1321. 屋根裏の散歩者(1992)
どこか芸術的で、耽美的。昔見たロマンポルノよりもずっとエロティシズムに溢れた映画だった。狂っていく宮崎ますみもすごいし、AV出の加賀恵子がまた良いし、六平直政に至っては他の人では考えられない。 [DVD(邦画)] 6点(2013-08-29 20:53:32) |
1322. 25年目の弦楽四重奏
数多くの弦楽四重奏団のなかには、映画に出てくるような人間関係のトラブルもあるかもしれないが、映画としての魅力はいまいち。だがベートーヴェンの音楽はほんまもの、古典派音楽から一気に近代音楽へ先駆けとなった晩年の弦楽四重奏曲の魅力を引き出している。そしてまたウォーケンら出演陣も演奏者としての意気込みを感じさせてくれる。 [映画館(字幕)] 6点(2013-08-27 15:01:47) |
1323. 戸田家の兄妹
東京物語と似た雰囲気だけど、こちらの映画の方が先、なんと驚き戦前(戦中)の作である。家族ではなく家柄が重んじられ、子どもは親に逆らえず、長男次男と年功序列が絶対の時代ではなかったかと思う。それだけにこの映画は奇異に見えるのと同時に型破りである。今の私ですら次男の考えは正論だけど生意気にも思える。家より家族という映画のねらいはよくわかるけど・・・。 [DVD(邦画)] 6点(2013-08-25 06:24:24) |
1324. 江戸川乱歩の陰獣
原作小説は本格派ミステリーらしいが、映画はそれほど強くは感じられない。小説通りほぼ忠実に再現されているのに不思議だ。文字と映像の違いか、ストーリーを知っていたせいか。あおい輝彦、香山美子とも悪くはないが、原作のイメージとはちょっと離れている気がした。 [映画館(邦画)] 6点(2013-08-24 08:27:05) |
1325. どん底(1936)
暗くて重い這い上がることができないどん底かと思っていたが、最低の暮らしをしている宿泊者たちは意外と楽観的。這いだそうという気持ちはあっても半ばあきらめ気味、切実さは感じられない。それでも自分の命を絶つ者もいて・・・。ロシア文学とはちょっと違うような気もするが、私はかえってこの方が好き。先の見通しは立たないけど、一応のハッピーエンドだし・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2013-08-06 20:19:39) |
1326. 十誡(1923)
《ネタバレ》 サイレントの十誡だからさぞや古典劇と思いきや、モーゼらの歴史上の人物が出てくるのは第一部のみ、しかもそれは母親が二人の息子に語る十誡の物語の中だけである。だからこの映画は歴史劇と言うより現代劇というべきで、背景になっているのがモーゼの十誡ということだろう。神を信じ十誡の教えに従おうとする母と兄、それに対して弟は無神論者で十誡なんて古くさいという現代青年。しかし掟に背いたために・・・というようなストーリーだ。サイレントにしては長大な物語になっていておもしろい。 [DVD(字幕)] 6点(2013-08-06 12:06:57)(良:1票) |
1327. 噂の女
他の溝口作品に比べ地味というか少々物足りない。特に前半は退屈で、後半若い医者をめぐって田中絹代と久我美子が対立するあたりからおもしろくなった。ところであの的場という医者、木村功かなとちょっとまちがえたのだけど、何だったんだろう。ラストの明るく再生した 久我美子に安堵。 [DVD(邦画)] 6点(2013-08-03 06:13:14) |
1328. めまい(1958)
スローな展開で途中までは眠かったが、教会を駆け上るシーンから急展開。後半は巧みな心理サスペンスとなり、よくできた映画だと感心した。今まで見たヒッチコック映画とは異なり、映像と音楽(効果音)で勝負。幾何学的な模様は今はやりのコンピュータ・グラフィックのようで斬新。 [DVD(字幕)] 6点(2013-07-26 22:10:35)(良:1票) |
1329. 悪魔が来りて笛を吹く(1979)
横溝正史といえば、古くからの因習やおどろおどろしい人間関係を扱ったものが圧倒的に多いが、なかでもこの映画のどろどろした要素は際だっている。ただ原作に比べ省略された部分や説明不足に思えるシーンがあってややわかりにくい。西田敏行の金田一や夏八木勲の等々力警部には最初違和感があったが、見直してみるとまずまず。斉藤とも子の美禰子がかわいい。 [映画館(邦画)] 6点(2013-07-26 09:23:03) |
1330. 爆心 長崎の空
いかにも原爆映画というようなタイトルだが物語の舞台は現在の長崎、戦争シーンは一切ないし、原爆自体も焼け跡の写真のみ。中心になっているのは被爆2世3世で、母を亡くした女性と娘を亡くした母親、命の重さや親子の絆など、原爆を背景に静かに語られるのも良い。 [映画館(邦画)] 6点(2013-07-25 05:45:42) |
1331. チキンとプラム ~あるバイオリン弾き、最後の夢~
