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黒猫クックさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 791
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自己紹介 猫と一緒に映画を見ていると、ヤツらは私より先にコイツはクソ映画だというのを察知します。ストーリー展開や伏線回収が怪しくなってくると席を立ってしまうのです。だけどそんなおっちょこちょいな映画にだって良いところはいっぱいあるんですよ。
猫のヤツらは冷酷です。

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161.  インビジブル(2000) 《ネタバレ》 
 ヴァーホーベン様のアメリカでのキャリアにとどめを刺したな。今思えば。
[DVD(吹替)] 6点(2012-11-01 04:04:02)
162.  七人のおたく cult seven
 80年代の香りが色濃く残る。この香りを嗅ぐと何故か切なくなるのだ。
[地上波(邦画)] 5点(2012-11-01 03:56:23)
163.  スーパーマリオ/魔界帝国の女神 《ネタバレ》 
 紙以外の他媒体の映画化は止めた方が良い。紙も字以外の媒体からはよほどの覚悟をした方が良い。そう言う見本だったと思う。
[地上波(吹替)] 3点(2012-11-01 03:46:49)
164.  ドラゴン・キングダム 《ネタバレ》 
 ジャッキーとリーリンチェイがワイヤーアクションするという事件にお腹いっぱい満足です。
[DVD(吹替)] 6点(2012-11-01 03:37:41)
165.  ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ! 《ネタバレ》 
全く面白くない。ファンじゃないし、なんでわざわざ神格化のお手伝いをしなきゃいけないのやら分かろうという気になれない。ありがたくも何ともない。  古文書をありがたがる気持ちは分かるけど、リンキンのライブビデオを絶叫しながら嗜む方が時間的には有意義。
[DVD(字幕なし「原語」)] 3点(2012-11-01 03:29:10)
166.  ラストサマー 《ネタバレ》 
 90年代後半という時代は、マーケティングの時代だった。地球上の誰もがマーケティングという言葉に踊らされて、自分自身いったいなにを踊っているのかよく分からないのに、「いや待て待て落ち着け。落ち着いたらもう一度踊ろう」そんな世界観で色々世の中が動いていたように思う。  80年代であれば考えずに死ぬまで踊り続ける所だが、少しだけ思慮深くなった90年代である。一休みして、分析。そしてその分析が一意で自分勝手で商業的なのだった。   この映画を見た瞬間、もうマーケティングとテンプレートの賜物で、つぎはぎの神様がいらっしゃったらさぞ祝福したもうたんだろうなきっと、と妙に深く感心したりして。 1 何か知らんが学生の男女 2 催しで騒いで事件 3 秘密を共有 4 脅される これがジュベナイルのサスペンス的な鉄則だとして、 1 行かなきゃ良いのに行く 2 同情できない主人公 3 セックスアピールの強い犠牲者 4 無関係な犠牲者 5 殺しても殺せない殺人鬼  この辺がスプラッターのセオリー。  これに事故の実態と作者なりのどんでん返しをくっつけて、更に主要人物を6人に絞り内二人を殺したり人違いにしたりしてリタイアさせて話を分かりやすくしている。更にやな嫌なヤツ度の高い順に殺して、現実的な職に就職した人は描写しないという気配りまで散りばめている。この辺に創作性を主張しようとする90年代マーケッターの矜持を見た。良い仕事をしている。   しかし本編が全然面白くないのに、面白く見させるという事に成功してるんだからこれでも良いんじゃないかとちょっと思ってしまうのである。
