1141. 非・バランス
いじめに傷ついた心と子供から見た大人の世界ってことで、小・中学生には良いかもしれません。しかし、(原作が児童文学らしいので仕方ないかもしれませんけど)大人が観るには少し辛い出来。中途半端にファンタジックな演出は、フワフワと浮ついてる様で座りが悪いし、子供の心の「アンバランス」に、安っぽい原因と結果を示してるのも面白くない。本作を観ると、同じ様にアンバランスな中学生を描いた「害虫」が、いかに優れていたかが解ります(ま、宮崎あおいが相手じゃ分が悪すぎる様な気もしますが…)。この映画は逆R-15(15歳以上、視聴制限)に指定したい、5点献上。 5点(2004-11-12 00:53:04) |
1142. 完全なる飼育 愛の40日
≪完全なる飼育完全制覇・その2/獲物=深海りえ≫ 最初っから全く初々しくない深海りえの「パパになってください」に続いて出てくる台詞が「UFOを探してたんです」って…、この不条理感爆発のオープニングに前作から引き続き唖然。そして前半をほとんどすっ飛ばしていた前作に対し、こちらは前半を比較的リアルに描いていく。しかし後半は前作の方が原作に忠実。女子高生側の視点で物語を進めるのも良いですけど、深海嬢の棒読みによるナレーションが入る度に苦笑してしまう。場所が判れば是非行ってみたい、治外法権的性行為空間と化している公園にも爆笑してしまった。それにしても「続編」ではなく、際限なく「リメイク」され続けていくシリーズってのも凄い。これは「富江」シリーズ並の増殖力ですネ、4点献上。 4点(2004-11-12 00:52:39) |
1143. シベリア超特急3
≪コンプリート・シベリアン・エクスプレスPart 3≫ これは余り面白くなかったなぁ。これじゃテレビのサスペンス・ドラマと全く変わりないじゃん。製作規模は更に拡大したようですけど、もうそんなことには驚かない。閣下も影が薄過ぎ。前作の「やめたぁ~」みたいな殺人的爆笑シーンも無い。確かに映画としての出来は一番良いですけど、誰も「シベ超」にそんなものを求めてないんじゃないですか? 「シベ超」を極めるのではなく本格ミステリーを目指すなら、中途半端にしないで、推理作家と脚本家を総動員して「オリエント急行殺人事件」並の作品に仕上げて欲しいです、3点献上。 3点(2004-11-12 00:52:15) |
1144. シベリア超特急2
≪コンプリート・シベリアン・エクスプレスPart 2≫ 何と、普通に面白かった。いや、きっと普通に観せられた場合は、憤慨しないにしても退屈だったとは思いますが、「シベ超」だと思って観ればとても楽しい作品だと思う。冒頭、新幹線のカットから入る予想を裏切る展開にまずビックリ。前作からはとても考えられないオールスター・キャストにビックリ(SKD時代を思わせる草笛光子の役と脚線美にもビックリ。寺島しのぶに至っては、これが銀幕デヴュー作)。あの「シベリア超特急」の続編だというのに、よくこれだけ製作規模が拡大したと思う。これは快挙です。そしてこのオールスターの中に於いても、「やめたぁ~」のたった一言で、全てをさらってしまうマイク水野は半端じゃなく凄い。映画への愛も充分感じられました、6点献上。 6点(2004-11-12 00:51:55)(笑:1票) (良:1票) |
1145. シベリア超特急
≪コンプリート・シベリアン・エクスプレスPart 1≫ 興行されてはいますが、これは商業映画ではなく、完全な自主映画。その時点で「北京原人」や話題沸騰の「デビルマン」等とは根本的に違う。しかも、これをここまで駄作たらしめてるのは、全て「映画」を作ろうとする熱意。同じ自主映画でも、未だにヌーベル・バーグを気取った「ビデオ映画」を撮ってる馬鹿者共に比べれば、遥かに素晴らしいことです。この映画が(↓)こんなに愛される理由も、ここにあるのだと思います。ところで私が観たのは、本編が「劇中劇中劇(?)」となるバージョン。驚きよりも脱力感を醸し出す二重のどんでん返しには、あきれるよりも、何か嬉しくなっちゃいました。戦争とは全然関係の無い、個人的日常会話で締められたのも良かったです、5点献上。 5点(2004-11-12 00:51:35)(笑:1票) (良:2票) |
