1361. トランス・ワールド
《ネタバレ》 人里離れた森の奥深くに佇む一軒のみすぼらしい山小屋。そこに、旅行中に夫とはぐれて迷子になってしまった妊婦サマンサがやって来る。しかし、そこには森で事故を起こし同じく迷子になった青年トムという先客が居たのだった。ほどなくして、今度は色んなお店で強盗を繰り返してきた根っからの不良少女ジョディがやって来る。仕方なく力を合わせてここから脱出しようとする3人だったが、何故か何処まで歩いてもまた同じ小屋へと舞い戻ってしまうのだった。戸惑う3人に、さらに追い討ちをかけるような驚愕の事実が明らかとなってゆく。いったい此処は何処なのか?そして、彼らは無事に森を抜け出すことが出来るのか?主要登場人物はほぼこの3人(後半にもう1人出てくるけど)、舞台も何処にでもあるような森の山小屋とその周辺のみという明らかな低予算映画なのだけど、秀逸なアイデア、練られた脚本、何より面白い映画を創ろうという情熱のみを武器に、これまで誰も観たことのないような世界を創出しようという監督の熱意が画面の端々から感じられる意欲作でありました。残念ながら、それが必ずしも成功しているとは言いがたいところがちらほらあるけど、その心意気や良し!大マケして7点! [DVD(字幕)] 7点(2014-01-29 19:54:17) |
1362. ムーンライズ・キングダム
《ネタバレ》 小さな島にボーイスカウトとしてやって来た孤児の少年サムは、団体行動が苦手で常にトラブルを引き起こす問題児。周りの大人たちもほとほと手を焼くさなか、サムは島で出会った同じく問題児の女の子スージーと瞬く間に恋に落ちる。しかし、次々と問題を起こすサムに嫌気が差した里親がとうとう彼を手放すことに。「ぼく、このままじゃ少年収容所(孤児院)へと送り込まれちゃうよ!」と、サムは一大決心してスージーと共に駆け落ちを決行、突然居なくなった2人に、周りの生真面目な大人たちは小さな島を右往左往の大騒ぎ。果たして無垢な心を持ったサムとスージーの恋の行方は?イエローを基調とした月光のように美しい映像で描き出された、独特の幻想的な雰囲気が全編に漂うスラップスティックなコメディ作品。この徹底的に現実感を排除したセンス溢れる世界観は確かに良いと思うのだけど、うーん、微妙に僕の好みとは合わなかったかなー。この監督の前作「ファンタスティック・フォー・ミスターフォックス」でも感じたことですが、ちょっと上品に過ぎますかね。もうちょっと下世話な部分もあったほうが個人的に好みっす。それでも、ブルース・ウィリスやエドワード・ノートンのもう余裕で楽しんで演じているだろう飄々とした演技とかはなかなか良かったけどね。あと、ちょっぴりロリコンの気がある自分としては、前半のずっと下着姿でうろうろするスージーのおませな女の子っぷりも充分堪能させてもらいました(笑)。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-28 10:13:28) |
1363. ジャッキー・コーガン
《ネタバレ》 ヤバイ奴らが運営する地下の賭場を襲うことに決めたチンピラ2人組。かなり杜撰な計画は奇跡的に成功するものの、ドラッグにだらしない相棒が酒場でつい口を滑らせたことから、常に冷静沈着な殺し屋ジャッキー・コーガンが2人の元へと忍び寄る。楽勝で大金が稼げたことに浮かれていた彼らだったが、一転して自業自得の窮地へと追い込まれてゆくのだった。一見、そんなオーソドックスな犯罪ドラマと見せかけながら、実はブッシュ政権末期で破綻した経済至上主義政策に翻弄されるアメリカ社会を暗喩的に描いたクライム・サスペンス。とにかく、一本の映画としてみればあまりにも稚拙と言わざるをえません。タランティーノの映画に出てくるエピソードの一つとして検討されながら、ぎりぎり採用されなかったようなお話をなんとか引き伸ばして90分の映画へと無理やり成立させたような退屈極まりない作品でありました。NYからやって来るアル中の殺し屋も、恐らくどうしようもない駄目男のトホホ感をタランティーノっぽく漂わしたかったのだろうけど、完全に失敗しています。そして、肝心の暗喩のほうも上手く機能しているとは到底言いがたい安易な代物。お年を召しても相変わらずカッコいいブラット・ピットや、レイ・リオッタが殺されるシーンでのスローモーションを多用した凝ったカメラワークとかはなかなか良かっただけに残念です。 [DVD(字幕)] 4点(2014-01-28 06:12:16) |
