101. いつか読書する日
《ネタバレ》 設定などは良いかと思うが、作りが甘いというか展開が強引というか。突然ラジオに寝所を綴った葉書を書くのも妙だし、それを読まれている番組を偶然にも男の病床の妻が聴いているというのも妙だ。そしてそれが彼女が書いたのだと確信するのはもっと妙だ。他にも色々。めでたしめでたしとなった後に男が雨の中をフラフラと歩いているシーンになってもしやと思ったらそのもしやだった。死に顔が笑っていただの何だのそんな話はどうでもいい。そこで死ぬのは勘弁だ。なんたる安直。それをやっちゃいけません。そして「いつか読書する日」というタイトルはそれ単体だけ聞くと雰囲気があって良いタイトルだけど、内容の読書する日の意味あいとはかなりずれがある。もっと内容にあったタイトルをつけるべきだったろう。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2008-02-09 17:11:46)(良:1票) |
102. レボリューション・めぐり逢い
《ネタバレ》 裕福な家庭に育ちながら独立戦争でアメリカ側に加担したため家を追われたヒロインだが、そんな甘ちゃん育ちの彼女がどうやって生活を始めたのかという説明も描写もなかったり、再会後に英国軍に襲われて行方知れずになってから、どうやって生き延びたのかも判らない。大体刀で切りつけられたのに、ラストの再会時にはその影響もなくピンピンしすぎではないか。主人公とヒロインとの結びつきもそれほど強いものではない。何故あの程度の結びつきで、歳の離れた主人公をヒロインが惚れるのか意味不明としか思われない。結構な年月をばさばさと切り取っているのは仕方ないとしても、つなぎがかなり雑。歴史をある程度知っていることが前提としてあるような作りでもある。息子が酷い目にあわされた将校を見つけ殺さずに去るのもなんか違う。まあこの恨みはやや逆恨みの感じもしなくもないし、これで良いのかも知れないが。パッとしませんな。薄惚けたお話ではあるが、ただこういった戦争の熱狂によって自分の船が接収され、否応なく戦争に巻き込まれていく様は、そういう人々も居ただろうなぁと想いを馳せるには十分だし、この戦争の最中で英国貴族たちは狐狩りを楽しもうとしたり、馬鹿な仮装パーティを開いていたりして、こういう普通は描かれない戦争の裏側を描いたことについては価値はある。それにしてもDVDの割りに随分画質が悪い。 [DVD(字幕)] 2点(2008-01-29 20:56:08) |
103. ロッキー・ザ・ファイナル
《ネタバレ》 正直今更作るなんて無理がありすぎると思ったが、観てみると意外と無理は感じない。3~5のような酷さはなく、テイストは1&2に近い。ロッキーの真髄は人間ドラマにあるのだと思い知らせてくれる内容。5のような駄作でこのシリーズが終わるよりは、今作のような満足のいく作品で終焉を迎えることが修正できたことはこのシリーズとしても幸福だろう。スパイダーやマリーなど1の影をちらつかせるのはあざといとと言えばあざといが、これもシリーズ最後ならではと思えば特段嫌味には感じない。ただ彼女の息子に自分の息子をダブらせての交流であることは見えてくるものの、処理がかなり中途半端に終わってしまっているのが気になる。この点もう少し詰めて欲しかった。 [DVD(字幕)] 6点(2008-01-29 20:48:35) |
104. 四銃士
《ネタバレ》 DVDカップリング収録だったので「三銃士」に続けて鑑賞。相変わらずどすけべダルタニアン。恋人がさらわれてという話なのに浮気しまくり、こんなんでは恋人が死んでも別に哀れともなんとも思われない。前作同様の内容で、いい加減と退屈の極み。逆に言えば前作が気に入った人なら安心して楽しめるのだろう。 [DVD(字幕)] 1点(2008-01-29 20:28:26) |
105. 三銃士(1973)
《ネタバレ》 実質ダルタニアンが主役とはいえ、三銃士がこれでもかと言うほど目立たない。活躍の場など殆どない。彼等が国の中でどういう位置づけなのかもさっぱり。庶民から食べ物を盗んだりしているし、ただのならず者集団に見える。肝心の強さもあまり際立ったものを感じさせない。戦闘も地味。ストーリーも面白くない。主役のダルタニアンも性格が悪く、妙に女好き。何でこんなに生意気なんだろう。それならそれで出来の悪い血気ばかりの若造ダルタニアンを温かく見守り導く三銃士という構図ぐらい欲しい。作りはアクションコメディという感じだが、アクションも今見ればさっぱりだし、笑いどころも笑えない。これを笑うには時代が違いすぎる。製作はイギリスだが、どこかつまらないフランスコメディを思い出してしまいます。 [DVD(字幕)] 2点(2008-01-29 20:17:38) |
