1701. ガンクレイジー(1992)
《ネタバレ》 まるで「悪人」のようなストーリー。 この映画においても、「犯罪者=悪」という構図を根底から覆し、主人公たちより最低な人間たちを犠牲者という形で見ることが出来ます。 正直、何をやっても状況は悪くなる一方で、最後には悲劇が待っているだろうと予想される映画というのは、観賞するのがなかなか辛いものがあります。 そこにあるのは閉塞感や絶望感であり、浅はかな愚行を行ってしまう主人公たちへの憤りです。そんな空気が蔓延している映画が、楽しめるはずがないっすよ。 と、言いたいところですが、やはり一定の完成度と、それなりの雰囲気を持っている作品でありましたので、二人の子供のようなピュアな気持ちに心打たれることもしばしば。 好みでいけば苦手なタイプなんですけどねー。 こうゆう映画のほうが結構心に残ります。 [DVD(字幕)] 6点(2013-06-05 23:50:03) |
1702. 忠臣蔵外伝 四谷怪談
《ネタバレ》 「きっと変な映画だー」という先入観をものの見事にひっくり返されるほど、真剣に撮られた作品でした。 いや、変な映画ではあるんですけどね。なんか出演者のみなさんがもの凄く大真面目なので、もう映画に見入ってしまって、犬がかけまわり始めた頃にはもうすっかりこの映画の虜でした。 お梅さんたちは、いったいいつになったら正体をあらわすのだろうと思っていましたら、正真正銘、人類だったようで、それが一番ビックリですよ。 お梅さんたち一行の登場シーンで、「ようよう、こりゃあキレイな姫さんじゃねーかぁ。一杯つきあえよ。」みたいな感じで登場する3人組は、目のつけどころが尋常じゃないと思いました。 ラスト、いきなりSFみたいな世界観をつきつけられて、急に映画の世界からはじきとばされるような感覚を味わいましたが、良い意味でたんぱくにすっきりまとめてくれて良かったです。 夢でうなされそうだったので、変な余韻残して欲しくなかったんですよね。 [DVD(邦画)] 8点(2013-06-04 00:04:28)(笑:1票) (良:1票) |
1703. エル・マリアッチ
《ネタバレ》 う~ん。なぜだかは忘れちゃいましたが、ものすごく期待して見てしまいました。で、期待には程遠い内容でしたので、「あれ~。なんかあんま面白くないなー。」という気持ちになっちゃいましたね。 あまり楽しめなかったひとつの要因は、これはもう好みの問題ですが、夢のシーンというのが昔から肌に合わないのです。それも定期的に何回も挿入されるタイプはほんとダメです。なんか、一回一回気持ちがそこで冷めてしまうんですよ。で、なんかそのせいでテンポまで悪く感じられてしまうのです。このジャンルにしては珍しく、途中でちょっとダレちゃいましたからね。 人違い、すれ違い殺人のアイディアは面白いし、女優はちょっと好みではなかったけど、結構良い味出していたし、エル・マリアッチが孤軍奮闘でめっちゃ頑張って敵を倒していくシーンはテンション上がったし、要所要所は面白いのに映画全体は正直期待はずれ。 でも皆さんのレビュー見て、「低予算・親戚出演・実はシリーズもの」という事実を知って、「なるほど!」と妙に腑に落ちました。けどやっぱつまらんかったしなー。「デスペラード」とか知らんもん(聞いたことはあるけど)。そのうち見るとは思いますが。 [DVD(字幕)] 4点(2013-06-02 18:29:15) |
1704. レッドロック/裏切りの銃弾
