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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1244
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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721.  ジョーカーゲーム 脱出(エスケープ) 《ネタバレ》 
まだ若いアイドルが突然亡くなるというのは痛ましい。 映画としては前作「ジョーカーゲーム」(2012)の続編であり、劇中世界も連続した形で作ってあるが、内容はレベルダウンした印象がある。 まず劇中の教育プログラムに関して、前回はまだしも政府の意図が読めたのに対し、今回は見たところ単に支離滅裂で、結局は「この国の忠実な僕となる」人材を残すのが目的というのでは何も考えていないも同然である。どうやら今回はまともな社会批評は完全放棄されたらしく、悪いことは全部国家権力のせいという安易さだけを残した形になっている。また軽目ではあるが残酷描写や、変質者のようなのが出ていたのも志が低い印象を生んでいる。 ゲームについては副題通りの単純な脱出の話で、ババ抜きは最後の人数調整にしか使われていない。途中で出る「七つの大罪」もほとんどこじつけでしかなく、前回に比べても単調な印象がある。また前回の登場人物と今回初出の人物に姉妹関係があって、これが最後に意外な結末につながる構造になっていたが、前作を見た立場としても姉妹設定のことを終わってから思い出す始末であって、少なくとも個人的にはあまり有意義な趣向ではなかった。ちなみに姉妹役の2人は、外見的な印象では明らかに姉妹が逆である。 結果として“社会は厳しいので信頼関係など求めず、とりあえず肉親の情を優先すべき”という話に見えたが、そういう理解でいいのかどうか。正直あまり褒めるところはないが、個々の出演者はイメージダウンを恐れずに頑張ったのだろうから全否定もできない(吉田まどかさんは毎度悲惨な役でご苦労様)。主に社会性の面での退歩を反映して前作△1点としておく。
[DVD(邦画)] 4点(2017-04-18 19:41:47)
722.  ジョーカーゲーム(2012) 《ネタバレ》 
劇中の設定に従えば、最も犠牲者が少なくなるのはグループなしで個々に戦った場合であり、それなら毎回1人が敗北するだけで済む。従って本来は委託側には積極的な動機がないことになるが、一方で受託側には具体的な利益が提示されている。多くの人間を口車に乗せておいて賭けに出るのを奨励するのは起業家育成を目的としたものらしく、“次世代のリーダー”というのもその意味かと思うが、しかし大言壮語して結果を見せればいいのだろうと嘯く連中ばかりになりそうで、そういう風潮を戒めた物語と取れなくもない。 ゲームについては要は単なるババ抜きだが、運だけの勝負にはならないよう、劇中人物独自の試みという形で無理やり駆け引きの要素を加えたのは悪くない。信じるか信じないかを問いかけておいて結局は騙すためのものだったわけだが、それでも最後はちゃんと“信じること”というテーマにつながっていたように見える。ラストの並走は、疑心暗鬼で相対するような局面ではなく、同じ心をもって同じ方向へ進んでこそ相互信頼が効果を生むことの映像的な表現と思えなくもない。 そのほかキャストに関しては、すでに20代の出演者もいる中で、長身でクールで大人びた感じの大野役だけは当時まだ中学生だったらしい。この人がほとんど主役のように見える一方、本来の主人公は終盤だけ本気の顔になるものの、本編の大部分を通じてとぼけた感じに見え過ぎである。アイドル映画なのだろうから、この人を知らない観客でも好きになれるようにしてもらいたい。個人的には美奈子役の方に目を奪われてしまったが、そのほか委員長役(伊倉愛美、元ももいろクローバー)のギラついたような顔もなかなかいい感じだった。途中で目障りな男子がほとんど一掃されたのも望ましい展開だったといえる。
[DVD(邦画)] 5点(2017-04-18 19:41:46)
723.  ガガーリン 世界を変えた108分 《ネタバレ》 
ガガーリンの有人宇宙飛行が成功した4月12日は、ロシアでは「宇宙飛行士の日」になっているそうで、本日は56周年に当たる。 その時の飛行時間が108分、この映画は113分でほぼ同じになっているが、映画全部をリアルタイムの宇宙飛行にするわけもなく、主人公の回想とか家族のエピソードを挟む形で構成されている。しかし、そのために肝心の宇宙飛行がブツ切れになり、また意味不明瞭なエピソードもあったりして散漫な印象になっている。堅実なようでもあるが浅い感じで、映画としての面白味も不足しているというのが正直な感想である。 ただ個別の場面としては、主人公の父親が皆に褒められて照れていた?顔などは悪くない。また着地後のカプセルの周囲に立入禁止区域が設定されているのに、子どもらが駆け込んで走り回っても誰も止めなかったのは、当時もある程度の緩さがあったことの表現になっている。フルシチョフも時々出るが茶化され気味のようだった。 また、いつも悪者にされるばかりでいいところがない現在のロシア連邦の人々にとっては、かつてソビエト連邦が人類史を背負っていた時代があったことを思い出して元気づけられる映画かも知れない。