981. 若草物語(1949)
まず最初に何が起こってるのか分からなかったのですが、これはベスとエイミーをそのまま入れ替えてるんですよね?何でそんなことするかなあ・・・この4姉妹は、ベスが三女でエイミーが四女というところに味わいがあるのに。で、それはさておいても、この話を映像化する場合は、4姉妹の個性や長所や短所をいかに際立たせるのかが勝負なのですが、やはりそこまでは到底手が回ってないですね。しかも、続編部分まで含めて2時間強で駆け抜けてしまうので、各エピソードの掘り下げもできていません。それと、ジョーの声が酒焼けしているようになっているのも気になります。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-05-24 01:01:38) |
982. アダルト♂スクール
《ネタバレ》 結局、肝心の「クラブ」なるもののディテールが練られていないので、いくらそれっぽいシーンを重ねられても、別に笑えないのです。最後の課題突破云々のところも、別にメンバーの個性とも関係しないし、その辺の学園ものと変わらないんじゃない?あと、ジュリエット・ルイスの登場があれだけって、それはほとんど詐欺レベルでしょ・・・。 [DVD(字幕)] 3点(2020-05-21 00:57:52) |
983. ビリー・リンの永遠の一日
《ネタバレ》 アン・リーがこんなシニカル目線100%の作品とは珍しいな、と思いながら見始めたのですが、やはり前半は今ひとつぎこちないというか、「周りの無邪気で脳天気な人たち」が類型的で面白くないというか。ただ、ショウが始まってからのいろんな収斂がもたらす引き締まり力はなかなかでしたし、気がつけばきちんと話を1日のうちに収めている(回想とかはありますが)様式美も評価したい(その点からすると、この邦題は原題よりも良い)。それから、チアガール役の彼女は、ちょっとはにかんだ感じがアメリカン・ヒロインには珍しくて、良い感じではないですか?ほかの映画にはあまり出ていないようですが。●難点は、やっぱり主演の彼の演技力がこの物語の標準に達していないこと。それと、敵ボスみたいな存在のあの役がスティーブ・マーティンって・・・何をどう真面目に悪ぶって演じても、あなたはいつでも歌って踊り出しそうな雰囲気満載であり、真剣にやればやるほど笑いが出てきてしまいますから、無理をしないでください。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-05-19 00:26:13)(笑:1票) |
984. エリシャ・カスバートの ラブ・ゲーム(TVM)
《ネタバレ》 とりあえずこの邦題は「ニコール・キッドマンの恋愛天国」に匹敵するほど最悪でありまして、中身はラブゲームでも何でもありません。ギャンブルにのめり込んで着実に破滅してしまう女子高生(!)を対象としたものであり、かなり真面目です。ドラッグや酒にのめり込むというのは映画作品ではありましたが、ギャンブル転落を正面から描いたものって、意外と珍しいんじゃないのかな。で、そのように志は高いんですが、それを見落とす両親とか周囲が何とも甘いというかほとんど節穴で、それだけハードルが低いと、逆に破滅の生々しさが感じられないのがやや残念。ただし、オチは強力だと思います。 [DVD(字幕)] 5点(2020-05-18 00:40:10) |
985. 続・男はつらいよ
《ネタバレ》 初期の基盤形成時期だからそうなんだろうとは思うが、後の作品とは色合いがかなり異なっている。まず、前半の母親絡み、終盤の散歩先生との死別関係など、寅が泣いているシーンがやたら多い。また、そもそも人の死別に寅が直面するというのも、このシリーズでは珍しいのではないだろうか。よって、全体に何か重い雰囲気が漂っています。それと蝶々さん、こういうホノボノ世界の中でこの人が本気出すと、どんな短時間の出演でも全部持っていってしまうというか、動物園の愛玩系の動物の中に猛禽類を放り込んだみたいというか。 [DVD(邦画)] 5点(2020-05-17 00:14:30)(良:1票) |
986. ロープ 戦場の生命線
