141. アンダーカヴァー(2007)
《ネタバレ》 内容的には他愛のないもので「警察友の会」的ですらある(アウトローの人物を掘り下げた方がほんらい意味深いかもしれない)のだが、この重量感はどうだ。形式面のこの充実!怖いシーンのもの凄い怖さ。 [DVD(字幕)] 6点(2012-10-29 13:27:00) |
142. 黒い罠
《ネタバレ》 ウェルズのローアングル手法(まさにこの作品で炸裂)が巨大な堆積の「悪」ウェルズを見上げる。ジャネット・リーがいい。 [映画館(字幕)] 6点(2012-10-14 11:17:41) |
143. バーダー・マインホフ 理想の果てに
《ネタバレ》 ドキュメンタリーにみえるくらいに作り込んでいる。ドイツ赤軍のこんな映画が作られていたこと自体が驚きである。誰が作り、誰が観たのか(客観的な視点から観るということはいいことではある)。こういう度外れな活動がドイツ的な理念主義・ロマン主義の一種であるとするなら、有効性を厳密に目指すことから遠いのもうなずける。が、日本人にそう言われたくないと、ドイツ人は言い返すだろう(現今の原発問題一つとっても)。 [DVD(字幕)] 6点(2012-10-14 10:32:39) |
144. 舞台恐怖症
《ネタバレ》 偽のフラッシュバック映像に真なるフラッシュバック映像が対置されてもいいではないかとも思えるが、それはない。前者のみがある。ベタになるからだろうか、この理由は深そうである。とにかく毎回大実験のヒッチコック工房だ。二兎を追うヒロイン自体が「宙吊り」のなかに居る、そういうサスペンス。 [DVD(字幕)] 8点(2012-10-13 11:42:34) |
145. 僕と彼女とオーソン・ウェルズ
《ネタバレ》 「彼女」を加える邦題が微妙にひどい。さてオーソン・ウェルズという人物の「感じ」はよく伝わってくる。彼はこの映画で描かれたような強引な感じのままに映画界に進出したのであろうし、その「強引な感じ」による「革命的な」映画手法が長回しだったわけだ。 [DVD(字幕)] 5点(2012-10-09 13:45:02)(良:1票) |
146. アジョシ
《ネタバレ》 正視し難いくらいの残酷さ・阿鼻叫喚である。せっかくだからこの機会に、臓器売買の原因たる臓器移植や、「殺す正義」(死刑制度なども含めて)は、ほんとうに「あり」なのかどうか、深く考えてみたい。それくらいの問題提起をしているのでなければ、大いなる無駄ではないか、このような映画は。 [映画館(字幕)] 4点(2012-10-08 14:02:50) |
147. ダーティハリー
《ネタバレ》 犯人があまりにも単純にクソ野郎(こんな奴はさっさと始末すべきだと誘われてつい思ってしまう)というふうに描かれるのが、結局たいへんモンダイなのだ。こんなに単純にクソ野郎の道一筋の人間はいない(皆それなりにシンコクな「理由」を抱えているはずだ)。犯人にだって人権はあるとはそういうことだ。・・・というようなマジメな見方は野暮だろうなあ。映画としては巧いな。 [ビデオ(字幕)] 6点(2012-10-08 13:54:27) |
148. 浜辺の女(1947)
あのルノワールであり、ジョーン・ベネットであり、ロバート・ライアンである。最高の顔合わせで、雰囲気も盛り上がるのだが、スジが足りない、惜しい。フィルム・ノワールの女ジョーン・ベネットの登場で、ルノワールの「ノワール」な部分に触れることが出来るのかなと期待したが、スジ違いの期待であったらしい。 [DVD(字幕)] 6点(2012-10-01 06:38:38) |
149. わたしを離さないで
《ネタバレ》 クローン人間製造やら臓器移植やら、設定が嫌な感じの「ないハナシ」系の映画で、形式面に触れる気さえしない。こんな映画さえも臓器移植の正当化につながるのだろうか。 [DVD(字幕)] 1点(2012-09-30 15:38:34) |
150. 悲しみよこんにちは
ガキってだめだなあ、なんの魅力も無い。『勝手にしやがれ』の彼女はもうオトナだった。 [DVD(字幕)] 3点(2012-09-30 15:37:12) |
151. 東風
