1881. ニッポン無責任野郎
植木等が超人的すぎて、気楽にサラリーマン稼業をやっていくことについて、参考にならなかった(苦笑) [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-03-16 23:38:54) |
1882. 選挙
濃いなぁ。。 とにかく濃い。 何が濃いって、人間関係に絡むしがらみが濃すぎる。 こんなん観てると、絶対に市議会選挙なんて関係したくない、と思ってしまう。 金や権力を持った人間にへぇこら頭を下げ、何を言われても「そうですね」で対応。 これは、会社における上下関係をデフォルメしたかのようなシビアさで、観ていると頭が痛くなってくるが、だがしかし、不思議と「自分の居る環境なんて、これに比べたら大したことはない」と感じ、明日からの働く活力へとつながってくるから不思議だ。 選挙の実態を理解したというより、人間社会はこういう風に成り立っているんだ、と痛感させられた思いである。 しかし、この選挙活動を行う人達の底知れぬパワーというのは、地域住民のためではなく、自分自身のためだからこそ、ここまで頑張れるのではないだろうか。 自分が権力を得て、野心を果たしたいからこそ、ここまで選挙というものに必死になれるんじゃなかろうか。 選挙というものがいかに茶番であり、そこで扱われているものは、市民の為なんかではなくて、それを牛耳る人達の醜い利権争いなのでは、と感じてしまう。 それを一切の説明やナレーション無しで、ここまで観る者に痛感させるのは凄い。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-03-16 00:31:22)(良:1票) |
1883. 叫びとささやき
醜い三姉妹の精神不安定な閉塞感のある物語。 他人に冷たい女と何事もうわべだけの女、精神分裂の女。 ただ大きいだけの冷たい屋敷の中で、こうした三姉妹が織り成す愛憎劇は、観ていて何ら楽しい要素はなく、気が滅入るばかりだ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-03-14 23:58:53) |
1884. パッチギ!
《ネタバレ》 大衆に媚びた井筒和幸監督が退化し、それをさらけ出したかのような作品。 良かったのは、ラストシーンで車に乗り込むかわいい沢尻エリカを観れたことと、故加藤和彦の「あの素晴らしい愛をもう一度」がエンドロールで流れたことくらい。 テーマ、映像、出演陣その他、全てに魅力なし。 [DVD(邦画)] 3点(2010-03-14 01:13:28)(良:1票) |
1885. 化石
《ネタバレ》 死生観を綴った作品であり、真っ向から「生」と「死」というものに取り組んだ内容の作品である。 自分がガンだと知った辺りから、「これは単に暗いだけの作品か?」と思ったが、ガンの手術に成功し、次は「なんだ、単なるハッピーエンドの作品か!」と思った矢先に、今度は「ガンの手術に成功したのに会社を辞めて浮かぬ顔」・・・という、死の病に対峙した人間が持つ複雑な心境の変化を細やかに描いており、なかなかの力作となっている。 主人公を演じた建設会社のオーナー社長役の佐分利信は、終始画面に出ずっぱりで、しかも3時間を超える長尺作品ということもあり、晩年の佐分利信をこれでもか!とばかりに堪能できる仕上がりとなっている。 1975年の作品なのに、杉村春子が出てきた時には感動すらおぼえた。 『午後の遺言状』の時は、ずっとサングラスをかけたままの演技だったし。 70年代以前の杉村春子を沢山観てきただけに、1975年の作品で、往年の杉村春子らしさが出た彼女をスクリーンで観られたのは、懐かしさをも感じることができた。 その他、若さと美しさの残る小川真由美や栗原小巻、渋み全開の宇野重吉や宮口精二などが脇を固めていて、キャスティング的にも満足。 そして何と言っても、神山繁! 最近の白髪でハゲた外見の神山繁しか知らない私にとって、黒髪をなびかせた四十過ぎの神山繁は、最大のインパクト、というか、正直笑いそうになった(失敬)。 内容に話を戻すと、3時間以上の間、ずっと「生」と「死」について、佐分利信が悩み、それを加藤剛がナレーションするという、極めて重い内容ではあるのだが、観終えた後は、自分自身も「これからどう生きていくべきか」、「死に臨んで何をすべきか」みたいなことを、映画館を出た後も考えさせられたりして、余韻を残す作品であった。 決して観ていて楽しい気分になれる作品ではないので、娯楽作品にしか興味のない人には、まったくオススメできない日本映画である。 一方で、映画によって深く感銘を受けたり、映画が自分の人生観に影響を与え、それにより色々考えてみる機会を得たいと思っている人には、是非オススメしたい重厚な日本映画である。 [映画館(邦画)] 7点(2010-03-13 20:14:11) |
