1401. ゴシップ(2000年・スウェーデン)
実際の芸能人の生活がどーゆー物なのかは知る由もありませんが、ここで描かれるスウェーデンの女優・男優・監督・プロデューサー等の生活は意外に質素ながらも、我が国の女性週刊誌やワイドショーで騒がれる内容程度の物でしかありません。複雑に見えて非常に解りやすい人間関係、我の強過ぎるイメージ通りの女優達、作品製作に頭を悩ます監督・プロデューサー…。ハリウッド大作の主演女優の座を巡る基本ストーリー等ほとんど関係なく、多くの登場人物達の珍しくもないエピソードがだらだらと続いていくだけです。とにかく相当に退屈な映画となってました、3点献上。 3点(2004-05-25 23:08:10) |
1402. ひかりのまち
そこは不完全な人間達がひしめき合い、いがみ合い、孤独を愛憎しながら暮らすまち。そこは“Wonderland”と呼ぶには程遠い世界。だから互いに、余りにも脆弱な絆を手繰り寄せ、それに頼らないと生きていけない。しかし、時としてその脆弱な絆が小さな奇跡を呼ぶこともある。そして「アリス」の誕生した場所は、例えそこがどんな所であろうとも、希望のひかり溢れる“Wonderland”になるのです。「マイ・ハート、マイ・ラブ」風の設定(仕上がりは更に地味)の上、私の嫌いなインディ臭もプンプンでしたけど、決して幸せには見えない一家の何にもない四晩が、不思議と心地良い気持ちにさせてくれました。私も孤独を愛憎する都会人だからか、または皆さんがお書きの通りマイケル・ナイマンの音楽のなせる業なのか…、6点献上。 6点(2004-05-25 23:06:51) |
1403. シャンヌのパリ、そしてアメリカ
「兵士の娘は泣かない」というタイトルだから、(邦題共々)シャンヌが主人公なのは間違いないと思う。しかし、私には誰が主人公なのか全く解らなかった(ビリーの母親から物語が始まる訳だから、敢えて言えばビリーか?)。シャンヌに絡む三人の男性の名前を冠した三章立ての構成の意味も不明。小説(未読)では、様々なエピソードからシャンヌ自身の成長やテーマ、フランスとアメリカを舞台にした意義等を紡ぎ出せたのだとは思いますが、この漫然とした脚本化は失敗だと思う。ということで、リーリー・ソビエスキーちゃんの可愛いおみ足と(これが見たかった!)下着姿に、4点献上。 4点(2004-05-25 23:05:56) |
1404. 害虫
《ネタバレ》 社会や家庭環境、そして運によって、多かれ少なかれ人生は左右されてしまう。確かに彼女は、サチ子という名とは裏腹に薄幸の元に生まれてしまったのかもしれません。しかし若干13歳といえども、彼女は選択する自由と選択できる知恵は少なからず持ち合わせていた筈。なのに彼女は不運ばかりを自ら選択し、どこまでも堕ちて行く。これは単なるプロローグでしかなく、彼女は更なる不運を選択して生きていくのでしょう。好みの映画ではありませんでしたが、ラスト、「何でもない…」の一言でスッパリ切った事により、個人的な評価はグッと上がりました。もちろん宮崎あおいの全てを堪能できたのも良かったです。それにしても、蒼井優ちゃんは引き立て役で不思議な魅力を発揮しますね。という訳で、6点献上。 6点(2004-05-14 22:41:21) |
1405. コンセント
当時はBSのハイビジョン・ドラマとして放映すると同時に映画として公開するという、一風変わったメディア・ミックス戦略をとってました。私はBS-i版と映画版の両方を観ましたけど、当然ながらベースは同じで、映画版にはよりファック・シーンが増えているといった感じです。しかしコンセントのメタファーがヴァギナであり、プラグがペニスであることを考えると、「セックスによって救いをもたらす都会のシャーマンの覚醒」というテーマに、ファック・シーンは不可欠です。特に、原作のラストに代わる国定とのファック・シーンが有るのと無いのとでは、作品として全く違うものになってしまいます。従って作品としては映画版が完全版といった感じでしょうか(個人的にはもっと劇的な展開や演出があった方が良かったと思います)、5点献上。 5点(2004-05-14 22:40:52) |
