1421. 舞台恐怖症
《ネタバレ》 「嘘つきフラッシュバック」(真相とは違う回想シーン)を使った事でヒッチコック自身から断罪されてしまった不幸な作品。でもこれ、観てる間はバックステージものとしても内容が面白いので、最後まで飽きさせません。ディートリッヒにちゃんと歌わせているのも抜け目ないし。モノクロで派手な見せ場とかはないけれど、愛すべきサスペンスの小品。 7点(2004-02-22 13:25:25)(良:1票) |
1422. 誇り高き男
これね、口笛使った主題曲が超ーーーーカッコイイんですよ!出演者も 西部劇でおなじみのメンツで安定感あるし。それほどの大作でも有名な監督の作品でもないけど、自分にとっては忘れられない映画です。原題のタイトルも良し! 8点(2004-02-22 10:50:57)(良:2票) |
1423. パラダイン夫人の恋
「レベッカ」、「白い恐怖」に続くセルズニック&ヒッチコックコンビ 第三作。前ニ作はそれなりの評価を受けているが、これは完全な失敗作。ヒッチの作品にはどんな失敗作でも忘れがたいショットやカメラワークが一つや二つあるものだが、これにはそれすらない。ヒッチコックの法廷劇だからといって「情婦」のような展開を期待したら痛い目に遭います。セルズニックのこやかましい口出しに嫌気が差したのか、演出もなんか投げやりっぽいし。本当にあまり語るべき事がない映画なので黙殺されても仕方かったのかな?タイトルもなあ・・・。ところでセルズニック印映画のトップシーンの豪壮な大邸宅は彼の自宅なんですかね? 5点(2004-02-20 15:45:18) |
1424. 雨の朝巴里に死す
何度観てもよくわからない映画である。一言で言えば浅はかな男 と女のメロドラマ。訳が判らなくなった原因は、フィッツジェラルドの原作が第一次世界大戦後のパリが背景だったのに対し、映画のほうは設定を第二次大戦後に変えてしまった事らしい。百歩譲ってそれが原因だとしたとしても、夫や子供を理由もなく家に置き去りにして、夜な夜な遊び回るヒロインの存在は観客に受けいれられるものなのだろうか?それをのほほんと眺めている夫も夫だ。まあ最盛期のリズの美貌、変幻自在のヘアスタイル、シーンごとに変わる衣装を眺めているだけでも何となく得した気持ちになるのでこの点数で。 6点(2004-02-18 18:13:51)(良:1票) |
1425. アドルフの画集
着想が抜群にいい。歴史上の事件で「もし~が~だったなら」という論争は止むことはない。この作品は若き日のヒトラーがもし画家として大成していたなら・・・、歴史は変わっていた、かもしれないと観客にある種の感情を抱かせてくれる。難しい役柄だが、ノア・テイラーは大観衆を虜にしたと言われる、ヒトラー演説時のカリスマ的な口調を上手く演じていると思う。あのヒトラーでさえイノセントな時代はあった、でもこの20年後、彼が犯した残虐行為を決して肯定してはならない。ナチスものの外伝として非常にみごたえあり! 7点(2004-02-17 15:34:19) |
1426. ルビー&カンタン
ドパルデューってやっぱ演技うまいっすね!後半、ジャン・レノ扮するルビーに想いを寄せる家出娘に嫉妬する表情とか、正にウザいオカマそのもの(W)。一歩間違えば泥臭い展開になってしまう内容をギリギリの所で救ってるのは彼のおかげ。割と短めの上映時間もこの内容ならベスト! 7点(2004-02-17 14:37:59) |
1427. 鍵(1959)
「爛熟」という単語を見ると、この映画の京マチ子を自分は連想してしまう。もちろんこの時代なので表現は慎ましやかなのだが、そこがまた隠微なエロさを醸し出し、障子の隙間から見てはいけないモノを見てしまったって気分にさせられる。注!絶対お子様には見せてはいけません。 8点(2004-02-17 14:05:31)(良:2票) |
1428. スペンサーの山
これは埋もれた秀作です。「リバーランズ・スルーイット」や「モンタナの風に抱かれて」に通じる、古き良きアメリカンスピリットがこの映画には満ち溢れてる。ヘンリー・フォンダの父親ももちろんいいが、モーリン・オハラのお母さんが素晴らしい。アメリカ地方色の風景を捉えるのが巧みなデルマー・デイビスはもっと評価されていい監督だと思う。この映画の前作、「恋愛専科」もすごく楽しい映画でした。 9点(2004-02-15 17:53:23) |