主役のマイケル(ニコラス・ケイジ)ってなんとも言えない「なんとかなるんじゃね?」オーラが出ている気がするんです。その雰囲気が、作品全体に緩衝材となって影響しちゃっているようです。はっきり言えば、ちょっと緊張感に乏しいと思われます。 もちろん、その空気が好きな人向けにあえてそういう空気のサスペンスアクションを作ったのであれば、それはかなり成功していると言えるでしょう。 また、その空気感が醸し出すリアリティやドラマ性といったものが、大掛かりなアクション映画では感じられない独特の情緒を生み出している気もします。 特に後半はサスペンスとして見ればいまひとつかもしれませんが、人間ドラマとして見ると何気に怒涛の展開で、ラストは個人的にかなりしっくりきて満足でした。 かと言って、好きなタイプの映画かと言えばそうでもないので、点数つけるとしたらこれくらいになっちゃいますね。でもこの映画、好きな人は大好きでしょうね。 [DVD(字幕)] 5点(2013-06-02 17:52:37) |
1705. ハネムーンは命がけ
冒頭からがんがん攻めてくる、アメリカンジョークなのかどうかもわからないギャグのオンパレードに、「うわぁー、これやっちまった系の借りちゃったかなー」と思いきや、ラストまで破綻することなく無難に楽しめるサスペンスコメディになっていました。 この作品、全然本格的なミステリーではないのですが、このミステリーが後半になって何気に良いスパイスになってくるんです。 コメディもミステリーもラブストーリーも、ひとつひとつはたいしたことないのですよ。ところが、この3つのバランスが意外に絶妙で、ちょっと面白い作品に仕上がっています。 まあ強くオススメできるような映画ではありませんが、たまに肩の力を抜いて気軽に観賞する分には、こんな映画も良いのかなって感じのテイストでございます。 興味のある方はどうぞ。 [DVD(字幕)] 5点(2013-06-01 23:22:42) |
1706. 舟を編む
《ネタバレ》 辞書を作る話に2時間。・・・どんなものかと思いましたが、静かながらも熱く真剣な気持ちが伝わり続ける、力強いドラマに感動。日本の映画の良さが全部出ているのではないかと思っちゃうくらいの味わい深さでした。 馬締君も香具矢ちゃんも、出演者の皆様それぞれが地味ながらもすごく良い味をだしてくれているわけですが、なかでもとりわけオダギリジョー演じる西岡さんが最高に好きですね。 「映画ってやっぱり楽しくなきゃね!」と思っている僕にとっては、西岡さんがからむたびに映画館でおこる笑いが心地よく、それでいて彼が泣くシーンにはこちらも胸を打たれてじーんとしちゃいました。 また、「まじめっておもしろい」の映画のキャッチフレーズ通り、確かに「まじめ」もつきつめれば良い意味で面白い。正真正銘の真面目さから生み出される面白さというものをしっかり堪能させてもらいました。 いや、この映画は本当に良かったです。 この映画を観て元気づけられる人って、世の中にいっぱいいるんじゃないですかね!日本人の良さって、何と言っても「まじめであること」だと思うんです。そしてやっぱり「ものづくり」にかける誠意や熱意だと思うのです。 もともと日本人が持っている良さってものを、辞書作りとそれに携わる人達のドラマを通して再認識させていただきました。 [映画館(邦画)] 8点(2013-05-31 03:08:26)(良:3票) |
1707. バラ色の選択
《ネタバレ》 誰も彼も親切で良い人達ばかり。 そんな中ただ一人、アンドニー・ヒギンズ演ずるクリスチャン・ハノーヴァーがもうわかりやすいクズ野郎で、このクズ野郎がここぞとばかりにクズっぷりを発揮しまくるものですから、積み重ねられたクズパワーから発散されるラストのカタルシスと爽快感が半端ないのです。 そのクズっぷりはと申しますと、契約書の進展具合を小出しにしてはダグを良いように使いまくり、アンディのことはもて遊びの嘘つきまくりで、ダメ押しの国税局員との癒着にいたっては最優秀クズ野郎賞を受賞するかの勢いです。 それに対しますマイケル・J・フォックス演じるダグ君。 こちらはいつものスーパーラッキーっぷりで対抗。それはもう終盤に至るまで、ありえないほどの親切を大放出し、その度重なる投資を最後の最後でまとめて回収する大技をお見舞いします。 当然、百戦錬磨のスーパーラッキーご都合大王に、そんじょそこらのクズ野郎がかなうはずもなく、最後はお約束通り夢も恋も何もかも、オール総取りの一人勝ちで、クズ野郎に大差をつけて勝ってくれるのでした。そして彼の勝ちを疑わない観客にも、これ以上ない満足感を味あわせてくれるのです。 いや、いいんじゃないでしょうか、これで。だってマイケル映画だもん。 [DVD(字幕)] 8点(2013-05-31 02:12:30)(良:1票) |
