941. ザ・タイタニック<TVM>
《ネタバレ》 これがキャメロン版の1年前なのですが、びっくりするくらいキャメロン版と同じ。「SOSタイタニック」にもキャメロン版の元ネタがてんこ盛りだったのですが、これも随所に似たようなシーンや似たような演出があります。違いは、キャメロン版ではしつこいくらいあった室内や廊下の浸水・流水シーンがほとんどないのと、こっちは「救出されて以降」のあれやこれやが割と長い点でしょうか。あとは、こっちは群像劇風なところかな。●全体としては、テレビ用とは思えないくらい、美術も衣装もエキストラも凝っていて、大スクリーンで見ても十分だったのではと思います。前半の豪華絢爛な船内も、後半の徐々に沈没が進む光景も、両方ともきちんと撮っています。これだけで低い点はつけられません。●弱点は、登場人物のほぼすべてがことごとく変というかずれているというか人格的に問題ありなところであり、したがって後半に船が沈んでもあまり悲劇に見えません。何でわざわざそうしたんだろう・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2020-04-23 01:37:06) |
942. 男はつらいよ フーテンの寅
《ネタバレ》 このシリーズの場合、お約束の恋愛沙汰以外にも突然名シーンをぶち込んでくることがあるのですが、この作品ではやはり、テキ屋の大先輩とのあのくだりでしょう。今から考えると、こんな決定的カードをこんな初期作品から切っていたのかと思いますが、当時はここまで長期シリーズとなるとは誰も思ってなかったのかもしれません。●新珠三千代が登場したときには、てっきりどこかで、寅が一席ぶっていた「酒の徳利を置いたら絶妙なタイミングで人肌温の次の徳利が出てくる」とかのアクションが出てくる(そして寅が「本当にそんなことあるのか?」と焦る)みたいなシーンがあるものと想像していたのですが。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-04-21 00:43:47)(良:1票) |
943. コンラック先生
《ネタバレ》 ハリウッド版「熱中先生」でしょうか?サウスカロライナの黒人しかいない島(というのがあったんですね)にやってきた白人教師が、あれこれ頑張る、というお話です(しかし、場所が台詞の中でちょろっと出てくるだけなので、途中まではアフリカか東南アジアのどこかかと思ったぞ)。で、いろいろハードルはありながらもあっさりクリアしてサクサク進んでいくので、どういう話かは分かったとしても、それで子供たちに何が残ったのかは分かりません。最後にクビになってどうのこうのというのがクライマックスのはずなのですが、主人公の背景描写がないので、誰と闘っているのかも分からないし・・・。あと、この手の作品だったら、生徒の何人かに焦点を当てて、その子の何がどう変化したのかを描出するのは必須かと思いますが、それもありませんでした。 [DVD(字幕)] 5点(2020-04-20 00:32:03) |
944. バッド・スパイラル 運命の罠
社会的に順調な主人公が、ふとしたトラブルから危機に見舞われ、それを解決しようとして泥沼に・・・という一つの定番サスペンスなのですが、いろいろ頑張ってはいるのです。父親を探す青年とか、その友人とか、逆に主人公の妻とか、周辺ストーリーを細かくちりばめて、とにかく飽きさせないようにしています。が、根本のところで、登場人物中にまともな冷静な判断をしている人が1人もおらず、というかはっきり言うと全員アホなので、一方でイライラ感には終始つきまとわれるのです。途中からの主人公の行動も、まったく説明がつかないというか、ほぼ破綻してないか? [DVD(字幕)] 4点(2020-04-18 01:03:01) |
945. 風来坊探偵 岬を渡る黒い風
風来坊探偵シリーズ第2作。今回は、馬から車には進化してます(笑)。しかし、固定した事務所まで構えていてどこが風来坊なんだという突っ込みを感じさせつつも、都合良く事件の捜査に乗り出します。共通キャラは主人公のみであるにもかかわらず、役者の多くを前作から使い回しているのも微笑ましさを醸し出しています。で、今回の弱点は、敵キャラをいろいろ重層的に設けた結果、かえって全体がごちゃごちゃしてしまっていること。凝ったつもりなのでしょうが、前作の魅力だったシンプルさがなくなってしまいました。探偵とライバルのキザな会話はしっかり前作を継承しており、こういうところは現在の脚本家も見習ってほしいものです。 [DVD(邦画)] 5点(2020-04-10 00:13:04) |
946. 風来坊探偵 赤い谷の惨劇
えーと、これが深作監督のデビュー作ということになるのでしょうか?60分程度の(一応)サスペンス・アクションなのですが、内容的には、笑っちゃうほど一貫したウエスタンの翻案です。なぜか登場人物は馬か馬車で移動してます(ここはどこの国なんだ)。敵の本拠地っぽいロッジは、砂漠の中の町でよく出てくる酒場みたいな作りです。そしてここぞというところでは、任侠映画にもなかなかないくらいの仁義なき銃撃戦が炸裂します。日本映画でここまで忠実なウエスタン様式を再現した作品って、実はほかにはないんじゃないでしょうか。主演の千葉ちゃんは何とも若々しく、むしろ青春映画の主人公といった感じで、後の風格はあまり感じられません。(一応)ライバル的存在の鉄との会話も、いきなり学園モノみたいなノリで、かえって斬新です。 [DVD(邦画)] 6点(2020-04-09 00:45:52) |
