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黒猫クックさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 791
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自己紹介 猫と一緒に映画を見ていると、ヤツらは私より先にコイツはクソ映画だというのを察知します。ストーリー展開や伏線回収が怪しくなってくると席を立ってしまうのです。だけどそんなおっちょこちょいな映画にだって良いところはいっぱいあるんですよ。
猫のヤツらは冷酷です。

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61.  南極料理人 《ネタバレ》 
「食べ物を粗末にするんじゃ無い」  爺さんは僕にいった。なんて事をするんだお前は、と、大好物の鶏を猫に与える孫をにらみつけた。人間様の食べ物は人間様が食べるのであって、猫様には猫様にふさわしい食べ物がある。彼の言いたいことはしまいには大義名分になって、僕の棒々鶏は取り上げられてしまった。脇の甘いところを見せた孫に一発良いのを入れられたことで、なにやら上機嫌でもある。  いやだって猫も時々は美味しいものを食べたいんじゃないでしょうかと言い返すも、テレビに見入ってしまった彼は全く聞いておらず、そうだねーうん、などと一モルも理解していない生返事をよこした。   南極で辛苦を共にする八人の隊員は、自分の仕事を大切にし、誠実に向かい合いつつも観測所での食事を楽しみにしていた。食事に見せる変な、他の言葉に何となく置き換えたくない、変な執着が耐えがたい極寒をイベント程度の日常に変えてしまっているかのようで見ているこちらは楽しくもあったのである。  事件らしい事件が起きない随筆の様なこの映画で、八人が起こした最大の凶行に僕の目は釘付けになってしまった。伊勢エビ。豪華食材である伊勢エビを、身では無く殻に風味が詰まった高級魚介をよりによってフライにしてしまった彼らは、やりきれない食卓の上で転がらない会話を無理にでも放り投げていた。   あのさ爺さん、「棒々鶏だけどさ、ほんの少し僕の分をニャン吉にあげて僕はその分は食べたつもりになって満足で、ニャン吉も満足なのでは?」どうよ、と次の日にもう一度訊ねる。 「そうなの?」まるで覚えていないが、あああのことね程度に孫の相手をする。 「いや、そうではないんだ。戦争中は敵地で食べ物というもののありがたみがあった。戦争が終わったら今度はありがたい食べ物そのものが無いんだ。物理的に手に入らない。戦争中の方がましなくらいだ」なにやらまじめに答える祖父に、意外性すら感じた。  だから、満足がではないんだと言う。お膳に上がったものだけじゃ無くて、お膳に上がる前の食べ物にだって礼儀を払いなさい、と。  伊勢エビを見て、ただ大きいからやりたいと言うだけでフライにしたがる大の大人たちはこの言葉を思い出させた。   が、そう言えば祖父は海軍学校でタダ飯を喰い、終戦直前に軍服を着て写真を撮ったら戦争が終わっていたなどと舌長であった。油断ならない男である。
[地上波(邦画)] 8点(2013-05-09 20:08:01)(良:1票)
62.  魔女の宅急便(1989) 《ネタバレ》 
 自分の中にあったはずの何かが、それが何だったのか自体分からないが何かを失っている。全く不意の大きな喪失感。大切にしていたそれは突然消えてしまった。それでも日々は続いていくし、取り戻せるかもしれないし、向こうから戻ってくるかもしれない。もしかしたら克服しなければならないようなドラマチックな出来事だって起きないかもしれない。何となくおそれていること。そんな子供の頃の記憶を呼び起こさせる。   昔のジブリの作家性の強さにもう痺れまくったものです。結構ホントに小さい頃は神様がいて、不思議に夢を叶えてくれたと思っていた口なので、かなり優しい気持ちになれる。猫の宅急便と呼んでいて、色々混ざってしまっていたのをクラスメートに指摘されて顔が熱くなったときのことを思い出せたり、良い話です。