『男の子の名前はみなパトリック』には10点を献上した私も、この作品には3点が精一杯である。ま、それはやむをえないところだろう。映画の実験室に興味はないこともないが、これはちょっとひどかった。急に『彼女について私が知っている二、三の事柄』を見たくなって来た。 [DVD(字幕)] 3点(2012-09-27 21:21:07) |
152. ノーウェア・ボーイ/ひとりぼっちのあいつ
《ネタバレ》 前知識なく見て、ジョン・レノンのことであると分かってからは、入り込んでしまう。「初期」というのものの良さが出ているが、もっと刺激的であってもよい。これでは、残っている断片ドキュメタリーフィルムの「感じ」に勝てない。左利きのポールの登場はほんとうに「別の半分」を構成する凄みがあっただろう(想像で補う)。行くところがない(これが標題だ)のにどこへ行くのだと聞かれたジョンが、「ポールのところ」、ここが素晴らしい。 [DVD(字幕)] 5点(2012-09-24 13:24:15) |
153. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 映画館から出てきた観客が、後味悪い映画だと吐き捨てていた。強者の犯罪がおとがめなしである「ハッピーエンド」は、アメリカ支配の隠喩かとも思わせる。ならばこれがアカデミー賞を取ったのは、ほんらいすごいことではないだろうか。 [映画館(字幕)] 5点(2012-09-19 22:01:25) |
154. 情婦
《ネタバレ》 これはネタバレがあるとだめ、というネタバレ。だがヒッチコックの作品の一つでもいいくらい上出来。ディートリッヒ作品はヒッチコックにもあって(『舞台恐怖症』)あれも嘘つきの男がずーっと観客を騙している。 [DVD(字幕)] 6点(2012-09-19 21:59:43) |
155. サラエボ,希望の街角
《ネタバレ》 原題が「何かに向かう途中」であるそうで、ならばこの邦題はひどい。淡い「希望」に託すとかではなく、自覚的に生き方を選び取る映画だ。歩み寄れないカップルが、決裂し、それぞれの道を行く。「家庭」や「ひとつになること」がゼッタイに大切という発想ではこういう映画は作れない。 [DVD(字幕)] 7点(2012-09-16 10:27:02)(良:1票) |
156. ベルリン、僕らの革命
《ネタバレ》 一見古風すぎる「革命」活動だ(かつての、ベルリンの「空き家占拠」運動だって「合法化」にむけた地道な社会運動だったし、それに比べてもプリミティブである)が、感動的な三角関係ものなのが良い。ナチュラル即興演出が成功している。 [DVD(字幕)] 6点(2012-09-16 10:25:00) |
157. 台風クラブ
《ネタバレ》 三浦友和がいい。「ああ、台風来ないかなあ」(大西結花の台詞だった?)もいい。ラストの「あ、金閣寺」(工藤夕貴)もいい。しかし、なぜ「犬神家」になってしまうのかがわからない(ぶち壊し、でも8点)。 [映画館(邦画)] 8点(2012-09-15 23:25:31) |
158. 麦の穂をゆらす風
《ネタバレ》 なんだか殺し合いばかりだ。大義名分で人を殺しても、殺すあり方がもう間違っているので、要するに、殺しちゃだめだってこと、どんなに立派な理由があるかのようでも。ともかくアイルランドと英国のことを調べようという気にはならせる映画。 [DVD(字幕)] 5点(2012-09-14 09:47:38) |
159. ピアニスト
《ネタバレ》 関係においてしか存在はないのだが、関係抜きに存在している感じ、それがハネケ映像である。 関係とはこの場合「経済的な語り」あるいは「語りの経済」のことである。このことについては『隠された記憶』の項で書いた。 [ビデオ(字幕)] 5点(2012-09-10 21:35:01) |
160. 空気人形
韓国の女優さんを使っての、こういう「隠喩的な」映画は、ただ恥ずかしい気持ちにさせただけだ。韓国の素材に触れるなら大島渚を通ってからにしてほしい(映画人としてそういう真剣さがないなら資格なし)。 [映画館(邦画)] 1点(2012-09-04 21:27:31) |