自分としても“ソビエト連邦は偉大だった”とか言ってノスタルジーに浸りたくなるが(今はないから言えることだが)、ただしエンディングの写真で主人公が日本を訪問した際に、「平和の使者ガガーリン」と書いた横断幕を掲げていたお調子者の人々には全く同調できない。このとき使われたヴォストークロケットは、核兵器を搭載する大陸間弾道ミサイルをもとにして開発されたことを忘れてはならない。  ほか余談的に書いておくと、候補として選抜された20人の名前をアルファベット順に読み上げる場面で、「コモロフ」と字幕に出ていたのは「コマロフ Комаров」が正しいのではと思うが、この人物は後のソユーズ1号の事故で死亡し、その事件がKomarov’s Fallというオーケストラ曲で描写されている。その次に呼ばれた「レオーノフ」は、アーサー・C・クラークの「2010年宇宙の旅」(映画「2010年」)に出ていた宇宙船の名前に採用されており、どちらもその場面では顔が出なかったが有名人である。 また花屋の前で揉め事を起こした「グリーシャ」(グリゴリ・ネリューボフ)は、結局は飛行士に選ばれず、失意のうちに5年後に不本意な死を遂げたようで、そこまでわかって見ていれば選抜の厳しさも知られるというものである。
[DVD(字幕)] 5点(2017-04-12 19:39:16)(良:1票)
724.  泣き虫ピエロの結婚式 《ネタバレ》 
一般募集による「日本感動大賞」の第4回大賞作品(2014)を小説化したものを原作にした映画である。「実話をもとにしたフィクション」とのことだが、原作を読んでいないのでこの映画独自の脚色部分などはわからない。 内容としては予定通りのラブストーリーであって、全体として驚くほどストレートに進行する。主人公(女性)が迷いなく一途に愛を貫くことが大前提になっているらしく、多少の障害は強行突破していくような展開だが、これが女性の観客には支持されるということなのか。新郎側の父母はともかく主人公(新婦)の父母の寛容さが並はずれた印象があったが、これはこういうお話だと思うしかないらしい。自分の立場としては新郎の思いや迷いには共感できるものがあったはずだが、序盤の少女マンガ風のところでこの男に対する好意が思い切り失われてしまったため、結局最後まで冷たい目で眺めていた。 また見る側の問題かも知れないが、All for you…とか一人か二人かといった登場人物の人生観に関わる部分が形式論に終わったようで物足りない(北原白秋の詩は難しすぎる)。劇中唯一笑ったのはYouTubeの話で、ここでは”you”がちゃんと複数形で捉えられている。ほかに読めない字とか駐車場の車といった細かい仕掛けはあったようである。 ちなみに出演女優の発言によれば、「一番キュンとしたのはおんぶのシーン」(志田未来)、結婚式の場面は「キュンの集大成」(新木優子)だそうである。また初日舞台挨拶で監督から、“自分のことを棚に上げて他人の揚げ足を取る意地悪な言葉が世間にあふれている”という発言があったのはその通りと思うが、そのせいでここでの悪口も書きにくくなった(以上の文章にも若干反映されている)。
[DVD(邦画)] 4点(2017-04-10 00:03:30)
725.  THE3名様 スピンオフ 人生のピンチを救うパフェおやじの7つの名言<OV> 《ネタバレ》 
一応説明しておくと、本来「THE3名様」とは2000年代から発表されてきているマンガ作品で、これを福田雄一監督が実写とアニメで映像化しているが、その実写版のスピンオフとして、脇役レギュラーの「パフェおやじ」に焦点を当てたのがこれである。 今回の趣向は「パフェおやじ」がたまたま近くにいた他の客の会話を聞いた上で名言を放つというもので、エピソード7つのオムニバスのようになっている。しかしその名言自体は単なる感想レベルの表層的なものでしかなく、そこに解説を付けて名言のように見せているが、それもこじつけにしか思えないものが多い。ネタバレ的に一つだけ書くと、脚本があって役者が演じているからには当方としても見た目そのままとは思っておらず、このやりとりの裏に何があるのかと思っていたところで「他に何かある」では、まるきりそのままではないかと呆れる。人生を変えるほどの発言があるとは思っていなかったが、せめてもう少し気の利いたものがあればよかったがと思う。 制作側としては主に「パフェおやじ」の動きで笑わせようとしていたらしいが、個人的にはこの監督の作る笑いに素直に乗れないことが多く、今回もそれは同様だった。ただ各エピソードに出る役者(の顔など)を見ているのは面白い。ちなみに第2話「夫婦喧嘩」に出た姉弟のうち姉役(伊藤沙莉)が、年若いのになぜか声がハスキーで迫力があると思ったら、「幕が上がる」(2015)でオヤジ声を出す部員(たかだ/高田梨奈)役と同じ人なのだった。子役時代からTVドラマなどに出ていてキャリアの長い人で、昔からこれが特徴だったということらしい。
[DVD(邦画)] 3点(2017-04-10 00:03:27)
726.  正しく忘れる 《ネタバレ》 