1886. ヌーヒン バンコクへ行く
お子様向けの内容で、アニメーションを合成した映像などは観るに耐えないが、タイ映画ならではの味わいは感じられ、まずまず楽しめた。 ヌーヒンを演じた女のコは、『地下鉄のザジ』以来のキモさとインパクト。 それとは対象的に、ミルクを演じた女性は、スタイル抜群で、まさにアジアン・ビューティ、タイの美女だった。 モデル並のスタイルと美しさを併せ持つ、豪邸の美人姉妹を楽しむことに途中から専念していた気がする・・・ [DVD(字幕)] 5点(2010-03-13 00:05:52) |
1887. シチズン・ドッグ
大好きなジャンルの「タイ恋愛映画」。 映像センスと、タイ・バンコクの街を映した映像は抜群に良い。 ヒロインもスレンダーで、腕がすべすべしていて美しい。 これだけで十分なのに、余計なCG効果やコメディ要素が多すぎた。 趣向を凝らしていて、苦労して創り込んでいるのは分かるが、むしろその苦労を、映像や主軸となるロマンス劇の方に更に注ぎ込んでくれたら、タイ映画ならではの完璧なる美しいラブストーリーに仕上がったに違いない。 そう思うと非常に残念ではあるが、タイ映画って、こういうコメディ要素を所々に挿入したりするパターンが多いので、仕方ないかとは思う。 いわゆる映画文化の違いとして、これはこれで楽しく受けれいれるだけの度量が、私に足りなかっただけかもしれない。 ただ、映像センスは抜群に良いので、「珠玉のアジア映画」というフレコミは、十分にクリアーしている。 もう少しクールで、バンコクの街の特徴を活かした様な、美しくストレートなタイ恋愛映画をいつの日か観てみたいものだ。 そんなタイ映画を探すべく、今後もタイ映画をはじめとした、貴重なアジア映画をどんどん観ていきたい。 [DVD(字幕)] 7点(2010-03-09 23:50:39) |
1888. メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
相当楽しめた。 まず、ギジェルモ・アリアガの脚本が素晴らしい。 そして又、テキサスやメキシコの風景描写、そこを旅するロード・ムービー的色合いなどが、見事にマッチしている。 一人の命を、友情という絆だけでここまでやってしまう男は酔狂としか言いようがないが、それはこの男の愚直なまでの誠実さを表現している。 ひょんなことから大変な災難に巻き込まれるという、巻き込まれ型サスペンスの典型で、先の読めない展開という点でも飽きずに楽しませてくれた。 最後に、ルーアンを演じたジャニュアリー・ジョーンズという女優さん、とってもキュート! 私もあんな金髪美人と密会したいもんだ。 [DVD(字幕)] 8点(2010-03-09 02:35:23) |
1889. 汚れた血
多様なジャンル性を持つ作品で、音楽・近未来SF・ロマンス・サスペンス・犯罪などの要素が複雑に絡み合い、なお且つヌーヴェル・ヴァーグ的な風味を併せ持ったフランス映画だ。 主人公アレックスが、音楽にのって右へ右へくねりながら疾走するシーンは特に印象的。 そして、レオス・カラックスならではの、青や赤や黄色を使った色使いも美しい。 前半は小難しいフランス映画と思い、嫌気が差し始めたが、後半になるにつれその不思議な世界に酔いしれるまでになった。 二度三度見たら、いや見る気は起きないが、もし見たらその世界観に更に浸れるかもしれない。 次は『ポンヌフの恋人』を見ようかな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-03-08 23:41:24) |
1890. 遠雷(1981)
力作だとは思うが、淡々としすぎた田舎の描写に対して、特別な感情移入はできなかった。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-03-07 14:05:39) |
1891. 金城武のピックアップ・アーティスト
予想した通りのラブコメディで、もうハチャメチャな内容。 だけど、それが案外心地良いというか、肩の力を抜きながら観ることができて、たまにこういうコメディを観るのもいいなぁ、とか思ったりもする。 内容はともかく、金城武主演の恋愛映画作品としては貴重で、金城武ファンなら落とせない(かも?)な作品だろう。 [ビデオ(字幕)] 5点(2010-03-06 10:01:47) |
1892. 憂国