106. 戦国無頼
《ネタバレ》 小谷城落城で落ち延びた三人の男の複雑に絡み合う三者三様の人生を描いていた映画。三人の絡み合い方は中々上手く出来ていて、この辺は原作がしっかりしているおかげだろうか。しかし場面転換、演出などに所々粗雑な面が目立ち完成度は今ひとつ。いかにも大衆娯楽時代劇。黒澤明の匂いがちらちらすると思ったが、脚本に関わっているようで成る程だ。黒澤が撮っていたらもっと芸術性も高められたんだろうなぁ。三国連太郎の若かりし日の映画を初めて観たが、若干間延びはしているが中々格好良かった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-01-29 19:55:24) |
107. 34丁目の奇跡(1994)
《ネタバレ》 基本の流れもエピソードは47年版と一緒でも、当然ながら細部のアレンジがかなり違う。例の子供の要求は家と新しい父親と弟と何故かパワーアップ。強欲ぶりに拍車が掛かりました。判決理由もなんかややっこしい。この部分の吹き替えの方も聞いてみたけど、字幕以上にややっこしい説明のような気がした。子供向けとしてこれはどうなんでしょう。他もあれこれ変わっていて、どうもそれらが改悪に感じられて仕方がない。ライバル社同士が手を組んだりする展開や、最後の杖の演出もないのは寂しい限り。悪くはないけど、47年版に比べると相当落ちると言わざるを得ない。あちらよりも優れているのは母親の心理変化の描き方ぐらいか。 [DVD(字幕)] 5点(2008-01-14 18:22:51) |
108. 三十四丁目の奇蹟(1947)
《ネタバレ》 クリスマスのキャンペーンのサンタに本物のサンタがなってしまうという実にシンプルな発想からの映画。自分がサンタだと言う男を変人と考える人と受け入れる人、様々な人間模様が展開します。実害がないのにもかかわらず施設に入れようとするのはなんとなくアメリカ的だなぁと。夢のある内容でも、個々のエピソードが意外に現実的なのが面白い。ただ気になるのが事情はあるにしろサンタが杖でゴツンと人を殴るのはどうだなんだろう。そして少女のプレゼントに庭付きの家を選ぶセンス。少女とはいえ強欲すぎやしないか。オランダ語しか喋れない子供の「(養女にしてくれる)この優しい人とずっと一緒にいられれば何もいらない」というのとは対照的。話が出来ないと思っていた保護者の前でサンタが流暢にオランダ語で話すシーンは良いシーンでした。あと、母親に思いをよせる弁護士の男も何故あんな現実的すぎる女をそんなに好きなのかが根拠不足。サンタの為に事務所をクビになっても平気な顔をしているほどの奉仕精神に富んだ男なので、現実的過ぎる女を放っておけなかったということなんでしょうかね。母親の変質も結構稚拙ではあります。裁判の決着の仕方は現実的とも言えるけど、全国の子供達の夢がサンタを救ったとも言え、あれで良かったんだと思います。そんな訳でやや気になる点はあるものの、名作と名高い作品だけあって確かに魅力的で良い映画。サンタ役の方はベストマッチでした。 [DVD(字幕)] 7点(2008-01-14 17:59:51) |
109. ニューヨーク東8番街の奇跡
「奇跡はその理由を探したら終わってしまうのよ」という言葉があれこれ探求しないエクスキューズになっている家族向けファンタジー。中々良く出来ていてまとまりもあって良いです。大きな期待をしてみるとダメだけど、なんとなく見るには丁度良い。問題なし。たまにはこんな暖かなものに触れましょう。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-01-14 17:42:17) |
110. 左きゝの拳銃
ビリー・ザ・キッドの死までを追った映画。もっとも史実に近いらしい「ビリーザキッド21歳の生涯」と大筋は似ているが、こっちの方が概ねテンポが良いので肩に力を入れずに楽しめる。テンポがいいだけに若干端折りすぎで行動に説得力を欠くところもあるが、ビリー自体に興味がそれほどない身としては、逆にこのくらいの方が丁度良かった。ポール・ニューマンという配役は人のよさそうな笑顔と衝動的なキャラクターとの共存がイメージとしてのビリーに良くあっていたように思う。精神的に熟成していない衝動性をもった子供として描かれている点も、個人的イメージのビリーに合っていた。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-01-14 17:29:09) |
