1681. アマデウス
非常に長い映画なので頻繁に観ようとは思わないのですが、サリエリがモーツァルトに抱く天賦の才能への憧れ、敬意、嫉妬、憎しみなど、一言で現す事など出来ない複雑な思いを同時に成立させてみせるマーレイ・エイブラハムの演技は何度見ても凄いと思う。そしてトム・ハルス。僕はクラシックは聴かないし、モーツァルトに関する本も読んだ事がないので実際の人物像は知りませんが、「モーツァルトってどんな人?」と聞かれたらまず本作のトム・ハルスの軽薄な高笑いが思い浮かぶだろう。やはり彼の演技も強烈に印象に残っています。前半に比べ後半はちょっと長く感じる時間帯がありますが、サリエリのモーツァルトへの複雑な思いが伝わってくる終盤の2人の作曲シーンが素晴らしく、夢の如く豪華絢爛な2人が生きていた世界から悲しいまでに現実に引き戻されるラストのサリエリの姿も印象に残ります。そんな2人が生きた時代を再現した衣装や美術も見事な映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2010-02-02 20:10:47) |
1682. イヴの総て
冒頭の授賞式で普通なら最年少受賞を果たした新進の才能ある女優イヴに拍手喝采が贈られるべきところを複雑な表情でそれを見つめる数人の男女。この冒頭で本作が単なるイヴのシンデレラストーリーではない事が見事に伝わる訳ですが、華やかなショービジネスの世界の裏側をあぶり出すだけにとどまらず、こんなに恐ろしく人間の心理をえぐったサスペンスだとは思いませんでした。登場人物を絞り、それぞれのストーリーの中での配置や役割分担、一つ一つのシーンにおける台詞も演出も見事。話の節目も分かりやすく心理描写も巧みで脚本の素晴らしさが感じられます。あまりドロドロした人間関係を見せる映画は好みではないのですが、それでも長丁場を忘れて見入ってしまう非常に完成度が高い映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2010-01-31 16:37:20)(良:1票) |
1683. デンジャラス・マインド/卒業の日まで
《ネタバレ》 映画を見ているとよくあることですが、死んでほしくない、死ぬべきではない登場人物が後半から終盤にいきなり死んでしまう、という個人的には好きではない展開。しかしこれは実話なんですね。そして人種の問題とそこにある貧困の問題や銃社会の問題などアメリカの抱える厳しい現実が生徒の家への家庭訪問のシーンなどに描かれる。厳しい環境で生き、重大な問題を抱えた生徒を「ノックもせずに部屋に入って来た」と訳も聞かず門前払いする社会的に恵まれた立場にいる校長。厳しい環境で生まれ育った彼らが社会に受け入れられない非常に厳しく冷酷な現実を見せられたような気がします。ミシェル・ファイファー演じる先生と生徒の間に信頼関係が出来ていく過程がちょっと早送りされている感はありましたが、決して綺麗ごとだけでなく、生徒達の置かれた現実を見据えた上で、いくらでも自分で考えて道を選択する事が出来るという先生の教えが心に残る映画でした。 [DVD(字幕)] 6点(2010-01-30 12:18:32)(良:1票) |
1684. ダウト ~あるカトリック学校で~
《ネタバレ》 冒頭で神父が「確証が無い時、どうするかー信じるのか、疑うのか」という説教をする。この説教がこの作品の大きなテーマの一つだった訳ですね。疑惑に対し疑う事からスタートする校長とそんな校長とは対照的に疑ってかかる事に否定的な若い教師。この対照的な二人のシスターに、ある疑いを持たれる神父。その演技の真剣勝負が凄い。 特に終盤の校長室で校長と神父がその疑惑に関し対決する場面でもあり、メリルとホフマンが演技で対決する場面でもある最高の見せ場があるのですが、これは本当に見応えがありました。疑惑に関する答はハッキリとは分かりません。メリル演じる校長の「嘘の電話」で更に神父に疑いを持つのも分かる。しかしホフマン演じる神父の感じさせる人間味も信じたいと思う。観る者にも「確証が無い時、どうするかー信じるのか、疑うのか」が問われているようでもありました。 そして全体的に暗い雰囲気が作品を支配する中、エイミー・アダムス演じる若い教師の透明感のある存在感が本作のいい清涼剤になっていました。そしてメリル。日本流に言えばもう還暦を過ぎているのですが、どんな役を演じていても全く年齢を感じさせず、ますますパワフルさを増しているようにすら感じられる最近の彼女の演技の凄さには観る度に驚かされます。 [映画館(字幕)] 8点(2010-01-29 22:16:06)(良:1票) |
