこの頃のほうがいい芝居をしているように思う。(といっても若い頃の東映での出演作はほとんど見たことがないのだが・・・。)俳優が本業でない演歌歌手も何人か出ているが、中でも主題歌も担当している北島三郎(モロッコの辰役)が意外にいい演技をしていたのが印象に残り、ちょっと新鮮に感じた。(北島三郎、そんなに好きでないけど。)
[DVD(邦画)] 6点(2011-06-14 16:02:40)
666.  網走番外地(1965) 《ネタバレ》 
高倉健が一躍大スターとなるきっかけとなった作品で、このあと「昭和残侠伝」とともにシリーズ化された一作目。東映時代の高倉健の主演映画を見るのがまだ3本目なのだが、ストイックで寡黙なキャラをこの頃から演じている・・・と思ったら高倉健がほかの囚人たちと一緒に陽気に裸踊りをするシーンは自分の高倉健に対するイメージを覆すもので、今見るとかなり新鮮に感じられる。前半がとくに面白く、雪道に捨てられたタバコの吸殻を拾ってうまそうに吸うシーンが妙にリアルだし、アラカン演じる老人服役囚と高倉健演じる橘との絡みも印象的だ。しかし、後半はなんちゃって「手錠のままの脱獄」になってしまい、終わり際も南原宏治が母親の名前を口にするのがやや唐突に感じてしまったのがちょっと残念だったかな。出演者の中ではやはりアラカンが存在感があり、日本映画草創期の俳優らしい威厳を感じさせていて印象的だった。彼が八人殺しの鬼寅だとほかの囚人に明かすシーンは見ていてなんだか笑えるが、同時にそのシーンがこの映画におけるアラカン最大の見せ場だと思う。そうそう、石井輝男監督の映画を見たのはこれが初めてだったのだが、カルト映画の監督と聞いていたからあんがいオーソドックスなつくりに逆にちょっとビックリ。(最初に書いた高倉健が陽気に裸踊りするシーンはこの監督ならではのことなのか?)まあ最初からいきなりカルトな映画を見るよりはこのほうが入っていきやすいかもしれない。
[DVD(邦画)] 7点(2011-06-08 23:27:53)
667.  鴨川ホルモー
タイトルだけ知っててどんな映画か全く知らずに見たのだが、漫画が原作かと思うような話で実際、少年ジャンプのバトル系漫画に青春映画の要素を加えたみたいな感じ。オニと呼ばれるCGキャラが出てきたときには本当に予備知識がなかったため、これはどんな映画なのかと思ってしまったのだが、何も考えずに最後まで楽しく見れた。ただやはり、時間の関係か、詰め込みすぎの印象もあり、連ドラのほうがよかった気もする。青春映画としてはオニやホルモーのインパクトのせいもあるのかもしれないが、なにかドラマや登場人物の描き方が薄く感じた。とはいえ、「げろんちょりー」などのオニ語は個性的だし、全体的にばかばかしくて笑える。(オニ語に日本語訳字幕スーパーが出るのもよく考えたら別に普通なのにそれも笑えてしまう。)映画としてはとくに印象に残るようなものではないが、さっきも書いたように何も考えずにボーっと見るにはちょうどいいかもしれない。栗山千明を見るのは10年前に見た「バトル・ロワイアル」以来だったのだが、一度しか見ていないせいかあまり覚えておらず、(柴咲コウと印象がかぶってるのかもしれない。)見ている間ずっと芦名星を栗山千明と勘違いしていた。(おいおい。)
[DVD(邦画)] 5点(2011-06-07 14:40:22)
668.  天国にいちばん近い島
大林宣彦監督が「時をかける少女」の原田知世と高柳良一を再び起用した角川映画。「時をかける少女」は大林監督らしい世界観と、原田知世の初々しさ、それに芸術性の高い作品でとても好きな映画だが、この映画は一応、ストーリーとしては根暗な主人公がニューカレドニアを旅する中で成長していく姿を描きたいようだが、ドラマとしての盛り上がりがほとんどない薄い映画で、大林監督らしさもあまり見られなく、「姉妹坂」同様に何の変哲もないただのアイドル映画というしかない出来になっている。印象に残るシーンも少なく、強いていえば主人公が風呂の中で泣くシーンと戦死した夫を弔う乙羽信子くらいしか印象に残らないのだが、ニューカレドニアの美しさは少しは伝わってくるし、主題歌も良い。でも、正直言うと(あまり言いたくはないが)角川春樹が事務所の看板女優である原田知世とCM出身の大林監督を使ってニューカレドニアをPRしたかっただけの映画のようにも思えてしまう。さっきも書いたように普通のアイドル映画という印象で、そこまで駄作とは思わないけど。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2011-06-03 23:04:40)