近親者の死による悲しみそのものでなく、そこから派生するいわば二次的な感情が問題にされていたようだが正直よくわからなかった。適切に忘れるというのは皆が普通にやっていることで、自ずとそうなるのなら別に問題ないだろうが、あえて抵抗しようとするのは自分がそうされたくないことの裏返しということか。また最後に主人公は故人の遺志を継ぐと決意した感じだったが、それだととりあえず現段階での凌ぎ方でしかない気がする。これが確定結果ということなのかどうか。 ほか全体的に台詞の文章量が多い上に話が難しいので登場人物が理屈っぽく見える。主人公に関しては、どうするのがいいか頭ではわかっていながらわざわざ逆方向に感情を掻き立てているようで、必死の思いで何かにすがるような切実さが感じられるわけでもなく、見る側を否応なしに同調させる作りにはなっていない。 そのようなことで、よくわからないが自分としては共感できない映画だった。心の底から共感できたのは、よく目にするが目的地にはならない「中央林間」という場所に行ってみるところだった(たまたま通過したことはある)。  ちなみに出演者のうち、主人公の弟役は素人目にも心許ない感じで(これが監督本人?)、タイトル直後の夕食場面でこの人物の顔が映ったところでいきなり映画自体が安っぽく見えた。自覚した上でやっているのだろうから言っても仕方ないわけだが。また主演女優は好印象だが、サークル仲間の少年は演技がくどい。
[DVD(邦画)] 4点(2017-04-05 20:36:21)
727.  正しく生きる 《ネタバレ》 
予告編を見ていると、まずは「正しく生きる人間にしか生きる資格はない」という発言が強い印象を残すが、本編を見ればこれをまともに受け取るのは間違っていることがわかる(要は年長者に席を譲れというだけ)。 これに続いて予告編では、「正しく生きる」ことについて出演者がそれぞれの見解を語っていたように聞こえる。「みんなが正しく生きると戦争が起こる」というあたりは世代特有の正義を背負った感じだが、ほかにも「正しい」こと自体を否定しようとする発言があり、こういう業界の人々はよほど他人からの押し付けを嫌うということらしい。まあ自由な社会なので何をやろうが大抵のことは咎められないわけだが、最低限、社会の共通認識としてのルールを受け入れなければ誰も生きていけないことになる。 一方で“謙虚であれということ”とか、“自分で考えるということ”といった発言もあったのには救われる。生きる上での正しさを考える場合、“社会と自分の関係をどうするか”と、“自分の進む方向をどうするか”の二面があるように思われるが、いずれも自分で考えながら模索していく種類のものと思われる。ただ個人的には、「正しく生きる」などということを全員が考える必要はないとも思う(そういうことを自分の頭で考えない人々は常に人口の一定割合を占めているので求めても無理)。  予告編に関しては以上として、本編を見ても何が言いたいのかは結局わからないが、これを見て「正しく生きる」とは何かをそれぞれ考えよう、と呼びかけているのなら存在意義のない映画でもない。しかし自分としては、今どき社会の転覆を企てるセカイ系オヤジに同調しろとか、誰のルールにも従わないのが正しいといった俺様ルールを押し付けようとしているのかと疑ってしまって素直に見ていられない。またそれとは別に、登場人物の鬱屈や苛立ちを観客に見せつける方に重点が置かれたようでもあり、この題名自体をまともに受け取るのが間違っているのかとも思われる。どうもこの手のものは信用できる気がせず、最後はもう勝手にやっていろと突き放して終わりにしたくなる映画だった。 ちなみに震災をネタにすることの必然性は感じなかった。震災があってもなくてもこの連中はこの通りだろう。
[DVD(邦画)] 4点(2017-04-05 20:36:17)
728.  生きる 《ネタバレ》 
学生時代に一度見たが、その時はなるほどこれが名画というものかと思った程度だった。 今回見ると、まずハッピーバースデーまでがとにかく長く、その間主人公がジタバタするのが非常に見苦しい。自業自得だろうと突き放したくなる一方、息子のためにこうしてきたというならそれでいいだろうがとも思う。生きる意味などそれぞれ気の持ちようなのでどうにでも納得できるはずで、特にこの時代なら、とりあえずここまで生き延びて子孫が残るだけでもいいではないかと思うが、それをあえて否定して、個人の生きる意味を求めたのがこの映画ということなのか。しかし現代ではその個人の部分だけが重視される一方で少子化が進んでいくのは皮肉ともいえる。  その後の通夜の場面では、一転して他者の視点から主人公の行動を明らかにし、印象操作や誤解を排した全体像を皆が共有していくのが面白い。警官の述懐は、いわゆる最後のピースがはまったようにすっきり感じられた。 またこの部分で語られる役所の組織体質は興味深い(笑う)。何もしない決まりがあるというよりは、行動様式として目の前に来た案件を捌くのが基本だから主体的に動く発想がないのだろうし、そういうのは江戸時代のままではないかという気もするが、わずかな体面のために自分の領分への干渉を許さないとか、執拗な相対化で個人の功績を薄めようとするなどは小役人というより日本人の気質ではないのか。記者の言う「プロモーター」はいかにも新しい言葉に聞こえたが、当時などほとんど理解されていなかったのではと想像する。 そこで何かしようとした場合、主人公に関してはたまたま本当に役に立つ仕事がその辺に転がっていたからよかったが、動機が不純だと自己満足だけで愚にもつかないことをやらかす恐れもある。そもそも自分のために仕事をするなど公僕のやることかと言いたいところだが、ただし工事現場で倒れた主人公を、周辺住民が寄ってたかって助けた場面は少し泣けるものがあった。要は実のある仕事かどうかかが真の問題であって、それが同時に当人の生きた意味にもつながりうることは示されていたように思う。今さら他人に言われる筋合いはないと反発を覚えながらも、人生悔いのないようにという思いは否応なしに残る映画だった。  ちなみに劇中の小田切とよは、近場に本当にこういう人物がいるので妙に親近感を覚えた。どうでもいいことだが。