1685. フェイク
マフィアのドンや大物ではなく、下っ端のレフティを演じたパチーノの哀愁を感じさせ、抑え気味ながらも熱さを感じさせる演技は流石ですね。お互いを思い合いながらも友達になるには生まれ変わるしかないほどかけ離れた2人の友情が悲しく、特にパチーノのこの映画の一番最後の台詞にはグッとくるものがありました。そんなパチーノの存在感にひけをとらないジョニー・デップも見事。本来の仕事と友情と家庭のはざまで苦悩する男の心境が見事に伝わってくる素晴らしい演技でした。 [DVD(字幕)] 7点(2010-01-26 21:37:46) |
1686. 男はつらいよ 知床慕情
《ネタバレ》 シリーズ後期の秀作。この頃になると寅さんの恋が物足りない作品が増えてきます。シリーズを通して何度も登場した素直な愛情表現が出来ない不器用で口下手な男。この頃には寅さんの恋よりもそんな男の恋に手を貸すといった話が多くなる。 本作でも基本的にそうなのですが、寅さんとりん子の互いの気持ちもしっかり描かれ伝わってくるのが嬉しい。本作でそんな不器用な男を演じるのは何と三船敏郎。寅さんの楽しさと三船敏郎の無骨さが見事にかみ合い、この2人のどの場面も非常に味わいのあるものになっています。 マドンナは竹下景子。この前に登場した第32作同様、結婚に失敗し家族の事で悩みを抱えているといった役どころ。本作でも寅さんを頼る竹下景子の演じるマドンナ像がとてもいいですね。 序盤で喧嘩してとらやを飛び出していくまではいつも通り。その後寅さんは一度もとらやに帰ってこないのは淋しいですが本作の場合は知床には世界の三船がいる訳でして、それも仕方なしでしょうか。でもその分作品の大半を占める知床での三船のもの凄い存在感にそんな不満も忘れさせてくれます。そして三船敏郎が告白するシーン。これも僕の中ではシリーズ史に残る名シーンの1つとして強く心に残るものになっています。 [ビデオ(邦画)] 8点(2010-01-24 21:21:16) |
1687. 海角七号/君想う、国境の南
差出人も宛先も不明の日本から台湾へ、過去から送られてきた男から女への思いが切々と綴られた手紙。作品中随所で手紙の内容が挿入される。しかし作品の方はその手紙に恐らくは全く関係ないであろう人々の人間模様を描くコメディでした。そしてメインテーマであるはずの手紙の存在を忘れそうになる。そして忘れた頃に突然手紙が挿入される。その度に過去に何があったのだろうと思いをはせる。しかしすぐに作品はその手紙とは全くリンクしないと思われるガヤガヤした現代の台湾の話に引き戻される。この手紙がどうなるのかが気になって現代の台湾のコメディに気持ちが入っていかない。結局はどっちつかずの物足りなさが残る作品でした。ただ、キーボード担当の少女が台詞は少なかったけどなかなかいい存在感がありました。いつかまた別の映画で再会したいですね。 [映画館(字幕)] 3点(2010-01-23 20:47:38) |
1688. やさしい嘘
「やさしい嘘」、その意味は序盤にすぐに分かったつもりでいた。おばあちゃんを悲しませないための娘と孫のやさしい嘘だと。しかし、嘘はこれだけでは終わらなかった。おばあちゃんもまた、嘘をついた。それは全ての事情を理解した上で自分の事を思ってくれている娘と孫へのとてもやさしい嘘でした。いくらやさしい嘘でもいつかは行き詰ってしまう日が来るかもしれないし、この家族もいつの日か最初の嘘の発端となった現実を家族それぞれは理解していても、家族全体として受け入れなければならないのかもしれません。移民、不法労働、不法労働であるがために何かあってもすぐに家族に連絡がつかずに起こる悲しい現実、それでも祖国を出て出稼ぎに出ざるを得ない得ない祖国の苦しい事情。ある一つのグルジアの家族の物語を通して非常に重い問題を取り上げた作品でもあったように思います。 [DVD(字幕)] 7点(2010-01-23 20:38:28)(良:1票) |
1689. サンセット大通り
