1. 言の葉の庭
《ネタバレ》 クライマックス、はだしで追いかけるシーンは良かったなぁ。 そうじゃなくっちゃ。「秒速5センチメートル」があまりにの、エンディングだったので これも同じかと思ってたら、ちゃんとしっかり追いかけてくれて、うれしかったです。 ただ靴職人を目指す上での覚悟みたいなものとか、病んでいるはずのヒロインの追いつめられた 感みたいなものは薄かったなあ。リアリティを犠牲にして、美しさを選びすぎている気はした。 また、ライティングの効果とかはちょっとやりすぎで、2Dアニメの絵をむしろそこねているように 感じた。 [インターネット(邦画)] 8点(2017-03-26 15:45:15) |
2. 秒速5センチメートル(2007)
《ネタバレ》 個人的に第一話が良かった。 現在栃木県民で、子どもの頃小田急線も使ってたから、 夜の冬のホームで、乗り換えの列車待ちのせつなさやら、待ち合わせの時間がどんどんすぎていく焦燥感やらの リアリティはすごかった。これって携帯以前の世代にしかあんまり実感もてないんじゃないかなあ。 あと、ボタンを押してしめる扉とか、東京の人は知らないよね。 僕は東広島ではじめて知ったけど。 ただ、滅多に雪の降らない栃木で雪が降ると電車が大変なことになることは、栃木の人みんな知ってるから、 天気予報で明日雪が降るかもっていう時点で、会いにきてもらうのふつう延期するよな、とは思う。 あかりちゃん、しっかりしてよ。 それに栃木ってそんなに遠くないよ。僕は小学校5、6年の頃、神奈川から東京に毎週末通ってたけど、 せいぜいその倍くらいの時間でいけちゃうから、ふつうに週末の朝でかければ時々会えたんじゃないとも思う。 久しぶりの彼女と会うのに、なんで夕方に出かけるかな、ちょっとありえなくない? そういうのも、お話の都合なんだろうなとは思った。 あとみんなも書いてるけど、やっと会えたと思ったら、そこから納屋で一泊って。 「北の国から」じゃないんだから。おかあさん、心配してるよ。 もっとも、納屋で一泊って、もし本当にあったら、あの年頃だとすごくすごく特別なことだろうから、 その印象がずっと抜けないっていうのは、確かにわかる気もする。 年齢設定的にも、このせつなさの感じ、「僕だけがいない街」とリンクしてた。 第二話はなんだか、主人公の「自分は特別」感をもりたてるために、女の子が使われてる感があって、 僕は好きになれなかった。 第三話、彼女と別れて、仕事も辞めて、すごく落ち込んでいる時に、 過去の彼女と再会して、でもすれちがってそれだけって、 それは物語のエンディングとしてどうなのよ。 「まだまだひきずってる、俺はだめだな」とかそういうのがきっとあるはずでしょ。 見終わって、意味がわからなくて、ここでみんなのレビューみて、 いちおうお話の筋は分かったんだけど、妙にきれいすぎるし、よくわからないなって。 one more chanceも、大好きな曲だけど、死んでしまった二度と会えない彼女への思いの曲だって 思ってるから、そういう思いならもっと他にやるべきことあるだろ、 見失ったら、カッコ悪くても探しに行けよ、まだすぐそこにいるだろって 思っちゃったかも。 でもこんないろいろ感想書きたくなるくらい、心を動かされた映画ではあった。 ちなみに、新海さん、昨日はじめて「ほしのこえ」を見て、これが二作目。 NHKのスイッチインタビューで、どんなこだわりがあるのかとかは聞いていたから、 光とか雲とかの情景描写は、このあとさらにつきつめていくんだなあっていうのは感じた。 [インターネット(邦画)] 7点(2017-03-26 10:23:28) |
3. 愛のむきだし
満島ひかりが演技に開眼した作品というので見たけど、B級映画にしては長すぎる。満島ひかりが、演技の幅を広げたのは間違いないが、安野さくらはちょっとひどすぎる。どこで開花したんだろう。今は素晴らしいのに。 [DVD(邦画)] 3点(2017-03-17 10:23:36) |
4. ボビー・フィッシャーを探して