[ブルーレイ(邦画)] 9点(2013-05-07 20:53:02)
63.  CHiLDREN チルドレン 《ネタバレ》 
 映画は映画、本は本。いつもそうは思っているのだが、やはり本の方を読んでしまっていると驚きや意外さというものは半減してしまうことが多い。これは当たり前なのだが、やはり本がおもしろかったりするとどうしても映画も観てみたくなるのは人情では無いだろうか。  で、この話もそうだったのかというと必ずしもそうではなく。本の方はびっくりするほどおもしろかったと言うほどでは無く、微妙な味わいだったと私は感じた。要注意であるが、私は感じた、と言うだけであって万人が微妙だったと感じるかどうかは微妙である。これの前に同じ作家の「砂漠」という小説を読んでいて、これが大層おもしろかったからである。始めにこちらのチルドレンを読んでいれば大層おもしろかった可能性は高い。   そういう訳で、映像化されたらとんでもなく面白くなってしまうかもしれない期待をしつつDVDを借りてきた訳だが、非常にこぢんまりとまとまっていて凄く面白い二時間ドラマくらいの感じかなと思ったら、実際にそうだったらしい。   静かに演じる俳優たちが、実に味わい深くて見終わるのが何となく惜しいと思わせる感覚は原作作家の味わいそのままで、何となくウキウキしてしまった。
[DVD(邦画)] 6点(2013-05-07 20:44:18)
64.  大いなる西部 《ネタバレ》 
 子供の頃。世話好きな爺さんは近所のもめ事に首を突っ込んではああでも無いこうでも無いと色々な事を僕に言っては聞かせていた。お祖母さんはそんな事をしたがる祖父にいつかやけどをするわよ、やめなさい。と慎重派であった。 「まああれだな。双方に原因がある場合は下手に割り込まないことが大事だな。良いか」孫よ。と、得意げだったのを思い出す。   昼下がり、麦茶をたっぷり入れた水差しと、ドラえもんの偽物が堂々と印刷されたお菓子をこれでもかとお盆に載せ、お茶の間に持ってきた彼は私にグラスをさあさどうぞど差し出しながら、始まろうとしている西部劇について滔々と語り始めた。ふんふんと良い聞き手に徹する孫は、肝心なところで粗筋を漏れなく先に言ってしまう祖父をたしなめながらマンガと自由研究と大いなる西部の何とも言えない乾いた大地を行ったり来たりしている。  縦横無尽に世話を焼くグレゴリーペックを二人眺めながら、 「男前ですな」 「西部の男はこうでなくてはいかん。見本にするように」  などとカットされて猛烈な勢いで進んでいく、暑い昼下がりであった。   ぽすんと膝にスナックの袋をたたきつけて、夢中でスナックを食べ続ける爺さんに、それは食べ過ぎですよと台所の方から声が聞こえる。 「もう十本くらい買っとくべきであった、百円だし」と孫の同意を求めながらペースアップする祖父に胸焼けを隠せない孫であったが、物語はクライマックスである。主人公の努力は何だったのだろうかという勢いでいがみ合う両家は決着を拳銃でつけることになる。 「この男の男前さはこれで台無しである」  と、全滅する両家を見ながら何故か鼻息が荒い爺さんに孫はこう言った。 「あのさ、止めようがなかったらこうやって死んじゃうんだよ。暴力はだめだし、そもそも諍いに首突っ込んでこの人死んでもおかしくなかったんじゃ無いの?」  まあそうなんだけどさ、とたじろぐ爺さんは、家事を終えて隣に座る彼の妻に、田代さんと藤原さんが境界のフェンスで揉めているんだ、そうそうそう言えばと即座に話題を変えて孫をひらりと躱す。  世話を焼くのは一種の娯楽であろうか。正義感の大小と行動力とユーモアの差異がグレゴリー・ペックと爺さんの境界線なのかもしれない。外見は置いておくとして。   それと、決着をつけるって腹痛が痛いみたいな言い回しだなと思ったとか思わなかったとか。
[地上波(吹替)] 7点(2013-05-07 20:24:48)
