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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2258
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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81.  死にぞこないの青 《ネタバレ》 
スケープゴートを利用した集団統制手法は、費用対効果に優れています。僅かな犠牲で強固な団結。隣国では国策として採用していますし、日常生活の中でも多かれ少なかれ目にするはずです。残念ながら。おそらく先生の「誰でもよかった」「人の目が怖かった」は真実でしょう。ただし蛮行に至った原因を“幼少期のトラウマ”に求めるのは誤りです。“辛い経験をした者は犯罪に走る”なんて失礼な理論が通用するものですか。トラウマの仕業にすれば自我が守られるから。自分を善人と思い込みたいから。それだけです。それに彼は歯向かう山羊に業を煮やして、本気で殺そうと(!)しました。これは挫折を知らぬ完璧主義者の思考。クラス運営の試行錯誤なく、赴任当初から生贄を選んでいる点からも、彼に情状酌量の余地は無いと考えます。教師主導で生贄政策を取られた場合、被害者が抗うのはほぼ不可能です。さらにあの年頃では、親の問題介入を拒むもの。狭い了見と閉じた世界で、全てが完結してしまう恐ろしさが在りました。そんなマサオの大ピンチを救ったのが“アオ”と名乗る少女。正体は亡くなった姉。幽霊か、少年の心が作り出した幻か。いずれにしても彼は、孤独から逃れました。今回はお姉ちゃんが助けてくれましたが、次回はありません。窮地に陥った時助けを請う人を確保しておくのは、人生の重要課題のひとつ。もし、両親がアテにならないのなら、他に頼れる人を探しておかなくはいけません。結末について。初めは生温い決着に憤りました。社会的に抹殺してやれと。しかし、マサオがイジメの被害を立証するのは意外と困難です。それに追い込むと暴発する輩なのは実証済み。心理的に優位に立った今、あえて奴に逃げ道を与えたのは賢明だったかもしれません。修羅場を潜り抜け、少年は自信を得たでしょう。全てが好転した様子。ただし今回は相手が愚かでした。ツキもありました。ですから決して大人を驕ることなかれ。一人で問題を解決する事が自立ではありません。狡猾な悪人は掃いて捨てるほどいますから。
[DVD(邦画)] 7点(2014-08-21 18:58:07)(良:1票)
82.  -less [レス] 《ネタバレ》 
(ネタバレあります。未見の方はご注意願います) 本作の出来事を読み解くヒントは“父親のメモ”にありました。クラッシュした車の傍に落ちていた紙片は、紛れもなく夢の中で父親が書いたもの。偶然の一致とは考え難いです。すなわち、あの家族には死ぬ前に“ロスタイム”が与えられたと確認出来ます。体感は数時間、実時間は僅か数秒。死亡確定までの猶予時間内に起きた劇的逆転ゴールは、主人公の生還でした。つまり、“車から放り出されて助かったから主人公はあのような夢をみた”ではなく“女性に席を譲り、車を降りたから死なずに済んだ”と推測します。それでは、クラシックカーの所有者であり、事故の第一発見者とは一体何者でしょうか。車、服装、髪の毛、全身黒尽くめ。“死神”と判断するのがしっくり来ます。死神運転の黒塗りのクラシックカーに乗せられて、魂はあの世に逝く。乗り込んだ順は、婚約者、弟、母、父。“罪の軽い者から順番に”悪夢から救われたとも言えます。クラシックカーに乗り込んでしまったら最期ですから、女医もあの世に連れ去られたのでしょう。死ぬはずだった主人公の身代わりとして。さて疑問なのは、何故主人公ファミリーにロスタイムが与えられたのかということ。裏付け無しの想像ですが、彼女が子供を身籠っていた事が関係している気がします。事故で得られる魂の予定数は7人分。ところが主人公のお腹には8人目の魂が。棚ぼた的に8人分の魂を頂戴するのは、死神の流儀として躊躇するところではないかと。彼女はお腹の子に命を救われた気がします……。構成はトリッキーながら難解ではなく、余韻も十分。ただ、アイデア勝負の作品である点は否めず、類似作品を観賞済みの場合評点が下がってしまうのは致し方ないかもしれません。