1429. 危険な女たち
原作はアガサ・クリスティーの「ホロー荘の殺人」。原作自体クリス ティーとしてはむしろ凡作の部類、日本で映画化されると聞いた時、なぜこれを??という気持ちが強かった。まあサスペンス映画の巨匠野村監督だし、これを選んだからには、大胆にアレンジした作品が出来るんじゃないかと自分は期待していた。その前後に「Wの悲劇」という原作の推理小説を遥かに超えた秀作を観てしまったからかもしれないが。・・・結果は凡庸な原作が更に腑抜けたものになってしまってた。原作料も高かっただろうに、もったいない!この作品以降、野村監督の名前は聞かなくなった。せめて役者たちが研を競い合うような見せ場 があれば・・・。 2点(2004-02-11 17:17:50) |
1430. 喜びも悲しみも幾歳月
主人公夫婦の生き方は立派だ、文句のつけようがない。文部省推薦、いや特選ものである。だからといって映画が面白くなるとは限らない。 優等生が楷書で綴ったような木下監督お得意の年代記もの。「楢山節考」を撮りたいが為にヒット要素をつめこんだ妥協の産物。つまらないとは言わないが冗長すぎ。演出に冴えも見られない。 5点(2004-02-11 12:36:51) |
1431. 去年の夏 突然に
当時いくらテネシー・ウィリアムズの戯曲の映画化ばやリだったとはいえ、これはないでしょう。暗鬱とした大邸宅と精神病院の中だけで繰り広げられるユーモアのかけらもないストーリーは観ていて息苦しい事この上ない。精神異常、人肉食、近親相姦、同性愛などの問題が、50年代のアメリカ映画でどのように扱われていたのか、映像資料として観る分にはいいかも。現場も相当な修羅場だったらしく、ヘップバーンが撮影終了後、製作者(サム・スピーゲル)と監督の顔面にツバを吐き掛けたっていうのは有名な話。テイラーのいわゆる絶叫熱演演技も空しい。 5点(2004-02-11 11:45:00) |
1432. マンハッタン物語
ナタリー・ウッドは一見、すごく小生意気な印象を受ける女優だと思う。「草原の輝き」や「理由なき反抗」ではそれがいじらしく、逆に魅力的に描かれていた。ところがこの作品ではその個性がマイナスに働いてしまっている。特に後半、好きでもない男にお腹の子供ごと自分を引き受けさせてしまうってあたり、腹黒いとしか言いようがない。その弱点を補ってあまりあるのは大ブレイク寸前、マックィーンの好演ぶり。ニューヨークの街角で、バンジョーとプラカードを持って立っている姿のおかしさ!純粋なロマンチックコメディ出演は殆どなかった筈なので、彼のファンなら必見です。60年代初頭のニューヨークの風景もみもの。 7点(2004-02-08 17:10:53) |
1433. オレゴン魂
ジョン・ウェインがオスカーを獲った「勇気ある追跡」の続編。共演がなんとキャサリン・ヘップバーン!彼ら自身の個性に合わせたような 役柄の設定ゆえ、御両人のやりとりを観てるだけで楽しい。ワイオミングの森林地帯が舞台なので、フォード映画のような空間的広がりはないがそれなりに面白い。西部劇ファンなら楽しめるはず。ヘプバーンが自伝で、撮影中の休憩時間、ウェインの広い背中に頭をもたれ掛けていたのが心地良かったという箇所を読んだ時、その画が頭に浮かんできてジ-ンとしたのを覚える。そういや、もう二人ともこの世にいないんだよな・・・。 7点(2004-02-08 16:19:47) |
1434. シービスケット
何となく演出に腰が据わってないって印象を受けました。前半3分の1はエピソードがぶつ切りで、誰に感情移入していのかわからなかったし。ドラマが始まるのが、トビー君や偏屈な調教師 がブリッジスの邸宅で夕食の卓を囲む場面からっていうのは、やはり遅すぎるような気がします。ただ後半ぐっと盛り返すのでこの点数で。トビー君の友人の騎手の人、ヘンリー・フォンダに似てなかったですか? 7点(2004-02-05 14:10:37)(良:1票) |
1435. この世の外へ クラブ進駐軍
