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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2302
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 53歳
自己紹介 お世話になっております。
今年もよろしくお願いします。


※映画とは関係ない個人メモ
2025年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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61.  スカイハンガー 《ネタバレ》 
おそらく着想は「熱気球の制御が効かなくなったらさぞ怖いだろう」だと思います。アイデアはグッド。でもそこから先が続きません。場繋ぎ・賑やかしの「あまり意味のない」展開や要素で尺稼ぎした結果、芯が通らぬ「ぼやけた味」のサスペンスの出来上がり。そういう意味ではこれぞB級映画とも言え、B級ならB級なりの愉しみ方もある訳ですが、その一方B級の中にも「愛せる映画」と「ただガッカリな映画」があり、残念ながら本作は後者でありました。勿論好みもありましょうが、私の中では「誠意」がひとつの目安となっています。出来の良し悪しとはまた別の尺度。その点で本作には「誠意」が不足していたと考えます。サブストーリー「妹ちゃんホテルで大ピンチ」にしても、メインストリーム「燃料さえ止めれば必ず降りられる気球なのに、何故か流されるまま大海原に出てしまった件」にしてもそう。何故こんなに「必要性」や「リアリティ」に欠けるのか。辻褄合わせの嘘だとしても「いい訳」くらいは用意して欲しいのです。よく言うじゃないですか。浮気がバレたとき一生懸命弁明して欲しいと。それが浮気した側の誠意(誠意があったらハナから浮気なんてしないが正論ですがそれはひとまず棚に上げて)。熱意で過ちを許せる訳です。それと同じ(違うかな?)。逆にこの観点で感心したのは「泥棒にお仕置きした件」と「気球から落下した人がその後どうなったか」に言及したころ。無くても困らないがあると嬉しい福神漬け。これが観客視点に立つサービス精神であり「誠意」と考えます。全部が全部駄目って訳でもありません。もっとも同じサービスでも、女性2人を下着一丁にした点は評価しません。あんな中途半端なエロで満足するのは昭和の中学生男子くらいのもの。舐められたもんです。ただし製作国(キプロス)国内ならこれで大満足だとするならば、エロ飽食国の上から目線の難癖に過ぎず「正直すまんかった」とお詫びさせて頂きます。その場合はお手数ですがご一報ください。ちなみにビジュアルイメージ(DVDパッケージ)はかなりインパクトのある画ですが、喩えるなら「マトリックスでネオが弾丸を避けているシーン」に相当するもので、これ以上見栄えする箇所などありません。そんな「最終奥義」であり「必殺技」を初手から披露せざるを得ないあたり配給会社の苦労が偲ばれます。 長々と不平不満を連ねましたが、実は言うほど腹は立っていません。B級映画は基本何でも好きなのです。本作の結末直後から始まる続編があるならならば、きっと観てしまうと思います。たぶんサメ映画でしょう。もちろん加入しているサブスクで観られるようになってからではありますけども。
[インターネット(字幕)] 3点(2024-01-29 19:22:31)
62.  ナイル殺人事件(2020) 《ネタバレ》 
ミステリー作品です。ネタバレしていますのでご注意願います。  小説は未読。1978年制作の映画は鑑賞済み。犯人や動機は承知していましたが、トリック含めた物語の流れ等は覚えていません。そういった立場での感想です。リメイク版『オリエント急行殺人事件』の鑑賞時と条件は同じ。かの作品については「現代の価値観で捉え直す罪の意味」がリメイク意義と考えましたが、果たして本作どうだったのでしょうか。 1978年版と本作で決定的に違うのは、自身の犯罪が明るみになった後に犯人が取った行動です。オリジナルでは普通に逮捕されていた気がしますが、本作では自殺しました。一般的に犯罪がバレたあと犯人が取る選択として「自殺」は珍しくありませんが、こと本件にあっては違和感があります。金銭目当てで殺害計画を企てるような利己的な銭ゲバが、潔く死を選ぶとは思えない。少なくとも女の方は金銭目当てでは無かったのでないか。資産家女性に近づくところから始まっていた「金銭目的の計画殺人」ではなく、心変わりしたフィアンセを取り戻すために女が一計を案じたと推測されます。そうであるならば、妻を殺した時点で女の目的は達成されており、逃げる必要もなかった事になります。何なら男を殺してしまえば、永遠に誰に取られる心配もありません。あの男にそれだけの価値があるとは到底思えませんが、本作で定義される「愛」は「判断を誤らせ」「悲劇を生む」もの。物語冒頭の若かりしポアロと婚約者のエピソードについても同様の事が言えましょう。これが本作のリメイク意義「犯罪動機の別解釈」でありました。事象(表層)は同じでも味わいと余韻は全く異なります。1978年版で私が抱いたのは「女は怖い」であり、本作の場合「女は哀れ」でした。「男は人でなし」は共通していますかね。こんなふうに性別に言及した書き方をすると各方面から叱られそうですが、「本作の犯人の場合」という枕詞が付くのは言うまでもなく他意はありませんのでご容赦ください。ちなみに1978年版より本作の解釈の方が好みです。それにしても人種や恋愛対象が時代設定と合っていないのは如何なものでしょう(原作どおりだったら本当にごめんなさい)。「ジェンダー」やら「多様性」とやらに、こんなにも配慮しなくてはいけないものですか。「時代劇」にまで現代の価値観を当てはめてしまうのは流石にナンセンスと感じます。いっそ現代劇に置き換えれば良かったのに。まさか本作のリメイク意義が「ジェンダーレス」なんて事はないでしょうね。