65.  ダーティハリー3 《ネタバレ》 
 結構社会的な雰囲気を映像や脚本に投影していると思われ、狙い所がかなりビシッと良い感じに面白い方向にフォーカスしている。時代的にメチャクチャな人間として描かれているハリーが実は西部劇の堅気の人的な人格で、キャラクターとのそのマッチングが上手くいっていない様が今度は悲壮感や空疎さではなく、滑稽な方向へと軌道修正されたせいで味わい深い作品になっている。   同年のアウトローと比べると明らかに引けを取る本作ではあるが、なかなか楽しめる。変なリアリティと馬鹿馬鹿しさ、フィルムの色彩が生む異様な世界。地味な風景とキャラクター達が作り物の線を越えそうな奇妙さは七十年代ならではの良さだと思う。   一歩間違えると狼よさらばの続編たちみたいになってしまうのだが、ギリギリではありながらそうならずに割ときちんとダーティハリーとしてまとまっているあたりに拍手したい。   でも別に狼よさらばが悪いって言ってるんでは無い。
[地上波(吹替)] 7点(2013-05-06 05:02:12)
66.  ザ・コア 《ネタバレ》 
 どこから突っ込んで良いのか分からないほどの穴が満載されていて、覚悟を決める必要がある。時間が無さ過ぎて、展開が早すぎて、突っ込みきれないからだ。  地球のコアが止まった、出撃だ、掘るぜ掘るぜーってどっかで見たような気がしないでも無いのだが、もうちょっとさ、何とかしようよ。   これも別の監督が撮ったら良かったのにな。僕らの閣下が撮ってくれればもうちょっと何とかなった等と思ってしまう。
[地上波(字幕)] 5点(2013-04-30 04:26:31)
67.  お葬式 《ネタバレ》 
あーあるある。 と言うとネタバレになる。もの凄い仕掛けだと思う。
[地上波(邦画)] 6点(2013-04-30 04:09:25)
68.  ザ・ライト -エクソシストの真実- 《ネタバレ》 
 信仰心と精神病とのバランス。これが崩れてしまうんだろうと思う。自傷行為やオカルトなセリフを吐いたりするのも、どこかで頭の中の情報がバラバラになっているからなんだろう。でも、否定はしない。何度も何度も神父とのカウンセリングで改善する事や、医療との組み合わせで良くなったりする事もあるとの事だからだ。  それだけにあの神父のていたらくには笑ってしまった。電話位切れ、病院位手配しておけ。宗教的なカウンセリングはそれからでしょう。   映画的な面白さを作り出そうと無茶な状況にしたがために、キャラがただ頭の悪い人間になってしまうという。とても残念だ。
[地上波(字幕)] 6点(2013-04-30 04:06:35)
69.  ボーン・コレクター 《ネタバレ》 
 おごりと言われて食べ放題の焼き肉店に入り、これでもかと色々なメニューを注文して最後にお腹いっぱいになる。必要以上に。  それぞれのメニューは標準的なそれよりも少し美味しくなくて、いっぱい乗っかっているお皿が嬉しいというイベントのようなもので、かというと満足度は低くないのだが、こんなだったっけという気がしないでも無い。  この映画もそんな感じだろうか。  何かニコ一三コ一の鬼盛りで結構お腹いっぱい。だけど満足度はそんなに低くなくて、それでも物足りない。けどお腹いっぱいでもう入らない的な。
[地上波(吹替)] 6点(2013-04-30 03:59:34)
70.  アルゴ 《ネタバレ》 
 画面の中で暴れるイランの民衆。彼らは普段は店主で有り店員で有り、彼らの世界の一住人である。しかし、アメリカへの元国王亡命が彼らの暴力的な心に火をつけた。大使館の門は破られ兵員を含む人質が一年半拘束されるテロリズムへと発展していくのだ。   20世紀までは西側での論調はこうだった。 「アメリカの搾取が民衆を苦しめていた。アメリカが悪い」  しかし、テロリストにも事情があって可哀想だから、アメリカが悪い。あくまでも悪い。という理屈もネットの普及で実態がバレてきた。 「アメリカやイギリスのビジネスは、当事国関係者に害を与えているだろうか。