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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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161.  さとうきび畑の唄〈TVM〉 《ネタバレ》 
森山良子氏の著名な持ち歌を取り入れたドラマで、最初と最後の現代パートは歌詞のシチュエーションを映像化したものである。ここでは歌の主人公のほかに態度の悪い女子高生もついて来ていたが、これは新しい世代にも伝えていきたいとの趣旨だろう。この歌は情景イメージを含めて時代の記憶を伝える力を持った優れた音楽作品であり、後世に残ってもらいたいというのは自分としての願いでもある。これを見たあと自宅にあったCDを引っ張り出して聴いてその思いがさらに深まった。  ドラマ本編に関しては、歌の主人公(新生児)も出て来てはいるが、全体的に騒がしい感じのため歌に喚起されるイメージとの間でかなりのずれがある。しかし歌自体のドラマ化が目的ではなくネタとして使っただけだろうから、合うとか合わないとかを問題にしても仕方ない。また悪玉にわざわざ過激なことを言わせておいて、そこに善玉が「同じ人間じゃないですか!」などと当たり前のことを突っ込んでみせるような安手のドラマだが、それもまあテレビだから仕方ない。 劇中の主張の中では、学徒動員の青年の考えは普通に理解できる。また親は戦争で死ぬために子を産んだのではないというのもその通りだが、しかし「戦争のない国を作って下さい」というのは具体的に何をどうすればいいと思うのか。戦争がない方がいいというのは平和な市民社会の誰もが願う当然のことだが、相手があることなので自分の国だけでは決められない。むしろ戦争を起こさないために、現実的な対処として何が必要なのかをシビアに考えることが大事であり、そこに沖縄戦の記憶を伝える意味もあるだろうと思われる。 ちなみにこのドラマでは主人公夫妻が関西出身という設定もあり、結果的に“沖縄の利害は国内他地域と相反する”といった分離主義的な印象が強くなかったのは幸いだった。もっとも制作当時は東アジアの国際情勢が現在と異なっており、この時点でそんなことはほとんど誰も考えていなかっただろうが。
[DVD(邦画)] 2点(2015-05-05 00:09:24)
162.  郡上一揆 《ネタバレ》 
岐阜県のご当地映画であり、「行こまいか」「だちかんで」「あらけない」といった方言の使用が印象的かつ適度である。また美形の若手女優にお歯黒をさせるといったリアリティ重視の姿勢も見える。 お手軽な映画として作ろうとしたのなら、支配者は全て悪人、被支配者は全て善人にして対立構造を明確にするだろうが、この映画では被支配者の内部にまた身分差があり(「水呑は黙ってろ」という台詞もあった)、その上「立ちもん」「寝もん」の対立もあって全く一枚岩ではない。そのような史実を忠実に描写しようとする姿勢には非常に好感が持てる。 ちなみに検見取りの意味に関しては、役人の匙加減が利くという面もあるだろうが、それより終盤で町奉行が「切添田畑これあり…」と言っていたように、これまで農家が苦労して拡大してきた農地を新たに課税対象にすることへの反発が強かったと思われる。  ところで宣伝文句では「歴史は民が動かす」ことを強調していたが、しかし民衆にせよ支配層にせよ、その時々の経済社会動向を背景にしなければどんな動きも成功しないだろうと思われる。この映画の農民が歴史を動かしたというよりも、世の中の流れの先頭を切って動いたことで、それを契機に幕府も動いたというくらいの見方が妥当なのではないか。 それより個人的にこの映画から感じた最大のことは、どんな時代でもどんなところにも“義の心”を持った人がいるということだった。現代なら“義”などというと中高年からは毛嫌いまたは冷笑されるのだろうが、自分を犠牲にしても多くの人のために行動すること自体が否定されていいはずもない。当時の民衆運動では主導者が本当に生命を失う覚悟が必要だったのは現代と明らかに事情が違うのであり、地元でもこの人々を「義民」と表現していたようだが、自分としてもまずはそういった人々を顕彰する映画と捉えたい。 もっとも、主人公の可愛い奥さんの顔など見ていると、何もこの男がそこまでしなくてもという気になって、その立派な志を手放しで賞賛するのもつらくなるというのが正直なところである。  以上、世間ではあまり面白くない映画と取られているようだが、制作に協力した地元の人々への敬意も含め、自分としては最大限の好意的な評価をしておきたい。 なお余談として、劇中で何気にうちの地元の殿様(のご先祖)が出ていたが、特に悪役ではなかったようで幸いだった。