1146. 陰陽師Ⅱ
前作から全く進歩の見られない出来。「滝田洋二郎という人にはこういう映画を撮るセンスが皆無」だと「Ⅰ」のレヴューに書きましたけど、相変わらずです。本来なら一本経験して慣れた筈なのに、更に酷くなってるのは何故? そして、人気・実力共に現在No.1の大根役者・伊藤英明君と元スピードの女の子だけで充分鬱陶しかった配役に、深キョンと市原隼人が追い討ちをかけてくる。特に今回は、深キョンが伊藤君以上に酷いぞ。背中からのヌードすら拒否する位なら、最初から出演を断りなさい! ということで、女形姿まで披露して前作同様孤軍奮闘の野村萬斎に、3点献上。 3点(2004-11-09 00:11:53) |
1147. 四谷怪談(1965)
何度も何度も映画化・ドラマ化されてる「お岩さん」ですけど、何時どれを観たのかの記憶も霧の中。たまたま鑑賞の機会に恵まれた本作は、個人的な「四谷怪談」のイメージとは大分かけ離れた印象でした。仲代達矢演ずる伊右衛門は、自らの出世欲の為、手当たり次第に人を殺していく極悪人。そして岩の怨霊に取り殺されると言うよりも、欲が高じて狂い死ぬと言う感じ。岩の無念や哀しみの物語でもないし(お岩さん・岡田茉莉子よりも、その妹・池内淳子の方が目立ってた様な気も…)、ホラー描写もほとんど無い。何か怪談じゃなくて、痴情小話風に仕上がってました、5点献上。 5点(2004-11-09 00:10:58) |
1148. 東海道お化け道中
本格時代劇路線に戻った大映妖怪シリーズ第三弾は、ヤクザ同士の争いに巻き込まれた幼い少女の逃避行と、少女を守る腕の立つ渡世人の活躍を描く弥次喜多物。東海道の宿場宿場に妖怪達も棲んでいるという設定なので、彼らも無理なく頻繁に登場してきますが、今回は妖怪達よりも人間達の物語が(オーソドックスながら)とても人情溢れる大人向けのドラマになっていて、個人的には映画としての出来も三作中一番だと思います。私もクライマックスでは思わず目が潤んでしまいました。それでもラストは、ちゃんとお馴染みの百鬼夜行で締めくくってくれてますヨ、7点献上。 7点(2004-11-09 00:10:34)(良:2票) |
1149. 妖怪大戦争(1968)
大映妖怪シリーズ第二弾は前作と趣をガラッと変え、妖怪達を主役に据えた派手な特撮映画となってます。特にオープニングのダイモン復活シーンが凄い。古代バビロニア遺跡の遠景、見る見る広がる暗雲、大規模な崖崩れ、そしてダイモンの登場と、恐怖感満点。わざわざ遠い日本まで来て、しかも田舎大名に取り憑く理由が不明ですけど悪役に相応しい迫力です。対する日本の妖怪達は揃いも揃って愛嬌満点。伊豆の妖怪なのに、何故か全員の方言がバラバラなのには笑った(皆さん出身が違うんでしょうか?)。【あまみ】さんの仰る様にクライマックスの、豆絞りの捻り鉢巻もいいです。最近では「さくや妖怪伝」などというしょーもない映画もありましたけど、これは是非現在の技術でリメイクして欲しいと思います、6点献上。 6点(2004-11-09 00:10:08)(良:1票) |
1150. 妖怪百物語
「大魔神」の流れを汲む大映特撮時代劇の新シリーズ第一弾。基本は、悪徳商人と悪代官に苦しむ貧しい町人達に、悪事の内偵を進める隠密の活躍を絡めるという、「水戸黄門」の様に解り易いオーソドックスな時代劇となってます。従って妖怪達の活躍も後半まで待たされますが、「大魔神」に同じく妖怪登場まで、充分本格時代劇として楽しめます。勧善懲悪も徹底して、鑑賞後に親が子供に向かって「悪いことをするとお化けが来るよ」と諭せる仕掛けにもなっている優良映画でもあります。しかも大人も納得のクォリティを保持。これこそ親子での鑑賞をお薦めします、6点献上。 6点(2004-11-09 00:09:47)(良:1票) |