何故人命や人生を踏みにじるのか。オフィスの仲間でも無いのに何故被害者ぶってるんだ」と。  中東での石油ビジネスによる富の分配は、国内政府が行うべきで中東で良くある事だが、怠った。産業が無いため、アメリカを憎む事を余った時間で繰り返した。   石油ビジネスの搾取的外観は存在するが、この暴動に加わった民衆のうち、西側先進国のビジネスに関与していた人材がどれだけ居たかという事を考える。テロリスト達には全くの無関係で、国策の利益配分をしなかったのは当事国の選択である。鬱屈をアメリカ国民の責任にして、神の名の下に捕まえたその辺の人を処刑する。こんな人間は間違いなく労働力市場で無価値である。映画でこれが主張される事はまだ無い。   庶民が革命軍と言う名のテロリストにそそのかされてテロリズムを楽しんでいる。実態としてはこの様なもので有りそれ以上では無い。国の運営に参加しているような陶酔感が原動力だ。  石油ビジネスを必要以上に搾取に結びつけてテロリズムの言い訳にしているのだ。この理屈だとガスが安価でなかったら我々はアメリカ大使館を焼き討ちしなければならないのだろうか?シェールガス関連の産業に就いていない我々にそれは関係のある事だろうか?どうでも良い事で有る。  彼らは彼ら自身の人生を享受すべきで、政治的な要求なら米政府にでもはがきを送れば良かったのだ。読まれなければその程度である。  国王が贅沢してるから昼休みに近所のアメリカ人を殺しても良かったが、一年半監禁してリンチしただけで殺しては居ない、我々は可哀想だ。どうしてこうなった。   だが、こうやってアルゴのような冒険的な救出劇が産まれ、やっぱりおかしいよねーと再認識されたりもする。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2013-04-30 03:26:21)(良:1票)
71.  007/スカイフォール 《ネタバレ》 
プロジェクトチーフは私にこう言った。 「最新の機材だの、ソフトだの技術だのはとりあえずはどうでも良い。どうやってやっつけるかは好みの武器の使い方を一つ身につけてから考えろ」   あの日、処理しても処理しても尽きないトラブルに巻き込まれながら、横目に隣のチーフを覗う。先のプロジェクトリーダーから引き渡された機械のアセンブリを解析しながらいつもの冷静な横顔を崩さないまま、両腕の動きははとめどない。  目を私自身が扱う部品に戻そうとしたとき、彼の額の汗がこの後のベトナム戦争のような泥沼を暗示していた。この不良品の開発を引き渡された瞬間、彼はこのプロジェクトチームが組織内で既に廃棄されたものと理解したに違いない。そして、自分自身が廃棄場にやってきてしまった事に気付いて慄然したことも想像に難くない。  しかし、彼は冷静に言う。一つ一つを雑に扱った事で起こったトラブルのリカバーは最初から丁寧にやるよりもずっとやっかいだ、と。そして合わないつじつまを一つ一つ回収し、解きほぐしていく。   いつもであれば美女とセックスして、自分以上にトロい敵を間抜けな新兵器で撃退していく。今回の事件もそうなるはずだった。しかし、アメリカ映画の流行において行かれてはまずい。本部が壊滅し、主要な武器も取り上げられてテロリストに蹂躙されなければならない。007にとってこれほど難しい状況を用意されてしまってはもう色々、お手上げだ。  二時間の間に何回死んでもおかしくないジェームスが自力で何とかするしか無い。そうなれば現代技術とデバイスにどう考えてもついて行けない彼が取ったのは、自分のグラウンドに相手を引きずり込む作戦であった。   女を抱いている余裕も無い。武器も、知識も、見透かされていた。こんな状況で彼は結局敵が足をすくわれるような幸運で生き残った。私もチーフも、講じたあらゆる手段が初期設計の時点で否定される運命にあったにもかかわらず、偶然のタイミングで基準が下がったという外的要因で踏みとどまる事が出来たのである。これも一つの強みに頼る術があったからこそ、転がり込んできた幸運であった。   最後には間抜けなブービートラップと、間抜けな心理戦。いつもの007がそこに居たのである。   とは言え、大事な暗号はきちんとパスワードジェネレータで作れよ。駅名を入れてしまう彼はどうしようも無くいつものボンドである。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 8点(2013-04-30 03:00:41)