669.  3-4X10月
まず撮りたい画があって、それに合わせてストーリーを構築していったような印象で、はっきり言ってストーリーはよく分からないのだが、それでもけっこう面白かった。たけし映画はセリフが少ないのが特徴的だが、この映画では音楽もカラオケでベンガルが歌う曲以外は一切なしという徹底ぶりで「その男、凶暴につき」に続いて独特の雰囲気を持った作品となっていて、沖縄、海、空など「ソナチネ」と通ずるようなところがあるのも偶然ではないだろう。「ソナチネ」でも海や空の青がとにかく印象的だったが、わずか2作目にして既に海や空の映像に対してこだわりが見られ、たけし映画の特徴の一つであるキタノ・ブルーと呼ばれる青を強調した映像がこの映画でも美しく表現されており、「その男、凶暴につき」同様、たけしのお笑い芸人とは全く違う映画監督としての北野武を語る上でとても貴重な作品で、特にのちのたけし映画の芸術性はこの映画が原点なのだと思わずにはいられない。個人的には「その男、凶暴につき」のほうが好みだが、この映画もたけし映画の原点として外せない映画ではないだろうか。たけし本人が出ていて、主役ではないのもこれだけのような気がする。(かなり目立っちゃってるけど。)それにしても無名時代のトヨエツが若いなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2011-06-02 00:14:36)(良:1票)
670.  河童のクゥと夏休み 《ネタバレ》 
「構想○○年」とうたい文句にしている映画はあまり面白くない印象があり、この映画も原恵一監督が20年ほど前からあたためていた企画を実現させた作品と聞いていたので、見たい反面、不安もあり、なかなか手が出ずにいたが、ようやく見た。ほのぼのした前半からマスコミがクゥのことを嗅ぎつける中盤あたりからシリアスになり、やがてそれが広まって報道陣が上原家の前に陣取る様子はものすごくリアルで、テレビの取材に興奮する康一の描写なども実際こういうことに遭遇すると仕方がないよねという感じでものすごくリアリティがある。ストーリーはこの後半からつらい方向にいき、自分がいることで上原家に迷惑をかけていると自責の念に駆られるクゥに感情移入し、虐待を受けていたオッサンの過去もついついウルっときてしまった。テレビに出演したクゥが父親の腕を見せられるところや、クゥを守ろうとしたオッサンが跳ねられて死んでしまうシーン、それに東京タワーのシーンはそのときのクゥの気持ちが痛いほど分かり、見ていて本当に泣けてくる。とくにオッサンが死ぬシーンはそれまでのクゥとの関係や、これまでのオッサンの生き様を考えると切なくてたまらない。全体的にはややいろいろ詰め込みすぎてしまった感はあるが、この映画の主軸はひとりぼっちになってしまった河童と現代の家族の交流を描いたひと夏の物語であり、登場するのはごく普通の平凡な家庭。中盤以降にある動物の目線から見ると人間社会はこうだというやや批判めいた描写が強烈で、マスコミや野次馬の描き方なども露骨ではあるが、でも決してそれが後半の主題になることはなく、クゥと上原家、クゥと父親、それに康一と菊池の関係がずっと主題として描かれている。おそらく「クレヨンしんちゃん」映画シリーズと同じく家族や親子、友情を描くことに原監督のこの映画に対するテーマというか、そういうものがあるような気がする。アニメの絵柄が最新のデジタルでなく、地味なアナログのような絵柄なのは原監督の意向かもしれないが、絵柄が素朴な分、映像もなんとなく優しさが感じられるものになっているのもいい。どこかで原監督は松竹大船調を受け継ぐ監督だと聞いたことがあるけど、それもよく分かる。それにしても最近殺伐とした映画ばかり見ていたような気がするのでこういうあたたかい映画を久しぶりに見ると、やっぱりこういう映画っていいなあと思える。見る前の不安はすっかり消え去り、見終わったあと、素直にこの映画を見てよかったと思えたし、原監督らしい佳作だったと思う。これからも原監督の作品はできる限りずっと見ていこう。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-05-29 16:12:15)(良:1票)