[DVD(邦画)] 8点(2015-05-05 00:09:19)
163.  たとえ世界が終わっても 《ネタバレ》 
人生は長さだけが問題ではないということなら理解できる。また自分が受け継いだものを次の世代に伝えていくといったことも人生の意義にはつながるだろう。 しかし輪廻転生という考え方に関しては、それ自体が大して人生を豊かにするとは思えない。確かに今回だけで終わりではないと考えることで、生きることが楽になる効果があるのは間違いないが、同時に今回を簡単に考えすぎてしまう恐れもなくはない。そもそも死後のことなど誰も検証できないのだから現実味には欠けており、万人向けに一般化できるようなことではないわけだが、加えてこの映画のように、前世と今生(と来世)で人格的な連続性があるとまで想定するのはオカルトにしても常識外である。そのような人生の繰り返しを見つめる人物が存在するという設定を含め、この映画では少々話を作りすぎている印象があった。さらに重要人物らしい訳知り顔の中年男は外見も言動も気に食わず、こんな男に偉そうに説教されてもまともに受け取る気にならないという点で残念な映画である。 それよりも、主人公の故郷での出来事はこれまでの人生全体の収支をプラスに変えて余りあるほどの幸福感に満たされており、この感覚は観客としても十分に共有できる。またラストでアルバムを見るヒロインの表情は輝いており、冒頭で今にも死にそうに見えた人物とのコントラストが鮮やかだった。上記の理屈はともかくとして、生の喜びを映像上に表現できていたことだけは間違いなくこの映画の価値だと思われる。  なお余談になるが、序盤の自殺志願者のうち高校生くらいに見えた“久美”役(熊谷知花)は、「自殺サークル」(2002)に出たアイドルグループのセンターにいた人であり、彼女にとっては2作目の自殺系映画ということになる。これからも前向きに生きていってくださいねと言いたくなるが、そんなことをわざわざ言わなくとも本人は十分その気と思われる。
[DVD(邦画)] 5点(2015-04-30 23:48:22)
164.  自殺サークル 《ネタバレ》 
最初に見たのは公開の数年後だったと思うが、その時は劇中のアイドルグループの印象が強烈だった。今ならともかく当時としてはダンスのスキルと外見的な年齢との間にギャップを感じ、それが何やら正体不明の連中という印象を生んだものと思われる。これに加えて劇中の事件との関連を疑わせるような扱いをされていたために、外見だけは人に見えても実は人の心など持ち合わせていない不気味な新生物のように感じられ、21世紀にはこういうのが世界中に蔓延していく予兆のようで空恐ろしい気がした。  今回新たに見直して思ったのは、終盤で数字や指の形に意味を見出そうとするのが陰謀論的で、かつある種の病気のように見えるということである。劇中ではそれで実際にコンタクトの道が開き、登場人物にとって何らかの結果をもたらしていたようだが、恐らくそれはカルトの世界でしかなく、普通人が入り込めるようなところではない。現実にはこの世界で起きることに客観的な意味などないのであって、逆にそれが世の中の真実だということが何気に表現されている気もしなくはなかった。 以上、映画全体を論理整合的に解釈するどころでないので断片的な印象だけである。再度見直すとまた違うことが見えるのかも知れないが、そう何度も見たいようなものでもなく、どちらかというと嫌いな映画である。  なお劇中の「デザート」の綴りが場面によって違っているが(DESSART/Desert/DESSRET)、ネット上にこれを解説したサイトがあって一応納得した。
[DVD(邦画)] 3点(2015-04-30 23:48:18)
165.  クレーマー case2 《ネタバレ》 
目障りな先輩がいなくなって後輩が横柄な態度になっているのは前作との連続性を感じる。しかしクレーム対応の部分は前回よりさらにどうでもよくなり、代わりに普通の心霊ホラーになっている。「制服サバイガールⅠ」「Ⅱ」のように、第1作の設定を引き継いだままで第2作を全く違う印象の話にするのはこの監督の特徴なのかと思う(2例だけだが)。 ホラーとして見れば、わざわざ危ないところへ出かけて行って怖い目に逢うのは現代ホラーの通例であり、どれだけ緊迫していても電話に出なければならないと思っているのも「呪怨」と同様に見える。終盤で親子が出かけた先が伊豆のペンションだったのは貞子が待っていそうなのでやめてもらいたかったが、しかしクライマックスの逆貞子とフスマ閉めは正直面白かった。