[DVD(邦画)] 7点(2017-04-05 20:36:14)
729.  鷹の爪8 ~吉田くんのX(バッテン)ファイル~ 《ネタバレ》 
「秘密結社鷹の爪」の劇場版第8弾ということのようである。このシリーズは初めて見たので事情がよくわかっていないが、今回は主に20世紀の島根県吉田村を舞台として、「吉田くん」が世界征服を志すに至った動機とその結末(予定?)を描いた形になっており、いわゆる「鷹の爪団」はほとんど出ない。 今回のネタ元は題名に出ているとおりTVドラマ「X-ファイル」(1993~2002アメリカ)で、エイリアンとかオーパーツとかUMAとかオカルト色が濃厚だが、そのほかどうしようもないギャグネタ満載のせいで失笑の連続である。個人的には「ジョン&パンチ」などというものを日本国民の一体何割が憶えているものかと呆れた(TVドラマ「白バイ野郎ジョン&パンチ」1977~1983アメリカ)。 ちなみに20世紀の吉田村にいた同級生の里美役は、声優ではなく女優の森川葵という人で、何でこの人でなければならないと思ったのかよくわからないが、外見はかわいいのに性格がきついキャラクターを当てたのは悪くない(声優としての力量については何ともいえない)。こんなアニメを自分が見たのはこの人が出ていたからだが、そうでなくとも本編のバカらしさだけで結構面白いと思わされる映画だった。ちなみに少し切ないところもある。  なお余談として、映画の中にも島根県の自虐カレンダー(2017年版)が出ていたが、旧国名とか個々の場所は知られているのに県単位で存在感のない例は他にもあるわけで(例えば×重県)、自虐してまで無理に売り込む必然性はない気もする。出雲大社とか石見銀山とかの有名どころ以外にも、映画関係でいえば錦織良成監督の「島根3部作」や、少女時代の夏帆が出演した「天然コケッコー」「砂時計」があり、さらに「砂の器」に出ていた「亀嵩」(仁多郡奥出雲町)も吉田村からそれほど離れていない場所にある。そのほか個人的には、著名な都市伝説「〇とりばこ」が旧松江藩領内の話だったことも覚えており、ちゃんと知っている人は知っているということである。まあ知らなくても困らないとはいえるが。
[DVD(邦画)] 6点(2017-03-25 22:54:38)
730.  残穢 -住んではいけない部屋- 《ネタバレ》 
原作付き映画は原作の劣化版でしかないことが多いので、映画から見てしまって損した気分になるのを防ぐため、今回は原作を先に読ませてもらった。 その後に映画を見ると意外にまともにできており、原作の基本構造を尊重しながら印象的なエピソードを残し(大家の伊藤さんなど)、原イメージを保ったままで短時間にまとめてある。導入部として短い怪談を入れたのは映画独自の構成だが、これもその後の展開からすれば効果的と思われる。老婆が一言「湧いて出る」とか、床下の顔など怖さで印象付けられる場面もあり、また緊張が高まった場面で、登場人物の何でもない発言にいちいち脅えさせるのは笑いを含んだ肝試しの臨場感があった。 ちなみに原作では実在の人物が実名で登場するため、ホラー映画でいえばフェイクドキュメンタリーのような印象があり、それが読者にとっても他人事でない雰囲気づくりにつながっていた。この映画はさすがにドキュメンタリー調にはしていないが、登場人物の平○○明とか○澤徹○とかいうネーミングには原作の名残が見られる。平○氏が羽田の大鳥居にいた意味はよくわからなかったが、これはファン向けの小ネタというつもりだったのかも知れない。  一方で肯定的になれない点として、最後は疑似ハッピーエンド風になったあたりで終わりにしておけばいいものを、その後さらに怖がらせエピソードを4つも加えていたのは呆れざるを得ない。それまでは、邦画ホラーの恒例である現場突撃を「お暇しましょう」であっさり終わらせるなど結構いい雰囲気で来ていたにもかかわらず、結局最後は見せるものを見せなければ気が済まないかのような作りには落胆させられる。 また原作では「穢れ」の残留と拡散に関して仮説のようなものを提示しており、それがいかにも自然現象的にありそうな感じで納得できるものだった。その一端は当然この映画にも出ているわけだが、しかし原作では、確定的影響でないため統計的に有意でないとかいうことで因果関係が特定できずに日常の中へ埋没していく空恐ろしさとやるせなさが感じられたのに対し、映画がこういうラストでは致死率100%の「呪怨」シリーズと同じように見えて、原作独自の趣向がぶち壊しになったように感じられる。そもそも徹底して登場人物を破滅させたがるという無駄な過酷さが大人気なく、邦画ホラーというもののどうしようもなさを感じさせる映画だった。 それでも邦画ホラーにしては悪くなかったので少しいい点をつけておく。
[DVD(邦画)] 6点(2017-02-19 21:45:31)(良:1票)
731.  リトル・マエストラ 《ネタバレ》 
