1. 逃走迷路
後年のヒッチタッチの原点などは面白く見たが、悪役たちが一杯チャンスがあるというか、ピストルでズドンと主人公たちを撃てばお終いなのに、ずっと生かして置いて、結局最後はやられてしまうのは如何にも間抜けである。また、その一連の場面自体も間延びしたテンポで、せっかくの雰囲気を台無しにしてしまっている。 6点(2005-01-28 19:20:19) |
2. わが青春に悔なし
黒澤明の戦後第一作。戦前の京大滝川事件、スパイゾルゲ事件を背景に、原節子が教授令嬢役を熱演する。ストーリーは戦中の国威高揚映画の反対の、取って付けたような戦後民主主義のプロパガンダで、深みはない。全編原節子、原節子による原節子ファンのための映画といってもよく、小津作品とは違った、若く美しく激しく、汚れ役にも果敢に挑戦する原節子が可憐である。(友人の感化により、すっかり原節子ファンになってしまった。) 6点(2004-08-06 06:13:37) |
3. ハイ・シエラ
伝説の宝石強盗に二人の女を絡めた犯罪映画で、久し振りに観るボギー作品。今はバイオレンスとセックスの描写そのものを主眼とした殺伐としたものが多いが、往時はこの作品のように、犯罪映画の形を借りて人間のロマンを追及したヒューマンな名作が多くあった。ややセンチメンタルな所もあるが、名シーン、名セリフが随所にちりばめられた中々の秀作である。 8点(2004-03-30 14:16:55)(良:1票) |
4. 晩春
NHKBSで解説していた塚本晋也によると、小津ファン、原節子ファンに麦秋派と晩春派といるらしいが、俺は文句なしに麦秋派。原節子のファザコンなど何の魅力もないし、彼女は屈託なく笑っているのが一番可愛いのである。懇々と諭す笠智衆の説教臭い姿も嫌いである。 大体、俺自身、ファザコンの娘など気持悪いし、さっさと嫁に行って精神的にも金銭的にも早く扶養義務から100%解放して自由にして欲しいと思うのみである。嫁さんは「冷たい」と言うが、娘は娘、俺は俺、全く別の人生だと思う。ただ、娘の話によると、友達の親など、娘にべたべたな父親が結構多いらしい。 7点(2004-03-20 10:41:59) |
5. 疑惑の影(1943)
BS録画で久し振りに見た。筋としては何人かが指摘するように無理な運びが多々あるが、日常に潜む恐怖という彼お得意の世界が、タイトルバックから伏線たっぷりのヒッチタッチの中で描かれ、観客をラストまで引っ張って行く。何よりも、清純可憐なテレサ・ライトを見ているだけで幸せな気分になれる。 [地上波(字幕)] 8点(2004-01-30 12:47:09) |