今や戦後直後の風景を再現するのは、なまじか時代劇を撮るよりも困難かと思う、この作品はその意味では大変な労作である。阪本監督のガッチリした演出も相変わらず鮮やか。ただ、残念だったのは主人公の萩原聖人はじめ、主要人物がいずれも小奇麗というか清潔すぎて、男のグループ特有の、汗くささ、熱気みたいなものが今ひとつ感じられなかった事。恋愛とかを無駄に絡ませなかったのは正解だが、もう少しキャラクターの裏の部分を描いて欲しかった。オダギリ・ジョーはもうけ役で好演! 7点(2004-02-05 13:55:55)(良:1票) |
1436. 黒騎士(1952)
「静かなる男」や「真昼の決闘」などと共に1952年度のアカデミー作品賞にノミネートされた作品ではあるのだが・・・。 いかんせん内容自体は、観てる間は結構面白いが、あっという間に忘れてしまうという見世物タイプの中世チャンバラ映画。結局いつまでも脳裏に残るのは芳紀20歳、美貌絶頂期のエリザベス・テイラーのとんでもない美しさ!モノクロの「花嫁の父」、「陽のあたる場所」では窺えなかった「バイオレット・アイズ」を堪能出来る。テイラー自身、この映画を「口臭芳香剤のような映画」と評しているのを知って、意外にユーモアのセンスがある 人なんだと感心したものである。 7点(2004-02-05 13:26:54) |
1437. 女の中にいる他人
新珠三千代さんは「日本では完全犯罪は駄目なので、ラストは警察が捕まえにくるような形になったのが不満だった」とこの作品について発言されていた。(「君美わしく」川本三郎氏著)ところが驚いた事に自分が観たフイルムでは、ラスト、ヒロインは海辺で子供たちが遊ぶ姿を見つめているだけで警察の影などどこにも見あたらなかったのである。記憶違いなのか、それとも2つのバージョンがあるのか知る由もないが、とにかくこの映画は彼女の演技力、存在感が遺憾なく発揮された作品である。貞淑な妻が愛する夫を殺害するに至るまで、前半は能面のような印象の女が後半は、鬼の面に変わっていく・・・。いやー、怖い怖い。この映画から得た教訓、「自分以外は決して誰も信用するな、たとえ愛する人であっても」名匠成瀬監督、これは晩年の秀作! 8点(2004-02-04 20:22:23) |
1438. 乱れ雲
浅草東宝のオールナイトで観ました。いやー、泣いた泣いた。作品の内容にじゃなく色褪せたフィルムの保存状態の劣悪さに。音声もところどころ途切れて聞き取れないし。これじゃ内容云々を 語るどころじゃない。東宝さん、これ仮にも成瀬監督の遺作っすよ!若大将加山と司葉子の代表作ですよ!「ロレンス」みたく、可能な限り映像や音声の復元作業とか出来ないですか?美しいテクニカラーで、クライマックスの十和田湖での二人の別れのシーンとか絶対観てみたいっす! 6点(2004-02-04 19:48:59)(良:1票) |
1439. ラブ・アクチュアリー
ワイルダーの「昼下りの情事」を連想させるオープニングから ラストまで、洗練された台詞と魅力的なキャラクターのオンパレード。才能を集結させれば、21世紀でもこんな洒落たラブコメディが出来上がるって見本のような作品。まだついこの前だと思ってた「タイタニック」も既に古典化してるんだね。少年は最後でも例のケイトのポーズ取ってるし。 とにかくシナリオが抜群の出来。これを観たら老若男女誰でも 「恋がしたいX10」くらいは夜空に向かって叫びたくなる。 [映画館(字幕)] 9点(2004-02-04 19:27:48)(良:2票) |
1440. あいつと私(1961)
石坂洋次郎の原作(新潮文庫)は中坊時代の自分の愛読書。 映像化するなら登場人物は誰がいいかとあれこれ考えていた。 でも結果は・・・。原作の性についてのきわどい会話とかエピソードはかなり割愛されていて、ひたすら明るい青春映画になっちゃってた。石原裕次郎&石坂洋次郎のタッグなら、まだ「陽のあたる坂道」や「若い人」のが作品としては上。チョイ役の吉永小百合は可愛い。問題は裕ちゃんが歌ってる主題歌。かなりのインパクトで歌詞が全然意味不明。一度聞いたら忘れられない衝撃(笑撃?) 6点(2004-01-29 23:35:43) |