1364. 360
《ネタバレ》 芸術の都、ウィーン。大金を得るため、高級売春クラブで働くことを決めたブランカ。最初についた客に会いにホテルのバーへと向かうと、そこには妻のいる身でありながら初めて女を買おうとするエリートサラリーマンのマイケルが待っていた。一方、ロンドンで働くマイケルの妻は若い写真家との不倫に苦しんでいた。物語の語り手は、そこからその若い写真家と別れてブラジルへと帰ることを決めた恋人へとバトンタッチし、さらには飛行機で彼女と偶然隣り合わせた遠い過去に失踪した自分の娘を捜す老人、自分のなかに蠢く歪んだ欲望に苦しむ出所したばかりの元性犯罪者、同僚で人妻でもある女性への恋に苦悩する歯科医、ボスから犬のような扱いを受けているチンピラマフィア、と次々と移行していく。それにつれて舞台も、ウィーンから、ロンドン、パリ、ロシア、アメリカの各都市、ブラジルのビーチへとまるで奔流する大河のように世界を駆け巡り、最後は広大な大海原へと還元するかの如くウィーンの売春婦へと360度の円環を閉じてゆく。「シティオブゴット」で鮮烈なデビューを飾ったメイレレス監督が、豪華な俳優陣を起用しこれまでに培ってきた技巧を駆使して描き出した群像劇。と、聞くととても壮大でドラマティックな作品を思い浮かべるけど、今作は意表を突くほど地味な展開が最後まで淡々と続きます。それなのに相変わらずの見事なストーリーテリングで、最後まで観客を飽きさせないところはさすがでした。うまくいかない男と女、親と子、上司と部下、それでも人生は一度きりと幸せになるチャンスを必死に手に入れようとする人々の姿が、観終わったあとも良い余韻となって心に残ります。豪華俳優陣のわりに、あまりにも地味すぎて世間ではいまいち評判にならなかった作品みたいだけど、僕にはなかなかの良品に思えました。 [DVD(字幕)] 7点(2014-01-27 00:14:33) |
1365. エンド・オブ・ホワイトハウス
《ネタバレ》 不慮の事故により大統領夫人を死なせてしまった元シークレットサービス、マイク。それが原因でデスクワークへと左遷されてしまった彼だったが、1年後のある日、ホワイトハウスへと向かう不審な航空機を目撃する。それは祖国統一とアメリカ壊滅を目論む北朝鮮系テロリストの凶悪な計画の始まりに過ぎなかった。アメリカ中枢が瞬く間に蹂躙され占領されていくなか、旧友でもある大統領を救うため、マイクはたった一人で壊滅寸前のホワイトハウスへと乗り込んでゆく。いかにもアントワン・フークワらしい重厚で男臭いアクション・エンタメ作品。まあ、ストーリー展開がもろ「ダイ・ハード(ホワイトハウス・バージョン)」ですけど、冒頭からアメリカ本土へと乗り込んできたテロリストたちが次々と一般市民をも巻き込んで容赦なく攻撃してくるという怒涛の展開にはけっこう惹き込まれました。相変わらず男臭~いジェラルド・バトラー、そんなんで大統領務まるんかいなってくらい良いトコのお坊ちゃんのように品の良いアーロン・エッカート、テレビで国民へと演説するともはやワビサビさえ感じられるモーガン・フリーマンとかも、まあベタですけどなかなか良かったです。確かに、冒頭の大統領専用車のフロントガラスにぶつかってきたのはなんやったんや!とか、韓国の警備甘過ぎやし!とか、大統領あんなに喋らん言うてたのにいつの間にケルベロス・コード喋っとんねん!とか、いろいろと突っ込みどころは満載ですけど、フークワ作品って昔から個人的にけっこう嫌いじゃないんでちょっと甘めに7点っす! よーし、次はエメリッヒのさらにお馬鹿な方(勝手な先入観っ笑)を観るぞー。 [DVD(字幕)] 7点(2014-01-26 23:18:40) |
1366. ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!