[インターネット(吹替)] 7点(2024-01-22 18:30:00)(良:1票)
63.  サイコ・ゴアマン 《ネタバレ》 
80年代少年漫画でありそうなベタなファンタジー設定と、CG全盛の今となっては懐かしい「特撮」の相性や良し。50代の私にとっては、ある意味ノスタルジーに浸れる作品でありました。宇宙人(もはや怪人)のデザインは『真・女神転生』や『ベルセルク』あるいは日本特撮系アクションヒーロー悪者の系譜。コメディパートはシュールかつクレイジーで遣りたい放題。人物造形も気持ちがいい。特にミミちゃんとお父さん。好きな人には「たまらない」のは間違いなく、かくいう私にとっても「あざとい」と感じるくらいドストライクなB級映画でありました。ただし一般的には「なんじゃこりゃ」であろうことも想像に難くありませんが。 オチについて一考。宇宙を滅亡させるほどの力を持った(ホントかな?)サイコ・ゴアマンを世に放った点をどう評価しましょうか。これは「罠にかかった熊を可哀そうだから森へ逃がしてあげました」と同類なのか、あるいは「人知及ばぬ自然災害は諦めるしかない」なのか。おそらくどちらの要素もあるでしょうが、一切丸く収める気のない無責任な結末に痺れました。化け物に変えられてしまった少年の顛末についてもそう。せめてサイコ・ゴアマンに元に戻してもらうお願いくらいすればよいものを、ミミちゃんにそんな素振り全くなし。ヒトデナシが過ぎます。きっと「腹水盆に返らず」「悔いても仕方がない」「それなら前を向きましょうよ」なのでしょう。所詮他人事だからとも言えますが(ホントに酷い!)ブラックコメディとして正しい姿勢ですし、見方を変えれば「達観している」とも言えます。下品ではありますが、なかなかにハイブローでは。「好きな人にとっては」という注釈が付くものの見事な出来栄えだと思いました。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-01-19 19:47:19)
64.  M3GAN ミーガン 《ネタバレ》 
もし本作が『バス男』とか『トランスモーファー』なんてパクリ邦題をつけた配給会社に当たっていたら『ミーガン・プレイ』とか『AIの踊りを観せて』なんてトホホなタイトルを付けられていたかもしれない。これが一番恐ろしい。ところで『エイリアン2』のオマージュありましたか?
[インターネット(吹替)] 6点(2024-01-10 00:08:21)
65.  さかなのこ 《ネタバレ》 
世に数多存在するサクセスストーリーは「目標を掲げ」「弛まず努力し」「挫けず諦めず」「成功を勝ち取る」が基本です。その点本作は全く当てはまりません。好きな事を続けていたら人気者になれた話。メッセージは極めてシンプルで「好きなことをしよう」です。これは「自分らしく生きることのススメ」でもありました。『そんな綺麗事言ったって結局は成功者の自慢話じゃん』にならないのが素晴らしい。そのためにわざわざ本人(原作者)を登場させ「さかなクンが世に出なかった場合」もフォローしています。彼は不幸せに見えますか?人生の勝ち負けとは「お金」でもなければ「社会的地位」でもありません。楽しく生きた者勝ち。そこに出自や性別、健常性といった属性は関係ないのでしょう。とはいえ「お金は無くていい」「社会に認められなくていい」「好きなことだけすればいい」ではありません。ミー坊はきちんと報酬を受け取っていますし、魚の絵が評価されたのもTVで人気が出たのも社会のニーズと合致したから。よく伊集院光氏が師匠・三遊亭円楽の言葉として『好きなことに社会性を持たせろ。そうしたら食っていける』を紹介しますが、まさに本事例のこと。ただ残念なことに皆が実践できる生き方ではありません。「運」の要素は少なからずあります。実際ミー坊はついていました。彼の成功は「子の好きを肯定し続けた母親」と「よき理解者の助力」があったればこそ。とくに母親については(嫌な言葉ですが)「親ガチャ」と呼ぶくらい完全に運任せです。「あの母親にしてミー坊あり」なのは間違いありません。たぶん我が子の生まれ持った性質上「出来ないことを出来るようにする」は多大な苦しみが伴い幸せを遠ざけてしまう。それなら「好きなこと、やりたいことを全力で応援する」へ教育方針の舵を振り切ろう。そう決断したのだと思います。これは生半可な覚悟ではありません。「普通」を捨てることだから。もしかしたら離婚原因の一端では。そうだとしたら夫とお兄ちゃんは大変お気の毒ですが「腹を括る」とはこういうこと。母親はミー坊の幸せだけを願ったのです。その強い思いこそ「愛」であり、尊くもありますが恐ろしくもあります。 実は本編冒頭の「男か女かはどっちでもいい」でズッコケました。あぁ~しらきかと。そんな事は物語を通じて伝えればよい話で、わざわざ最初に断るなんて野暮もいいところ。あまり期待できないと感じました。ところがどっこい。もうずっと可笑しくて。本当に全部楽しかったです。それでいて寂しくなったり、辛くなったり、嬉しくなったり、グッときたり。大いに揺さぶられました。脚本が良いのは勿論ですが、それ以上にキャスティングが神懸っておりました。何といっても主演ののんさんが素晴らしい。ミー坊役がフィットする男性俳優さんなら沢山思いつきますし、雰囲気重視なら「もう中学生」もイケそう。それなのに、あえて役と性別が異なる女性俳優を選ぶとは。