1761. インサイダー
マイケル・マンのスタイルと映画の内容が珍しく一致していると思います。それにしても、つい最近の出来事を全て実名で映画化してしまうハリウッドの懐の深さが凄い。いつからか演説俳優と化してしまったアル・パチーノも相変わらず凄い。タバコの有害性は今更の事実なのに、違法でもないタバコ会社を健康被害で訴えるアメリカ社会が凄い。そして、法廷でヌケヌケと「有害じゃない」と証言できるタバコ会社の重役陣も同様に凄い。余談ですが【Cookie】さん、少なくともフィリップ・モリスの日本支社長(アメリカ人)はタバコを吸いません。アメリカのエグゼクティヴの多くはタバコを吸わないので、きっとタバコ会社も例外ではないでしょう。ということで、個人的にちょっと点数は低めの6点献上。 6点(2002-07-19 18:49:25) |
1762. 告発の行方
例えば飲み会で、酔った男が場を盛り上げようと裸踊りをしてもレイプされることはない。では、場を盛り上げようと酔った勢いでセクシーダンスを踊った女性はどうなるのか? レイプという究極のセクハラで判りにくくなってしまっていますが、この状況は、飲み会で場の雰囲気に合わせて身体を寄せてお酌してくれた女性に気を良くした男が、ついその女性のお尻を触ってしまうことと、そう遠くはない。この場合、「酌をした女性の方が悪い」とは誰も言えないでしょう。この映画のジョディ・フォスターについても同じことです。どんな状況であってもレイプはされた方ではなく、した方が100%以上悪いのです。映画は、題材の割りにそんなに優れているとは思えない並の法廷劇ってことで、6点献上。 6点(2002-07-19 18:47:39)(良:3票) |
1763. フロム・ヘル
決定的な敗因は脚本にあると思う(コミックの原作者は、この展開が一番面白くなりそうだからこういうストーリーにしたのだと言ってました)。19世紀末のカオス感は出てたと思いますが、どうにも話が判りづらい上に中途半端。それを何とか映像と音響の作り込みで補いました、といった所でしょうか(しかしラストのヘザー・グラハムのアップは人形の様。この人は動いている時とそうじゃない時は全然変わっちゃう)。そんな訳で評価も今一定まりませんが、アブサンの阿片割り(これは体に悪過ぎる!)ならぬビールとタバコの霊感頼りで、5点献上。 5点(2002-07-19 18:45:24) |
1764. 海辺の家
子供じみたグレ方を見せる16歳の息子(おまけにキスだけで射精してしまう。若いって羨ましい)、再婚理由のよく解らない母親(同じく離婚理由もよく解らない)、「ハートブレイカー」から出張してきたような向かいの母子家庭(私にもヤラせろ!)、そしてリストラされた途端に都合良く寿命がやってくる主人公…。とにかくどの登場人物にも一分の理も見出せず魅力ゼロ。特に母親の再婚相手を無理矢理な悪者的描き方にしているのが、この映画最大の失敗(一生懸命働いて家族に贅沢させちゃいけないのか?)。つまらん。ってことで、4点献上。 4点(2002-07-09 22:34:49) |
1765. 耳に残るは君の歌声
以前観た舞台で中尾ミエが登場した時、周りがそんなに有名な俳優ではないということを抜きにして、その大きさ(何故かやたらでかく見える)と華やかさ(普段着のような衣装です)と存在感に驚かされたことがあります。この映画に於いてはケイト・ブランシェットが正にそれ。主人公が小粒ということを抜きにして、ほとんど彼女の映画と言っても良いでしょう。ところで【ちっちゃいこ】さん、クリスティーナ・リッチはこれでも大分痩せたんですよ。「アイス・ストーム」観てみてください。「アイス~」のリッチは空気を入れ過ぎたダッチワイフのようですから(下品で申し訳ないですけど、最も的確に表現してみました)。映画の感想としては皆さんと一緒ということで、5点献上。 5点(2002-07-09 22:32:28) |
1766. シッピング・ニュース
単なる過去の出来事を「心の傷」と呼んで、いつまでもウジウジしている人達の物語(話的には「東京ラブストーリー」の後日談って感じでしょうか)。ラスト、主人公に「いつか癒されるのだろうか?」と問いかけられましたけど、こういうタイプの人はきっと死ぬまで生い立ち全てを引きずっていくと思います、というのが私の回答。自分の過去を気にしている人にとっては他人の過去への執着も自然な行為? とにかく登場人物全員がいつまで経ってもウジウジウジウジ、クライマックスもなく、観てるこっちは癒されるどころか気が滅入る。戦わなきゃ、現実と(役所広司談)。そんな訳で、Tバックまで披露してくれたケイト・ブランシェットとクリストファー・ヤングの音楽(これは癒される)に、5点献上。 5点(2002-07-09 22:31:33) |
