1661. 翼よ!あれが巴里の灯だ
《ネタバレ》 何というすばらしい邦題だ。思わず手にとって見たくなる映画だ。事実、DVDがなかった昔、ビデオレンタル屋で借りた最初の映画ではなかったかと思う。 そのときは恥ずかしながらリンドバーグの物語とは知らなかった。 映画はとかく単調になりやすい飛行機の旅を、たくさんの回想シーンやエピソードを交えて、少しも飽きのこない内容になっている。とりわけ鏡を与えた少女が帰宅する列車の中で、口紅を手に鏡を探すシーン、そうだ鏡はあの人にあげたんだっけという言葉が聞こえてくるようだ。それとセントルイスからニューヨークまでの3倍を計って節穴というシーン、大西洋を一緒にお供したはえが陸地がなくなると同時にお別れするシーン、このようなちょっとしたシーンがたくさんあり、じんと胸にくる。実に鮮やかであり、さすがはビリー・ワイルダーと感嘆した。 [ビデオ(字幕)] 8点(2011-11-09 11:25:23) |
1662. アマデウス
《ネタバレ》 サリエリがモーツァルトと対立し毒殺したという噂は昔からあった。事実はそうでなくても、サリエリの存在とその噂のエピソードを高めさせた画期的な作品である。もちろん映画の中の音楽は圧倒的にすばらしい。 モーツァルトが天才で神童ぶりを発揮したことは大変有名であるが、人間的にはどうだったのだろうか。この映画のように軽薄な存在だったのだろうか。 伝記を読むとモーツァルトの手紙の中には、「うんこ」など下品な言葉がいくらも出てくる。そうなるとやっぱり・・・。もしこういう軽薄なモーツァルトであれば、まじめなサリエリにはたまらなかっただろう。 大変好きな映画であり、初めて買ったDVDがこの「アマデウス」であった。 [映画館(字幕)] 9点(2011-11-08 23:43:50) |
1663. ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路
モーツァルトのファンである私にとって見逃せない映画であり、大きな期待を持って臨んだが、甚だ空振りに終わった。 音楽ものでありながら、映画での音楽の扱いがかなり控えめである。それにもまして、物語が平坦、どこでどう感動すればよいのかわからないくらい。大甘の私が思うくらいだから、他の人が見たらどうだろうか、きっと退屈するのではなかろうか。 この映画の主役ナンネルを演じるのは監督ルネ・フェレの娘であるが(もう一人の娘も国王の末娘として出演していた)、主役はナンネルであっても、もっとモーツァルトに神童ぶりを発揮してほしかった。 [映画館(字幕)] 4点(2011-11-08 22:34:14) |
1664. ムッソリーニとお茶を
最初はコメディタッチのホームドラマかと思いきや、やっぱりムッソリーニ、戦争になってしまう。しかしシリアスな面を見せながら、明るく陽気に吹き飛ばしてしまうところはまさにイタリア的。女優さんたちは英国人が主でシェールのような米国人も混じっているが、英語という共通語、米国も英国もスコットランドもない。 それぞれ個性がある女性たちだが、シェール、マギー・スミス、デンチと豪華なメンバー、でも私はジョーン・プロウライトのメアリー・ウォレスが一番好き。マギー・スミス、デンチよりも若く見えるけど実は一番年上なんだな。ルカをとてもかわいがっていたと思うし・・・。ストーリー以上に映画の雰囲気が良いと思う。 ところで映画の中にロミオとジュリエットが出てくるが、オリヴィア・ハッセーを擁して映画を撮ったのはこの監督だったのだ。 [DVD(字幕)] 7点(2011-11-07 22:46:59) |
1665. 愛の勝利を ムッソリーニを愛した女
《ネタバレ》 周りに数多くの女性がいたとされる独裁者ムツソリーニ、彼女らのほとんどは日陰の身で甘んじただろう。その中の一人イーダ・ダルセルだけは、周囲から精神病扱いをされてもなお屈しなかった。すごい真実の物語である。 映画で特に印象に残ったシーンとして、精神病院の格子をよじ登るのが2回ある。一度は格子の隙間から手紙を投げ、2度目は雪の降り積もる中でシルエットのように浮かぶ。 主役の女優さんは大変美しいし、鋭い目をしている。それが何にも負けない不屈さを感じさせるのだ。 ところでこの映画の中にはたくさんの無声映画が出てくる。その一つはチャップリンの「キッド」だが、映画を見る彼女の涙ぐむシーンも印象的だった。 [映画館(字幕)] 8点(2011-11-07 19:49:08) |