《ネタバレ》 オープニングで主人公の男の殺された姿を先に見せてしまう。そしてストーリーが動き出す序盤で誰に殺されたのか見当はついてしまう。しかし「はたして犯人は誰なのか」ということはこの映画は問題にしていない。どうして彼は殺されなければならなかったのか、そんな人間の心が変わりゆく様、その打算、野心、愛、嫉妬、男と女、人間のプライドといった心理を見事に描いた作品です。世間から忘れ去られてしまったが過去の栄光にすがって生きるしかない、トーキーの時代を生きるサイレントの時代のかつての大女優を演じるグロリア・スワンソンがもの凄い演技と女優としての誇りを見せる。こんなすごい演技はなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。映画がサイレントだった、グロリアが若い頃に実際にコンビを組んでいたセシル・B・デミル監督と50歳を超えたグロリア。この二人が絡むシーンはごく僅かではありますが、この映画で共演する二人の心境は果たしてどのようなものだったのでしょうか。そして感情の起伏を表に出さない複雑な今の事情と過去を持つグロリアの執事を演じたエリッヒ・フォン・シュトロハイムも流石の素晴らしい演技を披露してくれています。僕の中ではビリー・ワイルダーのベストの映画ではないですが、それでもビリー・ワイルダーの凄さを感じさせてくれる映画です。 [DVD(字幕)] 8点(2010-01-22 21:17:45) |
1690. シェルブールの雨傘
《ネタバレ》 台詞を全て歌にするという大胆な試みを今なお愛され続ける名作に仕立て上げた監督・脚本のジャック・ドゥミによる話術が見事で、一つ一つのシーンが実によく計算された色の配置と音楽がとても美しい映画です。 上からとらえた雨の石畳の歩道、色とりどりの傘、ミシェル・ルグランの音楽。このオープニングから素晴らしい。オープニングから全編にわたり大胆にピンクや赤を多用しそこに青や緑を配した色彩感覚と、常に流れるルグランの音楽、台詞が全て歌のフランス語の響きも、カトリーヌ・ドヌーブも、全てが見事に美しい。 台詞が歌ということに不思議なほど違和感を感じず、歌になっているので台詞による感情表現が実にシンプルでストレートなものになっており、それが新鮮で純粋に感じられ、テンポの良さと独特の心地よさも感じられます。 オープニングに降っていた雨はラストシーンでは冷たい雪に変わっていた。その間には戦争があった。ジュヌビエーブが今幸せなのかははっきりと語られませんが、黒い衣装に身を包んだ彼女が立ち去る淋しげな姿と、子供とはしゃぐギイの幸せな姿が実に対照的な戦争により人生を大きく変えられてしまった二人の姿に、白い雪とルグランの音楽が重なる見事なラストシーンは悲しくも何度見ても感動します。迷わず10点満点とさせていただきます。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2010-01-20 21:25:07)(良:3票) |
1691. ラスト・マップ/真実を探して
《ネタバレ》 亡くなった祖父の謎の遺言。遺言に書かれていた行程通りケンタッキーでチキンを食べて遺灰をまく儀式をこなしていく旅。この遺言も謎ですが、祖父の死の間際に突然現れた30年間消息不明だった父も謎の存在。年はとりましたがこれぞクリストファー・ウォーケンの役、と思わせる若い頃からの彼の持ち味がよく出ていましたね。 祖父の謎の遺言を実現するための、30年の空白が謎の父と自分の息子を連れての旅。殺風景な中西部の風景、ちっぽけな町、どの町にもあるケンタッキー、こんな旅の風景にピッタリの挿入される音楽もアメリカン・ロードムービーのいい味を随所に感じさせてくれます。 この謎の旅は祖父からの、自分と父への最後の贈り物だった訳ですね。祖父が亡くなり、そして父も。彼らが存在し、自分や息子が今存在する。この先も脈々と受け継がれていく家族のつながり。この映画を見ている自分も確かに家族のつながりの中にいる。普段考えもしないけれど、そんな当たり前の事を考えさせてくれる日本未公開の心温まるロードムービーでした。 [DVD(字幕)] 6点(2010-01-19 22:20:58) |
1692. 千年の祈り