『福福荘の福ちゃん』じゃあるまいし。ある意味博打だった気がしますが、ジャンボ宝くじ1等級の大当たりじゃないですか。あえて「男か女かは~」と宣言した監督の気持ちも理解できるというもの。もう「のんミー坊」にゾッコンでした。自分のナイフは魚臭くなるから嫌だとか、ししゃもの種類で店員に酔って絡むとか、ミー坊が映る全シーン全カットに釘付けでした。破格の愛らしさとでも申しましょうか、人間性の「旨味」に溢れていたと思います。のんさん(能年玲奈も含む)主演作品は『海月姫』と『この世界の片隅で』を鑑賞済みでしたが、これほど魅力的な役者さんとは気づきませんでした。面目ない。替えが効かないオンリーワンな俳優さんだと思います。脇を固める皆さんも最高でした。友情厚い狂犬、実は気のいい総長、シャツの網目が広すぎるカミソリ籾、トホホなバタフライナイファー(そんな言葉はない)、胡散臭い成金?歯医者、憂い多きモモコさんに顔が優勝娘ちゃん、もちろん強くて優しいお母さんも。例外は先生(ドランクドラゴン鈴木)くらいかな。うそうそ冗談です。もう全員大好きです。やはりコメディはキャラクターが命。これだけ素敵な人を揃えられたら文句の一つも出てきません。奇を衒ったようにも見えますが、王道の人間賛歌であり愛の映画でありました。年明け早々こんなに長文になってしまい申し訳ありません。いつもはこの半分くらいを目安に感想を纏めるよう心掛けていますが今回ばかりは無理でした。それだけ「語りたくなる映画」という事でお許しください。本編も2時間20分もあることですし。
[インターネット(邦画)] 10点(2024-01-01 00:00:00)(良:1票)
66.  アイの歌声を聴かせて 《ネタバレ》 
令和の『鉄腕アトム』くらいのつもりで観たら、新訳『僕らの7日間戦争』いやいや別解『ターミネーター3』でしたか。嘘うそ。冗談です。とはいえ想像以上に考えさせられる物語で、本作をどのように捉えたらよいのか非常に迷うのは事実です。右脳(感情)で捉えるなら、シオンちゃんはウザくもありましたが親子愛の結晶として感じ入る点がありました。でも左脳(理性)を優先させると正直いって恐ろしい。取り返しのつかない事態に思えてなりません。そう「クマさん可愛いから森へ逃がしてあげようよ」案件と変わらない気がします。いや脅威レベルで言えばアンゴルモアの大王を天空に放ったようなものでは。下手すりゃ人類終わります。もっとも、現実世界でも何時だって終わりにする用意は出来ている訳で。そうか、もっと大局的にみる必要があるのかもしれません。世界大戦かウイルスか、はたまた巨大隕石か分かりませんが、いつか人類が滅びたときの後継者が誕生したハッピーバースデーと考えれば良いのかも。人類の意志を継いでいくのがシオンちゃんなら、それはそれで悪くない気がします。 以下余談。地元がロケ地になったとの噂を耳にし見覚えのある景色を探しましたが全く分からず。結局ネットで答え合わせをしましたが、流石にこれは分かる訳ありません。というか本当に其処で合ってますか?というレベル。島国日本ですから、海辺のロケーションは何処にだってありそう。もちろん聖地巡礼で来て頂くのは有り難い限り。地元唯一の映画館も盛況だったようで何よりです。ありがとうございます。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-12-29 18:21:48)
67.  見えざる手のある風景 《ネタバレ》 
ネタバレあります。ご注意ください。  エイリアンによる地球侵略を描くSF映画ですが、戦前戦中ではなく戦後の「経済侵略」や「文化浸食」を描くのは珍しいかもしれません。形態は人間の植民地支配と何ら変わりません。エイリアンは見た目こそ違えど内面は人間と同じということでしょう。奴らは「特異な価値観」を有し「コミュニケーション」が可能でした。言葉が理解できる分かえってタチが悪い。言葉が通じない相手なら気持ちを分かってくれなんて思わないのに。 人類が「主権奪回」のために戦った形跡はあるものの長くは続かなかった模様です。それはテクノロジー(戦力)の違いというより植民地支配が成功している証。手法は「アメとムチ」「生かさず殺さず」「同化させる」。その第一歩が「教育」にありました。かつての脳神経外科の権威はエイリアン専用運転手に成り下がり、同居人家族は誇りを捨てました。静かに、ゆっくり、確実に、人類はアイデンティティを奪われてゆく。見た目以上に恐ろしい物語でありました。人類に希望が残されているとすれば、主人公が見せた芸術家としての矜持でしょうか。彼が取った「愚かな選択」の中にこの支配を脱するヒントが隠されていそうです。人類が目覚めるのが先か、はたまた飼い慣らされ家畜に落ちるのが先か。かなり分が悪そうな戦いではありますが。 ところでエイリアンの造形はまるで寄生獣(原作:岩明均)でしたが何かしら影響を受けているのでしょうか?また奴らが人間の言葉を話す仕草が何とも面白い。手の動きはハエがモチーフですか?SFパッケージとしてユニークな装丁であり、独特なテンポを持つブラックコメディとして一見の価値がある映画だと思います。エンタメ的に凄く面白いかというとそんなことはありませんけども(失礼)。最後にタイトルについて。一般的に「見えざる手」とはアダム・スミスの『国富論』に由来する経済用語であり「市場における自由競争が最適な資源配分をもたらす」の意味だそう。あるいは「神の見えざる手」とも。難しい事は分かりませんが「自由な市場競争バンザイ」と捉えて良さそうです。でタイトル『見えざる手のある風景』に戻りますが、これは本編ラストカットをこれまで主人公が描いてきた絵画(奴らが言うところの人間芸術)に見立て、名づけられた表題でありました。要するに皮肉です。この荒廃した世界のどこに自由競争の恩恵があるんだよ。あんな気持ちの悪いお尻フェイスな生き物が「神様」では貧富の差は開くばかりじゃないか。一応体裁はSFですが、本質的には現代のリアルな巨大資本経済の弊害を憂いた風刺映画でありました。