また最後のライター点火は放火を暗示しているとも取れるし、冒頭の誕生日の場面につながって円環をなしているようでもあって興味深い(意味不明だが)。 そのほか一つの場面が延々と続くのは切れが悪く、また背景音楽の使い方も古臭く感じられたりするが、それはそれでくどい感じの怪談をわざわざ作り込んだようでもある。こういうのは素晴らしいともいえないが嫌いというわけでもない。  ところで小野真弓という人は美形でも何でもないが笑うと愛嬌があり、出演者インタビューなどでにこやかに話しているのを見るとそれだけで和んでしまう。劇中では地味でくたびれた感じでどうしようもないのだが、子持ちの役は初めてだと本人も言っており、劇中の職場でも責任者の位置付けだったらしいので、あえて実年齢より少し上の人物を演じるよう求められていたということかも知れない。今回は「壁男」(2007)などでの実績を買われての起用だったというように好意的に解釈しておく。
[DVD(邦画)] 4点(2015-04-28 00:00:20)
166.  クレーマー case1 《ネタバレ》 
監督が「制服サバイガールⅠ」「Ⅱ」と同じだが、この映画は意外にまともだったので驚いた。これほど何の衒いもなく生真面目に作ってあるのを見ると、制服Ⅱの時などはよほどの悪条件だったか魔が差したのかと同情せざるを得ない。 ただし中身としてはそれほど面白いものではなく、こんな半端に不快な映画を好んで見ることもなかろうと思わせるものはある。自作自演というのもありきたりだが、ラストのもうひと捻りのせいで一気にわけがわからなくなっているのは非常に問題である。 それでも一応の好意的な解釈をしておくと、まず暗い目の映像が入るところはやはり主人公の犯行(二重人格的な)だったと思うことにする。またそこまで主人公を追い込んだ電話の男は、劇中で疑われていた通り職場の後輩が雇っていたものと考えれば、当初から個人情報が漏れていたことも説明できないではない。ただし最後の殺人まで指示されていたとは思われず、それはたまたまこの男がそういう気質だったということかも知れないが、それにしても警察がこれをどう扱ったのかが不明であり(どう見ても他殺と思うだろうが)、この辺はやはり少々難があるような気はする。 そのほか細かい点として、社長の言動が下司な感じで結構だったのと、何気に真夏竜氏が出演されていること、及びラストの場面からエンドロールに続く音楽の使い方は好印象だった。これを含めて自分としては最大限好意的に評価しておく。
[ビデオ(邦画)] 4点(2015-04-28 00:00:16)
167.  壁男 《ネタバレ》 
事前知識はないままで見たが、タイトル部分の空撮で、積雪のある山を越えて都市部が見えたところでいきなり札幌ということが印象づけられる。以降も冬の風景がところどころに挟まって場所感と季節感のある映画になっている。 登場人物としては特に主人公の印象が強烈だが、ヒロインも愛嬌があって色気もあり、自分もこういう人と親密になりたいものだという思いが募ってしまう(が堺雅人には勝てない)。個別の場面としては「だめだなあ」のところで、この女優らしい表情が見えるのが微妙に愛しく思われた。その他のキャストは地元起用とのことで、ちょっとクサくて見ていられない人物もいたが、中村・遠藤役の両人などはけっこう好印象だった。 ストーリーとしても特に怖がらせるでもなく淡々と話が進んでいくので落ち着いて見ていられる。結末のない孤立的なエピソードも多かったが特に気に障ることもなく、全体的な雰囲気としては非常にいい映画だった。  しかし社会批評的な部分は面倒くさい。壁が隔てることで孤立的な小世界が生じていくというのはいいとして、その場合の壁は遮断という機能を持つことになるわけだが、これとメディアを関連づける意味が正直わからない。本来のマスメディアに代わって媒介の機能を果たすのは誰もがアクセスできる情報通信ネットワークだろうが、そのような時代にあえて壁男(それなりに不便なはず)に憧れる動機などあるのかどうか。ちゃんと台詞を聞いていれば納得できるということかも知れないが、そもそも台詞の文章密度が高すぎてわかろうとする気が失われる。 また後半に入ってから“お前は誰なんだ?”という問いかけが繰り返されるのは原作由来かと思うが、これが今回のストーリーにどのようにからんでいたのかがよくわからず、終盤の展開も原作を取り入れた形らしいが唐突で意味不明になっている。若干のグロ映像も不要であり、ここまでせっかくいい雰囲気で来たのだから妙な観客サービス?なしで終わってもらいたかった。ラストの場面は原作にないので映画としては重要なのかも知れないが、ここを含めて最後はもうどうでもいい気にさせられてしまう。  そのようなことで評価が少々難しいところだが、個人的には小野真弓という人が大好きだと思える映画だった(「街の・噂・特捜隊!」が微笑ましい)のと、映像面を含めて全般的に密度の濃い映画だったので、ここは少しいい点を付けておく。
