841. 笑う警官
《ネタバレ》 簡単に言うと「オヤジ臭いダサさ」が憑いて回る映画。もう少し趣味の演出を控えめに出来なかったんでしょうか。別に映画の中でジャズを使うなとは言いませんが、この映画の物語のトーンとは明らかに合って無いでしょう。物語が進展するごとにバックでベースとハイハットが流れ出したり、劇中の色々な個所で佐伯がサックスを吹き鳴らす絵は、ハッキリ言って映画全体の緊張感を削いでいるとしか考えられない。もっと言えばダサい。 更に部屋の中での会話を密室劇らしくしたいのか知りませんけど、登場人物の周りをウロウロするカメラワークは正直言って、観難いだけに感じました。 物語が完全に破綻するのはクライマックス。"実は更なる黒幕が"っていうオチ自体、私は好きでは無いのですが、更に「宮迫、何故そこでヘルメットを取るんだ」や「衆人環視の中で警官が銃殺はないだろ」など、どうしようもない展開が連発します。 このような感じで、映画としての完成度は非常に微妙でした。役者も好演しているとは言い難い(サブキャラの個性が出てない)し、なんだかなぁといった感じで劇場を後にしました。 あと個人的な意見なんですが、一人のジャズ好きとして、ああいう所謂「オシャレ~な雰囲気ジャズ」はやめて欲しいですね。観ていて恥ずかしいです。 [映画館(邦画)] 4点(2009-11-19 00:54:56) |
842. ファンタジア
最初から最後まで、音と、色彩と、アニメーションの洪水。とても70年前の映画とは思えません。クラシックの演奏に乗せて、アニメーションが無声で展開されるので、普通のディズニー映画として観ると肩透かしを食らってしまうと思いますが、映画単体として観れば素晴らしい映画だと思います。特に気に入ったのは「くるみ割り人形」と「はげ山の一夜~アヴェ・マリア」。幻想的な音楽とアニメーションが見事に融合しています。この2つはディズニーらしいアニメーションでは無いのですが、私はこの2つが最も感動しました。あとは中間に挟まれる「サウンドトラック君」の演出も洒落ていて面白かった。 これは製作者が冒頭で述べていますが、作曲者の意匠に沿ってない曲が展開されるのが、ひとつだけ心残りな点です。それと言わずもがな、クラシックが好きでない人が観ると苦痛の2時間である可能性があります。そういう点では観る人を選ぶ映画かもしれない。 [DVD(字幕)] 9点(2009-11-15 16:52:20) |
843. ナチュラル・ボーン・キラーズ
凄まじい実験映画ですね。様々なテクニックを詰め込んでいて、映像自体は最早カオス。しかし、そのカオスな映像にこそ、この映画の描きたかったエッセンスがギッシリ入っていたのは素晴らしかったです。話自体は良くある「何故に人殺しをしてはいけないか?」という物ですが、いやはや此処まで徹底してると、一種の洗脳映画みたいでしたが、ある意味清々しい。 哲学的な内容が嫌いな人には受けないと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2009-11-15 16:21:20) |
844. 劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇
まずグレンラガンを劇場版として公開すると聞いて、本当に大丈夫かと心配しましたが、その心配が見事に当たってしまいました。グレンラガンといえば強引なパワーアップ展開と、合体シーンなどのケレン味ある演出、そしてキャラクター達の過剰な迄の名乗り口上が魅力だと思っているのですが、如何せん映画となると強引なストーリー展開にはついていけなくなります。元は30分アニメということで、30分の終盤には無理くりパワーアップして敵をやっつけるという、云わば暗黙の"お約束"があったからこそ成り立っていたことを其のまま映画にシフトしてしまっているので、ハッキリ言えば展開に納得できないという状態に陥っていたと思います。これはテレビアニメ版を観ている私さえそう感じたので、一見さんにとってはもっと理解し難い展開だったのではないでしょうか。こういうテレビアニメの劇場版を観ていて常に感じることですが、その劇場版に映画としての付加価値を盛り込もうとするのなら、テレビアニメ版のファンへの過剰なサービス、演出、展開は避けて、一見さんにも理解できて楽しめる様なモノを目指した方が良いと思います。これが映画の歴史に残るとは絶対に言えない。だってファンの為の単なるエクスプロイテーションでしか無いですから。 [DVD(邦画)] 3点(2009-11-13 01:49:25) |
