1341. サブウェイ123 激突
「地上で起こっていることは地下ではわからないしまたその逆も」というのが原作やオリジナル映画だったが、今やネット社会、リメイク版では犯人やガーバーの素性から何までわかるという展開。だからこの映画では設定は同じでもオリジナルとは現代風に大きく変えられた。その意味で原作映画と比較してみるとおもしろい。 しかし、それも中盤までで後半は恐ろしく雑な作りで、トラヴォルタとワシントンの二大スターのパフォーマンスだけになってしまうし、人命も軽くなってしまう。やはりオリジナルの方が断然好き。 [DVD(字幕)] 4点(2012-04-19 07:07:21) |
1342. サブウェイ・パニック
まず言えるのは、見事な落ち、あっぱれ! サスペンスであり、パニック映画でありながら、全編を通じてのコミック感、映画の作りがすばらしい。緊張感を欠くことなく、ウォルター・マッソーの公安局警部補と犯人たちとの知恵比べもおもしろい。人物描写もすばらしく、最大興味は、あの地下鉄のトンネルからどのように犯人たちが逃走するかだったが、それも見事。いろいろな分野をすべて兼ねそろえた映画、お勧めの1本! [映画館(字幕)] 8点(2012-04-18 23:23:37)(良:1票) |
1343. 地獄に堕ちた勇者ども
ナチス内部の突撃隊と親衛隊の権力争いもすさまじいが、それをバックに描かれる鉄鋼王一家の権力争いもまたすさまじい。親戚親子の関係でありながら、愛欲と憎悪、倒錯と陰謀が入り交じり、後半に至っては理解しがたい展開となる。それを赤裸々に描いたヴィスコンティは鬼才と言えよう。 個人教授で一躍脚光を浴びたルノー・ヴェルレーは馴染みの顔だったが、若きシャーロット・ランプリングはこのときは名前すら知らなかった。印象に強烈に残る美しき女優だったのに・・・。 [映画館(字幕)] 7点(2012-04-18 12:30:58) |
1344. 死刑台のメロディ
《ネタバレ》 第1次世界大戦後の米国の不景気は、イタリア移民の労働問題、赤狩りという左翼弾圧など暗黒社会をもたらした。(この映画の中でも「米国はアメリカ人のものだ」とプラカードが目立った) その中で起こった銀行襲撃事件、たれ込みによってサッコとヴァンゼッティというイタリア移民のアナーキストが逮捕される。人種差別と偏見によって歪められた裁判、その不正に対して米国や欧州各地で抗議の声が上がるが、二人の被告は死刑になってしまう。 映画はカラーとモノクロの映像の対比が見事だ。そしてジョーン・バエズの歌が涙を誘う。 日本にも松川事件を初めとする冤罪事件が多々あった。しかし米国のような陰謀がらみの冤罪には驚くばかりである。 [映画館(字幕)] 9点(2012-04-18 00:07:56) |
1345. アリスの恋
夫に先立たれた妻とその息子、それに周囲の人たちとのふれあい、それぞれの人物描写が良い。とりあげて感動作とまでは行かなくても、結構良いのではないだろうか。飾らず作らず、良いことも悪いこともどこにもあるような人間模様を、丁寧に描いていると思う。エレン・バースティンと互角に渡り合った小生意気な息子役はたいしたものだ。 昔見たときはジョディ・フォスターも ハーヴェイ・カイテルも知らなかったが、今改めてDVDで見てみると、本性を出した男はやっぱりカイテルだ。 [映画館(字幕)] 7点(2012-04-17 18:10:17) |
1346. ゲンスブールと女たち
《ネタバレ》 「ジュテーム・モア・ノン・プリュ」が世に出たときは猥褻かどうか大変問題になった。それを作詞作曲をしジェーン・パーキンと共に歌ったゲンスブール、反体制的で強烈な作風を持つ彼の破天荒な人生を熱く描いている。作曲しているときも、歌っているときも、女性と○○しているときも、ずっとたばこを吸いながら・・・。病気で倒れても、健康に気遣うよう哀願されても一切お構いなしに・・・。 ブリジット・バルドー、ジェーン・バーキン、ジュリエット・グレコ、・・・巡り会った女性は数知れず、また大変な有名どころであるが・・・ 彼女らの歌を作り、恋をし、SEXをする。そのたびに数々の話題をまき散らす。もちろん彼の音楽は大変すばらしく、言うことないのだが・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2012-04-16 23:21:02) |