《ネタバレ》 ニコラス・エンジェル巡査、カンタベリー大学を首席で卒業、次に入った警察訓練学校でも実習で優れた才能を見せ、卒業試験ではトップの成績でバトン賞を受賞、輝かしい経歴を引っ提げてロンドン警察へと赴任すると、献身的に地域社会に奉仕しすぐに人気者になったばかりか、高度な車両運転技術も習得、あらゆるクラブ活動へも積極的に参加し、体力テストで行われた100m走では警察記録を更新、そして満を持してエリート武装班に配属されると、そこでも八面六臂の活躍をみせ勇敢賞(なんやそれ?)を受賞、過去1年で9度の特別表彰を受け、検挙率では断トツの1位、勤務中の名誉の負傷は3度、最近襲われたのは12月、犯人は何故かサンタの格好をした泥棒(知らんがな!)、目にした犯罪はたとえそれが立ち小便であろうと路上で寝てるだけの酔っ払いであろうと決して許さない、そんなあり得ないぐらい優秀でクソ真面目(失礼!)なエリート巡査が当然のように周りの同僚や上司からウザがられ、クソ田舎(失礼!)へと左遷させられたことから巻き起こる騒動を描いたドタバタコメディ。最近観た「ショーンオブザデッド」というゾンビコメディ映画がすこぶる面白かったので、同じ製作陣で作られた今作も期待して鑑賞してみました。うーん、ちょっと期待が高すぎたからかそこまで笑えなかったかなー。僕が、ゾンビ映画にはかなり思い入れがあるものの、警察映画にはそこまでということもあるんだろうけどね。ショーンではどうしようもない駄目男を演じていた主人公が今作では、“超”が幾つも付くくらいのエリート警官って設定も面白いけど、やっぱり彼は“馬鹿”が幾つも付くぐらい駄目男のほうが合ってると思う。それにちょっと時間が長いところも若干気になりました。相変わらずのやり過ぎグログロ描写とかは良かったけどねー。うん、これはもう完全に好みの問題っす。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-26 07:59:45)(良:1票) |
1367. デタッチメント 優しい無関心
《ネタバレ》 学級崩壊など当たり前、誰も教師の言うことなど聞く耳を持たない荒れた不良校へと着任することになった非常勤教師ヘンリー。どことなく冷めた視線で生徒たちと接する彼だったが、彼なりに子供たちを取り巻く環境を少しでも変えたいという情熱を胸に秘めていた。しかし、なかなかうまくいかない現実に徒労感を募らせ始めていたある日、客から殴られレイプされた売春婦の少女エリカと出会う。息詰まっていたお互いの人生に共鳴しあうかのように自然に同居することになった2人だったが、彼らを取り巻く現実は何処までもやるせないものだった。「アメリカン・ヒストリーX」という、未だに主演のエドワード・ノートンの熱演が強く印象に残っている(逆を言えばそれ以外は印象に乏しい)作品を撮ったトニー・ケイ監督の久し振りの新作。なんだけど、何をメインに描きたかったのか、いまいちテーマが絞り切れていないような印象を持ってしまいました。ストレスから心を病んでゆく同僚の教師たちや、写真にしか自分の居場所を見出せない太り気味の女生徒、認知症を患うヘンリーのお祖父ちゃん、そして彼と同居することになる心の片隅にどこか純粋な心を保っている売春婦エリカなど、各々のエピソードが最後までいまいちうまく絡み合ってきません。全編を覆うセンス溢れる美しい映像や実力派の役者陣が織り成す淡々としながらも心に残る演技など光るものが多かっただけに、惜しい作品でありました。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-25 20:25:27) |
1368. インシディアス
