1201. パンドラの箱(1929)
おそらく、私が今まで観てきたサイレント映画の中でワースト。 サイレント映画は、文字を極力入れずに分かりやすい映像で見せるか、もしくは、映像だけでは分かりにくいので文字で補うかの、いずれかのパターンが多い。 しかし本作は、文字挿入が控えめであるにも関わらず、映像だけ見ていても、話の筋が分かりにくい。 あらすじは知ってはいたが、もし全くストーリーを知らなかったら、細かい部分はほとんど分からなかったに違いない。 それと、出てくる男どもが気持ち悪い奴らばかりで辟易した。 デブと汚いジジイばかり。 主演の女優も、特別キレイとは感じなかった。 話が見えにくいフラストレーションに加え、汚いおっさんばかりという世界に、ほとほと限界を感じた。 [ビデオ(字幕)] 0点(2016-04-26 23:29:46) |
1202. リリー
《ネタバレ》 不器用な男が純真無垢な少女に惚れる。 だけど不器用だから、人形劇を通して想いを伝える。 少女はなかなか気づかない。 だけど最後は気付いて・・・ うーん、現実には、こうはうまくいかない気がする。 無骨だったり、不器用だったりする男は、気持ちは伝わったとしても、相手にされないのが現実世界の厳しさ。 表面上は不愛想で無表情だけど、自分への愛を感じ取り、好きになってくれる女性など、そうはいない。 絶対にいないとは言わないけど。 不器用な男の内面を理解してくれる女性が、もしいたとしたら、それは女神だろう。 (大概は、本作のマークの様な愛情表現豊かな男にもっていかれます。もしくは、不器用でもモテるのは、ごく一部のイケメンです。) その女神を、おそらく男性目線で描いた、理想絵巻。 そこに人形劇をからめての、幻想的なまでに美しい物語。 とにかくピュアで、美しい映画だ。 愛情表現が苦手な男性諸氏に、勇気と希望を与えてくれる映画! [ビデオ(字幕)] 6点(2016-04-18 18:37:30) |
1203. フィラデルフィア物語
《ネタバレ》 同じ1940年に製作されたケイリー・グラント主演『ヒズ・ガール・フライデー』と同様、ケイリー・グラントが離婚したばかりという設定。 これは嫌な予感が・・・と思っていたら、、うーん、やっぱりかぁ。 またもやケイリー・グラントが総取りかよ!と思ったが、本作の方は少し趣きが異なっていて、ケイリー・グラントがそこまで完全無欠ではない。 優しさを持ったキャラクターになっており、主演のキャサリン・ヘプバーンを支える優しい男を演じていた。 本作では、男連中は皆、キャサリン・ヘプバーンに夢中なのだが、そこまで魅力的な女性には見えず。 観ている私も、夢中になれるような女優が演じていたら、もっと感情移入できて、楽しめたとは思う。 そこまでガチャガチャとうるさいコメディ映画ではなかったのも救い。 ムード溢れるシーンも随所にみられ、ロマンス映画としても楽しむことができる。 上流階級の世界を描いていて、その辺りの描写も興味深い。 上流階級に限っての話ではあるが、この時代でも十分、豊かな生活をしていたんだなぁと感心。 人間が物質的に豊かな暮らしをしていく上で、この映画で描かれていた生活レベルでも十分な気がした。 現代の物質的豊かさは、必ずしも必要じゃないのでは?と。 もちろん上流階級で、召し使いが何でもやってくれる生活じゃないと成立しないが、家電やIT技術など、余計なものにさえ感じた。 70年以上経っても、意外と人間の暮らしの豊かさって、そこまで変わっていないのでは? 科学技術は格段に進歩したが、その科学技術の進歩の割に、人間の生活水準って、そこまで上昇していないようにさえ思ってしまった。 この時代の上流階級の暮らしぶり、とても豊かで、十分に満たされている。 この映画が作られた5年後に、日本は焼け野原になっていたかと思うと、かなりショッキングな生活ぶり。 そういう視点で見ると、衝撃を受ける映画。 [ビデオ(字幕)] 5点(2016-04-18 14:24:06) |