671.  非情都市 《ネタバレ》 
特ダネを必死に追い求める三橋達也演じる新聞記者を描いた鈴木英夫監督の映画。三橋達也演じる主人公が記事のためなら危険を冒してでもものにする、たとえやばいネタであっても記事のためなら何でもするというようなはみ出した男で、こういう新聞記者は実際にいそうで妙にリアルだなあと思っていたら、井手雅人の脚本は実在した新聞記者の手記をもとにしているとのことで納得。こういう一つのことに執着し、周りをよく見ない人物というのは三橋達也にはうってつけで、記事のために恋人(司葉子)にも平気でスパイをさせたりするようなダメ男を見事に演じていて、やっぱり三橋達也にはこういうだらしない男が似合うと改めて感じた。鈴木監督の演出もシャープで、冒頭の主人公と刑事のトイレでのやりとりや、水道から流れる水までもクールな感じがして印象に残る。最後の最後、事件の犯人を匿ったことがばれて逮捕されても、まだ諦めておらず、新聞社を首になったことも信じられない様子の主人公には呆れてしまうが、三橋達也が演じていると、まあしょうがないかとも思えてしまうのが不思議。まあ、同情や共感は出来ないけど。全体的にもう少しサスペンスとしての緊張感が欲しかったような気がしないでもないが、なかなか面白い映画だった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-05-28 14:38:58)
672.  その男、凶暴につき 《ネタバレ》 
お笑い芸人であるビートたけしが北野武として映画監督デビューを飾った作品。最初の少年の家にたけし扮する刑事が乗り込んでいくシーンから既に異様な雰囲気が漂い、ここでもう一気に惹きこまれた。映画監督のデビュー作というのは、まだ作風がちゃんと確立しておらず、何本か見たあとになって初めて見たりするとあまりらしさを感じられなかったりすることがあるが、この映画は既に一作目にしてのちのたけし映画の独特な雰囲気が出ており、これは本当にお笑い芸人の監督デビュー作なのかと思うほどのちのたけしの映画監督としての方向性がハッキリと出ている。「その男、凶暴につき」というタイトルどおり、犯人に対して執拗に暴行を繰り返す主人公の狂気もさることながら、映画全体に漂う恐ろしさがなんともいえず、見ている間ずっと緊張しっぱなしだった。ロッカールームでの暴行シーンなどは、直接見せているわけではないのに中で何が行われているのか想像するだけで恐ろしくなるし、クライマックスの対決シーンで薬を探す妹をみつめる主人公の目線にも恐怖を感じる。たけしらしい笑いも盛り込まれているが、全体的には殺気にあふれており、完全に「映画監督 北野武」というものをこれ一本で確立してしまっているのが凄い。この映画、最初の企画段階では深作欣二監督の予定だったそうだが、深作監督ではこの独特な雰囲気は出せないだろうし、まさにこれは北野武だからこそ出来る映画だと思う。それにしても一作目にしてこんな凄い映画を作ってしまったのがお笑い芸人とはやっぱり信じられない。最近でも俳優やお笑い芸人が監督デビューすることが多いが、それらが何やら話題性だけのように感じるのに対し、ビートたけし=北野武にはほかのタレント監督とは違う本物の作家性というものがあることをこの第一作目から感じずにはいられない。間違いなく傑作だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2011-05-26 14:22:43)(良:3票)
673.  新 仁義なき戦い 組長最後の日 《ネタバレ》 
