1. 頭上の敵機
《ネタバレ》 僕は戦争映画は苦手なジャンルですが、これはどちらかというと空軍内での人間ドラマに重きを置いた作品だったので楽しめました。 まず、軍服姿のグレゴリー・ペックが実に颯爽としてカッコいい。つい数年前の「白い恐怖」の時期と比べても、体格的にも演技的にも一本の太い芯が生え、主役として風格と落ち着きが出て来た感じ。ノイローゼ演技も格段に進歩。彼とヘンリー・キング監督とのコンビ作って、実に計六作品もあったんですね。初作であるこの映画の成功によるものかと思いますが、甘物メロドラマの巨匠イメージだったこの監督に、こんな硬派な作品があったとは驚き。我がニッポン国の戦争映画で描かれた軍隊とは全然異なる、あくまで個人優先の、意外とヌルい軍内部規律構造も興味深かった。少々頭髪が淋しい一見冴えない事務方参謀役、オスカー助演賞受賞ディーン・ジャガー氏は儲け役。皆さんの↓「企業中間管理職啓蒙映画」とは言い得て妙。 [DVD(字幕)] 7点(2024-11-30 09:10:11) |
2. 80日間世界一周
80年代後半、今は無き「飯田橋佳作座」の閉館さよなら上映の時、これは大画面で観る最後のチャンスと思い勇んで駆け付け観にいきました。でもこの映画はテレ朝吹替放映時の、ちょこちょこと冗長な部分を巧くカットした短縮ヴァージョンのが絶対面白いです!だって長すぎるんだもん、オリジナルは169分?流石に途中で少々ダレる。渋いデヴィット・ニーヴンが中村正氏、ズッコケ相方役が内海賢二さん、まだ初々しい頃のシャーリー姫を我らがマドンナ小原乃梨子様なんて、吹替えファン垂涎、テッパンゴールデントリオ。日本語吹き替えバージョンの「功」の部分を改めて熱く語りたくなる。壮大なヴィクター・ヤングのテーマ曲はいつ聴いても元気が出ますね、さあ、夢と冒険の始まり始まり!ってイメージで大好き。 [映画館(字幕)] 7点(2024-11-22 11:37:22) |
3. 花の降る午後
若い頃のある時期、宮本輝氏の小説に傾倒していた事があり(傑作小説「青が散る」読了がきっかけ)これも原作を読んだ後、興味本位で映画を観たという経緯。まあこの原作自体、サクサクと軽く読めるおハナシで、宮本輝にしてはイマイチと思ったが、映画はそれに輪をかけ何のインパクトも残らない出来でした。この頃は、もう完全に着々と演技派女優としての途を歩んでいた桜田淳子が頑張ってたなあ、っていう程度。「春の夢」「骸骨ビルの庭」、短編も宮本氏の小説はいいのが沢山あるんですよね。「真夏の犬」とか。僕は彼の小説の登場人物が発する正統?関西弁が大好きなんです。一度ドラマ化された「青が散る」も含め、真摯に宮本文学と対峙した映像化作品が観てみたいなあ・・・。 [ビデオ(邦画)] 4点(2024-11-21 08:25:41) |
4. 悪の花園
《ネタバレ》 鑑賞中「黄金」や「裸の拍車」等の過去の諸作を次々と思い出す、新味が特に見いだせないウエスタン。まず、ヒーローたるクーパー氏の性格設定がハッキリしていない。元保安官と台詞にあったが、何の為に危険を冒して落盤鉱山まで同行するのか?他の人はともかく彼に限っては目的が見いだせない為、オハナシの展開に興が乗らない。金の為とは思えないし、人妻ヒロインに惹かれたようにもそれほど見えない。最後はウィドマークにおいしいところを全部持っていかれる始末。結局脇役の下っ端からどんどん命を落とし、主役級が最後まで生き残るっていうのも解りやす過ぎる。良かったのはゴツゴツした岩肌の狭い崖道でのアクションシーンと、荒くれ男どもを先導して馬を駆るスーザン・ヘイワードのカッコ良さ。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-11-17 08:37:19) |