《ネタバレ》 ようやく手に入れることが出来た郊外の新居へと越してきた大学教授ジョシュ。愛する妻と3人の幼い子供とともにこれからさらに幸せになろうとしていた矢先、長男のダルトンが原因不明の昏睡状態へと陥ってしまう。突然のことに悲嘆に暮れる家族だったが、数ヶ月が経ってもダルトンに回復の兆しが見られず、失意のうちにせめてもと自宅療養へと切り替えることに。だが、そこからジョシュと家族の平凡だった生活に不可解な現象が起こり始める。無線機に紛れ込む謎の人声、窓から覗く怪しげな影、夜中に唐突に開け放たれる玄関のドア…。仕方なく別の家へと引っ越すことにしたものの、事態は改善されぬばかりかさらなる恐怖が彼らを襲うのだった。うーん、これ子供が3人兄弟である必要があったのかなー。恐怖を体験する対象があまりにも多過ぎて、ホラーとしての焦点が絞り切れていないような印象を受けました。それを裏打ちするかのように、後半は次男も末娘も一切出て来なくなるし(笑)。じゃー、最初から一人息子って設定で良かったじゃん!と、こりゃはずしちゃったかなぁと思いながら観てたのだけど、後半、お父さんが幽体離脱して迷い込む〝彼方の世界〟の、不気味さと狂気とユーモアを濃厚に織り交ぜて描かれたシュールな世界には(デビット・リンチ&シャイニングの影響をモロに受けているとはいえ)予想に反して結構惹き込まれました。まあ、ベタベタなホラーではあるけどそこそこ良かったと思いまーす。ただ、最後のオチは完全に蛇足。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-22 23:11:47)(良:1票) |
1369. ショーン・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 何をやってもうまくいかない冴えない男、ショーン。幼馴染みで同居人のこれまたどうしようもない駄目男エドのことが原因で彼女にフラれてしまった彼は、とことん大酒喰らって憂さ晴らしすることに。しかし、翌朝酷い二日酔いで目覚めてみると、いろいろあって街はゾンビで溢れ返っていた!未練たらたらのショーンは、すぐさま元カノを助けに行き近くに住む母親も救いみんなで行き付けのパブへと逃げ込んで襲いくるゾンビどもを撃退しビール飲みながら誰かが助けに来てくれるの待つという完璧な計画(?)を立てると、一緒に飲んでいたポンコツ人間エドと共に決死の覚悟で家を飛び出すのだった!いやー、良いですね、これ。久々におれの好みと見事に合致した、とことん馬鹿馬鹿しい映画と出合ってしまいました。ゾンビが次第に侵食して街がどんどん危機的状況に追い込まれていくのに、それに全く気付かないショーンの鈍感っぷりと、どこまでもお馬鹿なのだけどなんか憎めないエドとの呑気な遣り取りがめちゃツボでした。全編に散りばめられたくだらない(褒め言葉!)ギャグの数々もいちいち笑えます。大量のゾンビの群れのなかを、ゾンビのふりして遣り過ごしちゃうって、おい!そんな徹底的にコメディかと思いきや、後半、パブに辿り着いた登場人物たち各々に細やかな設定が創り込まれていて人間ドラマとしても意外に見応えありました。結局、パブに行かなければ全員助かってたじゃん!というブラックなオチ(ミストにも通じる?笑)とかもナイス!うん、面白かったっす!もっと早く観れば良かったなー。 [DVD(字幕)] 8点(2014-01-21 08:48:46)(良:1票) |
1370. クロッシング・デイ
《ネタバレ》 暴力と貧困の連鎖が色濃く残る街サウスボストンで、物心つくまえから犯罪と隣り合わせの生活を送ってきた幼馴染みのブライアンとポーリー。昔からそんな二人の面倒をずっと見てきたチンピラたちの元締めであるパットのもと、彼らのヤバい仕事はどんどんとエスカレートしていく。当然のようにそんなロクでもない生活が長続きするはずもなく、とうとう二人は警察に捕まり刑務所へと服役することに。先の見えない自分の人生に心底嫌気がさした二人は、それまでの仕事から足を洗い、愛する人のために再起を誓うのだったが…。マーク・ラファロとイーサン・ホークが貧困に追い詰められ野獣のような迫力を漂わせる男たちを熱演したクライム・アクション。と、聞けば誰もがアントワン・フークワが数年前に製作した同じくクライム・アクションの佳品「クロッシング」を髣髴とさせるのだけど(え、それっておれだけ?笑)、そんな作品の邦題が「クロッシング・デイ」というたった二文字を付け足しただけって、いくらなんでもこれってどうなんですか?そして肝心の内容のほうもフークワ作品に比べていまいち演出にキレがありません。いまクローズアップするシーンはそこじゃないだろー!てところが多々あり、特に最後のイーサン・ホークがその後どうなったのかというのをただナレーションで説明するというのは完全に肩透かしでしたね。とまあ、いろいろと文句を言いながらも底辺を這いずりまわる男たちを重厚に描き出した犯罪ドラマとして(ベタではありますけど)そこそこ楽しめました。イーサン・ホークの相変わらずギラギラした目付きの危険な男っぷりもナイス!それだけにこの安易な邦題は、やっぱり損をしているなぁとあらためて思います。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-19 21:40:25) |