1151. 大魔神逆襲
今回は前二作とはガラッと趣を変え、グッと子供向けに寄った少年達の冒険譚となってます。巻頭に派手なカタストロフを配しつつも、魔神は物語からほとんど関係の無い位置にまで後退。高田美和や藤村志保等の美女の出番も無し。降臨した魔神も完全に子供の味方(一作目では踏み潰そうとさえしたくせに…)。王道お子様ムービー・旧「ガメラ」シリーズの伴映としては、この方が正しかったのかもしれませんが、私的にはやっぱ退屈。そのくせ子供の一人や捕らえられた兄を簡単に殺してしまったり、敵のやられ方等は結構残酷。この辺にもチグハグさを感じてしまいました。ところで今回、魔神には信仰を否定されたり、像を壊される等の直接的被害は及んでない。本作の魔神は一体何に「逆襲」したんでしょうか? 5点献上。 5点(2004-11-09 00:09:08) |
1152. 大魔神怒る
民に慕われる大名が追われ、神をも恐れぬ非道な新大名が政権を掌握。その圧制に苦しむ民。残された若君が反撃を企てるも囚われの身に。土壇場で美しい姫君の祈りが通じて魔神が降臨、悪を蹴散らして自然へと還る…と、お家騒動から隣国の侵略へ、山の神から湖の神へと設定は変われども、基本ストーリーは前作と全く同じ。善悪の区別無かった魔人が、今作ではより正義の味方っぽくなってるので、「十戒」も真っ青のド派手な登場シーンに反して恐怖感もダウン。時代劇として良く出来てることに変わりありませんけど、これなら前作だけで充分だと思います、5点献上。 5点(2004-11-09 00:08:47) |
1153. 大魔神
何というオリジナリティ。何というクォリティ。何というカタルシス。何という恐怖。長い日本特撮史の中でも、確かに「ゴジラ」に匹敵するのは本作しかないでしょう。魔神登場まで引っ張るって言うより、そこまでは非常にオーソドックスながら、人物描写や演出も秀逸な本格時代劇。魔神も単なる庶民の味方ではなく、神の怒りを純粋に具現化した存在でしかない。早速若様を助けるのかと思いきや、磔台は単に行く手を阻む障害物だったらしく、容赦なく放り投げてしまうのには驚いた。そして、小汚いガキは平気で踏み潰そうとするくせに美女には甘いという所など、つい魔神に感情移入(?)してしまいました。平成「ガメラ」シリーズの基本コンセプトは旧「ガメラ」シリーズではなく、むしろ本作にあったのではないでしょうか、8点献上。 8点(2004-11-09 00:08:27)(笑:1票) |
1154. 宇宙人東京に現わる
宇宙人のビジュアルだけは超有名な日本初のカラーSF映画(だそうですが、私はすっかりモノクロだとばかり思ってました)。星に一つ目だけのシュールな宇宙人のデザインは、確かにインパクト重視の岡本太郎らしいですけど、子供にもデザイン出来る様な気も…(汗)。で、話の内容ですが、これまたすっかり侵略物だと思ってたら、さにあらず、「地球の静止する日」と「妖星ゴラス」を足した様なストーリー。全体としてはSFパニック物といった感じでしょうか。宇宙人が美意識に関する皮肉を語ったり(?)する場面もあり、話自体のシュールさからも大映の伝統を感じられました、5点献上。 5点(2004-11-09 00:08:00) |
1155. ソウ
全ては私の先入観の所為。ほとんど情報を仕入れず、「大評判の密室不条理ミステリー」だとばかり思い込んでたので、「数多ある猟奇連続殺人モノの一つ」だったことに、とにかく拍子抜けしてしまった。ラストにしたって「そうだったのかっ!」ではなく、「な~んだ…」程度の印象。うるさい編集と音響にも特別な新味は無い。【六本木ソルジャー】さんの仰る様に、被害者達が全く繋がってこないのが最大のマイナス要因だと思う。どうせ予算も限られてた訳だから、医師、カメラマン、犯人、死体の四人だけに物語を絞って、脚本をもっと煮詰めた方が良かった。ということで、6点献上。 6点(2004-11-03 12:37:18)(笑:1票) |