947. 万引き家族
《ネタバレ》 設定とタイトルからすでに嫌な予感がしていたのですが、やっぱり、描写がどこまでも作為的で、役者以前に監督と脚本家の存在が(といっても同じ人ですが)前に出てきてしまうような感じで。「私は万引を善とも悪とも決めつけず、あくまでも客観的描写に徹しますよ~」というアピールが、かえって透けて見えてしまっているのです。それと、樹木希林と松岡茉優の役は、やっぱりいらなかったんじゃないだろうか。主役の2人の存在とはかみ合っているようでかみ合っていないし、むしろ装飾にしかなっていない。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2020-04-07 01:27:40) |
948. ワイルド・ヒーローズ/暗黒街の狼たち
とりあえず、マフィアの親分の跡目争いのような感じなのですが・・・いろいろ登場人物が錯綜している割にほとんど整理されておらず、ごちゃごちゃしているだけ。一方で銃撃戦には気合を入れた痕跡が窺えますが、1発で済むところを3発も5発も10発も撃つペースで進んでいくため、逆に下手に見えてしまうというか、それこそ「数撃ちゃ当たる」状態になっているのです。本当に銃撃戦に迫力を醸し出したいのなら、「それに至るまで」をきちんとしないと駄目でしょ。 [DVD(字幕)] 4点(2020-04-06 01:02:01) |
949. パッセージ・死の脱走山脈
《ネタバレ》 街中・電車・山中といろいろ危機ポイントは設けられているのですが、主人公がいざというときには全部武闘派解決をしてしまうのがちょっと・・・。相手に圧倒的な力があるのを、知恵とか精神力とかチームワークで突破してこそ醍醐味があるのではないでしょうか。その辺が中途半端なので、マルコム・マクダウェルがいくら怪演を発揮しても、かえって浮いています。あと、この3人だけのために犠牲者出すぎじゃない? [DVD(字幕)] 5点(2020-04-04 01:34:11) |
950. デューン/砂の惑星(1984)
いや、まあ、2時間20分もかけて何がしたかったのか、さっぱり分からないです。場面場面の作り方は、(映像面も含めて)その形を作るだけで手一杯だったのが丸わかりで。こういうハッタリの世界観を完結させるためには、制作側に突き抜けた一本筋がないと成立しないのですが、それがまったくないのです。で、実は一番興味があったのは音楽がTOTOという点なのですが、ほとんどそれっぽい演奏はありませんでしたね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-03-29 01:41:12) |
951. 渦(2000)
これが無名だった頃のドゥニ・ヴィルヌーヴ作品かあ・・・と思いながら見始め、あまりのつまらなさにびっくり。終始、観念的で象徴的なショットを延々と積み重ねているだけで、登場人物が動いていないというか、生きていない。後のヴィルヌーヴ作品では、それぞれの背景や内心まできっちり追いかける描写を自然に行っているのですが、これは、まあ、別人と思っても差し支えありません。 [DVD(字幕)] 3点(2020-03-28 00:43:36) |
952. 愛に気づけば・・・
主人公の行動回路と思考回路がさっぱり理解できませんでした。男性関係は結局どうなったのかとか、赤ん坊の腕云々には何の意味があったのかとか、いろいろ手を出すだけ出して放置している脚本も粗雑。ジーナ・デイヴィスにこんな役をさせるとは、まったく無駄遣いもいいところです。 [DVD(字幕)] 2点(2020-03-27 00:44:10) |
953. バファロー大隊
《ネタバレ》 ウエスタンなのにガチガチの法廷モノというのが斬新で目を引くのですが、意外にも洗練された作りで、法廷と回想を巧く織り交ぜつつ最後まで一気に見せ切る力があります。ただ、内容的にはやっぱり相当強引で、検察の立証のいい加減さはほとんど失笑レベルですし、中盤以降の証人は何で出て来ているのかも分かりません。それと、最後のオチは、むしろ逆にいらなかったんじゃないのかな・・・。ただ、この脚本/監督コンビはこれで手応えをつかんだのか、2年後にさらに社会派路線(?)を際立たせた「リバティ・バランス~」を開花させており、その足がかりになったとすれば大いに意味があります。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-03-25 01:05:21) |
954. ロード・トゥ・メンフィス
とりあえずB・B・キングを中心に、メンフィス周辺のあれこれを集めたドキュメンタリーです。が、特にデータを整理するわけでもなく、何かに焦点を絞っているわけでもなく、入手した映像なりインタビューをそのまま切り貼りした感が満載でありまして。したがって、出てきたミュージシャンの何が凄いのかもよく分かりませんでした。ドキュメンタリーであっても、構成力や語りの筋は必要です。 [DVD(字幕)] 4点(2020-03-25 00:58:47) |