[DVD(吹替)] 6点(2014-08-06 19:05:38)
83.  ファンタスティック Mr.FOX 《ネタバレ》 
キツネ父さんの主義主張は明快です。野生動物らしく生きたいということ。本能に従い、家畜は襲わせてもらいますし、欲しいモノがあれば勝手に頂戴しますよと。元来、そういうナチュラル派人生観の持ち主です。ところが家庭を持つとなると、少々話はややこしくなります。妻子を養う事が人生の最優先課題に変わります。信念に対して妥協を余儀なくされることも。その結果が新聞記者というワケ。でも血は抑えられぬもの。再び、主人公は野生動物の生き方を選択しました。これはもう生き様の問題。本来、他人がとやかく口を挟める問題ではありませんが、巻き込まれる方はたまったもんじゃありません。それでも所属するコミュニティ(野生動物業界、そして家族)から彼が排除されないのは、人徳(狐徳?)の成せる業でしょうか。おそらくキツネ父さんが理想とする野生動物の在り方とは、幻のオオカミを指すのでしょう。大自然の中で、何ものにも囚われず、自由に生きる。それと比べるとシガラミが多く、また人間文化に染まった彼のライフスタイルは、野生動物の美学に欠けるかもしれません。ただし、環境順化を拒否したが故にオオカミは絶滅に瀕したとも言えます。環境に適応しながら、かつ己が信じる生き方を貫き、そして見事に家族を守り切ったキツネ父さんは、まさしくファンタスティックな男という気がします。ただし、私なら妥協しまくってでも、家族を守る道を選びますけれども。『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』ほどアーティスティックではなく、『ウォレスとグルミット』ほどアクションが切れるワケでもない、何処となく垢抜けない印象のクレーアニメ。しかし、それでも信頼のウェス・アンダーソン印。私にとってはお気に入りの一作になりました。
[DVD(吹替)] 8点(2014-06-30 19:58:05)
84.  プレステージ(2006) 《ネタバレ》 
張り巡らされた伏線が次々と回収されていく終盤の快感はまさに絶品。印象的なシーン(潰された鳥、無数のシルクハット、そしてボーデンの台詞の数々等)が脳裏にフラッシュバックされます。はたと膝を打つ感覚が堪りません。“プレステージ(偉業)”、その一瞬の為に“多大な犠牲を払う”主役2人の生き方の対比がドラマのメインストリームでした。ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベイルが濃厚な人物像を見事に体現してくれています。唐突なSF設定があまりに荒唐無稽ゆえ、拒否反応を示す向きもあるようですが、よく考えれば本作は奇術師の映画。マジックのタネにケチをつけるのは粋ではない気がします。例の流行の映画ではありませんが、“ありのままに”受け入れるのが正しい鑑賞姿勢かと。所謂『難解』映画とは一線を画しますが、解釈に幅があり、かつ奥行が感じられるのが素晴らしいところ。思う存分物語の“裏側”を推理推測して愉しんでください。その中でも最重要ポイントと思しきものは次のとおり。ステラが発明した“瞬間移動マシン”の隠された効用に最初に気づき、実用化したのは一体誰だったのでしょうか?
