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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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141.  仄暗い水の底から 《ネタバレ》 
劇中の母親が痛々しいので見るのがつらい。これほど精神的に脆弱では保護者として心許ないと夫に思われるのも仕方ない気がする。また離婚問題を抱えた大変な時に、わけのわからない心霊現象にまで巻き込まれたのも基本的な運のなさを露呈した感じで、そういう面(本能的に危険を避けて通る素質がない?)でも先が思いやられるものがある。 そのままでは全てが母親の精神状態のせいにされかねないところだった(実際そういうオチかと思った)が、かろうじて味方の弁護士が事実関係をはっきりさせた上、不可解な部分にはこじつけ気味の説明をつけてでも、全てが理性の範疇に収まるよう計らったのは幸いと思われた。しかし自分だけで行動するなと言われたにも関わらず、予期しない事態に至るともう目先のことしか見えなくなって自分を抑えられなくなるのでは無意味になってしまう。この母親が娘を一人で放り出して現場に突撃していったことが、かえって悲惨な結末を招いたと思えなくもない。 結局のところ、この頼りにならない母親が身を棄てて娘を救うところまでを確実に行い、あとは父親の手に委ねたことで、娘にとっては最善の結果がもたらされたように思われる。心優しい人物だったらしいので気の毒だが、一人で子どもを守るには力不足だったということか。  ところで最後の後日談のようなものは、ここで新人タレント(水川あさみ)を顔見せする事情があって付加しただけに見えなくもない。しかし再会の場面を見ていると、娘が記憶していた唯一の言葉が母の愛情の存在を確信させ、それが娘の10年間を支えてきたと思わせるものがある。誰かに支えられなければ自滅するような母親でも、最も重要なこの点に関してだけは間違いなく立派な母親だったということらしい。それは自分の母親と同じ轍を踏まないということでもあったのだろう。 なお余談として、以前から水川あさみという人は美形かも知れないが可愛気がない人だと思っていたが、この年齢(18歳くらい)まで遡っても可愛くないのは同じだった。子役が可愛らしいのに比べ、10年後の姿としてこの人が出て来ると少し意外感がある。
[DVD(邦画)] 7点(2015-11-07 23:31:38)
142.  男たちの大和 YAMATO 《ネタバレ》 
大和だけを美化する風潮があるとすれば嫌悪する。ほかにも多くの艦船が沈んだのだし、また当然ながら様々な場面で多くの人間が死んでいるわけだが、ただし3千人以上が乗る軍艦(正しくは艦隊全部)が丸ごと特別攻撃を命じられたことで、特別の悲壮感が生じているとすればまあ仕方ない。 ストーリーに関しては、原作のエピソードや後日談を適宜使って新たにお話を作った形になっている。しかし元が実話でも、結果として不自然に見えるところはないでもない。また特に、思ったことをその場で口に出さずにいられない人物が多いのはどうかと思うが、一方で泣ける場面もちゃんとできており、娯楽映画としてはまあ結構である。蒼井優が最後まできれいな顔でいられたのは幸いだった。 劇中では特に対空戦闘の要員に焦点を当てており、敵の攻撃を直接受けて死ぬ人々の無残な姿をリアルに映像化しようとしていたようだが、映画だとどうしても映像的に美しく描写されてしまう気がする。眼球が飛び出してぶら下がったとか、腹が破れて腸が出たといった話を入れるとより凄惨に見えただろうがまあ無理か。当然だが死ぬのは格好よくない。  ところでこの映画は、戦後以来の左右両陣営のどちらに属するのかが明瞭でない(定番の「お母さん!」が出ていたのは左っぽい感じもする)が、これは安易に立ち位置を定めずに、まずは登場人物の心情を素直に受け取るよう求められているのだろう。自分が何年か前に「知覧特攻平和会館」に行った際(単なる観光)、隊員の心情を思って涙する来場者が結構いたようだが、そのような自然な感情が日本の普通の人々の中にあって、そこに訴える形の映画を作るとすればこうなるのかも知れない。 ただしそれだけだと、わざわざ戦後60年の節目に当たり、戦争をネタに使った泣ける娯楽大作を公開したようにしか見えない。また、あまりはっきり書きたくないが、死んだ人々や生き残った人々が自らどのように納得したかを描いただけでは、存命の生還者や遺族に対してはいいとしても、日本国民の大多数を占める戦後生まれの人間に対し、未来に向けたメッセージを発したことにはならない気がする。 まあ好意的に解釈すれば、それまで延々と続いてきた“戦後”をいわば初期化して、当初のプレーンな状態に戻ろうとしたように取れなくもないが、何にせよベタ褒めする気にはならない微妙な印象の映画だった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-10-24 23:46:43)