[DVD(吹替)] 4点(2012-11-01 00:49:05)(良:2票)
167.  チャイナ・シンドローム 《ネタバレ》 
 この秀作は、エンディングでメルトダウンを起こさせないことで味わいを一つ高めている。作り手なら最後の最後で「やっぱ、爆発させちゃおうか。やっちゃう?」と言う誘惑に閉じ込められてしまうだろうけど、最後にやった。「スクープすっぱ抜く」王道で締めた!  凄い。ちょっと特殊効果を使ったり、いきなりエンドロールにすれば対費用効果抜群である。何にも考えないでみんなが望むバッドエンドで問題意識を高めてやれば良い。原発怖いで大成功。  しかし、この後下手にSFにしなかったおかげで得られた効果はそれ以上である。どうなるか予測も付かない、まだ誰も見たことも無い原発崩壊劇をちまちまやるよりも、それを受け手に想像させることと議論させた。これ以上の成果はそうそう得られない。  インパクトと引き替えに残された成果は四半世紀を経てもピカピカ残るだろう。実際に、広島10発じゃきかない威力のチェルノブイリ何発分にも及ぶ銀河系有史以来最悪の人的事故をリアルタイムで見届けた我々が見ても、十二分に納得のいく作りになっている。   原発を日本で作った人たちに言わせれば「俺達が凄く適当に考えた事故が起こらない様に、凄く適当に原発を作る」である。外観上それっぽい人工的な嘘の基準で作られたシステムを載せているが、技術者の予定通りにバッチリ事故が起きた。  実際の事故では「俺達が勝手に考えた」基準には入っていない事しか起こらない。そんな危ない想定は、作るとき考えたらプロジェクトが止まるという理由で技術者がしっかり把握の上バッチリ刎ねている。  まるで旧日本軍である。誰でも分かるけど負ける要素を考えたらなにも出来ないから死んでこいだ。 原発が爆発する設計を直そうとすると今まずいから爆発したときまずきゃ良いである。  原発が爆発するとどうなるのかバッチリ解る今、原発事故で死んだり困る人より自分の月収の方が大事、という人間達の生態を二時間で俯瞰できるのだ。  そしてこの映画の結末は現在、二つの分岐を持つようになった。事故らないと言う正規ルートと、爆発が起こると言う最悪のルート。最悪のルートは地球に生きていれば、どんな特殊効果も及ばない原発が爆発する映像を思い出して、雨水のたまる場所に放射線計測器を持って行くだけで自分の身で体験できる。   この映画は、作った人が思いもよらない効果が実装され2011年三月に完成に至った。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2012-10-29 04:50:18)
168.  アルティメット 《ネタバレ》 
アクションで魅せる。これにつきる。 時間も小一時間っていうところ。この辺は巧い。 でも、終始漂うテンプレート感には正直戸惑った。ああ、すんごいベッソンな映画だと。 レンタルでサクッと楽しむには非常に良く出来てると思う。侮れない。
[DVD(吹替)] 5点(2012-10-29 03:55:04)
169.  アイアンマン2 《ネタバレ》 
壮大な番宣を見せられた気がする。
[DVD(吹替)] 6点(2012-10-26 03:34:34)(良:1票)
170.  旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ 《ネタバレ》 
 物すんごく可も無く不可も無く。演出とか画調は好きだけど、ストーリー仕立てにした部分が解決しているように感じられず、結果としてあまり感情移入を出来なかった。  なんだか勿体ない映画だ。
[地上波(邦画)] 5点(2012-10-22 05:58:49)