1666. 第三の男
初めの方は何とが見られたが、門番が殺されたあたりから何が何だかわからなくなった。思えばライムはなぜマーチンスを呼び寄せたのかすら謎だったのに、どんどん謎は大きくなるばかり、最後も事件のすべてが解明されたとは思えず、消化不良ですっきりしなかった。 音楽は映画を見る以前から馴れ親しんでいた名曲であるし、アントン・カラスがチター1本で担当したことも知っていた。もちろん映画の評判も高かったし、淀川さんもベタほめしていたのに、自分の理解力のなさを痛感した。 英仏米ソの共同統治と、戦後の傷跡が時代背景としてあるわけだが、ドイツ語と英語の両方が入り交じってわかりにくくなっている。 [映画館(字幕)] 4点(2011-11-07 11:54:17) |
1667. 落ちた偶像
《ネタバレ》 大人の保身のための嘘と少年との秘密の約束、それに偶然の出来事が重なり、事件の捜査は微妙に揺れ動く。そして夫人の靴跡は寝室をのぞこうとしたときのものだと結論づけられる。しかし真実はそうではなかった。それを訴えようとするフィリップだが、取りあってもらえないうちに映画は終わる。まさに虚と実が錯綜する物語であり、映画はそれをうまく表現していて秀作だと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2011-11-06 14:59:03) |
1668. 永遠に美しく・・・
凄くブラックなコメディ、死んでも死なない薬というのが恐ろしい。永遠に美しくという方は一時的なものであって、身体の方が老朽化してくると追いつかないらしい。 メリル・ストリープとゴールディ・ホーンの共演も凄いが、不死身役の専門家みたいなブルース・ウィリスが両者に翻弄されるという役がおもしろい。しかし、彼こそが一番人間らしかったのだ。 撮影の技術はすばらしい。首が180度回転するというのは、昔のエクソシスト以上か。 [DVD(字幕)] 6点(2011-11-05 17:28:50) |
1669. ア・フュー・グッドメン
映画の内容はあまり好きではないが、ジャック・ニコルソンの圧倒的な存在感がすばらしい。この迫力では、兵士たちもまったく逆らえないだろう。 ついついしゃべりまくる癖が、トム・クルーズのキャフィ中尉の罠に引っかかってしまったということか。 [DVD(字幕)] 6点(2011-11-05 11:02:33) |
1670. スミス都へ行く
《ネタバレ》 キャプラの理想主義はわかるが、手放しに賞賛はできないだろう。どうも極端すぎると思うし、己の信ずるところを貫き通し、自分だけが正しいと思うのは間違いだとも思う。 我が国の国会にも「牛歩戦術」というものがあったが、それと同様に端から見てると「何をやっているのだ?」という疑問が残る。議会は我慢比べの場ではなく、正々堂々と議論する場てある。それに演説があれだけ延々に続いたのに、ラストがあっけない。 [DVD(字幕)] 6点(2011-11-05 05:55:27)(良:1票) |
1671. オールド・ボーイ(2003)
今まで見た中で、見たことを一番後悔している映画。私にはまったく合わないと言う以外何もない。 [DVD(字幕)] 1点(2011-11-04 21:13:31) |
1672. 愛情物語(1956)
《ネタバレ》 古き良き時代の名作中の名作、音楽と恋愛ロマンスを描いた作品としては、この映画の右に出る作品はないと思っている。 初演以来、日本でも何度も再上映されたおかげで私も映画館で見ることができたが、見終わった後は私も只々涙、涙であった。 これが前半のとんとん拍子で有名になるピアニストの物語で終わっていたら、ただの映画であったろう。キム・ノヴァクが美しかったからと言っても、それはそれだけにすぎない。幸福の頂点から、妻の突然の死に遭い、現実から逃避してしまうところからこの映画の真価が出てくる。なじもうとしなかった息子ピーターに対して、チキータの存在は大きかった。そして3人にようやく幸せが訪れようとした矢先、不幸が再び訪れるとは実に切ないが、それを超えた親子演奏のエンディングはとても印象的だった。 [映画館(字幕)] 10点(2011-11-04 07:52:35)(良:2票) |
1673. 予言