1204. 若草物語(1933)
《ネタバレ》 原作を無理やりに詰め込んだ感があり、物語の進行に違和感があった。 姉妹が亡くなったのに、最後はみんなハッピーだったり。 正直、退屈さがあったくらいだから、これ以上長い尺だときついが、原作の良さを表現するならば、もっと長い尺が必要だったように思う。 、、いや、原作は未読だけど(笑) まあ、おそらくという意味です。 [ビデオ(字幕)] 4点(2016-04-17 11:23:45) |
1205. 殺人カメラ
《ネタバレ》 こういう喜劇を撮らせたら、パゾリーニには遠く及ばない。 ロッセリーニには、喜劇よりシリアス劇の方がよく似合う。 階段ばかりの海に面した街。 ロケーションはとても良い。 そこには自分の利益しか考えない人達ばかり。 もちろん、それは時代と場所を超えて、どこにでも存在する人間達なのだが、とにかく金への執着が強い。 ここにも経済的格差が存在し、それは現代でも変わらない。 人殺しのできるカメラを手に入れた主人公が、悪人を次々と葬っていくが、悪人は次から次へと現れ、きりがない。 結局、世の中、悪人だらけという結末に。 そして悪人を裁いているつもりの主人公も、実は人殺しの悪人になってしまったという皮肉。 コメディの中にも、皮肉と社会風刺がこめられている。 [ビデオ(字幕)] 5点(2016-04-15 10:07:37) |
1206. 十月
《ネタバレ》 10月革命について詳しくは知らなかった。 ネットで調べ、少しではあるが、前知識をもって鑑賞。 帝政ロシアを打倒すべく、貧しさにあえぐ人々が一念発起する。 特にラストの冬宮に進撃するシーンは、映画とは思えぬほどの迫力に満ちている。 こうして社会主義国家「ソビエト社会主義共和国連邦」が誕生したかと思うと、非常に興味深いし、感慨深い。 現在は、そのソ連も崩壊してしまった。 こんなに熱い思いで誕生したソ連が、今はもう無い。 そんな、はかなき思いも感じることのできる作品である。 歴史的出来事を映画化したという意味では、エイゼンシュテインの功績は大きいが、映画として楽しめるかは別。 楽しいというよりも、ただただ、目の前に起きている歴史絵巻に圧倒されつつ、茫然と観続けたという感触。 映画の枠を超越した映画。 [ビデオ(字幕)] 5点(2016-04-11 22:15:57) |
1207. ヒズ・ガール・フライデー
《ネタバレ》 とにかく、やかましい映画。 背が高くハンサムな男がおいしい思いをするという大正義。 まったく見ていて読売巨人軍な気分になる。 自分だけが主人公、自分だけが勝てばよい。 そういった思想が露骨に現れた、アメ公映画の決定版。 我こそ正義な、ムカつく映画の極米。 [ビデオ(字幕)] 1点(2016-04-09 23:59:36) |
1208. 第七天国(1927)
《ネタバレ》 男女が恋仲になるまでの過程が、丁寧に描かれていて、とってもピュアな恋愛映画。 サイレント特有の集中力は要されるが、セリフは極力、抑えられている。 そして、戦争が恋人や家庭を切り裂くという悲劇も、同時に描かれている。 サイレント映画の中では、比較的見やすい作品。 妻の女性も美人ではなく、親しみやすさのあるキャラクターで、物語の信ぴょう性を高めている。 [ビデオ(字幕)] 6点(2016-04-06 23:43:13) |
1209. 嘆きの天使(1930)
《ネタバレ》 単純は話にも思えるが、よくよく考えると、なかなか奥深い内容。 堅物の独身デブハゲおっさんが、若い女に誘惑され、あれよあれよという間に熱を上げ、教授の地位を捨ててまで求婚をしてしまう。 女は求婚を受け入れ、結婚するが、その後の扱いがひどい。 男はプライドをズタズタにされ、最後は野たれ死に。 結婚をするという設定は、さすがに合点がいかないが、この作品がうったえたいことは理解できた。 男とは愚かな生き物、女とはしたたかな生き物。 教授として、学校では立派なことを説きながら、少し女に誘惑されただけでメロメロになってしまう。 生徒の前で言っていることと、陰でやっていることがまるで違う。 例えば、会社で立派な地位にいて、立派なことを部下に言っておきながら、女の前ではまるでだらしがないという、現代にも通ずる普遍的な話。 男と女の関係性を、普遍的なテーマとして、今に伝える作品という意味では、名作たる所以を理解できる。 [ビデオ(字幕)] 6点(2016-04-01 00:36:11) |
