1301. 汚れた血
《ネタバレ》 レオスカラックスの名前がこのところ、よく上がる。某レンタル会社の企画でアレックス3部作がDVD化され、またカラックス監督の新作が公開されるからであろう。映画ファンとの話の中で最近、確実にみんなの口から彼の名が出る。3部作の中で最後に観たのはこの作品だった。やはりヨーロッパの感性でしか描けない映画がそこにあった。次の「ポンヌフ」ではさらに痛々しいほどの感性をさらけだす、その予兆は確かにこの作品にあった。顔のアップが多い。音楽もそれほど多用しない。しかしそれを使うときのインパクトと言えば!我々は作品世界に引き込まれる。二人の女優の美しさでもあろう。何より映画とはこんなに可能性を秘めたもんなんだ!と自由に創っている。決して美男ではないアレックスをここまでチャーミングに見せる監督の、この男優の起用にこだわる理由は分からないが、アレックス3部作がここまで個性的なのは、この配役が成功しているということだろう。まるで深夜の映画館で観ているような、閉ざされた世界を描いていた「ボーイミーツ」と、一気に市街全部が舞台の「ポンヌフ」との間にきちんと収まる、このラブストーリーはやはりカラックスが映画の世界で産み落とされた幸せな人材だったことを印象づけた。 [ビデオ(字幕)] 7点(2013-05-23 00:11:14) |
1302. 海炭市叙景
《ネタバレ》 我々は、この話に救いはないだろうという事はもう分かってる。地方の衰退というのは、自分も身近に感じるし、新聞などを見ても分かる。なのに、不安を観客に押し付けるような内容にはなってなく、最後まで見せる。150分も長く感じられなかった。熊切監督は、地味ながらも確実に作品を残してきてる。力を感じさせる監督である。まるでドキュメンタリーのような暗い映像の中で、物語冒頭の谷村美月のまっすぐな目にひきつけられ、その孤独な生涯をタイトルを見せる前に教えてしまい、それでも最後まで我々を画面にひきとめたもの、それは彼女の目線同様、監督の誠実な映画創りだったように思う。 [DVD(邦画)] 8点(2013-05-22 23:58:23) |
1303. 96時間 リベンジ
《ネタバレ》 リーアムニーソンがどんなに愛する人が二人同時にヤバいって時にあわてず、クールに敵に立ち向かう姿を見て、逆にこの人が「アッチッチ」とか言って、ビックリする姿を見てみたくなる自分に気づく。ダメだぁ、もう続編創らないでくれ~!!「ザ・レイド」もそうだけど、この種の映画、どんな映画か、分かっちゃいるんだけど、観ずにおれない。観ると、身内が危険な目、最近では殺しちゃうパターンもあるし(「獲物プレイ」とか)、そうすると鑑賞後、厭~な気分になるし・・・。でも、二人の息子がいるわけだし、伏線ありまくり・・。あ~あ、でも観ちゃうんだろうなぁ、俺。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-18 08:20:29) |
1304. 踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望
《ネタバレ》 このシリーズ、大好きなのです、自分。リアルタイムでテレビシリーズ観てて、どれほど生活に張りがあったか・・。ファイナルなんて言わないでさぁ。「男はつらいよ」シリーズみたく長寿シリーズになってほしかった。普通、映画って主人公がどういう人か描写するのに手間取るじゃない。でもこのシリーズは、人のいいみんなの掛け合いがいきなり始まり、心が温かくなる。あまり映画雑誌では言わないが、この監督、僕は只者ではないと思ってます。見せ場のために、無茶あり、ありえん展開あり、それはしっちゃかめっちゃか。映画としての品すら壊れそうになってしまう時も。それでも、声を大にして言う!「躍る大捜査線」だいすきだ~~~~!!もう一声!みんな愛してるぞ~~~~!!! [DVD(邦画)] 9点(2013-05-17 03:28:31) |
1305. SR3 サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者