子どもを育てる上で、一つのことを成し遂げることを優先するのか、その楽しみを優先するのか、あるいはそのどこかにバランスがあるのか。 この映画を作った人たち(監督や原作者など)は、バランス派で、そのバランスがくずれる瞬間、それをいかにとりもどすのかをとても劇的に描いている。お母さんが先生を追い出す場面には強く胸を打たれた。そのほどよいバランスがどこにあるのかということは、きっとそれぞれの人、それぞれの人生ごとにあるのだろうけれど、少なくともそのバランスが失われた状態については、多くの人が納得するような合意点があるだろうと思う。この映画が選んでいる中庸の結論は、論理的な結論を出すことからの逃避のようにも、いい加減なハッピーエンドのようにも見えるかもしれないけれど、僕は真実はやはりそうした中庸の中にあるのだろうと思う。自分もやはりこの父親のように極端にはしりがちなところがあるので、妻ともよく話し合いながら正しいバランスを失わないように気をつけたいと思った。 [地上波(字幕)] 8点(2016-11-21 01:31:14) |
5. レイダース/失われたアーク《聖櫃》
子どもの頃見て以来、ひさしぶりに(30年ぶり・・)。 自分の子どもと一緒に見ていると、暴力シーンが気になる。 小学生が見るような映画じゃないね。見せてしまったことをちょっと後悔。 序盤の、宝さがしのシーン(玉がごろごろ)の印象ばかりが残っていて、 主人公はこんなにもたくさん人を殺していたんだなあとあらためて感じた。 また、聖書に関する知識も若干つくと、アメリカ人の怒れる神のイメージって、 こんなものなのかなって、逆に拍子抜け。 ユダヤの神の、不信心者に対する仕打ちって この程度じゃないはずなので。 [地上波(字幕)] 6点(2016-09-05 12:57:09) |
6. ミート・ザ・ペアレンツ
ちょっとやりすぎ感はあるけれど、ラストに向けての直接対決にはほろっとさせられました。 [DVD(字幕)] 6点(2014-01-17 13:52:52) |
7. 愛のメモリー
デパルマ、久しぶりだけど、まだ最近も現役なんだよね。 音楽がやたらとおおげさで、ミステリーとしてもああやっぱりなという感じなんだけど、雰囲気のあるいい映画です。フィレンツェのシーンも、観光旅行に行ったときのイメージに重なって、懐かしかった。 [地上波(字幕)] 6点(2013-08-06 22:24:54) |
8. SAYURI
エキゾチック・ジャパン、という感じですね。どちらかというと、僕らには中華風に見えるけれど、その中国のイメージさえ、映画からきてるところも大きいから、こうなると何が本当だかさっぱり。にしても直前に、MHK新日本風土記「鴨川」で、舞妓さんを見た直後だったから、違いが際立った。京都らしい、はんなりとした強さとか色気というものは、アメリカ人には理解できないのかなぁ。僕はそれにあこがれて京都に行ったんだけど。 とはいえ、これはこれで美しかったし、都おどりも、あののっぺりした照明はやめて、もうちょっとめりはりのきいた演出を考えてもいいのではないかなぁと思った。本当に伝統というなら、かつては灯明をともしていたのだろうし、明るい照明は何をやっても伝統とはかけ離れてしまうのだから、それならこういうあり方もありなのではないかなぁと。 [地上波(字幕)] 6点(2013-08-06 22:15:16) |
9. 猟奇的な彼女
とにかくやりすぎなくらい、とことんまでやるという姿勢が空回りせず、最後まで細かく楽しめた。ラストへの伏線作りも良くて、小ネタ満載の、下手するとぶつぎりになりそうなお話をちゃんとひとつにまとめきったところが見事。何となく敬遠していたけれど、見てみてよかった。同じ監督や脚本の他の作品も見てみたい。 [地上波(字幕)] 9点(2013-03-26 01:08:34) |
10. 舞台よりすてきな生活
細かいギャグは今一つ笑えない。自分の子どもが他人になついて、自分をおいて成長していってしまうのを悲しく思う母親も世の中には確かにいるかもしれない。だけれど、わざわざそういう人の話を聞きたくもなかったし、たぶん自分だったら、どちらの立場でも、子どもの成長に出会えただけでうれしいし、誰かが自分の子どもをこんなにも伸ばしてくれたら、うれしくなって、友達になりたくなると思う。でもそういう葛藤はよく描けていると思った。 [地上波(字幕)] 6点(2013-03-26 01:04:09) |
11. 踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!