171.  007/サンダーボール作戦 《ネタバレ》 
 まずくないんだけど、間違いなく美味しくない中華定食屋「悟空」それが僕ら一味だけの学食みたいな物だった。カルキの味がしっかりするコップの中身とか、明らかにペタペタするテーブル。夏場は小さくて長細いゴキブリに似た虫が闊歩する店だ。後にその虫がチャバネゴキブリという立派なゴキブリである事を知って卒倒したのもここ。  一味の一人、ニッキーは特殊能力でラーメン屋の外観を見るだけでその店が旨いかどうかを完璧に当てることが出来、僕らは都内のあらゆる所でネットに載っていない旨いラーメンを掘り当てることに困ったことはなかった。ところが、ニッキーはこの薄汚い「悟空」が大好きで、その影響から僕らの作戦会議はいつもここで行われていたわけだ。どこか他所の旨いラーメンを喰ってから学校に戻って、本物の学食でだべれば良いのに、何故かここ「悟空」。   最近、サンダーボール作戦を見て思わず感傷に胸が切なくなったりした。子供の頃から何度も観たこの作品。作品って言って良いレベルかどうか判然としないくらいいい加減で、金は掛かっているけどチープで、突然エロティックで、ゆるいアクションで大団円。これを一言で言うと007な訳だが、僕はこの味わいが大好きだ。猫が膝に乗って動かないからトイレに行きたくても行かれないようなもどかしさが好きだ。腹が立たない微妙なラインなのである。   この店のアルバイターだった女の子の顔がはっきりと思い出せないのだけれど、一味の一人が彼女のことを好きになってしまった。割烹着を着た彼女と彼の話している姿は青春しちゃっている大学生そのもので、ゆるくて暖かい時間が流れていった。それがどう言うわけか頭によぎる。  なんだろう、実はあの娘は既婚女性で、そのことを知った時のアイツの魂の抜け方なんかの間抜けさなんかも、そのことをあの娘から伝えて欲しいと頼まれたときの面倒くささなんかも、やっぱり青春だったのかもしれない。   どうでも良い緩さと、それでも程々に事件やサスペンスが起こって、これでいいんだっけ?という終わり方をする007が大好きな僕は、やっぱりそう言うものに似た味わいの昔が忘れられないのかもしれない。  って、こんな事を急に思い出して、突然自分が死んだりしないかと自分が恐ろしくなってみたりする。
[地上波(吹替)] 5点(2012-10-22 05:51:52)
172.  太平洋ひとりぼっち
 暗い森を抜ける道で、ふと惑う。この道は果たして向かう場所につながっているのだろうか。地方都市で高速道路を降りて、近道をしようと山道に入る。入念に下調べをしたつもりだったが、その道筋ではなくふと記憶に残っていた筋を選んだ。記憶の脇の方にブラブラと垂れ下がっていたそれを何となく選んだのは、ちょっとした冒険心だったのだが良くなかった。  正解の道筋でさえ数時間かかる道と大差ない程度の近道だったその山道は、暗く曲がりくねっていて木の枝がちらほらと落ちてさえいたが、幸い舗装はされていた。  分岐する小道は時折現れ、もしかして今、曲がるべきだったのではと考えるとハンドルが湿ってくるのだった。  当然の如くガソリンスタンドなどはなく、コンビニも民家もない。もしガソリンがなくなったらと冷や汗をかくが、メーターを観て安心する。   20世紀末に都内から地方都市に向かってこれだ。半世紀前に日本からサンフランシスコに向かうなどと言う大冒険の恐ろしさはただ事ではなかっただろう。劇中で起こったトラブルなど実際はその程度の恐怖感ではなかったはずだ。何しろ木造のヨットで62年に太平洋横断である。敬意を表するどころの話ではない。   私などは、夜遅くになって着いてみれば予定時刻より10分前にきっちりと目標を達せていた。漂流した気分になっているだけで、国交省の敷いたインフラを利用していたに過ぎないのであった。   今、もう一度同じ道を同じ時間に走ったとしても、何の恐怖もない。全く道が分からなくても、風景が同じでもだ。ナビがきっちり目的地まで連れて行ってくれる。
