1961. 恋
《ネタバレ》 何だか二線級のにおいがプンプンと漂う作品だった。 映像はキレ味の悪い凡庸なカラーだし、音楽も何の印象も残らない。 そして話は分かりづらく、意味が分かった後も、大した感銘を受けられず。 要するに、「子供が大人な男女の汚い世界を目の当たりにしてしまい、心的外傷を負った」という話なのだが、大してショッキングな題材とも思えず、どうにも感情移入できなかった。 [ビデオ(字幕)] 3点(2009-06-12 23:00:37) |
1962. 略称・連続射殺魔
《ネタバレ》 これほど内容の薄い90分映画を観たのは久しぶりな気がする。 それだけ内容がない。 犯人の足跡をただ辿っただけの映像に、時折、思い出した様に入ってくるナレーション。 この組み合わせで90分をやってのける。 こんなのやってのけられたら、観ているこちらはたまったもんじゃない。 だがしかーし、退屈な内容とは裏腹に、1960年代後半の街風景をも映し出した本作は、これ以上なく私を刺激した。 戦後間もない雰囲気とも異なり、又、1970年代以降の高度成長しきった雰囲気とも異なる、私が観たことのない東京の街風景がそこにあった。 内容は全くもってボツだが、常に変化する東京という街の、瞬間的な街風景を世に残したという観点において、非常に価値のある1本であろう。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-06-11 22:12:54) |
1963. カンヌ映画通り
これなんだ? カンヌ映画祭に素人が乗り込んだ際の、敷居の高さを訴えたいのかな? 結局、よくワカラン作風に乗り切れないうちに終わってしまった。 ただし、往年のスター達が出てくるシーンには目を奪われた。 やっぱり、若い頃のフェリーニはカッコイイ! そのほか、ブリジット・バルドー、クラウディア・カルディナーレ、マリリン・モンローなど、華やかな登場シーンが観られたのが良かった。 [ビデオ(字幕)] 3点(2009-06-09 22:19:18) |
1964. 旅芸人の記録
やはり、この監督とはすこぶる合わない。 なんでこんなに尺が長いのか。 退屈なだけのロングショットに何を感じればいいのか。 というか、内容はこれでいいのか? 映像は綺麗だけど、感銘を受けるほど綺麗なわけじゃなし。 辛いだけの4時間弱。 休日の半分を割いて観るには辛すぎる映画。 ただ唯一のインパクトは、「ヤクセンボーレ!」の掛け声と共に行進しながら唄う人達。 ヤクセンボーレ! ヤクセンボーレ! うーん・・ 4時間弱、辛い映画を観て生まれた感想が「ヤクセンボーレ!」だけってのは、いかにも辛い。 [DVD(字幕)] 1点(2009-06-08 02:16:42) |
1965. 宮本武蔵 一乗寺の決斗
《ネタバレ》 1対73の対決がラストで炸裂! 動きのある対決シーンも勿論見事だが、何と言ってもロケーションと、その演出が飛び抜けて良い。 下り松とやらの大木が、田んぼの真ん中にそそり立っている。 それを早朝明け方の薄暗い映像で見せる。 戦いの火蓋が落とされる前の緊張感。 このモノクロめいた、明け方の映像から滲み出る緊迫感の演出がとにかく見事! 陽が昇る前の静けさと不気味さ、戦いの前の緊張感、暗がりにそびえ立つ下り松の不気味な迫力、そして武蔵の鬼気迫る眼光。 いやはや、このラストシーンは内田吐夢の並々ならぬ気合いを感じ、観ているこちらにもその気合いと緊張感がビシビシと伝わってくるシーンだった。 時代劇映画の中でも屈指の傑作であることは間違いない。 (P.S.) 高倉健の佐々木小次郎が、なかなかの魅力。 どこかコミカルだが、とてもスタイリッシュでもあり、カッコいい。 「だまらっしゃい!」 これにはシビれ笑けた。 その他、佐藤慶、河原崎長一郎、平幹二朗ら脇役陣も個性溢れる熱演を披露。 ただし、入江若葉は相変わらず気持ち悪かった。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-06-05 00:53:16) |
1966. 宮本武蔵 二刀流開眼