[インターネット(吹替)] 7点(2023-12-26 18:21:58)(良:1票)
68.  アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち 《ネタバレ》 
本作はミステリーです。ネタバレありますのでご注意ください。  時は19世紀末。世紀の変わり目であり時代の転換期。精神医学においては黎明期でしょうか。舞台はイギリスのとある精神科病院。医学実習生=エドワード・ニューゲート氏を通じて当時の「治療技術」や「患者の置かれていた立場」といった「精神医療の現在地」が描かれます。其処には相対する視点がありました。医師と患者。あるいは常識とされる治療法と先進的なアプローチ。立場が変われば見方が変わり、価値観が変われば正義も変わる。観客は精神科講師の言葉「聞いたことは信じるな。見たことは半分だけ信じろ」を頼りに事象の真偽、そして善悪を見定めることになります。観返してみると最序盤から実に巧みなミスリードが施されており感心します。人は他者を記号化して認識するのですね。ミステリーとして上質で、最後の最後に明かされる「真相」は、はたと膝を打つ切れ味でした。果たして主人公は「何者」と評価されるのが妥当なのでしょう。狂人か詐欺師か、はたまた医者か。どの「半分」を信じるかで真実は形を変えるでしょう。エンディングは「酷い話だ」かもしれませんし「いやいやハッピーエンドだろ」かもしれません。どちらの受け取り方も間違いではありません。多角的な観方が可能な「奥行がある」物語で私の趣向に沿うものでした。ただし一か所だけ異を唱えたい点が。それは看護師役の少女の死について。彼女は何故殺されたのでしょう。本作を極めて単純化するなら「ラブストーリー」です。一目惚れしたあの人を探し出し添い遂げるまで。でもやっている事は狂気の沙汰ですし、倫理的にも完全にアウト。その不都合な事実をカモフラージュしロマンスの体裁を整えるために少女の死が利用されたのではないか。2人の未来を阻む障害を除去し、悪党(敵)を明確化してサスペンスを成立させる一石二鳥の仕掛け。彼女はドラマの都合で殺されたと感じます。このあたりがご指摘のレビュワー様もおられるように「安っぽい」と感じられる所以かと。結局のところ「不倫逃避行」という事実は変わりません。ならいっそ少女も連れて行けばよかったのにと思うのです。エピローグは庭園で踊る2人を見つめる少女の笑顔。一体この先どうなるのか見当もつきません。でも2人にそこまでして茨の道を進む覚悟があるなら、納得できた気がします。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-12-22 20:58:54)
69.  禁じられた遊び(2023) 《ネタバレ》 
ネタバレしています。ご注意ください。  主演は橋本環奈さん。ジャパニーズホラーで今最も引く手あまたの女優さんでしょう。可愛らしい顔立ち、高すぎない身長、ほどよい演技力(皮肉ではなく褒めています)。ホラーで重宝されるのも頷けます。美しい顔が恐怖に歪む様は、楳図かずおの恐怖漫画から抜け出して来たかのよう。さらに言うなら本作の演技プランは今までになく「盛り盛り」でした。何と言いますか「やってんな」という感じ。本来なら過剰な演技はマイナスですが、本作のテイストには丁度いい。そうトンチキホラーには、これくらい癖が強くないと負けてしまいます。ファーストサマーウイカさん、シソンヌ長谷川さんらバラエティ畑で活躍されている役者さんの好演も本作のトンチキ加減に拍車をかけていました。みんな発注どおり「やってんな」と。それはそれで悪くありません。 超能力を拠り所とする心霊現象という点で中田監督の出世作『リング』と類似設定を有する本作。しかしながら受ける印象はまるで正反対です。片や本格ミステリーホラー。片やトンチキホラー。これは物語の骨格の違いによるものでしょう。「呪い」をアカデミックに解釈したかの作品に対し、本物語の災は「浮気疑惑の揉め事」と「子どもの我儘」に集約されました。程度が低く、かつ傍迷惑。これは聞き分けの無い子どもが悪いのではなく、諫めない、叱れない父親が悪い。子が母親に生きていて欲しいと願うのは当然の話で、のこのこ生き返ってくる母親が悪いのです。しかも子を心配するでもなく、夫の浮気疑惑に執着するなんて筋違いも甚だしい。潔く死になされ。これがホントのモンスターペアレントでした。 騒動に対するオチの付け方は詰まるところドリフの爆発オチと同義。エピローグの脈絡の無さや節操の無さも含めて、つくづくトンチキだなあ思う訳です。『事故物件 恐い間取り』『“それ”がいる森』そして本作と、ここまでトンチキホラーを連発されるとむしろ清々しく、逆にアリなんじゃないかと思えてくるのが不思議です。もはや中田流トンチキホラーとして確固たる一ジャンルを築いた感さえあります。これは皮肉ではなく、わりと本気で感心しています。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-12-13 22:26:59)
70.  スイート・マイホーム 《ネタバレ》 