1210. ロンゲスト・ヤード(1974)
試合が始まる前半部分までが普通に面白くて、肝心の試合が始まった以降はよく分からない。 試合はむしろ要らなかったんじゃないかと思わせる内容。 アメフトのルールを知らないのが原因か、それとも作り方の問題か。 それすら分からないまま、よく分からない大円団を迎えさせられた。 ヘタな謎解き映画より、解読が難しい。 [ビデオ(字幕)] 4点(2016-03-28 01:31:23) |
1211. 蜘蛛女のキス
《ネタバレ》 面白いのか面白くないのか分からない映画。 同性愛をテーマにもしているし、政治ものでもある。 ヒューマンドラマ、刑務所もの、恋愛ものとも取れる。 同性愛を扱っているから、直感的にNGな映画だと感じてしまう。 描かれている内容は、とても密度が高いし、映画としての完成度も高い。 それだけに評価が難しかった。 基本、悲劇というものを重要なテーマとして扱っているようにも感じた。 同時に、幸せの瞬間、これも大切に描かれていると思う。 人生の悲喜こもごも、これを際どい材料で描き切った、濃密な作品である。 [ビデオ(字幕)] 7点(2016-03-26 01:45:34) |
1212. ザ・コミットメンツ
このバンドの歌声が好きな人か、太め(グラマー?)な女性が好きな人にはいいだろう。 この手の音楽と太めの女性には興味がわかず、漫然と100分ちょっとの時間を過ごしてしまった。 [ビデオ(字幕)] 3点(2016-03-25 18:34:46) |
1213. ファントム・オブ・パラダイス
ショービジネスの内幕を描いたという点で意義のある作品。 実に腐れきった世界だ。 でもこれをまともに描いてしまうと、大人の事情が許さない。 そこで、「ハチャメチャに描いて風刺してやろう!」と、ブライアン・デ・パルマが考えた、、、かは定かでないが、勝手にそう想像してみる。 とにかく内容はめちゃくちゃ。 こういうのは気軽に観られるが、決して好みではない。 限られた時間の中で、寸暇を惜しんで観る映画ではなかったかな… [ビデオ(字幕)] 3点(2016-03-22 00:38:00) |
1214. 十三人の刺客(1963)
《ネタバレ》 この作品を観ている時、まっ先に『荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻』が思い浮かんだ。 緊迫感という面において、今一歩『荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻』に及ばない。 殺陣もリアリティに欠けている。 多少、犠牲者は出たものの、千恵蔵サイドが生き残り過ぎの感もあり。 例えば終盤の殺陣シーンとして、強引に引き合いに出すとすれば、『宮本武蔵 一乗寺の決斗』と比べた場合、鬼気迫るレベルにおいて劣っている。 大声と気合いは凄いのだが、演技としての大声だと感じてしまい、リアリティが足りなかった。 監督の問題か、キャスティングの問題か、原因は分からないが、これら二本の時代劇と比べてみても、かなり弱いという印象。 [ビデオ(邦画)] 5点(2016-03-21 17:42:34) |
1215. 恐るべき子供たち