5. プライベイトスクール
80年代前半日本で人気を誇っていた外国人女優、ソフィー・マルソー、ブルック・シールズ、ダイアン・レイン、そしてこのフィービー・ケイツ。他の3人に比べ、「グレムリン」ヒロイン以前の彼女は、かなりぞんざいな扱いをされていたような。でも黒髪でどこかアジアン的ルックスな彼女にはファンが多かった。映画公開前、卒業式のいでたちでスカートをまくっている宣伝スチールがファン雑誌で出回ってましたが、映画自体それ以上のインパクトも何もない、万事が緩めのハイティーンセックスコメディ。私はこのタイトルを聞くと、同年リリースされた、松田聖子「Canary」の「Private School」という曲を連想してしまいます。松本隆&松田聖子タッグのアルバム収録曲はシングルも含め、実に「映画的」な名曲が多かった。「瞳はダイアモンド」「マンハッタンでブレックファスト」「シェルブールは霧雨」「ピンクの豹」・・・。残念ながら映画「プライベイト・スクール」は、曲のイメージを超えるクオリティではなかったのが残念。 [地上波(吹替)] 3点(2024-11-16 09:15:36) |
6. ワーロック(1959)
主役級曲者3人の大スターを組ませ、一見正統派のウエスタンを装いつつ、実は屈折した面白さがある変化球的ウエスタン大作。ストーリーもキャラクターも平面的ではなく複雑立体的でかなりの見応え。それまで悪役が多かったウィドマーク氏がここでは一番の儲け役。ヘンリー・フォンダは、大衆が抱いている自分のイメージから少しだけ脱したかったのかな・・・?同年製作、正に本家?正統派ウエスタン「リオ・ブラボー」(10点)と比べると、何度も見返したくなるような中毒性というか爽快さには無論欠ける。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-11-16 09:01:34) |
7. 快盗ルビイ
真田広之の母親役を演じられた水野久美さんが、この母親をどのように演じたらよいかと和田監督に尋ねたところ、『北北西に進路を取れ』(59)の、ケイリー・グラントの母親役、ジェシー・ロイス・ランディスのキャラクターを参考にとアドバイスを受けたとの事。このエピソードが凄く好き。和田監督、ホントにヒッチコックが大好きなんだなあって。『泥棒成金』(56)でも、グレース・ケリーの母親役で、同じような茶目っ気のあるキャラクターでしたね。水野さん、監督の意図を見事に咀嚼された素敵な助演っぷりでした。デビュー作『麻雀放浪記』(9点)より、全体的にキレイキレイにちんまり纏り過ぎた感はあるけれど、これはこれで愉しい作品。 [映画館(字幕)] 7点(2024-11-04 08:32:37) |
8. ナチュラル
《ネタバレ》 「ロバート・レッドフォード」という役者の美点、素材の素晴らしさ、魅力の全てがナチュラルに引き出されている、数多い彼の主演作の中でも稀有な作品。この映画以降、彼じゃなくてはっていう役どころは少なくなっていった。その一点のみでは私が偏愛している「追憶」(10点)にも勝る。まだおっかなくなる以前の、グレン・クローズも良い。ラスト、夕陽を背に浴びてキャッチボールを見守る、彼女の立ち姿はまるで一幅の絵のよう。たったひとつの瑕、原作を読んだらわかるのかもしれないが、彼を狙撃する謎の女性の存在意義がイマイチ不明。ここが結構重要なポイントかと思われるのに。 [映画館(字幕)] 8点(2024-11-03 09:24:39) |
9. 地球の静止する日