1708. 奇跡の旅
《ネタバレ》 きっと、何度も何度も撮り直したんだろーな。・・・なんて、無粋なことを考えてしまう。 いっぱいっぱい撮って、なんか脚本にぴったりの映像をつなげたんだろーな。・・・なんて、無粋なことを考えてしまう。 大人になるってことは、子供のときには気づかなかった作品の深さや面白さに気づく反面、子供のときのように純粋な気持ちで観ることはもはやできないってことだろーな。・・・なんて、どーでもいいことまで考えてしまう。 上記のように、ちょっとだけ心も目も濁っちゃってる僕にも、この作品、とても良かったです。 この映画はですね、きっと家族とか恋人とか、仲の良い友人とかと一緒に見るとすごくすごく楽しいのではないでしょうか。 そんでそんで、観終わった後に、「別れのシーン、すごい切なかったね。」「何気にすごい動物のシーン多くなかった?」ってみんなで話しながら楽しい気持ちに浸っちゃったりしてね。 そいでもって、「でも、猫が流されるシーンとか、ハリネズミとか、あれって動物虐待なんじゃ・・・」ってつっこみもきっちり入れて楽しんだり・・・・なんて、無粋なことを考えてしまう。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-30 05:45:17) |
1709. 不法侵入
《ネタバレ》 サイコなキャラが最も恐怖感を出すのは、本性を見せたときではなく本性を隠しているとき。今作でも、警官ピート(レイ・リオッタ)の笑顔や親切心が一番恐ろしい。 終盤、カレンが目覚めたときに、さも当たり前のように料理を準備しているピート。ここが狂気のひとつの到達点だと思います。これ以上の恐怖演出はないでしょう。 したがいまして、これはサイコ・ストーカーものとしては王道を地でいく無難な作品なのですが、その王道を完璧にこなしてくれているので緊張感と焦燥感は一級品です。 「なんか頭のおかしい奴に、心臓とまらない程度にドキドキさせてほしいわ~」と思ったら、きっとこの作品がオススメです。 「不法侵入」というタイトルにひかれて、防犯のお手本になるかと思っている人には、まったくならないのでオススメしません。犬も猫も友人も入り放題のノーボーダー状態です。 [DVD(字幕)] 8点(2013-05-27 11:44:26) |
1710. 新ポリス・ストーリー(1993)
《ネタバレ》 ジャッキー主演で実話ってのが実に新鮮で面白かった。 と言うか、普通にこれはクライム・ムービーとして申し分のない佳作ではないでしょうか。 実話に基づいているだけに非常にマジメで丁寧な脚本ですが、商業用の映画として観ている人を楽しませるポイントをしっかり押さえてあると思います。それが、ひんしゅくを買わない程度のぎりぎりのラインにとどまっているところに、この映画のバランスの良さを感じます。 映画全体に緊張感があります。ハン刑事が少しずつ追い詰められている様子が画面からひしひしと伝わってきます。チャン刑事とハン刑事の心理的なかけひきも良い味付けになっています。 そして、ラストの実話に基づいたメッセージはグッド。 あのメッセージは個人的に凄く良かった。あのメッセージのおかげで、この作品はただの娯楽作品では終わりませんでした。 終盤では満足のいくカンフーもしっかり見せてもらえたのは嬉しかった。 減点要素をあげるとすれば、やはり無駄なシーンと活かされなかった伏線がちょいちょいあったことですかね。 それからハン刑事がまるでプレイボーイみたいな設定はいったい・・・ あいつまるでドラ○ンクドラ○ンのつ○じ・・ [DVD(字幕)] 7点(2013-05-27 11:18:49) |