最初の方は奈々ちゃんがかわいかったり、堀北真希の高校生も登場して良い感じだったが、中盤くらいからだんだん映像が見にくくなってしまった。それとともにストーリーも破綻し訳がわからなくなってしまった。ラストは無理矢理自己犠牲の美談に持って行ったような気がして後味が悪い。 [DVD(邦画)] 4点(2011-11-03 22:05:29) |
1674. 宮本武蔵(1961)
子どもの頃に三船敏郎の宮本武蔵を見ていたので、すんなりと見ることができた。それどころか、以前筋がわからなかったところも手に取るようにわかった。 この映画は東映時代劇スター中村錦之助が主役をつとめているのでまったく申し分がない。また度量の大きさとともに生臭さも感じられる三国連太郎の沢庵坊主も光る。 この映画はまた、入江たか子の娘入江若葉のデビュー作でもある。八千草薫の可憐なお通とはたどたどしいのは残念ではあるが・・・。 DVDで三船敏郎と錦之助を並べて見ることができるようになった今日、比較することは可能になったが、それぞれの持ち味があり無意味とも思う。しかし、映画はたしかにスケールが大きくなった。 [映画館(邦画)] 6点(2011-11-03 06:34:38) |
1675. 宮本武蔵(1954)
子どもの頃見た宮本武蔵、筋は理解できなくとも結構覚えていた。それだけインパクトが強かったのだろうと思う。宮本村の武蔵は悪蔵とか鬼蔵と呼ばれ、暴れん坊のならず者だった。それがお通と巡り会い、沢庵和尚の教えによって人間らしい宮本武蔵になって旅に出る。その長い長いお話の序の部分だと知ったのはずっと後のことだった。 八千草薫のお通は、けなげでとてもいじらしい。 [映画館(邦画)] 6点(2011-11-02 22:37:09) |
1676. 蝉しぐれ
これぞ時代劇、美しい映像と音楽、ゆったりとした自然の中にもスケールの大きさを感じさせる。斬り合いの場面ですら、人を斬ることの恐ろしさも伝わってくるようだ。 文四郎とふく、隣同士に住む相思相愛の中であっても思いが遂げられなかった二人の運命を、淡々とさりげなく描く秀作だと思う。後半から終盤にかけてはやや甘い感じもするが・・・。おっと幼い頃から一緒に遊んだ三人の友情も忘れられないし、緒方拳と緒形幹太の親子も一緒に出た映画か。 [DVD(邦画)] 8点(2011-11-02 16:44:49) |
1677. 人生、ここにあり!
精神病院を廃止するといっても、その後のケアをするシステムがなければむずかしいし、周囲の正しい理解がなければなおさらのことである。 映画は実在の人物をモデルにし、実際に協同組合の活動に基づいているという。そういえば、映画の中で元患者らが娼館へ行くシーンがあったが、実に生々しいではないか。 私には馴染みにくい映画ではあったが、イタリア人の気質を垣間見たような気もする。 [映画館(字幕)] 6点(2011-11-02 14:49:30) |
1678. 新・三等重役
社長シリーズは子どもの頃たくさん見たので、今はどれがどれだかわからないのが現状だか、この映画だけは新珠三千代さんの箱田章子役が大変すてきだったのでよく覚えている。この役は原作ではオールドミスということになっているのだが、映画の新珠さんは大変若々しく美しかった。 DVDが出ていないので確かめようがなく、ちょっと点がつけにくいのだが・・・。原作は大変おもしろい。 [映画館(邦画)] 6点(2011-11-01 22:10:35) |
1679. 社長三代記
へそくり社長に続いて鑑賞、子どもの頃見た映画だが全編を通じて笑い満載、何といってもそのテンポが良い。森繁・小林のコンビはすばらしくも今度は加東大介も登場し、より賑やかとなる。加東が出た分だけ三木のり平の出番が減っている。司葉子杉葉子という二人の葉子の美しさが目を引く。 栃錦・若乃花の横綱、月給1万5千円に対してテレビが5万円の時代であった。この映画ももちろん続社長三大記へと続く。 [映画館(邦画)] 6点(2011-11-01 19:58:00) |
1680. リプリー
米国映画になるとなぜこうも安っぽく俗っぽいものになるのだろうか。「太陽がいっぱい」とは雲泥の差である。イタリアだというのに欧州の雰囲気がまるでしない。ちなみにジャズは大嫌いです。 [DVD(字幕)] 3点(2011-10-31 23:08:03) |