1347. 告白(2010)
久しぶりに見直してみたが、ベストセラー小説の話題作だけあってさすがに見応えがある。教師や生徒、保護者らの複数の告白を一つの映画にまとめるという試みはたいしたもの。学級崩壊やいじめなどを土台において「命」というテーマを扱っているようには見えるが、果たして命の重みが伝えられたかどうか疑わしい。私好みの映画ではないが、評価に値する映画だと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2012-04-16 17:38:51) |
1348. ミス・マープル/牧師館の殺人(1986)<TVM>
登場人物についての描写が細かいのに対して、推理にはなるほどというものを感じない。むしろ唐突さを覚えるくらいだ。シリーズ全体がそうなのかもしれないが、特にこの映画では目立った。 [地上波(吹替)] 5点(2012-04-16 06:10:12) |
1349. ギルバート・グレイプ
ディカプリオの神かがり的な演技と母親の重量感あふれる演技に敬意。子どもの釈放を求め警察へ向かう母親の姿に感動。車が傾こうが周りに見物人が集まろうが関係なし。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-15 22:56:37) |
1350. ミス・マープル/パディントン発4時50分(1987)<TVM>
《ネタバレ》 広いお屋敷で遺体を探すのに、ゴルフの練習を思いつくなんてすばらしい。題名から列車トリックものかと思ったら、冒頭の急行列車の発車時刻だったのか。 [地上波(吹替)] 6点(2012-04-15 10:46:11) |
1351. 黄金の龍
だらだらとした展開でおもしろくなかった。見所といえば、17歳のアヌーク・エーメの美しさか。しかし親子ほど年の違うトレヴァー・ハワードの組み合わせはどうも・・・。 [DVD(字幕)] 3点(2012-04-14 17:18:25) |
1352. 鞍馬天狗 角兵衛獅子(1951)
子どもの頃アラカンの鞍馬天狗は見たはずなのだが、この角兵衛獅子だったかどうかは定かではない。 時代劇はたいがい無敵のスーパースターみたいな主人公が登場し、格好良いところを見せるのだが、この映画の鞍馬天狗はそうとも言えない。杉作に助けられたりもする。 BSを録画したのを改めて見てみたが、映像が古く見苦しい。音声もひばりの声はしっかり聞き取れるのに、他の役者の声が聞き取れなかったり。その上ストーリーもよくわからない所があったり・・・。鞍馬天狗はどうやって水牢から逃れたのか、近藤勇との勝負はどうなったのかなど。 [地上波(邦画)] 4点(2012-04-14 10:40:19) |
1353. 鍵(1974)
谷崎潤一郎の原作小説が持つエロスに焦点を当てて映像化した作品。小説は文字で表現され、読者は想像たくましくイメージするが、そのイメージを実像化したものと言える。(18禁映画)日記や鍵の意味合いなど、先の市川映画より原作に忠実でリアルだが、キャストは京マチ子、仲代達矢を配した市川映画とは比べものにならないし、主役の女性が好きでない。夫役は能楽師の観世栄夫が演じていて好演だと思う。 [DVD(邦画)] 5点(2012-04-14 06:48:03) |
1354. 野菊の墓(1977)<TVM>
木下恵介の「野菊の如き君なりき」には及ばずとも、松田聖子の「野菊の墓」とは比べものにならないくらいずっと良い。 映画は70数分という短時間だが、非常にコンパクトにまとめられている。アイドル山口百恵を女優山口百恵に近づけた映画と言えるだろう。情感が込められ実に感動的だった。 ところで山口百恵と言えば共演は三浦友和と決まっていたが、このドラマは別。何しろ相手が年下役なのだから・・・。 [地上波(邦画)] 7点(2012-04-13 20:15:17) |