[地上波(邦画)] 7点(2012-10-20 14:34:32)
173.  ロビン・フッド(1991・ケビン・レイノルズ監督作品) 《ネタバレ》 
絶妙のアレンジで、名優をそつなく使う難しいことをさらっとやっているあたりに90年代の妙がある。 至る所で結構評判が良いはずだが、日本だけメディア主導のこき下ろしが行われてた様な気がする。今でも昔を懐かしんでか、当時の雑誌が書き散らかしていた人造毒舌を楽しむ人が多いのも特徴か。 共産主義国家のデマゴーグのように、そう思わないといけない空気が客にまで蔓延してたのを思い出す。雑誌に面白いって書いてないと面白いって言っちゃいけない空気が間違いなく未だに残ってる、この社会には。矯激な任意で形成された英語圏との隔絶されたネット空間ではそれが根強く残ってる。  昔の中国が作り出した反米管理社会SFのような現象も含めて、この時代の映画は面白い。
[ビデオ(吹替)] 7点(2012-09-17 17:35:40)
174.  アルマゲドン(1998) 《ネタバレ》 
 この映画は結構好きなのだ。なんかやってやるぜという感じになる。だが、おいらのおっかちゃんは時々ちらちらテレビに映ってるブルースを眺めては、ほほえんでいた。あげく、言ってはいけない一言を言ってしまった。  「この人今度はずっと掘ってるけどよおく飽きないわあ、頑張ってね」   などと、捨て台詞を吐いて家事に戻っていくのであった。だからぁあ、そう言うことは言っちゃ駄目、あんたの息子凄く感動してんだからさ。アーア。
[地上波(吹替)] 7点(2012-09-17 09:29:10)
175.  マチェーテ 《ネタバレ》 
 恐ろしいんだ。僕の内側にある、この出来事に対する許容線はもうギリギリまでたまっている。この容量を超えたら僕は僕では無くなってしまう。  セガール様が怪しい正義の味方であるはずの、なんつうか見た目からしてそんなわけネエだろという心地よさが無いのでは、僕の心は持つわけがない。だが、セガール様はみんなの想像の埒外で胡散臭さに塗れた朗笑を、止めなかった。   マチェーテが一本の映画になって現れることにも驚きがないわけではないのだが、それを超えて僕らを驚かせてくれたこの映画は、謎と恐怖に充ち満ち溢れている。じゃぁどうやって戦わすんだと。どうやってマチェーテを勝たせるんだと。   だがしかしそして結局、最終的に、セガール様死んどるやんけ。このラストバトルのアホさ加減には世界中があきれるはずだったが、洋の東西を問わず拍手喝采だったのだろう、Imdbでも7点弱である。で僕の中のセガールラインを超えてしまった驚きは、僕を打ち壊してしまった。この後死んどるデニーロとかもうどうでもいい位の衝撃的な出来事だった。   一騎打ちでセガールが死んでもうとる。もうこれは……恐ろしいことなんだ。  原発が爆発する前で良かった。こんなに馬鹿馬鹿しくて世間様が許してくれるわけがない。
[DVD(吹替)] 8点(2012-09-17 09:25:29)
176.  Mr.インクレディブル 《ネタバレ》 
「俺の能力は」ニッキーは突然語り出す。大学の食堂で彼は、僕に衝撃的な事実を語り出す。能力て。いったい何なんだ、空でも飛ぶのかよ、実は夜の横浜がホームグラウンドの自警団でもやってるのか。イヤイヤまて、落ち着け。これでも喰って落ち着け、とプラスチックの器を引きずって差し出す僕は学食の名物丼を勧めながら、変な宗教に手を出したのかと心配になったことを悟られないよう、実は自分を落ち着かせたのだった。 「ラーメンが旨いかどうかを店構えで判別することが出来るんだ」  出来るんだ。じゃねーダロ。相当な可能性を秘めた十代最後の僕らは、今、ラーメンが旨いかどうかという特殊能力の話できっちり小一時間無駄にしている。   