1661. 喜劇 爬虫類
《ネタバレ》 渥美清主演の喜劇。 渥美さんといえば「男はつらいよ」の寅さんの印象が 強いので、おっぱいが出たり人殺ししようとしたりする 映画に出ていたんだということが新鮮でした。 1968年の作品ということで、内容が凄く時代を 感じさせるわけで、それもまた新鮮で面白かったです。 ストリッパーのメリーは毎日ビフテキを食い、 裏舞台を支える三人組はいつもひもじい飯を食う。 「アメリカと日本じゃ生活のレベルが違うんだから 仕方ないだろ」なんて言ってたり。 そしてまた、外国人自体が物珍しい時代でも あったんだろうなというのがわかる。 どこかの炭坑でのショーなんて、男たちは もはや野獣と化してメリーに襲いかかろうとする。 なるほど。今と違い、この時代はエロ自体が 充実していなかったのだろう。 欲望こそが、人をエネルギッシュにさせる。 ちゃんと笑わせてくれる内容だし、 この三人組の友情が目に楽しい。 喧嘩したり、よからぬことを企んだりしつつも、 最後には3人とも丸く収まってる。実に微笑ましい。 見終わった後には爽やかな満足感が漂う。 [DVD(邦画)] 7点(2012-10-22 19:28:17) |
1662. アイアンクラッド
《ネタバレ》 観たところ低予算な感じではありますが、 だからといって安っぽいわけでもなく、 とてもちゃんとした作りになっていると思います。 特に戦闘シーンのグロ描写が見もので、 カット割りと手ブレなどの多用により上手い事 見せているし、手足を切り落とせと命ずる ジョン王の外道っぷりには憤慨の念を覚えます。 終盤の追いつめられていくシーンも釘付けに させてくれるし、なかなかのものですよ。 そんでまた、まとめ方がいいですよね。 城は再建され、今も残っている。そして マグナ・カルタ署名の精神も、今に生き続けている。 なるほど、自由と平等は、こうやって 勝ち取ったものなんだなというのがしみじみとわかり、 心地よいカタルシスを味わう事が出た次第です。 [DVD(字幕)] 6点(2012-10-22 19:23:41) |
1663. ビーチ・スパイク!
《ネタバレ》 スタイルのいいお姉さんたち4人が 水着姿でのビーチバレーを見せてくれるので、 その点は幾分目の保養になります。 ただ、ボールが顔面に当たって顔のお肉が ブルンブルンでなるところをスローモーションで 頻繁に見せられる。ああいうのはさほど美しくないので 別にいらないです(笑)。どんなに動いても 汗をかいても、メイクが落ちないのはご愛嬌。 突然始まるカンフーアクションのシュールさも 香港映画ならではといったところか。 [DVD(字幕)] 5点(2012-10-22 16:52:56) |
1664. デスティニー 未来を知ってしまった男
可もなく不可もなくの佳作だと思います。 凄く地味で、なにかサスペンスフルなものが あるわけではないんですが、しいていえば、 「運命」というキーワードが好きな方、 そして一人の男がその運命に翻弄される様を 見るのが好きな方におすすめです。 恋人との幸せな日々、新しい事業の立ち上げという いわば「未来」の構築に対し、ムショでの約束事や 悪い友人といった「過去」がそうはさせんぞ 逃がさんぞという、そういう攻防みたいなストーリー。 一つ考え深いのは、占い師が「君は死ぬ。 いつかはわからないが、初雪までは持たない」と 言っていたけど、初雪が降った後も彼は生きてるし、 友人と心中させられそうになるも運良く助かる。 だけど帰り道での事故で結局死んでしまう。 死ぬという運命は変えられなかったけど、 その経緯は変更出来てるような気もする。 果たして運命とはなんなのだろうか、と 色々考えさせられる。 [DVD(字幕)] 6点(2012-10-22 14:27:48) |
1665. ザ・インシデント
《ネタバレ》 「失神者続出」だなんてパッケージに書いてあったんで、 どんだけ凄いのかと思って観てみたけど、 正直期待はずれでした。いや、確かにエグいシーンも あるにはあるんだけど、単にエグいというだけで、 ストーリーが全然面白くないんです。 ヤバい奴らだらけの精神病棟から逃げ出すにあたって たとえば追いかけっこでハラハラドキドキさせるとか、 脱出するためにあれこれ考える頭脳戦とか、 そういうのを見せて楽しませてくれると思いきや、 ヤバい奴らがパッと出てきてパッと襲われ パッと捕まり、そして延々酷い事される様子を 映し出すというだけで、ストーリーに面白味が全然なく、 これではただのマゾぐらいしか見ていて 楽しめないのではないかと思う。 映像的には暗さやイカレっぷりなど よく出来ていただけに尚更もったいなく感じる。 [DVD(字幕)] 4点(2012-10-22 14:25:58) |
