161. プレイス・イン・ザ・ハート
《ネタバレ》 大恐慌後のテキサスの田舎町。生きづらい時代における弱者の象徴ともいえる3人(未亡人、失業した黒人、盲人)の共助と祈り、女性の自立がテンポよく描かれる。 多くの困難に直面する主人公に対し、同居人二人が生きるヒントや励ましを与え、お互いの不信感がやがて心を通じ合わせる展開がいい。ウィルが料理のまずさを口実に炊事を申し出るシーンはさりげない見せ所。 おっ、外壁の板に張られたポップをよく見ると、綿花栽培だけでなく野菜、卵、ミルクの産直やクッキー、ジャムなど6次産業化をやってるね。小規模農家の生きる道としては妥当だろう。フロンティア精神全開。 終盤、教会の礼拝は綺麗ごとの感が強いものの、白人から黒人へと杯を受け取りながら死者とも交わっていく姿は印象深い。人と人のつながりに救いを見いだす・・・ラストはハート・ウォーミング。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-09-17 11:58:09) |
162. 黄金(1948)
欲望、モラル、信仰心、疑心暗鬼等、人間の業が良く描かれている。H・ボガートは欲得と悪意に敗れる人間の弱さを、W・ヒューストンは百戦錬磨の人生を、T・ホルトは善をギリギリ守ろうとする小市民の人生をそれぞれ体現。ボガートは「ケイン号の叛乱」や本作のようなひと癖もふた癖もある役柄がお似合いだ。 特筆すべきは人生の機微に通じた老人を演じるW・ヒューストン。人間味豊かな名演に酔う。 ラストは“面白うてやがて哀しき人生”かな。悪戦苦闘が徒労に終わり、「神の皮肉なユーモアだ」とハワードが最後に笑いとばすところは爽快感さえ覚える。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-09-03 13:20:06) |
163. まあだだよ
過剰でベタついた湿り気の師弟関係。そしてここにもある黒澤映画の説教臭さ。摩阿陀会の群像描写も心に響かず。「戦に負けて終戦なり・・・オイチニ」等の批判精神はいいが。 先生のお祝い話と猫の捜索話で2時間超は深みに乏しく話が広がらない。 一風変わった人格を松村達雄はうまく演じたが、恩師礼賛の嵐には辟易。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2017-08-20 13:20:58) |
164. 麻雀放浪記
焼け野原とバラックの風景をはじめとして「ギブミー・・・」やDDT散布、紙芝居屋など、戦後の世相を反映した画面の連続。見事なまでの画作りで、当時の日本社会の緻密な再現とともに独特の世界観が確立されている。わずかに、隅田川沿いを歩くシーンや上野の桜の特撮は画面の流れに溶け込んでいないのが残念。 ママが草笛を吹く中で流れ星ひとつ。酸いも甘いも一瞬の輝きに賭けるばくち打ちの心情を表す。「勝ち続けて丈夫な人は人間を失くす」・・・けだし名言、人生を語る問答は心に響く。 アウトローたちの生き様を描く群像劇の中で、賭博とともに生き賭博とともに死んだ出目徳が陰の主役とも思え、高品格は特異な存在感を放つ。天和をめぐる出目徳とドサ健の駆け引きも見どころ。だが冷静に考えればイカサマ合戦であるし“こんな世界に住む人たちもいたんだな”と受け止め、ヤクザな生き方に共感も反発もない。 自分の麻雀放浪を振り返ってみると、役満を1回振り込み・1回上がりの実害なし。ま、いっか。とかくこの世はゼロサム社会。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-07-23 13:02:01) |
165. ブラック・レイン