72.  ツーフィンガー鷹 -Two Finger Fist-
 孤高の存在である。捕手にして監督というポジションで、チームを優勝に導いた野村克也は華々しい戦績を惜しまれながらも、衰えを振り切れずに1980年引退した。  彼は頭脳戦や分析を日本の野球に持ち込んだ人間の中核に位置し、野村前、野村後という線引きが可能なまでに日本の野球を昇華させたのである。  しかし、同時代には選手としての彼を上回るプレーヤーが存在した。王、長嶋である。同じ器の大きさを与えられた三人の中で、野村は王に努力量で勝てず、才能で長嶋に勝つ事が出来なかったと述懐している。その脚光は、独特に翳っていた。  「ボッボボ、ボー」 「ハイーハッハ」  数人の少年がカンフーで戦っている。昭和の小学生の定石ともいえるこの小競り合いは珍妙なポーズと効果音でいつも演じられていた。そう、誰だって経験があるはずだ。三人以上がジャッキーゴッコを始めると、誰もがジャッキーを演じ切る事が出来ない事を、皆ご存じの通りだろう。  集団の中には突然、ジャッキー以外の誰かを演じる事で優位に立とうとする人間も出て来るのである。中でも人気があったのは少林寺をイメージした(と間違いなく本人はそう思っている)固い動きのカンフーと、もう一つは高い声で「ハイー、ちょっ待って、まだ構えてないから」と、道化を演じるデブゴンである。   ジャッキーやサモ・ハンらは、彼らの中で永遠のスターで有り続けた。同窓会の席での出現率が高い今でもそうである。しかし、一人の少年が颯爽と二本指で珍妙なカンフーバトルを始めたとき、一同は刮目し、当惑もしたのである。本人の中で妙に強すぎる設定でなかなかやられてくれない彼は、ユンピョウを演じていた。  全員から 「なにそれ」  である。ちょっと待て、そんなの見た事無いから無しね。という無情な言葉に抗議した彼は次の日にツーフィンガー鷹のビデオを見せる。と言う事で、皆に了解を取り付けたのだった。彼らの色褪せた思い出になっている。   しかし、富士の麓のキャンプ場に集まる今の彼らの中ではツーフィンガー鷹を覚えているものがおらず、珍妙な二本指カンフーばかりが酒の席に踊るのだった。一人が自生する花を見て地味な花だね、などと話題は流れていく。   同じような器を持っていた三人のカンフーレジェンドだが、ユンピョウは佳作とともにいつも埋もれていくのだった。しかし、彼もまた月見草なのである。
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-04-26 02:31:08)
73.  THE 有頂天ホテル 《ネタバレ》 
 バラバラで着地していないため、感想に行き着かない。テレビ局のお祭りだったのだろうか。内輪でやればと思う。 けど、見られないほどひどくは無いという。
[地上波(邦画)] 3点(2013-04-24 20:54:49)
74.  ジェイン・オースティン/秘められた恋 《ネタバレ》 
 絵的な雰囲気は重厚でなかなか惹き込ます手腕に長けた話だった。しかし、なんであれで惚れちゃうんだろう。んーよく分からないけどま、いいか。  最後くっつかなかったけど、なんか永遠の愛みたいな終わり方で盤石のオチで安心した。
[地上波(吹替)] 7点(2013-04-24 20:51:20)
75.  テルマエ・ロマエ 《ネタバレ》 