[DVD(邦画)] 6点(2015-04-28 00:00:12)
168.  こわい童謡 裏の章 《ネタバレ》 
予定通り「表」の謎は解いているが、真犯人に関していえば映像的にほとんど説明済だったため意外感は全くない。一方「表」では主人公の母親が死んだ理由も示唆されているように見えたが今回は説明がなく、これは観客向けの謎解き要素として残したということなのか、あるいは単に当方の思い違いだったのか。 今回の特徴点は、「表」で心霊現象としか思われなかった事件の謎を音響のプロが合理的観点から解明していく形になっていることである。映像面でのホラー風味は維持しながらも、謎解きの面では“この世に科学で解明できないものはない”というかのような勢いが感じられたが、しかしその説明が面倒臭くて無理やり感があり、また主人公の口調が一本調子なこともあってあまり感心できるものにはなっていない。 ただし、ラストで一つだけ合理的な説明のできない問題を残して終わっていたのは実は期待通りだった。自分としては昔の特撮番組「怪奇大作戦」(1968)を思い出したが、原作・脚本・監督の人物は1967年生まれのようで、これと直接の関係があるかどうかはわからない。 なお今回の主演女優は個人的に好きなわけでもないが、この映画では普通に清楚な正統派美女に見えるので印象は悪くなかった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-04-25 19:59:11)
169.  こわい童謡 表の章 《ネタバレ》 
童謡を扱っていること自体は特に目新しいものではない。学者に監修してもらっているのはいいことだが、劇中に出ていた説明がどこまで本当なのか見る側としてはわからない。舞台は今どきお嬢様学校とのことで、これは外見と内情(表と裏)のギャップを表現しようとしたようにも取れるが、ただし全寮制というのはどちらかというと生徒が夜間の学校に出入りするのを不自然でなくするための設定かと思われる。 ストーリーに関しては、初めから「裏の章」で謎を解くという構成のため細かいところはわからないにしても、まあ大体のことは想像できる。この「表の章」で不明なまま残るのは主に何でこの学校にこういう事件が起きるのかということだろうが、普通一般のホラー映画のわけわからなさに比べれば特に支障はない。単純なホラーとして見るならここで終わりにしても問題ないだろうが、裏もあるというなら一応見なければと思ったので総合評価は保留しておく。 なお主人公が可愛いのは大変結構なことだった。これだけは間違いなくこの映画の見どころである。
[DVD(邦画)] 4点(2015-04-25 19:58:49)
170.  ショコラの見た世界 《ネタバレ》 
携帯電話の存在をここまでポジティブに扱ったものは初めて見た気がしたが、外部情報によればそもそも当時の携帯の販促プロモーション用映像を使ったものらしい(CMに出ていたそうだがTVを見ないので知らない)。監督と主演女優の名前を見るとここに登録されていなかったのが不思議にも思われるが、当時としてはあまりまともな映画扱いされていなかったということか。 内容としては極めて非現実的であり、冒頭の砂丘の場面からしてこんな場所が一体どこにあるかと思う(アラビア半島の丘陵地帯を巨人が歩いているようだ)。主人公の自宅もかなり突飛な構造になっていて呆れるが、しかしここまでファンタジーに徹していると文句をつける気にもならず、逆に実在の犬吠埼の風景が本物であるのにファンタジックなのが不思議にも思われる。 また登場人物に関しては、全編を通じて幼い妹と姉のやり取りが微笑ましい。この妹とネコの組み合わせがまた極めて愛らしく、鏡の場面でのネコのリアクションはたまらない。7年後の妹も、少々くたびれたようでいながら以前の愛らしさを保っているようで好印象だった。こういう映画を愛でる感性は自分にはないが、妹役2人とネコに和まされる映画だったので悪い点にはしない。時間も短いので見やすい。
[DVD(邦画)] 5点(2015-04-10 21:53:09)
171.  みづうみ 《ネタバレ》 