《ネタバレ》 よく主人公がいろんな経験をして、それが自己表現の芸にむすびつく、という話は多い。古くは「イグアナの夜」、最近では「ポエトリー」。しかしこのような映画が日本で生まれるとは思わなかった。第1作でバンドを離れたマイティが地獄を経験した後、最後かなでるラップは、奥が深く、観る者を唖然とさせる。そして、芸のレベルに凄みが加わったと確信する。まるで新しい芸術誕生の瞬間に居合わせたかのような経験であった。これはもう一人のバンドのラッパー駒木根との比較が興味深い。魂を譲らぬ王道を行く駒木根に対し、マイティは挫折も挫折、何度もラップを捨てた男が最後に、真の意味でのラップをかなでるという、この話は今までの映画人生、初の経験と言っていい。自主映画のような映像の映画から、こんなものを観せられるとは、油断も油断。幸せな映画を見つけた興奮で、思わずバイクで町を走った。 [DVD(邦画)] 9点(2013-05-13 04:58:32)(良:1票) |
1306. ケンタとジュンとカヨちゃんの国
《ネタバレ》 「ゲルマニウムの夜」もつらかった・・大森さんはきつい・・これは日本のロードムービー。「湾岸道路」のように爽やかだったら、良かったんだけど・・ちょっときつかった。 [DVD(邦画)] 6点(2013-05-13 04:32:57) |
1307. 私が棄てた女
《ネタバレ》 化粧してない浅丘ルリ子がこんなにきれいなんて!び~っくり!内容の方は「女性」というものが分かりやすく描かれてある、と思いました。 [ビデオ(邦画)] 8点(2013-05-12 04:38:49) |
1308. 穴(1957)
《ネタバレ》 伝説の女優、京マチ子のチャーミングな魅力でいっぱいだった。 [DVD(邦画)] 6点(2013-05-11 06:08:59) |
1309. 思秋期
《ネタバレ》 イギリス。「ブラス」「フルモンティ」の頃、いずれ景気はよくなるんじゃないか?明日はきっと良くなるんじゃないか?そんな期待が少しあった。しかしここにあるのは、人生の墓場としての人生だ。仲間は次々死んでいく。性格のいい人も踏みつけられて、崩れていく。簡単な道徳観なんか、もう支えにならない。それでも人間を信じて、生きていける瞬間があったら、そんな友達がいたら、幸せだよね。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-11 01:37:40) |
1310. 抱きしめたい(1978)
《ネタバレ》 ビートルズ映画であるが、ドタバタ青春映画である。そこまで「ヨソモン」が好きなんかい!乙女は! [ビデオ(字幕)] 6点(2013-05-10 15:06:51) |
1311. ポエトリー アグネスの詩
《ネタバレ》 女の子の気持ち。それを踏みにじった自分の孫。残酷なことをしてしまった孫は、もうおばあさんの手には負えない。そこで刑事の出番となる。淡々と事務的に問題を解決しようとする大人たちに、イチャンドンは社会的メッセージをこめたのか?多分、もう監督はそんなことは今更、言っても仕方のないとそれほど突っ込まない。むしろ表現者とは、美しいもの、そしてそれは守るべきだと言い続けていくこと、そういう境地になったのかもしれない。彼の作品は様々なテーマで色々言い続けてきたが、もう疲れたのかもしれない。映画の魅力の一つに落とし前がどうつくのか?という見方がある。イチャンドンはもうそれはいいではないか?と言ってしまったのか?彼の次回作を早く観たい。世界が、いや映画史が誇る監督には、どうか映画の現場を離れてほしくない。 [DVD(字幕)] 10点(2013-05-10 12:59:31) |
1312. 白熱(1973)
《ネタバレ》 この映画に、後の名作「ロンゲストヤード」と「トランザム7000」の萌芽が見てとれます。特に話らしい話はないのですが、おちゃめになる前の、バートレイノルズの精悍な感じが印象に残ります。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-08 06:34:03) |
1313. SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム
