1. ロバと王女
シャルル・ペローの寓話がミシェル・ルグランの音楽にのせて色鮮やかに綴られるドゥミの映画。青い色調で整えられた王様の国、赤い色調で整えられた隣家の王子の国、そして森へ逃げ込んだドヌーヴは緑色の色彩に彩られます。青、赤、緑・・・これは光の三原色であり、この三色を混ぜ合わせると白くなります。カメラのホワイトバランスは白さえ表現できればすべての色が表現可能であるとの光の原理であり、注目すべきは“白”となります。ペランとドヌーヴが現実から抜け出しランデヴーする丘のシーンは、白い衣装を纏った二人がオールマイティの夢幻を表現します。そしてラストの白で統一された衣装に、愛の普遍性が突き抜けていくのでありました。 [映画館(字幕)] 8点(2006-06-23 22:55:26) |
2. 都会のアリス
“都会の”アリスが着ているジャンパーの“ALASKA”の文字がいいですね~。アメリカ、オランダ、ドイツ、中国語のような音楽が流れる店、イタリア人が住んでいる家。場所にいくら自分を刻みつけようとしても写真は現実のように写りません。どこにいてもどこにもいない彼がようやく出会った存在の場所、アリス。お母さん、おばあちゃんと男の臭いが全くなかったアリスが初めて出会った男、ウィンター。アリスが撮ったウィンターの写真にアリスが反射して写りこむショットの2人の重なりは爽快です。その後、ジュークボックスの少年や自転車に乗っている少年を見つめるアリスの視線もいい。存在すべきは場所ではないことを確認するように、ウィンターが再びインスタントカメラを手にしたのは船の上、ラストは当然のように列車の中。転石は苔むしたのでした。 [DVD(字幕)] 9点(2005-11-22 13:21:58) |
3. リトル・ロマンス
初登場シーンから胡散臭そうなローレンス・オリヴィエがやっぱりいいな~。いかがわしさとロミオとジュリエットを一緒にしようとする神父のような優しさがごちゃ混ぜになったような老紳士にぴったりです。そしてダニエルが競馬場のからくりを知り、論理は勘よりも強しとニコッとするところなんかも好きです。そのダニエルがゴンドラの船頭を突き飛ばしてまで、非論理な伝説を作ろうとする必死な描写についこのリトルカップルを応援してしまうんですね~。夕日から引いたカメラが警察の一室にいるオリヴィエをとらえるシーン、そして鐘の音を聞くオリヴィエの表情・・・老紳士は自らのリトルロマンスをこの二人に投影したかのようで、見ているこちらも純な気分になりました。さてと現実は・・・はぁ~ため息ですな~。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-07-20 21:59:46)(良:1票) |
4. 木枯し紋次郎
無宿渡世で人との関わりを避け、孤独に旅する紋次郎さん。菅原文太の紋次郎は、テレビドラマの中村敦夫の朴訥とした“となりのおっさん”的な雰囲気とはまた違い、静的な存在感がニヒルに漂いますが、お決まりのように情にほだされ、この映画では島流しの罪人を引き受けてしまいます。そして三宅島では大噴火に遭い海上では大嵐になってしまうスケールの大きさ。さすがに自然災害には「あっしには関わりのねぇことでござんす」とは言えないようです。手持ちカメラのもの凄いブレの映像や、海のブルー、竹林のグリーンを背景にした人物ショットなどカメラ的な見所も随所に散りばめられ、ラストでついに紋次郎の楊枝が敵キャラに突き刺さり、待ちに待った「あっしには~~」の台詞とともに闇に消える後姿の紋次郎・・・キャ~、という黄色い悲鳴が聞こえてきそうです。しかしあのドンデン返し・・・その後の紋次郎さんがトラウマにならないか心配ですが、そんなことは「あっしには関わりねぇことでごさんす」と私が言ってみてもどこからも黄色い悲鳴など聞こえるはずはありませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-06-07 12:17:52) |
5. チャンス(1979)
チャンスが持ち歩いているテレビのリモコン、これこそが彼にとっての唯一無比の武器なのでしょうね~。リモコンは剣よりもペンよりも強いのです。それは見たいモノだけを選び得ると同時に見たくないモノを一瞬に消し去る魔法のツールなのでしょうな。街中でからまれた少年たちにリモコンを向けるのは彼らを目の前から消し去ろうとしたのでしょう。そして見たいものだけを見るという身体的に忠実なる慣行により育ったチャンスは、身体と言葉に乖離のない<Being There>な人となり、ブラウン管の向うをまねるというカタチが彼にとっては全てとなって、よって大統領も女性の肉体も人の死も「テレビで見たことがある」以上でも以下でもないカタチとしてしか写らない。そしてチャンスのような人間に出会ったことがない周囲の人間たちの言動の中に「人間」を感じてしまうのは、私がその周囲の人間たちと同類であることの証明なのであります。 8点(2005-02-25 23:17:03) |
6. ザッツ・エンタテインメント