1371. プライドと偏見
《ネタバレ》 19世紀、女性にとって結婚だけが幸せに繋がるという価値観に支配されていたイギリスの華やかな社交界。年頃を迎えた、貧しいながらも仲の良さだけは誰にも負けないベネット家の5人姉妹にとっても、それは何にも増して切実な問題だった。恋に悩み、時に傷付きながらそれぞれに幸せになろうとする姉妹たち。そんななか、どんなときも凛としたプライドだけは決して失わない次女のエリザベスは、無愛想な貴族ダーシーと出会う。「あんな感じ悪い人のことなんか絶対に好きになるわけないわ」と心に誓うエリザベス。だが、プライドと偏見ばかりが幅をきかす窮屈な社交界において、ダーシーの隠されていた優しさに気付いたエリザベスは次第に彼に心惹かれてゆくのだったが…。最近、同じ監督&主演女優で製作された「アンナ・カレーニナ」という作品を観てみたら、これがなかなかの良品だったので、見逃していた今作もといまさらながら鑑賞してみました。いやぁー、まさかこんなに女性向けのごりごりラブロマンスだったとは…(笑)。不倫の恋に苦しむ若い人妻というアンナのテーマは普通に男性の僕でも興味深く観れたのだけど、さすがにここまで恋愛に特化されると男性にはちょっときついっすね~。エリザベスにフラれた背の低いおっさんが嫉妬心爆発して暴走しちゃうとか、姉妹同士で狙っていた男がかぶって取り合いになっちゃうとか、そんなドロドロ展開してくれたほうが個人的に好みっす。それでもアンナでも見られた、華やかな社交界や田舎ののどかな田園風景などをセンス溢れる美しい映像で描き出した、この監督の見事な手腕は今作でも遺憾なく発揮されておりました。そこは素直に良かったと思います、はい。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-19 19:58:40) |
1372. パーフェクト・トラップ
《ネタバレ》 彼氏から約束していたデートをドタキャンされ、仕方なく友達と一緒にクラブへと遊びに行くことにしたエレナ。そこでバイトしているはずの彼氏が他の女とキスしているのを目の当たりにした彼女は、当然のようにブチギレして彼氏をどつく。だが、そんなことお構いなしに、とにかく罠が好きでひたすら面倒臭~い方法で人を殺すのが大好きな猟奇殺人犯に店内に居た客(だいたい100人くらい笑)を皆殺しにされると、何故かエレナだけコレクション品として連れ去られてしまう。それを知ったエレナの父親は、娘を救うために屈強な男どもを雇いすぐに犯人の元へと向かわせたのだが、そこにはさらに面倒臭~い罠の数々が待ち構えていたのだった…。なんなんですか、このお馬鹿な設定とお馬鹿なストーリーとお馬鹿な登場人物とお馬鹿な警察とお馬鹿な犯人とお馬鹿な罠の数々とお馬鹿なオチは。リアリティなんか度外視、ただひたすら人が大量に胸糞悪くなるくらいグロ痛い方法で死んでゆくのを延々と見させられただけの胸糞悪~~~い映画でありました。おかげでかなり食欲なくなっちゃったじゃん、もう!たとえば「ソウ」という作品には、いくらグロくてもそこには必要最低限のリアリティやら必然性やらがちゃんとあったから普通に最後まで楽しめたのに、残念ながらこの作品にはそれがまったくと言っていいほど皆無なのです。というわけで、この映画製作に係わったスタッフの皆さん、次は〝脚本を練る〟〝設定を詰める〟という映画作りの基本中の基本をもっと勉強しなおしてから撮影を始めてください!!よろしく!! [DVD(字幕)] 4点(2014-01-16 22:12:39) |
1373. 15歳、アルマの恋愛妄想