ネタバレあります。ご注意ください。  主人公の兄が言う「あちらこちら(家の天井や床下)にいる害なすもの」とは何でしょう。自分(兄)には見えるが、お前(弟=主人公)には見えないもの。一般的には「ネズミかゴキブリ」を連想すると思いますが、本件では本当に天井と床下に「害人」が居ました。この真相には脱帽!ネズミかゴキブリと大差ない点にも唸らされます。更に言うなら害人から発せられる「悪意」も害なすものに含まれるのでしょう。「憎悪」「敵意」さらに「背信」も。これらは人の命を奪う脅威となり得る恐ろしいものでした。厄介なのは、一見して判別できないこと。あの人の悪意は「親しみ」に擬態しましたし、かの人の「気遣い」は「嫉妬」に読み違えられました。残念ながら人は見た目に騙され易い。本物の悪意を見抜けず裏をかかれた主人公は大切な家族を失いました。もっとも最後に待っていた悲劇は主人公の身から出た錆。見なくてはいけないものは見えないのに、見せたくないものは見えてしまう皮肉。いや主人公の場合は現実から目を背け続けてきたのですから、見えないのは当たり前。溜まりに溜まったツケを払わされる時に破滅を伴うのは世の常と言えましょう。 冷静になれば「そんなわけあるかい」な設定ばかりですが、なかなか言い訳が上手い。空調の集中管理システムがネズミの生息を可能にすると。多分裏設定に「忍者の末裔」も隠されていることでしょう。知らんけど。そもそも「そんなやつに接客させるな(怒)」とも思いますが、慢性的な人手不足や日本の雇用制度を考えれば「無い話では無い」かもしれません。あな恐ろしや。 最後にひとつ確認を。主人公の兄を刺したのは誰でしょう。劇中では「あの人」ということで事件処理されていますが、警察のいうように所詮は「死人に口なし」です。悪意を見抜ける兄(大の男)が不覚をとる相手と考えれば、おそらく真犯人は「あの方」でしょう。いや「あの方」を狂わせた元凶を突き詰めるならば、最も責められるべきは言わずもがな。裏テーマは「不倫。ダメ、ゼッタイ」です。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-12-12 18:29:34)
71.  愛ちゃん物語 《ネタバレ》 
成長に必要なこと。良質な栄養を適切なタイミングで摂取すること。多過ぎても少な過ぎてもいけませんし、タイミングを逸してもいけません。また有害物・阻害物を取り除くことも重要です。農作物の場合は主に「水」「肥料」「農薬」を用いて品質管理をしますが、人間の場合も変わりません。ほったらかしでは育たない。しかも「心」と「からだ」両方の面倒を見なくてはいけません。考えれば考えるほど子育ては「無理ゲー」だなと思うわけです。ですから愛ちゃんを「箱入り娘」にした父親の気持ちは理解できます。とりあえず悪い虫が付かなければ安心ですから。でもこれで万全でないのは言わずもがな。もし愛ちゃんが父の課したルールを従順に守り高校生活を終えていたらと考えると・・・。女子高生の成長に必要なのは「おしゃれ」「お化粧」「門限破り」「友達とカラオケに行くこと」で合っています。たぶん。とりわけ心の栄養は「経験を積むこと」「様々な価値観に触れること」で供給されます。もちろん「良いもの」だけを選べればベストですがそれは無理。そもそも何が「良い」かも分かりませんし。ですから「一般的なこと」を「しかるべきタイミングで」「きちんと経験しておくこと」が心の栄養のリスク管理的に適切と考えます。そういう意味で聖子さんとの出会いは僥倖でした。愛ちゃんは良きタイミングで箱から出られたと思います。亡きお母さんの愛情が、聖子さんを通じて愛ちゃんに届いたのかもしれません。 主演は坂ノ上茜さん。BS-TBS『町中華で飲ろうぜ』の『伝道師』としてお馴染みの元気娘。もちろん成人しており実年齢と役柄との年齢差は10歳程度かと。よく見れば成熟していますがこの程度なら許容範囲でしょう。顔立ちも可愛らしい童顔なので全く問題ありません。一方女装家の聖子さんを演じたのは黒住尚生さん。劇中の設定だと愛ちゃんの母親と同級生ですが全然そうは見えません。愛ちゃんより少し年上くらいでしょうか。実年齢は2歳差だそう。つまり坂ノ上さんは10歳若くサバを読み、黒住さんは20歳ほど老けサバを読んでいる計算になります。同年代の2人が同一方向へサバ読んでいるならいざ知らず、反対方向にサバを読んでいるため違和感が半端ありません。この年齢差は女装メイクで誤魔化せる範囲を超えていました。だから「キャスティングに難あり」と言うつもりはなく、聖子さんから「母親の同級生」という設定を無くせばいいだけだと思います。それで物語から深みが消えるわけでもありません。2人以外の役者さんについては「難あり」かな。あるいは「味」かな。演技がちょっと気になる人もいるかと思います。 ポジティブ且つライトな少女の成長物語。不穏な展開になる要素を孕みつつも、コメディテイストが強めに効いており終始心穏やかに観ることができました。最近ストレスフルな事ばかりだったので、今の私にとっては「丁度良い塩梅」の楽しい愛のお話でした。6点と7点の中間くらいですが、伝道師加点で繰り上げとします。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-12-09 18:59:17)
72.  PROSPECT プロスペクト 《ネタバレ》 