非常に具体的な地名が特定されているのはなぜかと思ったら、「協賛」として電力会社の名前が挙がっていたので何となく納得した。劇中で何かと地域社会の先細り感を強調していたのは白々しく、そのために発電所を設置してもらったのではないのか、と言いたくなるが、まあ環境にやさしい風力発電も映っていたので、これでも見て少し心を和ませろということかも知れない。ただし途中で突然サイレンを鳴らす場面があったのは、まるで深刻な事故でも発生したかのような不吉感があったのでやめてもらいたかった。   ところで劇中の台詞として語られたことを聞いていると、楽譜というのは作曲者からの手紙であり、そこにみんな(演奏者?)の思いを乗せて、目指す相手に伝えるのが指揮者の役割だということらしく、こういう一般理論のようなものを得たのがマエストラとしての収穫だったのだろうと思われる。これをこの映画に置き換えれば、作曲者は脚本家、指揮者は映画監督ということになるだろうが、観客に伝えることに関していえば残念な結果というしかない。その場限りの台詞と表情を羅列しても心の動きは自然に感じられず、前記の理屈がわかれば感動するというものでもない。また微妙に芝居じみた陳腐な台詞や展開も苛立たしく感じられるところがある。  一方で、劇中の出来事の結果としてオケに依頼が殺到していたのはどういう因果関係に基づくものか不明だが、いわば競技スポーツ的にコンクールでの好成績を目指すより、鑑賞側(例えば福祉施設、学校など)に合わせた音楽を提供するコミュニティ楽団を目指すのが適切だ、というのならその通りだろう。この映画に関しても、好意的に見てもらいたい範囲(石川県内程度か)を相手にした地元対策の映画としては目的にかなったものかも知れないが、しかし例えば、全国の音楽好きの人に広く見てもらえる映画には全くなっていない気がする。せめてもう少し音楽というものにまともに向き合ってもらいたいものだが、まあ何か事情もあったのだろう。  なお出演者自体に関して特に苦情はないが、点数は主に映像関係に対して付けておく。またついでに書いておくと、原作(マンガ)には体育館で演奏する場面はない。  [2017-02-19追記]2011年の原発事故の直後に、わざわざ別の原発の隣接地でこういう映画を撮ることにどういう思惑があったかわからないが、何やら胡散臭い気がするので当初の2点をさらに減点しておく。別に出演者が嫌いとかいうわけではなく、また冬の日本海岸の映像的な印象は悪くない。 ちなみに現時点では大規模な風力発電施設の建設が全国的に増えていると思われるが、現地からすれば単に周辺の生活環境や自然環境や地元貢献に配慮してもらいたい建設事業(多くは外部資本)に過ぎず、再エネなら何でも歓迎という雰囲気でもない。上に「環境にやさしい風力発電」と書いたのは吞気すぎたと反省しておく。
[DVD(邦画)] 1点(2017-02-19 20:50:08)
732.  極底探険船ポーラーボーラ 《ネタバレ》 
東宝特撮としてはそれなりの出来である。Polar Borerというネーミングはいいと思うが、それ以外はほめるところがない。 基本設定については多分、大昔にあった地球空洞説というものから着想を得たのではないかと思うが、劇中の図を見る限りは同じでもない。地底の空間で昼夜があるのはなぜかという説明があるわけでもなく、サイエンス・フィクションというより荒唐無稽ファンタジーになっている。 また最大の問題は主役が汚い顔のジジイなことで、この時60歳くらいの役者を引っ張り出しておいて「アダムとイブ」とは何たることか。そもそもこの主人公が自力で成り上がったわけでもないのに粗暴で傲慢でスケベであって、これまで金も権力も何にも不自由せず勝手放題やって来ておいて年取ったからといって悲哀を語られても共感できるものではない。孤独なハンターとか孤高の英雄のようなものを称揚する文化が向こうにはあるのかも知れないが、個人的にはキ○○○じみたこだわりとしか見えず、アメリカ人とは人種が違うことを思い知らされる映画だった。  ところで原地住民役で出ている日本人女優に関して、自分としては昔のTVドラマ「特捜最前線」の高杉婦警役が好きだったのだが、この映画に出ている顔(眉毛がつながっている)を見ても全く得にはならない。ただ体形が意外にふくよかで、こういう感じの人だったのかと認識を新たにした。またDVD特典で、ご本人が映像付きでコメントを寄せられているのも嬉しかったりする(コメンタリーも務められている)。この関谷ますみさんを人質に取られた形になっているために、映画そのものを全否定できないのは困ったことである。
[DVD(邦画)] 2点(2017-02-18 11:56:11)
733.  魔法少女を忘れない 《ネタバレ》 
ライトノベルを原作とした青春映画で、福岡市に拠点を置く「テレビ西日本」が中心になって製作し、撮影は福岡県内で行われたとのことである。結果的にはさまざまな面で見る側にかなりの寛容さを求める映画になってしまっているが、それでもあえて自分としては褒めることにした。こういうものを大真面目に作ったTV局はえらい。  まず「元魔法少女は忘れ去られる運命にある」というのが基本設定になっており、これが終盤ではかなり衝撃的な形で描写されていたが、しかしそのように“忘れられる”ことだけでなく、“忘れる”ことの悲しみも強く表現されていたようである。人は何かが好きだと思ったとき、同時に自分のその気持ちがいつか失われることを予期して悲しく思うことがあるが、そのような主人公の思いが切なく感じられる映画だった。 また「元魔法少女」とはそもそも何のことなのか、説明がないまま終わらせるという突き放した態度も嫌いでない。劇中歌の歌詞で、“恋をしたら呪文を忘れる”というようなことを言っていたのをまともに取れば、実際に(発端の時点から?)恋をしていたので魔法が使えなかったのかとも思われる。終盤の荒唐無稽かつ都合良すぎの展開は、2人の強い思いが魔法に負けないほどの奇跡を生んだとでも思っておくしかないか。  登場人物に関しては、劇中の魔法少女はほとんどの場面で可愛らしい美少女に見えたが、鋭角的な顔立ちのせいもあって単純にカワイイで終わりにならない複雑な印象があり、これがいかにも魔法少女らしいといえなくもない。 一方の幼馴染はマンガっぽい可愛さを出しており、序盤で眼鏡がずれたところなどは秀逸だったが、中盤での告白場面はあまりにも痛々しいので正直泣かされた。ここまで延々と語らせておいて何で早く受け止めてやらないのか、と男の側に言いたくなったが、結果的に受け止めてやらなかったのは非常に意外だった。結局、誰かのハッピーエンドは別の誰かの不幸を前提にするものだったようで、これが魔法少女の魔性ということかと思わなくもない。 ただ彼女は忘れられたとしても、逆に彼女の方が忘れることもできるという意味ではお互い様である。大人ならそう思って納得するところだが、しかしその場の当人にとってはそうもいかないのであって、ここは自分としても大昔の記憶がよみがえる気がして若干切ないものがあった。