大阪ってこういう雰囲気?「ブレード・ランナー」のような退廃的・煙っぽい空気感が合うか疑問。 「黒い雨」は菅井のセリフに出てくるが、原爆とヤクザの存在を無理やり結びつけたような印象で、映画全体にテーマ性は感じない。物語の展開としてはチャーリーの殺されるシークエンスが弱い。ラストの原版のやり取りも意味深だが心に響かず。指詰めは「ザ・ヤクザ」と変わらぬハリウッドの日本観が滲み出てるね。「芸者遊び」とか「完」も同様でステレオタイプの感。どちらかと言えば「ザ・ヤクザ」の方がいい。 主要キャスト3人の適演に加え神山繁がいい味出してる。あの人誰?と思ったら、ああーあ、プロフェッサー田中かい。 最後にひとつ、ニックが吐く皮肉交じりのセリフ「Fuck you very much」はうまく心情を表して面白い。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-07-16 17:12:33) |
166. ゲームの規則
《ネタバレ》 第二次世界大戦前夜における上流社会の浮世離れを風刺し、戦争批判を込める。いつの世も変わらぬエスタブリッシュメントのゲーム(恋愛や不倫を含む広い意味で“お遊び”)に現を抜かす姿、自堕落、本音と建前の使い分け等々・・・オクターヴの狂言回しが効いている。 多様な人物の心理描写と併せ、パーティー会場の廊下と部屋を行き来するカメラワークは川の流れるごとく、群像描写が実にうまい。アルトマンの群像劇は嫌いだがこの演出は気に入った。 狩りのシーンは人間の冷酷さを象徴しており、戦争暗示の意図は理解するが不快感は残る。これでもかというほどの射殺は何とかならなかったかな? 終盤、シュマシェールが誤解してアンドレを射殺。それをラ・シュネイが客たちに向かって偶発的な事故なのですと説明。そこで客の一人が「事故の新しい定義ですな」と皮肉る。うーん、今でも古びない。「新しい判断」「もうひとつの事実」なんて平気でぬかす連中がいるものね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-07-02 19:13:02) |
167. ゆきゆきて、神軍
撮影を意識しているため奥崎の精神的・肉体的暴力が一層エスカレートし、逆に相手や家族の対応は抑制気味というバランスの悪さ。結果的にカメラが煽りの役割を果たし本人をつけあがらせていないか? 戦争犯罪を語れば歪んだ正義感が許せるというものではない。その要素を取り除けばただの犯罪者であり、天皇の戦争責任追及は暴力の免罪符に利用しているだけ。皮肉なことに奥崎の暴力自体が旧日本軍の体質を体現している。 鑑賞後に残ったものは問題意識のみ。 [インターネット(邦画)] 1点(2017-06-11 13:09:31)(良:1票) |
168. ゴースト/ニューヨークの幻
《ネタバレ》 アイディア勝負の映画だ。死後の世界観は自分としても共感でき、感情移入できる。P・スウェイジの少々頼りなさそうな表情とD・ムーアの涙の組み合わせがいいね。 「同じく」の口癖やコインの使い方が見事な伏線。ゴーストは物に触れることが困難で、念力が必要というのは人との立場逆転で面白い。そんな状況に歯がゆさを感じながらの鑑賞も計算された脚本だ。 口座解約はカールのあわてぶりが痛快。彼の焦りの表情は、出勤シーンの一見好漢風との落差が活かされている。ポルター・ガイストのシーンも効果的な演出。ただし、W・ゴールドバーグはちょっと芝居し過ぎの印象(銀行でのライルとのやり取り等)。 “ブルー・アイド・ソウル“ライチャス・ブラザースの名曲「アンチェインド・メロディ」の絶妙な流れもロマンチック指数上昇で、映像と音楽の相乗効果は「スタンド・バイ・ミー」と同等の感動が得られる。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-05-28 11:22:36) |
169. ベン・ハー(1959)
キリスト教の世界観に基づく一大叙事詩。名画を思わせるゴルゴダの丘、巨大な円形競技場やガレー船海戦、さらに都市国家のセットや大群衆のシーンなど完成度の高いスペクタクル大作。 ルネッサンスの絵画から抜け出たようなC・ヘストンの重厚な演技が見事。そして、神の視点で俯瞰するかのような戦車競走の迫力は映画史に残る名場面だ。 母と妹の病が治る奇跡など宗教的なメッセージを織り込み、キリストの教える愛と赦しを語る。彼の受難も描いているが、キリスト教の布教活動における世界各地の摩擦を考えると、これらのシーンは素直に感動できない。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-05-14 11:13:18) |