約30年ぶりくらいの再見です。え、こんなのんびりした映画だったっけ?もっと群衆が阿鼻叫喚しながら逃げ惑う、緊迫感溢れるスピーディな展開じゃなかったっけ?っていうのが再見の感想。どうも同時期に併せて観た「地球最後の日」(51)「宇宙戦争」(55年版)と、内容がごっちゃになっていた模様。1951年製作という事を鑑みればSF古典映画としては上出来。シングルマザー役のパトリシア・ニール、綺麗。感情を殆ど顔に出さない(出せない?)宇宙人役のマイケル・レニーも適役。 [DVD(字幕)] 7点(2024-11-03 08:54:59) |
10. 映画に愛をこめて/アメリカの夜
フランソワ・トリュフォー監督は、本当に「映画」を観る事、撮る事、そして「役者」はもちろん、画面には現れない「スタッフ」一人ひとりに至るまで「映画人」の全てを愛していた。セミドキュメンタリーみたいな作りの作品だが、それがストレートに伝わってくる。52歳(若い!)で惜しくも早逝されたが、永遠の「映画青年」だったんだなあ・・・って、今さらながらシミジミと。台詞をなかなか覚えられない大女優役、V・コルテーゼがとにかく巧くて印象大。セクシーな肢体を売り物にした主演作がやたら多かったJ・ビセットも、当時最盛期だった美貌も含め、結局これが代表作といえるのでは。私は著名なヒッチコックとの対談集から、まずトリュフォー監督の名前を知り、遺作「日曜日が待ち遠しい!」を映画館で、後追いで「終電車」「恋のエチュード」等を観ましたが、良い意味で腰が据わっていない作風だなあと。老練成熟した作風の監督作をもっと観たかった、とはいう思いはあるけれど、それはそれでこの監督の良さが削がれてしまうような気が。 [DVD(字幕)] 8点(2024-10-26 09:24:59) |
11. 妻として女として
女優として一枚看板の主演作が殆どだった高峰秀子の、数少ない貴重な「同格女優演技バトル作品」、私見ではベストスリーのひとつ。他は「華岡青洲の妻」(ver若尾文子)「女の園」(ver高峰三枝子・岸恵子・久我美子)番外として「稲妻」(VS浦辺粂子)同じ成瀬作品でも「ひき逃げ」「娘・妻・母」なんかは、演技のしどころというかバトルという点で、少々物足りず消化不足。この作品での淡島千景は、女優としての格、存在感と押し出しの良さ、演技力においても相手役として申し分なし。名コンビ森雅之氏ですら、彼女たちの前では役柄も含め影が薄くなってしまっていた。 [地上波(邦画)] 8点(2024-09-25 14:25:10) |
12. 遠雷(1981)
《ネタバレ》 「ATG製作邦画」といえば、私の中では真夜中の深夜放送で親に隠れこっそり観ていたエロ映画という印象。ニキビ面思春期時代の消し難き思い出。他にも「サード」や、ATGではないけど「もっとしなやかに、もっとしたたかに」とか。「ヒポクラテスたち」みたいな生真面目作品もあったはずなのに。当時、田舎の地方都市でただ漫然ノホホンと日々を過ごしていた中学生には、都会VS地方という構図がいまひとつ理解できない部分もあったけれど、ルックスからして土臭い永島敏行と石田えりの、演技以前「その辺歩いてそうなあんちゃんや姉ちゃん」的存在感に圧倒されました。あと忘れられないのは↓皆さん既に述べられてる若き日の石田嬢の例の件、プラス、アカペラで♪クック、クック、クック。クック~青い鳥~♪歌唱シーン。何故にここで桜田淳子?何故にここで「わたしの青い鳥」??カラオケがまだなかった時代、こんな風に時代的に少し前の流行歌を人前で披露するのがフツ―だったんかなあ・・・。アナクロ過ぎんか?「てんとう虫のサンバ」ならまだしも。今考えてもなんだか不思議。(追記)↓anemoneさんのレビューを改めて拝見し「青い鳥」には、実はそういう意図があったんだって瞠目。 [地上波(邦画)] 7点(2024-09-23 11:32:59) |