《ネタバレ》 Hなことにとっても興味津々、思春期真っ只中の女の子、アルマ。一人になったらすぐにHな妄想ワールドへと突入し、色んなものを股間へと擦り付けハアハアしちゃう。そんな彼女が、友達のパーティーで前から気になっていた男の子に突然おち〇ちん(何故かでっかくなってる!笑)を突き付けられたからさあ大変。閉鎖的な小さな村の中で〝チンチンアルマ〟というあだ名を付けられるわ、みんなから無視されるわ、お母さんはヒスをおこしちゃうし、これからどうなっちゃうの、あたし?という思春期ラブコメだと思って鑑賞してみたら、まさかの普通の青春ドラマでした。恐らく、ハルストレムの初期作品のような世界をちょっぴりお下品に描いてみたかったという狙いは良いと思うのだけど、主人公アルマにあんまり魅力を感じず僕はいまいち乗り切れませんでした。うーん、こんな女の子居るかな~。これってもろ思春期童貞男子の発想じゃん。思春期女子はもっとうれしはずかし系の妄想に走ると思うんだけど。なんだか、きっと女の子だっておれたちと同じくエロいに違いないというドブロック「もしかしてだけど~」的男目線で描かれた、童貞男子のエロ妄想映画だと僕には思えました。それならそれでもっと無茶苦茶してくれても良かったと思うんだけど、最後まで中途半端に抒情的という、なんともどっちつかずな作品でありました。もしかしてだけど~、もしかしてだけど~、女もオナニーしまくってんじゃないの!そうゆうことだろ!←いや、違うし(笑)。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-13 22:19:56) |
1374. エンド・オブ・ザ・ワールド(2012)
《ネタバレ》 小惑星が突入してくることが分かり、人類滅亡を3週間後に控えた地球。絶望的な世界で、静かに死を迎えようとする人、享楽的な馬鹿騒ぎに浮かれる人、自暴自棄から暴動を起こす人たち…。そんななか、妻に去られた冴えない男ドッジは天真爛漫で常に前向きな女性ペニーと出会う。迫りくる暴動から命からがら逃げ出した二人は、それぞれの目的のために捨てられたプードルと一緒に旅に出ることに。ドッジは昔の最愛の恋人へと再会するため、ペニーは大事な家族の元へと帰るため。最初はぎこちなかった彼らだったが、世界の終末で共に様々な出来事を経験するうちに、いつしか二人の仲は縮まってゆく。特異な状況下で描かれる、ストーリー自体はいたってシンプルなロードムービー。世界の終末を描きながら、この最後まで徹底的に軽~い明る~い雰囲気を貫き通したセンスは新しいと感じました。徹底的に暗~い重た~い鬱的アプローチで同じテーマを描いた、ラースフォントリアーの「メランコリア」躁バージョンといった感じですね。この2本を続けて観ればちょうどいい精神状態が保てると思います(笑)。人類滅亡が間近に迫っているのに普段通り仕事をするメイドや、「俺は必ず生き延びてやるぜ」と仲間と共に地下室へと立てこもるペニーの元カレ、そして悲劇であるのに悲愴感を微塵も感じさせない美しいラストなど、物語を彩る多彩なエピソードの数々も印象に残りました。後半から世界の終末という設定が巧く機能していないような気もするけど、それでも斬新な設定を瑞々しいセンスで描き出した、将来性を感じさせる監督のデビュー作。うん、なかなか良かったっす! [DVD(字幕)] 6点(2014-01-11 11:01:48) |
1375. 囚われのサーカス
《ネタバレ》 1961年、テルアビブ郊外にあるユダヤ人専門の精神科病棟へアダムという男が帰ってくる。入所している様々な患者らと共に奇異な行動を取り続ける彼は、戦前、ドイツでサーカスの道化師として働いていたという過去があった。そこで当然のようにナチスによって家族もろとも収容所へと送り込まれたアダム。物語は、そんなアダムが精神を病むきっかけとなった収容所でのとある将校との屈辱的な遣り取りを織り交ぜながら進行してゆく。恐らく、デビット・リンチやテリー・ギリアムのようなシュールな世界を目指して製作されたのだろうけど、いかんせん両者に比べて余りにもセンスが不足している感が否めません。リンチのような一度観たら忘れられない悪夢のような映像美もなく、ギリアムのようないつまでも記憶に残る個性豊かなキャラクターも登場せず、最後までなんとも地味な映画となってしまってます。自分を犬と信じ込んでいる少年のエピソードも主人公の狂気とうまく絡んでこないし、やたらとアダムといちゃつく看護婦も意味不明だし。うーん、ゴールドブラム&デフォーのかなり濃ゆ~い顔面だけがいつまでも印象に残りそうなそれだけの作品でありました。ホロコーストという歴史の狂気を象徴的に映像化しようという試みは良かっただけに、残念っす! [DVD(字幕)] 4点(2014-01-09 21:50:50) |