170. 椿三十郎(1962)
《ネタバレ》 ご都合主義的な展開だが、1時間半の程よい尺でテンポよく観られる。 子供の頃観た記憶では、三十郎がとにかく怖かった。久方ぶりに再見すると、腕っぷしに加えて可笑しみを醸す武士像がなかなか良い。豪快さと繊細さが相まって魅力的な人物像となった。三十郎と浮世離れした城代夫人の対比も面白く、夫人が干し草に寝転ぶシーンや三十郎が四つん這いで夫人を背中に乗せるシーンなど、音楽や城代家老のセリフを含めほのかなユーモアが全編に漂う。“穏やかに”の精神を貫く夫人役・入江たか子は好演。 要所に出てくる椿の花は効果的。特に赤い椿と白い椿の合図は機転が利いた展開。ウグイスがさえずる中で白い椿の花が落下・・・大目付らの策謀失敗とともに半兵衛の死を暗示している。 三十郎と半兵衛、結局二人は鞘に収まらない刀であり似た者同士。両者の決闘は必然的で、無駄のない短時間決着は見ごたえがある。現実はあれほどの血しぶきにならないだろうが。 捕らわれた四人を救出した後、わざと縛られた三十郎の説明を半兵衛があっさり信用するとはお人好し。また、最後に吐く半兵衛のセリフ「貴様みたいにひどい奴はない・・・」もちょっと弱気で味気ない。好敵手としてもっと厳しい態度・強気の言葉が欲しいところ。 [映画館(邦画)] 7点(2017-04-30 16:02:57) |
171. M★A★S★H/マッシュ
あえてジョークがわからない無粋な視点でこの映画を語ろう。 ベトナム戦争当時の反戦気分を反映した戦争風刺。ホークアイやトラッパーらが内輪で連む姿は、軍医の立場を利用し「冗談」という言い訳を用意したイジメの構図を内包。野戦病院を学校現場に置き換えれば一目瞭然。そりゃあイジメる側からみれば痛快だろうが、この種の閉鎖的な「仲間意識高い系」は気持ち悪い。実社会でも似たような例をみているからね。 手術場面のリアリズムやフットボールの予定調和(注射のインチキや逆転勝ち等、黒人差別の味付け含め)は免罪符にならない。いつの間にかホットリップスは無邪気に豹変したが、彼女の訴えは回収されていない。 戦争に対する風刺を大義名分にすれば、何をしてもブラック・ジョークで笑い飛ばせるとでも? [CS・衛星(字幕)] 1点(2017-04-09 11:22:47)(良:1票) |
172. プライベート・ライアン
《ネタバレ》 ノルマンディ上陸作戦は連合軍の被害も大きかったという知識があっただけに、ドイツ軍の抵抗を受けるオマハビーチの戦場は従軍しているような臨場感があり、フーバーな任務(=めちゃくちゃな任務)というのも頷ける。極度の緊張・戦闘場面のリアルな迫力は十分な説得力がある。 戦場の土を詰めた複数の缶は、イタリア・フランスなど多くの戦場を転戦した過酷さを物語る。加えて「この光景、すごいな」のリアルさ。 1人のため8人が命をかけるのは理屈に合わないが、それに対する下っ端の心情も掬い取っているので違和感はない。所詮戦争とは不条理の連続。そして戦場では母の話で盛り上がる。死に際の兵士の最後の言葉は「ママ」、これは本作のテーマに沿った重みのある場面。旧日本軍でも同じ話を聞くし、日系人部隊「442連隊」でも同様の実話があったとのこと。 ライアンの残留意向は至極当然のように思う。これに対し、中隊長が命令通り帰還するか残って戦闘に加わるかは究極の選択だが、後者を選択し妥当な展開。最後は助けた捕虜に味方を殺される皮肉。結局、戦場で情けは仇になり、捕虜の待遇に条約違反を語ったアパムが助けた相手を殺す、これまた皮肉。 老いたライアンによる回想は、あの時代と今を繋ぐ意味があり手堅い手法。同じような構成の映画を想起させ、なぜか「リバティ・バランスを射った男」を思い出した。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-03-26 11:57:59) |
173. 明日に向って撃て!
