1301. わが町(1956)
《ネタバレ》 戦争をはさんだあの頃、人は本当に強かった。そして不器用だった。そして暖かかった。川島雄三の映画は、本当に骨太な映画だ。だけど、人情の機微が行き渡っており、セリフが生きている。人生の苦労をためこんだ人間のセリフは、かくも魅力があるのかと惚れ惚れしてしまう。黒澤さんや小津さんも確かに面白いけど、今の自分には川島監督作品の味わいに魅了されてしまう。溝口さんほど固くなく、清水宏さんほど娯楽に徹してもいない。面白いんだけど、ほろりとさせられる。あぁ川島監督作品をたくさん観たいなぁ。 [DVD(邦画)] 7点(2014-03-03 08:42:11) |
1302. 暖簾
《ネタバレ》 川島雄三にぞっこんである。飽きさせない話のテンポ、きれいな絵作り、人情の機微をきれいに織り込んだセリフの妙。そして観終わった後には、何やら人に優しくなってしまう、そんな映画である。最近、何本か続けて観たが、こんな監督が日本にいたのか!という気持ちである。もっともっと観たい。どんどんDVD化してほしい。 [DVD(邦画)] 7点(2014-03-03 08:32:33) |
1303. ルナ
《ネタバレ》 美少年の秘密を描く展開で、最後、本当の父親の愛のビンタと共に、母親のさらなる真っ直ぐな歌声が響くクライマックスで見事に幕。これぞ映画的説得力の醍醐味。こまった展開に対して、どのように落とし前をつけるのか、その興味で引っ張っていくのも、映画の見所の一つ。それに加え、ベルトリッチは音楽の使い方が見事である。その音楽でラストの主人公の心の整理と、母親の音楽の芸のさらなる進歩を掛け合わせ、見ごたえのあるフィナーレにしている。確かに、女性観が粗いとの指摘もあろう。似たような素材と言えば、ルイマルの「好奇心」(未見)。ベルトリッチの映画でも度々監督の分身が出てくるが、彼は相当の映画青年である。フィルターを通した女性観が出来上がっているかもしれない。(あるいは日本の女性とイタリアの女性の違いか?)(あるいはベルトリッチの人生の振幅の大きさなのかもしれない。)しかし彼はそこを乗り越えて、映画的説得力で、演出していくとこに自分はいつも「感動」させられてしまう。「結婚しない女」のクールな女優に、あんな演技をさせたいなどという下衆な監督ではないのは確か。映画は錯覚の芸術とも思う。普段、感じることできない「感動」をさせる映画の可能性に自分は魅せられて、またDVDを借りてしまう日々である。 [DVD(字幕)] 8点(2014-02-23 06:04:56) |
1304. あした来る人
《ネタバレ》 川島監督って、面白いカットのつなぎするんですね。有名な監督ですから観てみました。うん、面白い。今観ても、最後まで退屈しなかった。昭和の懐かしい映画が一気にDVD化されていくのは、非常に嬉しいこと。早くこの監督の「しとやかな獣」「女は二度生まれる」も観てみたい。 [DVD(邦画)] 7点(2014-02-22 10:42:45)(良:1票) |
1305. ジェリーフィッシュ(2007)
《ネタバレ》 エドガーケレットって女性監督なんですか? 自分はこれは男性の感性じゃないな、と思ったんですけど。映像の暗さも、男性監督ならもっと器用にこなすと思いました。死の匂いがするとこは、イスラエルが舞台ってこともあるんでしょうね。 [DVD(字幕)] 6点(2014-02-10 06:02:44) |
1306. イヴの総て
《ネタバレ》 やはり性根の歪んだ人間が出入りする業界なのか・・。職人の中に大きな野心の人物が大きな顔をする職場ってどんな感じだろう。映画の最初のシーンでは、居並ぶおエラさん方が悪(ワル)なのだろうと思ってた。で賞を受賞したアンバクスターがピュアなんだろうと・・。でも一通り話を追うと、シーンは同じ場面なのに、なんと彼女の受賞スピーチの白々しいこと。そしてベティディビスの見事に余裕のあること。同じ場面で始まりと終わりをはさんでおきながら、観てる方の気持ちがまったく逆転してるところが見事!「アカデミー賞に外れなし!」けだし名言である。(最近のはともかく・・笑) [ビデオ(字幕)] 8点(2014-02-09 06:21:05) |
1307. 恐怖と欲望
《ネタバレ》 退屈させないだけでもスゴイ・・やはり天才は別格か! [DVD(字幕)] 5点(2014-02-09 06:06:46) |
1308. ホーリー・モーターズ