まだ貿易センタービルが建ってたこの時代は、情報の伝播速度は高速化されたとか言いつつ、今では考えられないようなデザインのHPしか存在しない世界だ。学生の僕らはそんな時代の情報能力を駆使し、しまくって都内のあらゆるラーメン屋を踏破したわけだ。実に贅沢な時間を過ごしてしまったことを実は少し後悔していたりもするのだが。  ニッキーの能力、「ラーメンが旨いかどうかを店構えで判別する」特殊能力。これは、正直驚いた。あらゆるラーメン屋でその能力は遺憾なく発揮され、百発百中だったのだ。   Mr.インクレディブルはかつての異能者で、実際は今も異能者である事には変わりないのだが、異能者であるという様態を社会的には許されていない立場に居たわけだ。様々な逆説的な、ドラマチックな紆余曲折を経ることでそれを発揮しても良いという舞台を得ることが出来た。彼は幸せもんだ。  ところがニッキーは能力を失ってしまうのだった。期末考査の朝、彼はクソ暑い中苦々しく洩らした。 「あの能力が昨日消えてしまったんだ」  悲しげな目を僕に向ける彼だった。好きな子が出来て他のことが考えられなくなってからこうなったとかだが、深刻な彼に僕はアドバイスをした。 「あのな、そんな能力全く役に立たないぞ。確かに凄いんだけど勉強したらすぐ別の能力身につくから安心しろ」  この後彼はコツコツ努力という能力を手に入れるわけだが、ニッキーは今でもラーメン屋の店先を見るたび空白感と好きだったあの子のことを思い出すのだった。    これだけの特殊能力があっても、ハリウッドのヒーローくらいの特別な能力がなければ、話が落ちない。現実は無慈悲だ。
[地上波(吹替)] 8点(2012-09-15 01:29:05)
177.  ヒドゥン(1987) 《ネタバレ》 
 大好きな従兄は六つ年上だった。近所に住んでいた彼は良く一緒に遊んでくれた。ファミリーコンピュータを教えてくれたのもニイだ。江戸時代や縄文時代の遊具と何ら変わらない古代の記号性を持つ電子デバイスが僕の心を釘付けにしたのはもうとんでもない昔のことになる。   中学生にもなるとニイは遊んでくれる時間が減ってきたが、駄菓子屋で乙な組み合わせだとか、正しいゴルゴの読み方などのあまり役に立たないがキラキラした物を僕に植え付け続けた。曰く 「世の中を生き抜くには粋さ加減じゃん?」   だけど、進学校に行く事を知って最初の夏を迎えると、あまり遊ばなくなってしまった。代わりにニイと一緒にいるようになったのはニイと同じ高校に進んだネエと呼んでいた僕の、というか僕たちのはとこだ。  言っておくが彼女は僕らのヘプバーンである。この夏から僕らは最大最強の敵対勢力として相対する事になった。  実は、僕ら三人はかなり一緒に居たのだけど、断じてニイと僕は遊んでは居ない。最大の敵同士というのはそう言う物だ。とにかくケチをつけ合うのだった。   逆襲されると嘘泣きしながらネエに抱きついたりする訳だ。  「よしよし、ニイちゃん乱暴でちっとも粋じゃないじゃんねー」  と、 僕は、完膚無きまでにたたきつぶしてご満悦のつもりだった。  でもそんな日々はたった二年半しか続かなかった。彼らは高校を卒業すると横浜に行ってしまった。一人残された僕は、同級生との遊びの中で、ふと彼らの「粋」を時々思い出してはちょっと切なくなったりした。    僕ら三人の友情は何故か日曜洋画劇場で結ばれており、何度も放映されるヒドゥンを見ては、最後にしびれるだの、ギャラガー様がカッコ良すぎるだの、でも寄生虫は気持ち悪いだのと夜中までうるさくしゃべっては、夜中にうるさいと怒られたりもした。  そんな日々が無くなってしまった寂しい中学生が気づくのは何年も後。 「何で湘南の実家から、横浜の学校に行くのに独り暮らししてんだよ。ちっくっしょお」  完全に騙されていたのだった。ニイとネエはこの頃完全にデキており、子供の僕に切ない雰囲気の別れをでっちあげた上で学校の近所に引っ越していただけであった。   ちなみに今このことを言うと、「いや、君は全く純情であった」と、ニヤニヤする従兄の横で悪びれないネエが言い放つのであった。  全くのヒドゥンである。