 前半こそ日本文化を絡めたコメディだが、後半急に  「垢すり」を始める。他にも「オンドル」である。他の言語で説明するとKorean floor heaterである。ジーニアス英和辞書にも明鏡国語辞書にものっている正真正銘の韓国文化だ。  地面にむしろを敷いて寝転がるサウナ。韓国のチムジルバンを想像させるための言葉をわざわざ選んだのだろう。このあたりの意図がテレビ的で、映画や本では絶対にやらないというかやってはいけないところではないかと思うのだが、どうだろうか。  よもやWikipedia程度の取材もしなかったのではないだろうかとは思わない。多様な「湯治」など、首都圏に住んでいれば箱根だの鬼怒川だのにあり、小一時間でいけることを数千万人が知っているのだから。    当たり前の、常識以前の日常に反旗を翻して、映画にこう言う仕掛けを施すのはいかがなものか。日本の文化と韓国の紹介をしたいのであればそのシーンは普通に韓国文化にも驚くローマ人でも良かったのでは無いだろうか?  日本の文化に韓国の名称を使ったり、韓国の道具を堂々と出してみたり。話もそれに合わせて突然印象が変わるなど、放送事業者の大人の事情があるのだろうがあまりにもそれが支配的で卑屈ささえ漂う。   たかが温泉じゃん。別にどっちだって良いよ。確かにその通りで、私自身温泉にも湯治にも全く興味がない。ただ、この映画の表現するところが、アメリカの食べ物がフィッシュアンドチップスで彼らがとても聞き取りづらい英語を話しながらパブに通い、フランス人が女王陛下に敬意を払って紅茶をたしなみ、ジャーマンポテトをビールで流し込む様を戦国武将がのぞき見する類いの、現実とのズレに創作のおもしろさを狙ったものではないだろうという事に居心地の悪さを感じる。
[地上波(邦画)] 5点(2013-04-24 20:47:19)(笑:1票)
76.  プロメテウス 《ネタバレ》 
 志村後ろ過ぎるのであった。小学生の夏休みに、爺さんが川を見に行くと言ってよせよせと怒鳴りつける家族を振り切って出て行った。その日、台風が関東に直撃して凄まじい暴風雨が襲いかかっていた。  前日から出ていた注意報や、風と強まってきた雨脚に何故か僕はドキドキしていた。薄暗い朝、唸るような風音が聞こえるようになって布団から這い出すと、テレビを眺めながら丹念に紙飛行機を折る父、息子の朝食を作りながらどうしようも無く情報価値の薄い近所の出来事をおもしろおかしくしゃべり続ける母と祖父に朝の挨拶をして、脂の載ったハムエッグが焼き上がるのを待った。  隣に座っている祖父がそわそわしていた。 「なあ、相模川見に行かない?荒れ狂ってるぞ相模川。ねえ」孫よ、と。子供じゃ無いんだからとたしなめる僕のセリフが聞こえたらしく、母が絶対駄目と祖父を叱るのと同時に卵は焼けた。  何故か、「じゃあ俺一人で行くわ」じゃあ良いもん、と言う勢いで出て行った祖父の背中を思い出す。小学生には妙に神々しかった事とドアの閉まる嫌な音が頭に置きっ放しになっている。   で、プロメテウス号に隠された秘密の任務と、謎のピラミッド。リドリー・スコットである。それを読めたか読めないかで勝敗は分かれたはずだ。明かされない謎、活躍しないキャラクター、雰囲気、ガジェット。見終わって強く思う、こいつは正真正銘のリドリー・スコットだと。  明らかに、よせば良いじゃないかと言う行動を三分おきに取り続けるキャラ達には本当に疲れさせられる。そんなわけ無いだろ!、と言っても手遅れな彼らは正体不明の大気中で奇声を上げながらヘルメットを投げ捨て、子猫ちゃん怒るなよとささやきながら謎の生命体を触りたがる。必ず死ぬのに。   でも、そうではなかったのだった。あの日五分で帰って来た爺さんはビショビショで興奮しながら、 「あれは死ぬ。うん、あれは死ぬよ。お前ら絶対近づくなよ」  と、豪語して見せた。アタリメーダロ!と冷静に怒鳴りつけた大人二人は気付いていない。実際に見てみなければ分からない恐ろしさの裏にある、「すんげー面白かった」に。   でも、残念ながら「おじいちゃん、川見に行くって言って死人でてるよ」とその日のニュースで祖父を僕はたしなめた。  プロメテウスのクルーにも「大人なんだからやめなさい」と言ってあげたかった。   謎商法には興味が無い。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-04-24 20:23:32)(笑:1票) (良:2票)