111. プルーフ・オブ・マイ・ライフ
《ネタバレ》 主人公が無意味なまでにイライラしている。自分が精神病じゃないかという不安があるにせよ、父の葬式で暴言を吐いたりと真っ当に見えない。それはもう頭がおかしいんです。父親が頭がおかしくなったから自分もおかしくなるんじゃないかって、そう思った時点で既に病んでいる。まったく普通に生きてる姉を見て、自分もおかしくはならないと思えないのか。思えないという時点でやはり病んでいる。父を妹にまかせっきりだった姉も姉。なんか嫌な奴ばかり。人物関係の描きこみも浅くて、関係そのものが唐突に見えてくる。演技的には皆申し分ないが、好きになれない映画だ。 [DVD(字幕)] 4点(2008-01-14 17:20:29) |
112. ポーラー・エクスプレス
主人公が余計なことばかりして大騒ぎになっていく感じのストーリーでイライラし通し。ある程度観てる内に慣れはするけど、リアルに造形されたキャラクターはやっぱり気持ち悪さが先立ちます。実写で撮れる技術がありながら、リアルなCGキャラで作るというのはやっぱり実験的な意味合いが強いんでしょうかね。でもこんな話じゃなぁ。 [DVD(字幕)] 2点(2008-01-14 16:55:31) |
113. 風林火山
《ネタバレ》 勘助の知略の数々が観られるかと思ったら、意外と佐久間良子とのロマンスがメインに据えられているような。その後は彼女が遺児でもある勝頼との擬似的親子愛も見られたり、戦乱における知略どうこうよりも人情的な話がメインなんですな。これがどうもたるい。TVドラマならすんなり見ていられるのかもしれないが、一度に見せる映画としてはこんな話で3時間引っ張るのは辛いようだ。勘助の智謀を際立たせたいがためなのか、信玄が凡庸にしか見えないというのもかなりマイナス。もっと信玄と勘助の考えが一緒という描写があっても良かったような気がする。台詞ではそんなことも言っているんだし。出演陣は豪華だけど、イメージに合う人があまり居ない。戦闘シーンもエキストラの数は多く使って豪華だが、イマイチまとまりというものにかけていて、訓練された軍勢という感じがまったくなくて萎える。場面転換も上手くはないし、散漫な印象が強い映画。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2008-01-14 16:36:38) |
114. あした元気にな~れ! ~半分のさつまいも~
林家一門がこぞって声優に起用されているのは何故だろうと思ったら、原作がそういうことなんですな。彼等が演技が下手で声もあっていないのは仕方ないとしても、本職の声優さんですら演技がいまいちだったりキャラに声があっていないように思えるのは頂けない。これではキャスティングからしてやっつけ仕事だったんじゃないかと疑りたくなる。内容に関しても余り興味の引かれるものではなかった。飽くまで教育的アニメ。この手のものでは仕方ないとはいえ、全体に安っぽさは否めない。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2008-01-13 19:16:03) |
115. エドtv
「トゥルーマンショー」は創られた世界からの中継だったが、こちらは現実社会での生活の中継。こんな企画をする番組があってもおかしくは無い。というか、限られた空間でだけなら似たようなものは実際ありました。こんな短期間にかなり波乱が生まれるのは現実的ではないけど、そうでもなければ映画にならないので許容範囲。ちょこちょこっとした何気ない言い争いが現実に良く見る光景だったり、現実の風味付けがしっかり出来ているのも大きい。まあそれよりなにより、兄弟のアホさ加減が馬鹿馬鹿しくてとても楽しい。 [DVD(字幕)] 7点(2008-01-13 18:49:08) |
116. オズの魔法使