143.  宇宙戦艦ヤマト 復活篇 《ネタバレ》 
旧作のヤマトではほとんど毎年のように大事件が起こっていたが、今回は前作の17年後になって時間が少し飛んでいる。これは公開年の差を反映しているというよりも、古代夫婦の娘の年齢設定に合わせたものと思われる。ほかにもアニメ美少女のようなのが出ていて華やかなのは大変結構なことだった。 新しいだけあって映像面はさすがに高水準になっており(主にメカニック関係)、劇中に挿入されている前作(1983)との差が著しい。また特に色彩感が豊かで、とりあえずこういう点だけでも楽しめなくはない(ただし有名クラシック曲はうるさい)。 ストーリーの面でも、少なくとも開始後1時間程度は普通に面白い。これまでヤマトが何度も人類を救ったことは劇中でも強調されていたが、本来このシリーズでの人命はメインキャラの物語を見せるための消耗品でしかなく、本当に人類全体を守っているという実感など全くなかった。しかし今回は移民船という守るべき対象が明示されており、この船団に億単位の人間の人生が詰まっていると思えば見る側としても緊張感を覚えなくはない。護衛戦でヤマトが見せた献身的な行動に敵が感服したというのも感動的なエピソードではあった。 しかしその後の展開を見ていると、強権に対抗するためには民がどれだけ犠牲になっても構わない、というような決定が平気でなされていたのは困ったことである。また戦いが始まってみれば強大な敵の本拠地がすぐその辺にあって、そこにいきなり突っ込んで行って撃滅するというお手軽感覚は昔のままらしい。結局は、従来からこなしてきたイベントを21世紀になっても繰り返しただけのようで、これでまた続編を作る気満々だったというのはさすがに呆れるしかない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-10-14 19:21:09)
144.  恋空 《ネタバレ》 
好きな女優が出ているわけでもないので、これを見たのは完全な冷やかしである。この手の映画としては「天使がくれたもの」(2007)を見たことがあるので一定の耐性はついている。 まず劇中人物のほとんどは異性のことしか頭にないようで、いったい何しに毎日学校へ行っているのかわからない。こういう生殖本能だけで生きているような連中も高校生かと思うと、同時期に見た「幕が上がる」(2015)とのあまりの落差に呆れてしまう。まあその種の人間はいつの時代も人口の一定割合を占めているわけなので存在自体は否定できず、自分としてもここはそういう世界なのだからと納得して多少のことは見逃すようにしていたが、しかしその後に主人公が大学に進学することになっていたのは非常に驚いた。この映画で最も違和感の大きかったのはここである。 ただ自分としては実際のところ、意外にまともに見ていられる映画という印象だった。ストーリーも一応できており、時間は少し長目だがとりあえず最後まで見られないことはない。原作に対するネット上の酷評(罵詈雑言)を見る限り、そのままでは一般人には受け入れがたかった内容をさらりと通るようきれいに映像化して、ある程度見られるものにしたのは映画の功績だろうから、ここはそれなりの点数をつけておくことにする。  なお、この話の内容が不道徳だからといって原作者を責める筋合いのものではなく、また書籍の出版や映画化に関わった業界関係者に倫理感など求めるつもりもないが、一方でこの映画に関して心底呆れたのは、O県教育委員会という公的機関が制作に協力していたことである。学校内で生徒が妊娠させられる映画に協力する教育関係者は脳の機能が疑われるわけだが、さらにその県教委が映画公開の次の年に組織体質の問題で世間を騒がせていたことを思い出すと、自分としては本来この映画に感じるべき悪感情を、常識外れな県教委への怒りに転化させずには済まなくなった。O県出身・在住の人々全体の不名誉につながらないように願う。
[DVD(邦画)] 3点(2015-09-20 10:23:17)
145.  半分の月がのぼる空 《ネタバレ》 