77.  SP 野望篇 《ネタバレ》 
 その男が何かやっているかやっていないか。殴り合いになった瞬間に分かっていたら遅い。始まったときには既に力量の差に押しつぶされるからだ。逃げ場があればいい。止めてくれそうな人間の前でふっかけるのも手としては、良い。負けは一瞬では決まらない。一瞬で決まっているのは、確実に負けた状態に至る大量の伏線で有り、それを一つ一つ回収しながら、殴り倒されるのだ。それならば、はじめから逃げの手を方々に打っておくべきだ。そうやって、力量ではなくいろいろなダメージの量で勝つのも一つの殴り合いだ。   はっきりとクソつまらないストーリーが大雑把な脚本に大胆な実装がなされたSPシリーズは、テレビの時から衝撃であった。なかなかのイケメンであるはずの岡田准一は、その小柄を生かした格闘シーンをリアリティ満載で描く。はっきりと岡田准一の力量に支えられたその骨子は、太い。ただひたすら太い。力不足の監督や日本と日本人を勘違いしているとしか思えない脚本や、適役とは思えない役者たちの群れに囲まれて重機のように前進する。   逃げの布石を打てば良いのに打たない。この男は太い。それが岡田准一だ。CGと光源が合っていなくたって、演出のために武装を捨てて素手になってもだ。迫真の格闘の質は等価である。ブルースクリーンの前で格闘を演じる岡田准一の技術の後ろに何があろうと、青いただの背景でもかまわないのである。  CGがトランスモーファーの様にヘボい。脚本が赤ん坊の吐瀉物。設定がミジンコの排泄物。犯行の動機構成が領海侵犯の良い訳程度。仏像泥棒の裁判理論程度。それでも、この映画が無類の面白さを誇るのは、岡田准一が魅せるからなのである。   セガールみたいで良いよね。ね?
[地上波(邦画)] 7点(2013-04-18 03:39:43)
78.  ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー 《ネタバレ》 
昔、教室にハエが大発生したことがあった。 何故教室に夥しい害虫が発生したかはあまり問題では無く、いかにして退治するかに皆が夢中になったのだ。 俺は空手の師匠に教わったと、飛んでいる彼らを箸で摘もうとするクラスメイトや、ジャッキーならこれで一発だとボボボと珍妙な構えで効果音を発する者まで現れた。  事態を重く見た新任の担任教師は、どう言うわけか宮城さん禁止とジャッキー禁止をクラスに言い渡して他の捕獲方法を考えなさいと言い始めたので有る。私達少年少女は勿論ツッコミどころを間違えて、それでは鍛錬にならないだとか、あと少しでジャッキーだったのにとか皆で一丸となり勘違いの渦でおぼれたのだった。  しかし、この映画にはこの何が何だかサッパリ意味不明な楽しみが希薄で、あまり面白がれないのが本当のところだった。何かこう大人の都合が見え隠れするのが良くない。なぜ割り切ったコスプレがないのか、何故バイソンが力自慢のバズーカさんなのか。乗り切れない。  あの担任の先生。まあ今でも結構若くて綺麗なんだろう彼女のあの絶妙の采配。ただ注意をそらして禁止するのでは無く、宮城さんとジャッキーを禁じて注意を引きつけてから話し合い、一方的にキンチョールをドスンと教卓においた時のあの興奮とよくわから無いけど得意顔は今でも忘れられない。 あの馬鹿馬鹿しさの中の花のような曇りないもう少し馬鹿馬鹿しいと言う、そう言うのがなくて残念だったのだ。 
[地上波(字幕)] 5点(2013-03-03 17:21:02)
79.  十三人の刺客(2010) 《ネタバレ》 