《ネタバレ》 同じリムジンものでも「コズモポリス」より良かった。同じようなテーマなのだが、生きてる実感を欲望で満たす「コズモ」よりも、アレックスは強く、女性に対してキチンとしているので観てて安心感がある。謎の仕事でいろんな「人間」を行っていく話なのだが、最後の仕事が家に帰ることであり、そこには「家族」が待っている。しかしどの仕事もエピソードがふるってて、生きてる実感がすごい話ばかりである。「コズモ」と比較するのも何だが、「ポンヌフ」で生きてる実感大爆発だったカラックスの本作品は、どのエピソードも人間を描いててふるってる。しかし彼の中に虚構の世界の空しさが押し寄せてるのは間違いない気がする。これは俳優論なのかもしれないとも思った。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-05 07:52:58) |
1309. 8 1/2
《ネタバレ》 フェリーニの良さは自分には分かりにくかった。何故かというと、彼の映画のイメージのセンスは、影響を受けた後のいろんなジャンルの創り手によって、進化しており、それを観てきた私には分かりにくかったのだ。これは映画だけでなく、マンガ、小説においても言える。噂に聞いた伝説の作品をいざ、観てみると、ちょっと物足りなかったりする感じ。しかしこの作品は、にもかかわらず、風格がある。有名な映画である。最初は戸惑った。いつになったら物語がはじまるのか?しかし慌てない。これは「去年マリエンバードで」か?それならと思い、肩に力を抜いて、観てみた。最後まで見て、トリュフォーの「アメリカの夜」よりも、正直な映画創りの実感だろうと思った。映画は一人ではできない芸術だ。混乱の内に映画作りが始まってしまう芸術家の正直な感情の吐露だろう。そう思うと、ちょっとユーモアのある作品だ。それにしてもフェリーニって巨大な建築物や船を映画に出すのが得意ですね。さらにニーノロータの名曲が冴える。この映画の彼の曲は特に好きだなぁ。 (再見) 画面から目をそらさせぬ演出にうなった。これは映画の教科書だったんだ!大筋の分かってた2度目の方が面白かった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2014-02-04 20:24:18) |
1310. 駅馬車(1939)
《ネタバレ》 映画の基本がすべて盛り込まれてるような映画。もう戦前のこの時点で映画は、ある意味、完成している。 [ビデオ(字幕)] 8点(2014-02-04 20:10:15) |
1311. トリコロール/青の愛
《ネタバレ》 クシュシュトフとビノシュだから、もうちょっと面白くなると思ったのだが・・。トリコロールシリーズは、どれも捻った愛ばかり。この監督には「愛に関する短いフィルム」があるから、オーソドックスな愛はもう描かないんだね。ビノシュのカワイイ愛の話も観てみたかったな。 [ビデオ(字幕)] 6点(2014-02-03 21:53:38) |
1312. トリコロール/白の愛
《ネタバレ》 女性不振におちいりそうな展開に、コミカルな展開でラストはハッピーエンド。デルビーがキツそうで、カワイイ女性をうまく演じてた。 [ビデオ(字幕)] 7点(2014-02-03 21:47:00) |
1313. 未完成交響楽(1933)
《ネタバレ》 古典を観ると、ドラマの基本が分かりやすくて勉強になる。人生の掴みを知りたければ、古典を観よう!今の映画が忘れてる人間愛があふれてる。シューベルトが黒板に夢中になって音符を書いたら、子どもたちが歌うシーンの笑いこそ、映画が大事にしたい愛だと自分は思う。 [ビデオ(字幕)] 7点(2014-02-03 21:43:04) |
1314. カルメン(1983年/カルロス・サウラ監督)
《ネタバレ》 パワフルなフラメンコ。さすが情熱の国、スペイン。モラルで縛りきれぬ燃え上がる愛の炎。でもきっちり悲劇になるとこが人の世の常。しかしだからといって感情をおさえない国柄だから、あのフラメンコダンスの力強さがあるのだと思う。余談だが「ウエストサイドストーリー」の指をならしてのダンスシーンは、フラメンコが発祥?なんてことも考えた。 [ビデオ(字幕)] 8点(2014-02-03 21:37:51) |
1315. 殺し(1962)