登場人物の伊勢弁?が耳慣れない感じで珍しい。 原作は読んでないので比較できないが、時間の流れに沿ってそのままであれば割と平凡なお話だったところ、前後を組み替えて再構成したのは効果的である。死ぬ物語でなく生きる物語というのは恐らく原作由来なのだろうが、ラストでまた月明かりの病室に戻ったことでそれがより強調されていたように思われる(舞台セットとライトは不要だが)。 しかし見ていて引っかかる点はかなり多い。例えば序盤の「命令」は若年者受けを狙った女王様設定のようで必然性が感じられず、それを終盤で忘れた頃になって再現されても冷やかな目でしか見られない。そのため、ここから導かれた医師の再出発(及び娘の存在の再認識)という点にも共感する気にならなかったのは残念なことである。加えて全般的に都合の良すぎる安易な展開が非常に多いのも困ったことだった。  それでも演劇の場面など、けっこう心和む(笑う)ところも多い。舞台での「私も」という台詞は原作由来かどうか知らないが、自分としてはこれが最大の泣き笑いポイントだった。また若年かつ病人のためあくまで清純でほのぼのした関係にとどまっているが、そのためかえってフトンの中で二人きりのドキドキ感が生じてしまう。 この場面をはじめとして、ヒロインの円い感じの笑顔(変な表現だが)は見ているだけで嬉しくなる。この笑顔が、生きていてよかった、という実感の表現になっていたのは間違いないことで、これがこの映画の大きな価値と思われる。全体としては感心しないところも多いが、このヒロインのために評点は少しいい方にしておく。娘の「笑ってるやん」もよかった。
[DVD(邦画)] 6点(2015-08-23 23:47:53)(良:2票)
146.  狼少女 《ネタバレ》 
昭和にこだわった映画のようだが、現実の昭和は1926年から1989年まで結構幅が広いわけで、それでも何となく“子ども時代”とか“昔”の意味になるのは世代交代が進んで昭和が遠くなってしまったということか。劇中の事物の属する年代はかなり散らばっていたようで特定できず、これは意図的に幅を持たせたのかも知れないが、さすがに見世物小屋は時代が古すぎるように思われる(自分としてはお化け屋敷の記憶しかない)。 しかし人間の尊厳にかかわるような興行のあり方とか、見るからに汚い子どもの存在といったものは、いつの時代の反映かというよりむしろ子どもにも容赦のない世間の現実を表現していたように見える。その中でも転校生が毎日いい服を着て通学していたのは、親代わりと思っていた連中のせめてもの思いやりだったのか、あるいは皆のこだわりもあったということか。 その上でストーリーしては、感動を呼ぶ話であることは理解できるが、しかし個人的にはそれほど強く心に訴えるものにはならなかった。敗因は何かと考えると、まずは大人の立場として子どもの愚かさとかガキっぽい揉め事から心理的距離を置くようにして見たために、登場人物の心情までをスルーしてしまったということか。あるいは自分としては、前記“世間の現実”から目をそらしたい気持ちもあったと思われる。まともに考えてしまえばこの少女の将来が非常に危ぶまれて痛々しく、これで切ない初恋物語のような感傷に浸る気にはならなかったというのが実情である。 そのほかに、娘の生育状態に合った下着を与えることもしないでプライドだけ立派な母親が愛情深い扱いをされているといった感情的に引っかかる点も結構あり、また全般的に嘘臭さを感じるのは少し困ったことだった。決して悪くない映画とは思うが褒められないのが誠に残念である。子役の皆さんは大変結構だった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-23 23:47:48)
147.  東京うんこ 《ネタバレ》 
若手の村松英治監督(1980年生)の初長編映画とのことである。現代日本では「東京…」という映画が多いのが目に余るが、この映画は「…」の方のインパクトで人目を引いており、かつ何で「東京」なのかという理屈も一応ついている。 基本的にはコメディなので主にウンコネタで笑わせようとしているわけだが、それが本格化するのは絵本を出版するあたりからで、それまではとりあえず黙って見ている必要がある。面白くないギャグも多いが、本当に笑うところもある(個人的には「うんこ!」「ブッ!」のあたりなど)ので虚心に見ることが望まれる。 登場人物としては、まずは関西弁の女(演・宮沢マキ)の人柄がほとんど映画全体を支えており、また友人の男女もいい味を出している(寒い男など)。一方で同居の男はキャラクターを作り過ぎで受け入れがたいところがあるが、その辺はまあ我慢のしどころである。 ストーリーの面では、うんこをメインにしてこういう話を作る必然性は特に感じられず、単なるギャグネタに終わっている気もするが、そもそも出版社の社長が語る理屈が無理やりだったりするので、これはこういうものと思うしかない。それより関西弁の女の東京に対する意識が変わってきたというのはなかなかいいオチであり、これはうんこ映画というよりも、大都会東京の持つ一面を描いた映画だったということかも知れない。 なおDVDのチャプターの題名が中身と全く関係ないのは非常にふざけている。これではチャプターメニューの意味をなしていない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-03 23:58:36)
148.  東京ゴミ女 《ネタバレ》 