シリーズ通算8作目で深作欣二監督と菅原文太のコンビによる「仁義なき戦い」のタイトルを冠した映画ではこれが最後の作品となる。前作「組長の首」より飯干晃一の名がクレジットから外され、完全オリジナル脚本となったが、この映画も五部作ほどの勢いはなく、普通のプログラムピクチャーのヤクザ映画という印象で、そんなに面白くはないし、ナレーション(酒井哲)が少なく、テロップによる人物紹介もないなど、これまでのシリーズと比べるとかなり印象が違う。「完結篇」で大友勝利を演じ、「新仁義なき戦い」にも出演していた宍戸錠の弟である郷瑛治が殺し屋「ジョー」という役名で出ているのには笑える。今回の組長は悪役がハマリ役の小沢栄太郎だけど、出番が少ないうえに、憎々しさもイマイチで残念。シリーズ最後の作品ということもあって(と言っても製作中にはそう思っている関係者はいなかったかもしれないが。)か、菅原文太演じる主人公が刺されてしまうが、そのまま終わってしまうのはかなりの中途半端さで、せめて主人公の生死をハッキリさせてから終わってほしかった。それとやはり今回も金子信雄がいないのがさびしい。
[DVD(邦画)] 5点(2011-05-19 14:18:37)
674.  ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない
「電車男」(原作、映画、ドラマ共に未見だが。)と同じようにネット掲示板から派生した書籍の映画化らしい。たぶん、この映画で描かれている会社を「ブラック会社」というのはちょっと違うような気がするし、主人公(小池徹平)の同僚たちもコミカルに描かれておりどこかリアリティーに欠ける部分があるように思うのだが、元ニートの主人公(小池徹平)が成長していくサクセスストーリーとしてそこそこ面白く出来ており、また主人公に優しく接する藤田(田辺誠一)の過去なども放置せずにちゃんと描いているところも良かったと思う。でも、もうちょっと深みがほしかった気もして、例えば主人公の屈折感をもう少し掘り下げてもよかったのではないか。小池徹平は初めて出演作品を見たのだが、けっこうハマリ役で、この主人公が見ていて親しみがわいてくるような好印象なのもその影響だろう。リーダー役の品川は、ガンダムマニアのKYな同僚とともにうざったく、なかなかハマッいるが、この人は「ガリレオ」の弓削刑事を演じていたときもちょっとうざく感じていたので、元々こういうキャラで売っている芸人(そうなのかはよく知らないが。)で、ひょっとしたら役作りせず、素のまま演じているのだろうなあと思ってしまった。なんだか褒め言葉になってないなあ。この映画に関しての全体的な感想は見る前は全く期待していなかったし、実際不満もあるが、そんなに悪くない映画だったと思う。
[DVD(邦画)] 5点(2011-05-15 15:03:36)(良:1票)
675.  嵐が丘(1988)
吉田喜重監督がエミリー・ブロンテの名作文学を中世の日本を舞台に脚色し、映画化した作品。中世を再現したセットは、黒澤明監督の映画で美術を担当する村木与四郎だけあって、黒澤監督の「乱」のような重厚さがあり、全体的に見て非常に芸術性の高い映画になっている。しかし、吉田監督の演出はやや力みすぎの印象があり、松田優作は主人公 鬼丸を彼ならではの野性味あふれる演技で演じているが、相手役の田中裕子との共演シーンは二人の相性がよくないのか少し違和感を感じたし、ストーリーもやや退屈に感じる。石田えりをかなり久しぶりに見たような気がするが、三國連太郎が出ていることで、実際の共演シーンが無いにもかかわらず、この年始まった「釣りバカ日誌」シリーズのスーさんとみち子さんを思い浮かべてしまった。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2011-05-13 21:25:06)
676.  新・仁義なき戦い 組長の首