フォーマットは典型的な「トレジャーハントアドベンチャー」。「秘境」から「辺境惑星」に舞台を変え、SF要素が加味されています。様式は王道ですから一定レベルの満足度は担保されているようなもの。あとは如何に旨味やオリジナリティを出せるかが焦点でした。折角のSFですから、まずは設定勝負でしょう。この点は「優」と判断します。アナログ風味のテクノロジーは往年のSF小説の世界。武器(銃)の性能も強過ぎず程よく不便なのがいい。惑星の環境は『ナウシカ』の腐海を彷彿とさせます。お宝は生物の分泌成分の結晶かな。よく分かりませんが価値はありそう。既視感はあるものの、世界観はきちんと構築されておりSFの雰囲気抜群でした。さて、肝心の物語はどうでしょうか。主人公は少女。父を殺した仇と協力して惑星から脱出を試みます。なかなか「そそられる」イントロではないですか。ただどうにも展開不足でした。脱出ポッドを目指す道中には自然環境の脅威なし。野生生物の襲来なし。唯一の障害は惑星に住み着いてしまったとある家族。精神を病んでいたものの凶悪でも武闘派でもありません。結果アッサリ2人は最終目的地まで到達しました。うーん淡泊な。人物造形も同じく。キーパーソンのエズラは仇であり恩人でもあり。その正体は悪人?善人?彼の人間性を際立たせることでドラマに深みが出たはずですが「結果的に悪い人ではなかった」程度の描写に留まっています。いや、もうちょっと掘り下げて欲しい。勿体ないです。結末について。主人公のプロスペクト=展望は開けたのでしょうか。「トレジャーハントもの」の流儀に則れば、主人公のポケットには一つや二つお宝は入っているはず。毒親から解放され借金も帳消しになったのだとすれば、彼女の未来は明るいかもしれません。修羅場を潜り抜けてきた少女の笑顔は「命あっての物種」だけではなさそうです。エズラを殺さなかったのも良ポイント。という訳で物語の評価は「不可」ではないものの「可」止まり。総合評価も「良」には届かず「可」と判断します。 劇中のロケーションはほぼ森林。塵が舞うエフェクトのみで辺境惑星であることをアピールします。本来なら未知の生物とか出したいでしょうに。低予算なのは明らかでちょっと可哀そうなくらいでした。展開に乏しいのもこの辺の事情が影響しているのかもしれません。B級SFとして光る欠片はあった気がしますが、よく見たらダイヤモンドではなく石英でした。そんな映画。採点は5点相当ですが、シーちゃんの凛々しい眉毛に+1点とさせて頂きます。
[インターネット(吹替)] 6点(2023-11-29 20:15:53)
73.  メランコリア 《ネタバレ》 
「ネタバレのイントロダクションなど不要!」と言いたいところですが、『100日後に死ぬワニ』方式の演出と捉えれば納得できます。何気ない日常も「まもなく地球が消滅する」枕詞が付けば別物に変わる。実際ジャスティンの態度は一般的なマリッジブルーの症状と何ら変わりなく、彼女が抱えていた「憂鬱」の正体を知らないままでは、詫びも寂びもあったものではありません。真実を見通せる能力を持つ彼女いわく、地球は宇宙で唯一生物が存在する惑星とのこと。我が身可愛さで嘆くような次元の話ではなく宇宙規模の大事件。「イチからゼロ」に変わる運命の瞬間が迫っているのだとしたら憂鬱度も一層増すというものです。とはいえ地球が消滅しようと自分だけが死のうと、自意識レベルの結末は同じ。たぶんジャスティンは「大して変わらない」と思い、クレアは「全く違う」と認識している気がします。人間らしいのはクレアの方。一方ジャスティンは「悟りの境地」とも言えますが、真実を誰とも共感し合えない孤独の先に行き着いた心境でもあり、どこか哀れに思えます。彼女が最後に考えたキャッチコピーが「無」というのも、さもありなん。 終末世界を描く映画の中では刺激度はかなり低めだったと思います。暴動や略奪、集団自殺なんて物騒な描写はありません。これは民衆に破滅が予告されていなかったせいです。もちろん天文学者がこの結末を予想できないはずがなく、各国政府が事実を隠蔽していたと推測されます。しかしこれは「嘘も方便」の類。こんな時に「知る権利」が発動していたら地獄絵図は不可避でした。唐突に、抗う術がないから救われる。それが「死」の本質という気がします。ここから尊厳死の意義について考えるのは飛躍し過ぎでしょうか。木の枝で組んだ魔法陣は気休めの象徴。大した覚悟も無く迎える最期というのも悪くないのでは。 私が今まで観てきたラース・フォン・トリアー監督作品の中では、最も「観易い」映画でした。鬱度はさほど高くありません。ただこの監督の場合、これが誉め言葉にはならないのがユニークなところ。貶しているつもりはありません。でも些か冗長だったとは思います。大監督が制約無く創った芸術作品とでも申しましょうか。歓迎すべきなのでしょうが、多少制限があった方が客観的に「良いもの」が出来たりして。「名作は2時間超が当たり前」の風潮ですが、2時間以内に収めてくれていたら8点でした。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-11-28 19:29:49)
74.  奈落のマイホーム 《ネタバレ》 
子供の頃からずっと「絶対に笑ってはいけない避難訓練」を叩き込まれ育ってきたせいか、災害時のコメディを「不謹慎」と感じてしまいます。これは同じ災害系コメディでも『サバイバルファミリー』ではなかった感覚であり、停電より巨大シンクホールの方が「より命に関わる」という事でしょう。そりゃそうだ。とは言うものの、慣れてくればこれはこれで悪くありません。「後ろめたさ」がむしろ清々しいくらい。全く人命救助になっていない「息子の泥沼ダイブ」もコメディの範疇と捉えれば腹も立ちません。そう、コメディはある意味「無敵」です。どんな無茶な展開もまかり通るのですから。いっそのこと、大災害でも死者数ゼロの奇跡が見たかったなあと。正直、犠牲者が発生した時点でテンションが下がりました。まるで連勝記録が途絶えた時の落胆とでも申しましょうか。終盤は一般的なサバイバルドラマへ移行してしまったようで少し残念でした。にもかかわらず結末に採用された脱出方法は「奇跡」というより「嘘」。減圧症(潜水病)は無視ですか。どんなデタラメだってコメディなら許されるのに。やはり本作は、コメディに拘って欲しかったと思います。基本的には「面白い」だけに勿体ないと感じました。