廣木隆一・三原光尋・行定勲・篠原哲雄・塩田明彦・三池崇史の監督6人が、デジタルビデオを使って700万円以内で純愛映画を撮ったという「ラブシネマコレクション」の1つである。 解説文によるとこの映画は「女の子の日常を繊細かつキュートに描いた珠玉の青春映画」とのことだが、見ると必ずしもその通りとは言い切れないものがある。とりあえず主人公は粗野で無神経でガサツな女であって、その延長上にゴミ漁りもあるのだろうとしか思えなかったが、しかし2/3くらい経過したところで意外にも、このゴミ女がただの女の子に大変身してしまったので驚いた。舞台挨拶で主演女優が「女性ならわかってもらえる」と言っていたので、これでも普通の女子の心情の範囲内で起こりうることだったらしい。 男はその領域に踏み込むことが特に期待されてないかも知れないが、ただし映画全体の作りとしては、終盤で事態の収拾にかかるとともに映像的にも開放感が出て、最後は常識人の世界に一応回帰する形で終わるので、性別関係なしにちゃんと映画を見たという感覚は得られる。結果として女の子の心情をわかってあげられなかったという気はするものの、それなりに悪くない映画という印象は残るのだった。  なお考証的なコメントとして、自分は別映画(「第五福竜丸」「ゴジラ」「美女と液体人間」)の関係でわざわざ江東区夢の島へ行ったことがあるが(JR京葉線新木場駅下車)、公園やマリーナがあり、5月の晴天の日だったこともあって爽やかな感じの場所だった。劇中の船が向かっていたのはここではないだろうが(さらに南の新しい埋立処分場?)、それにしても資源物も可燃ごみも分別せず、中間処理も何もなくただのゴミ袋を持ち込むというのも困ったことである。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-03 23:58:30)
149.  東京原発 《ネタバレ》 
初見は2000年代のうちだったと思うが、自分としては既に20年前に広瀬隆氏の著書を読んでいたのでこの発想自体は珍しくなかった。もともと「東京に原発を!」というのは東京に原発が立地していない事実の裏返しであり、これは原発を作っている側が実はその危険性をどう考えているか、論議を要さず端的に示す言葉だったわけで、いわば非常に優れたキャッチコピーのようなものだった。しかし現実の事例により、日本国内でも深刻な事故が起こりうることが明白になってしまった現在、警告の言葉としてはもはや意義を失ってしまった感があり、これは少し残念なことにも思われる。 映画の内容に関しては、素人目にはおおむね正論を言っている気がする。会議の場面では、ほとんど一方的な説明だけの内容を役者の力で見せており、またトラックの乗っ取りは別の話を無理にくっつけたようでもあるが、システム全体の脆弱性の部分をクローズアップして見せたということだろうからまあいいかと思われる。けっこう笑うところもあり、個人的には米軍の協力申出に爆笑した。改めて見ると結構いい映画だったようではあるが、この映画の公開が世間の大勢に全く影響を及ぼさなかったのは間違いないらしく、それはまあそんなものだろうという気もする。 ちなみに劇中では原子力がクリーンエネルギーという話が出ていたが、2011年の春頃に、代替エネルギーの一つとしてメタンハイドレートは使えないのかと何気なく口にしたところ、深海にあるためコストがかかりすぎて現実性はない、と20歳くらい年下の物知り男に説教されたことがある。
[DVD(邦画)] 6点(2015-08-03 23:58:24)
150.  東京少女 《ネタバレ》 
名前が「未歩」だと明治の人なら「いまだ歩まず」と読むのではないかと思うが、そういうところはあまり突っ込まないことにしておく。 内容としては「時をかける少女」と似たような印象があり、特に2010年実写版との類似点が目立つ(これより後だが)。時を越えて何かものを残すのは感動を呼ぶ定番要素のようでもあるが、ほかにこの映画では5歳/101歳?の人物の絡ませ方がよく、結構うまく作ったお話だったという気分になる。 またデートという発想はなかなか面白い。満月の頃だと昼間は月が地平線上に出ないので無理だろうと思ったが、別に月齢はどうでも構わなかったらしく、その場でヒロインがちゃんと調べて日を決めていたのは賢い。当日までに店を探してあったのも用意周到で、かなり頭の働く人物らしいのが好印象だった。 そのヒロイン役はこの時点でまだ16歳で文句のつけようのない美少女で、「ちゃんと勇気もらったよ」とかいう何でもない台詞も心に響く。デートの場面は声も弾んで楽しげで見る側としても嬉しくなるが、一方で結末を予想すれば(ほとんど最初から見えているが)この時点ですでに切なくもなる。 このヒロインのほかに、明治の少女は立ち居振る舞いが一応それらしく見え、甲斐甲斐しくてお兄様思いで何気に可愛らしい。この女優(福永マリカ)は同じ「東京少女」のBSのシリーズで主演・脚本??を務めていたとのことで、脇役と思って侮ってはならないようである。 以上のほか、本来はヒロインの成長物語といったところも重要なのかも知れないが、まあそれはそれとして、とりあえず泣ける切ない青春物語という点を重く見ることにして、それなりの点をつけておく。いい年してこれで泣けるおれはアホではないかと思うが、こういう話には弱いのでしょうがない。