オープニング部分から物語が動いているのはわかるが、キャスト、スタッフから何からクレジットを全部入れているので導入部だけで6分以上かかり、いつになったら本体が始まるのかと思っている間に見る気が半減する。映像的にも、宣伝用の透明感のある写真と劇中風景のイメージが全く違うのでいきなり落胆する。 本体部分も突然奇声を発するタイプの演出が多いのでやかましく、また登場人物の誰にも共感できないので見るのがつらい。特に強盗殺人犯に関しては、金を取れば済むはずがわざわざ人に向けて発砲したというのは同情の余地がないわけだが、それでも相手が死んだと知るや人並みに悔いてみせるのが白々しい。さんざん不快感を盛り上げておいてから哀れっぽい老人など出しても全く心が動かず、かえって面倒くさいからみな勝手に死んでしまえという気分だけが盛り上がる。ラストはおおむね予想通りの展開で、ここに至る登場人物の心理は理屈で理解できないことはないが、心情的に納得できるかというとそうでもない。 そういうことで、中身があるのはわかるが共感がついて来ないところが難点の映画だった。  なおかろうじて褒めたいのは子役が非常に達者な感じだったことである。また強盗殺人犯役は死んでもらいたい女が似合う女優かも知れないと思ったが、これは別に褒めていない。
[DVD(邦画)] 4点(2015-04-10 21:53:06)
172.  ヴィタール 《ネタバレ》 
知り合いにDVDを貸されたので一応真面目に見た。お勧めというだけあって好きな人は好きかも知れないが、自分としてはまあ普通というところである。 その知り合いは、一生の最高の瞬間が「匂い」とともに思い出される、というところに感動したのだろうと勝手に想像していたらそれは当方の思い込みで、実際は映像の色彩感が好きだとのことだった(彩度の高い部分ではなく、灰色だか何だかわからない微妙な色がいい、というような話だったが理解不能)。自分としては相手役の女優2人が、演技のキャリアにかかわらず映像的に好印象なのが評価ポイントである。  ところで自分としては当初、解剖を通じて呼び覚まされた記憶や感情はどうせ主人公本人のものだろうと思っていたのだが、最後は死者との交感のようになっていた(生きろ、と言われていた)のは、いわば物的な人体に“魂”までが内在しているという感覚だろうか。だとすれば本当の別れが斎場になるのも自然なことと思われる。 主人公が最後に「医者の勉強は続けたい」と言っていたらしいのは一体何を研究したいのか怪しいもので、そのうちその辺の人間を無差別に解剖し始めるなどということになると別ジャンルの映画になってしまうわけだが、あるいはこれが医学上の大発見(心理学との統一理論など)につながる研究ということなのかも知れない。  なお劇中では解剖中の学生がオイデオイデをやっていたが、こういう場合の定番である「壁に耳あり」をやらなかったのは意外だった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-04-05 00:22:19)
173.  幸福のスイッチ 《ネタバレ》 
自己実現のために仕事をして、それで金をもらって当然と思うのは人間社会の道理に反している。芸術家なら結果責任を甘受する前提で勝手に何をやっても構わないが、イラストレーターというならその言葉自体にクライアントの意向重視ということが含まれているはずである。業務上の自由な発想が奨励されるとしても、それはあくまで本来の業務目的や組織目的に沿った効果を挙げるためであって、自由な発想の権利自体が保証されているわけでは全くない。劇中で、これに関する勘違いを若いうちに正したのは大変結構なことだった。 これからの時代、劇中の電器店の商法で個人営業が続けられる保証もないわけだが、しかし顧客第一ということ自体は永遠の真理だろうし、そのエッセンスの部分が次代に伝えられたのはよかったかと思われる。   また登場人物に関しては、主人公が当初ガチガチに固めていた攻撃的姿勢が後半に至ると崩壊してしまい、それまでは完璧に可愛くなかったのが可笑しく見えるようにもなる。一方でその妹もただ可愛いばかりではなく、ドライだったり強硬派になったりするのが見えて来て相対関係も崩れていく。その中で母親似の姉だけは、安定的に母性を発揮しながら妹2人を見守る立場ということか。 劇中の浮気事件の結末を見ていると、疑惑の相手とこの姉が暗黙の連携でうまく言いくるめたようでもあるが、しかしこれはこれでオトナの納得のしどころというのも間違いないことである。実際に姉は笑って完全に疑念を解いていたし、また主人公と妹も、最終的にはこれに同調したことで人格レベルを一段上げたと思われる。さらに、主人公の父親に対するわだかまりの根本原因がこれで解消されたのだろうと想像され、最後は穏やかに家族関係が再編されたらしいのは幸いなことだった。   そのほか全般的に、劇中の事物の取扱いが細やかでユーモラスな映画になっている。手紙の文面や電気を止められた時の顔など見ていると、妹の個性がより深く感じられて面白い。また友人の息子の動きとか、ラストで来店した子どもの表情とかも可笑しく、農家の親爺がくしゃみのあとに悪態をついただけのことでも笑ってしまう。モチがかわいいというのは男の感性ではない気がするが、何が言いたいかは映像的にちゃんと表現されている。 これに加えて、何気ない小さな音が人の心を豊かにするというのも少し心に染みる話だった。