[DVD(邦画)] 6点(2017-02-16 23:43:56)
734.  魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st 《ネタバレ》 
TVアニメ「魔法少女リリカルなのは」シリーズの劇場版である。この映画はTVシリーズ第1期(2004年、全13話)の劇場版だが、これに続いて第2期(2005年)の劇場版が2012年に出ている。 TVは当然見ていなかったが、この劇場版を見る限り、まずは主に絵柄のせいで好きになれる登場人物がほとんどいない。また人名が変に格好つけた感じで大人気ないのが多く、口に出して言うのが恥ずかしい。さらに、劇中に世間の指弾を受けそうな映像(変身場面の着替え)が入っているのは非常に問題だが、しかし思えば魔法少女というのはかなり前からそういうものだった気もして、自分の世代もそれに加担していただろうから偉そうなことはいえないかと思わなくもない。  ストーリーに関しては、母親(ただし偽)に依存しながらも虐待されて捨てられた娘が、友情の力で自立して生きる決心をした、ということのようで、それ自体は大変結構なお話ではあるが、ただしそういった自立の物語を9歳の子どもにやらせるのは年齢的に無理がある。またこのアニメのターゲット層に母と娘の話がふさわしいとも思われず、魔法少女アニメとしての性質からそのストーリーが必然的に導かれるわけでもない。要は魔法少女というものを介して小学生女児とターゲット層(それなりの年齢の独身男)を結びつけようとするのがこのアニメの本質であって、一見シリアスなストーリーは取ってつけたように見えるということである。虐待なしで普通の友情物語くらいにしておけばそれほど違和感はなかっただろうと思うが。  以上、文句ばかり書いたが、よかった点としては後半の「うんうんうん」という台詞と、ラストで携帯に電話が来たのが笑えることだった。また爆笑したのは「ごめんなさい、命令無視は、あとでちゃんと謝ります」という台詞がまるきり子どもの発想だったことで、これには“ごめんで済めば警察はいらない”と言ってやらなければならない。そのほかアニメファンなら映像面などで評価すべき点も多いのだろうと思われる。 自分としては大好きなアニメとはとても言えないが、DVDをただでもらったので点数は少し甘くする。見たくてもらったわけでもないが、続編もただでもらえれば見てやっていい。
[DVD(邦画)] 5点(2017-02-16 23:41:07)
735.  魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's 《ネタバレ》 
TVアニメ「魔法少女リリカルなのは」シリーズの劇場版である。TVシリーズ第1期(2004年)の劇場版は「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st」として2010年に公開されているが、この映画は第2期「魔法少女リリカルなのはA's」(2005年、全13話)の劇場版として2012年に公開されている。前回からあまり経っていない時期のようで主人公は依然として小学生女児だが、激しいアクションを伴う戦闘少女アニメであり、せめてもう少し大人になってから戦ってはどうかと言いたくなる。 物語としては、前回は母と子の問題が大きく扱われ、形の上では一般社会に問題を投げかけたとも取れる作りになっていたが、そのせいで話が大げさすぎて不自然に見えた。その点今回はこのアニメ内部で閉じた話のため違和感はないが、ますます現実から隔絶した架空世界に閉じこもったようでもある。前回に続いて“話せばわかる”というようなコンセプトが出ており、また最初は敵でも最後は友達になるという展開が基本構造のようにも見えるので、ここから無理にメッセージのようなものを読み取るとすれば“心を開いて仲間をつくるのが大事”というような話だろうが、しかしまあ現実にはキャラクター同士の個別の関係性を超えた一般化など求められていないのだろうという気はする。 なおreinforceというあからさまな英単語はファンにどう受け取られているのかわからないが、自分としてはreinforced concrete (RC)の印象が強いため人名に使うのは抵抗感がある。ほか個別の場面としては終盤で、ここは号泣するところだ!!!と明瞭に指定した感じの演出が印象に残った。  ところで前回はDVDをただでもらったという理由で見たが、今回は明らかに自分の意思で見た形であり、アニメファンでも何でもない一般人としての良識が問われることになる。日本アニメは少女嗜好と切り離せないところがあるにしても、変身シークエンスのフルバージョン?(かなり執拗)など見ていると、これはもう本当に限られた人々向けの特殊な創作物ではないかと思わされるが、それでもこういうものが日本のアニメを支えてきたからこそ「魔法少女まどか☆マギカ」のような、より一般向けに開かれたもの(間口は狭いが)も生まれて来たわけだと前向きに捉えておく。 ちなみに2017年夏には劇場版3作目が予定されているとのことで、なかなか息の長いコンテンツであるらしい。