ヴァイオリンの美しい音色に誘われ鑑賞。コミカルでファンタジックで切ないロマンスもある。最初バラバラだったストーリーが、後半になって繋がっていく過程が良い。 [DVD(字幕)] 6点(2013-07-24 06:25:46) |
1332. インポッシブル
2004年に起きたスマトラ島沖大地震で大津波に遭遇した家族の物語だが、我が国でも近年東日本大震災が起こっただけに深刻さは一入。映画は実在の家族の体験談をもとに、リアルさを徹底的に追求したもの。特に津波がおそってくるシーンや母と長男が流されるシーンは息をのむ。ハリウッドに負けないスケールとナオミ・ワッツの演技は見もの。 [映画館(字幕)] 6点(2013-07-23 10:46:29) |
1333. 今のままでいて
《ネタバレ》 いつのまにか女はいなくなっていた。残された男、切なく流れる音楽、これぞまさしくラブストーリーなのだが、この映画の終わり方は何度も予感させるものがあった。母親との別れもたぶんこうだったのだろう。実の父娘かもしれないという不安や疑問は残ったまま、年の差の離れた恋は進行し、最高潮に達したところで突然終わる。何ともロマンティックな映画であり、男と女、年代の相違かもしれなかった。ナスターシャ・キンスキーの美しさは際だっていて、裸体まで拝めるとは・・・。 [映画館(字幕)] 6点(2013-07-21 06:50:41) |
1334. もっとしなやかに もっとしたたかに
日活ロマンポルノ華やかなりし頃にあって、ドラマ性の高い映画。もちろんパッと脱いだりそれなりのシーンも数多くあるのだけど、役者陣がしっかりしている。そして何と言っても森下愛子の小悪魔的奔放さが良い。 [映画館(邦画)] 6点(2013-07-18 16:58:44) |
1335. 旅の重さ
NHK朝ドラ「北の家族」で人気を得る前年だから、文字通りの新人女優高橋洋子のデビューである。さしづめ十五才 学校Ⅳの女性版というところか。前半はまだ気楽な旅だが、後半は題名のように旅の重さが増す。多くを語らず、主人公が母に託す手紙で綴られるのが良い。 [DVD(邦画)] 6点(2013-07-14 11:34:20) |
1336. 追いつめられて…(1959)
ストーリーはたいしたことはないが、何といってもヘイリー・ミルズの熱演が光るし、終盤の緊迫感もまずまず。それにしてもギリーだけでなく、コーチンスキーをかばう人がが多いのはなぜ? [DVD(字幕)] 6点(2013-07-13 18:13:59) |
1337. 愛と哀しみのボレロ
登場人物が多いうえに、親子2世代の物語を一人二役を交え見せられるものだから相当混乱する。それでも前半は世界大戦という背景がしっかりしていて、国籍や立場が違う人々を細切れながらしっかり描いていると思う。赤ん坊を線路に置き去る場面など印象的なシーンも多い。ところが後半はさらに登場人物が増え(ストーリーに直接関係ないように思える)、元々飛び飛びだったうえに省略されたように思えるシーンもあって、ぐちゃぐちゃになっているようにも思える。ラストのボレロのシーンで一同を集めたかったからだろうと思うが、それにしては結びつきが薄い。それにダンスは本物だが、指揮者は下手すぎて笑ってしまう。前半8点、後半4点。 [映画館(字幕)] 6点(2013-07-06 15:48:05) |
1338. ビフォア・サンセット
まさに前作の後日談、終始二人だけの会話だけど9年前の思い出が蘇るとともに、そのときわからなかったことがわかったり、変わってしまったことなど諸々・・・。前作は1日の出来事だったが、今度はそれが数時間に短縮され、より濃厚によりリアルタイムで進行する。そしてまた余韻を残すエンディングがまた良い。前作をもう一度見直せば、前作もこれもまた評価が上がると思うが・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2013-07-06 02:51:36) |
1339. カルメン(1915年/セシル・B・デミル監督)
原作のメリメの小説ともビゼーのオペラとも少し違うセシル・B・デミルのサイレント映画。モノクロ映画なのにシーン毎に赤、青、黄などの色指定があり、薄いカラーが着色され、サイレントなのに、ビゼーのカルメンの音楽がオーケストラで流れる。そして主演のカルメンを演じるジェラルディン・ファーラーは、当代随一のソプラノ歌手、舞台女優が映画に初めて挑んだ画期的作品なのだ。サイレントとしては価値ある映画。 [DVD(字幕)] 6点(2013-07-04 07:47:05) |
1340. ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~
自然と非自然の対立は、いわば宮崎駿のメルヘンの世界。ただ実写なので映像はリアル、ナウシカやもののけ姫それにポニョあたりを実写にするとこんな風になるのかしらと思いつつ、たくましく生きる(生かざるをえない)女の子に圧倒される。好みにより評価は分かれるかもしれないが、賞に値する映画。 [映画館(字幕)] 6点(2013-07-02 13:44:25) |