1666. アフロ田中
《ネタバレ》 なかなか面白かったですね~。終始ニヤニヤしながら観ていました。松田翔太が見事なまでにはまり役といいますか、巧い事演じきっていたように思います。彼の「心の声」がまた面白いんだな~。妙に真面目キャラではあるんだけど、彼の心のつぶやきは、大方共感出来るものがある。恋愛の初心者だった頃は誰しもが経験するであろう気持ちというものを代弁しているようなところがあるし、その純粋さやウブさを観ていると、いつのまにかアフロ田中君を応援したくなる自分がいる。だから、あのラストはちょっと悲しいというか、上手くいってほしかったから残念ではある。まぁ、恋愛だけでなく、この話は男の友情の物語という側面もあって、そっちのほうもまた同様に共感出来るものがあり、4人がまた仲直りしているから良しとするか。田中君が、次こそは素敵な彼女が出来ることを祈りつつ7点を献上。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2012-10-19 20:26:44)(良:1票) |
1667. ダーク・シャドウ(2012)
《ネタバレ》 まずなんといっても、ゴシック風のお屋敷が素晴らしいですね。この作品の真の主役は、このお屋敷そのものなんじゃないかというぐらい。町並みも含めて全てセットなんだそうですが、実に見事な出来映えだったと思います。ティム・バートンの近年の作品はあまりぱっとしないものが多かったので期待してはいなかったのですが、個人的には割と楽しめた次第です。これまでのバートン作品と同様に、「普通じゃないことが普通」なへんてこな人たちがたくさん出てくるんですが、今までと一つ違うのは、そのクラシカルなキャラを徹底的に茶化してるというところにあります。200年ぶりに蘇ったバーナバス・コリンズは、1972年の世界でのギャップをあれこれを見せられるわけですが、それがまたいちいち面白い。この映画、吹き替えで見た方が良いと思います。そしてあくまでも現代に蘇ったわけでなく、「1972年」というところがまた良いんですよね。その時代の服装、スタイル、ヒッピー、そして音楽。蘇ったコリンズ同様に、観る者にとっても懐かしさが蘇る。ヴァンパイアと70年代の掛け合わせそれ自体が新鮮で面白かった。確かに、見終わってなにか心に残るものがあったかというと何も無いし、内容はよくあるソープオペラを化け物キャラでやってるだけなので特段の良さは無いのですが、前述のセットとキャラの茶化し具合、そして72年のエッセンス、これらの要素がとても楽しかったので、少し多目の7点を入れたいと思います。 [ブルーレイ(吹替)] 7点(2012-10-17 20:51:31) |
1668. 貞子3D
《ネタバレ》 貞子が3Dで飛び出してくるというもんだから、どれどれと思い見てみましたが、3Dの実力を醸し出しているシーンは貞子の手と飛び散るガラスと蝶々ぐいかな?それでいて特に序盤は、その3Dをもの凄い意識して作りましたっていう映像ばかりで安直さを感じる。いや、それよりも、ホラーなのに全然怖くないことが問題だ。なんというか、全体的に綺麗すぎるんだ。怖いというよりむしろ笑えるシーンが多いので、ホラーじゃなくてコメディだと思って観た方がより楽しめるかもしれない。終盤になると「モンスター貞子」が出てくるのだが、個人的にはこの斜め上の進化は嫌いじゃない。というか、貞子があまりにジャパニーズホラーの定番になりすぎて食傷気味だったので、こういう新しいタイプを作り出してくれるその心意気を買いたいと思った次第だ。ストーリーとしてはよくわからない点も多く、茜の超能力を貞子はどうしたかったのかとか、あの蝶々の意味はなんなのかとか、なんでスマホをぶっ壊したら貞子が消えるのかとか、管理人の女性は一体何者なのかとか、謎が多くて釈然としないのでもう少し噛み砕いて理解出来る内容だったら良かったかなと思う。 [ブルーレイ(邦画)] 5点(2012-10-17 18:29:56) |
1669. ダメおやじ