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-06-24 18:57:23)
85.  七夜待 《ネタバレ》 
ハセキョウガエロイ。
[DVD(邦画)] 3点(2014-05-21 18:07:10)
86.  コワイ女 《ネタバレ》 
オムニバス作品のため、1話ずつ感想を述べます。まずは『カタカタ』から。最も分かり易かったのがコレでした。得体の知れない女に追いかけられる恐さ。もちろん女の髪はロング。定番ですね。ただ怖いっちゃ怖いけど、ベタすぎてギャグっぽくもありました。中越典子の演技は型どおりで低調と感じます。次に『鋼』。正直分かり難くいです。けど、コレが一番気に入りました。本作のコワイ女“鋼”は、ほぼ出オチ状態。怖いというより気持ち悪いです。ただ御御足はすこぶる美しく、そこにエロスを感じました。上半身は見えなくても、かわいく思えてくるから不思議です。最後に『うけつぐもの』。前2話は女の容姿に工夫を凝らしていましたが、本作はその細工は一切なし。内面の怖さに焦点を絞っています。恐怖の演出は控えめでした。3話それぞれに切り口を変えており、全体的なバランスはいいと思います。ただ、どの物語にしても起承転結がおざなりで、物語の体裁を成しておらず消化不良でした。コワイ女はみなチャーミングでしたが、その魅力が怖さに繋がっておらず勿体ないと感じました。
[DVD(邦画)] 5点(2014-04-18 20:25:13)
87.  親指さがし 《ネタバレ》 
近年の邦画ホラーは、『リング』『呪怨』等“呪い系”が流行しています。まずこの先入観にを利用されました。「親指さがしはサキの呪い」という一枚のFAX。一連の事件を呪いの仕業であると観客に思い込ませます。『リング』の電話にビデオテープ、『着信アリ』のケイタイのように、最近の幽霊は電子機器がお好き。FAXというチョイスは絶妙です。また文章にも配慮が感じられました。本来なら「お前たちを呪ってやる」と書きたいところ。でもそうは書けないから「親指さがしはサキの呪い」な訳です。少女が自分のことをサキと呼んでいるとも読めますし、第3者からの忠告とも受け取れます。情報は曖昧でOK。どうやら呪いっぽいと観客に感じさせれば十分です。後にFAXの送信者は明らかになりますが、“何故三宅のFAX番号を彼は知っていたのか?”という問題が発生しないのもお見事です。三宅の職業は番組制作会社のAD。彼の職場に様々な情報が集まるのは不自然ではありません。再三再四、「これは呪いではない」とする主張するキャラが出てくるのも、逆に“呪いは存在する”という方向へ観客を誘います。アイドル三宅のキャスティングにも意味がありました。「少女の呪い説」へ観客を見事にミスリード。ただ、残念ながら怖くないのです。三宅が目にする霊現象(妄想)はどれも抑え気味。ネタバレ後の三宅の狂気の演技には閉口しました。終盤にきて、大ブレーキがかかってしまったのは残念です。少女の死亡場所もどうにかならなかったものかと思います。でも『着信アリ』とか『着信アリ2』とか『着信アリFainal』みたいな、ビックリドッキリお化けホラーより、印象は悪くありません。
[DVD(邦画)] 6点(2014-04-18 20:17:26)
88.  トロピック・サンダー/史上最低の作戦
アクション映画としてなかなかの出来。大量の火薬が使用されているだけで、もうちょっと嬉しいです。制作費を存分につぎ込んだ悪ふざけ。いいじゃないですか。役者もご贔屓の芸達者ばかり。当然文句はありません。でも残念ながら笑えませんでした。「ここは笑うところ」というポイントは理解できます。でも冷静にそう思っている時点で楽しめてない証拠。これは完全に自分に非がありました。パロディの元ネタとなるオリジナル戦争映画をほとんど観ていないのです。気づいたのは『プラトーン』くらい。本作は見た目以上に間口の狭い映画と考えます。戦争映画をもう少し鑑賞してから再度挑戦してみたいと思います。
[映画館(字幕)] 6点(2014-04-12 22:25:19)
89.  墨攻 《ネタバレ》 