1767. サンキュー、ボーイズ
若くしてできちゃった結婚してしまい、最初は浮かれてても、同級生達は進学したり遊んだり恋愛を楽しんだり…。それに比べて若夫婦の日常は安月給の貧乏生活、終わることのない家事育児の連続…。“based on a true story”、そう、どこにでもある話です。この主人公のように「志」を持っている人もいるでしょうし、地に足を着けてその生活の中に幸福を築いている家庭も多い筈。「あなたのために」と同じような内容ながら、こちらのダメ夫は最後に男気を見せてくれました。あと、ブリタニー・マーフィーが凄い女優になってました。6点献上。 6点(2002-07-09 22:30:17) |
1768. ヴィドック
このピトフという監督、案の定「ロスト・チルドレン」や「エイリアン4」等で特殊効果を担当していた方だそうです。丸っきり撮影・編集手法がそれら映画と同じだから、熱意や芸術性は感じられても新味は感じられない。おまけに話は無茶苦茶。雰囲気は「フロム・ヘル」っぽくもありますが、どっちかと言えば「13日の金曜日」に近いかも? ということで、好みではある映像・音響の作り込みに、4点献上。 4点(2002-07-07 00:42:14) |
1769. シュレック
これは面白い! 【びでおや】さんご指摘のように、むしろ酸いも甘いも噛み分けた大人の方がより楽しめる筈。「アンツ」ではジェフリー・カッツェンバーグの対抗意識が間違った方向に行ってしまったようでしたが、本作は違います。「毒にも薬にもならないお伽話」の痛快な逆説をベースに、ディズ○ー(ランド)の「夢の世界と呼ばれる異常性」と「究極の商業主義」を笑い飛ばし、更にはフィオナ姫の存在で、薹が立っても幼稚な現代女性への最高のパロディを展開。シュレックのキスで解けるのは魔女の呪いではなく、メディアに操られていた自らの呪縛。あばたもえくぼ。恋心に美醜も体重も関係ありません、勇気を出して自らの足で塔を降りましょう! ってことで、大満足の9点献上。 9点(2002-07-07 00:41:15)(良:1票) |
1770. メン・イン・ブラック2
ほとんどと言っていいほど前作を踏襲した作りで、安心して観ていくことができます。それに88分という短さでサクサク進行する映画なので、あっという間に終わってしまいます。印象としてはテレビの30分番組を観たような感じでしょうか。前作と比べて、よりコミックっぽさが増していて私的に笑えるシーンも増えてました(唐突に登場する噂のマイケル・ジャクソンも笑えます)。あくまでも暇つぶし映画でしかありませんが、前作よりも面白かったので6点献上。 6点(2002-06-28 19:52:56) |
1771. エボリューション
聞いてはいたけど、丸っきり「ゴーストバスターズ」と一緒。賑やかな画面とSFXで飽きはしませんが、いくら面白くてもこれじゃ楽しめない。しかしジュリアン・ムーアは益々艶っぽさに磨きが掛かってきましたね。何で未だにこんな映画に出演されているのでしょうか? 取りあえず「ゴーストバスターズ」未見の方のみにお薦めの、5点献上。 5点(2002-06-28 19:51:40) |
1772. 山の郵便配達
ここで描かれる郵便配達は日本で言えば「特定郵便局」。日本の特定郵便局長も世襲制の国家公務員。赤字を作っていながら税金を搾り取り、そこから作った献金という名の賄賂で自民党への影響力を行使している、公務員試験には絶対受からないであろう既得権益にまみれた人達です。そんな人達も半世紀前はこの映画のような感じだったのでしょうか? ここは一つ全国特定郵便局長会で、文部省特選ならぬ郵政事業庁特選映画として(自民党議員の下らない講演を取り止めて)是非上映して欲しいと思います。きっと薄汚れた心と黒く染まった腹の中を綺麗に洗い流してくれることでしょう。全然話は変わりますけど、この郵便父子、揃って超面食いですよねぇ。血は争えん、7点献上。 7点(2002-06-28 19:50:49)(良:1票) |
1773. 幻魔大戦
そう言えば観てるんですよね、この映画も…(当時は「ハルマゲドン」と発音してましたっけ)。とにかく大友克洋のキャラクター・デザインと東京の背景のリアルさがマッチしてました。話の方はスケールをでかくするだけでかくしてしまってあるので、後半はこういうまとめ方しかあり得ないでしょう。とか書きつつも、「残留思念!」という言葉と美輪明宏の声以外は全体的にうろ覚え…。なので取りあえずの所、5点献上。 5点(2002-06-28 19:49:37) |
1774. ノー・マンズ・ランド(2001)
