161. 銀座化粧
40過ぎまで(失礼)こんな事してちゃだめよ。早くいい人見つけなきゃ。と香川京子に言っていながら、自らは、子供を生きがいにしっかり心を決めている田中絹代。悲壮感はない。「心の恋人」と香川の意外な成り行きに、最初は裏切られたような嫉妬らしき態度をとっていたが、理由を聞けば、すぐに祝福する。銀座に生きる自立した女の真っすぐな心か。やっぱり田中さんにして良かった。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-09-24 17:00:25) |
162. 晩菊
昔の売れっ子芸者達が、年食ってから生きていく様が、時にシリアスに、時にコミカルに描かれている。杉村春子が昔の恋人に会うときのハシャギぶりと、実際会ってみると、すぐに現実の冷めた感情に戻る描写の落差に、何とも言えず苦笑いしてしまう。それはまるで、映画館へ向かう途中の期待に胸を膨らましている感じと、その映画が期待どおりではなく途中冷静に評価している感じだ。まあ、思い出は思い出で止めておくのが良い。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-23 23:06:01)(良:1票) |
163. 乙女ごころ三人姉妹
《ネタバレ》 イニシャルKさん、すみません、先に投稿して。三姉妹の真ん中の姉が、自らの幸福など考えず、気丈に、横暴な母親と姉妹や弟子の間に入り彼女らのためにつくす姿が涙をさそう。後半、サスペンス風の展開になる所なんか予想してなかったんで思わず引き込まれてしまいました。長姉が病気の夫と田舎へ行く資金を得るため昔の知り合いのワルに依頼し、ワルがお金を奪うのが妹の恋人からなんですね。それを知るのは真ん中の姉のみ。辛いところです。自らも傷つき力つきんとする最後の終わり方が良いですねえ。全編を通して女性の細やかな心理がほんとに伝わってきますね。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-09-23 15:06:04) |
164. 男はつらいよ 寅次郎忘れな草
寅さんのマドンナNO1登場。最後の唐突な結婚がなければ満点なんだがなあ。せめて石坂浩二がだんな役でもいいのに。リリーとの出会い、不幸な母親との会話、初恋の人だと言う告白、とらやに泊まったときの寅の張り切り様と、これぞ寅さん映画ですよねえ。リリーは浅丘さんのハマリ役でもあるんです。リリーが主役の作品作れそうですけどね。どうすか? [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-09-20 23:29:00) |
165. 浮雲(1955)
あの戦争の敗戦によって、ほとんどの日本人が人生をリセットされたんでしょうね。上手く切り替えた人や逆に水を得た魚になった人だけじゃなかったのもわかります。ただ、それは一つのきっかけであって、原因とは言えないんだろうな。どんな時代にも自分の明日を描けない人はいますからね。とは言え、時代背景としては戦後の混乱期は設定にはぴったりですね。登場人物たちの表情が皆暗く、敗戦の負の部分を象徴するような映像が続くのが辛いですね。お互いを必要としているのに、一緒にいても満たされない辛さが伝わってくるなあ。その後、彼はどうしたんだろう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-20 12:58:27) |
166. ハメット
雰囲気と映像は好きだなあ。しかし何かが足を引っ張っている。例えば、森を描くのに、木の枝葉や見えない根まで精密に再現しているんだけど、森全体では統一とれてないみたいな感じ。たぶん、ものすごいハード・ボイルドおたくが数名スタッフにいるんだろうな。映画全体なんかまったく考えず、自分の世界だけ異様に強調しているような。他のスタッフがあっ気に取られてる様子が画面から手に取るように感じます。あ、これはうそです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-19 23:05:11) |
167. 三十三間堂・通し矢物語
う~ん、やっぱり田中絹代にします。すみません五十鈴さん。私は何を言っているんだろう?長谷川一夫がかっこいいなあ。徐々に明らかになる人間関係と勝負の時を迎える盛り上がり。展開が絶妙です。後を引かないでさらっと終わるラスト。しかし鮮烈な印象。丁寧な描写が光る名作だ。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-09-19 00:37:58) |
168. 山の音
川端文学の本筋は、こうした人間の心の奥に潜む堕落した欲求と理性との絶妙なバランスの危うさにあると思うんです。間違っていると言われる予感も多少ありますが。それはともかく、原節子の美しさ、というより清純さ、じゃなくて、ああいう感じは(ぴったしの言葉が浮かばない)、今の女優には無い独特のオーラを感じます。私だったら、戦争未亡人の世間ズレした美人よりは、子供だと悪口言われても、素直さと芯の強さを持った大柄(?)な妻を取りますね。え?お前ならどうするかなんか興味ない?そう言われる予感もしました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-19 00:26:55) |
169. 歌行燈(1943)
成瀬作品は文芸作品が光っています。これも名作ですね。因果が巡る必然と偶然のバランスが心地よい印象を残します。芸の道の厳しさと、素直に受け入れて耐える主人公が健気で、日本の伝統的美学によって輝いています。山田五十鈴は日本人形そのままですね。気品のある作品だ。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-09-18 14:06:35) |
170. 鶴八鶴次郎(1938)
弟子入り志願の娘(ボケぶりが笑える)を嫁に貰うという嘘を鶴次郎が言うときの鶴八の無神経な対応(内心は違っていた)や、ドサ周りで苦労したあとの鶴次郎の成長ぶりなんかは良かったですね。そして最後の喧嘩を売る場面とその理由の告白はグッと来ました。見方によっては自慢げに語っているような感じもしたけど、鶴八に対する愛を確かめているのだ、未練を断ち切るため自分へ言い聞かせているのだ、と思えば、許せますね。男を頼るしかない女ではなく、竹を割ったような性格の鶴八だから、よけい終わり方が秀逸に感じます。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-09-18 00:21:25) |