佐々木小次郎を演じた若き日の高倉健、初登場! これがかなりキマっていてカッコいい! 武蔵を演じた錦之助がかすんでしまう程の存在感だ。 (P.S.) 入江若葉は気持ち悪かった。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2009-06-02 00:56:24) |
1967. 真珠の耳飾りの少女
《ネタバレ》 何か起こりそうな雰囲気のする序盤から中盤。 しかし、何も起らなかった終盤。 スカーレット・ヨハンソンは終始、頭巾をかぶっている。 しかし、一度だけその頭巾を取るシーンが出てくる。 そのシーンの、なんとエロティックなことか。 ただ頭巾を取るだけなのに、何だかいやらしい。 恥じらいながら頭巾をとるその仕草が、何とも言えずいやらしいのだ。 直接的な性の描写は少ないのに、全体的にエロティックな香りの漂った作品だった。 というより、スカーレット・ヨハンソンが召使いに下宿しに来る時点で、いやらしい設定なわけだが。 [DVD(字幕)] 5点(2009-05-31 00:59:30) |
1968. 小さな中国のお針子
中国映画だと思っていたら、フランス映画だったとは。 テンポも悪くないし、映像もそれなりに綺麗だし、話も普通に楽しめた。 これといったパンチもなく、衝撃もなく、感動もなく・・・ うーん、これは何と言ったらいいか。 つまらなくもないけど、面白くもない。 ヒロインの女性も、綺麗じゃないけどブサイクでもない。 中国映画じゃないけど、フランス映画の雰囲気でもない・・・ それはそうと、この作品は山峡ダム建設がテーマになっていたとは。 “山峡ダムによって水の中に沈んだ男女3人の青春の思い出” そんな感じの作品。 [DVD(字幕)] 6点(2009-05-28 21:28:03) |
1969. 燃えよドラゴン
ひゃー、オープニングロール時に流れる、あの音楽。 素晴らしい! そして、そのバックに流れる返還前の香港の映像。 実にエキゾチック! 啓徳空港が演出する香港の風物詩、ビルすれすれの飛行機の離着陸が映される。 この映像とこの音楽。 そしてテクニカラー。 そしてそしてブルース・リーのアチョー!の叫び声。 このオープニングだけで既に興奮状態になってしまった。 ところがところが・・・ 内容は非常に退屈。 しかも微妙に分かりづらいストーリー。 何故、この外人達が香港に集まってきているのか? 何故、こいつらは戦っているのか? その目的を理解できなかった私は、致命傷を負った。 アチョー!! チャーン、チャーン、チャーン、チャラーン♪ アチョー! そう、退屈な致命傷を負ったのである。 それにしても、やたらにマッチョなアジア人が出てきたが、あれは凄い! 西洋人、顔負けの体格。 あれぞまさに東洋の神秘。 そして義手のオッサン。 香港映画界では超がつく有名俳優のようだが、どうにも外見が弱い。 しかもはげているし・・・ [DVD(字幕)] 6点(2009-05-24 19:13:45) |
1970. キートンのセブン・チャンス
《ネタバレ》 沢山の花嫁が出てくるという内容をあらかじめどこかで見聞きしていたので、存分には楽しめなかった。 しかも、DVDの淀川長治氏による解説も相変わらずネタバレ全開である。 本作ではキートンのスタントはあまり出てこない。 後半にやっと出てくる程度である。 キートンの、あの無謀なスタントが大好きなので物足りなかった。 [DVD(字幕)] 6点(2009-05-24 19:04:53) |
1971. チャップリンのゴルフ狂時代
傑作とどこかの解説に書いてあったが、チャップリンの短編の中で特に秀でてるとは感じなかった。 チャップリンは一人二役で大活躍なんだけど、動きの面白さもそんなでもなく、泣き所もなく、で期待外れの感があった。 ただ、ゴルフがらみの寸劇はさすがの一言。 楽しむことができた。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-05-24 19:03:15) |
1972. 濹東綺譚(1960)