[DVD(邦画)] 7点(2015-08-03 23:58:17)
151.  恐怖(2009) 《ネタバレ》 
面白くないとはいえないが、面白いと言うにはわけがわからなすぎる。 外部情報によれば、側頭葉を刺激する実験はかつて実際に行われたことがあり、体外離脱とか光が見えるといった臨死体験に似た効果が得られることがわかっているらしい。ただし一般の臨死体験が死への不安を取り除くものであるのに対し、側頭葉への刺激は恐怖心とか幻臭をもたらすことが相違点のようである。またそれとは別に、人間が認識できる範囲外に本当の世界が広がっているという考え方も現に存在し、これと臨死体験を関連づける説もあるようで、この映画もそういったことを下敷きにしていると想像される。  その上でこの映画が何を言っているのかということだが(よくわからないが)、少なくとも自分としては台詞にも出ていた“死んだらどうなる”の問題が大きく扱われていたように思われる。伝統的には地獄に落ちるのを恐れたのだろうが、それは何らかの形で死後の世界があると信じられていた時代のことである。かつての俗信や宗教的認識が否定された現代日本では、死んで無になることをかえって恐れる風潮もあり、それは劇中でも説明されていたように、実はみな「あの世があると思いたがってる」ということだろう。 映画のラストはよくわからなかったが、個人的には変なものに食われるくらいなら人間のままで死んだ方がまだまし、という意味に感じられ、これはこれで救いのある終わり方に思われた。ただ、もし臨死体験が、死への不安を取り除くことで来世への円滑な移行(例えば生まれ変わりのような)を促すためにプログラムされているとすれば、これが正常に作動するよう心がけた方が無難ということはあるかも知れない。現実の報告によれば、自殺未遂者の臨死体験は一般と異なり不快感を伴うものとのことで、死後どこにも行けずに「ただ消えるだけ」にならないで済むためには、まともな臨死体験の過程を踏んでいわば円満に死ぬことが必要なのかと想像したりする。そこまでこの映画では言ってないかも知れないが。  なお劇中の処女受胎の人物は声が妙に愛らしいので和む(「何を見てるんですか?」)が、この役者はこれ以前に少女アニメの声優をやっていた人のようである。
[DVD(邦画)] 5点(2015-07-23 00:26:16)
152.  アイランドタイムズ<OV> 《ネタバレ》 
いまや一児の母となった仲里依紗嬢が、可憐で愛らしい少女役をやっている。この少女が最初は内気に見せておきながら、ブチ切れてからは本領発揮してバカ少年を圧倒していくのは小気味いい。台詞の中では「もっと言っちゃえば」という強引なつなぎ方がすごくよかったが、それでもバカ少年が煮え切らないのをちゃんと待っていてくれたのがまた嬉しい。あまり好意的にして母親の代替にされるのはまずいだろうが、そこは賢く立ち回るものと思われる。 一方の少年は、誠実なことは間違いないようだがバカなのも間違いなく、賢ぶって受け売りの台詞を言ったところが鼻で笑われたなどというのは非常に恥ずかしい。「愛とは与え合うもの」という言葉を聞いたことがあるか不明だが、現に自分が相手に与えていることに気づいてないようなのは自分の外に意識が広がってない証拠である。あまりにバカなため最後は完全に少女にリードされてしまっていたが、それだけに男子にとっては著しく都合のいいラブストーリーになっており、そういったところを期待して見ることが望まれる。  ところで、かつて少年の父は島を出て行ったきり帰って来なかったとの話だが、そもそも少ない島内人口の結構な割合が一時的に住んでいるだけの人らしく(教員など)、人はいずれ去るものという諦観のようなものを彼も感じていたらしい。その自分も島を離れる選択肢しかないと思っていたが、思わぬ事件で一時攪乱された後に、改めて当面の正しい道を選択し直したようである(半強制だが)。 出ていくだけでは人が減る一方になるが、出る者に必ず帰れと言える保障があるわけでもなく、その後どうなるかは人によるというしかない。自分の根っこを島に残しながらもとにかく広い世界に出てみようというのは、現に島に住む大人の多くもかつて辿った道かと思われるが(例えば役場職員、あるいは親友も)、記者志望の少年に関しては、これからずっと島から皆が(母親を含め)声援を送り続けるのだろうと想像する。  なお余談だが、自分としてはずっと前から青ヶ島村が日本最小の村だということを知っていて、行きたいが行けない憧れの地のように思っていたため、この映画で島の各地の景観や各種施設・設備が映り、時刻も天気もいろいろな島の姿が見られるのは非常に嬉しい。現地を知っていればありえないと思う場所設定もなくはないかも知れないが、そこはあまり突っ込まない。