原作未読ながら、私は横山光輝の『三国志』の愛読者です。さらにPCシュミレーションゲームの『三国志』や『信長の野望』なんかも大好物。そもそも本作の設定自体が大好みなのです。さらに墨家の思想も日本人には受け入れ易いもの。「兼愛」「非攻」の精神は、専守防衛を掲げる日本の現行体制に極めて近いと考えます。ですから、すんなり物語に入ることが出来ました。日本の“いくさ”よりも数倍派手で容赦がない攻城戦は見応え抜群。戦いに対する考え方が、大陸と日本では明らかに違う気がします。風土や文化と戦争は密接なものでしょう。絶対的な人口数の差異ゆえか、日本より中国の戦争の方が命が軽く見えます。だからより一層、命の重さを説く革離に共感できたのかもしれません。でも彼は、城は守れても愛する女一人守れなませんでした。意味が無いとは言いませんが、あまりにも悲しいです。人が在るから国が在り、国が在るから人が在るのだと思います。どちらが重いという問題ではありません。理想を捨てたら意味がない。でも理想ばかりでは生きていけない。人間に課せられたジレンマは、これまでも、そしてこれからも、ずっと続くのだと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2014-04-07 19:46:48)
90.  魁!!男塾(2007) 《ネタバレ》 
週刊少年ジャンプ黄金期を支えた名作(迷作)漫画『魁!!男塾』。30代男性の認知度は相当高いと思われます。かくいう自分も直撃世代。しかし「あらすじ」はほとんど知りません。忘れたのではなく、最初から知りません。でも結構読んだ記憶はあるのです。待合室で、本屋の立ち読みで、時間潰しに最適な漫画でした。“読み切りでもないのに一見さん大歓迎”。これが原作漫画の特徴と考えます。画の迫力と勢いだけで読ませてしまうパワーがありました。本作はそんな原作の特性と魅力を、見事に再現していると感じます。主演も務める監督をはじめとした、演者の“理解”が素晴らしいのでしょう。世界観がブレません。大真面目にバカをやる清々しさ。ある意味、厳粛とも取れるバカワールドです。その結果、狙ったネタは全てスベっている(注:正確には作品世界に同化している)のですが、そうでない部分で爆笑しました(例:急にリアルファイト風に様変わりする桃VS伊達戦。一号生の中に混じっているオッサンとか)。松尾率いる一号生応援団。本格的な振り付けで見栄えがします。要所を締めているのも好印象でした。本気具合が伝わってくるから、茶番劇が格別なものに変わるのです。ただし、着ぐるみは本物の熊に変わりませんけども(笑)。軸となる極小路の成長や、桃太郎との友情ドラマの処理が上手ければ、もうワンランク上の娯楽作品に化けた気がします。でも十二分に及第点でしょう。続編を希望です。それにしてもホームチームと瞬間メタルの相方って、何処に出てたんでしょうか?
[DVD(邦画)] 7点(2014-04-07 19:05:35)
91.  実験室KR-13 《ネタバレ》 
『es』と『CUBE』を足して面白味を差し引いた感じ。爽快感が低いのは、タネ明かしが加害者(科学者)サイドで行われたから。バッドエンドだとしても、被害者側から真相に辿り着いていたら多少はスッキリしたと思います。
[DVD(字幕)] 4点(2014-03-21 22:09:14)
92.  陰陽師Ⅱ 《ネタバレ》 
式神“蜜虫”役の今井絵里子。前作製作の2001年は、SPEED解散後ソロ活動2年目の年です。WIKIによると2000年には初舞台を経験しており、女優の道も模索していたのかもしれません。前作での目立った活躍はなし。台詞もほとんどなかったと記憶しています。ただニコニコしていただけの印象。蜜虫役が今井絵里子である必要性は何処にもありません。彼女目当ての観客動員も見込めないでしょうし。にもかかわらず、再度今井を起用した製作サイドを私は高く評価します。続編でキャストが変更になる事ほど、ガッカリするものは無いからです。それが本作唯一の賞賛ポイントというのも寂しい気がしますが。
[地上波(邦画)] 4点(2014-03-18 18:29:42)(良:1票)
93.  陰陽師
自分専用のホームシアターで、ロッキングチェアーに揺られ、高級猫を撫でながら、ブランデーでも傾けて、こういう映画を楽しめるようになったら、本物の大人だと思います。
[地上波(邦画)] 5点(2014-03-15 04:23:08)
94.  ゾンビランド 《ネタバレ》 