[地上波(字幕)] 8点(2012-09-09 21:41:24)(良:2票)
178.  ダークナイト ライジング 《ネタバレ》 
 その日、目を疑うような事件がテレビの中で起こっていた。冗談であるに決まっている、あるいはある意味でショウなんだろうと、心をだました。とぐろを巻く恐怖感が与える生々しさはしかし、現実にしか見えなかった。  あの人達は次々と、死んでいる。間違いない、死んでいる。画面に映る慈悲を乞うあの人も、絶望に包まれながら落下していくあの人も。確かな死をブラウン管が伝えている。 「この国には起きないだろうけど可能性はあるよね」なんて、時間がたつと有識者みたいなことを誰もが口走る。  十年前、誰の想像も及ばないこの事件が地球の裏側で起こって、僕も全ての人と同じように為す術が無いその瞬間をテレビで見つめ、眺めてため息をついた。   21世紀になった瞬間、負のパラダイムシフトを経験した世の中はずいぶん変わってしまった。暗くなった世の中で、事件や災害は絶えなかった。  その内に僕の側から離れて行ってしまったあの人も、猫も、風景も、何の手も打たないまま、記憶になっていく。 「将来に向けて頑張って行かなきゃね」なんていう冗談めかしたやりとりも、現実だったその時と一緒に作り物のような塊になって、心のどこかに転がっている。  もし、時間も、手放した何かも帰って来てもきっと今のこの世界にはなじまないのだろう。違和感を拭わないで放っておいてしまう僕はきっともう一度それを失ってしまうのだと思う。   ダークナイトで英雄という像のパラダイムを変えられてしまった僕たち受け手は、変わってしまった新しいパラダイムの中で新しい評価基準を植え付けられ、そして自分の中でも作り出してしまった。  少し複雑な主人公の事情と難しい危機が振りかけられたキラキラしたストーリーが、今では決して主流でも定理でもなくなってしまった。  この世界で、そんな以前の様な様式の新しいダークナイトを見たとき、僕は引っかかりを感じた。この10年間の間に僕から離れていった様々な物と同じ悲しさが、同じ違和感を作り出している。少し切なくなった。  膝の上で喉を鳴らす猫も、後ろ姿しか記憶にない彼女ももう居ない。少々のつじつまなど気にせずに目まぐるしく場面が飛んでしまう、出来の良いこのアクション映画を素直に楽しめる僕ももう居ないんだ。と思う。   で、昼間に何分か追いかけている内に真っ暗になる、中東から裸足で歩って帰れるゴッサムシティ。うん、まあいいか。
[映画館(字幕)] 9点(2012-07-28 16:51:47)(笑:1票)
179.  パラノーマル・アクティビティ2 《ネタバレ》 
 何年か前の事だ。恐ろしい出来事だった。 突然訪ねて来た元クラスメートと過ごした夕食の後、何か運命的な気持ちの中、彼女と不自然な会話が始まった。何かおかしい。  彼女が呼び鈴を鳴らしたのは、午後にお茶でも飲むような頃だった。  「最近どう?」だとか、「原君は相変わらず悪い」だの落ちのない彼女の話をいちいち深く共感している体で、彼女の笑う顔を眺めている。  僕が慇懃にこの終わりが見えそうもないおしゃべりを聞いているのは、彼女がクラスの中で目立たなくても少しかわいい部類だったからで、それは目の前の顔とあまり変わらない。中学生を卒業してもう七年たつというのに。  そもそも何故都下の大学生で、一人暮らしをしている僕の部屋に彼女がやってきたのか。いかがわしい期待とかシンプルな恋の期待に視線が色々飛ぶ。  会いたくて君のお母さんに住所聞いて来ちゃった、などと言われたらヤバい。ヤバいのにそんなことを彼女はさらっと言う。