シャッターあたりのアイディアは、「閉じ込められたら面白いだろう」そのためにはどうしよう、みたいに逆算してつくった感じで、リアリティがあまりになさすぎる。小泉今日子のキャラクターもここまで重い役は彼女には無理だろう。まあそれでもそれなりに楽しくは見られました。 [地上波(邦画)] 5点(2013-01-01 23:22:54) |
12. おっぱいバレー
タイトルからしてあまり期待せずに見たのだが、意外にきちんと作られた佳品だった。オープニングの、手の動きから、エンディングのバレーボールを胸にいれた男子中学生までいっかんして恥ずかしげもなくストレートにおっぱいを追求しているのが、良かった。ほぼ同年代ということもあり、時代設定にも懐かしさを感じた(物語的な必然性はなさそうだったが)。 [地上波(邦画)] 8点(2012-12-31 01:33:43) |
13. ジュリー&ジュリア
冒頭、白黒テレビの中でのジュリアの料理シーンに、ジュリーが「adorable(可愛い人ね)」とコメントするところがあって、アメリカにも、かわいいおばあちゃんいるじゃんっていうことを発見してしまった。そう、まさにアメリカ版かわいいおばあちゃんなんだろう。NHKの大河ドラマの主役になりそうな人だ。でかくて、負けず嫌いで、とても明るい。あけっぴろげで、細かい駆け引きとはしなさそうで、うれしいときにはいっぱい笑い、悲しいときにも思いっきり泣く。そしていつもきれいにしている。良い友人に囲まれ、とりわけ素敵なだんなさんに愛され・つくされ、幸せいっぱい。 こういうイメージがアメリカのかわいいおばあちゃんなんだなって、よくわかった。 かわいいおばあちゃんが世界共通、時空を超えて普遍的なのか、それとも、日本とアメリカの共通性なのか、あるいは現代日本と現代アメリカの共通性なのか。 ただし、僕にはメリルはあんまり魅力的にはうつらなかった。演技がおおげさすぎるように思って。 後からジュリア本人の料理番組をYOUTUBEで見てみた(やまほどあった)。うん、やっぱりメリルの演技はわざとらしい感じだなぁ。笑いすぎる。 ジュリア本人は(少なくともその番組のなかでは)あんまり笑わない。 彼女は、素朴で不器用でおおざっぱなところが愛されてたんだろうと思う。たぶん、「洗練されたフランス料理」というイメージとのギャップが良かったんだろうなぁ。NHKの「きょうの料理」で、やはり日本の家庭にフランス料理を広めた帝国ホテルのシェフ村上信夫のキャラと重なる感じ。 その番組ではオムレツを作ってたんだけどできあがったオムレツを「もしだれも見てなければこうして手で直しちゃっても構いません」みたいなことをやってる。もちろん誰も見てないどころか数百万の人が見ているような番組のなかなのだが。youtubeのコメントにも「clumsy(不器用)」で「lovely(かわいい)」というコメントが。なるほどね。 [地上波(字幕)] 6点(2012-04-10 21:22:11) |
14. ポーラー・エクスプレス
今のCGを見慣れてしまうと、気味の悪い人形のように見えてしまう。トム・ハンクスの声優ぶりも鼻につくし、ストーリーもはじめから最後まですきなくアップダウンをつめこんでそれでよしとしているように見える。 [地上波(字幕)] 3点(2012-04-10 20:55:23) |
15. きみに読む物語
夫も子どももわからなくなるというくらいまで進んだ認知症の人が、このようなお話をふつうに理解し、さらにはたった五分でも記憶を取り戻すなどということはないんじゃないだろうか。また身分違いの恋が、こんなふうな展開になることもまずないんじゃないだろうか。そういう違和感が最初から最後までどうしてもぬぐえず、あまり楽しめなかった。ただ雨でずぶぬれになることで、上品な世界に身を置いていた自分を忘れる、という展開はリアルだった。 [地上波(字幕)] 4点(2012-03-15 02:37:55) |
16. ワン・モア・タイム(1989)
シビル・シェパードが、大好きだった夫の生まれ変わりと主張する娘と同い年の男の子との出会いからの心の揺れを好演しています。みなの説得力ある演技で、スーパー・ロマンティックな物語に芯がしっかりと入り、最後までとても楽しく見られました。 [地上波(字幕)] 8点(2012-03-06 00:57:17) |
17. カールじいさんの空飛ぶ家
