101. ロンゲスト・ヤード(2005)
《ネタバレ》 いや、もう、すべてがまったくそのまんまなんです。初期設定から予想できるとおりの。象徴が所長役のジェームズ・クロムウェルでありまして、もう最初の登場シーンから、典型的な悪の権化、それでいて小役人的な小心者という、どこから見てもそのまんまな役回り。これでちょっとでも捻ろうとする制作者なら、もう少し善人そうなキャストを当てて、看守長のフィクトナーとも対比させつつ、いかにも囚人を応援してそうに見せかけて実は、みたいなことも考えるのですが、この制作者にそんな発想は、良くも悪くも、微塵もありません。最初に八百長疑惑があったという設定で、試合展開も必然的に決まってきて、でもやっぱり詰め込んで慌ただしくなってしまいましたね。唯一予想を裏切ったのは・・・クロリス・リーチマン!もしかしてあの下品なオバハンがそうだったのですか? [CS・衛星(字幕)] 4点(2022-07-21 23:51:21) |
102. 春、バーニーズで<TVM>
シングルマザーと結びついて、さらにその後考えが変わっていって・・・と、心理の綾を感じさせるなかなか魅力的な設定なのに、それがまったく生かされていない。各登場人物はうじうじあれこれ考えているだけで、何も前に進んでいません。輪をかけて、役者がみんな揃ってただボソボソ喋っているだけって、制作者は何がしたかったんだろう。ただの人工環境の中の会話もどきだけを延々聞かされても、別に面白くはありません。 [DVD(邦画)] 2点(2022-07-20 23:31:02) |
103. 雲 息子への手紙
とりあえずこの監督が、様々な雲の映像を収めるとともに、息子に宛てた形でのメッセージを朗読していくという作品なのですが・・・雲の映像と言っても、それこそ単に雲を撮影しているだけで、何か際立った表現があるわけではない。超速回しと思われるダイナミックな動きが見られる部分は、それなりの迫力ですけどね。後半になるとネタ切れしたのか、雲というよりも煙とか湯気みたいなもの、さらには単なる風景映像みたいなものまで紛れ込んできます。また、息子へのメッセージなるものも、単なるポエムの域を脱していません。結果、ぼーっと眺める環境BGV以上のものではありませんでした。 [DVD(字幕)] 3点(2022-07-20 02:37:29) |
104. ドリフト(2001)
しかし、一体何がしたかったのか、最初から最後までさっぱり理解できない作品でした・・・。 [CS・衛星(字幕)] 1点(2022-07-08 02:02:02) |
105. マリス・イン・ワンダーランド
《ネタバレ》 現代設定の中で展開する「不思議の国のアリス」という趣なのですが、何ともそれだけというか、企画倒れというか・・・。せっかく元の世界を逸脱しているのだから、もっと思い切って現代劇の方向に振ってしまい、アリスのネタはエッセンス程度、にしてしまった方が面白かったと思うけどなあ。風景が現代に変わっているだけで、やっていることがほとんど童話の世界そのものなので、かえって中途半端感がむき出しになってしまっています。最後の多視点ネタはちょっと面白かったので、点数はそこに対して。 [DVD(字幕)] 3点(2022-07-05 23:55:44) |
106. WASABI
とりあえず広末ちゃんの衣装と人物設定のひどさに、その登場の時点でああこれは駄作決定かな、と思ったのですが、意外に最後までそこそこ楽しめました。広末ちゃんの扱いはとにかくひどいのですが、そんな中でも、あの表情の豊かさや動きの滑らかさ、そして国際俳優のジャン・レノ相手にも臆することのない肝の太さは、今見ても威力十分です。やはりこの人は、生まれついてのスターだったのでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2022-07-02 01:51:21) |
107. TOPLESS(2007)