[DVD(邦画)] 8点(2015-07-20 12:21:58)
153.  日本以外全部沈没 《ネタバレ》 
原作の短編を大拡張した形だが、それにしてもあまりに間延びした印象がある。ギャグも全般的に面白くないが、一か所だけ爆笑したのは北の独裁者の「今ごろきじゅいたか」だった。諸国民の融和を説く映画だとすればここで笑うのは不謹慎だろうが、逆にいえばそんな高尚な意図はないだろうということである。 劇中では日本人の心が狭いという指摘もあったが、可住地面積が狭ければ起こることはどこの国も同じであって、国民国家が存続したままならこの映画のようになり、無政府状態なら殺し合いになるだろう。日本人夫妻が変に仲睦まじいのに比べ、主人公と外人妻の関係などは永遠に分かり合えないことの象徴のようだった。世界平和が到来したのが最後の一瞬だけというのも皮肉な話であり、結果としてなかなか心に残る物語ではあった。  なお劇中のTVに出ていた賽銭泥棒の「マーヴィン・ウェッブ」は、「ウルトラセブン」第14~15話の諜報員の役名「マービン・ウェッブ」から、もう一人の「ハロルド・コーウェイ」は戦後の東宝特撮映画によく出ていた外人俳優「ハロルド・コンウェイ」から採っており、神社のあった「北川町」も「ウルトラセブン」第8話の「狙われた街」の場所である。また主人公の自宅の壁にかかっていた絵は、「シルバー仮面」第9話のドミノ星人のデザイン画(池谷仙克氏による)である。一般の観客は無視して構わないような小細工だが、制作側としては観客に気づいてもらいたくて出したのだろうから一応付き合ってやることにした。 それから完全にどうでもいいことだが、劇中の首相は映画公開当時の首相よりも東日本大震災当時の首相に似ている。
[DVD(邦画)] 4点(2015-06-29 23:28:38)
154.  日本沈没(2006) 《ネタバレ》 
原作はかなり昔に読んでいるが、現実問題として経済・社会の国際化が進んでいる21世紀に同じテーマを再現しようとするよりも、基本設定を借りながら中身を別物にしたのはかえって妥当と思われる。昭和版の映画でも、原作本来のテーマというより特撮技術を活用した災害描写が印象的だったわけで(少なくとも自分としては)、これを継承した上でその後の阪神淡路大震災も意識しながら、ここで改めて問題意識を提示しようとしたなら理解できる。 この映画で具体的に問われているのは、社会全体が危機に見舞われた際に個人はどう行動すべきかということだろう。結果としては軽薄な自己犠牲のように見えなくもないが、しかし劇中では“みんなを放っておいて自分だけが幸せにはなれない”とか、“愛する者(家族など)のためには必ずしも自分の生命が最優先にはならない”といった個々人の思いを語らせて、これで主人公が内面的な思いを募らせていき、結果として最後の行動に至ったらしいのは自然な展開に思われる。 また特に個人的に心に残ったのは、序盤で首相が危機管理担当大臣を選んだ動機が“あなたには心がある”だったことである。自分としてはこの場面を見て、現実にもそういう人物が為政者であってもらいたいと心から願う思いだった。こんな安易なリメイク映画の綺麗事にしか聞こえない軽薄な台詞に泣かされる自分が馬鹿のように思われるが、先の震災時に実際に起こったことを思えば、意外にこの場面が庶民の思いを素直に代弁したものだったという気がしなくもない。 なお正直に書くと劇中の少女には結構泣かされた。何としても守りたい人物の好例である。
[DVD(邦画)] 5点(2015-06-29 23:28:34)
155.  渋谷怪談2 《ネタバレ》 
関わってしまうと絶対逃げられないのは呪怨のコインロッカー版という感じである。呪われるという噂のほかに、恋の願いをかなえる噂が同時に流れていたのは犠牲者を集める邪悪な企みとも取れるが、あるいはチェーンメールに「不幸の手紙」と「幸福の手紙」の両面があるようなもので面白い。また個別の場面としては、カラオケでの出来事が音響面で少し独創的な感じだった。  今回もストーリー中に複数の都市伝説が含まれていることになっているが、これほど有名な怪談ネタをオチの部分で使うのでは驚きも何もなく、明らかに逆効果になっている。 また前作に続いて登場人物が基本的に好きになれない(主人公の女子高校生は除く)が、特に医師が終始不快な男で同情を呼ぶキャラクターには全くなっていない。すぐ傍で人が死にそうになっているのにわざとらしく10秒くらい置いてからやっと気づくのが苛立たしく、さらに当該人物が死ぬまで黙って見ていて死んでしまってから騒ぎ出すような馬鹿は存在そのものが許せない。