シリーズ通算7作目。主な舞台が広島から九州に変わり、飯干晃一の原作とは関係のないオリジナル脚本となり、完全に最初の五部作とは別の一話完結の物語になっているが、どうもシリーズとしての勢いがなくなってきてる印象。確かにカーチェイスなど五部作になかった見せ場があるのだが、どうも空回りしているし、菅原文太扮する主人公のキャラも広能に比べて魅力がないように思う。深作欣二監督が撮影中に絶賛したという山崎努は確かに良かったとは思うけど、なんかエピソードが中途半端で演じたキャラクターがあまり印象に残らない。「広島死闘篇」の上原靖子役が印象的だった梶芽衣子の使い方も勿体無く感じる。ヤクザ相手に男から男へ渡り歩く女を演じるひし美ゆり子は「ウルトラセブン」のアンヌ隊員役でお馴染みなだけにこういう役を演じていること自体に驚くが、この女のエピソードをもっと膨らませればドラマにもっと厚みが出たのではないか。それと金子信雄が出てないことも残念。大和田組長を演じる西村晃は山守役の候補にあがっていた人で、貫ろくのある組長を見事に演じているが、やはり金子信雄演じる山守ほどのインパクトがなく、物足りなく感じた。それでも娯楽アクション映画としてそれなりには楽しめるものにはなっているとは思う。でもやっぱり物足りなさが残る映画だった。
[DVD(邦画)] 5点(2011-05-12 13:53:52)
677.  劔岳 点の記 《ネタバレ》 
雪を撮らせたら右に出る者はいないと言われるキャメラマンである木村大作が自ら脚本と監督を手がけた山岳映画。映画キャメラマンの監督作品を日本映画で見るのは初めてのような気がするが、どうしても新田次郎の原作を映画化したかったという木村監督の思いがよく伝わってくる反面、山の険しさ、厳しさと美しさを表現したいという思いが強すぎる故か、どうも木村監督の興味がただ山を撮ることだけにあるように思え、山に挑む主人公たちの人間ドラマにはほとんど興味がないかのように思えるほど、人間ドラマが薄く、葛藤というものが描かれていないばかりか、上映時間の都合か最後もいきなり頂上にたどりついたような印象で、カタルシスを感じないし、物足りない。全部生撮りで撮影の現場は録音技師の斉藤禎一が負傷するなど過酷だったようだが、映画を見ていてその過酷さが伝わって来ないし、作っている側は感動しているのかもしれないが、見ている側の感動は薄い。同じ新田次郎原作で木村監督が撮影を担当している「八甲田山」のほうがドラマとしての見ごたえはあるのではないかと思う。エンドロールが「俺たちは苦労してこの映画を作ったんだぞ。どうだ。」みたいな感じがして、なんだかこの映画がすべて撮影に関わったスタッフ・キャストの自己満足を満たすためだけに作られた映画のように思えてしまったのがなんかイヤだった。そういうことをされると所詮はそういう映画だったのかということしか印象に残らなくなる。ここに2点マイナス。
[DVD(邦画)] 3点(2011-05-05 14:34:04)
678.  リオの若大将 《ネタバレ》 
シリーズ12作目で大学生篇の完結篇、そしてヒロイン 澄子が登場するのもこれが最後となる節目の作品だが、だからと言ってどういうことはなくいつもどおりの展開で安心して見ていられる。が、最後なのだからもう少し捻ったストーリーでもよかったような気がする。若大将が劇中で歌をうたうのはいつものことだが、今回は曲名がテロップ表示されたりして歌のシーンは加山雄三のPVを見ている感じがいつもよりも強くなっている気がする。「エレキの若大将」に出ていた内田裕也が同じように音楽ショーの司会者役で出ているが、意識したキャスティングかもしれない。若大将をリオに同行させる大学教授が宮口精二だったり、今回の青大将の父親が中村伸郎(田中邦衛と中村伸郎が親子役というのがすごい組み合わせだなあ。)だったり脇役陣はいつもよりも豪華な印象だが、和尚役が勝新の「悪名」や鈴木清順監督の「河内カルメン」の原作者である今東光なのはビックリ。なかなか貫ろくのある演技で存在感があり、本職の俳優に負けていない。星由里子同様に小学生の頃にゴジラ映画でよく見かけていた久保明が出演しているのも嬉しかったりする。星由里子を初めて見たのは小学生の頃に見た「三大怪獣地球最大の決戦」と「モスラ対ゴジラ」。もう20年ほど前の話になる。