1406. 竹取物語(1987)
かぐや姫に沢口靖子を据えて(当時としては納得のキャスティングだった…かな)、その他にも三船敏郎を筆頭に大物俳優を揃えた東宝入魂の市川崑作品。風に揺れる緑の眩しい竹林の映像が美しく、当時では邦画としては珍しい高空からの町の俯瞰映像も一瞬あったり(当然マット・ペインティング)、駄作になる宿命だった映画を市川監督の技量が救っていたと記憶しています。そしてラスト、満を持して登場するのが「未知との遭遇」のマザー・シップ!(しつこいカット割で表現されるスピード感が悲しいけど、じっくり見せたらボロが出るから、この演出は正解でした) それにしても、東宝さんはどーしてもハリウッド大作をパクりたくてしょーがないのね…(しかも10年後にやっとこのレベル)。ま、一応それなりに楽しんだので、6点献上。 6点(2004-05-14 22:40:26) |
1407. 修羅雪姫 怨み恋歌
前作とは打って変わって壮絶さよりも、何故か怪しさの爆発した仕上がりに…(よりマンガ的になった?)。明治末期のカオス的雰囲気に加え、とにかく出てくる人物が怪しい人(特に洋館がハマり過ぎる岸田森! 彼に比べれば修羅雪など普通の人です)ばかりで、まるで江戸川乱歩の世界の様になってます。血飛沫をケチった(?)のも少し寂しかったし、また、前作では余り気になりませんでしたが、大人数を相手にする大立ち回りが何度も出てくるので、梶芽衣子の腰の座ってない殺陣も少し気になりました。全体としてパワー・ダウンしてしまった感は否めません。という訳で5点献上。 5点(2004-05-14 22:39:55) |
1408. 惑星大戦争
ヒット商品の便乗商法自体は否定しない(松下幸之助も実践してたし)。しかし、そこから生産されたのが古~い東宝特撮映画とオフィス・アカデミーのアニメを足して5で割った様なお粗末なモノなのはどーゆー訳? どーすればこんな企画を思いつき、その上それを通せるの? そして仕上がったモノを平気で流通させられるの? こんな欠陥商品、他の業界ならリコールかPL裁判モノだよ。とにかく、本作に関わった人のものづくりへの真摯な姿勢が全く感じられない。間の抜けたテーマ音楽と肩パット入れ過ぎの浅野ゆう子の衣装、そして沖雅也の涅槃に行く前の姿に、1点献上。 1点(2004-05-14 22:39:21) |
1409. 宇宙怪獣ガメラ
「何じゃぁこりゃあぁーっ!」と、松田優作ならずとも叫びたくなること請け合い。これなら、ただ単に旧作を繋ぎ合わせただけの総集編にした方がよーっぽどマシだろーがーっ! ミニチュアにしか見えない技術しかないくせに、スター・デストロイヤーをまんまパクってどーすんねん! ポマードべったりで髪を撫で付けた上、一人だけ巨大なマッハ文朱は、平和星の宇宙人つーより、レズビアンのタチにしか見えんわーっ!(他の二人との3Pレズ・シーンでも入れといてくれてたら、評価は倍じゃーっ! それでも2点だがなっ!) それにしてもギルゲよ、どこまでも不憫な奴よのぉ、1点献上。 1点(2004-05-14 22:38:53) |
1410. ゼイラム
「ヒドゥン」「エイリアン」「プレデター」「ターミネーター」「遊星からの物体X」等々からイメージを拝借し、美少女、コスプレ、秋葉原等々のおたくアイテムを堂々と使用して、こってこてに仕上げられた、東映変身ヒーロー物の匂いを強烈に発散させるファン感涙のSFアクション映画。本作の面白さはイリアの活躍やゼイラムの不死身ぶりや特殊メイクにあらず、ゾーンに迷い込んでしまった二人の電気工事技師にあり。ヒーロー物には絶対に一般人の活躍が必要だし、そこに一般人である我々観客の共感があるのです。それに、スモークや照明の使い方が巧いなぁと思わせる邦画もそうはありません。確かにチープな自主映画的ではありますが、「CASSHERN」を観た後なだけに余計に面白く感じてしまったのかもしれません、7点献上。 7点(2004-05-14 22:38:21) |
1411. EKOEKO AZARAK/エコエコアザラク