“32のルールを駆使して生き残れ!”というキャプションは少々大げさながら、確かに劇中指定のルールを破らなければゾンビ世界を生き抜くのは難しくないと思えます。事実、危機感はあまり感じられません。この温めの空気感が気に入りました。こんなに和んだ気持ちで観たゾンビ映画は久しぶり。ですから、終盤戦4人全滅モードに突入した時には焦りました。なんだよ、結局お決まりバッドエンドパターンかよと。なので、この結末で個人的には万々歳。ただしヒロインを救い出した直後のシーンに異議があります。終始徹底していた「2度撃ち」を何故この場だけやらないのでしょうか?キスの最中に頭にズドーンとやってこそゾンビ映画でしょうに。本作が米国で支持された理由の一つは、「トゥインキー」やローカルな地名、ビル・マーレーを本人役でキャスティングしたセンスに有ると思われます。このニュアンスは日本人には理解し難いところ。トゥインキーは「うま○棒」、ビル・マーレーは竹中直人あたりに置き換えてみればいいのかな?それにしても、ビル・マーレー。ゾンビメイクでゾンビに間違われて殺される。あれはある種の自殺だと考えますが、最高のギャグでした。希望の無い世界で考えるのは、どう生きるかではなく、どう死ぬかなのかもしれません。梅図かずおの『漂流教室』よろしく希望の象徴“遊園地”を目指した主人公たち。彼らだって其処が本物の楽園だとは思っていないはず。手ごろな死に場所を探していたのではないかと。「ヒーローになるな」というルール破った主人公。それは価値観の転換を意味しました。自分の命よりも大切な命の存在を認めること。世界を生きぬくためのルールは、“自分がマシに死ぬための注意書き”ではなく“家族を守るための約束ごと”に変わったのだと思います。決して4人の未来は明るくはないけれど、今彼らが抱いている希望は、本物です。
[DVD(字幕)] 8点(2014-02-28 20:08:35)(良:2票)
95.  コラテラル 《ネタバレ》 
タクシー運転手はこう言います。今の仕事は“つなぎ”だと。将来、会社を経営するための資金集めをしているだけ。殺し屋は言います。人口60億のうち、一人や二人消えたって影響ない。殺しを躊躇う理由はないと。2人の言い分は似ていると思いました。共に自分の心を偽るために、言い訳をしているように見えます。マックスは夢が適わないことに気付いています。ヴィンセントも人殺しに胸を痛めている気がします。現実から逃げているのです。でもそんな事、認めたくありません。今までの自分を否定することだから。自身を欺いてきた時間が長ければ長いほど、もう怖くて振返れないものです。一流の腕を持ちながら、仕事に誇りを持てない2人。不幸なことです。でも決して珍しいことではありません。双方、触れて欲しくない部分を罵倒し合います。それは刀を抜いたのと同じ。もう後戻りは出来ません。タクシー横転以降の展開は、2人の意地のぶつかり合いだったと思います。もはや理屈じゃなく。決着をつけなくては気が済まないのです。親友同士のケンカに似ているかもしれません。その結末が胸に沁みます。何故ヴィンセントはマックスを殺さなかったのでしょうか。スゴ腕のプロが、撃ち合いで遅れを取るはずがありません。そもそもタクシーから脱出した時に撃ち殺さなかったのはおかしな話。つまりヴィンセントは彼を殺したくなかったのだと感じます。共感か、リスペクトか、あるいはマックスの中に自身の姿を見つけたからでしょうか。胸中は分かりません。でも自分の心に正直だったから、ヴィンセントは負けたのだと思います。“殺したくないから殺さなかった”。自分に正直であることは、なんと難しいことでしょう。
[DVD(字幕)] 8点(2014-02-24 22:49:56)(良:1票)
96.  MIND GAME マインド・ゲーム(2004) 《ネタバレ》 
多数挿入される心象風景。それは記憶の断片であり、刷り込まれてきたイメージの産物。頭の中に蓄積されたデータを具現化する作業は、ことのほか危ういもの。ゆえに幻想的。そして魅惑的です。でも現実に起きている事象とは明確に区別できるので、幻想的であっても幻惑はされません。ただしそれも最初のうち。物語が進むにつれて、虚実の境は徐々に曖昧になっていきます。いや正確には、どうでもよくなるのです。現実と非現実を分けることが、意味を成さなくなります。一方主題は、その姿をどんどん顕にしていきました。この手の作品にありがちな、“結局何が言いたいのか分からない”とはならないのも素晴らしい。いくら表現が魅惑的でも、テーマが伝わらなければ意味がありません。