845. マイケル・ジャクソン/THIS IS IT
やっぱりマイケル・ジャクソンは素晴らしい。そんな当たり前の事を再確認できました。音楽に対するシビアな気持ちがスクリーンからビシビシ伝わってきます。しかも時には謙虚に他人の意見にも耳を傾ける。更に今でもダンスの腕はバックダンサーと比べても殆ど遜色が無いように見えた。全編が有名なナンバーばかりなのは、ファンから、ビギナーまで楽しめる構成になっているのかなと思えました。非常に親切設定。 まあ、そこまでは本当に良かったんです。あのマイケルが踊っている姿を観ているだけでグッと来ましたよ。 しかし急場凌ぎだったのでしょうか。監督の趣味の悪さでしょうか。スプリットスクリーンの使い方とか、だっさい映像のつなぎ方とか、個人的には好きになれない編集の仕方でしたね。はっきり言って画面が見にくい、というか凝り過ぎ。なんで必要もないシーンであんな技術使うかなぁ。それはこの映画に限った事ではありませんが。 それでもファンは観に行って損はないと思います。リハでの人間味溢れるマイケルをスクリーンで観れるなんて事、もう二度と無いと思いますから。本当に惜しい人を亡くしました。 [映画館(字幕)] 7点(2009-11-08 23:37:00) |
846. シリアの花嫁
《ネタバレ》 シリアでの結婚式の一日を国際問題を絡ませて描いた作品。扱いにくいテーマを物語に添わして行く、その手腕は非常にスムーズで上手いなあと思ったのですが、その他の部分が微妙でした。お姉さんの話はあれで解決しているとしたら余りにもタンパクだと思うし、お父さんの話ももう少し余韻があっていいかと感じました。 一番気になったのが、終盤での出国審査。この物語の胆になる部分ということは分りますし、ここを丁寧にくどいくらいに描かなければテーマ的にダメということは分りますが、それにしても長すぎ!せめて二回くらいにしてくれませんかねぇ。 [映画館(字幕)] 6点(2009-11-08 23:21:14) |
847. コマンドー
B級の粋を集めたような映画。ひたすらにB級、B級、B級!ここまでしつこくされると逆に天晴れですね。悪役に魅力が無かったのが残念でした。突っ込みどころは多すぎるので、書ききれませんので省略します。 [DVD(字幕)] 5点(2009-11-08 14:28:27) |
848. ファイナル・デッドサーキット 3D
《ネタバレ》 まず……初めて実写3D映画を体験しました。率直な意見を言うと、立体的なシーンがかなり紙芝居みたいと言うか、登場人物だけ手前に浮き出してしまっていて、やや違和感を感じます。個人的な映画を観る感覚と3Dの食い合わせは結構悪いのかもしれない。 さて本編の感想ですが、簡単に言うと決して観客を飽きさせない作りだったかと。上映時間を90分以内に収め、ジェットコースターの様に様々なキャラクターがバンバン死んでいくのは非常に好印象。監督はこのシリーズの肝である、色々工夫された死に様という点をよく分かっているなと思いましたね。 問題は予算が足りなかったのか、大事故のシーンのCGがえらくチープなことに尽きるでしょう。瓦礫で潰される人たちが、なんと言うかマンガみたいです 笑。これをギャグで撮ってるなら全然OKだと思うんですけどねー。終盤のエスカレーターに関しては……、余りのCGのチープさに大笑いしました。 総評するとバカ映画としては満点ということですね。 [映画館(吹替)] 5点(2009-11-01 21:22:11)(良:1票) |
849. ラウンド・ミッドナイト
演奏10点、脚本4点というところでしょうか。デックスの演奏は本当に素晴らしく、ジャズファンの私としてはそれだけで「最高!」なのですが、お話の部分が如何せん面白くない。 実話をベースにしているとはいえ、もっともっと話をこねくり回して、展開の激しい話にしてもいいとおもうんですけどね。これじゃあまりに淡泊かと。 それでもどこかのお話だけチャラチャラして、演奏は激ショボのどこかの女子高生コメディムービーよか全然いい出来と思いますけどね。 [地上波(字幕)] 7点(2009-10-31 11:34:26) |
850. おばあちゃんの思い出
おばあちゃんの存在だけで最後まで持っていかれた。声を当てている高村章子さんが非常に良いです。お話だけ見ると穴も多い作品ですが、そっと感動を渡してくれるいい短編だと思います。 [DVD(邦画)] 7点(2009-10-24 00:51:11) |
851. ザ☆ドラえもんズ ドキドキ機関車大爆走!