《ネタバレ》 楽しみにしていたウェイン・ワン監督の新作です。アメリカで暮らす娘に会いに北京からアメリカにやって来た父。母は既にこの世を去っており父と娘、離れて暮らすたった二人の家族の再生の物語。よくあるテーマですが非常に静かな映画で、その静かさが心に残る映画でした。昔から寡黙だが娘の幸せを心から願っている父、亡くなった母にも自分にも話をしてくれないそんな父が不満で、更にある事情から父に心を開かない娘、そんな父と娘であっても、言葉が通じあわず片言の英語で会話するアメリカに来たばかりの中国人とイラン人であっても、心を開いてじっくりと語り合えば必ず分かりあえる。最初は顔をつき合わせて話ができずに壁越しの会話であってもいい。本当の事を語り始めた父、そして娘。この父と娘の対話はまだ始まったばかりですが、そのラストには父と娘の今後に確実に希望を感じさせてくれる映画でした。非常に地味で静かで90分にも満たない小品。苦味はあるけれど、その苦味も深い味わいのある佳作。 [映画館(字幕)] 7点(2010-01-19 17:50:09) |
1693. ル・バル
《ネタバレ》 映画はパリのとあるダンスホールから一歩も出ない。更にこの映画には台詞が一切無い。ダンスと音楽に衣装、俳優の仕草や表情だけで戦前から80年代までの流行、世相、パリに生きる人々の喜びや悲しみを見事に表現した作品です。 ダンスと音楽の間にさりげなく見せる笑いドコロ、ホロリとさせられるシーンを挿入するその見せ方、各時代が移り変わる際の見せ方も見事です。1つの狭いダンスホールの中のみで展開されているのが嘘のような壮大さすら感じさせる。 物語は戦前から始まりナチスの時代の暗い影が忍び寄り戦争の時代、そして終戦。ホールは歓喜の舞に包まれる。そこに戦場から傷ついて帰還した兵士が妻と再会し喜びのダンスを舞うシーンが感動的。戦後もフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースに扮した二人が登場しての華やかなミュージカルにロックンロールにビートルズにディスコブームと本作が作られた80年代に至る。 監督・脚本のエットーレ・スコラは過ぎ去った時代とその時代を生きた人々の記憶を作品ごとに様々な語り口で我々に見せてくれる。そんな中でも本作はパリのダンスホールが見つめてきた記憶を台詞を排した語り口で、世相や流行だけでなく人々の感情までもが生き生きと伝わってくる見事な映画です。 [ビデオ(字幕)] 9点(2010-01-16 20:20:20)(良:1票) |
1694. 幸せのレシピ
《ネタバレ》 オリジナルは未見です。最も印象に残ったのは子役のアビゲイルでした。この歳で早くもアカデミー賞にノミネート歴があるように勿論演技も上手なのですが、この子の持つ豊かな表情や透明感のある雰囲気がとてもいいですね。「私の中のあなた」でも大きくなったなあと感じたし、もうあっという間に子役を卒業していくでしょう。この先どんな女優になっていくのか楽しみでもありますが、今のうちにいっぱい映画に出てほしいとも思います。ストーリーの方はニックが登場した時点で誰にでも分かる方向に向かうのですが、悪意のある登場人物もいないし、安心して楽しめるロマンスでありホームドラマとなっています。 [DVD(字幕)] 5点(2010-01-16 20:10:12) |
1695. 恋愛準決勝戦
《ネタバレ》 フレッド・アステアの楽しさあふれる至芸を堪能できる作品です。まずは前半、トレーニング・ジムで。アステアの手にかかればどんなものでも見事なダンスのパートナーに早変わり!そしてあまりにも有名な壁や天井で踊るシーン。前半のアンとの食事中にアンが語った「自分が壁や天井をグルグル踊る姿をよく想像したものよ」と言う台詞。そしてアステア演じるトムはそう語ったアンの写真をパートナーに壁や天井をグルグル踊ってみせる。ダンスの素晴らしさとともにこの有名なシーンはトムのアンへの思いにあふれた素晴らしいシーンです。そして兄妹揃って人生のパートナーと出会い、ゴールインする大ハッピーエンド。こうなると分かっていても、やはりミュージカルは大ハッピーエンドで締めくくって欲しい。兄妹愛も微笑ましく素敵なとても楽しいハッピームービーです。 [DVD(字幕)] 8点(2010-01-16 12:06:13) |
1696. 男はつらいよ 寅次郎忘れな草
本作以降、最終作までの4作品の中で別れと再会を繰り返すことになる寅さんとリリー。そんな2人の最初の別れ。「じゃあ、またどっかで会おっ!」「ああ、ニッポンのどこかでな」2人のこんな台詞がいいですね。様々な性格、事情のあるマドンナが登場しましたが、こんな台詞が似合うのはやっぱり、寅さんと同じく渡り鳥であるリリーだけです。「相合い傘」でもそうですが、この二人には北海道が似合う。夜汽車が似合う。とらやの2階で隣同士の部屋で「寅さ~ん」「あいよ」とやり取りし合う二人。月のきれいな夜空に響く二人の声。本作のお気に入りのシーンです。寅さんとリリー、この二人の間にしかない空気はやはりいいですね。そんなシリーズ第11作はリリー初登場の記念すべき作品です。 [ビデオ(邦画)] 8点(2010-01-14 20:53:13)(良:2票) |