1376. キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け
《ネタバレ》 巨大な投資会社の経営者として日夜、巨万の富を動かす大富豪ミラー(リチャード・ギア)。マンハッタンの一等地に居を構え、家族にも恵まれ、なおかつ愛人とも良好にやっている彼だったが、とある投資の失敗によって出来た巨額の損失を穴埋めするために粉飾決算へと手を染めていた。会社を銀行へと売却した資金でそれを補填し、なんとか事態を打開しようとするミラーだったが、そんなおり、愛人の車で横転事故を起こしてしまう。同乗していた愛人は即死、なおかつ彼は飲酒運転でもあった。「このままでは会社売却の話も白紙に戻ってしまう…」と、ミラーは嘘に嘘を重ねる危険な賭けへとでてしまう。庶民には窺い知れない上流階級で、金と女と欲望が渦巻く愛憎劇というオーソドックスなサスペンスドラマ。なんだけど、会社の不正を隠蔽しようというストーリーと飲酒運転の罪から何がなんでも逃れようとするストーリーがうまく絡み合っていないような気が…。なんだか別々の映画を交互に見せられているような感じがしました。それにここまで追い詰められるのだから、もっとリチャード・ギアに悲壮感が漂っても良かったと思うのだけど、最後までずっと小奇麗なジェントルメンのまま。そこが良くも悪くも彼の俳優としての個性なんだろうけどね。まあ、シンプルなサスペンスドラマとしてはぼちぼち良かったんじゃないでしょーか。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-09 11:20:54) |
1377. ザ・マスター
《ネタバレ》 心に歪んだ傷を背負った元兵士フレディ。人生という迷路を彷徨い続けていた彼は、ある日マスターと信者たちから慕われる新興宗教の教祖と出会う。空虚だった自分の人生を満たしてゆくかのようにマスターへと惹かれていくフレディと、そんな彼を息子のように見守るマスターとの異常とも言える友情を描いた重厚な人間ドラマ。この監督の前作でも感じたことだけど、とにかく説明不足。起こった出来事をただ淡々と客観的に描き、その背景にある事実は観ている人それぞれに行間を読んでくださいというこの演出手法はあまり好きではありません(前半の主人公が造る謎のお酒のエピソードはいったいなんだったのでしょうか?)。そうして描かれる主要テーマもかなり難解なもの。うーん、どうなんだろう、これは。この監督のこれまでの作品(特にマグノリア)には理解出来ないなりに心にグッとくるものがあったのですが、この作品にはどうにもそれが欠けているようにしか思えないのです。主演俳優の、三者三様の熱のこもった圧巻の演技は確かに見応えがありましたけれど、残念ながら僕には心に響くものの乏しい退屈な映画でありました。ポール・トーマス・アンダーソン、次は昔のように猥雑な熱気と高尚なテーマが絶妙なバランスで同居しあう群像劇の傑作をまた撮って欲しいと切に願います。 《追記》2014/2/2、フィリップ・シーモア・ホフマンが急逝されたとのニュースが舞い込んできました。詳しいことは分かりませんが、原因は薬物中毒とのこと。悪役でも善人役でも見事な存在感でもって演じ分けるハリウッドの名バイプレーヤーとして、彼の赤ら顔をもう見ることが出来ないと思うととても残念でなりません。ご冥福をお祈りします。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-09 07:27:31) |
1378. ディラン・ドック デッド・オブ・ナイト