《ネタバレ》 べルトリッチにも、キューブリックの「現金に体を張れ」のような面白く仕上げた若き日の作品があるんだね。作家性が現れる前のキッチリした仕事というか。なるほど確かに「羅生門」を思い出すような、タランティーノが一世風靡した頃の作品のような、同じ場面を違う視点から描くという演出方法。でも何か彼の映像には、詩人であるだけに、どこか品があるね。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-03 21:29:38) |
1316. トゥ・ザ・ワンダー
《ネタバレ》 人間の弱さをはかなみ、神の愛に通じるかのように、世界を美しく描写した映画。テレンスマリックは難解だと聞いていたので(何せハーバード大卒)、挑むように鑑賞したら、案外そうでもなかった。もうこの一言!べンアフレック弱~~~い!!自分の監督作「アルゴ」にまんま置いてきたんちゃう?ちゅうくらい、ただの人形みたいにボサ~~~ッとしくさって、女性に振り回されっぱなしやん(怒)!それにしてもこの映画、カメラアングルとか独特で美しく、音楽も静かで、ただのトウヘンボクの話の後とは思えないくらい、まるで教会で上質な説教を聞かされたような(監督もそれを狙ってるんでしょうね)おごそかな気持ちになるのでした。朝日の出るのを待とうか?なんて気持ちです。はい。 [DVD(字幕)] 8点(2014-02-03 04:37:38) |
1317. ブラック・サンデー
《ネタバレ》 飛行船がスタジアムに飛び込むシーンは、今ならCGで小器用に映像にするんだろうけど、むしろ神様の視点のような俯瞰した映像無い方が、かえって臨場感あるんだね。演出によっては、もっと面白くなったかも・・。スピルバーグあたりにやらせたら、もっと傑作になったかもね。 [ビデオ(字幕)] 7点(2014-02-01 07:08:40) |
1318. レイジング・ケイン
《ネタバレ》 常々考える。デパルマは、女性像が変!平和な日常の中で、殺しのネタを探してたら、そりゃ女性から生理的に気味悪がられるよ。それじゃ世界観が歪んだままで、その上で作品創ったって、そりゃ意味のない映画しかできないよ!ヒッチコック大好きで、映画好きってことは分かるけど、本当に映画好きなら、良い映画創るべきだし、そしたらどんな映画が良いか?ってこと考えなきゃ!ヒッチコック先生の映画は、女性像あまり変じゃなかったけどなぁ。一つ思ったんですけど、この映画は多重人格の人の映画。主役の男性はジョンリスゴー。この人、神経細い役柄多いねぇ!丁度、この頃のアメリカはこの国は病んでるのでは?と思い始めた頃で、重宝がられた役者だよね。今、病んでる人の映画が少ないのは、何で?病んだアメリカから貧困大国アメリカに変わったとき、こういう人たち、どうなったの? [ビデオ(字幕)] 6点(2014-02-01 03:40:44) |
1319. デス・レース2000年
《ネタバレ》 うはぁ、なんて趣味の悪い!よく映倫通ったなぁと思うくらいの前半の趣味の悪さ。この映画のキーマンはロジャーコーマンだろう。彼のもつB級映画のDNAが存分、発揮されてる。人を轢き殺すシーンの趣味の悪さは、まるで「北斗の拳」の実写化のよう。乱暴なカーチェイスは痛快。これを更に洗練させたのが、タランティーノの「デスプルーフ」だろう。やはりロジャーコーマンが一役絡んでる。しかもこの映画、それに加えて「チキチキマシン猛レース」のブラックユーモアが、PLAYBOY誌のような方向で実写化したような、お色気も、諷刺的に捻ったところも、付け加わって、大人の鑑賞に耐えられる(?)ように創られてる。「競争と殺戮はアメリカの文化じゃないですか!」というマスコミレポーターが最後、やられて終わり、なんてバッドエンドではないが、これもニューシネマだなぁと思わされて、ニヤリ。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-01 00:49:31) |
1320. 透明人間(1992)
《ネタバレ》 ちょい前は、B級映画という言葉があった。その代表格はジョンカーペンターだった。CGの発達する前は、いかにアイデア商品のような特撮で、SFをどこまで面白く出来るか、いろんな監督が競い合ってたもんだ。技術の発達は、こんな楽しい映画制作過程を無くしてしまった。この時代のオタクの喜びは、監督の工夫に賛辞を送ることだった。話の分かる人間に出会うと、一種の共犯関係のような連帯意識が芽生えたものだが・・。昔が懐かしい・・。 [DVD(字幕)] 7点(2014-01-31 22:48:24)(良:1票) |