13. 空気の無くなる日
《ネタバレ》 名で客を呼べるような有名スターが出ているわけでもなく、公民館や学校の講堂とかで上映されてもおかしくない「教育映画」みたいな、ひたすら地味な映画。商売上手な監督さんなら、クライマックスとか、もっと見せ場があるような演出をしたと思う。いや、逆にそれが妙なリアリティーをもたらした摩訶不思議なニッポン製SF?映画。製作されたのが、戦後四年目1949年という事を考慮に入れたら、平和な村に「空気がなくなる日」が来たら、さあ一体どうなる?って思いつき只その一点のみで、たいして製作費もかけずに作品をこしらえた、その心意気を自分は買います。着眼点と発想の勝利とでもいえばいいか。登場人物の中では、窓際の机の前に腰かけ、本のページをゆっくり手繰りながらじっと「その瞬間」を待つ、おんな先生の心境に一番共感しました。↓ナルホド、これは児童文学の映画化だったんですね~、観ただけでは理解出来なかったトリビア情報ありがとうございました。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-09-17 23:06:58) |
14. 喜劇 初詣列車
《ネタバレ》 東映「喜劇列車シリーズ」三部作最終作との事だが、有終の美を飾るという訳にはいかず、残念ながらこれが一番ツマラナイ。私見ではこの三部作では、四国の観光的要素もふんだんに組込まれた「団体旅行」が最上。Wikiによると、この映画の後、更に続編が作られる予定があったとのことだが、佐久間良子さんと製作会社東映との間で、作品の内容に関していざこざがあり、結局渥美さんも続編から降りてしまったとの事。お正月にこの作品が公開された1968年といえば、長寿シリーズ「男はつらいよ」が夏からスタートした記念すべき年(フジテレビドラマ版)この気勢が上がらない最終作を観る限りでは、ここで打ち止めにしておいて結果的には良かったと思われる。本筋のヒロインの弟探しエピソードがどうにもこうにも締まらず、興が全く乗らない点、プラス、渥美さんには「守りに入った」妻帯者役はやはり似合わない。「団体旅行」が面白かったのは、寅さんと同じ独身で「攻めの芝居」で押し通していたから。佐久間良子も前二作の方が、キャラクター的にも魅力があった。佐久間さんには、寅さんシリーズでもマドンナ役として登板してもらいたかったなあ・・・。初代マドンナ光本幸子、「望郷編」長山藍子に次ぐ、寅さんの悲哀がより際立つ、無意識無自覚残酷マドンナにこの頃の佐久間さんならぴったりだったと思う。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2024-08-25 18:49:30)(良:1票) |
15. 夜と霧
この映画は本当に採点が難しい。戦後の義務教育を受けた人間なら、一度は観なければいけない映画。けど、二回目観ろといわれたら、丁重にお断りしたくなる。未見の人には、絶対観なければいけない映画だよと、語り継ぎ後世にも伝えていかなければならない。決して偽善的な気持ちなどではなく、僕は強くそう思う。困った末にこの点数にしました。↓私も高校生の社会科の教材にというご意見に大賛同です。小学生や中学生には刺激が強すぎるよね、きっと。 [DVD(字幕)] 7点(2024-08-22 08:13:11)(良:1票) |
16. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 もうこれは、アラン・ドロンの演技というより、彼自身のキャラクターと「トム・リプレイ」という役柄の一体化というミラクルに尽きると思う。もちろんクレマン監督の名演出、陽光きらめく南仏風景をこの上なく美しく捉えたカメラ、そして極めつけにニーノ・ロータのあの主題曲、名邦題、一分の隙もなく匠の技で填め込まれ、どれかひとつでも欠けていたら、ここまで愛され続ける作品にはならなかった。今さら私なんぞか、最早語り尽くされた感のあるこの名作をレビューするのは、いささか気が引けていたのですが、本日、突然ドロン氏の訃報が届き・・・。私くらいの年代の方なら、子供時分、外国人の俳優でおそらく一番最初に名前を憶えたのは、男優ならアラン・ドロン、女優ならA・ヘプバーンっていうヒトが大多数だと思う。少なくとも私はそうでした。ファンだった榊原郁恵さんが「アルパシーノ+アランドロン≦あなた」って曲を歌っていたせいもあるかもしれないけれど。当時、美男子の代名詞といえば外国人ならドロン、日本人ならジュリーという時代。主演作多数のドロン氏だが、必見三作品を選ぶなら、まずは私がメタ好きな「冒険者たち」、そして本作、あと一本・・・「地下室のメロディー」かなあ・・・。というか、意外に彼の映画、あまり観ていなかった事に、今になってふと気付く。未見の作品なら「黄色いロールスロイス」「お嬢さん、お手やわらかに!」っていうコメディ映画を是非観てみたい。ダーバンのCMを含め、1960年代から70年代にかけ、ニッポン男子の美意識向上に多大なる影響を残されたドロン氏のご冥福を心からお祈りいたします。 [地上波(字幕)] 9点(2024-08-21 23:00:44)(良:1票) |
17. テオレマ
《ネタバレ》 下世話な言葉で表現するのなら、これは「ダブル親子丼+他人丼」(←メイドさんも居たから)映画。こってりドロドロになりそうな濃ゆい中身になりそうなのところを、極めて薄味淡泊な仕上がりとなったのは、突然の訪問者「彼」を演じた若き日のテレンス・スタンプ氏の、何とも表現しにくい不可思議な瞳の魅力のおかげ。この役に彼を得なかったら、一体どうなっていたことか。人生観が変わるような、難解映画に挑戦してみたところが、全然難解でもなく、面白く解り易かった事に逆に拍子抜け。それぞれが瓦解し、家庭崩壊となる結末だが「彼」が去った後、道端の男を漁りまくる奥方のキモチが一番良く理解出来た。キリスト教、神とはなんぞや云々等の小難しい事を考えなくてもフツ―に楽しめる、健全な変態映画だと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2024-08-13 22:46:31) |
18. 美しき小さな浜辺
《ネタバレ》 フランス人って、雨が降っても滅多に傘を差さない国民っていうのは知ってました。降っても霧雨で、濡れてもすぐ乾くから?というのが理由とかなんとか。さてさてこの映画は、全編を通じて霧雨どころか土砂降りに近いような雨模様。それでも主人公たるJ・フィリップ氏は傘を一切差さない。意地?でも全身濡れそぼりながら、小さな浜辺や納屋やらホテルの周辺をひたすら歩き回る。「傘を差す」という行為は男子たる沽券か美学に係わると思っての事なのか、どうなのか。我がニッポン国でも「男の日傘」がこの夏からぐっとポピュラーになった現在、おフランスの傘事情にも、この時代から多少変化はあったんでしょうか?鑑賞中、映画の胆である主人公の過去についての謎ミステリー要素そっちのけで、「フランス人と雨傘」に関することばかり考えておりました。レビュー数1500本弱にして、ジェラール・フィリップ主演映画、初めての鑑賞。思ってたよりもずっと痩身繊細な役者さんでした。「女を抱く」より「女に抱かれる」方がキャラクター的に似合う印象。そういう意味では、同時期にアメリカで活躍したモンゴメリー・クリフトにも通じるような。 [DVD(字幕)] 7点(2024-07-28 22:18:20) |
19. 地の果てを行く