新藤兼人監督のリメイク版を先に見ていたが、脚本はかなり異なった趣で、ストーリーは新鮮味をもって楽しむことができた。 芥川比呂志の演技も控えめな味わいがあって素晴らしく、隅田川べりにあった「玉ノ井」の娼婦街も、場末な雰囲気が出ていて素晴らしかった。 街の風景描写を楽しみ、昭和初期の東京下町風情を楽しめる作品に仕上がっている。 でも山本富士子がなぁ… [映画館(邦画)] 6点(2009-05-24 18:57:17) |
1973. ペイルライダー
《ネタバレ》 イーストウッド好きにはたまらない作品だろう。 何しろ、肉弾戦でも強い、銃を扱わせても速い、15歳の少女には告白され、熟女には熱いキスを受けての親子ドンブリ状態、最後は一人で悪役連をなぎたおし、善良な村人達を救ったヒーローはひとり去っていく・・・のだから。 だけど、私のようなイーストウッドに対して特別な興味を持っていない人間がこの作品を観たら、どうだろう。 監督して製作して主演をはって、やりたい放題。 大体、人間、歳をとればどんな人間でも反射神経は鈍り、早撃ちは無理になるはず。 男が50過ぎて、15歳の少女から告白を受けるなんてことはありえないし、仮にあったとしても、それを男が断るはずはない。 それに多勢に無勢という言葉があるように、いくら強くても多人数を相手に回して勝てるワケがない。 少女がレイプされようとしているその瞬間に助けにくるタイミングは、リアリティを欠く都合よすぎるタイミングで興ざめ。 まあ、それらはともかく、イーストウッドのやりたい放題にどこまで陶酔できるか、これが本作を楽しめるか否かの分かれ目であることだけは間違いない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-05-10 11:57:57) |
1974. 宮本武蔵 般若坂の決斗
まったりまったりと観ているうちに、いつの間にかラストの般若坂のシーンへ。 錦之助の立ち回りは斬新さと躍動感があり、さすがの素晴らしさだった。 しかし、それ以外に心を動かされたり、興奮したり、感情移入できたりしたシーンなどはなく、これまた一作目に続き、自分の中で名前負けの部類に入ってしまった。 今回も残念だった。 次回の三作目に期待。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2009-05-09 01:58:04) |
1975. 宮本武蔵(1961)
内田吐夢監督の代表的シリーズ作品。 そして、日本映画を代表するシリーズ大作。 それだけに、不満。 これなら、まだ溝口健二の撮った『宮本武蔵』の方が良い。 シリーズ大作って、『仁義なき戦い』シリーズにしてもそうだけど、評価が高い割に、自分的にはそれほどではないと感じるものが多く、本シリーズもその例にもれないんじゃないかと、ちと不安になった。 次回作以降に期待。 不安だが期待したい。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2009-05-08 22:06:08) |
1976. 君のいた永遠(とき)
《ネタバレ》 前半のあまりにつまらなすぎる恋愛絵巻に愕然とするも、後半になるにつれ、男女二人のエピソードに俄然、深みが増してくる。 後半の盛り返し、そしてラストシーンの印象度が、前半のどうでもいい雰囲気を挽回せしめた。 シルヴィア・チャンの一人相撲的作品で、シルヴィア・チャン好きにはたまらない作品かもしれないが、シルヴィア・チャンに特別な興味を持っていない私にとっては、気持ちの悪い(?)作品だった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-05-06 02:12:07) |
1977. ドラゴンへの道/最後のブルース・リー