《ネタバレ》 姉が弟を愛するあまり、恋路の邪魔をし、あげくの果てには死に導いてしまうという内容。 舞台劇のような作りで、少し苦手な部類に入る。 深い愛を突き詰めると、心中とかになる顛末はよく聞くが、本作の場合、弟を自殺に追いやる。 結局は殺しているのと同じ事。 重苦しいテーマを、ほぼ密室劇状態で見せられたので、かなり心が窮屈になった。 楽しくはないが、フランス映画の芸術性の高さを堪能できる作品。 [DVD(字幕)] 5点(2016-03-21 02:57:00) |
1216. 水の中の八月
《ネタバレ》 石井監督の後の作品『シャニダールの花』にも通ずる内容。 超新星爆発とか磁場とか、科学的なものに結び付けようとはしているが、とにかく神秘的過ぎる内容にダウン気味。 監督の言いたかったことは、水に対する恩を忘れるな、ということだろう。 水を無駄にすると、こういう仕打ちに遭うぞ、という警鐘を鳴らしている。 これが、かなり神秘的なストーリーでもって語られているから、観ていてかなりしんどい。 90年代の作品だが、既に古臭い感じがしてしまう。 90年代といえば、そんなに昔じゃない気がするのだが、なんだか自分自身が古臭い時代を生きていたように思えて、なんとも言えない気分になった。 にしても、当時15歳だった小嶺麗奈の神秘的な美しさ、これは唯一の見物。 この頃にしかない少女の輝きを拝むことができた。 [DVD(邦画)] 2点(2016-03-20 22:30:37) |
1217. オンリー・ゴッド
《ネタバレ》 フランスとデンマーク合作というのが、悪い方向に出た感じの仕上がり。 どこかの香港カンフー映画にも似た構成で、とにかくオッサン悪玉がつよいつよい。 あの年齢であの体型だと、間違いなく衰えているはずなんだけど、この作品世界の中では、無敵の強さ。 最後の最後まで、意味が分からなくて目を離せないのが、見所か?! そんな流れで、最後まで入り込めずに終わった人も多いはず。 バンコクの怪しさも全開なのも見所で、風俗や売春が盛んな街であることがよく伝わってくる。 にしてもだ。 主人公の母親は、前半で凄みを出している割に、肝心なところで肝がすわっていない。 もう少し最後は、抵抗しても良かったんじゃないだろうか・・・ [DVD(字幕)] 5点(2016-03-20 00:47:19) |
1218. さらば箱舟
《ネタバレ》 ATGで寺山修司、そんでもって舞台が田舎の村とくれば、ある程度は予想が立つ。 封建的な村社会。 そこにはあらゆる差別が存在している。 夜這いなんぞ当たり前。 そこに貞操帯というパーツが登場。 更には殺人。 見世物小屋もあり。 とにかく、思いつく限りのネタを投じた、ごった煮映画。 寺山修司はやっぱりこのテイスト。 新宿を舞台にすると更に面白いが、田舎はどうもなぁ。 いずれにしても、ストーリーはあってないようなもん。 ごった煮でお腹いっぱいになる映画。 そして若かりし頃の、高橋ひとみが可愛らしかった。 [DVD(邦画)] 4点(2016-03-17 01:47:58) |
1219. 琥珀色のキラキラ
《ネタバレ》 家族愛というものが、やり過ぎることなく、絶妙なさじ加減で描かれている。 セリフやナレーションで饒舌に説明するのではなく、映像で静かに表現されているのが素晴らしい。 物語の背景には母親の不幸というものが、どーんと重く横たわっているが、そういった不幸があったからこそ、父と娘は互いに深い愛情を持っているんだと思う。 娘を持っていると、こういう映画がじーんと胸にきます。 [DVD(邦画)] 7点(2016-03-14 01:25:00) |
1220. チチを撮りに
なんだろう・・・話は大して面白くはないし、明るい内容の話でもないんだけど、観ていてホッとする何かがある。 姉妹の感情の起伏や、やりとりがみずみずしく、そして、作品全体がほのぼのとしているからだろう。 田舎を舞台にした映像も、それに良さをプラスしている。 どんな環境でも子供は立派に育つ、前向きに生きていこう! そんなメッセージが伝わってくる作品である。 [DVD(邦画)] 7点(2016-03-14 00:59:26)(良:1票) |