買っちゃいました♪ザッツ・エンタテインメントDVD-BOX。早速見ております・・・テイラーが申しておりましたように私も「おとぎの国にいるような気持になれました」。しかし、つくづく個人的に見ていない作品多いな~。なんかこういう作品は、レビューする資格みたいなものがいるような気がするので、ちょっと私にはそれが足りないかも。↓の方々の滲み出るような嬉しさや楽しさを肌に感じながらそう思います。ということでこれだけ未見の楽しそうなミュージカルを見せられちゃ~、それらを見るまでそう簡単には死ねない!生き力が漲ってきました。自殺の名所には、このDVDとテレビを置いておくのもいいかも知れませんね。そうだい、人生は歌って踊って魔法にかかって、さあ Over The Rainbow! 9点(2004-11-20 22:05:52)(良:1票) |
7. ピクニックatハンギング・ロック
ピーター・ウィアーさんのオーストラリア時代の作品。幻想的な映像に哲学的な言葉、パンの笛、ピアノ音がのせられ、神秘的な映像世界を構築しております。ピクニックでまどろむ女生徒達をソフトフォーカスでゆっくりと追っていくカメラワーク、手前に草木をぼかして撮り上げた構図、終始晴れ渡ったハンギングロックの木漏れ日、そしてアン・ランバート演じる少女の純たる清楚美・・・見ている方が神隠しにあうほどに吸い込まれてしまいます。ストッキングを脱ぐ少女の足をアップで、次々と寝転ぶ裸足の少女達を俯瞰したショットでとらえ、官能と神秘を同化させています。時計の止まったハンギングロックに響く少女の叫び声から、校長室にカットを移しカチカチと時を刻む柱時計の音・・・時を対比させた見事なシーン転換ですね~。神隠し後の後半も、冗長にならずに残った人間の心理描写を、校長先生を中心に細やかに描いているあたり、う~ん、これは傑作! 9点(2004-11-05 13:04:19)(良:1票) |
8. ペーパー・ムーン
私がこの映画の好きなシーンは3つ。1つ目、アディがラジオの話のオチを先にばらすところ。ひとりぼっちでラジオだけが話し相手であったことがわかりグッときます。2つ目、リボンのアップから引いたアディのふくれっ面。「似合わね~」と思っている見事な表情です。3つ目、アディが母と二人で写った写真を取り出し、母のポーズをマネするところ。生意気ながら母への思いが透けて見えてウルウルッときます。う~む、やっぱりテイタム・オニールばかりだな~。禁酒法下のアメリカ、親子の情感を乾いたモノクロームのタッチで描いた秀作です。 9点(2004-10-24 22:17:11)(良:4票) |
9. ゴールキーパーの不安
これは、サッカーファンだから、サポーターを自負しているからという理由で見てはいけません。間違っても先のアジアカップ、ヨルダン戦の川口に触発され、ゴールキーパーという職業に魅惑された者が衝動的に見てはいけません。審判の判定に怒った主人公のキーパーが試合場を飛び出し、うだうだ映画を見たり、女性と関係をもったり、喧嘩をしたりする内容です。日常をたんたんと描いているのかいえば、突然とんでもない非日常的なこと、お縄頂戴的なことをしでかします。しかしそこに感情の起伏は見えず、やたらジュークボックスへコインを投げ入れるだけです。どうもこのジュークボックスが意味ありげなんですが、うーん・・・。なにやらヴェンダースらしきフェロモンに惹かれそうにもなりながら、正直、自陣でディフェンダー同士がパスを回しているようで、ブーイングが聞こえてきそうな作品でありました。 5点(2004-08-23 11:09:38) |
10. テス
《ネタバレ》 時代、家柄、血筋に翻弄されながら、自らの運命に身をまかせるテス。その加速の始まりが、名門の家柄だと知った時からだというのがなんとも皮肉。あの牧師の一言から彼女の人生はズレていく。その後は、ズレ、ズレ、ズレ・・・。そしてついに最後には、そのズレを強引に元に戻すかのように天井が赤でにじむ。捕らえられた後に昇る太陽がズレを象徴しているかのようであった。牧師の一言がなかったら彼女の人生は幸せだったのか、その一言があって彼女は不幸せだったのか。それはきっと誰にもわからない、と思う。 6点(2004-03-21 01:15:09) |
11. クレイマー、クレイマー
子どもの親権を前妻と争いながら、これはテッド対テッド、前の自分対今の自分との闘いではなかろうか。焦げたフレンチトースト対出来のいいフレンチトーストとの闘いと言いかえるとどこかチャーミング。 7点(2004-03-12 19:49:54) |
12. サンシャイン・ボーイズ
《ネタバレ》 三谷幸喜さんの劇団、東京サンシャインボーイズの名前の由来となった作品。数年前の三谷さんの芝居『バッド・ニュース★グッド・タイミング』はこの作品がモチーフになっていたのね。内容的には、倒れてからのウィリーが憎まれ口をたたきながらも人恋しさを感じさせ、養老院のオチもどこかすがすがしい。最後に奇妙な友情を感じさせるところは今度映画化される『笑の大学』に通じるものがある。 7点(2004-03-05 23:45:23) |
13. ある愛の詩(1970)
うちは無添加の「愛」が売りですぜぃ、という店の料理を素直に「おいしい」と言えなくなってしまっている自分に反省。でもどうすりゃいいんだろう。 6点(2004-03-03 12:42:18) |