[DVD(邦画)] 5点(2017-02-16 23:13:59)
736.  スキトモ 《ネタバレ》 
冒頭の場面でドアを開けてセーラー服の女の子が入って来るので、これは美少女に違いないと思ったらそれほどでもなく拍子抜け。美少女でない上に色気も乏しく、友人の色香にも明らかに負けている。私服になると体型が貧弱なのが余計に目立ち、服装そのものも含めて小学生のように見える。兄と比べると年齢も体格も著しい差があって、実の兄妹でないとはいえまともな恋愛対象とはとても思えない。 しかし、それだからこそかえって一途な思いがいじらしく、妙によからぬ企みをするのも微笑ましい。兄に叱られて拗ねた場面で初めてこの子が愛らしく見えたが、終盤に至ると女性的魅力も幾分増し、また他者へのいたわりを含んだ柔らかな笑顔は文句なしに可愛らしい。そういうことで自分にとってのこの映画は、いわゆるBLというより妹萌えの映画のように思われたのだった。妹役の小松愛梨という人も好演だったように見える。  以上で終わりでもいいが全体的なことも一応書いておくと、とにかく純粋で清々しい映画で、登場人物も善意の人ばかりで安心できる(妹が最も邪悪)。薄目のBL風味にあえて反発せず、また「お兄ちゃんなんて大っきらい!」という感じの展開も冷笑せずに受け入れられるなら、ほとんど万人が楽しめる作りになっている(どことはいわないが爆笑する場面もある)。まったくこんな映画とは予想もしていなかった。 ただ個人的に気にかかるのは、途中まで出ていた気のいい大学生のお姉さんはその後どうしたかということである。見ているとこの人もかなり魅力的であるから放っておく手はないはずで、個人の嗜好はあるにせよ、わが国の出生率を向上しようとする観点からすれば、やはり基本的には異性間の結合を求める方向での行動が広く望まれるところである。
[DVD(邦画)] 7点(2017-02-05 01:19:23)
737.  天然コケッコー 《ネタバレ》 
夏帆の主演映画ということと、自分としては一生行かずに終わりそうな石見地方(飛行機の上から見たことはある)が舞台ということで見た。実在の風景を使って、今となってはファンタジックにも見える中山間地の景観が作られており、山に囲まれたようでいて少し歩けばいきなり海に出るという土地柄も生かされている。「山の音」の場面では、人物がいる手前の明るさと、背景の山のくすんだ感じの対比がよかった。また季節の変化もきれいに映像化されている。 生活圏内には小都市があり、結構な人出のある祭りもあったようで普通の一地方なのだろうが、主人公の住む場所はまるで隠れ里のように見える。交通幹線から外れていて、少し離れた鉄道駅だけが外界に接する出入口というイメージが持たれたが、その割に遠方に自動車道路が見えていた場面などはかえってボロが出たような印象もあった。全員が知り合いの小社会で、毎日朝昼晩と同じ顔ぶれの人々と付き合うのでは息が詰まる気がするが、そこはまあ創作の世界でもあり、また実際にこういう場所で生まれ育てばそれが普通になるのだろうと納得することにする。  物語としては連載マンガのエピソードをつないだ形で、最近見たものでは「この世界の片隅に」(2016)と同様ということになるが、それと比べても起伏が少なくひたすら地味なため121分が正直つらい。個別エピソードとしては学校を休んだ児童を見舞ったところとか、大失言してしまってから泣き出すまでの経過はよかったが、全体としてもう少し大きいドラマがないのかという気にはさせられる。 そういう面では、中学生から高校へ上がる年代の微妙な心境変化自体が一つのドラマだったと取るべきなのか。恋愛に関しては本格的な性愛感情などはなく、初めて親しくなった異性らしい異性への愛着という程度にも見える。それ以上に9年間通った学校への思いが強かったということなら、要は身辺や自分自身がいずれ変わっていくことへの哀惜が主題だったと思えばいいのかも知れない。 まあそのように理屈で考えなくとも、登場人物の心情に直接同調できるとか、劇中世界にそのまま入り込めるなら大絶賛かも知れないが、個人的にはそうもならなかった。劇中に共感できる人物が誰もいないのは困るが(中学生男子は論外、父親も除外、無理にいえば郵便局員の男か)、恐らく原作段階からして自分には合わないのだと思われる。ベタ褒めできなくて残念でした。
[DVD(邦画)] 5点(2017-02-02 19:29:34)
738.  ナイスの森 The First Contact 《ネタバレ》 
製作から10年以上経った現在の感覚でいえば、常識外れとかシュールとかいう点に関してはそれほどでもないというしかない。こんなものはこの映画で初めて見た、という驚きも特にない。それより作り手が自分勝手に作りたいという意思が前面に出ていたのかも知れないが、そういうものは自分の短い映画鑑賞歴の中でさえ結構見せられている気がして、一般人の立場でどこまで付き合うのかという問題になる。 結果としてはそれほど面白いとは思わなかったが、個人的には庵野秀明氏が教室の最前列でわめいていたのが最も意味不明で笑った。また自分としてはこういう場合は主に女優を見ているわけだが、その面では豪華キャストの「三人姫」の騒ぎは少し面白かったかも知れない。しかし同じエピソードの福沢諭吉は、まさかこうするつもりではないだろうなと思うことをそのままやってしまうのが興醒めというしかない。また別のエピソードでは元女子高生の態度だけはよかったが、締めの言葉が(題名も)「酒でも飲みますか」というのはあまりに凡庸な発想で、21世紀初頭のわが国の文化水準はこの程度だったのかと呆れ返る。詰めが甘いというのか緊張感に欠けているということなのか。 そういうものでもクリエーターへの敬意として、ここは一応それなりの点を入れておく。