1156. 父、帰る
公式ウェブ・サイトのトップ・ページには「なんで今さら帰ってきたんだ」を始めとした疑問が羅列してありますが(これってほとんどネタバレに等しいゾ)、それらの疑問はほとんど物語には関係無いと思う。ここには父親と息子の関係性に於ける真理がある。兄にとっては逞しく、全知全能の絶対的な存在。弟にとっては疎ましく、得体の知れない存在。息子にとってはどちらも正しい父親像です。父親は、互いに涙を流して抱き合う様な腑抜けた存在であってはいけない。私は本作を非常に微笑ましく観ました。だから、この不必要な「謎」やラストの展開は残念でならない。映画に過剰な説明は不要だと思いますが、同時に思わせぶりな謎も不要。その所為で本作も、出来損ないのミステリーみたいになってしまった感じです、6点献上。 6点(2004-11-03 12:36:57) |
1157. スナイパー(2002)
《ネタバレ》 いつの間にか黒人B級俳優の帝王として君臨していたウェズリー・スナイプス主演の、原題・邦題から連想される通りのB級サスペンス映画。銃規制を訴えるにはスナイプスの目的が良く解らないし、夫は殺し、妻を逃がしてしまうのも良く解らない。これもまた銃規制を訴える手段だとは思いますが、最後に拳銃自殺してしまうのも非常に後味が悪い。ということで、どうも旗色が悪いようですが、B級らしいポップな演出もあって、久々のリアル・タイム・サスペンスとして、観てる間はそこそこ楽しめました。でも、もう一盛り上がりさせても良かった気もしますネ、6点献上。 6点(2004-11-03 12:36:34) |
1158. えびボクサー
ホントにイギリスって、この手の映画しか作ってないんじゃないか? これもスポ根特撮馬鹿映画と思わせといて、実は「フル・モンティ」等から脈々と続く、お馴染みのダメ人間達の再生奮闘コメディになってます。映画としては、今一つ弾けきらなかったという所でしょうか。近年のイギリス映画には絶対不可欠な失業者達も、映画の中ではいつもながら大活躍ですね。それにしても、これは確かにシャコです。しかしポスター等のPR媒体に載ってたのは、本作にはチラッとも姿を現さないエビ(つーか、こりゃザリガニか?)。これって、完全に景品表示法違反じゃないのか? 5点献上。 5点(2004-11-03 12:36:13)(笑:1票) |
1159. ボイス
ビデオが携帯電話になっただけで、基本設定は毎度お馴染みの「リング」。しかしその設定と、これまたお馴染みの「殺された者が復讐を果たす」という話が、全く噛み合ってない。また、携帯電話、援交男、少女、不妊治療、怨霊女子高生と、エピソードも多過ぎる。最後に全てのエピソードが溶け合ってる様で、全く溶け合わない。演出もジャパニーズ・ホラー風の映像に、ハリウッド風音響を被せただけで、新鮮味の欠片も無い。しかも所々、良く判らない映像が混じる(「見せない」ことと「見えない」こととは全然違うゾ)。これなら「カルマ」の方がまだ良かった。という訳で、3点献上。 3点(2004-11-03 12:35:49) |
1160. 春の日は過ぎゆく
極一般的な恋愛遍歴の1エピソードをそのまま切り取った、切ないラヴ・ストーリー。胸焦がす大熱愛でも運命の大悲恋でもないラヴ・ストーリーが、果たして面白いかどうかは別として、少なくとも本作は、これまでに私が観た恋愛映画の中では断トツにリアル。他愛ない恋愛感情の浮き沈みは、多くの男女の共感を呼ぶ筈(若い人には解らないかな)。特にイ・ヨンエの年相応の老け方と言うか、やつれ方と言うか、盛りを過ぎた等身大の容姿と、リアルに気まぐれな人物造形は秀逸。こういう女性は男の方からキッパリと別れないとダメ。美人なだけに性質が悪い。こうして女の車に傷を付けてた馬鹿な子供も、やがて男になっていくのです(このシーン、私にとっては余りにも予想外の行動だったので、大笑いしてしまった)、7点献上。 7点(2004-11-03 12:35:29) |