《ネタバレ》 追い込まれても、別に現状が良くなるわけでもなく、それでも「私」は歌い続ける。とても素敵なラストの「みんなどこにいる?」のラップに「俺はここにいる!」と心の中で唄い返しました。 [DVD(邦画)] 7点(2013-05-08 06:29:48) |
1314. ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人
《ネタバレ》 このカワイイ「欲張り」なおじさんに対して、やさしい目線で描かれています。またこの人物に対するコメントも実に鋭く、このおじさんが自分で思っている以上に周囲の人はこの人のことを分かっているんだなぁと思いました。素敵な二人です。だんだん、奥さんの方が元気になっていくのが面白くもあるんですが・・・ [DVD(字幕)] 8点(2013-05-08 06:26:30) |
1315. 森崎書店の日々
《ネタバレ》 とても素直になれる作品です。人として大事なことは何か?ということがゆったりとした時間の中で丁寧に描かれています。この映画を観た次の日、古本市で大枚はたいて、散財してしまいました。 [DVD(邦画)] 8点(2013-05-08 06:22:59) |
1316. SR サイタマノラッパー
《ネタバレ》 とても好き!こういう映画。地方の夢見る青年の挫折を描くわけだが、魂だけは譲らないという姿勢を、この太めの青年が実にカッコよく演じている。ラップも見事で、実に好青年。これを観終わって、連休の夜にこのシリーズ全巻、市内のレンタル屋を探して回ったのが、いい思い出になった。有難う! [DVD(邦画)] 7点(2013-05-05 03:03:53) |
1317. アタック・ザ・ブロック
《ネタバレ》 B級であるが、ちょっと一風変わったエイリアン映画。最初はスピルバーグの「宇宙戦争」のように、エイリアンの地球征服を一家族の視点からはみでることなく、描いた作品かと思っていた。どんな落ちになるだろうか?と・・。でもこの映画のエイリアンはメスの匂いだけに寄ってくるという実に低知能。それで最後はメスの匂いで一か所に集めて、ドッカ~ンと行くわけだが、この映画はここに青春映画の様相も体してる。不良たちの青春も描いてて、そこがとても新鮮だった。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-05 02:59:53) |
1318. ボーン・レガシー
《ネタバレ》 俺的にはラストのあのテーマ曲で許されてしまう。まぁボーンシリーズの魅力というのは、いかにも役人面したのが殺しを指示したり、体育会系風が暗殺者になったりするというとこなんだが、この映画では、あの手ブレのカメラでのカーアクションをバイクでまた撮りたかったのかな?なんて感じたが・・。それにしても「ハートロッカー」からジェレミーレナーはよく出てるね。サングラスかけたジョンベルーシー面に快哉!を心の中で叫んだのは俺だけか・・ [DVD(字幕)] 7点(2013-05-04 03:51:33) |
1319. 心中天網島
《ネタバレ》 篠田監督の「無頼漢」にならぶ、古典モノ。 さすが篠田監督、古典をこねくり回して、自分の映画にしてしまう。 こんな監督、令和の今、いないね。残念です。 古典を掘り起こせば、ボロボロ傑作が出てきそうなのにね。 岩下志麻が、二役。その演出がまた効いてる。 奪う女と奪われる女。 両者に交わされた、女の意地の勝負。 もはや男の魅力とかじゃないんだね、女にとって大事なのは・・ そこを篠田監督が思う存分に料理する。 見応えある一本です。 昔観た時は、演出に目がチラチラして、イマイチのめり込めなかったけど、 年齢重ねて観ると、いいんだなぁ、これが・・ この時代は、黒澤、溝口を追いかけて、さらなる才能がしのぎを削ってた。 篠田さんもその一人ですね。 [DVD(邦画)] 6点(2013-05-04 01:54:47)(良:1票) |
1320. かぞくのくに
《ネタバレ》 骨太な映画。特に物語に起伏があるわけではないが、あの国とこの国の違いがよく出てる。それを一番、鮮明に描いたのが、安藤サクラのラストのお兄ちゃんの腕を離さないとこ。ものすごい演技だと思った。あのシーンだけで、キネ旬主演女優賞が安藤サクラだということに納得した。 [DVD(邦画)] 7点(2013-05-04 01:51:47) |