早く死ねこのクソバカがと思っていたがなかなか死なず無駄に騒いで回り、死ね死ね死ね死ね死ね死ねと思い続けてラスト近くになってやっと死んだが死ぬのが遅すぎるという気分だった。こういう人物を出す意図はわかるが感情的に全く同調できず、ここは個人的には大失敗に見える。 また高校生の三角関係に関しては、主人公の友人役が好演しても相手の男がこれほど軽薄でバカで知性レベルそのものが疑われるのでは全く共感できない。どうも登場人物の面で全く評価できないシリーズ(1と2)だった。  ところで今回の主人公は、前作では中学生だったのがいつの間にか高校生に昇格していたらしいが、撮影時期は同じだろうから女優は14歳のままである。堀北真希にとってはこれが初主演映画とのことで、今となってはその面での価値が大きいかも知れない。
[DVD(邦画)] 4点(2015-06-08 00:12:40)
156.  渋谷怪談 《ネタバレ》 
劇中に複数の都市伝説を取り入れているのが特徴らしいが、ストーリーと関係なく断片的に使っているため、よくある月並みな怖がらせネタというようにしか見えない。 また問題なのは不快な登場人物が多いことで、死んでもらいたくない人物がいない(女子中学生は除く)ので最初から全員死なせるために出したように見える。特に主要人物の大学生連中はその場その場の感情で騒ぐのがやかましく、都合が悪くなると激昂して叫ぶのでは知性のかけらも感じない。渋谷という場所にはこういう連中しかいないことを表現するのが目的なら別だが、せめてもう少し万人が共感できそうな登場人物であってもらいたい。 全体的にも今作だけで終わらせる気がないのは明らかであり、2の鑑賞を強いられる作りになっているので満足感は全くない。個別の場面で少しよかったのは、交通量の結構ある路上で突然無音になった場面くらいのものだった。  ところで主演女優の水川あさみは最近時々見る人だが、若い頃(2003/6/11のクランクイン時点で20歳直前)にこういうことをしていたのは初めて見た。今でもそうだがカワイイ系の人ではないので、この映画でも見事に可愛気のない女子大生になっている。まあもともとそういう方向性ではないのだろうからどうこう言うようなものでもなく、またその面では家庭教師先の女子中学生が可愛らしい(女優はこの時点で14歳だったようである)ので救われる。 なおDVD特典を見ていると、「サッちゃん」役の人も素顔では屈託ない感じで大変結構だった。変な動きが多くてお疲れさま。
[DVD(邦画)] 3点(2015-06-08 00:12:35)
157.  のんちゃんのり弁 《ネタバレ》 
何をやっているかは大体わかるが、下司な人物や騒々しいドタバタといった感覚的に不快な要素が多くまともに見ていられない。映画とはいえ一応は現実世界を舞台にするのであれば許容できる限度があるだろうし、逆に延々と続く乱闘場面を見ていると、そこまでやるならいっそ殺してしまえという気分にもなる。主人公も突然芝居じみた調子でわめき出したりするのが変人のようで共感を妨げるものがあり、また子役の悪口を言うつもりはないが、主人公の娘の言動までもがいちいち神経を逆撫でする。 そういうことに苛立っているようでは自分もまだ人間ができていないのであって、ここは料理屋の主人の懐の深さを見習わなければならないのだろうと思われる。この人物の人徳には感じ入る。
[DVD(邦画)] 4点(2015-05-25 19:55:24)
158.  南極料理人 《ネタバレ》 
事前知識なしで見たら意外に笑わせる映画だった。こんなふざけた隊員が実際いるかとも思うわけだが、まあ男所帯の中で現実に起こりうる範囲のことであり、非現実的というほど羽目を外した印象はない。基本的にがさつでむさい感じの連中ではあるが、1年ほども一緒にいればまあ愛着もわくだろうという気はする。 隊員の中では主人公の調理担当がなぜか例外的に爽やかで、これは役者の持ち味ということもあるだろうが、多少何があろうと柔らかく受け止める人柄のよさが好印象だった。当初はこの一家の人間関係がよくわからないところもあったが、最終的にはこの男あってこその妻子のあの態度だったのだろうと思わせるものがある。ほかに弄られキャラの若い男もなかなか愛嬌のある奴だった。 劇中の感動ポイントとして用意されているのは主に家族関係であり、最後の「本さん」の顔つきもよかったが、東京との中継で主人公が娘と話したところも何気に泣かせるものがある。そのほかKDDインマルサットオペレーターの清水さんは、出演者としてクレジットされていながら声だけなのかと心配したが、最後にちゃんと顔出ししていたので安心した。 別に誰かの人生を変革するほどのドラマでないのは終盤の「本当に南極になんて行ったのか」という台詞の通りだろうが、帰って来てみての感慨はあったようだし、観客としてもここに出る人々の気持ちを感じ取って共感できればそれでいいのだろうと思われる。  