1355. 鍵(1997)
川島なお美に期待したが、やはり役不足だった。いや川島さんだけでなく他の役者も同様ずいぶんこぢんまりしているというか、木村役に至ってはただのちんぴらにしか見えなかった。それに反してセックス描写は赤裸々、これでは谷崎文学が泣く。 [DVD(邦画)] 3点(2012-04-13 15:44:04) |
1356. 鍵(1959)
何本か見た谷崎潤一郎の「鍵」だが、原作が発表されてまもなくの映画だけあって、これが一番しっくり来る。それどころか原作以上に文学的で、格調高いものを感じさせる 。 この映画は少年の頃予告編を見たのだが、そのときは裸のシーンやセックスという文字が飛び込んできて、何か見てはならない映画のように思ったのをしっかり覚えている。 しかし後の世に出てきた映画と比べるとその方面の表現はずっと柔らかで、むしろサスペンス的な雰囲気を漂わせている。日記や鍵の扱いが原作と違っているのが気になるが、北林谷栄の婆さんがおもしろい。 [ビデオ(邦画)] 7点(2012-04-13 07:28:24) |
1357. E.T.
私の若い頃は、スピルバーグはSFファンタジーの代表的な存在であり、ジョーズ 、未知との遭遇、E.T.とヒットを飛ばしてきた。そしてE.T.と言えば、満月を背景にシルエットとして浮かぶ空飛ぶ自転車の映像が大変話題になった。(今でも超有名) そんな大評判の中で見たE.T.だったが、大感動を受けるには年がいっていた。(もっと昔に制作されていたならばと思う) しかし子ども時代の素直な心を持つ年少者には、良い映画なのではと思う。 [映画館(字幕)] 6点(2012-04-12 19:06:00) |
1358. シャーロット・グレイ
ナチスドイツ侵攻によって二分された第2次世界大戦下のフランス。南部ヴィシー政府はドイツ傀儡政権、ナチス寄り政策を進めると共にユダヤ人検挙も積極的に行った。それに反発する市民や左翼はレジスタンスとして政府に立ち向かった時代である。 シャーロットはそんな政治的関心があるわけではなく、ごく普通の看護婦であったのだが、フランス語が堪能だったことと愛する男を追って、レジスタンスの一員となる。映画はそういう激動の時代の中で、強く生きるシャーロットの生き様とロマンスを見事に描いている。 主役を演じたケイト・ブランシェットは実にすばらしい。エリザベス女王に限らず彼女が演じたどの役柄にも存在感を示してくれる。一方でまた、ジュリアンの父を演じたマイケル・ガンボンもまた良い味を出している。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-12 18:03:04) |
1359. 人生は、時々晴れ
終盤になってようやく光が見えたかなという感じで、全体を通じて湿っぽく、イジイジした感じだった。何度「クソッ」という言葉があっただろうか。 [DVD(字幕)] 4点(2012-04-12 14:25:01) |
1360. 砂と霧の家
《ネタバレ》 強烈な印象に残る映画であり、あまりにも悲しかった。どうしてこのような悲劇が起きてしまったのだろう。元は言えば行政を司る郡のミス、いやミスではすまされないことなのだが、それを攻めてもどうにもならないだろう。 失って初めてわかるもの、あまりにも犠牲は大きかった。予告編で求めていたのはHouseでなくHomeだった(予告編でネタバレ)と言えばそれまでだが・・・。 人を脅し従わせる銃、自殺をするための銃、大切な人を守る銃、そして危険を除去するため射殺する銃、米国の銃社会、それはいつか大きな不幸を呼ぶと声を上げて叫びたい。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-11 20:45:51) |