《ネタバレ》 いや~愉快愉快。大いに笑わせてもらいました。なにをやってもダメな平社員のダメおやじと、いつもしごきまくるオニババの掛け合いはそれだけですでにコントになってるんだけど、課長の不倫のいざこざが引き起こす悲喜こもごもの人情劇などストーリーもよく出来ていて実に感心させられる。資格をとるために徹夜で勉強させられて、ノイローゼ気味になり、かなり危うい妄想を試験中にはじめちゃうシーンなんかは少し可哀想な気もするが、課長の件も含め、ブラックユーモアがちゃんとユーモアとして機能していた古き良き時代というものを感じさせてくれる。こういうのを今やるとコメディにならなそうな気もするので、昔はとてもおおらかな時代だったんだなと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2012-10-15 20:26:06) |
1670. アポロ18
《ネタバレ》 一言で言えば、「パラノーマル・アクティビティ」 のSF版といったところでしょうか。 ここ最近は、こういうフェイクドキュメンタリーという 手法の映画がたくさん作られてますが、SFでこの 手法を用いたものは初めてのような気がします。 アポロ計画は17号で終わったと思われていたのに、 実は極秘裏に18号が飛んでいた。そして計画中止となった 原因が明らかに、、、というワクワクする設定。 ホラー的な要素が強いです。 前半こそSFらしい様相ですが、体内になにかが 入り込んだりするのは「エイリアン」を思わせるし、 感染して変貌していく乗組員は「ゾンビ」を思わせる。 なにせ舞台は月面なので、セットやらCGやら、 低予算ながらもきちんと作り込まれている印象。 なので、船内とか、月面に着陸するところなんか リアリティ出ててよかったと思います。 ただ、クモみたいな地球外生物のCGは少々微妙な出来映え。 振り返ってみれば、設定に無理や粗があるような気も するのですが、私のようなSF好きにとってはそれなりに 楽しんで見る事が出来ました。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2012-10-15 12:46:55) |
1671. カエル少年失踪殺人事件
《ネタバレ》 なかなか良かったと思います。 近年、韓国映画は主にサスペンス&ミステリーの 分野で質の高い映画を生み出しているように思う。 なんというか、韓国映画特有の土着的、 陰湿な雰囲気というのが、殺人事件と絶妙に マッチしていて、言いようの無い暗さと 魅力を醸し出しているように感じる。 この作品は、韓国三大未解決事件の一つに数えられる、 実際に起こった事件をもとにしているんだそうで、 5人の少年たちが突如行方不明となる展開は まるで神隠しのようで、ミステリーの題材としては 申し分無い。犯人が両親なのではないかと考えた 大学教授と主人公が推理し、突撃捜索する展開は 観ていて本当に面白い。それに比べると 後半、犯人らしき男に出会う展開は少々月並みだが、 ラストにはまた母親の口から隠されていた事実が 打ち明けられたりと、展開の巧さと内容の良さの バランスが保たれていて上手い作りだなと関心した。 [DVD(字幕)] 7点(2012-10-15 08:06:41) |
1672. マンク ~破戒僧~
《ネタバレ》 キリスト教徒の方が見れば、 確かに衝撃的なのかもしれません。 変な仮面かぶったあの女性は要するに 悪魔なんでしょうけど、教徒ではない 自分からすれば、悪魔というファクターが 出てくるとどうにもわかりにくくなっちゃうんで、 この話は一人の男の性への目覚め話だと 思ってみればいいかなと思いました。 赤子のときからカトリック寺院で修道士として 育てられてきたわけだから、要は環境によって 性への目覚めに蓋をされてるみたいな状態なのでしょう。 その蓋を美しき悪魔が開いちゃった。 それまでずっと封印されていたわけだから、 もの凄い勢いで性的欲求が溢れ出たんだろうなという 気がします。毎度見ていた夢も、女性というものへの 憧れの暗喩だったのかもしれませんし、 正常に欲求が解き放たれないが故に頭痛持ち だったのかもしれません。 そんなわけで、自分としてはそれなりに理解出来る 部分もあるのですが、終盤には勢いあまって 人殺しまでしちゃうわけですね。 さすがに暴走してしまったなと。しかも親殺しと 近親相姦の罪を犯してしまった。でもこれは、 本人は知らなかったわけですからね。 まぁ、悪魔の悪さなわけで、 その点はちょっと可哀想な気もします。 [DVD(字幕)] 6点(2012-10-15 01:53:17) |