子ども向けアニメであっても、ドラえもんのシリーズは割と物語の作りがちゃんとしている物が多いというのが、私の印象だったのですが、本作にかんしては完全にお子様向けのアニメになってしまっている。大したテーマも盛り込まずに取り敢えず各キャラクターを活躍させる事のみにお話全体が終始してます。作画もイマイチですし、これは評価を低くするしかありません。 [DVD(邦画)] 3点(2009-10-24 00:46:57) |
852. 狼の死刑宣告
《ネタバレ》 うーん、ジェームズ・ワンの才能はソウの時に全て使い尽くしてしまったのかと思うくらい、どーしようもない出来だったと思います。前作のデッド・サイレンスでドラマ部分が弱い事を感じたのか、今回は人間ドラマを一応は描こうとしているのでしょうが、全体的にガタガタです。テーマも戦争がどうとか、正義がどうとか言っている割に、最後は曖昧に暈して終わってしまったのが残念でした。つーか警官はもうちょっと仕事しろ! あとギャング達の様な、所謂アンダーグラウンドの住人が、余りにもイメージのみで作られていたのにはもう失笑ですよ。ギャングだからってトゲトゲのついた首輪を着けたブルドッグなんて普通飼ってねえよ! これを実はギャグ映画として撮ってるなら、ホント関心しますがね。 [映画館(字幕)] 3点(2009-10-15 23:40:27) |
853. さまよう刃(2009)
《ネタバレ》 少女を拉致、強姦した後に、殺して河原に捨ててしまう。この様な余りにも非道い暴力を、R指定無しの制限ギリギリでキチンと見せていたのは評価できるポイントだと思います。ここの暴力が描けているからこそ、観客は父親に感情移入出来るし、緊張感の持続という点でも上手くいっていた。役者勢も概ね好演していると感じました。 不自然な編集や、突っ込みどころの多さなど、不満点は結構あるのですが、テレビ局主導の映画がこの様な硬派な映画をちゃんと作った事には素直に拍手を送りたい。 [映画館(邦画)] 7点(2009-10-12 01:04:45) |
854. レオン(1994)
《ネタバレ》 毎回同じような話を作るリュック・ベッソンの作品群の中では出来はいい方。いらないギャグシーンを省いて90分くらいボリュームで良かった気がします。 [地上波(字幕)] 5点(2009-10-11 15:13:08) |
855. 憑神
前半の出来が酷かったが、後半は更に酷い事になっていた!せめて前半の落語調のコメディで手堅く纏めておけば良かったのにね。こういう意味無く感動的な演出をする映画って大嫌い。 [地上波(邦画)] 2点(2009-10-10 23:48:30) |
856. BALLAD 名もなき恋のうた
《ネタバレ》 色々欠点がある映画だと思いますが、一番の欠点はアニメでは許されるところを、実写でもそのまま同じ演出をしている所だと感じました。どんな映画でもタイムスリップが起きる場面自体はギャグとしてやっている物なのに、この映画は真面目にやってしまっています。ハッキリ言ってバカみたいです。私は元のクレヨンしんちゃん版は未見ですが、恐らくはギャグとして演出しているのでは? 脚本も良く出来ているとは到底言い難い出来だと思います。又兵衛を慕っている若侍は、途中にあれだけ伏線張っているのに、全く成長するシーンが描かれません。まともな映画だったら、又兵衛か父親が合戦の最中に戦死する事で大人として成長する演出を入れると思うんですけど……。