《ネタバレ》 これがこの世のものとは思えない代物で、暗いモノクロ映像と相まって、気色の悪さ全開の作品だった。 例えれば、昔のTV番組「あなたの知らない世界」を更にヤバくした感じ。 三島由紀夫が製作、監督、原作、脚本、美術、そして主演もつとめているが、その内容と雰囲気たるや、三島由紀夫そのものだ。 “ハラキリ”のシーンが出てくるが、これがまたやたらに気色悪く、三島由紀夫が実際に割腹自殺をはかった事実もあり、背筋がゾクっとした。 [インターネット(字幕)] 4点(2010-03-06 10:00:11) |
1893. 捜索者
正しいのは白人で、一方的に先住民を敵視したアメリカらしい作りにヘドが出た。 横柄で自己中な腹の出たおっさん、ジョン・ウェインに一切の魅力なし。 [CS・衛星(字幕)] 0点(2010-03-06 01:28:42) |
1894. キング・コング(1933)
《ネタバレ》 キング・コングの動きはぎこちないが、よくぞここまで巧く撮ったもんだなぁ、と感心した。 キング・コングが金髪の女性に惚れて、飛行機ではなく愛に負けた、というくだりが予想以上に心に響いた。 アドベンチャー映画として観ても十分に面白い。 特に、キング・コングと次々に現れる巨大生物同士の闘いは、迫力があって興奮できた。 しかし、原住民差別というか黒人差別みたいなものが微妙に臭ったのだが、考えすぎだろうか・・・ [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-03-04 23:33:47)(良:1票) |
1895. 初恋(1997)
《ネタバレ》 ウォン・カーウァイ製作、クリストファー・ドイル撮影、金城武出演という、まさに鉄板の組み合わせで、監督の腕次第では、『恋する惑星』『天使の涙』に匹敵する作品が出来上がる要素は十分だったのだが・・・ 俳優出身のエリック・コットが、カーウァイから打診を受けて2年かけて作ったという不要なエピソードがあまりにしつこすぎて、作品全体の雰囲気を台無しにしている。 金城武とリー・ウェイウェイ共演のパート、「夢遊病の少女と精神病の清掃員」の話が素晴らしいできだっただけに余計に残念! 不夜城の香港を舞台にしていて、香港の夜の雰囲気が十分に表現された傑作だった。 リー・ウェイウェイは脚が綺麗で、しかもそのサービスショットも多く、見とれてしまった。 金城武は、相変わらず香港の夜を彷徨う男が良く似合う。 一方、もう一つのパートである「10年前に結婚が嫌で逃げた男と、逃げられた女の再会と復讐」を描いたパートはいまいちの出来。 ドイルの幻想的な映像とこのような現実的すぎる話は合っていない。 ラストは監督が出てきて、この作品を作り終えた感想を涙顔で語って終わるのだが、これがちっともよろしくない。 大体、おっさんの涙なんてラストに観たくない! これじゃあ、「天使の涙」じゃなくて「おっさんの涙」だよ! [ビデオ(字幕)] 7点(2010-02-28 19:37:42) |
1896. ウンベルトD
《ネタバレ》 念願かなっての鑑賞で、シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞した。 恩給で生活している社会の一線を退いた老人が主人公で、生活の頼みの綱であるその恩給が、不景気にともなって減少し、老人達の生活を逼迫していくという、現代日本においては実に現実感のあるお話である。 その老人は、ブチ模様をした小さな犬を飼っている。 妻も死に、孤独を癒す唯一のパートナーだ。 居を構えていた古アパートは、次第に売春宿と化していき、昔から住んでいたというのに、その老人は追い出しの圧力を受けている。 僅かな額の恩給では、アパートを出たとしても生きていくアテもない。 経済的に窮地に追い込まれた老人には、もはや生きる希望も失い、死を考えはじめる。 そこで唯一の心残りは、愛犬のブチ犬で、自分の亡き後に面倒をみてくれる場所を探したりもするが、全くアテがみつからない。 そこで、老人はブチ犬と無理心中を思いつく。 犬は当然嫌がり、怖がる。 寸での所で死を免れた老人とブチ犬であったが、犬の方は飼い主に恐れをなし、かつてのようになつかなくなってしまう。 必死に、ブチ犬の興味をひこうとする老人。 最後には、ブチ犬は老人にシッポを振ってついていき、その二人(?)の後ろ姿で「FINE」の文字。 いやぁ、なんて心温まるラストシーンだろう。 犬好きにはたまらないラストだ。 いったん飼い主である老人を避けるが、今までのご恩を思い出したんだろうか、また老人になつくまでの過程を描いたラストは、名作に相応しい出来栄えである。 ヴィットリオ・デ・シーカと言えば、『自転車泥棒』と『靴みがき』辺りが代表作かもしれないが、本作こそ、デ・シーカの最高傑作に推したい。 イタリアン・ネオ・レアリズモの名手として、現実の厳しさをうったえつつ、そこに人間と飼い犬(伴侶や家族に当てはめて考えてもよい)との絆を描いてみせた本作は、バランスもよく、まさに名作に値する。 [映画館(字幕)] 8点(2010-02-27 23:34:37) |