[インターネット(吹替)] 6点(2023-11-23 03:42:04)(良:1票)
75.  ドント・ハングアップ 《ネタバレ》 
奇を衒った設定や展開は要らない。予想通りが最高な映画があります。ラブコメ、人情喜劇、あるいはシリーズ映画等はこれに該当する事が多いような。具体例を出すなら『男はつらいよ』『釣りバカ日誌』。料理で喩えるなら『生姜焼き定食』や『ラーメン半炒飯』『サバの味噌煮定食』、、、ああキリがないや。井之頭五郎がいうところの「こういうのでいいんだよ」というやつです。しかし『サスペンス』や『ミステリー』に「こういうのでいいんだよ」はありません。ましてや本作はシリーズ映画の続編でもありませんし。観客誰もが想像する「きっと真相はこんなところだろ」そのままというのは如何なものか。軸となるプロットは「復讐劇」だとしても、そこからもっと構想を練り込んで欲しいのです。サスペンスミステリーの醍醐味は予想の裏切りにあると考えます。それが観客の期待に応えることではないかと。この脚本では物足りません。言い方が適切かどうか分かりませんが近年の『世にも奇妙な物語』のクオリティ。復讐劇のカタルシスだけで成立するほどサスペンスというジャンルは甘くないと考えます。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-11-18 23:54:04)
76.  バーバリアン 《ネタバレ》 
観終えた直後「やばいよね。これ完全にきちゃってるよね」と思わずハローバイバイ関のモノマネが口を付きました。恥ずかしい。でも正直それくらい「やりすぎ」な映画だったのです。序盤はA級サスペンスの趣を醸し出していただけに、終盤怒涛の「なんじゃこりゃ」展開に茫然自失でした。あるいはコメディと捉えればよいのかもしれませんが全く笑えません。むしろ胸糞です。カテゴリー的にはホラーでもサスペンスでもなく「珍品」が相応しいかと。この単語にビビッと来た「Z級映画マニア」の方は観て損はないかもしれませんが、当然得もありません。以下は私の「もやもや」を吐き出したもの。ネタバレしていますのでご注意ください。 おそらく物語の下敷きとなっているのは『クライモリ』と思われます。舞台を森林から住宅街へ。一般住宅の地下に潜んでいたのはバーバリアンでした。これが地底人とか宇宙人ならぶっ飛んではいても許容しますが、野蛮人って何なのさ。彼女は愛情も教育も受けられなかった被害者でしょうに。おぞましい「実験」の末に生み出された哀れな怪物であり、境遇的には「ジェイソン」や「レザーフェイス」より「フランケンシュタイン」に近いと考えます。それならそれで「悲しきモンスター」路線で物語を進めてくれればよいものを、あり得ない怪力やら物理法則無視のトンデモ描写で観客を煙に巻きます。「建物から落下する人を追いかけて後から飛び下りたはずなのに、なぜか先に地面に着地していた」は「ヤツの前で階段を登っていたと思ったら、いつの間にか降りていた」と何ら変わりません。まさに「何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのか分からなかった」ポルナレフ状態であります。ほんと無茶苦茶ですよ。何より狂気を感じるのは、本作が『ディズニープラス』から配信されていること。メッセージは「民泊なんて危ないからやめておけ」で間違いありません。
[インターネット(吹替)] 2点(2023-11-11 13:52:28)
77.  探偵マリコの生涯で一番悲惨な日 《ネタバレ》 
「朝から晩まで」あるいは「24時間」のお話かと思いきやさにあらず。また宇宙人捜索の依頼から始まる現在進行形の数日間の話でもなく。タイトル「最悪な1日」とは回想シーン(過去エピソード)の中に在りました。幼いマリコが父を手に掛けた日。この日を境にマリコの生き方が決定づけられたと考えます。心優しきニンジャのお陰で自死は免れたものの、ずっと金縛りの人生。いや自らに懲役刑を課したのかもしれません。歌舞伎町はマリコにとっての牢獄でした。多分本人はそれなりに愉しくやっているつもりでしょうが、傍から見ると不憫でなりません。もう罰は十二分に受けたでしょう。宇宙人の帰還は旅立ちの示唆。ニンジャの蘇生は「生まれ変わり」のススメ。マリコには好きな所で自由に生きて欲しい。私が親ならそう思います。 「探偵」と銘打つほど探偵業のシーンは多くはなく、専らマリコと周りの人々の悲喜交々、いや悲哀や惨事が描かれていました。一部コメディ風味ではあるものの、エグいエピソードの連続で正直居畳まれません。救いや希望があるわけでもなし。ブラックコメディというよりは、胸糞コメディ。これは大変に難しいジャンルです。例えば渥美清クラスの主役であれば「個の力」(カリスマ性)で『よく分からないけど結局いいお話だった気がする』マジック発動が期待できますが、伊藤沙莉さんにそれを望むのは酷というもの。そう、現時点では。将来的には樹木希林さんを凌ぐような怪優になって欲しいと密かに期待しておりますけども。 観る人を激しく選ぶ映画なのは間違いなく、伊藤沙莉さん&竹野内豊さんの好感度オバケコンビの楽しいコメディドラマを期待すると酷い目にあうのは間違いありません。どうぞご注意ください。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-11-04 22:53:42)
78.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