1711. ダイ・ハード2
《ネタバレ》 「もしかしてマクレーン刑事ですか?」とみんながマクレーンのことをさりげなく知っている。シリーズならではの好演出。 「この後食事でもどうですか。」と誘う空港の案内の人に、薬指のリングを見せながら笑顔で「これだけもらっておくよ。」と言うマクレーン。 肝心なところで鳴るポケベル。 ベルトコンベアーを使って拳銃を手繰り寄せるシーン。 大掛かりなシーンだけでなく、ちょっとしたシーンにも工夫が随所に散りばめられていて、凄く良かったのです。 ひとつひとつのシーンは本当に良かったのです。 なのになぜかあんまり乗れない。 見ているときの精神状態の影響か。それとも期待値の大きさの裏返しなのか。 少なくとも、「ダイハード」として見るとそれほどまでには面白さを感じなかったんです。 じゃあ、ひとつの作品として見ると・・・?いや、シリーズものは続編として観賞するからこそ、その作品の価値があるのだと思います。ですからあくまでダイハードの続編としてそれほどには楽しめなかったというのが素直な感想です。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2013-05-27 04:39:26) |
1712. トト・ザ・ヒーロー
《ネタバレ》 誰しも、特に劣等感に苛む男の子であれば、いわゆる「厨二病」みたいに憧れの自分や憧れの世界をイメージしては楽しむ期間が来るのでしょうか。 現実世界におけるトマ自身の人生と、メタファーとも言える「トト・ザ・ヒーロー」の空想部分とは、まるで逆のストーリーが進行し続けます。当たり前ですけど・・・ 現実世界では、幼少期にみんなからばかにされ、愛する父を失い、自分のせいで溺愛していた姉を失い、青年期には愛する姉似のエヴリーヌと自らの意志で別れます。そしてそのほとんどに、アルフレッドが関わってくるわけです。 彼の精神状態は、「トト・ザ・ヒーロー」というもう一人の自分を空想の世界に創り上げることでバランスを保とうとします。普通は早い時期にこの精神状態から脱却するものですが、姉が死んでしまって、姉の成長があそこで止まってしまったことと、彼の恋愛に必ず一歩先をゆくアルフレッドが登場することで、彼はこの世界から全然脱却できません。 この映画の唯一の救いは、終盤、彼が真実を知り、現実の世界を生まれて初めて肯定するところにあるのでしょう。 アルフレッドの身代わりになって撃たれる瞬間と、「トト・ザ・ヒーロー」が撃たれる瞬間、今まで全く違う人生を歩んでいた二人の姿が完全に重なります。そう、この一瞬でずっと憧れていたもう一人の自分に、「トト・ザ・ヒーロー」になることができたのです。 なんかこうして書きながら整理していると、すごく良い映画のような気がしてきた・・・ ですが見ていたときは本当に面白くなかったのです。 いや、もうやばいくらいに。 ですので、勇気を出して、正直な気持ちを打ち明けます。 3点です。 周りを気にする「たきたて」は10点の評価をつけていますが、「タキタテ・ザ・ヒーロー」が3点の評価を出しています。 [DVD(字幕)] 3点(2013-05-26 15:38:42)(良:3票) |
1713. レザボア・ドッグス