《ネタバレ》 自らの身を危険にさらして紛争区域で奉仕活動に邁進する人たち・・・ということでどんなシリアスで壮絶なドラマになるのかと思っていたら、ものすごく作り方がコメディチックなのです。ところどころの微妙な間のとり方とか。で、途中からどんどん場面が移っていって、この辺はややダレなくもないのですが、最初の話はどこへ行ったんだ?となったあたりで、さらりと元の井戸に帰着する。これで元通りに引き締まりました。その後も、現実の厳しさをちりばめながら何となく終幕に向かうのですが、あの数秒間のラストは思わず唸ってしまったので+1点。 [DVD(字幕)] 6点(2020-05-15 00:49:26) |
987. 格闘技オリンピック 四角いジャングル
《ネタバレ》 著名な格闘家をいろいろ取り扱った前2作から一転、今度は「腕っぷし日本一」大会にエントリーした素人にスポットが当たる(小芝居風の一幕もあり)。ただ・・・だから何だ、という気もちょっとしてしまいますが。空手家・中村誠の「百人組手」への挑戦などを経て、後半は猪木・ウィリアムス戦に照準が絞られている。しかしこの試合、さんざん事前に煽っておいて、(しかも一度やり直しているにもかかわらず)このような中途半端な結論だったんですね。とはいえ、本当に真剣になった勝負はそんなもの(そうそうドラマチックにはならない)、という逆説的な真理ともいえなくもない。 [DVD(邦画)] 4点(2020-05-11 19:19:27) |
988. 激突!格闘技 四角いジャングル
あれこれ詰め込んでとっちらかった感のあった前作から、今回はきちんと焦点が絞られています。大まかにいって、プロレス・極真空手・キックボクシングの3本柱で、特に、猪木・ユキーデ・藤原の3選手にスポットが当たっています。ほとんどは試合風景であり、もちろんその迫力は圧倒的ですし、ナレーションによる解説も割と丁寧で悪くないです。が、結局は「この試合はこう進んで、こうなりました」で終わっているので、その後とかその周辺(つまりその試合が意味するもの)もきちんと見たかった気がするなあ・・・。 [DVD(邦画)] 5点(2020-05-09 00:40:31) |
989. 落葉とくちづけ
ヴィレッジ・シンガーズ主演作の第3弾。しかし、駆け込みで作った感満載なくらい、前2作に比べると内容がしょぼくて・・・大体、ヒロインのはずの姉妹に向けた(ヴィレッジ側の)視点がぶれぶれで、制作側は何をさせたいのかが分からないし、終盤の継ぎ接ぎの適当さ加減は、脚本家が締切に追われて2時間くらいで書いたんじゃないかと思ってしまうくらいです。役者陣もどうやっていいのか困っているのがありありですが、唯一しっかりはじけている香山美子は、後の開花の萌芽を見せつけてくれます。ヘルプゲストはオックスです。 [DVD(邦画)] 3点(2020-05-06 21:13:06) |
990. 好きにならずにいられない
《ネタバレ》 絵に描いたようなキモデブヒキオタのオッサンが、嫌々ながら行った(行かされた)ダンス教室で、ちょっといい感じの女性にめぐり会うというお話。というだけで見えてくるものがありますが、もうひたすら、その描写の一つ一つに、「やめてくれ~」と堪え忍び、悶え苦しまなければなりません。この情け容赦ない絨毯爆撃ぶりは、「ルーカスの初恋メモリー」にも匹敵します。見る者全員のトラウマを、これでもかというくらいえぐり出してくれます。「あっだから、ほらそこ!真に受けちゃだめだって!絶対後で泣きを見るんだから!ほ~らやっぱり~」みたいな感じで。で、後半はやや意外な裏も出てきたりして、主人公も若干格好良く見えなくもないのですが、ラストの切なさは、やっぱりそう来たか、です。ただ、そうした中で、見終わった後には不思議な安らぎも湧いて出てくるという、何とも始末に負えない作品です。だって、もう1回見たくなってしまうではないか。 [DVD(字幕)] 7点(2020-05-06 21:03:35)(良:1票) |
991. 男はつらいよ 望郷篇
《ネタバレ》 これはもう完全に「さくらの物語」ですね。最初に寅に説教をかまし、寅が就職活動(?)をするとなれば本人以上に真剣に悩み、それなのに寅から理不尽に逆上されてもそれに怒るでもなく、最後に旅立つ寅を一人で見送る。後のさくらの立ち位置がここで完成されています。第1作のラストと並んで、これがあったからこそ後の長期シリーズ化につながった、ともいえるかもしれません。●長山藍子姉は出番遅いんだけど、あのミニスカワンピと浴衣の可愛さですべて許す。●それとびっくりしたのは杉山とく子小母さんの、まるでとらやの一員であるかのような作品世界へのはまりっぷり。と思ったらテレビ版ではおばちゃん役だったんだそうで、そりゃそうだ。●ラストにマドンナがとらや(の関係者)を訪れる、という王道パターンも、ここで確立されています。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-05-04 01:22:46) |