1697. 歩いても 歩いても
《ネタバレ》 本当に何も起こらない離れて暮らす家族が久々に顔を揃えた実家での一日。そんな家族それぞれの抑えた好演が印象に残るキャストも、日本中のどこにでもあるような家族が揃う夏の帰省の一日を実に味わい深くしてくれた脚本も素晴らしい映画でした。どの家族の中にもあるであろう微妙な間。この映画の中の家族に流れる間は自分の家族と似ているようでもありますがやはり違う。しかしよく分かるのです。そして息子と父の微妙な関係は映画の中で劇的に変わることは無く、結局「いつか一緒に行こう」と言った野球にも行かなかった。しかし、この映画はこれでいいのだろう。観る者それぞれが自分の親や家族と本作の家族をだぶらせながら、家族を見つめ直すきっかけとなったりする映画ではないでしょうか。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-01-14 20:47:01)(良:3票) |
1698. キッチン・ストーリー
《ネタバレ》 一面雪景色の厳しい北欧の冬。青みがかかった映像は美しくも寒々しさを余計に感じさせます。それとは対照的に、人の温もりに心が癒される映画でした。 テニスの審判席のような高い椅子から見下ろす観察者と観察される者。お互い話をしてはならないというルール。 しかしこんなルールが守れるはずがない。人は一人では生きていけない。そんな当たり前のことを改めて感じさせてくれる二人のオジサンの素敵な友情の物語でした。オジサン二人だけの誕生日パーティー。普通ならなんて冴えない誕生日なんだ、と思いますがこの不思議な映画を象徴するいいシーンでした。 ベント・ハーメル監督の作品を観るのはこれが2本目。いずれも主人公は年配のオジサン。何か不思議な感じの設定にいずれも厳しい北欧の冬が舞台。そこに感じさせてくれる人の温もりが嬉しい。なかなか観る機会が訪れませんが、機会があればぜひこの監督さんの他の映画も観てみたいと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2010-01-13 22:35:14) |
1699. ふたりのトスカーナ
《ネタバレ》 事故で両親を亡くした姉妹がトスカーナに住むお金持ちの伯父さんの家に預けられる所から話は始まる。前半はトスカーナ地方ののどかな風景、善良な人々と伯父さんの家族の描写に戦争の時代の話だということを忘れてしまうほどでした。しかし、嫌な予感はあった。家の中ではイタリア語を話さない伯父一家、どうやら伯父の信じる神は周りの人とは違う事、そして伯父さんに持ちかけられる「一緒にスイスに逃げましょう」という誘いなど。後半、ドイツ軍がやってきてからは伯父さんの自分の誇りと信念を守り通しナチスに屈しない高潔な人柄に「サウンド・オブ・ミュージック」のトラップ大佐の事を思い出しました。それゆえ最後はこんな事になるとは思わなかったので・・・。言葉もありません。久々に怒りがこみ上げてくる映画を観ました。しかも実話だったんですね。姉妹のその後については何も語られていませんが、彼女達の幸せを願わずにいられなかった。最後にこの邦題について一言。この映画にこの邦題は無い。 [DVD(吹替)] 7点(2010-01-11 19:11:18) |
1700. ブリジット・ジョーンズの日記
《ネタバレ》 ブリジットのキャラクターをどう思うか?が本作を好きになるかどうかの分かれ目になる映画ですね。想像とは違って結構品の無い面が目立ったのと、ラブコメの基本はハッピーエンドだと思っているのでラストはこれでいいのですが、本作のブリジットのキャラを考えると、それなりに色々あるものの最初から最後まで話が上手く行き過ぎでは?と感じました。ただ、ヒュー・グラントとコリン・ファースの脇を固める二人の男優は本作のキャラにはまっていたし、役作りのためにあそこまでしてくれたレネーには拍手!です。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2010-01-11 02:00:54)(良:1票) |