ところで劇中では専門の観測スタッフと、サポート役の医師や通信・車両担当などとの間で気合いの入り方に微妙な差があったようだが(暇の度合いも違っていたようだが)、調理担当に関しては基地の運営を根底から支える点で日々責任重大だったらしい。食というものが単に生存だけでなく、人間としての文化的な生活を維持する機能について、いわば極限状態(というほど厳しくもないが)のもとで描いてみせた映画というように取れる。劇中人物の中では「本さん」の感覚が自分に最も近いわけだが、こういう場所であればやはりそれなりに料理人に感謝する機会も多いだろうとは想像する。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-25 19:55:21)
159.  かもめ食堂 《ネタバレ》 
食い物には関心がないのでその点は評価対象にならないが、海苔がパリッというのは少しよかった。また舞台がフィンランドである必然性も感じられないが、主人公の話すフィンランド語が結構それらしく聞こえていたのは感心する。全編にわたって微妙な可笑しさが醸し出されているのは見ていて意外に楽しく、うち一つだけ書くと、五寸釘おばさんの泣きの場面は笑えて仕方ない。 劇中では登場人物の来歴がほとんど語られず、そのことが互いの人格を尊重し、過度の密着を避けるような雰囲気を出している。またみなそれなりの年齢ということもあって、別々に生きている人間がたまたま同じ時間と場所を共有しているだけのようにも見える。いわゆる自分探し的な観点からすれば、後から流れついた2人がここに居場所を見つけたことが重要なのだろうが、しかし主人公の「ずっと同じではいられない」という台詞には無常観も感じられる。この主人公としては束縛のない自由さをあくまで尊重する姿勢だったようだが、それでもやはりいつかは失われるこの関係をいとおしむ思いがあるのだろうし、逆にそう思えばこそ、今という時間のかけがえのなさを感じるということかも知れない。そのような時間を切り取ってみせた形の映画だったようにも思われる。 なおどうでもいいことだが、原作では五寸釘おばさんに相当する人物に藁人形の話を教えた際、「人を呪わば穴二つ」に相当する内容を同時に教えていたが、映画で知らせなかったのは不親切だ。本来は他人に見られないようにしなければならないわけだが、人口密度が低いので普通にやっても大丈夫なのだろうと思われる。
[DVD(邦画)] 6点(2015-05-25 19:55:17)
160.  誘拐(2009)〈TVM〉 《ネタバレ》 
文庫で厚さ2cmくらいの原作を2時間弱にまとめてあり、内容は薄くなっているが不自然なところはなく、ストーリー的な面白さもちゃんと再現されている。背景音楽は軽いがTVドラマなので仕方ない。 時代背景としては明らかに第1次安倍内閣の頃を想定しており、謎の辞任で退いたのも実在の首相に似ているが、人物像まで似せようとはしていない。また当然ながら劇中の友好条約も史実にはないが、原作によれば日本側が適当に譲歩して格好だけつける類のものではなく、過去の完全清算を前提としたものだったようで、これが成功すれば確かに画期的だったろうと思われる(その後にまたひっくり返されるかも知れないが)。  ストーリーに関しても原作をほとんど忠実に再現していると思われる。「金で買えないものはない」とかいう表現は簡単すぎないかとか、最後に明らかになる真相が意外性に欠けるとかいった苦情はないではないが、人情に縛られていてはまともな経営はできない、といった風潮への反発に関しては同感であり、原作者の思いは真直ぐに受け止めることができる。 登場人物としては、まずは何物にも代えられない大事な孫娘というのがちゃんとビジュアル化されており、これが政治家の信念を覆すことにも一定の説得力を付与していた。またドラマ独自の趣向として、捜査官役に二枚目俳優を起用したのは個人的にはどうでもいいことだが、主人公の娘を大きく扱っていたのは非常に印象的だった。劇中ではこの娘の存在が主人公の動機を大きく支える形になっており、これは少しドライな感じのする原作を感情面から補完したものになっている。劇中で最も泣かせるのがこの娘のエピソードであり、いわば切ない愛らしさを表現できている点で非常にいいキャスティングだった。 そのほか最大の特徴点はラストが原作と違っていたことである。ここで主人公がけじめをつけると言ったにもかかわらず、その意図がわからないまま終わっていたが、これがかえって最後に余韻を残す形になっていた。この後に彼がどうするのか、制作側が何を想定していたかはわからないが、自分であればこうするだろうという思いはある。
[DVD(邦画)] 6点(2015-05-06 01:28:23)
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