最後の「ありがとう」の石碑も、大クヌギの傍か湖のほとりに置かれているなら百歩譲って分かりますが、城跡に置いてあるので全くもって意味不明。どうせなら川上家の所縁の場所に置けよ!。 本作を観て改めて思ったのですが、監督の山崎さんは「ALWAYS 三丁目の夕日」で非常に評価されていましたが、そんなに褒めるほど上手でしょうか。脚本を兼任しているにしては穴がありすぎると思いますし、なにより撮り方が一々ドラマっぽいというか、陳腐と言うしか無い気が。役者さん達も御世辞にも好演しているとは言えないし、そういう役者さんの演技力を引き出す技量もイマイチな人なんだなと言わざるを得ません。 次回作は「実写版宇宙戦艦ヤマト」らしいですが、大丈夫なんでしょうか。主役は木村拓哉ですし、まさかSMAPファンなんですかね。 [映画館(邦画)] 4点(2009-10-06 01:05:32)(良:1票) |
857. ロボコップ(1987)
《ネタバレ》 たとえ真面目なヒーロー物を描いても、ポール・ヴァーホーヴェンは何処までいってもポール・ヴァーホーヴェンですね。それがまた良いんですけども。 主人公のかつての記憶の翳りと、現実でのロボコップとしての存在との折り合いをキチンと描いていたら、もっと点数が上がったかもしれません。尺が二時間くらいになっても、そこはちゃんと描いて欲しかったかな。 [地上波(字幕)] 6点(2009-10-04 23:35:04) |
858. キャデラック・レコード ~音楽でアメリカを変えた人々の物語~
《ネタバレ》 「黒人」、「ブルース」、「ロック」と、個人的な好みにドンピシャな要素が詰め込まれていたので楽しめました。しかし映画として考えると、あまりにも平坦な話が続いたと思えました。実話ものなので物語としての起伏を作るのは難しいとはいえ、もう少しエンターテイメントに寄って欲しかったのが本音です。もっと登場人物に肉付けして、個々とのかかわりをじっくり見せて欲しかった。挿入歌が多いことが上映時間的にストーリー運びの妨げになってしまったのでしょうが。 あと終盤でエタ・ジェイムズがドラッグ中毒になる様が描かれるのですが、そこはもう少し現実味のある外見を見せて欲しかった。ビヨンセが演じているので仕方ないとはいえ、ツルツルの綺麗な肌を見せられて、「こんなに注射の痕が……」とか言われても、正直説得力はゼロです。 [映画館(字幕)] 7点(2009-09-27 21:29:14) |
859. ザ・フィースト
ホラー映画のお約束を逆手に取ったネタは素直に面白いと思ったし、ホラーとしての展開も早く(登場人物がテンポ良く死ぬ)結構楽しめました。低予算っぽいので画面のディテールを誤魔化す為なのでしょうが、画面がぐらぐら揺れるのにはやや辟易気味でした。 それにしてもアホな映画ですねぇ。 [DVD(字幕)] 4点(2009-09-24 18:14:44)(良:1票) |
860. 精神
月並みな言い方ですが、映画全体が優しさで満ちていました。想田監督のいう所謂、"カーテン"の向こう側をありのままに映しただけで価値があると思います。この映画を観た人によって、その感想は異なるかもしれませんが(そういう撮り方をしているので)、精神病にかかっている人の"そのまま"を観たという事には違いない。精神病患者を知るという意味で、この映画を観たことは無駄にはならないと思います。 ただ個人的にはいらないと感じたカットが多々あったのが惜しいです。(女子高生とか、女子高生とか、女子高生とか……) [映画館(邦画)] 8点(2009-09-23 23:36:06) |