《ネタバレ》 セピアの現実からカラフルな夢の世界に変わる切り替えが実に効果的で素晴らしい。花畑の広々としたセットには圧倒されます。カカシ、ブリキの騎士、ライオンという登場人物が自分の農場で働く人達になぞらえているのも面白く、この時代にしてメイクもここまで出来るんだなぁと感心します。音楽は始めのオーバーザレインボウが図抜けてますが、他も悪くない。しかし肝心のストーリーは微妙。魔女のやっつけられ方とかオズの魔法使いの正体とかそう思われた理由とか、随分適当が満載。飽くまで子供向けに書かれたものでしょうからこれでいいんですかね。しかし彼等の問題の解決が証書や勲章がその違いだという説明は気が抜ける。シンプルに既に君はその勇気を持っているとかの方が余程納得出来るんですが。もっと困難を越えてオズに辿り着くのかと思ったらそうでもなくあっさり到達で、冒険感が薄めなのは悲しいところ。原作未読なので判らないけど、ここらは尺の都合上端寄られたんでしょうかね。一番気になったのが住人がお馬鹿すぎること。思考も意思も感じられない、右に倣えの没主体性。魔女の部下ですら、魔女が死んだ途端に今までのことがなかったように寝返る様は逆に恐ろしくもあります。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-01-13 18:38:52) |
117. 歌麿をめぐる五人の女(1946)
《ネタバレ》 タイトルから想像するようなものとはかなり違った内容。別段歌麿を巡ってないし。関係も浅い人が殆ど。5人と言いながら極めて影の薄い女性が多い。5人目にいたっては誰が五人目なのかも判然としない有様。てっきりおしんかと思ったら、解説によるとどうもおまんがそれらしい。これはさすがに影薄すぎでしょう。どうみてもおまんよりもおしんの方が5人目にまだ相応しい(解説者が間違ったのかな?)。歌麿よりも弟子入りした絵師とのかかわりの方が深い。全体に背景の描かれ具合が乏しく感じる。作品のいまひとつの説得力のなさはこの描かれ具合の低さが原因の一つなんでしょう。どうも困難なはずのことが困難に見えないことも問題。駆け落ちも楽々だし、御用絵師が身分を捨てて弟子入りするのは一大事のはずだが楽々。雪江にしても右に同じ。身軽な町人の行動レベルになってしまってるんですな。こういったことが作品の浅さに繋がっていきます。ところどころ見られるユーモアは良い味が出ているんですがね。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2008-01-13 18:07:29) |
118. 剣
《ネタバレ》 三隅研次監督が現代劇を撮っていたんだということにちょっとびっくり。これ以外は時代劇しか見てないけれど、とても安定した監督さんで今作も現代劇とはいえ安心して観ていられます。話も悪くはなかったが、最後の死でどっちらけ。何故そこで死ぬのか。たかが自分の指導が部員が無視したというだけですよ。たかが大学の部活。死ぬほどの意味があるわけもない。それで自分には指導力が無い、人の上に立てないなどと悲観するというのはどうかしている。あまりに弱い。弱すぎる。原作は未読ですが、この結末は同じなんでしょうかね?だとすれば、この主人公に死に走らせることに対して、なんら違和感を感じなかっただろう原作者の三島由紀夫。三島と自分との死というものの捉え方、価値観、あるいは理念の違いを思い知らされる展開だ。これを是とするのは自分には無理。死という物を美化しすぎ。主人公が死んだ後の部長の口上など聞いていても、ぷんぷん臭う。そんなもので本当に人が変わると思うのだろうか。そして、そんなもので人が変わることに意味があると思えるのか。前時代的発想としか思えない。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2008-01-13 17:44:09)(良:1票) |
119. 危険がいっぱい
《ネタバレ》 出だしは面白げだったが、結構その後がもっさりしている。プレイボーイの男が何故あんな年増の女に夢中になるのか謎。金を狙っているのか、逃げる口実なのかと思ったがそうでもないらしい。よう判らん。途中ギャングの存在がないような行動が見られたり、女の計画もそこまで上手く行くようなものでもなかったり、ややご都合感が感じられる。皮肉な結末は古き良きサスペンスらしくて良かったけど、全体としてちょっと緩かった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-01-13 17:20:52) |
120. 100万ドルの血斗
文明の利器が入ってきた西部劇は目新しく、結構楽しく観られるんだけど、やっぱりあの人間性が疑われるラストがね。これに4点以上つけると自分の人間性まで疑われそうだ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2007-12-30 23:28:18) |