新感覚の西部劇ではある。映像の逆光と主人公たちの時代遅れの「逆行」。ブッチとサンダンスの友情を描きつつ真面目にバカやることの意義を見せつける。 振り返って蛇を撃つシーンの新鮮なこと。そして自転車は自由の象徴。 最後の2人の会話はいい。この軽さが長所であり短所でもある。ラストのストップモーションは余韻が残るものの、特に名場面とは思わず。 男女3人の物語としては「冒険者たち」の方が好きだな。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-02-26 13:44:07) |
174. ミッドナイト・イン・パリ
セピア調で映されるパリの情景を舞台に人生の機微を描いた佳作。エスプリのきいたセリフ、小粋な音楽が画面にマッチしている。 現実の中に夜毎のタイムスリップ(というよりファンタジー)を挿入し、数々の芸術家との出会いを通して人生を語るプロットが良い。 外見はパッとしない主人公(=ロマンチスト)と美女の婚約者(=リアリスト)、そしてパリ好きとパリ嫌いの対比の妙。よく知られるアメリカ人とフランス人の国民性の比較にも通じる面白さがある。風采の上がらない主人公は監督アレンの自己投影そのもの。対する男性有名人、意図はあろうが本人よりかっこ良すぎ。 S・ダリとL・ブニュエルの組み合わせは「アンダルシアの犬」の創作を想起させる。そして、シュルレアリストが恋を理解できないとは風刺気味。また、ガートルードがピカソの絵(「水浴の女」)を辛口で批評する姿は芸術論として面白い。この絵をめぐり、受け売りの解説でギルが“知識人ぶる男”ポールに反論するところは小気味よい。アドリアナとギルの関係は程よい流れだが、ピアスをめぐるエピソードは安易な印象。 現代に生きる主人公は1920年代を眩く仰ぎ、アドリアナはベル・エポックに憧れ、ゴーギャンやドガはルネッサンスこそ最高!とそれぞれの思いを語るところは、いつの世も変わらぬ手の届かぬものへの憧憬や“昔はよかった”的な現実逃避の懐古趣味に対する皮肉も込められる。 最後に、あの探偵はどうなっちゃったんだろう。気になる。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-19 13:07:36) |
175. 八甲田山
この映画を観た後の教訓は「雪山を甘く見ない」、これに尽きる。題材からして雪中行軍を描くことは自明だから、厳寒の中で撮影を行ったことは評価するがこれほど長尺にする必要はない。 過酷な雪山の表情に時折見せるレンゲツツジやリンゴの花などが心を癒す。佞武多や桜、菜の花も含め雪山だけでなく四季の移ろいや山野の表情が描かれたのは好ましい。 何事も一度始めると止めることが難しいこの国において、上層部の責任の重さ、指揮命令系統に問題はなかったか等、現代にも通じる問題意識がある。それだけに、リーダー・部下それぞれの心情の描写不足は惜しい。 ラストの老村山伍長(緒形拳)の表情が余韻を残す。 [映画館(邦画)] 4点(2017-02-12 14:14:50)(良:1票) |
176. タクシードライバー(1976)
《ネタバレ》 流れるような夜景と大都会の息遣い、喧騒の中の孤独と狂気が映し出される。この雰囲気に合った、けだるさを漂わせる音楽がいい。 “洗い流す”がキーワード。社会に不満や怒りを持ち、まっさらな理想を求める狂気は長じて大統領候補暗殺に走る。されどそこに至らぬ小市民的狂気。 ベトナム帰りで不眠症が続いた上、女に振られ心が荒ぶる主人公は汚れた街を洗い流すため銃を入手し、着々と準備を進める。若者の“もっとできる”自己顕示やゆがんだ正義感を描きながら、アメリカ社会の病根を衝く。 少女アイリスに出会い分別を見せるところは、彼なりの“浄化”に向けた使命感だろう。だがその後のアイリスと客のシーンは冗長。 モヒカン刈りで勇者を気取り、殺人マシーンと化した辺りから物語・音楽ともムードが変わる。客引き銃殺後、髪を元に戻したその後の展開が拍子抜け。世間の英雄視は皮肉としても、ベッツィーが「新聞に載ったから」と言ってトラヴィスのタクシーにのこのこ乗るくだりはいただけない。ストーカー的な行動をとった男になびくか?「女はそんなもんだ」とは思わない。 全般的にみると、ベトナム戦争帰り⇒都会⇒孤独⇒狂気という図式は明快だが主人公の行動の動機付けが弱い。ちょっとスタイリッシュな映像とB・ハーマンの音楽に救われている。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-02-05 16:19:58) |