1673. ディア・ブラザー
《ネタバレ》 これは本当に素晴らしい作品でした。 実話だと言うことで、より一層感動しちゃいましたね。 揺るぎない兄妹愛に胸をうたれ、 どんな困難があっても諦めずに兄を信じ続けた その心意気にジーンときます。 兄ケニーが突然逮捕され、裁判にかけられるのですが、 そこで兄の血液型が0型なので犯人に間違い無しという、 今では考えられないような内容の裁判をしてる事に驚く。 80年代初頭は、まだこういう感じだったんですね。 今でこそ当たり前ですが、当時はDNA鑑定が一般的でなく、 ケニーが刑務所に入れられ、ベティ・アンが奮闘する中で、 初めてこの最先端の鑑定方法に巡り会う。 この展開が見ていて実に鮮やか。 後半は、ケニーの鑑定結果がシロであり、 実は供述が強要されたものであることが 明らかになっていくわけですが、この展開というのも 観客としては胸をほっとなで下ろすというか、正義は 勝つんだというカタルシスが存分に味わえていいですね。 もしかすると、ケニーはクロなんじゃないかという 展開も考えられたので、尚更です。 そしてそれによって、娘の誤解が解け、二人は 抱き合って再会を果たす。もうね、これが実に感動的。 目頭熱くなっちゃいました。 TSUTAYA限定レンタルだなんてもったいない、 多くの人に見てほしい傑作です。 [DVD(字幕)] 8点(2012-10-15 01:39:41) |
1674. アイ・ソウ・ザ・デビル ~目撃者~
《ネタバレ》 全然面白くなかったです。 見所はデニス・クエイドの怪演ぐらいで、 ストーリー自体はあまりにショボく、ぬるく、 そしてくだらない。 勿論、ちっとも怖くなんかない。 デニス・クエイド演じたおっさんは確かに狂人だけど、 だからといって人の家に勝手に入り込む若者たちも どうかと思う。 [DVD(字幕)] 3点(2012-10-15 01:37:53) |
1675. ドッグヴィル
《ネタバレ》 セットがなく、スタジオ内に線が引いてあるだけという様相に最初は面食らうかもしれませんが、だんだんとそれが気にならなくなり、最終的にはこのスタイルが功を奏しているんだということがわかる。町並みや風景といったものはこのお話にとって二次的な要素なので、いっそのこと全て省略してしまうことにより、人の内面だけにスポットを当てられる。いって見れば観客を、人間の醜く汚い内面世界に閉じ込めてしまうわけだ。その醜い監獄は実に居心地が悪いので、嫌悪感を抱く人も多いだろう。ただ個人的には大いに共感も出来たし、また面白かった。「あぁ、その気持ちかるわ~」「こういうこともあるよね~」なんて思いながら。子守りをさせてたお母さんが怒りに震え次々とグレースの陶器を割ったり、男たちがグレースを性奴隷のように扱ったり、トムがグレースを裏切る局面であったりと、リアルなエピソードが積み重ねられていく。そして観客にとっては、ある種の鬱憤も積み重なっていく。街の人たちの理不尽な態度に。だからラストはやはりカタルシスを感じてしまうのだが、だからといって全て皆殺しにする必要があったのかなという気もする。皆殺しにしなきゃ目撃者を作ることになるし、後の復讐を恐れてのことなのかもしれないけど。犬は復讐が出来ないから、情けをかけて助けられたのだろうか。まぁそんなわけで面白かった事は事実なんですが、個人的には続編の「マンダレイ」のほうが好みでした。あちらは作りとしては二番煎じだけど、内容は経営者と労働者の関係というテーマがあったので興味深く拝見出来たのに対し、本作はただただ嫌らしいだけで、深いテーマが見えづらかった気もします。 [DVD(字幕)] 7点(2012-10-12 11:05:55) |
1676. 最高の人生の見つけ方(2007)
《ネタバレ》 堅実キャラで真面目なモーガン・フリーマンと、俺様キャラだけど憎めないジャック・ニコルソンのそれぞれの掛け合いが観ていて面白い。世界中、いろんなところを見て回ったけど、最終的には二人とも「家族」のもとに戻ったってところがミソですね。人間の幸せというのは、究極のところは人を求めまた求められているというその感覚だと思います。その障壁となっていたわだかまりが、この対照的な二人が出会い旅をすることによって乗り越えられた。ストレートだけど、いい映画だったと思います。 [地上波(吹替)] 7点(2012-10-11 01:10:14) |