ピクサー史上最低の映画だった。子どもがとにかくうざく、カールじいさんは偏屈なばかりで、キャラクターに何も魅力を感じられない。唯一魅力的だった女の子は回想の中に登場するだけで、死んでしまっているし、空を飛んだ家は、やっかいなお荷物になってしまう。さらに物語後半では立つのがやっとだったおじいさんがジェームス・ボンド顔負けのアクションをこなしてしまい、空いた口がふさがらないばかりか、怒りすら感じてしまった。見た後は感想を書く気にもなれず、放っておかれていたので、今さらだがもう一度。 [DVD(吹替)] 1点(2012-02-16 00:22:53) |
18. トイ・ストーリー3
《ネタバレ》 音声コメンタリーを聞いてあらためて思ったが、ギリギリのシビアなバランスでできあがったストーリーラインが見事だった。 保育園の外に出るまでのところは気持ちの良い脱出劇だったけれど、そこからごみ収集車、ごみ集積場、ごみ処理施設へとどんどん状況が悪くなっていく展開に、4歳のうちの子は怖くて涙うるうる。 監督曰く、ごみ収集車の中でも一度ごみをぎゅうぎゅうに固められる中、捨てられたドールハウスの中に退避して危機一髪というエピソードがはじめあったらしいのだが、外して正解。しかしその分、ごみ処理施設では、ベルトコンベアで焼却場にどんどん流されていく、という定番の流れになるのだが、ウッディたちが助けてやったロッツォが改心し、今度はベルトコンベヤを停止させて、他の仲間を助ける側にまわると見せかけて、素通りさせてしまったのには唸った。単なるお子様映画ではないんだということを強く感じさせた瞬間だった。もう絶対助からないというような状況で、溶鉱炉の赤々とした日に照らされ、皆が手に手をとるシーンには深い感動があった。 それから最後の、ウディの謎のメッセージを見たアンディが、おもちゃを女の子に譲ることにするという展開がまた見事で、やりすぎにならないよう気をつけたと監督が語っていたけれど、ここも最高のバランスでできあがっていたように思う。おもちゃ箱に最後に残ったウッディをアンディがやっとの思いで譲る決心をし、最後に一緒に遊ぼうというところ。この表情の変化がじつによく描かれていた。リアルすぎる人間を描くのは、かなり危険な冒険だったはずで、だからこそピクサーはおもちゃやら車やらモンスターやら魚やらの話を中心に選んできていたはずなんだけれど、ここにきてその賭けに勝ったんだなと思った。 テーマに関していえば、〈おもちゃからの卒業=子どもの自分からの卒業〉という図式がまずあって、おもちゃへの感情移入が成り立つのかなとも思うので、子どもと一緒になっておもちゃで遊ぶ毎日の現在の自分からすると、この映画を実感を持ってみられるのは、アンディのお母さんと同じような立場になったときなのかなと思った。今この映画は、子離れってこんな感じかも、という予行演習的なものだったかもしれない。 [DVD(吹替)] 8点(2012-02-15 23:45:13)(良:1票) |
19. ナイト&デイ
《ネタバレ》 前半、トムはどんな状況においても完全無欠にひたすらさわやかで、パニくるキャメロンを安心させようとするのに、状況はどんどんエスカレートしていく。後半はヒーローに対して絶対の信頼を持ってしまったキャメロンが悪乗りして、必ず助けにきてくれるはずのトムを危険にさらしつつも、トムは全くひるまずにあくまでもスマートにそれに応えていく。過去のトラウマやら、葛藤やらといったものは何も出てこないし、主人公には弱点の一つもなく、悪者はずっと悪者で、サスペンス的な展開は何もない。こうしたラブコメの味付けのためだけにアクションシーンが使われるというのは新鮮だったし、エンディングも気が利いていた。まさにこの二人の魅力を最大限に生かした映画。 [DVD(字幕)] 9点(2012-01-22 22:47:06)(良:2票) |
20. トイ・ストーリー2
大量生産品として個人のオリジナリティを持たないばかりか、しばしば何らかのイメージの代理品でしかなく、それでいて壊れるまでの有限な存在であって、しかもその価値は限定された他者に決められてしまう、というおもちゃがもし語りだしたら・・・。そんなイフを実によく描き出している。そして上記のような設定は、人間中心のヒューマニズムにある一種の「欺瞞」さえも暴き、葛藤させ、考えることを迫る。そうしたおもちゃたちの中に、さらにいろいろな立場(博物館行きのレアな一品としての価値と、特定の子どもに愛されることで獲得されたオリジナリティという価値の対立など)がおかれ、生き方の選択が迫られていく。隙のない構成、ほのかな笑い、いろいろな面から見て、とても良くできた映画だと思う。それでいてすごく感動したとは言えないのは、やはり舞台設定としてのアメリカでは、自分自身のおもちゃとのつきあいの記憶のノスタルジーが呼び起されないから、なのかもしれない。 [DVD(吹替)] 7点(2012-01-10 17:53:57)(良:3票) |