[DVD(邦画)] 8点(2015-03-31 00:23:36)
174.  子猫の涙 《ネタバレ》 
大阪の映画というととにかく怒鳴り散らす人物が出るとか暴力沙汰が頻発するのは呆れる(本当にそういう土地柄なら仕方ないが)。ギャグも多いのだろうが自分としては笑えるところがない。 また主人公の人生については特に積極的に肯定する気にもならず、単にこれはこういう人だと思うだけである。個人的な感覚としては、オリンピックで銀メダルを取り、その後の途中経過はいろいろあったにせよ、子息に継承したボクシングジムが現在も続いているというだけで普通人としては十分な業績と思われる。そのため本人のボクシングに対する思いがどうだったかというようなことはそれほど重大事にも思われず、葬儀の場面に至って蒸し返されても何の感慨もない。 一方で、主人公の娘は毒舌だが邪気がなくて愛嬌があり、この人が映画全体を支えているのは間違いないようだが、成人後のイメージがあまりに違っているため統一感が全くない。その他の人物も半端な感じで、実母は娘を棄てるためだけに出て来て、また継母は娘に説教するためだけに出て、それぞれの役目を果たすと用済みになって存在感を失ってしまう。猫を拾って来たのも、途中で死なせて一家を泣かすためだけのようだった。 以上、個人的には見どころがない上に、全体構成としても個別エピソード優先ということなのか、ストーリーとしてのまとまりが不足しているように感じられ、残念ながら面白いとはいえない映画だった。  なお余談として、娘の友人2人のうち1人は、後のAKB48→NMB48所属の市川美織(みおりん、レモンちゃん)という人のようで、この時点で結構な美少女に見える。もう1人が誰かも大体想像はつくが、根拠が見つからないので書かない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-02-04 22:50:34)
175.  ねこのひげ 《ネタバレ》 
中身のある映画なのはわかるが、個人的には全く共感できない。 周囲とどれほどの軋轢を生じようと「好きなんだ」「好きなんです」といえば通ると思う感覚がそもそも容認できないが、そういう後先考えない軽薄な連中の割に、子どもを想うと皿が割れるほど悔やむとか、相手の母親に会うのが怖いなどと人並みに思っているというのが同じ人物とは思われない。それでも表面上は男女とも変に愛想がよく、また周囲にも変に物分かりのいい人間が多いため、主要人物のほとんどが自分と反対向きのように感じられ、穏やかな会話や表情を通じて全く異質なものに圧迫される感覚がある。 一般論として、過去にしでかしたことを悔やんでも仕方ないので、結局はその時点で前向きに最善の選択をするしかない、と思える時もあるのはわかるが、しかしこういう連中にそれをやられてもわが身のこととは思えないということである。これは人物造形の問題ということかも知れない。 そのほか全編を通じて始終ものを食って酒を飲んでいる享楽的な雰囲気にも馴染めないものがある。音楽も俗な感じで、劇中でアレンジを変えて何度も繰り返すので耳についてしまって苛立たしい。   以上は個人的な感想だが、要はある程度観客を選ぶということであって、人によっては問題なく見られるだろうとは書いておく。役者に不足は感じられず(ねこ含む)、映像面や人間描写にもこだわりが見えるので、褒める要素は多いと思われる。
[DVD(邦画)] 5点(2015-02-04 22:50:30)
176.  ニライカナイからの手紙 《ネタバレ》 