《ネタバレ》 こんなにもブルース・リー作品が素晴らしかったとは! 前半のコミカルな音楽と、ブルース・リーのとぼけた演技。 とってつけたような欧米女性のオッパイ露出シーンと、楳図かずお似のオカマキャラの登場。 これで笑いを誘っておいて、後半へ突入。 後半になって、前半で溜められていたブルース・リーのアクションが解禁! アクセル全開モードへ! そしてラストでは、全米ナンバー1空手家(!)である金髪外人とのガチンコ対決。 しかも場所は、ローマの観光地、コロッセオ。 盛り上げ方も素晴らしい。 しかし、エンドロールで気付いたが、ボスキャラがあのチャック・ノリスだったとは! なんかどこかで見たことのある顔だなぁ・・・と思っていたら、『デルタ・フォース』のチャックだったんだねー いやだけどさぁ、、硬派なキャラというのは分かるんだけど、女性との別れ際、つまりラストシーンで、ホッペでいいから軽くチューくらいしてよねー、うん、モゥー、いくじなし♪ [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-05 22:33:57)(良:1票) |
1978. 女体渦巻島
これは何と言ったらいいか・・・ 石井輝男ワールド全開というか、B級路線の極みというか、うぅむ。。 石井輝男好きとしては、ここで感想を終わらせたい作品なのだが、強いて感想を言えば、 「石井輝男を好きな人なら間違いなく楽しめる内容。そうでない人には無理な内容。」 って感じかなぁ。 それにしても、吉田輝雄に天知茂のご両人。 いずれもひけをとらずニヒル! 特に天知茂のニヒルぶりと成りきりぶりは凄い!の一言だ。 そして、三原葉子は相変わらず顔が下膨れである。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2009-05-04 23:12:42) |
1979. 禁じられた遊び(1952)
《ネタバレ》 この音楽に、この子役! まさに名作中の名作だ。 少年と少女の心の交流。 そして別れ。 素朴な内容ながら、美しいモノクロ映像と、かの有名な美しいテーマ曲が織り成す総合芸術品として、見事な趣きに仕上がっている。 ラストシーン。 ミシェルという名前に反応する少女。 そのつぶらな瞳には涙が・・・ あー、なんて素晴らしいシーンだろうか。 胸がジーンと熱くなった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-05-04 20:40:49) |
1980. 舞踏会の手帖
《ネタバレ》 初舞踏会という、一生忘れないであろう晴れ舞台。 一生に一度の思い出の場所。 煌めく青春の思い出。 それはとても遠い日の記憶で、なおのこと美化されている。 そして、「あの頃は良かった」という、ある種の呪縛にかかっているのだ。 つまり過去にとらわれている。 そんな状態を打破する為にも、主人公の女性が取った、思い出の人達を訪ねて回るという行動は、意味があったのではないだろうか。 しかし一方で、せっかくの若き日の思い出を、歳月が過ぎてから暴いてしまうことで、本作のような幻滅を味わってしまいかねない。 だけど、やっぱり私なら、ふとした時に過去の素晴らしき思い出の人と会いたいと思うだろう。 別にそれは過去の縛りから脱却したいとか、もう一度ロマンスを味わいたいとか、そんな大げさな理由からではなく、単なる好奇心を満たす為ではあるが。 実際それに似たことを実生活でも実行したことがあるが、別に感慨めいたものはなく、むしろ相手方が自分が思っていた以上には自分のことを憶えていてくれなくて、ガッカリしたという経験がある。 青春の淡い思い出の蓋をもう一度開けてみたい、だけど、幻滅するかもしれない。 開けてみた方がいいのか、それとも、そのまま閉じておいた方がいいのか。 このテーマを様々なエピソードを交えて表現した本作は、なかなか見応えがあった。 ただテンポが悪く、尺の長さも気になった。 思い出の地や思い出の人を久しぶりに訪れたい。 このノスタルジアに溢れたテーマ。 実に興味ひかれるテーマである。 それにしても、最後の終わらせ方が印象的だ。 これから初舞踏会を迎える男に、自分の人生をダブらせて、肩をそっと押してあげる主人公の女性。 結局、この女性にとって、若かりし頃の初舞踏会の思い出は、やはり美しく輝きを持ったまま、この女性の心の中に残っている。 そんな女性の胸中を、やんわりと観る者に伝える、味のあるラストであった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-05-04 01:46:59) |