171. 妻(1953)
妻としては、愛人を作って自分だけ幸せになる夫が許せないし、別れる訳にはいかないという気持ちですか。しかし、夫にしてみれば、せんべいをボリボリ食べる色気のない女より、けな気に息子を育てながら、仕事も趣味も一生懸命で気配りもする女に、つい気持ちが行くのが、人情というものなんですよね。ごたごたはあっても、法的には妻が有利(?)であるから、まあ、収まるところに落ち着くのかなあ。三國連太郎が良い味出してます。結婚って、何なんですかね。今更ながら考えてしまいます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-14 23:22:28) |
172. めし
原節子のイメージが、若干変わりました。奥さんらしい態度、嫉妬に小言。なるほど、美人で他人から見るとうらやましがられる夫婦でも、こういう感じなんですね。この歳になるとわかるなあ。これが夫婦生活なんですね。最後は良い方向に向かっているけど、また繰り返すような感じもしました。まあ、それでも生きていかなければ、という事なんだろうな。「おい、腹減ったな。めし」って、言ってみたい。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-13 23:38:27) |
173. 妻よ薔薇のやうに
これは名作ですねえ。女性の細やかな心理が見事に表現されている。何不自由ないOLの日常から、母のために妾のもとの父を訪ね、その家族に同情しつつも、やはり家族を第一に考えてと、揺れ動く主人公の心情が、彼女とかかわる脇役達との会話や表情を通して、すーと心に入ってくるのだ。しかも悲壮感や暗さが全くない。昭和10年頃という時代は、戦争、軍国主義、不況などと、暗いイメージしかないけれど、これは戦後に作られた間違った決め付けなのかもしれない。こんなに人々が生き生きとして、精神的に豊な時代だったとは。もしかしたら、昭和10年代って、日本人が今よりずっと輝いていた時代なのかも知れない。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-09-12 23:56:48) |
174. 男はつらいよ 寅次郎夢枕
ほんとに惜しいなあ。バカだねえ、まったく。マドンナのプロポーズを断っちゃうなんて。なかなかお似合いなカップルになったろうになあ。りりーの時と同じぐらい惜しい。女心の分からないシャイな奴だ。一回ぐらい清水の舞台から飛び降りろ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-11 17:15:03) |
175. アウトサイダー(1983)
主題歌が良いですね。Sワンダーの歌声を聴いているだけで名画の雰囲気になってします。冒頭は「風と共に~」を彷彿させるようで、全体的には「ウェストサイド~」の構成だし、決闘シーンの雷雨は「七人の~」を思い出してしまう。と言っても、タイトルが右から左へ流れたら皆「風と~」に似ているのか?不良少年がけんかしたら皆「ウェスト~」の真似か?突然雨が降ったら皆「七人の~」のパクリか?と自分で反省。たしかに、そんな事言ったら、どの作品もケチが付いてしまう。気分を変えて、けっこう好きな作品ではある。伝統的なアメリカの青春映画と言える。あ、それと、突然火事に出くわし、取り残された子供を助けるのは「猿人ジョーヤング」そっくり。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-07 23:28:25) |
176. 男はつらいよ 柴又慕情
冒頭の夢のシーンが味があってなかなか良い。偶然に偶然が重なって進んでいくストーリーも、そこがないと喜劇にならないから、不思議に許せる雰囲気になってしまう。すれ違いでイライラさせちゃいけない。まさかぁ~ハハハ。っと言ってもらわないと成功しないからね。吉永小百合は当時アイドルですよね。結婚とか恋愛とかピンと来ないイメージだなあ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-05 23:37:51) |
177. 男はつらいよ 寅次郎恋歌
見ている誰もがマドンナが子連れの独身である事が前提なのに、「でも、その人が何で後家さんだって解ったんだ?」という突っ込みは、絶妙です。たこ社長、上手い。池内さんのイメージは、奥さんよりお母さんです。この喫茶店の作りは、ほんと、スナックですね。食堂やラーメン屋なんかもあるかな。喫茶店には見えない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-30 23:03:09) |
178. 猫の恩返し
ふーん、エサを1回あげただけで恩返しされる人がいるんだ。良いなあ。毎日エサあげて、トイレも時々取り替えて、一緒に寝て、それに、・・・おい、起きろ、こら。 [地上波(字幕)] 6点(2005-08-27 00:08:45)(笑:1票) |
179. 男はつらいよ 奮闘篇
青森に始まって青森で終わる珍しい構成ですよね。集団就職列車って時代を感じるよなあ。相変わらず寅の勘違い、感覚のズレが笑いを誘うけど、さくらのまともな感覚はほっとする。このマドンナは珍しいですよね。フラれた訳でもないし、一方的な片思いではない。青森まで追いかけていって、幸せなら安心して身を引くって、ほのぼのとする話だよなあ。顔で笑って心で泣けか。すぐ忘れるのは寅さんらしい。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-22 18:42:47)(良:1票) |
180. 男はつらいよ 純情篇
森繁さんとのからみはなかなか味があった。たこ社長の家の様子も面白い。子供が4人っていうのが、しかも小さな子もいるし。後に出てくるリリーみたいに一緒になって欲しいと思えるようなマドンナってあまりいないですね。この若尾さんも生活感がない分、当然寅とは似合っていない。最初から浮いてる分、先が見えてて、さくらの一生懸命兄を思う気持ちなんかと相容れない感じだなあ。一方、さくらの存在は良いですね。倍賞さんはぴったりだ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-08-15 08:37:23) |