≪これで貴方も魔女の虜・エコエコ耐久第四弾/黒井ミサ=加藤夏希≫ 奇跡的駄作の「Ⅲ」より悪くなる筈がなく、映画的には中々良く出来ていると思います。また、前作群を無視して一から作品を構築することも、むしろ良い事かもしれません。しかし、近年の和製ホラーに毒された作風と(黒井ミサの活躍を期待する観客を裏切る)神経症の黒井ミサという設定では、一体どこに「エコエコアザラク」というタイトルをつける必要があるの? サイコ・ホラー風に話を進めつつも、結局ストーリー自体は「キャリー」の焼き直しだし、これは企画自体に問題があります。ということで、4点献上。 4点(2004-05-14 22:37:45) |
1412. エコエコアザラクIII MISA THE DARK ANGEL
≪これで貴方も魔女の虜・エコエコ耐久第三弾/黒井ミサ=佐伯日菜子≫ 決定的に古臭くつまらない脚本を、信じられないくらい下手な女の子達が演じ、それをぼかしフィルターを通した稚拙なカメラで撮影したクサレ映画(こんなに観ることに忍耐を要する映画も久しぶり)。テレビ版など存在していたことすら知らない私は、唐突に、しかし当たり前の様に登場する「おじさん」なる奇怪な人物にいきなり面食らってしまう。更に、少女マンガにブルセラ趣味を合わせた様な、前作と全く違う世界観にも「?」。こんな映画に「Ⅲ」を付けるな! 前作まで疑われてしまうじゃないか、1点献上。 1点(2004-05-14 22:37:14) |
1413. エコエコアザラクII BIRTH OF THE WIZARD
≪これで貴方も魔女の虜・エコエコ耐久第二弾/黒井ミサ=吉野きみ佳≫ 黒井ミサがどのように黒魔術を使えるようになったのかを描く、前作から遡った「リング0/バースデイ」の様な魔女誕生編。次々と宿主を変えて、選ばれし娘・ミサの身体を狙う冥界からの異者と、時空を超えてミサを守りにやって来た男との攻防。なんか「ヒドゥン」と「ターミネーター」を合わせた様なストーリーですけど、低予算ながら所々にセンスを感じさせる佐藤嗣麻子の演出で安心して観ていく事が出来ます。前作の菅野美穂みたいな強烈な脇役がいないのが玉に瑕ですけど、それでも充分6点献上。 6点(2004-05-14 22:36:22) |
1414. CASSHERN
とてつもなく長~い予告編、若しくはビデオ・クリップを見せられた感じ。監督自身が「皆さんが期待されている様な映画ではない」と断言されてますが、確かに私が期待したモノとは全く違ってました。賛否両論あるようですが、私には宇多田氏…もとい、紀里谷氏に映像センスやストーリー・テリングの才能があるとは思えなかった。スタジオ撮影した俳優に安っぽいCG背景を重ねただけで(本作は100%スタジオ撮影でしょう)、合成は大林宣彦の初期作品並の違和感だし、常にエフェクトのかかった画面は非常に鬱陶しい。それに監督のイメージは「カット」止まりで、「シーン」、ましてや「映画」全体のビジョンやオリジナリティがまるで感じられなかった。テロの時代に相応しく、憎悪の連鎖の断絶をテーマにしたのはタイムリーだし、暗いストーリーでも一向に構わないと思いますが、如何せん話がちっとも面白くない…、てか、面白い話をつまらなくしてると思う。とゆーことで、たった(月に)一度のサービス・デーを捨てて、これを選んだ映画鑑賞、こんな映画は叩いて砕く、俺が書かねば誰が書く! (↓)誰でも書いてるってか、…4点献上。 4点(2004-05-05 00:11:35)(笑:1票) (良:5票) |
1415. スワロウテイル
決してつまらない話ではないと思うし、少ない予算の中で作り上げられた円都やそれぞれのキャラクターの設定もクールだとは思いましたが、では、岩井俊二は果たしてこの物語から一体何を伝えたかったのでしょうか? それが解らない。それに、主人公はアゲハで、本作は彼女の成長物語という解釈で良いんですよね? だとしたら、岩井俊二はその周りを描くことにばかり熱心で、肝心のアゲハの物語を描いていない。そうなると、問題はやっぱり脚本。マンガの様な緻密なストーリー・ボードに力を入れる前に、脚本自体に命を吹き込んで欲しかったと思います、5点献上。 5点(2004-05-05 00:10:31) |