《ネタバレ》 レズビアンの女の子たちのあれこれというふれ込みなのですが、照準は中心の1人に合っている感じです。ただ、周辺人物も含めて、何かを深く掘り下げるわけではなく、さらっと表面を撫でて終わってしまいました。ところどころ変に安っぽい映像(セット感がまる出しになってしまう)も気になりました。ただし、ラストの時制が飛んでからの2人を描いたシーンの切なさは秀逸で、こういう角度を駆使してもっと立体的に作ってほしかったと思いました。 [DVD(邦画)] 3点(2022-06-23 01:18:27) |
108. ガチャポン
ちょっと暗めの青春群像劇を作ってみようと思ってスタートしたら、本当にそれだけで終わってしまいました、という作品。登場人物に個性も変化も感じられなければ、そもそもみんな同じような芝居をしているので、中身の発展のしようがない。それっぽい雰囲気映像が流れているだけです。 [DVD(邦画)] 2点(2022-06-21 00:58:02) |
109. ベティ・サイズモア
《ネタバレ》 俳優と役の区別がつかなくなってそこにのめり込む(どころか会いに行く)だけだったらライト・コメディなんだけど、そこに導入部の夫をめぐるシークエンスが入ることによって、妙に重くなっている。さらには殺し屋2人から追跡されるロード・ムービーへ。と、普通だったら収拾がつかなくなるところなんだけど、コメディ演技をシリアスにできるレネー・ゼルウィガーという奇跡のキャスティングによって、そこで全部引き締められました。ただ、フリーマンがレネーにのめり込むというのが、写真だけの理由ではどうにも弱いんですよね(フリーマンの重々しさというキャスティングも含めて)。一応、ドリス・デイとか40年代とかいう台詞で説明をつけようとしたっぽいんですが、やはり無理がありました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-06-20 01:19:23) |
110. タレンタイム~優しい歌
何かね・・・最初のコンクール(これがやたら長いのも難点)で、「いろんな国籍の生徒が出てきます」「それがそれぞれ芸を披露します」「その生徒たちがそれぞれストーリーを発展させます」という構成になっている時点で、すでにものすごく人工的であり、設定ありきなのです。だから、いくら感動系やホノボノ系のエピソードを放り込まれても、ぐらつきや揺さぶりが発生しません。そして、登場人物も、与えられたシーンの中でそのとおりに存在しているだけであって、生きていません。マレーシアの映画を見る機会はあまりないので、期待したんですけどね。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-06-18 01:27:25) |
111. ふくろう
《ネタバレ》 シチュエーションの発想は悪くないし、舞台劇っぽいとはいえ映画としての緊張感も維持されている。ただ、いきなり同じような展開で5人が立て続けに処理されるのは、さすがにどうかと思った。警官のところで援護係職員がバッティングして初めて世界が揺らぎ始めるが、本来それをあと2~3人くらい早い場面で起こすところでしょう。また、コメディっぽくしたいんだったら、もっと各訪問人物に個性を出すなり、やりとりを変えていくなりしてほしいところでした。警官と職員が別室に放り込まれてクライマックスを迎えますが、あんな美味しい設定が最後のところだけなんて、実にもったいない。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2022-06-07 01:59:44) |
112. CHARON カロン
《ネタバレ》 見るからに低予算っぽいのだが、脚本を工夫して何とか面白くしようという姿勢は評価したい。勝木がカロンを「呼ぶ場面」などはいろんな心理の綾が交錯して実に強力でもある。ただ、例えば本屋の店員のくだりなどは必要だったのかどうか疑問だし、ヤクザの幹部連がどうこうしている場面もあまり機能していないし、着地点としての喫茶店のシーンはもっと引っ張ってほしかったとも思う。勝木と示現の各視点にもっと徹していれば、良作になりえたのではないか。 [DVD(邦画)] 4点(2022-05-21 23:59:34) |
113. 魂萌え!