992. 夜の訪問者
《ネタバレ》 何か隠された暗い過去を持っているっぽいブロンソンの前に、その過去とつながっている男どもが現れ・・・と、サスペンスの定番の入口なのですが、その後が実にしょぼいのです。敵側は妙にほのぼのした緩い雰囲気が漂ってるし、ブロンソンは詰めの甘さを発揮しまくりだし(注射とかエレベーター縛りとかあれだけやっておいて、その敵がけろっと当たり前に戦線復帰って、何じゃそりゃ)。終盤に向けての展開も、ネタが尽きてしまって継ぎ接ぎで何とか脚本を上げた感が満載です。リヴ・ウルマンの脚線美に+1点。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-05-03 00:25:05) |
993. 新・男はつらいよ
《ネタバレ》 ものすごく今さらなんだけど、このシリーズって、寅さんがあれやこれやあってマドンナに失恋する話と思ってたんだけど、スタートはあくまでもとらやファミリーの人情譚であって、マドンナはあくまでも媒介またはゲストだったんですね。特にこの作品は、おいちゃんとおばちゃんのフューチャー度が異様に高い(博&さくらと比べてもはるかに出番が多い)。●とはいえ、ここでの小巻ちゃんはさすがに出番少なすぎというか、内面描写がなさすぎかと。前半のハワイ騒動にやたら演出の気合が入っていたため、さらに霞むことになってしまいました。●こういう作品のこういう役柄でも、三島雅夫のジジイは、画面に登場するたびに、何かよからぬことを考えていそうというか、小巻ちゃんに何かしそうというか、そういうオーラ満載ですね(←褒めてます)。●再見して、ラストの寅の旅立ちシーンの丁寧さに驚いた。襖の向こうでの語り、ひっそり店内に座っている寅の一瞬のカット、そして倒れている自転車と車輪の回転。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-04-26 00:17:33) |
994. 犬神家の一族(2006)
《ネタバレ》 オリジナルの方は、後半はグシャグシャだったとはいえ途中まではあの「犬神家」の世界をそれなりに頑張って抽出していた。それから30年も経って、こんな単なる劣化コピーを出すことのどこに意義があるのだろうか。内容もさることながら、そもそもそのような制作者としての志の欠如に対しては、腹立たしさを禁じ得ない。●仮面のネタばらしという一番美味しいカードを途中で切ってしまうとか、それに伴って湖の例のポーズも三種の神器すらも意味がなくなってしまうとか、犯人には原作にあった誇り高さがまったくないとか、終盤の事件解明に至る流れはわざとつまらなく変更しているとしか思えないとか、この辺はオリジナルもそうだったっけ?何でそんなところまでわざわざコピーするの?制作者は本気でそれが良いことだと思っていたの?●で、事件がどうのこうのよりもよほどミステリーとサスペンスを感じたのは、30年経ってまったく変わっていない、時空を完全に超越している大滝秀治神官でした。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2020-04-25 01:38:29) |
995. 白い家の少女
《ネタバレ》 皆さん書かれているとおり、この作品の主役はジョディでなければ務まりません。大げさなアクトはまったくなし、どこまで行っても、身体の芯からじわっと浮き出てくる芝居を貫き通している。溜息しか出ません。●前半は大半が家の中で進行し、このまま戯曲っぽく最後まで行くのかな?と思わせておいて、後半は外にもいろいろ展開する。最後は再び部屋の中の1対1に回帰。床板のバタンバタンの正体と、それに対する決着が、それまでの心理戦の駆け引きとは違ってえらく俗っぽいというかそのまんまなのが難点なのですが、それでも、あのアップにかぶせるエンドロールが、作品を忘れがたいものにしています。 [DVD(字幕)] 6点(2020-04-24 01:23:24) |
996. ザ・タイタニック<TVM>