《ネタバレ》 一言で言えば「好みではない。」というのがぴったりの作品です。 「ストーリーが面白い」「強いメッセージ性を秘めている」このふたつのうち、どちらか一つでも押さえているような、べたな映画が好きな人にはおそらく向いていないのではないでしょうかね。 「脚本が素晴らしい」ということと、「脚本が面白い」ということは、決して同義ではないみたいです。 一人ひとりをクローズアップしていく手法は結構好きです。できるなら、一人あたりにかける時間をもう少し短くしてさ、全員のエピソードを見てみたかったですね。 例えば、蜂の巣にされちゃったブルーなんて会話の中にしか出てきません。でもそのブルーが仲間になるエピソードが少しでもあったとしたらどうでしょう。「え?ブルーはそんな簡単に死んじゃったの?」ってブルーに感情移入した人達は、よりリアルでより臨場感のある雰囲気を味わえたかもしれません。 本作では、ブロンドでそれに近い感慨は覚えます。 警官の拷問シーンで切り取った耳に話しかけたり、終始軽いノリで特に目的もなく拷問を続けるところはブロンドの狂気っぷりを印象付けます。このシーンによって、強盗の際にどんな殺戮を繰り広げたかも容易に想像できるわけです。そして、仲間のことは絶対に裏切らないという、狂気とは相反するモラルも持ち合わせているのです。 こんな強烈なインパクトのブロンドが、一瞬で命を散らすシーンと同時にスパイが誰かもわかってしまうわけですが、このシーンで受けた衝撃はなかなかのものでした。 まあ、ただそれ以外がちょっとね、面白くはないかな・・という感想です。 [DVD(字幕)] 4点(2013-05-25 11:07:08)(良:1票) |
1714. ア・フュー・グッドメン
《ネタバレ》 法廷ものとしては、捜査が少なく、証拠もあまり出てこないため、「法廷ものならではの面白さ」というのは、期待したほどではありませんでした。 また、どう考えてもマシュー・マーキンソン中佐が自殺しちゃうのは強引です。そこまで思いつめる動機を本作中では見せてくれないので、ただ単にキャフィ達を困らせるための演出にしか見えないのが残念です。 ただ、粗を探せば結構出てくる作品にも関わらず、何故かすっごい面白いんです。だから、見ているうちに粗なんかどーでもよくなってきます。 ですので、素直に見て面白かったと言っちゃうタイプの映画でしょう。 終盤、自分のクローゼットを見て荷造りしていないことに気付いたり、ラストの答弁で相手の矛盾をきれいについた上で逆上させる演出はかなり良かったと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-05-24 23:52:24) |
1715. カリートの道
《ネタバレ》 普通の成り上がり系のマフィア映画かと思いきや、感動的な人間ドラマでした。この映画のアクション、サスペンスはもちろん素晴らしいのですが、何と言ってもカリートという人物の放つ魅力がたまらないのです。 裏社会で伝説のような人物になりながら、ここまで恋人や友情や信頼関係というものを大切にする人間がいるでしょうか。おそらくリアルな世界ではいないと思うわけです。これはフィクションの世界だからこそできた人物像であって、私たちが憧れるような人物像のひとつのモデルとも思えるんです。 だからこそ、カリートの一挙手一投足、ナレーションの一言一言に必要以上に感情移入してしまい、等身大のカリートをとにかく応援してしまいます。 ただ、カリートはちょいちょい失敗もします。彼は決してヒーローではないんです。ミスジャッジしちゃうんです。そしてそのミスのつけっていうのは、すぐには返ってこないのです。後半に向けて、少しずつ蓄積されていくんです。 蓄積されるのはそれだけではありません。時間が経過するほど、カリートの貯金も貯まっていきます。夢がすぐそばまで近付いてきます。彼女ともうまくいきます。子供ができ、3人の未来がよりいっそう現実味を帯びてくるのです。 そして終盤、もう夢がかなう、目の前にある、と同時に、次々と、今までの失敗のつけや、過去の亡霊が、不安要素として一気に噴出してきます。 それはサッソでありパチャンガであり、クラインフェルドであり、イタリアマフィアであり、ベニーブランコでした。 ただ、終盤は、「いったい誰が、彼の夢を砕いてしまうのか」ということが考えられないくらいカリートのハッピーエンドを本気で信じてしまいます。嫌な予感は全然なくならないのに。