正直「そこまでやるか!?」と思いましたが、これが山崎監督の出した『最適解』なのでしょう。傑作『シン・ゴジラ』の次という『貧乏くじ』を引き受けた監督の並々ならぬ覚悟というか自棄糞というか、兎に角凄い「心意気」をしかと受け取りました。ドラマチックはリアリティを凌駕する。大・大・大拍手です。ただ、オチの付け方に注文を。首筋のアレは個人的には必要なく、エンドクレジット前の数秒のシーンは絶対に要らないです。
[映画館(邦画)] 9点(2023-11-04 12:20:00)(良:2票)
79.  ノック 終末の訪問者 《ネタバレ》 
ネタバレしています。ご注意ください。  一般的なホラーであれば、オチでもうひと捻りあるものです。全てが終わった後4人が乗ってきた自動車の中から証拠が見つかり、奴らがイカれていた事が判明する流れ。「誇大妄想」あるいは「我が身を犠牲にした異常な復讐」あたりが相場でしょう。当然パートナーは死ぬ必要がなかった事になります。後味は最悪ですがこれがホラーの定番であり流儀と考えます。しかし本作は捻りなくあっさり幕を閉じました。4人の主張の信憑性を裏付けて終わり。このある種の「すかし」は「本作はホラーにあらず」を意味していたと考えます。バイオレンス描写は目くらまし。物語の本質は「人間の性(さが)」を問う濃厚なヒューマンドラマでした。もう少し言及するなら、本当の主人公は誰かという話。ぜひ4人の立場に自身を重ねて想像してみてください。自分でさえ信じられない支離滅裂な話を赤の他人に理解してもらい、尚且つ「できるはずのない決断」を「絶対にしてもらわなければならない」絶望感を。彼らもまた被害者です。私ならきっと重圧に耐えらず逃げ出していたでしょう。でも4人は真摯に使命と向き合いました。それだけでも尊敬に値する人間に違いありません。そう邦題は『シン・ミッション:インポッシブル』が相応しい。こんな「意外なオチ」の映画、シャマラン監督以外つくれないと思います。
[インターネット(吹替)] 8点(2023-10-30 18:51:08)
80.  HOSTILE ホスティル 《ネタバレ》 
「伝染病により人類はほぼ死に絶えた」「人を襲うクリーチャーがいる」終末世界の設定は映画情報サイト等で開示されています。しかしながら劇中で世界が滅んだ背景の説明はありません。「伝染病」なんて言葉は出てきませんし、クリーチャーの正体についても言及なし。ただ、最後に主人公がとった行動から次の仮説(ストーリー)を導くことは出来そうです。「主人公の夫が巻き込まれたバイオテロは後に人類を滅亡に追いやる伝染病の発火点であった。さらにこの伝染病は人を別の生物(クリーチャー)に変化させてしまう恐ろしい性質を持っていた」さらに「伝染病はゾンビでお馴染み血液感染ではなく飛沫感染であることが疑われ」ゆえに「変わり果ててしまった夫と偶然再会した主人公は、濃厚接触により自身の感染は免れないと観念し愛する者と共に死ぬ道を選んだ」結末を額面通りに受け取るならこんな感じかと。ただクリーチャーが偶然夫であったというのは奇跡が過ぎますし、どうやって夫と認識できたのかも謎です。印象的な痣があるとか、仕草や癖で見分けたというなら話は別ですが。という訳で結末を素直に(ロマンチックに)受け止めるのは無理があると感じました。そこで別解釈の「真相」を2つ提案します。①クリーチャーを夫と見立て自殺した説。主人公は足を骨折しました。仮に助かっても今までのように物資調達の仕事は無理でしょう。さらに救助を依頼してもすぐには行けないという返事。必要とされず足手纏いになるくらいなら死を選ぼう。どうせ死ぬなら愛する人と共に。クリーチャーが夫かどうかは問題ではなく、そう思い込む事に意味があったと考えます。②そもそも世界は滅んでいない説。子を流産し、夫をテロで失った主人公の精神は崩壊しました。滅んだのは文明ではなく主人公の心の方。回想シーンが多いこと、週末世界の状況が不明瞭なこと、登場人物が異様に少ないこと等もこの説を裏付けます。主人公は再びドラッグに溺れた。要するに今際の際に見た悪夢という解釈です。流石に飛躍し過ぎだと思いますが、こんな突拍子もない仮説を出したくなるくらい世界の作り込みが甘いと感じました。設定が命の映像研の浅草氏なら怒り狂うレベル。「解釈に幅がある」や「余白が多い」と「作り込みが甘い」は似て非なるものと考えます。終末サバイバルアクションと切ない系ラブストーリーの融合。アイデアは面白いですが、壮大な世界観や構想に見合った脚本とは言い難く、多分に監督の思いが先走ってしまった印象を受けました。 最後に本作のビジュアルイメージ(ポスター、DVDパッケージ等)について。2種類確認できました。ひとつは主人公が仰向けになりながら銃を構えるもの。キャッチコピーは「世界大絶賛のサバイバルアクションムービー」もうひとつは主人公がクリーチャーと抱き合うもの。キャッチコピーは「これは異形との恐ろしくも悲しい愛の物語」どうですか。痺れませんか。二つ目なんて酷いネタバレです。本来ならクレーム殺到案件のはずですが、こういうセールス法を選んだ気持ちも分からないでもありません。「サバイバルアクション」として売り込むには長所が見当たらないということ。それなら意外なオチを開示して興味を引く方が賢いと。いずれにしてもセールスポイントが一貫していない時点で、販売元の作品に対する「信頼度」の低さがうかがえます。本当に世界大絶賛ならば、こんな事にはならないはずですが。
[インターネット(吹替)] 5点(2023-10-26 19:14:30)
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