《ネタバレ》 アホっぽいタイトルとは裏腹に、真面目な地道なホームドラマでした。まず、主人公に降りかかってくる試練の前提として、寺尾聰というキャスティングが利いている(見る側にも「まさかそんなことはないだろう」と思わせるほどの力がある)。で、その後に主人公に発生してくる変化や視野転換、というテーマはおそらく表向きで、本当の制作動機は、「ひたすら風吹ジュンの熟年の生活色気を引き出す」ではなかったのではないかと思う。それくらい主人公がいい感じにじわじわと絡め取られている。ただそのためのネタとして、カプセルホテルからトヨエツ関係への流れとか、3人の同級生(由紀・藤田・今というキャスティングが絶妙)とかは効果的に機能しているが、息子の描写がステレオタイプなのは残念だし、映画がどうこうというのはかなり唐突。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2022-05-12 21:53:06) |
114. ニュルンベルク軍事裁判〈TVM〉
《ネタバレ》 一番びっくりしたのは、「そもそも裁判所をどこに作るか(物的な意味で)」「判事の構成はどうするか」「手続はどうするか」といった点を一から決めていたこと。まあ確かに、そういうことを決めたルールって存在しなかったのだから、そこから始めていくしかない。しかしその部分にこそこの一連の手続の根本目的が表れるわけであって、いきなり開廷とかではなく、その前置きにもきちんと着眼した点については評価したい。そしていざ開廷してからは、名前だけは聞いていたあの人この人が怒濤の登場です。その中でもゲーリングとシュペーアを対立軸のようにして進むわけですが、ごく限られた時間の描写ながら、それぞれの人物の特質に切り込んでいます。一方で、首席検事と秘書のどうのこうのとか、ゲーリングと看守のどうのこうのとかについては、エッセンス程度に入っているならまだしも、あそこまで時間はとらなくてよかったと思うけどなあ。それならば、ほかの被告人の描写にも時間を割いてほしいところでした。 [DVD(字幕)] 7点(2022-05-05 13:20:03) |
115. アヒルと鴨のコインロッカー
《ネタバレ》 前半がもたつきまくってかったるいとか、逆に後半は解説的映像がしつこ過ぎとか、制作上のアラはいくつもある。しかし、トリックをトリックとして成り立たせることに集中的に軸足を置き、ほかの余計な要素をしっかり捨てている点は評価したい。これがミステリー映画の模範とまでは言わないが、しかしミステリー映画とはこうあるべきだ。書店の多視点描写が何とも美しい。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2022-05-03 23:32:45) |
116. 苺の破片
漫画家は漫画家ですと説明されないとそうであると分からないし、マネージャーもまたしかり。そして、オカマバーの人たちや母親など、周辺人物の描写にも光るところがありません。その結果、登場人物の誰も魅力的でないという困った状態に陥っています。制作者は何がしたかったんだろう。 [DVD(邦画)] 2点(2022-04-26 01:21:52) |
117. 蒸発旅日記
ひたすら「何やら怪しげなシーン」が雰囲気のみで流れていっているだけ。どうです常道の映画からは外れているでしょう、という作為が満ちているので、逆に表現の閉塞性しか感じません。 [DVD(邦画)] 1点(2022-04-24 23:43:48) |
118. 竜馬の妻とその夫と愛人
せっかくの設定が全然生かされていません。まあ、主演にあんなに演技のできない人を当てている時点で志の低さは見えますし、中井貴一も全然合わない役に便利使いされているだけ。鈴木京香の演技にもやる気が見られない。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-04-19 00:34:31) |
119. ベルリン陥落 1945
《ネタバレ》 タイトルからは戦史もの的な内容を想像しますが、それとはかなり違います。原題の「あるベルリンの匿名女性」の方がよほど本質を表しています(そもそも主人公にも役名がない)。すでにソ連赤軍によって包囲されたベルリンのある一角が舞台なのですが、対象はずばり、レイプ対策です。しかも、助けは何もありませんし、奇跡も起こりません。ただそこで起こった出来事をそのまま描いています。多くの作品がこれまで目を背けていたかもしれない場面にも、容赦なく立ち入っていきます。その中で、無力な主人公が持っていたのは、ただ1つ、「絶対に生きのびる」という意志の力だけ。そうであるからこそ、この作品は、今日に生きる我々にも普遍的な価値を有しています。 [DVD(字幕)] 7点(2022-04-18 21:45:03) |
120. ディープ・アンダーカバー
《ネタバレ》 主人公が潜入捜査官として組織の一員となり、重要人物(会計士)を拷問にかける・・・というのが軸なのですが、前半は、時系列を工夫したり、それっぽい示唆・伏線シーンもちりばめられたりと、工夫は見られます。しかし収束のところで、結局その辺を生かしきれず、つじつまも合わずに低調なまま終わってしまいました。まあ大体、キャスティングのフィッシュバーンとクロムウェルというのがいかんでしょ。画面に出てきただけでネタバレに近いです。 [DVD(字幕)] 4点(2022-04-11 00:12:20) |