《ネタバレ》 ニューオーリンズで私立探偵として平凡に暮らすディラン。しかし、彼には誰も知らない秘められた過去があった。少なくとも人間にとっては。そう、彼は街の夜の暗闇に暗躍するモンスターたちのトラブルを仲裁する冥界探偵でもあったのだった。過去に起きたとある出来事をきっかけにそんな仕事から引退していたディランだったが、一人の女性から依頼されたある殺人事件の調査をすすめていくうちに、いろいろあってゾンビと化した相棒と共に吸血鬼や狼男たちの壮絶な争いへと巻き込まれてゆく。という、設定だけ聞けば一昔前に流行ったアンダーワールドとかのCGを多用したホラーアクション作品を髣髴とさせるのだけど、今作は何処までもノリノリのコメディタッチの作品へと仕上がっておりました。いかにもクールで男前なディランと、突然ゾンビと化してしまった自分にワーワー大騒ぎしているお間抜けな相棒との軽妙なやり取りとかは普通に面白かったのだけど、いかんせん世界観があまりにも幼稚過ぎてちょっと付いていけません。いくらコメディタッチの作品とはいえ、ストーリーに突っ込みどころが多すぎますって、これ(敵に閉じ込められた絶体絶命のピンチを、ゾンビは土掘るの得意だからと穴掘って易々と脱出しちゃうって、おい!笑)。それに最後に出てくる世界を支配するはずの強大な悪魔が、予算の都合かかなりちゃっちかったのには苦笑しちゃいました。本来、こういう馬鹿馬鹿しいノリはけっこう好きなんだけどなー。うーん、これはいろいろと残念賞な映画でありました。でもまあ、適度な暇潰しにはなるよ。 [DVD(字幕)] 5点(2014-01-07 20:10:40) |
1379. 野蛮なやつら/SAVAGES
《ネタバレ》 イラクやアフガンで傭兵として戦い、肉弾戦が得意なチョン。仏教思想に影響され、世界の弱者を救いたいと願っている頭脳明晰なベン。そして、二人から同時に愛されお互いの合意のうえで二人と肉体関係を結んでいる恋人オフィーリア。カリフォルニアの豪邸に住むそんな彼らの仕事は、高品質な大麻を育て自ら売り捌くことだった。しかし、当然事業が軌道に乗り始めるとメキシコを拠点とする旧来の麻薬組織に目を付けられ半ば強引に不利な取引を持ち掛けられてしまう。ここらが潮時だと引退して海外へと逃亡を図ろうとした彼らだったが、組織の凶悪な女ボスによってオフィーリアが誘拐されたことを知ると無謀ともいえる戦いを開始するのだった。まさに“野蛮なやつら”な登場人物たちが織り成す、乾いたユーモアと過剰な暴力描写が全編に横溢するクライム・アクション。明らかに、オリヴァー・ストーンの世間ではいまいち評判が良くない「ナチュラルボーンキラーズ」や「Uターン」の系譜に連なる作品だけど、昔から僕はけっこう嫌いじゃなかったんで今作もなかなか楽しめました。さすがに彼も年取ったのか、クオリティ的にちょっぴり下がった感は否めないですけど(特に、あの夢オチとほとんど変わらん意味不明なラストは明らかに蛇足だと思います!)、相変わらずの濃ゆ~い暑苦し~い汗臭~いこってり濃厚な世界観はなかなか良かったっす。ベニチオ・デル・トロのいかにも癖のある嫌らしいDV男っぷりもナイス!ただ、ちょっぴり胸焼けしそうですけどね(笑)。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-07 16:10:57) |
1380. YES/NO イエス・ノー
《ネタバレ》 結婚式を間近に控え、これ以上ないくらいの幸せを謳歌する若いカップル。しかし、突然正体不明の犯人によって誘拐されると無機質な謎の密室へと監禁されてしまう。「ようこそ、真実の愛検証プロジェクトへ」マイクロフォン越しに高らかにそう宣言する犯人。部屋には、質問を表示する電光掲示板と、イエス・ノーと書かれた謎の二つのボタンがあった。強制的に幾つもの質問に答えていくうちに、次第に幸せ絶頂だった二人の隠されていた真実が明らかとなってゆく。果たして二人の愛の運命は?というソリッドシュチュエーションスリラー・ラブゲームバージョン。まあ、映像的にはそんなに新しいところは無かったですけど、着眼点は良かったんじゃないでしょうか。ゲームが進むにつれて、真実の愛だと信じていたカップルがどんどんと仲違いしていき、お互いに激しく罵り合うところとかなかなか見応えあり(笑)。ただ、ちょっとグロさが足らないっすかねー。スリラーなんだし、もうちょっと血液がドバッと出てくれても良かったと思う。「失敗。彼は脚を失いました」で、ほんとに脚を切断しちゃうくらいしてくれんと(笑)。それに夢オチまがいの変なラストにも興醒めでした。あと、最後に一つだけ言わせてもらうと、ここまでぐちゃぐちゃになった二人の関係が、「実は僕は君のために手造りチョコを作っていたんだよー!」という彼氏の突然の告白で真実の愛に目覚めるって薄っぺら過ぎるっしょ!ちょっぴりキレそうでした(笑)。 [DVD(字幕)] 4点(2014-01-07 11:53:56)(良:1票) |