 新しい季節が始まる。桜が飽きずに花びらを降らせてくれるのを眺めて、窓枠から教室の中に目を移す。新しい学校に、新しい仲間、新しい恋もきっとやってくるんだろう。このクラスの中に同じ中学校だった友達は居ないけど、三五人は気がつけば友達になっているに違いない。  いつもと違う匂いの教室で、一人では心細い。とりあえず前に座っていた西山に声を掛けると「ん?俺は西山。ニックって呼ばれてたから君もそう呼んでよ」と前からの友人であったかのように気安く返事をしてくれ、ちょっとひるんだ僕は安心したのだった。ハードロックが好きなんだという彼と話題が合ったのも幸いして、その日のうちに僕らは長い時間を過ごす友達になれた。   僕らの席は掃除箱と呼ばれていたモップやバケツが入れられたロッカーの前で、一番後ろの窓側という一等地に有ったが、その対角線の終点に彼女が居た。担任の先生が挨拶やジョークを交えた注意事項などを話している間は気付かずにいて、お昼には最初の登校は終わってしまったけど、ニックはしっかり彼女を見つけていた。  数日だけ続いたオリエンテーションだとか挨拶だとか、そう言う時間を過ごすうちに、彼女に向かう視線はニックだけじゃ無く僕の視線も向かう事になって、少しずつ話す仲間も増えてきた。  もう授業が始まる頃の帰り道に、ニックは彼女の事を話題に出すと、実は僕も、っていうやりとりになった。  やっぱりか。君も良いとか思っちゃった訳ですか。などと自分だけが見つけた原石が、じつは同時に誰かが見つけていたものだったかのような言い方に思わず「彼女をうちの学校に連れてきたのは彼女自身だよ」と突っ込むと、イヤイヤそうなんですがと二人笑いあった。後に分かったが、同じように想っていたクラスメートは多かった。   とか言う記憶力バッチリ多感な時期でさえ、一瞬で一三人分のクラスメートの名前を覚えていただろうか(いや覚えていない)。二時間ちょっとの映画で一三人。悪役と女房を含めて一六人である。覚える事を放棄した私に怖いものは無い。血しぶきや意味不明な演出もすっ飛ばして痛快に楽しんだのであった。  顔しか覚えていないけど、最後の方にはもっと居なかったっけ?的な勘違いを起こし大変満腹な出来だった。とにかく勧善懲悪は気持ちいいのである。   で、最後には玉砕するのである。友人も私も。
[DVD(邦画)] 7点(2013-02-13 01:59:12)
80.  ファンタジア 《ネタバレ》 
 完全に長期化に入っていた戦線は拡大の兆候を現実のものとし、列強諸国は中国軍に対し支援を行っている。進撃を続ける日本軍は増長を重ね、はち切れそうなほどの害意をユーラシア大陸にばらまこうとしていた。  1940年、11月の事である。密に反撃を企図する国民政府、と言う誤解の元、彼らを殲滅するために行動が開始される。二号作戦と名付けられたその作戦は一方的に幕と閉じ、大日本帝国は錯誤としか言いようのない見失い方であらぬ方向から糺す事無く、歩を進めた。   単発銃の鳴り響く中、藪蚊と疫病に悩まされる日本兵はアメリカ製の機関銃に悩まされながら、南方の奥地へと逃げていく。先進国の脅威に震えながらただ死ぬだけの任務に身を投じる。裸の帝国軍に秀麗な末路は用意されていなかった。破竹の勢いをうちに収める事が出来なかった1940年の冬から数年後の事だ。   とか、馬鹿極まりない大日本帝国と、その犠牲者が単発銃でパーンパーンとか敵を撃ってる間にアメリカ兵がズドドドドドドドドドドドドとか反撃してきて、とつげーきとか言わされて死んでこさせられてた時代に、ファンタジアが絶賛公開中な訳だ。アメリカ本土では。  カラーの超大作が多数制作されている。当時カラー映画は日本には存在さえしない。   はっきり言って当時の政府のアホさ加減には言葉では表せないほど呆れられる。wikiペディアを読むだけで腰が抜けるほどだ。こないだの民主党もきっとこんな感じだったんだろうな。とにかくすんげー馬鹿ですね。  徹底的に訓練された米軍特殊部隊員に、FPS(戦争ゲーム)が上手いからという理由で殴りかかる人間位エキセントリックである。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2013-02-12 23:48:21)
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