[DVD(邦画)] 3点(2017-02-02 19:29:31)
739.  ハウルの動く城 《ネタバレ》 
最初に見たのはTVだったが、その時は何が何だかわからず単純に面白くなかった。その後は見直す気にならなかったが故あって改めて見たところ、大人になれない若い男と老婆のような若い女が影響し合って最後は幸せな家庭を築いた話に見えた。 男の方は世間の風など関係なくお花畑に身を置いて「人殺しどもめ」と戦争を蔑んでいればいいと思っていたが、具体的に守りたい相手ができたとたんに何人殺しても構わないほど舞い上がってしまい、これはまずいと女の方が抑えにかかって安定状態に至ったように見える。女の方はもう人生終わったかのように思っていたが、私だけの王子様のようなのが突然現れて、駄目な男だけど本当は優しい人だから何とかしてあげたいと思ったり、私のことをずっと待っていてくれたと感激したりしてやっと年齢なりの女子になったということか。それでも基本的に落ち着いた主婦向きの人物なので、男が恋人に母親を求めるような都合のいい話になっていたようである。 劇中で戦争が起こったのは二人を高次の人格に導くための契機ということだろうが、物語を動かすために起こした戦争など「バカげた戦争」というのは当然であり、物語の終了と同時に戦争が終わったのも変ではない。あるいは実際に、王室付きの魔法使いが生涯最高の弟子を表舞台に引っ張り出すためにわざと起こした戦争ということだったのかも知れない。まともに取れば多数の人命が失われたのだろうが、そもそも観念的な戦争のようでどれだけ人が死んだかなど気にしなくていい感じだった。 以上のような感じで大まかな説明はできなくもないが、それで面白いかというと大して面白くはなく、映像面でも風景や事物などに既視感のあるものが多い。宮崎アニメはいわば国民的アニメであるから一度は見なければと昔は思っていたが、別に見なくても問題ないと初めて思ったのがこれだった。 なお端正な美形女子が年を取ると鷲鼻になるのはなぜか不明だが、これならシータが年を取るとドーラになるというのもわかる。
[DVD(邦画)] 4点(2017-01-23 23:42:08)(良:3票)
740.  おもひでぽろぽろ 《ネタバレ》 
最初に見たのは90年代のTV放送だが、そのときは半分程度で挫折した。主に昔の微妙な記憶をほじくられるような感覚が不快だったからだが、いま見れば小学生編もけっこう楽しく、戦前生まれの父母のふるまいもそれらしく見える。なお分数の割り算に関しては、2/3のリンゴから始めるから難しいのであって、3/4のリンゴを1/4で割ることを考えればとっつきやすいと思われる。 大人編に関しては、普通の田舎の風景や事物が丁寧に描かれているのが好印象で、紅花の収穫と加工についての説明は興味深い。婆様の顔や言葉などはけっこうリアルでいいのだが、ただ柳葉敏郎は、劇中の場所とは方言の系統が違う秋田県の出身だからか現地言葉が全く様になっていない。関東でいえば神奈川県人が茨城方言を話すようなもの?で、東北などどうせどこでも全部同じだろうと思われては困る。  物語としては、個人的にはわりと素直に“都会の女性が田舎に定着するきっかけの話”として受け取れる。現地の人々にもそれを望む気持ちは当然あったろうし、駅まで迎えに行かされたのが若い男だったのもそういう素朴な思惑があってのことかも知れないが、しかし本当に実現するとも思わないのが普通の感覚でもある。この点については本家の3人にも温度差があったようだが、その中で婆様の裏表のない直言が結果的に主人公の素直な反応に結びついたということらしい。その後にぶり返した「あべくん」の記憶には偏見に起因する心理的な壁という問題が含まれていたようで、これは主人公が現地に定着する際の葛藤を先取りした形とも取れる。最後に山寺駅で折り返したのは、とりあえず婆様に今の気持ちを見せたかったからで、あとはゆっくり冬の来訪で、ということだったろう(仙台から東北新幹線を使えばその日のうちに帰れる)。ラストでは、主人公を祝福しながらも寂しげな子どもの表情が印象的だった。  当時であれば東京出身の女性が農山村に嫁入りなど正気の沙汰ではなかった気もするが、ちなみに劇中年代から30年以上経った現在の話として、うちの地元にも大学や研究機関があるせいか、関係ない場所(大都市圏など)から来て定着する若手の人々が目につくようになっている。こんなところの何がいいのかと正直思うが、田舎だ都会だということと関係ない人々が出てきているようではあるらしい。地域社会との間合いの取り方もそれぞれであり、必ずしも閉鎖空間に囚われるかのように考える必要はない。 この映画の主人公は現在もう還暦を過ぎていることになるが、仮にこの場所に定着していたとすればIターンのよき先例になって、地域社会に少しずつ変化をもたらしていたかも知れないと考えたい。
[DVD(邦画)] 8点(2017-01-23 23:42:06)
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