955. ドリーム
《ネタバレ》 もちろん良くできてはいるんだけど、何というか、作り方が優等生すぎというか。例えば計算式にしてもプログラムにしても、頭脳から何かが生まれるときって、あんな風に分かりやすく出てくるんじゃなくって、もっとランダムに、雑然と、あるいは逆にふわっと曖昧に出てくるはずです。この映画はその辺にあまり踏み込まずに、エンターテインメント的な演出に収めています。それと、今まさに打ち上げようとしているときにそこから検算って、さすがに盛りすぎのような気が・・・(もし本当にそうだったとしたら、それは組織運営の根本の問題であって、この作品のテーマとは無関係)。なお、ケビン・コスナーとキルスティン・ダンストはいろいろな意味でナイスなキャスティングであり、これからもこういう感じのバイプレイヤーでいろいろ出てほしいものです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-03-23 01:10:50) |
956. 七人の無頼漢
《ネタバレ》 元保安官が、七人組の悪漢に復讐しようと立ち向かう・・・という正統派復讐譚を期待させる出だしなのですが、何ともエンストというか、消化不良というか、一方的に萎み気味というか。まず、肝心のその主人公の過去が、「台詞で語られるだけ」というのはいかんでしょ。そして、道中でとある夫婦と同行するんだけど、なぜかその人妻といい雰囲気になりかかるし(おいおい)、加わってくるリー・マーヴィンも、何がしたいのか分からない(かといってそれが当の本人の戦略とか何かとかいうわけでもない)。で、強引に終幕になだれ込むも、主人公が七人組に復讐するわけでも何でもない。結局、何も盛り上がらずに終わってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2020-03-22 21:17:40) |
957. さらばバルデス
《ネタバレ》 前半は、謎の存在っぽいブロンソンとそこに居着いた少年の奇妙な同居生活が始まって・・・という展開なのですが、何とやっていることは、どうやって馬を飼いましょうかというほとんどそれだけ。つまり、大砂漠の小さなお家というか、牧場生活の苦労に寄り添うドキュメントというか、ウエスタンというよりもむしろそっちのホノボノ系に近いのです。途中で敵っぽい地主が現れるも何も起こらず、あれはどうなったんだ?と思った頃に、俄然凶悪さを増してくる。そこでやっとこさ対決になるのですが、いやーあのラストはびっくりしました。ほぼ何も解決してないし、締めは完全に無理矢理だし。というわけで、何がしたかったのか分からないというか、小手先で作ってしまった感満載でした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2020-03-17 02:31:15) |
958. HUNGER/ハンガー(2008)
《ネタバレ》 IRAの闘士が、獄中で抗議のためにハンストに突入する話・・・と聞けば、どんな背景があってとか、誰とどのように連帯してとか、対立する支配側とはどういうやりとりがあってとか、いろいろ興味が湧いてくるのですが、その辺の説明なり描写はほとんどなし。というか、一部を除いて台詞からしてほとんどなし。むしろ、短時間のショットをモザイクのように積み上げている感じであり、箇所によってはイメージショットのようなところもある。しかし、この重い事実の描写として、こんな詩文的な手法でよいのかという点は、気にせざるをえない。また一方で、中盤で15分超えの長回し1対1会話シーンがありますが、ほかのところとの落差がありすぎて、結局奇をてらっているように見えてしまうのです。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2020-03-16 00:15:10) |
959. LION/ライオン 〜25年目のただいま〜
《ネタバレ》 映画としては、無難に、そして上品に、そして巧みにまとまってはいるのですが、それ以上の重みがありません。主人公が故郷に帰っていく過程についても、何かの旅路があるのかと思っていたら、ひたすらネットを見てるだけだったからなあ・・・。手法としてはそうでも、心理的な遍歴はもう少し何かなかったんでしょうか。主人公の彼女も、ただの彼女というだけにしか描かれておらず、ルーニー・マーラの投入がもったいない。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-03-15 00:35:54) |
960. ガン・ファイター(1961)
《ネタバレ》 大量の牛軍団を運んでいく過程でいろいろ人間ドラマや敵撃破アクションが、と思っていたら、本当にただ牛を運ぶだけだったのには驚きました。それっぽい3人組や先住民集団も、ほとんど(映画上の)仕事してないし。で、到着した後に母娘関係のいろいろもくっついてはいますが、妙に空気がだれていて時間の水増しにしか見えません。ところで、あの娘ちゃんって、後に「ポセイドン・アドベンチャー」でノニー(歌手)役で出てくる彼女だったんですね。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2020-03-14 00:20:42)(笑:1票) |