その後はドキドキと昔話が二人の間を踊った。  会話の中僕は覚悟を決めて「夕ご飯食べてかない?」と言ってみると、ありがとうと笑いながら応じてくれた。退屈な日常が急に明るくなった。   そうやって過ごして、翌日の講義が心配になる頃「また会おうよ」と期待を込めて言うと、彼女は突然「ちょっと待ってて」と外に出て行ってしまった。しばらくして帰ってくるとホワイトボードを抱えていたのだった。  近所の駐車場に車を置いてきていたらしいのだが、いや待て何か変だろ。謎のカタログを渡されて謎の相関図を書く彼女を見つめている。  強い視線で彼女は言う。 「良い品物ばかりだから。君が友達に売れば売るほど豊になれるよ」それでランクが上がってくんだと彼女は細かい説明を始めた。  翌日の昼まで説明はループして、いくのだった。  僕の久しぶりの恋はわずか八時間で終わって、その後は延々とネズミ講の勧誘である。   パラノーマルアクティビティを手に取ったのは、少し面白かった前作の隣に置いてあった続編がたまたま目に入ったから。仄かな期待と、それが豪快になし崩しになったとき、彼女と彼女のホワイトボードが現れる。頼んでないのに。  こう言う続編があんまり面白くないのが作法であるように、僕にこんな形で恋が転がり込んでくるはずが無く、一瞬で気づくべきだったのだ。   ○○○●イ怖い。超怖い。
[DVD(字幕なし「原語」)] 4点(2012-07-21 13:55:19)
180.  プレデター2 《ネタバレ》 
 通路の天井が流れる。蛍光灯が時々通り過ぎると、天井の継ぎ目が何本かまた流れる。仰向けの僕の下を流れるリノリウムと、もしかしたらそう感じた印象だけの問題かもしれない薄暗い通路の天井は同じ速度で、常に平行に僕の背中と目の前を流れていく。  やっとたどり着いた扉が開くと、どう言う手順でそうなったのか分からないが、白衣の男性が僕に点滴やら注射やらを行う。痛くないか、眠くなってきた?等と聞かれた覚えがあるけど、そうでもないですよと答えた瞬間から後の記憶は全く無い。   誰も見舞いに来なかった病室で目を覚ますと、綺麗な看護婦さんが僕を優しく見つめた。痛みを気遣う彼女は我慢しないで薬を使った方が良いよ、と言ってくれた。こんな風に優しくされたのはいつが最後だろう。 「それじゃお願いします」と返すと急に苦しくなった。とてつもない痛みが僕の中からやってきた。僕の中にあったかつて僕だったものが永遠になくなって、そこには何も残っていないはずなのにとんでもない量の痛みが代わりに詰め込んである。それを薬でなかったことにして、やり過ごす。これからしばらくずっとそんな日が続くのかと思うと、目が覚めなくても良かったんじゃないかと思った。   それでも数日して痛みが引いてくる頃、窓から見える桜が緑に揺れるのを眺めながら、それまで消えて欲しいと思っていたものが無くなってくると、僕の中身がとうとう無くなってしまった様な感覚に溺れる。痛みすら入っていないんだ。そう思うと涙が止まらなくなってしまった。   優しくない日常の中にあの病室の日々がよみがえることがある。  そして何度もよぎるのは忘れられない手術の日の事。薬をお願いして、痛み止めを持ってやってきたのは別の看護婦さんだったのだけど、いや、よく考えると同じ人物を違うフィルターで眺めていたのかもしれない。あのときの看護婦さんの顔を見てプレデター2を思い出してしまったのだ。  もちろんプレデター2をテレビ放送で見かけると、獰猛な笑顔で座薬を手に持つあの看護婦さんが激しくまぶたの裏に現れる。  完全に表裏一体になってしまった彼女たちを思い出すと、僕の中から無くなった僕の部品を思い出すんだ。
[地上波(吹替)] 6点(2012-06-23 02:23:26)
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