177. フットルース
いつの世にもある新旧価値観の対立を描くところは、往年の映画「青春の旅情」と重なる。片や小説、もう一方はダンスやロックを対立軸に、表現することの意義を問う。新しい動きに反対するキーパーソンの存在も共通する。 終始奏でられる音楽はゴキゲンで、クライマックスのダンスシーンは圧巻だ。が、女優に魅力的な人が全然いない。キャストが弱かったなあ。 ラストは妥当な落としどころで、鑑賞した後の気分はよい。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-01-29 13:05:25) |
178. ゴッドファーザー PART Ⅱ
マフィアの内幕を描きながら家族愛をテーマとした重厚な大河ドラマ。イタリア系移民街の実情を見事に再現しているが、観客の共感・感情移入を意識してかマフィアの暗黒面をかなりマイルド化した感は否めない。 ヴィトーとマイケルの対比が鮮やかで、一族の発展・組織の拡大と裏腹な家族の離反は皮肉な展開。アメリカ人好みのルーツ探しにも通じ、退任したばかりの某前大統領が好んだ映画というのも頷ける。 ヴィトーが犯罪に手を染めざるを得なくなる経緯は丁寧な描写だが、その後の成り上がりヒストリーが弱過ぎる。「これは家族の映画だからマフィアの怖さはあまり描かなくてよい」わけではないと思う。 R・デ・ニーロのしわがれ声は前作のM・ブランドの声に似せたつもりだろうが、よく聴くと声が一定していない。そんな細工をせず地声でもよかったのではないか。A・パチーノの終始無愛想な表情はドンとしての孤独と苦悩を滲ませるが、一面的過ぎて味わい不足。時に発する怒声も単調さを覆すに至らない。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-01-22 14:32:54)(良:1票) |
179. レナードの朝
冒頭に実話を強調されると「ああそうですか」というしかない。あんなに劇的に患者が回復するだろうか?と素朴な感想。 治療の方法に疑問は残るが、セイヤー医師は研究医として全力で患者を救いたかったのだろう、と好意的に受け止める。結果的に一時回復→副作用→再発の流れになり、最善を尽くしても治療の結果は「神のみぞ知る」だ。 1969年の象徴として、アポロのポスターやゾンビーズ「ふたりのシーズン」は効果的。 序盤から中盤まではR・ウィリアムス、終盤はR・デ・ニーロが主役といった感じだ。題材の性格上、デ・ニーロの演技に注目が集まるのは自然なことだろう。歯磨き以降の場面は見ごたえのある演技だった。ある意味儲け役を好演だが、“特徴のある役(動きの大きな演技)は演りやすい 特徴のない役(静かな心理描写)は難しい”という思いも若干残る。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-01-15 11:37:33) |
180. サタデー・ナイト・フィーバー
下町に住むイタリア系らしい濃密な「家族映画」に加え、イモ兄ちゃんと上昇志向娘の刹那的な恋と友情を交えた青春群像。そして、若者の成長物語でもある。 この種の映画にありがちな、悪さを強調した不良ものにしなかった点は好感が持てる。その分、橋の上の無軌道や車で突っ込む相手を間違うなどは物語の盛り上げに必要な起伏だろう。 ダンス大会の優勝に複雑な心情で怒りを表す土曜日だけのヒーロー。やっぱトラボルタの踊りはいいわ。顔は好みじゃないけど。 悩める友の転落死をきっかけにトニーは生き方を見つめ直し、大人として目覚める。「友達になりましょう」のセリフに救いがあり、いいエンディングだった。 公開当時、「ザ・ベストテン」に出演した歌手が虎模様のベルトを巻いて「トラベルト」なんておどけていたなあ。ほら、前回レビューの「Wの悲劇」に出演していたあの人……。 [映画館(字幕)] 6点(2016-12-18 20:10:38) |