イマジネーションのコラージュ、テンションの高低を存分に活かした演出は、本作のテーマ“生きることとは何ぞや”を、より深く、強く、観客の心へ届けることに成功していると思います。とりわけアクションの疾走感は極上で、娯楽作品としても一級品でした。マイナス要素になりがちな今田耕司ら素人声優陣についても、本作の場合はベストキャスティング。テーマが気恥ずかしいくらいベタなので、声優の演技が過ぎると説教臭くなる恐れがありました。“上手くないほうがいい”ということもあるのですね。アイデ自体は目新しくないかもしれません。しかし鑑賞中、鑑賞後に覚えた心の高揚は、本作が傑作であることを如実に物語っていました。実写に勝るアニメーションの優位性を十二分に発揮した本作。自分には10点以外の点数を付ける理由が見当たりません。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2014-02-19 20:47:18)(良:1票)
97.  ライフ・アクアティック 《ネタバレ》 
彦摩呂が映画評論家なら、「豪華俳優陣の玉手箱や~。これは、好きな人にはタマラン味ですなあ~」と宣いそうな映画だと思いました。要するに、コメディとして微妙な出来だと。日本人には馴染の薄い笑いの体裁ですから。例えば、ドリフターズ、ひょうきん族、吉本新喜劇、ごっつええ感じ。私世代の日本人なら、これらが代表的な笑いの教科書でしょうか。あとオールナイトニッポンかな。ボケがあってツッコミがあり、フリがあってオチがあり、スカしあり、天丼あり、ナンセンスあり……。笑いのスタイルは刷り込まれています。学習済みのオモシロ信号なら、何時だって受信感度抜群です。バッチコイ。ところが未知の笑いはチューニングが大変です。巨人がルーキー投手を打てないのと同じ理屈。中盤まで球筋を観察するのに必死でした。ついにリズムを掴んだと確信した瞬間は、研修生が斬られる場面。爆笑でした。結論。とっつきは悪いが、コメディとして十分笑えるという評価です。演出面でのお気に入りは、船の断面描写。もう無条件でワクワクです。宮崎駿監督が撮りそうな画だと思いました。音楽は文句なく一級品でしょう。音楽が素敵な映画は、それだけで採点が甘くなってしまいます。しかし、それ以上に心を掴まれたのは、主人公ズィスーのパーソナリティでした。自分勝手な目立ちたがり屋で、家来を従える裸の王様。彼の根底にあったのは孤独感だと感じました。一人ぼっちで海の中に潜っているような。降って湧いた息子に肩入れしたのも、寂しさゆえのこと。それにしても、まさかあんな別れが待っていようとは。運命とは無慈悲なものです。でもズィスーは遂に手に入れました。いや既に手に入れていたのです。どうしても欲しかった家族を。孤独極まれる深海で、そっと寄り添ってくれる仲間は、紛れもなくファミリー。富や名声よりも、ずっと価値があるはずです。エピローグも素晴らしい。お揃いの赤い帽子と制服で、今日も冒険を始めよう。一人ぼっちじゃないライフ・アクアティック。息子ネッドの魂と共に。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-01-31 18:59:26)
98.  デッド・サイレンス(2007) 《ネタバレ》 
(結末が命の映画です。未見の方は観賞後にお読みくださいますようお願いします。)  ワン監督はサスペンスにおける“どんでん返し”の使い方と意味をよく理解していると感じます。①種明かし→②フラッシュバックで伏線回収→③間を置かず終幕。出世作『SAW』と全く同じ手法ですが、その手際の正しさを再確認しました。まるで極上のマジックを観ているような。特に重要なのが③と考えます。“そう言えば○○はずっと××の側に立っていたな”とか“××の顔色は異様なほど悪かった”という監督側の言い分のみを聞かされ、驚いているうちにすかさずエンドロールへ。余韻など無し。でも、じっくり検証されると粗が見つかってしまう訳ですから、このやり方が正解。詐欺や違法商売の店舗の店仕舞いが早いのと同じ理屈です。DVDにはアナザーエンディングも収録されていますが、オリジナルが○○=自動人形(byからくりサーカス)と読み取れるのに対し、アナザーエンディングでは“魂を売り渡した人間”と定義しています。後者の方が理に適いますが、その分説明に時間を取られています。ここで重要なのは、前述した通り速やかにお話を終わらせる事。1分でも30秒でも早く。