《ネタバレ》 これがキャメロン版の1年前なのですが、びっくりするくらいキャメロン版と同じ。「SOSタイタニック」にもキャメロン版の元ネタがてんこ盛りだったのですが、これも随所に似たようなシーンや似たような演出があります。違いは、キャメロン版ではしつこいくらいあった室内や廊下の浸水・流水シーンがほとんどないのと、こっちは「救出されて以降」のあれやこれやが割と長い点でしょうか。あとは、こっちは群像劇風なところかな。●全体としては、テレビ用とは思えないくらい、美術も衣装もエキストラも凝っていて、大スクリーンで見ても十分だったのではと思います。前半の豪華絢爛な船内も、後半の徐々に沈没が進む光景も、両方ともきちんと撮っています。これだけで低い点はつけられません。●弱点は、登場人物のほぼすべてがことごとく変というかずれているというか人格的に問題ありなところであり、したがって後半に船が沈んでもあまり悲劇に見えません。何でわざわざそうしたんだろう・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2020-04-23 01:37:06) |
997. 男はつらいよ フーテンの寅
《ネタバレ》 このシリーズの場合、お約束の恋愛沙汰以外にも突然名シーンをぶち込んでくることがあるのですが、この作品ではやはり、テキ屋の大先輩とのあのくだりでしょう。今から考えると、こんな決定的カードをこんな初期作品から切っていたのかと思いますが、当時はここまで長期シリーズとなるとは誰も思ってなかったのかもしれません。●新珠三千代が登場したときには、てっきりどこかで、寅が一席ぶっていた「酒の徳利を置いたら絶妙なタイミングで人肌温の次の徳利が出てくる」とかのアクションが出てくる(そして寅が「本当にそんなことあるのか?」と焦る)みたいなシーンがあるものと想像していたのですが。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-04-21 00:43:47)(良:1票) |
998. コンラック先生
《ネタバレ》 ハリウッド版「熱中先生」でしょうか?サウスカロライナの黒人しかいない島(というのがあったんですね)にやってきた白人教師が、あれこれ頑張る、というお話です(しかし、場所が台詞の中でちょろっと出てくるだけなので、途中まではアフリカか東南アジアのどこかかと思ったぞ)。で、いろいろハードルはありながらもあっさりクリアしてサクサク進んでいくので、どういう話かは分かったとしても、それで子供たちに何が残ったのかは分かりません。最後にクビになってどうのこうのというのがクライマックスのはずなのですが、主人公の背景描写がないので、誰と闘っているのかも分からないし・・・。あと、この手の作品だったら、生徒の何人かに焦点を当てて、その子の何がどう変化したのかを描出するのは必須かと思いますが、それもありませんでした。 [DVD(字幕)] 5点(2020-04-20 00:32:03) |
999. バッド・スパイラル 運命の罠
社会的に順調な主人公が、ふとしたトラブルから危機に見舞われ、それを解決しようとして泥沼に・・・という一つの定番サスペンスなのですが、いろいろ頑張ってはいるのです。父親を探す青年とか、その友人とか、逆に主人公の妻とか、周辺ストーリーを細かくちりばめて、とにかく飽きさせないようにしています。が、根本のところで、登場人物中にまともな冷静な判断をしている人が1人もおらず、というかはっきり言うと全員アホなので、一方でイライラ感には終始つきまとわれるのです。途中からの主人公の行動も、まったく説明がつかないというか、ほぼ破綻してないか? [DVD(字幕)] 4点(2020-04-18 01:03:01) |
1000. 風来坊探偵 岬を渡る黒い風
風来坊探偵シリーズ第2作。今回は、馬から車には進化してます(笑)。しかし、固定した事務所まで構えていてどこが風来坊なんだという突っ込みを感じさせつつも、都合良く事件の捜査に乗り出します。共通キャラは主人公のみであるにもかかわらず、役者の多くを前作から使い回しているのも微笑ましさを醸し出しています。で、今回の弱点は、敵キャラをいろいろ重層的に設けた結果、かえって全体がごちゃごちゃしてしまっていること。凝ったつもりなのでしょうが、前作の魅力だったシンプルさがなくなってしまいました。探偵とライバルのキザな会話はしっかり前作を継承しており、こういうところは現在の脚本家も見習ってほしいものです。 [DVD(邦画)] 5点(2020-04-10 00:13:04) |