1897. 春の目ざめ(1947)
《ネタバレ》 ソフト化されておらず、貴重極まりない成瀬巳喜男監督作品の一つ。 題名の通り、題材は思春期に関するもので、特に思春期を迎えた男女が遭遇する“性”の問題を扱っている。 時代を実によく反映した作品で、現代の感覚からすると、“性”というものに関する取り組み方や意識の持ち方に、あまりのズレを感じ、古臭さは否めない。 だが、そういった古臭い題材を扱っているにも関わらず、そこはさすがの成瀬監督作品だけあって、無難に楽しめてしまうところがまた凄い。 主演は久我美子で、純情可憐を画に描いた様な少女役を演じている。 違和感なく自然に演じており、まさに適役といえよう。 ラストに久我美子がショックからいきなり立ち上がるところは、唐突さを感じた。 戦後間もなく作られたという時代背景を考えると、これ以上“性”という題材に関して深く切り込むのは不可能だったのではないだろうか。 そこら辺りの事情が、本作の終わらせ方、そして作品全般に歯がゆさと不自然さをもたらしている気がした。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-02-27 00:35:04) |
1898. サウンド・オブ・ミュージック
《ネタバレ》 特権階級の身勝手で都合よすぎる行動に不快感が上昇。 女の方は、修道女でありながら規律を守らず、男に恋をして勝手に飛び出す。 男の方は、軍隊式教育で子供を縛りつけ、若い後妻をもらってご満悦。 子供は合唱に駆り出され合掌。 最後は都合よく小さい子供を連れての山越え。 いかにも戦勝国アメリカが作りそうな、綺麗どこ取り自分だけ幸せ取りな内容で、表面的に歌と踊りで綺麗に着飾っただけの、真実の見えない、まさにおとぎ話。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2010-02-24 23:19:20) |
1899. ピカソ-天才の秘密
ピカソが身近に感じられるという点だけでも、あまりに貴重な作品。 しかも、ピカソ自身が「ひどい、失敗だ」ともらしたりと、人間らしい一面をのぞかせたりするのが面白い。 もう少しピカソのおしゃべりを聞きたかった気もするが、ピカソがどのように画を創り上げていくかが徹底的に描かれていて、それはそれで良かったように思う。 それにしても、ピカソの背景の描き方が鮮烈に印象に残った! さらりと簡潔に背景画を挿入したりするのだが、これが実にシンプルでいて、何を現しているかが分かってしまうところが凄い。 裸で去るラストのピカソはカッコよすぎた。 ところで、終始、裸なのはピカソのこだわりなのだろうか。 裸で描くと、何が変わるのだろうか? 私にはその“秘密”が最後まで分からなかった。 [インターネット(字幕)] 8点(2010-02-21 15:29:21) |
1900. 意志の勝利
(8bitさん、先にコメント失礼いたします) ヒトラー自らレニ監督に依頼し創らせたという、まさに歴史に残るドキュメンタリー映画。 本作の最大の見所は、やはり終幕のヒトラー演説のシーン。 いつもに増してヒトラーが計算ずくのハイテンションとジェスチャーで、民衆を扇動する。 この演説シーンは、まさに圧巻で、自分がその場所にもし居たら、間違いなく洗脳されるだろう、と思わせるだけの凄みがある。 そして、この演説は、何故か聴いていて元気が出る。 仕事の疲れが、何故か取れていく。 つまり、過去の映像であるにも関わらず、ヒトラーという類い稀な人物のエネルギーが、画面を通して自分に伝わってくるのだ。 自分は別にヒトラーが好きではないが、少なくとも、この演説シーンを観ている間は、そう感じた。 民衆を一つの方向へ向けて一致団結させ動かす、その演説のエネルギーたるは、時空を超える凄さであった。 これだけの才能とバイタリティを持つ人間は、おそらく長い歴史をみても少数であろう。 こういった人間は、常人を超えた才能を持つがゆえに、その目標も高く、限られた時間でその高い目標を達成するために過激な手段を選択してしまう。 つまり、ナチスでいう過激な手段とは、独裁であり、戦争であった。 超人的な能力を持つ人間こそが持つ危険性。 そして、その超人的な人間が扇動した時に、衆人が影響を受けてしまう危険性。 更には群集心理。 ナチス・ドイツという世紀の悪玉が生まれ膨張していったその様子を、このドキュメンタリーは鮮烈に捉えており、色々な意味で映画史に残る傑作ドキュメンタリーと言えるのではないだろうか。 [インターネット(字幕)] 7点(2010-02-20 23:51:40)(良:1票) |