先日、沖縄からの来客とお会いしたので記念に書いておく(映画と無関係だが)。 最初から大体の結末は予告されているが、終盤で事情が明らかになってみればやはりその通りである。その後にまだ少し時間があったのでもうひと捻りあるかと思っていたらそうでもなく、そのまま力押しして終わったような形だった。単純な保護しか考えていなかった祖父に比べ、母の愛情はより深く周到だった、といった作り込みはなされており、決して悪い話ではないのだが特に感動を催すほどのこともない。従って、どちらかといえば風景や設えなどの映像美と、ただ愛らしいだけではない個性的な女優としての蒼井優をしっかり見ることが重要なのだと思われる。  また登場人物のうち友人役で出演していた比嘉愛未は、最近の主演映画(「飛べ!ダコタ」2013)を見るとかなりいい感じに年齢とキャリアを重ねていたようだが、この映画ではまだ18歳くらいで超絶美形かつモデル体型なのが印象付けられてしまった。この人の演じる登場人物は、どうも最初から主人公にライバル意識を持っていたようであり、そのことからしても最後は主人公が島へ帰らないことで全体が調和するよう予定されていたようである。 ほか劇中では地元民のような人々が台詞付きで登場していたようだが、中でも「おばあ」と呼ばれていた人の容貌と発言には何ともいえない風格があって忘れがたい。 全体として絶賛する気にはならないが、けっこう好意的に見られる映画ではあったので、ここは少しだけいい点を付けておく。
[DVD(邦画)] 6点(2015-01-24 17:47:32)
177.  予言 《ネタバレ》 
何も出なくても雰囲気だけで感じさせるのは悪くない。映像的には明るい場面も多いがそれで不吉感が削がれることもなく、談話室の窓から見えていた青空は画家のルネ・マグリット(「呪い」など)を思わせるものがあった。また腹に響く大音響はこの監督の特徴なのかも知れないが、この映画でも極めて衝撃的で効果的に使われていた。 ほか登場人物については父親役の顔がくどいので極めて不快だが、車が爆発する直前の子役の表情と、小野真弓が電車で去るときの不思議顔は印象に残った。この映画の小野真弓は全く華がないが、それでも個人的には不憫で愛しく思われる。   ところで基本設定に関して、原作と違うことは別に構わないが、この話の中で新聞を持ち出すこと自体に違和感がある。アカシックレコードなどというありきたりな説明を付けているが、紙媒体の記録をそのまま保管しているのでない限り新聞を介する必然性はないはずだ。また惨事だけでなく普通の出来事についても膨大な記録があるはずだが、ホラー映画という性質から殺人事件とか大事故ばかりを話題にしなければならず、結果として主人公夫妻がたまたま複数の事故に見舞われるという不幸な偶然になっている。それでも新聞だから悲惨な事件に飛びついて当然、といった感じで何となく正当化されてしまっているのが気にいらない。 そもそも全体を司る主体が見えておらず、「地獄に陥れようとする」といったことを誰の判断でやっているのかわからない。これがいわば自然現象として起こっているとすればかなり無理があり、単純な数字合わせとか時間の前後の問題というならまだしも、観客が疑問を持たずにスルーできる限界を超えている。どうせホラーだから雰囲気だけで可などというのでなく、基礎的なところでちゃんと筋を通してもらいたいものである。   ただ、家族愛の話としてはこれでよかった。父親/夫の心情としては満足だろうと思われる。 なお最後に新聞が書き換えられていたのは、主人公の最後の行動が裁定者によって承認されて無限ループを抜け出したことを意味しており、これは霊能者の先生が自分を犠牲にして主人公に選択肢を与えておいてくれた結果だったというように解する。
[DVD(邦画)] 5点(2015-01-03 21:29:14)(良:1票)
178.  リング0 バースデイ 《ネタバレ》 
話の性質上それほど派手な場面はないが、イヤな場所感は要所でほどよく出ており、また小物や役者で前作との連続性も感じられる。ストーリーは原作とかなり違っているが、これはこれで悲恋物語になっており、劇団にまつわる性的に不道徳な雰囲気も出ている。また個別の場面としては、楽屋の鏡が割れた時の腹に響くような大音響が印象的だった。 そのほかこの映画最大の独自性は、当初は貞子が邪悪な存在とばかり思っていたのが途中から反転し、後半は貞子の方に共感する作りになっていることで、その決定的なポイントは車椅子の老人が立ち上がったところだろう。一人をわざわざ二人に分けたのも、片方をちゃんと人間として扱ってやるためだったと思われる。後に松嶋菜々子が共感したのは仲間由紀恵の心情であり、また真田広之を殺したのはもう片方だったと考えればいいのではないか(理屈が通らないところもあるが)。   ところで序盤で死んだ女優のほかに、年長の先輩女優もかつては団長のお手付きだったらしく、これが貞子討伐に率先参加していたのは見苦しい。しかしそれより劇中最悪の人物は何といっても新聞社の女であり、婚約者だったという下司な記者が自業自得で死んだからといって逆恨みしたこの女が愚かな情熱を燃やしたことで手が付けられなくなってしまい、それが後世の悲劇の拡大につながったということらしい。 こういう結果を引き起こした馬鹿には自決などさせず、どうせなら最高度に無残な殺し方をしてもらいたかった(顔に穴が開いて下顎の歯列が見えるなど)が、せめてもの救いは同行した劇団員が一人残らず全員ぶち殺されたことであり、ここはちゃんと正義が貫かれたストーリーになっている。音響係(音効)の男だけは巻き添えだろうが、本人もこれで満足だろう。   そのようなことで、とにかく貞子が哀れで悲しく切ない映画だった。ちなみに仲間由紀恵は特に好きな女優ということはないので、この人のせいで劇中の貞子に肩入れしているわけではない。