そして、イタリアマフィアをふりきり、ホームで彼女と再会してほっとした瞬間、最悪のデジャヴを感じるわけです。『・・あれ、このシーンって。』 そしてはっきり思い出す間もなく、最悪のラストを迎えます。 映画全体が完璧なひとつの流れを作っていて、最後はもの凄く感動的で、もの凄く最低な余韻を残してくれる素晴らしい作品です。 でもラストがやるせなさすぎて、悲しすぎて、もうこの点数が精一杯です。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-05-23 14:32:49)(良:5票) |
1716. ダイ・ハード
《ネタバレ》 前半は「私は誰でしょう?」のノリに始まり、リアルかくれんぼで超ハラハラします。捜す方も隠れる方も本気モード全開。マクレーンが良い感じですぐ行き止まりにぶつかるのもナイス。「巨大ビルという密閉された空間」という状況設定が、もの凄く活かされています。 後半、正体がばれてからは、本格的な知恵比べ合戦+アクション開始。 とにかく、お互いがどこにいるのかよくわからないものだから、いつも誰かが潜んでいたり狙っていたりするんじゃないかっていう緊迫感がたまらないのです。 多くのアクション映画では、割りとおざなりにされがちなデティールにこだわっていながら、アクション映画としてのスピード感や軽快なテンポを損なっていないのも素晴らしい。 そして魅力ある脇役のみなさま。 味方の側で脇役が光る名作は数多くあれど、この作品のように悪役側で脇役に個性ありまくりの魅力タップリっていうのはおそらく珍しいんじゃないですか? 次々と華麗にその命を散らしていく悪役のみなさん。そのひとつひとつの命によってこの映画は輝いているといっても過言ではないですよ。 この作品ではトランシーバー使っていましたが、今だったらラインでつながっちゃうんですかね。そういった意味でも、この時代だからこそ創ることが出来た作品かもしれないですね。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-05-23 01:20:26)(良:2票) |
1717. マンハッタン殺人ミステリー
《ネタバレ》 ウディ・アレン演じるラリー・リプトンがしゃべるしゃべる。奥さんもしゃべるけど、ラリーはすごい。絶対静かにしないといけない場面でもかまわずしゃべる。落ち着かないといけないところでは必ずと言っていいほどパニックを起こして、見ていてほんといらいらします。 いらいらするんだけど、とにかくちょいちょい面白いことを言うものだから、つい笑ってしまう。「うまいこと言うなー」と感心までさせられてしまう。でも、やっぱりいらいらもしてしまう。 本筋が全然読めなくて、ラスト付近までいったいどうなっているのか全然わかりませんでした。ストーリーが何気に面白くて、ミステリーとしてすごく良かったのだと思います。だから、早く真相を知りたくなったし、見ながらいろいろ考えていたのです。そこでラリーと奥さんがどーでも良いことをやんやと話しまくるもんだから、なんだか邪魔されている気分になってしまって・・・ もしミステリーがどうでも良いような内容だったらそこまでいらいらしなかったかもしれません。ですが、なまじ内容が面白いんですよ。だからストーリーの良さをコメディの面白さが若干邪魔しちゃってるよーな気がするわけです。 コメディ好きな人は楽しめるかもしれないですけど、ミステリーにのめり込みやすい人はいらいらさせられるかもしれないですね。 [DVD(字幕)] 6点(2013-05-21 13:35:42) |
1718. 二十日鼠と人間(1992)