同じく小学生時代にゴジラ映画でよく見ていた志村喬や土屋嘉男に高校時代に黒澤明監督の映画を見て再会したとき、懐かしくそして嬉しかったのを覚えているが、最初にこのシリーズに「大学の若大将」でふれたときも既に星由里子を朝ドラ「あぐり」などゴジラ映画以外で見かけたことがあるにも関わらず、そのときと同じような嬉しさがあった。彼女がこのシリーズで演じている澄子はそんなに好きではないが、このシリーズを見る動機の一つとして、「小学生の頃、好きだったゴジラ映画で印象に残っている女優の一人である星由里子をまた見れる」というのがあったのかもしれない。そんな星由里子も若大将の大学卒業とともにシリーズから卒業してしまうのだが、なんだかんだ言ってやっぱり少しさびしいような気がする。
[DVD(邦画)] 5点(2011-04-28 15:25:31)
679.  ゴー!ゴー!若大将 《ネタバレ》 
シリーズ11作目。いつも若大将と同じ部のマネージャーという設定の江口が若大将とは違う部に所属していて、陸上部の若大将が江口の自動車部に借り出されて前半でラリーに出場するという展開を持ってきて、若大将が取り組むスポーツをふたつにして見どころを増やしたり、今まで劇中ではありそうでなかった澄子を田能久の面々に紹介しようとする展開などこれまでのシリーズをずっと見ていると新鮮に感じる部分があり、それがなかなか面白かった。ラリーの部分で日産がスポンサーについており、青大将がダットサンの由来について解説するシーンや、ガソリンスタンドのシーンで「出光」の看板が映るなどタイアップ色がかなり強いのも今までのシリーズではあまりなかったような。若大将が澄子とのことで青大将の相談を断るのも(あの状況じゃ普通そうするわな。)大人になったねえという感じがするのはシリーズずっと見てるからだろうし、そういうパターン破りというか、いつもと違う展開がいやという人もいるかもしれないが、個人的にはたまにはこういうのもアリだろうと思うし、いつもと違う展開の作品がたまにあるのもシリーズものの面白さだと個人的には思う。今回、澄子の恋敵となる芸者を演じるのは浜木綿子。この人は香川照之の母親であるが、あまりなじみがなく、息子のほうがよくテレビなどで見かけることが多いからか、うっかりしているとそれを忘れてしまいそうになる。澄子役の星由里子はこの次の回でシリーズから勇退するが、自分もこのシリーズで星由里子を見るのはもうあと一回。何本今まで見たかあまり意識していないのでもうそんなにこのシリーズ見たのかとちょっとビックリしてしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2011-04-20 03:07:32)
680.  憑神 《ネタバレ》 
降旗康男監督が「鉄道員(ぽっぽや)」に続いて浅田次郎の小説を映画化した時代劇。浅田次郎原作の映画はこれまで2本(「鉄道員(ぽっぽや)」、「壬生義士伝」)しか見ていないが、面白いと思ったことがなく、降旗監督の映画もどちらかと言えば苦手なので全く期待していなかった。前半は軽いコメディータッチで降旗監督にしては珍しいと思ったが、ちょっとギャグがくどく感じられる部分もあり、あまり笑えない。死神(森迫永衣)が登場するあたりから映画の雰囲気がシリアスになるが、なにやらコメディータッチが気がついたらいきなりシリアスモードになってしまった印象で少し違和感を感じたし、盛り上がるはずのラストもちょと。でもそれだけならまだ良かった。原作のある映画だと、原作者自身がカメオ出演することがよくあるのだが、さすがにいちばん最後の浅田次郎の登場シーンは強引すぎるし、はっきり言ってただ出演したかっただけではないのかと思えてしまう。もし、そうでなければ何がしたいのか意味不明だし、もっと言うとなにもこんなことしてまで本人役で出なくてもと呆れる。この映画も最初に思ったとおり、以前見た2本と同じくあまり面白くはなかったが、この原作者登場シーンさえなければ、もう少しは印象は違っていたかもしれない。
[DVD(邦画)] 3点(2011-04-13 18:28:54)
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