観客に考える暇を与えないために。そういう意味で、オリジナルの結末が選ばれたのも納得なのでした。また感心するのは、どう転んでもバッドエンドにしか行き着かない脚本ではなく、主人公の選択次第ではハッピーエンドも望めた点。例えば人形が届いた段階で警察に引き渡していれば、主人公夫婦は無事だったはずです。酷い目に合うには、それ相当の理由があるのも自分好みでした。キャスティングも満点級。中でもメアリー・ショウとエラ役の女優さんのハマリ具合が素晴らしく、世界観構築に大きく貢献していたと思います。主人公は彼じゃなくても良かった気がしますが。勿体なかったのは、奥さん妊娠の件をさらりと流してしまったこと。あそこは旦那(主人公)がキレなきゃいけません。ドラマ要素をおざなりにしたのは、いただけません。本作は初見が全て。内容確認のために二度観る映画ではないでしょう。手品のタネは追求しても良い事はありません。素直に騙されておくのが正しい見方かと。
[DVD(吹替)] 8点(2014-01-07 18:31:53)(良:1票)
99.  アダプテーション 《ネタバレ》 
物書ならば、おそらく誰でも一度は考え付くであろうアイデア。でもほとんどの作家が実際に作品化しないのは、作品にしても面白くないから。寝てみる夢を他人に語ってもつまらないのと同じように、この面白さは当事者でないと理解できない範疇のもの。それに、どうしても独り善がりな表現になりがちです。そういう意味では、本作は作者の体験(脚本家の苦悩)を客観的な娯楽性を担保しながら具現化出来ていたと思われます。及第点以上。夢と現が混在しているのに、それを観客に意識させないのは高等テクニックと言えましょう。もっともその大部分をニコラスの頭髪が担っている気がしないでもありませんが。「志村、うしろ~」と同じノリで、「ケイジ、あたま~」と何度口にしたことか。ニコラス・ケイジの鳥の巣ヘアーに敬意を込めて+1点進呈。自虐的過ぎて、イマイチ笑うに笑えないのがもどかしいところ。
[DVD(字幕)] 7点(2014-01-04 17:58:53)
100.  ヒルズ・ハブ・アイズ 《ネタバレ》 
胸糞悪い物語を“面白い”と評することに若干の躊躇はあるものの、率直に言ってしまえば面白かったです。家族が惨殺されたにも関わらず、心安らかなのは何故でしょう。それは命に代えても守りたい幼子を無事救出できたからです。また自らの手によって復讐が成し遂げられた事にも価値があります。同監督の『ハイテンション』、あるいはイーライ・ロス監督の『ホステル』でも描かれていますが、つくづく報復は甘美だと思います。その爽快感は麻薬。道徳や倫理、法律といった“人間の知恵”で普段は本能を抑制していても、一旦タガが外れれば歯止めが効かなくなります。ムコ殿の場合は、指を切断された事がキッカケでした。拳銃を握ることさえ嫌悪していた彼が、躊躇無く人の頭に斧を振り下ろせるのです。敵を痛めつけることに快感を覚える自分が恐ろしいと感じました。もっとも其処まで追い詰められなければ、殺し合いに踏み切れないとも言えますが。先進国の民は恵まれています。意識せずとも生存権が保障されているですから。でも、自分と家族の命を守る覚悟を失うのは危険で愚かなことだと思いました。銃器を有し訓練を受けていた元警官が不覚を取り、犬が一番役に立った事実をどう受け止めるべきか。本作は意外なほど重いテーマを孕んでいると考えます。最後に「被害者家族が取るべきだった正しい行動」を日本の政治家にたずねたら、どんな答えが返ってくるか想像してみました。A議員「脅威を確認した時点で速やかに先制攻撃を仕掛けるべきだった。アジトに乗り込んで敵を殲滅せしめれば被害は最小に食い止められたはず。」B議員「紛争地域に赴く事は賢明ではない。この家族は専守防衛に徹し、警察に無法者の確保を依頼するのが望ましい。」C議員「加害者もまた核実験の被害者だという事を忘れてはなりません。憎むべきは核兵器です。亡くなられた皆様には哀悼の意を表しますが、被害者家族が問題解決の手段を暴力に求めたのは如何なものか。対話による相互理解こそが平和な世界を創り出す唯一の道だと信じています。」あなたなら、どの議員に投票しますか?
[DVD(字幕)] 7点(2013-12-27 19:37:33)(良:1票)
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