《ネタバレ》 ジョージとレニーにはささやかな夢があり、まさにここぞという大事な場面では、必ずレニーがジョージに夢の話をねだります。 きっと、ジョージの夢の話を真剣に、目を輝かせて聞くのはレニーだけだったのでしょう。ジョージは、その夢が本当にかなうとは思っていなかったような気がします。ですが、唯一レニーの前でだけは、ジョージも本気で夢を見ることができたのかもしれません。そう、きっとジョージにとって、レニーは重荷であると同時に、希望でもあったと思うのです。だとすれば、レニーと離れられなかったジョージの心情もわかる気がします。 ところが、ただの夢物語にすぎなかった希望が、実現するチャンスが訪れます。それは財産を蓄えていた老人の存在。急に出てきた彼の存在によって、夢はもはやただの夢ではなくなってきます。はっきりとした形を帯び始めるのです。 人って不思議なもので、ゴールが遠ければ、転んでも立ち上がることができるのですが、ゴールが目の前にあるときに派手に転んでしまうと、体より先に心が折れてしまうものです。 ジョージにとってきっとレニーは夢の一部でした。そして皮肉にも、そのレニーによってその夢はまた夢のまま終わってしまいました。もし、老犬と、老人のエピソードがなければ、ジョージはレニーと再び旅を続けていたかもしれません。 ラストシーンで、ジョージはレニーに夢の話をします。いつもどおりに、途中からレニーが夢の話をいつの間にか代わりに話しています。そして、夢の話を話し終える前に、ジョージは引き金を引いてしまいます。 それは、レニーとの永遠の別れを意味すると同時に、自分の夢との決別をもはっきりと示したのではないでしょうか。 冒頭とラストで、一人真っ暗な列車に乗っているジョージの眼差しがしばらく忘れられそうにありません。 正直苦手だし、嫌いなタイプの映画ですが、これ以上低い点数はつけられないです。 [DVD(字幕)] 6点(2013-05-21 06:32:34)(良:1票) |
1719. デモリションマン
《ネタバレ》 スパルタン(スタローン)が冷凍される経緯や、思いのほか広がらなかった未来世界にちょっとだけがっかりしたことを除けば、個人的にはなかなか楽しい作品でした。 お金とCGの力があれば、いろんな夢の世界を描ける。それも映画の大きな魅力。だとすれば、この映画は「未来」という夢の世界を少しだけ覗かせてくれる素敵な映画ではないでしょうか。(この映画にCGが使ってあるのかどうかは知りませんが) すごーく印象深かったのは、『この殺人事件は、2010年6月の殺人事件から26年ぶりとなります。』という一言。そうか、当時は1993年。17年後の近未来を想像したとき、凶悪犯罪はきっとなくなっているんじゃないかな、と製作者は思ったわけだ。もしくは淡い希望を抱いていたわけだ。なんかいいな、そういうの。 メインのストーリーは確かにいまいち。でもそれは仕方がないんだ、きっと。どんな未来にするか、そればっかり考えていたんだ。で、頭から煙出てきて、貝殻だとか、条例違反ワードだとか、面白いネタがいっぱい出てきたんだ。そしてその世界を、確かに僕は楽しんだんだ。だから、他のことはどーだっていいんだ。それがきっと、「頭をからっぽにして楽しむ」ってことなんだろーな。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-05-20 02:58:18)(良:1票) |
1720. ラスト・ヒーロー・イン・チャイナ/烈火風雲
《ネタバレ》 ストーリーが若干だらだらしているせいか、キレのあるカンフーアクションまでなんだかスピード感に欠けるような錯覚を覚えます。 あらためて、アクション映画こそ、ストーリーと脚本が大事なのではないかと思いました。気分が乗れないまま、どんなに凄いアクション見せられても、ある一定のラインまでしかモチベーションが上がらないみたいです。 脇のソーとフーもよく頑張っていたし、ボス級のキャラが二人いるのも良かったし、バランスも悪くなかったんですけどね。なんかかみ合っていないというか・・・獅子舞があまり好きじゃないのも原因の一つかもしれないです。 [DVD(吹替)] 4点(2013-05-20 02:11:12) |