[DVD(邦画)] 6点(2015-01-03 21:29:10)
179.  学校の階段(2007) 《ネタバレ》 
形の上では人格の向上を伴う感動系学園青春物の枠組みができているが、中身は苦笑なり失笑なり爆笑の連続で、どこまで真面目に作ろうとしているのかわからない。明らかに笑いを取ろうとしている箇所もあるが、シリアスな場面であっても演技あるいは演出のせいで茶番としか思われずに大笑いしてしまうところがあり、そこまで狙ってやっていたとすれば大したものである。 一方で突然PV映像のようなものが入るのは「発狂する唇」(1999)に似ているが、何となく微笑ましいので抵抗なく受け容れてしまうのは事情が異なっている。主演女優の歌も3曲入っていて、この曲自体も悪くない(特に2曲目がキュートな感じ)。主演女優のためのアイドル映画と割り切れば、それなりに楽しく見られる映画になっている。 ただしせっかく美少女が多数出ているのだから、さらにみんなを可愛く目立つように撮ってもらえばもっと楽しい映画になったはずだが、必ずしもそうでなかったのは残念なことだった。これがTVドラマなら、メンバーそれぞれに焦点を当てた回もあったりして見どころも多かっただろうが。   なお原作は読んでいないが非常に面白いのだろうと想像する。本編だけで10巻もある人気作のようで、この映画と同程度のものとは思われない。
[DVD(邦画)] 5点(2014-12-28 19:23:47)
180.  ヤコブへの手紙 《ネタバレ》 
[2020/10/31改訂補足] 老いた牧師と中年女性の物語である。場所はフィンランドの南西部で、牧師の住所はコケマキKokemäkiになっていたが、撮影では近くの教会を使っていたようだった。時間が短くシンプルに見えるが深みのある映画である。 ドラマ部分に関しては、人は人に必要とされてこそ生きられる、というのがテーマかと思った。誰かに必要とされなければ生きる気力を失うが、中年女性は牧師のおかげで死を免れた。また牧師は老いて誰にも必要とされなくなったのかと嘆いていたが、最後は中年女性の必要に応えたことで安心できたらしい。  ところで個人的に最大の特徴点と思ったのは、この映画には神がいたらしい、ということである。牧師と教会が出るからには神がいても変でないとはいえる。 まず、神は全ての人を見ているはずだが、どうも万能というわけではないようで、全ての人を救うことは全くできていない。またその教えは書物にまとめてあるが、全ての人にうまく伝わっているとも限らない。それぞれの人の資質や境遇に応じて、その時々の最も適切な言葉にして伝える役の人間が必要になるはずだが、それが恐らく牧師というものだと思われる。 劇中の牧師は、そういった役目を自ら任じて長い年月を生きて来た。しかし天寿が尽きようとした時になって思いもよらない不可解な出来事があり、ここで危うく彼の全人生が否定されて終わるのかと思われた。しかしそれが結果的には一人の人間を救い、同時に彼も救われて、最後は安心して神に召されたのに違いない。 そのような展開は、これまでずっと神とともにあると信じてきた牧師にさえ意外なことだったろう。しかし逆にそれは人智を超えた意志が現に存在すること、つまり現実に神はいるということにほかならない。神は万能ではないかも知れないが、間違いなく全ての人を見てくれており、また今すぐにではないかも知れないが、機会をとらえて何とか全ての人を救おうと努めている。そのことを忘れてはならない、と諭している映画ではないかと思われた。  そのように考えれば感銘がより強まる映画とは思ったが、ただし自分はキリスト教徒ではないので、この神は自分のことなど見ていないと割り切っておく必要はある。ちなみに自宅の宗派としては阿弥陀如来を頼ることになっているので安心だ。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-28 19:23:37)
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