《ネタバレ》 戦前生まれの日本人から絶大な支持を得ていたJ・デュヴィヴィエ監督。僕が映画ファンになった頃、「オールタイム映画監督ベストテン」が、映画雑誌等であった時、当時の批評家の方々は大抵ベストワンにこの監督の名を挙げられてました。令和の今、このアンケートを取ったら誰が上位を占めるんだろう・・・・M・スコセッシやスピルバーグ?昔の監督だと知名度が抜群なB・ワイルダー、ヒッチコックあたりか?邦題「地の果てを行く」・・・原題は知らないけれど「望郷」と同じくいかにも日本人好み。これは外人部隊のオハナシ。若き日のギャバンの、後年の貫録を感じさせる漢オーラ、執拗に追跡してくる刑事との心理戦から生まれた、友情ともつかない奇妙な連帯感。クライマックス、砦での戦闘シーンの迫力、この幕切れしかないと思わされる納得のラストシーン。当時のニッポン人には受けたでしょう。今観ても、充分見応えがあって面白かった。代表作「望郷」、中期の「自殺への契約書」「巴里の空の下~」くらいしか自分は鑑賞歴はないけれど、デュヴィヴィエ監督作、もっと観てみたいと思いました。評価はかなり落ちるようだが、晩年にこしらえたサスペンス作品群とか。 [DVD(字幕)] 8点(2024-07-26 11:50:38) |
20. アパートの鍵貸します
《ネタバレ》 【考察・小原乃梨子さんはなぜアパ鍵の吹替をされなかったのか?】僕が昔っから、好きで好きで大好きな声優さんの一人、小原乃梨子さんの訃報が本日飛び込んで来ました。享年88歳との事。謹んで、謹んでご冥福をお祈り致します。自分の世代は、幼少の頃は「のび太」「ドロンジョ様」「バーバパパ」等で、常にテレビからの小原さんのお声と共に成長。思春期になり、多少映画について聞きかじる年頃になると、僕にとって小原さんは「シャーリー・マクレーンの吹替えご担当」として揺るぎない存在となりました。最初は、深夜放送でのワイルダー監督「あなただけ今晩は」。ジャック・レモン担当の愛川欽也氏との掛け合いも息ピッタリで、後で観た字幕版より、この吹き替え版の方が断然面白かった。小原さんはシャーリーのユーモラスな役柄(「何という行き方!」「凡ては夜に始まる」「ハリーの災難」)のみでなく、シリアス演技(「噂の二人」「愛と喝采の日々」)でも、硬軟自由自在柔軟に対応されていて自分の目には、最早シャーリー・マクレーン=小原乃梨子さん同一視という図式が出来上がってしまいました。いやいや、小原さん吹替えなら、ジェーン・フォンダやろ!と仰る方もいらっしゃると思いますが、これだけは異論は認めません!ずいぶん昔にNHK「世界名画劇場」(字幕版)でこの映画を初鑑賞した時、感銘は受けたものの、ああ、これが小原さんとキンキンの吹き替えバージョンで観たらもっともっと面白いんだろうなぁ・・・地上波放映や、DVDが出るたびに期待していたものの。。。結局このコンビでのバージョンを観られる事は一度もなく、、、。本日の訃報を受け、小原さんのWikiを改めて確認したところ、元々その吹き替え版自体存在しないようで・・・。「アパ鍵」前後のシャーリー作品の殆どは小原さん担当なのに・・・・スケジュールの御都合だったのでしょうか・・・?小原さん、本当に本当に長い間お疲れ様でした。悪女ドロンジョ様に憧れ、翻弄されたガキ世代も、今はむさ苦しいオッサンとなりました。でもこれからも貴女のお声を聴くたびに、キモチだけは少年時代に戻れる、そんな気がします。そして僕がいつかそちらへ行く時までに「アパートの鍵貸します」愛川キンキンとの吹替版ヴァージョンを用意して待っていて頂けると嬉しいです。貴女の一ファンより。本当にありがとうございました。 [地上波(字幕)] 8点(2024-07-24 08:00:58)(良:1票) |