1677. 皇帝のいない八月
《ネタバレ》 う~ん、個人的にはいまいちピンとこなかったですねぇ。国内でのクーデターを真面目に扱った作品なんて今じゃ観る事も無いのでその点は興味深かったのですが、自衛隊を国軍にするために、伝統と秩序をとり戻す為に、国民を人質にとって目的を達成しようとするというのがどうにも非現実的で、なおかつその主張が台詞にもあったように「軍国主義に酔っているだけ」で実に空虚。彼らの主張に共感が持てればぐんと面白くなったと思うんですけどね。70年代だったら、これでも現実味があったのかな。そしてまた例の三角関係も物語を面白くしているようには思えず、むしろいらないのではないかとすら感じる。派閥争いの政治家、総理の私生活、三国の拷問シーンなど、ダーティな雰囲気は巧く描かれていたとは思うが。 [DVD(邦画)] 5点(2012-10-10 20:58:09) |
1678. 利休
《ネタバレ》 なんといっても、ワダエミが手がける衣装でしょう。人の内面とかキャラクターを、衣装によって表現する。本作もそのスタイルが貫徹されていて、美しい和服の数々を堪能することが出来ます。同時にまた、全体的なセットも良かったです。ただ、ワダさんの衣装というのは綺麗そのもので生活感がなく、外道キャラの豊臣秀吉も漫画的に感じるところもあり、全体としてリアリティの重みに乏しいなとも思う。勿論、その外道キャラの秀吉と感情を押し殺す利休の対比が面白ので、それ自体は悪くはないんだけれども。映像的には、定位置からの長回しショットなど、どことなく黒沢映画を意識しているようにも感じられ、三国連太郎と熱演にも特段の不満はありません。ただ利休のキャラクターが、ずっと我慢し続けて最後の最後に自我を貫いた一人の男というだけで、その生き方や考え方と、茶道の精神とがもっとリンクして伝わってくるような構成であれば良かったのになという気がします。 [DVD(邦画)] 6点(2012-10-09 19:10:57) |
1679. リメインズ 美しき勇者たち
《ネタバレ》 一言で言えば、「エネルギッシュな人情劇」といったところでしょうか。全体的に、アクションと情緒性の双方が、良くも悪くも迸るほどエネルギッシュで、それがこの作品独特の特色と持ち味にもなっていると思います。大正末期を舞台にした話なんだそうですが、たとえば付随音楽がシンセで作れていてファンタジックな響きだし、犬の名前はメルだし、なぜか妙に現代的で、それがまた独特な雰囲気出してますよね。そしてユキ役をつとめた女性がまた凄い。全身で怒ったり悲しんだりしてるし、終盤になるとなぜかもの凄く卑猥な格好になるし(笑)。その体当たり演技も見もの。家族を惨殺され、強烈な恨みを持って行動するユキと、彼女のことを想い、全力で守ろうとする鋭治のプリミティブな感情表現が見ていて心地よい。マイナス点はと言うと、序盤の熊こそ本物ではあったものの終盤の一騎打ちの熊は明らかに着ぐるみで二足歩行丸出しなのと、「一人前の男になるんだ」などと行っていた男衆たちが結局最後の闘いに絡んでこないのが少々残念であった。全体としてはまずまずの作品かなと。 [DVD(邦画)] 6点(2012-10-08 23:23:00) |
1680. 顔(1957)
《ネタバレ》 なんというか、凄くシュールさを感じる作品でした。そのシュールさっていうのは、映画としてはマイナス要素ばかりなんだけど、それもまた逆に新鮮で楽しめました。たとえば、コンパクトが落ちたり、男が外に出たらすぐに車にひかれて死んじゃったりというのはあまりに出来過ぎな展開だし、水原秋子が塔のてっぺんに男を呼んで、そこから落として死なす妄想があるんですが、目の前に落ちるスポットがあって、男がそこに自ら誤って落ちるかなりアホな妄想なんですよ。せめて男が後ろ向いたときに突き落とすとかね、もうちょっとありえる妄想ならわかるんだけど。それからあのラストは何なんでしょう。水原秋子は必死に生きる為に、色々と道を踏み外してしまったんだと思うが、あのラストは「東京のネオンが悪いんだ」「都会の誘惑が私を狂わせたんだ」みたいな、そんなメッセージにも見て取れる。まぁなんにせよ、秋子の瞳孔開きまくったみたいな目が凄く印象的。映画としては、ヒッチコックを意識したかのようなミステリー演出や、ホラーっぽい付随音楽などが独特の味わいを出しているなと感じました。 [DVD(邦画)] 6点(2012-10-04 00:29:09) |