1416. 人狼 JIN-ROH
押井ワールド大全開の地味~なアニメ。流石に世界観の作り込みだけは完璧ですが(一部背景画に手抜きも見られましたケド)、話はいつも通り難解。複雑でも観念的でもない物語が難解なのは、偏に設定の説明不足の所為。自分の世界を熟知してる奴(若しくは理解できないものを高尚だと感じる単純な人間)しか相手にしないというのは、製作者の傲慢です。しかしまぁ、それを差し引いても本作は「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」なんかより遥かに面白かったです。「赤ずきん」をモチーフに捕食者と獲物の非情な関係を描いた本作は、正にハードボイルドでした、6点献上。 6点(2004-05-05 00:09:32)(良:1票) |
1417. 修羅雪姫(1973)
(↓)あはは、ホントだ。タランティーノ、挿入歌の使用でオマージュを捧げたなんてレベルを通り越して、まんまパクってますね。何から何まで「キル・ビルvol.1」は本作のまんまです。女囚を母に、怨みを父に、刑務所で産み落とされた女・雪。もう彼女、生まれる前から修羅場、正に修羅雪姫です。仇討の修羅道を行くことを運命られた彼女は、あずみの様に育てられます。そして蛇の目の仕込み一閃、斬って斬って斬りまくります。梶芽衣子の眼光の前では釈由美子も逃げ出すしかないでしょう。西村晃の口上の様なナレーションも味わい深いものがありました。ということで、6点献上。 6点(2004-05-05 00:08:32) |
1418. エレファント
何の変哲も無い、いつもと変わらない高校の一日。カメラは唯ひたすら生徒を追い続ける。前から後ろから、上から下から、廊下、食堂、教室、図書室、運動場等々、唯ひたすら追い続ける。そして起こる惨劇。それでもカメラは唯ひたすら生徒を追い続けるだけ。しかしガス・ヴァン・サントのカメラは、観客を生徒の一人や当事者には決してしない。そこにあるのは当事者ではなく、冷めた目撃者の視線。そして無力な傍観者の視線。この映画は観客に考えることさえ求めてこない。我々に出来るのは唯「見る」ことのみ、そして忘れないこと。事件と共にその事実に戦慄した、7点献上。追伸:何と本作、スタンダード・サイズじゃないですか。そしてHBOの文字。アメリカでは、有料チャンネルHBOのテレビ映画だったんじゃないでしょうか。 7点(2004-05-05 00:07:08)(良:1票) |
1419. ニューオーリンズ・トライアル
裁判員制度に関する法案が着々と推進されている現在の日本に於いては、他人事とは思えない内容です。十分な論議もされないまま(ま、これまでの国会で十分な論議がなされた例など知りませんが…)裁判員制度が施行され、真実を巡る裁判から逸脱し、本作の様な裁判員に選ばれた一般市民一人一人への個人的アプローチが罷り通る様になると思うと怖い感じもします。「またアメリカの裁判モノか…」程度の期待しかなかったこともあって、陪審員制度の盲点を突いた(これまでの米法廷モノと一線を画す)内容と、弁護士が主役じゃない(なのに、何故ダスティン・ホフマン?)ということもあり、個人的にはかなり面白く観る事ができました。ただ、ジーン・ハックマンのこーゆー役にはいい加減飽きてきてるんですけど…。7点献上。 7点(2004-05-05 00:06:05) |
1420. イン・アメリカ 三つの小さな願いごと
アイルランドからの不法移民一家が過去と決別し、ニューヨークという大都会の底辺で未来に希望を見出していくようになるまでを描いた、長女の一人称の視点で語られていく物語。私の心が荒みきっている所為か、珍しくもないエピソードを繋ぎ合わせただけの話を延々と観せられた所為か、ちっとも感動できなかった。(また書きますけど)大体、今が生きるか死ぬかという時に、全然地に足を着けようとせず、おまけに過去に縛られてばかりいるこの夫婦には全っ然共感できない。娘にしても愛らしさの前に、この歳で独善性を匂わせてしまっては魅力も半減。という訳で、5点献上。 5点(2004-05-05 00:05:01)(良:1票) |