コメディコメディした映画ではなく(笑えるシーンはそんなに多くありません)、状況設定と物語そのものが毒々しい風刺劇。内戦の原因を知る者は一人としていないであろう中で戦うボスニアとセルビア、硬直した官僚機構と成り果てて「事なかれ主義」を徹底する国連(軍)、視聴率と名声だけを追い求め「真実」には興味を無くしたジャーナリズム。“no man's land”というのは「中立地帯」という意味らしいですけど、むしろ「人でなしの世界」ともとれる内容です。そこは全てが愚かで無力な世界、我が国も他人事ではありません。憂国の7点献上。 7点(2002-06-06 00:18:26) |
1775. ハビタ/新種生命体
パーフェクトなB級SF映画、何とコメントしたら良いかも分かりません。とにかく全員キャラが立ちすぎていて別の意味で楽しめます。チェッキー・カリョもこんなことしてたんですね(感慨)。しかしローラ・ハリスちゃんは可愛らしい顔して必ず全裸で泳がないと気が済まないんでしょうか? 合わせて3名の女優さんの意味の無いトップレスが拝めました。観て損か得かは非常に微妙な線ながら、映画的には3点献上。 3点(2002-06-06 00:16:39) |
1776. プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角
この手の映画ってどれが本流でどれが亜流かも分かりません。老けた高校生が偏狭な価値観を振りかざし、どうでもいいことで騒いだ揚げ句プロムでキスして終了。アメリカ人って本当に馬鹿なんじゃないかって思ってしまいます(アメリカ人にとっての「男はつらいよ」みたいなもんなんでしょうか?)。ところで一世を風靡したモリー・リングウォルドってどうしてるんでしょう?(ちょっと前に「オフィス・キラー」で見かけたっけ) リース・ウィザースプーン、名前の感じが似てるだけに二の舞にならないように注意しろよ!と、警告を発しつつ3点献上。 3点(2002-06-06 00:15:14) |
1777. アリス(1990)
このタイトルは「不思議の国のアリス」に引っ掛けているんでしょうか(一応主人公の名前ですが…)。典型的ハイソな暮らしが描かれていますけど、やっぱりこういうクラスの人達って日本にもいるんでしょうねぇ。で、ミア・ファローの「少女性が残る中年」というのは確かにハマり役だと思いましたが、中身は世間知らずな上流階級の有閑マダムが垣間見る身勝手な妄想。はっきり言ってそんなものにつき合ってる暇はない、3点献上。 3点(2002-06-06 00:14:04) |
1778. すべてをあなたに
昨夜大失恋したばかりの女が翌日には別れた男の友人と何の前振りもないまま瞬時に恋に落ちるとゆー、元彼瞬間忘却症及び恋愛対象狭窄症的な展開が最後に待っていて一気に醒めた…。何度も書いていますけどアメリカの恋愛映画に於ける、その速度と対象の狭さ(若しくは手当たり次第感)には着いていけません。そこまではありきたりすぎる展開ながら音楽もいいし、結構カラッとしてるし、シャーリーズ・セロンが60年代ならではのアーパー・ブロンド・ギャルの役で出てるのが何より目を引く楽しい映画でした。ということで、5点献上。 5点(2002-06-06 00:13:17) |
1779. ディアボロス/悪魔の扉
これ、贅沢とゆーか勿体ないとゆーか…。依頼人に疑念を抱き真実を探る弁護士のサスペンス。良心の呵責に苦しむ男のドラマ。豊かさと引き替えの孤独から精神を病んでしまう女の悲劇。悪魔があらぬ所から世界を支配しようとするオカルト。それだけで一本の映画ができてしまいそうなテーマをいくつも詰め込み、満腹感もひとしお。どう転んでも悪魔には敵わない(人間はかくも弱い)というラストも良いと思います。しかしクライマックスの大演説は確かに原題通りだけど、もう少しコンパクトにできなかったんでしょうか? んで、7点献上。 7点(2002-06-06 00:12:23) |
1780. サンセット大通り
(ネタバレ注意) 今となっては特に目新しい題材ではなく目新しい作りでもありませんが(古~い映画に詳しい人は色々と楽しめるらしい)、ラストの三段落ちには正直唸った。ウイリアム・ホールデンが死ぬのは最初に分かっていること。そしてグロリア・スワンソンの狂気も最初から分かっていたこと。しかし、執事が監督になることによって狂気と哀愁が増幅されるラストになっていたとは! いみじくもカメラの前に立つスワンソンに、実はスワンソン以上に過去にしがみついていた執事が「アクション!」をかける。狂人が演出する狂人の演技、こりゃいくら何でもブラック過ぎる…(その他諸々、ビリー・ワイルダーって人は相当性格悪いのか?)。この映画、ただ事じゃ済まされません、9点献上。 9点(2002-06-06 00:11:27) |